その他の電磁波の健康影響に関する情報資資料(1)

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1.測定器に対する注意事項: トリフィールドメータ
2.測定対象とする周波数と適切な測定器の必要性
2A.「メータの指示がゼロならば安全という」こともまた「誤り」
3.セルセンサ使用上の留意点
3A.磁界測定器による測定誤差の例 トリフィールドメータ・EMDEX2・セルセンサ
電磁界測定における3軸検出器の重要性と必要性
5.高調波も考慮した測定が肝要
6.発信源の知識も肝要 
7.被測定物との距離  
8.近傍界と遠方界の測定
9.携帯電話基地局からの電波の強さの測定法

10.電磁界測定器に関連する用語の解説




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1.測定器に対する注意事項: トリフィールドメータ

作成:19974月  

身の回りの電磁波を測定する測定器として、アメリカ製のトリフィールドメータが使用される場合が多いようです。
この測定器は数万円と比較的廉価で、ひとつの測定器で、低周波磁界強度、低周波電界強度、マイクロ波電力密度と3種類(トリ)の測定が可能という、ある意味では優れた測定器です。
しかし、この測定器には以下のような大きな問題点を内蔵していることを見つけました。
こうした問題があることを理解した上で、このトリフィールドメータを使用することが肝要です。

Swedenのコンビノバ社の磁界測定器(ドシメータ)と測定値を比較して、家庭内、近所の高圧送電線等を測定してみました。
結果の概要は以下に示します。

少し詳細なレポートは 別ページに示します。 こちらへ

1: 30wx2円形の蛍光灯器具を測定
 トリフィールドメータの値(以下TRI値)とフィールドドシメータの値(以下FD値)を機器からの距離を変えて測定。
 離れた時 TRI値 5mG    FD値 5mG    ほぼ正常
 近接   TRI値 100mG  FD値 20mG   5倍に誤指示

2: 電気ストーブ 600w を測定
 離れた時 TRI値 6mG    FD値 5mG    ほぼ正常
 近接   TRI値 80mG   FD値 100mG   ほぼ正常

3: 卓上用蛍光灯スタンドのベースの部分 を測定
 離れた時 TRI値 3mG    FD値 2mG    ほぼ正常
 近接   TRI値 100mG   FD値 20mG   5倍

4: 交流式の電気時計 を測定
 離れた時 TRI値 5mG     FD値 5mG    ほぼ正常
 近接   TRI値 100mG   FD値 100mG   ほぼ正常

5: 電車の中
       TRI値 5ー11mG間で変動  FD値 2mG  3ー5倍

6: 電子レンジ 時計だけが動作している時

 離れた時 TRI値 7mG     FD値 5mG    ほぼ正常
 近接   TRI値 100mG   FD値 100mG   ほぼ正常

7: 電子レンジ 動作中

 離れた時 TRI値 13mG     FD値 5mG   2倍
 近接   TRI値 100mG    FD値 20mG   5倍 

8: 石油ファンヒーター

 離れた時 TRI値 18mG      FD値 5mG   4倍
 近接   TRI値 80mG      FD値 10mG  8倍

9: 扇風機
 離れた時 TRI値 25mG        FD値 2mG   10倍
 近接   TRI値 100mG以上振り切れ FD値 5mG  20倍以上

10: 掃除機
 離れた時 TRI値 35mG    FD値 2mG  17倍
 近接   TRI値 80mG    FD値 5mG  16倍

11: ブレーカーのある配電盤の近く
 離れた時 TRI値 4mG      FD値 5mG    ほぼ正常
 近接   TRI値 100mG以上振り切れ FD値 20mG  5倍以上

12: 14インチTV受信機

 離れた時 TRI値 100mG   FD値 2mG  50倍

13: 20インチTV受信機
 離れた時 TRI値 5mG     FD値 2mG   2倍
 近接   TRI値 80mG    FD値 10mG  8倍

14; 100万ボルト高圧送電線

 離れた時 TRI値 1mG     FD値  1mG  ほぼ正常
 近接   TRI値 15mG    FD値 10mG  ほぼ正常

という事から、ごくごく一部の家電製品からの磁気測定(50Hzもしくは60Hzの正弦波で漏洩してくる磁界の測定)を除けば、数倍から数十倍大きく表示されると言う測定器であることがわかりました。

ほとんどの場合、電気機器からどのような周波数の、どういう波形の磁界が漏洩・輻射しているかはわからない。 仮に2mGの磁界が輻射している機器をこのトリフィールドメータで測定すれば、ある場合は2mGと正確で、ある時は100mGとなって振り切れる場合もある。

この測定器は仮に針が振れたとしてもその値を全面的に鵜呑みにすることはできず、そこに「低周波磁界が存在する」という検知器として利用するか、大きく振れた場所で、他の精密な低周波磁界測定器で再測定を行う必要がある。

コンビノバ社の測定器は約30万円、トリフィールドメータは約3万円。 測定器の価格が精度を決めているということはできないが、3万円という価格は高価な測定器に見えるが、測定器の観点から言えば、おもちゃに近い測定器である。 おもちゃに近いといっても、色々と測定はできるので、それなりに面白い測定器です。

追記1:

このトリフィールドメータとコンビノバのドシメータの測定では、機器からの距離を明確にしないで、「離れた」「近接」時で比較を行っています。機器からの電磁界漏洩の実態を知るための測定・評価であれば、距離などを明確にすることが必須の条件となります。 しかし、この比較の目的は、機器からの電磁界の強度の測定による評価ではありません。測定器の指示値の信頼性が主眼です。 

相対的に、測定対象とする機器を変えたり、測定距離を変えたりしたときに、二つの測定器の測定値の比較を行っています。
対象とする機器を変えても、測定距離を変えても、常にトリフィールドメータの値が、ドシメータの値の1.5倍であるといった一定の関係にあれば、その倍率が1.5倍でも1.3倍でも、0.8倍でも、それは測定器の違いとして、理解することが出来ます。

上記のデータをみてわかるように、倍率は一定していません。 この点が大きな問題です。 この倍率が不定であることを示すのが、上記のデータの開示の主目的です。

追記2:
 
トリフィールドメータの英文の取り扱い説明書には以下の注記が掲載されている。

**************   **************   ***********
DISCLAIMER 声明
The meter should be used so that simple steps (such as moving furniture) can be taken to reduce relative exposure within a home or office. If more drastic actions are contemplated, remember that some readings in the HIGH (red) zone may ultimately prove not to pose a health risk, so consult expert advice before taking more drastic steps, and perform independent tests with another type of meter. Remember that the TriField(r) meter is frequency-weighted, so in most environments, it will read higher in the magnetic field setting than a more traditional meter of the type used in epidemiological studies to set possible hazard thresholds.

BEMSJの仮訳
このメータは、家またはオフィス内の相対的な電磁界曝露を減らすための(家具を移動させるような)、簡易的な手段として使用されるべきである。 より徹底的な適用を望むのであれば、測定値が高い(赤い) 地帯に示されても、最終的に健康を損なう危険性を提起しているとは限らないということを理解しなければならない。

そうした徹底的な手段を講ずる前に専門家に助言を求めなさい。そして別のタイプの測定器で独立したテストを行いなさい。

TriField(登録商標) の測定値は、周波数に重み付けがされていることを忘れてはならない。

そして、ほとんどの環境下で、 磁界の値は従来のタイプの測定器(危険なレベルの閾値を設定するための疫学調査に使用されるような)よりも高い値を示すことを忘れてはならない。
************  ************   **************

追記3:
測定器を販売しているアルス医療器より入手した和文の「電場・磁場測定器 トリフィールドメータ 取扱説明書」というタイトルの文書の冒頭に以下に示す「測定器の特徴」が述べられている。   作成:2004−6−6

************** 引用  ************
磁場・電場・ラジオ/マイクロ波検知器 
☆トリフィールドメータは1台で3種類の電磁波に感度をもつ他に類を見ないユニークな簡易型検知器です。
あなたをとりまく電磁場環境のチェックにご使用ください。
☆磁場と電場での表示はあらかじめ回路に周波数による付加(加重)が設定されており他の電磁場測定器と比べて非常に大きな値が表示されることがあります。 
☆あなたの電磁場環境を個人的に相対的にチェックしてあなたの健康に予想されるリスクを避けるため、身の回りの配線、電子・電気機器、家具などの配置を検討する目的でご使用ください。
☆電磁場の医学的な検証、電子工学分野の研究にはトレーサーシリーズなどのご使用をお勧めします。
*******   ******** 

この説明にあるように、トリフィールドメータの磁界測定は電磁環境の個人的・相対的な評価を行う目的で使用すべきであって、測定結果を医学的・工学的な判定・評価には使用してはならない ということが明確である。 医学的・工学的な測定・評価にはトリフィールドメータではない、他の測定器を使用してくれと、書いてある

追記4: 作成 2004−6−7

トリフィールドメータは「測定器」か? それとも「検出器」か?

上に紹介した取り扱い説明書の表紙では「測定器」と書いてある。
しかし、中の文章では「検出器」と書いてある。検出器といえば単なるチェッカーという意味となる。

********************  ******************


追記5 :2006−3−16

トリフィールドメータの低周波磁界(50Hzなどの周波数)の測定機能を使用して、携帯電話の電波(900MHzの磁界)が計れると、誤っている例

あるブログにあった情報です。

ある方は、FOMA M1XXXから発信される携帯電話の電波を、携帯電話をトリフィールドメータに密着させて、低周波磁界を測定しています。
写真の測定器のつまみの位置を見ると、低周波磁界(100mGまで)に設定されています。
そして、30mGも出ていると、驚きの声を残しています。

  

これもよくある誤りです。携帯電話で心臓ペースメーカが誤動作する・・・・という話があります。
この場合は、携帯電話に密着させているので、それなりに強い電波が出ていて、トリフィールドメータが誤動作しているのです
ただそれだけです。測定器で針が振れたといっても、それを鵜呑みにできない場合があります。


追記6:2012−2−15

1998
年に作成したBEMSJのメモです。
トリフィールドメータの取り扱いに関する注意事項として、このページに公開しておきます。

タイトル:トリフィールドメータに関する注意事項
          BEMSJ   作成: 98ー12ー30 
トリフィールドメータという測定器は、日本では結構使用されている電磁波の測定器です。
4万円という価格(注:1998年当時の価格)は個人ではそれなりの高価で、十分に信頼のおける素晴らしい測定器であると思われて、購入し、使用されている方も多いでしょう。

でも、電磁波の測定器という観点からみれば、このトリフィールドメータは非常に注意して取り扱わなければならない点があります。
悪口になりますが、正確な電磁波の生体影響の知識を身に付けて戴くためにも、あえて苦言を表明します。

以下は、この測定器を取り扱っている日本の総代理店に発信したメールの控えです。
2件共に、回答は2年経過した今日でも戴いておりません。

文章は、皆さんにわかり易い様に、原文を基に、趣旨が変わらないように留意しながら、修正・補筆を行っています。
磁界に関してはテスラという国際規定の基づく単位を使用するのが正しい記述ですが、以下では方便として、ガウスを使用しています。
1マイクロテスラが10ミリガウスで換算できます。

*** その1 *************
TO:F0471-83-
****
SUBJ:
トリフィールドメータの件- 再送
date:96-12-22
 再送 97ー2ー22
アーツ(株) *****役 ** **様

このメモを送信後 2カ月を経過しました。その後いかが?

前略
11月10日付けのお手紙とトリフィールドメータの資料を送って下さいまして、ありがとうございました
何とか、いただいた資料を読み、以下の様に特徴等を理解いました。
私の理解が間違っていれば、教えて下さい。
また、同時に疑問点も沸いてきましたので 以下の雑文を読んでいただいて、

1)出来ればデモ用の測定器を1週間程度貸していただけないでしょうか?
2)追加の質問を英文で叩きましたので、アメリカの本社へ送信して下さい。
今 アメリカはクリスマス休暇に入っているかも知れませんので、回答は遅くなっても構いません。 

これらのことがわかれば、場合によっては、注意点を各国内のユーザに周知すべくこの測定器の使用に関する問題点と いうのでしょうか・・・・纏めた一文を進呈出来るかも知れません。   以上    96ー12ー22
  *** 東京都********  *****
  電子メール *****@niftyserve.or.jp

・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・・・
トリフィールドメータの特徴;
1。トリフィールドメータの取扱説明書に記載してある事項から
磁界と電界の測定は周波数で重み付けをしている。
低周波の電界/磁界共に3軸の測定である。

50Hz用のトリフィールドメータは50Hzで校正されている。
低い周波数から500Hzまでは周波数に比例して大きな値が表示される。
すなわち100Hzでは真値が2ミリガウスであっても、この測定器は100/50=2倍の磁界値の4ミリガウスと指示する。

500Hzの周波数の磁界を測定すれば真値は2ミリガウスであっても、500/50=10倍の20ミリガウスを指示する。
この様に、測定する場所や機器から発生している磁界・電界の周波数によって、測定器の指示値が大きく異なる様に設計されている。
これは、測定器メーカの独自の考えで、周波数が高いとそれだけ人体に危険であるというコンセプトに基づいているからである。
その為に、ある程度の電磁波の知識を持っている人が測定すれば、正しく、このトリフィールドメータは利用できる、という限定条件がついてしまう。
60Hz用のトリフィールドの場合は、60Hzで校正されている。

50Hz用のトリフィールドメータで60Hzの磁界を測定すれば、真値が2ミリガウスに対して 60/50=1・2倍の 2・4ミリガウスとなり、20%の測定誤差が通常の測定誤差に累積される。
500Hzから1000Hzに対しては、周波数特性は平坦な特性を示す。
1000Hzを越えると徐々に応答特性は劣化していき、100kHz付近で応答しなくなる。

このトリフィールドメータの測定誤差は、指示値の+/-20%(磁界)、
+/-30%(電界)である。
取扱い説明書ではない他のトリフィールドメータのパンフレットによれば、測定誤差は Mid Rangeで+/ー20%となっている。
よって、詳細な測定誤差は不祥である。

マイクロ波の電磁波(電波)の測定に関しては50MHzから3GHzに応答しているが、電子レンジの使用しているマイクロ波電波の2GHzで校正している。
測定誤差は測定者のボデーエフェクト等があるので、-50%から、+100%である。

「この測定器は簡易的に用いるべし、測定器のレッドゾーンを指示したとしても必ずしも健康障害を与えるということではない。
この簡易測定結果で、ドラスチックに何かを行なおうと考えるならば、他の測定器での測定を専門家に依頼すること。
覚えておいて欲しいことは、この測定器は周波数で重み付けをしてあるということである。
疫学調査に使用しているような測定器や健康問題の規格値を策定する為等に使用されている他の測定器に比べて高い指示値を出す。」
という趣旨の説明が取り扱い説明書に一応記述されているが、使用者は本当にこの部分の注意文の意味を理解しているだろうか?

2。私の前回の質問に対して、貴社からの回答を纏めてみます。
1)近傍に強い低周波磁界があった時に、マイクロ波の測定・指示値は影響を受けるか?
 答:影響を受けない。


2)強いマイクロ波が存在する時に、低周波の磁界・電界を測定した時に、測定値は影響を受けるか?
答:強いマイクロ波は少し影響を与える。
(従って、携帯電話の送受話器から電波が発信されている近傍で、低周波のミリガウスの磁界を測定すれば、その磁界の値は、携帯電話からの電波によって測定値が乱されることになる。正しく測定はできない。)

3)低周波電界の中で低周波磁界を測定した時は、低周波磁界の測定値は電界の影響を受けるか? またその逆は?
答:影響を受けない。

以上が入手した資料に基づくトリフィールドメータの特徴である。

これらの資料によってかなり素性がわかってきたがまだまだ疑問がある。

2。疑問点
1)低周波磁界が存在する中でマイクロ波を測定しても、磁界の影響を受けないといっているが、本当か?
週刊誌サピオに書かれた実測報告の中で、「電子レンジの近くで測定したらマイクロ波電波の測定値がレッドゾーンを示した、」とある。
電子レンジが仮に動作中だとしても。実測がレッドゾーンと言いことは0・5mW/cm2以上のマイクロ波が漏れていることになる。
電子レンジの漏洩マイクロ波電力の規定はいくら? この測定結果はこれらの規定値を満足する?

0・5mW/cm2は43V/mの強い電界を意味する。これだけ強い電界が電子レンジから漏洩しているとすれば、通信に甚大なる妨害を与える。
家庭内のTV受信機もこのような強い電波に耐えなれるか? 
何か、まだおかしい点がある。 一度トリフィールドメータを借りて、電子レンジからのマイクロ波を測定して見るべきか????

アーツ(株)の**さん ちょっと1週間ほど借用出来ます?

2)低周波電界・磁界の周波数特性とダイナミックレンジ、校正している磁界値は?
TVやVDTの様に高い周波数成分をもつ電気機器はこの測定器では測定した時に大きな測定誤差がでる。
これはこの測定器の性質上やむを得ないことではあるが、どの程度の差異があるのか?
10ー20ミリガウス程度の値が真値であるTV受信機の菅面に直に測定器を近づけた時に、トリフィールドメータは100ミリガウスの最大目盛りを越えてスケールオーバーとなっている。
この時の誤差の倍率は5倍から10倍以上?
これだけ大きい差があれば、測定器の測定誤差などと言う範疇ではなくなる。
トリフィールドメータを使用している日本のユーザはこのような点を理解して使用している???

普通の測定器は最大の目盛りの近くが目盛りの間隔が広く、低い値の方は目盛りが荒くなって来る。
このトリフィールドメータは最大の目盛りの方がつまっているので、入力磁界に対するダイナミックレンジがないのではないか?
これを確認する為に、以下の質問をアメリカの会社に発信してください。

質問1)calibration condition of this Trifield meter.
英文は割愛。

質問2)input output characteristics, accuracy.
英文は割愛。

以上 色々とうるさいことをいって申し訳ありません。 

*** その2 *********************
TO:F0471-83-****
SUBJ:
トリフィールドメータの件
date:97-4-8
 何も回答なし 再送します。 97ー7ー11
アーツ(株) ***** ** ** 様

前略
トリフィールドメータに関して、12月22日にfaxを送信、同じ内容を2月22日にも再送信していますが、届いているでしょうか?
最近、トリフィールドメータをもっている人を見つけました、そこで色々な家庭内、近所の高圧送電線等を測定してみました。
Swedenのコンビノバ社の磁界測定器(ドシメーター)と測定値を比較してみました。

結果の概要は以下にしめします。
販売している貴社の立場から見ると困った事と思いますが、結論から言えば少なくとも低周波の磁界の測定器としては、一般の人が使用するには不向きなものです。
電界やマイクロ波に関しては正確な測定器をもっている人が身近におらず、検証はできませんでした。
多数のトリフィールドメータを国内で販売されていると思いますが、購入した人が、このトリフィールドメータの特徴、欠点をきちんと理解した上で使用しているとは思えません。
かなりの誤解をもって電磁波の事を考えていると推定できます。 

今回の検証はグラフに整理してあります。 貴社としてきちんとした対応の為に必要とあれば、別途それらのデータのコピーを郵送致します。
     東京都**********   ******

     電子メール *******@niftyserve.or.jp

1。30wx2円形の蛍光灯器具を測定
トリフィールドメータの値(以下T値)とコンビノバ社のフィールドドシメータの値(以下F値)を機器からの距離を変えて測定、比較的離れた時で低い磁界の値を示す所と、近接して大きい値を示す所の2箇所で測定を実施しました。
しかがって、以下の被測定物毎に距離はことなります。

離れた時 T値 5mG    F値 5mG    正常
近接   T値 100mG  F値 20mG   5倍に誤指示

2。電気ストーブ 600w を測定
離れた時 T値 6mG    F値 5mG    ほぼ正常
近接   T値 80mG   F値 100mG  ほぼ正常

3。卓上用蛍光灯スタンドのベースの部分 を測定
離れた時 T値 3mG    F値 2mG    ほぼ正常
近接   T値 100mG   F値 20mG  5倍の誤指示

4。交流式の電気時計 を測定
離れた時 T値 5mG     F値 5mG    正常
近接   T値 100mG   F値 100mG  正常

5。電車の中
T値 5ー11mG間で変動 F値 2mGで一定 3ー5倍の誤指示

6。電子レンジ 時計だけが動作している時、電子レンジとしては非動作
離れた時 T値 7mG     F値 5mG    ほぼ正常
近接   T値 100mG   F値 100mG  正常

6。電子レンジ 動作中 食物を入れて加熱動作中。
離れた時 T値 13mG     F値 5mG   2倍の誤指示
近接   T値 100mG    F値 20mG  5倍の誤指示

7。石油ファンヒーター
離れた時 T値 18mG     F値 5mG   4倍の誤指示
近接   T値 80mG     F値 10mG  8倍の誤指示

8。扇風機
離れた時 T値 25mG       F値 2mG 10倍の誤指示
近接  T値 100mG以上振り切れ F値 5mG 20倍以上の誤指示

9。掃除機
離れた時 T値 35mG    F値 2mG  17倍の誤指示
近接   T値 80mG    F値 5mG  16倍の誤指示

10。ブレーカーのある配電盤の近く
離れた時 T値 4mG      F値 5mG    ほぼ正常
近接  T値 100mG以上振り切れ F値 20mG 5倍以上の誤指示

11。14インチTV受信機
離れた時 T値 100mG   F値 2mG  50倍の誤指示
近づいて測定することは不可能。

12。20インチTV受信機
離れた時 T値 5mG     F値 2mG   2倍の誤指示
近接   T値 80mG    F値 10mG  8倍の誤指示

正しい値は2ミリガウスであっても、同じTVでも14インチTVでは50倍の100ミリガウスという測定結果に、20インチTVでは5ミリガウスという測定結果になる。
これでは色々な電気機器からの電磁波をこのトリフィールドメータで測定して、少ないから良い機器、多いから駄目な機器と判定することすら不可能である。

13。100万ボルト高圧送電線
離れた時 T値 1mG     F値  1mG  正常
近接   T値 15mG    F値 10mG  ほぼ正常

という事から、ごくごく一部の家電製品からの磁気測定(50Hzもしくは60Hzの正弦波で漏洩してくる磁界の測定)を除けば、数倍から数十倍大きく表示されると言う「とんでもない測定器である」ことがわかりました。

一般の人は電気機器からどのような周波数の、どういう波形の磁界が漏洩・輻射しているかはわからない。
仮に2mGの磁界が輻射している機器をこのトリフィールドメータで測定すれば、ある場合は2mGと正確で、ある時は100mGとなって振り切れる場合もある。
これでは一般の人の磁界に対する認識・知識の向上には有益ではない。 
  以上
*********************************

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2.測定対象とする周波数と適切な測定器の必要性

 

電磁波といってもその範囲は広い、電波として利用されている範囲を周波数で示せば10kHzから300GHzまでとなる。
それらの周波数によって使用する測定器が異なる。
また測定する場合に、電界を測定するのか磁界を測定するのかによっても、測定器やそのセンサ部分は異なる。

携帯電話の電波塔からの電磁波(電波)を測定するのであれば、800MHz、900MHz、1,900MHzといった周波数の電磁界を測定できる測定器(多くは「電界測定器」を使用する)を用いなければならない。
高圧送電線からの電磁波、この場合の多くは50Hzや60Hzの低周波磁界を測定することが多いが、これらの周波数の磁界を測定できる「磁界測定器」を使用する必要がある。

もしも、発生している電磁波の周波数が不明な場合は、周波数分析機能を持つスペクトラムアナライザやそうした機能を併せ持つ電磁界測定器を使用する必要がある。

測定器で針が振れた、10V/mという電界強度、1マイクロテスラ(10ミリガウス)という磁界強度が測定されたとしても、その周波数がわからなければ、判断はできない。
下手をすれば、大きく判断を狂わせることになる。
10ミリガウスという値は周波数が高ければICNIRP等の電磁界曝露基準を超える可能性もあり、また周波数によっては基準値に対して、十二分に余裕を持って、適合していると判断することになる。

良くない例を公開されているWEBから拾い出してみた。

 

例1.マイクロ波電波を低周波磁界測定器で測定したと思われる例

岐阜県多治見市 ハイランドを住みよくする会のWEBにあった内容で、2002−4−30に見つけたもの。
 http://homepage2.nifty.com/pika2010e/page007.html
 
携帯電話の電波塔の建設反対運動の中で、電波塔からの電波を即測定した、その結果は2−3ミリガウスあったと。
それに対して、NTTドコモからの回答では「携帯電話の電波だけを測定すれば、0.007ミリガウスである」と回答している。

これらのことから、2−3ミリガウスという値は
1)50Hzや60Hzを中心に測定できるが、800MHzなどのマイクロ波は測定できない低周波磁界測定器を使用した。
2)電波塔の近隣に同時に高圧送電線などがあれば、それらの低周波磁界を測定している。
3)高圧送電線がなければ、もしくは低周波の磁界を発生するその他のものが近隣になければ、
 低周波磁界測定器が、測定周波数範囲外の800MHzなどのマイクロ波電界によって、測定器が誤動作し、
 誤った値を示している。 と 推定できます。 

市民運動の場合は、高額な測定器の入手は困難なので、やむを得ないという側面はあります。

**** 引用  ****** 
 説明会での質問に対する「NTTドコモ」の回答 
平成13912
「ハイランドを住みよくする会」から皆様に配布されている資料によりますと、「電波塔(多治見市内)から出ている電磁波を計測しましたが、100m300mの地点では23ミリガウスありました」と記載されていますが、ガウス単位での測定は、自然界等のあらゆる電磁波が重畳されて測定されています。
今回建設する携帯電話基地局から出る電磁波のみをガウスで測定することは困難でありますが、電磁波が測定可能な電力密度からガウスに換算した結果は、最大で0.007ミリガウスとなります。
*************  ************


例2.化学繊維協会の電磁波シールド素材のWEB〔http://www.fcc.co.jp/JCFA/f6-soza.html〕にあった内容

以下の例で疑問な点は、携帯電話の電磁波の強さを測定し、100ミリガウスから200ミリガウスという測定値を示していることである。
携帯電話の電波の周波数を900MHzとすれば、ICNIRP(国際非電離防護委員会)の電磁界曝露ガイドラインに規定されている一般公衆に対する磁界曝露限度値は、1.6ミリガウスであり、200ミリガウスとなれば、大きな健康影響が予想されるような強度である。

しかし、私の推定であるが、ここでも携帯電話の電磁波(電波)は測定できないような、60Hzなどの低周波磁界測定器を用いて、携帯電話のハンドセットからの電磁波を測定したのではないかと、思う。 
携帯電話のハンドセットから放出される電波(電界)の強さは、高周波の頁に紹介してあるが、下手をすれば測定器を誤動作させるだけの強さである。

電磁波シールド素材の専門である協会でも、誤る場合がある。

*******  引用 ***************   *************  ******

 また、生活の中の家電製品では、表2のような量の電磁波を浴びています。

 

(電磁波の量は距離の2乗に比例して小さくなる) 発生源

電磁波の強さ

放映中の14inTVの前30cm

3ミリガウス

同横15cm

15ミリガウス

電気カーペットの上30cm

5476ミリガウス

送電線直下、地上1m地点

550ミリガウス

携帯電話

100200ミリガウス

電子レンジ

100200ミリガウス

2.家電製品から浴びる電磁波の強さ

**********  ************  *************  ********** 

 

 

例3. ビデオXXX社のWEB (http://www.member.nifty.ne.jp/vidXXXXXX にあった内容

「恐るべき電磁波汚染: このビデオでは様々な電気器具を検証している。」という紹介の中に、トリフィールドメータと携帯電話を密着させた状態で<<携帯電話を測定すると針が振り切れてしまった>>という説明を入れた写真を掲載していた。 

以下にその画像を示す。


トリフィールドメータは電子レンジや携帯電話からのマイクロ波電波を測定することが出来る。
但しその測定範囲は電子レンジから漏洩しても良い電波強度の法的な規制値である1mW・cm2まで測定できるようになっている。
すなわちユーザが家庭にある電子レンジにこの測定器を近づけた時に振り切れることがあれば、知れは法律違反であることがわかる。 
それなりに高い感度にこのトリフィールドメータは設定されている。

携帯電話のハンドセットの場合は、通信を行う目的で電波を出す。 
したがってハンドセットの極近傍では強い電波となっている。
トリフィールドメータで測定すれば、振り切れて当然である。 
携帯電話のハンドセットからは、「携帯電話のハンドセットのアンテナからの電波の強さの推定」でも紹介してあるように、強い電波となっている。

「測定器で振り切れるから危険」という判断は、好ましくない といえる。

携帯電話のハンドセットのアンテナの極近傍における電波(電磁波)の強さの計算例を以下に示す。
この表では、送信電力は1Wとし、アンテナの周囲には何もない理想的な条件としてある。 
実際の使用条件では人の頭部や手の影響で、送信アンテナからは電波が発信しにくくなる(性能が劣化する)ので、この表のような数値に人が曝露する訳ではない。

しかし、携帯電話を机の上に置き、測定器を密接してとなりに置いた場合は、以下の表のような電波が出ていると、想像できる。 
そして、これだけ強いと、測定器は誤動作する恐れがある。

アンテナから10cm以内の電界強度と磁界強度、 そして空間インピーダンスを377オームと仮定して電界強度から計算を行なった電力密度の数値を以下の表に示す。

距離

電界 E

磁界 M

電力密度 E*E/3770

cm

V/m

A/m

mw/cm2

1

2494.9

1.1155

1651.00

2

642.1

0.6278

109.36

3

289.5

0.4462

22.22



例4: テクノAOという電磁波防護グッズなどを販売しているKXXXパンという会社のWEBにあった例

http://www.ctb.ne.jp/~maXXX/ 
**************  *******************
  携帯電話から放射される電磁波 
携帯電話の着信時に放射される、電磁波の強さを 電磁波メータを使い測定したものです。
使用携帯電話:NTT DoCoMo D-501i
使用測定機:DR.GAUSS  メータの単位: 
ミリガウス

 

このWEBでは、携帯電話の着信音に合わせて、メータが振り切れる状況のデモンストレーション(動画)を行なっていました。

以下にその画像(静止画像)を示します。

 

****************   ***************

 

Dr.Gaussという簡易測定器は、50Hzなどの低周波磁界を0−50ミリガウスまで、もしくは0−5ミリガウスまでを測定できます。
また。携帯電話からの高周波電波を0−1mW/cm2の電力密度で、もしくは0−10mW/cm2の範囲で測定できる測定器です。

従って、携帯電話からの電波の強さは、高周波電波として測定すべきです。
測定しても、携帯電話ハンドセットの隣に置けば、測定範囲を超えるので、針は振り切れます。
針が振り切れるのは、当然といえば当然です。   
さらに、このデモでは、低周波の磁界として、測定不可能な状況でデモを行なっています。
本来であれば測定はできないのですが、非常に強い高周波電波によって、低周波磁界の測定系が誤動作して、針が振り切れているのです。

結論:
電磁界の測定は単純ではない。 測定したら、針が振れたからといってそのまま値を鵜呑みにはできない場合がある。
精度の良い、周波数も判る測定器で、再度検証する必要がある。


例5: 歯科関係の研究者の論文にあった誤り
以下の論文を読みました。   作成:2007−5−18

掲載誌:日大歯学 2003年
タイトル:歯科用機器からの電磁波の測定
研究者:関啓介ら

この論文は歯科医療機器の電磁波の測定結果の報告書です。
用いた測定器は、論文の記述として「EMF Field Tester 短軸式センサ 対応周波数範囲:30Hz−300Hz」となっています。
この測定結果に関心のある方は、原著を入手して読んでください。

私が気になったのは、この論文の中で「今回参考として、携帯電話(ドコモ)の計測を行った結果、15cmの距離では5.82μTを示した。」とある点です。
これも、300Hzといった低周波磁界測定器で、比較的携帯電話の近傍で、900MHzといったかなり強い電界に対して、低周波磁界測定器が誤動作している例です。


例6:まだある測定器の誤動作
    
追記:2007−6−25

愛知県 小牧市の学校薬剤師会のWEBにあった情報です。
薬剤師の会ということから保健衛生に関連する情報を提示している。
また以下にあるように学校のコンピュータ教育に関連して、電磁波の問題にも取り組んで、実測なども行っている。
「コンピュータルーム等における電磁波の問題」として
http://www2s.biglobe.ne.jp/~gakuyaku/new10.htm
 に実測などが紹介されている。

測定に使用した磁界測定器は、このWEBでも写真と概要が記載されて紹介されている。
磁界測定器 EMF−822
周波数範囲:30Hz−400Hz
最大測定値:199mG

この測定器でパソコンなどを測定している。 それらはおおむね妥当な値が観察されている。

ところが、この磁界測定器で、携帯電話のハンドセットからの電波を測定している。
結果は0cmで200mG以上 2cmの距離で110mGといった値が測定値として紹介されている。
携帯電話の900MHzの電波はこのEMF−822では測定不可能。
900MHzの磁界が200mGも出ていれば、大変な事態である。

これらの測定値は、磁界測定器の誤動作によるご指示である。
心臓ペースメーカと同じように磁界測定器が誤動作しているのである。

 

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2A.「メータの指示がゼロならば安全という」こともまた「誤り」

記:2009−7−5

マイテック株式会社という仙台市にあった会社(http://www.mitec-corp.co.jp/ にあった内容から抜粋、 現在はリンク切れ)は、磁界測定器を作っていました。

***********   ***********
磁界環境測定用ガウスメーター M−GD7

マイテック社の磁界測定器

簡易タイプの 電磁波チェッカー としておすすめするのが本製品 ‘M−GA8’ です。
バッテリー駆動 なので、いつでもどこでも 簡単 に電磁波の測定ができます。

M−GA8による安全距離  (メータ表示が0になるところ)
電気ポット     20cm
ファンヒーター   35cm
冷蔵庫(側面)  120cm
エアコン      80cm
蛍光燈       40cm
テレビ(ブラウン管) 35cm
****************     ***************

GA8の指示値がゼロになれば、安全であると公言しても良いのか?
何を根拠としてそう言えるのか? 
感度が悪い測定器であれば全てが安全となってしまう。
測定器の感度は技術的に高めることが可能、感度は最大限にすれば、限りなくゼロに近い微弱な磁界でも、測定・検出することは可能となり、ゼロにならないと安全ではない という論法はなる。
とんでもない誤りである。

測定器の測定可能な最低の限界が何ミリガウス(マイクロテスラ)であることを明示して、その程度の低い磁界になる距離の目安 という表現であれば妥当と考える。

上記の広告はサイトで20018月頃に見つけたものである。
2009
7月、どうなっているか再度確認のためにアクセスしたら、開くことができなかった。
マイテック(株)の住所を、グーグルの地図検索で調べたら、そこはマンション・アパートらしき建物が建っていた。
「マイテック(株) 磁気測定」で検索してみたが、情報は得られなかった。

 

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3.セルセンサ使用上の留意点


セルセンサは、低周波磁界を050mG (ミリガウス)、 高周波(携帯電話・電子レンジなどからの電磁界)  010mw/cm2の範囲を測定できる、単軸、簡易的な測定器です。 簡易的に測定するのであればよいのですが、ちょっと測定する対象によっては、注意が必要です。 

この種の簡易的な測定器の場合は
低周波測定時に、同時にその場に存在するマイクロ波によって、測定がエラーを起こし、マイクロ波の測定時には、同時にその場に存在する低周波の電磁界の影響を受けてエラーを起こすことがあります。
そうした色々な周波数の電磁波が同時に存在する場所での測定には留意が必要です。
このセルセンサは簡易的な測定器なので、必要に応じて、精度の良い測定器で再確認を行う必要があります。


例1; 電子レンジからの低周波磁界測定で、同時に電子レンジから放出されるマイクロ波によって、低周波磁界測定がエラーを起こす。

例2: テレビやパソコン用モニターの場合 
マイクロ波は微弱であるが、同時にテレビから発生している低周波電磁界によって、マイクロ波測定がエラーを起こす。

例3; 携帯電話ハンドセットからは低周波磁界漏洩は微弱である。低周波磁界測定を行うと、マイクロ波(電波)によって、測定にエラーが生じる。 

以下はWEBにあったある学生の研究報告に見られた例です。 

セルセンサを使用して、家庭内の各種電気機器からの電磁界放射を測定しています。
おおむねは正しいのですが、測定器のエラーであることに、残念ながら気がつかずに報告書を纏めています。 

電子レンジからの低周波磁界測定で、50cmで2・5mGであるが、40cmではメータが振り切れる大きさとなったと。
40cmでは多分10mG程度以下であり、当然測定が可能であるはずですが、それが振り切れたということは、同時に電子レンジから発生しているマイクロ波によって低周波磁界測定がエラーを起こしている、といえます。 

テレビ (14インチ)からマイクロ波が1mW/cm2、 21インチテレビで 0.5mW/cm2 といった数字は測定されている。
これだけ大きいマイクロ波は普通はテレビからは漏洩しない。 
これらはテレビが同時に放射している低周波電磁界によってマイクロ波測定部分がエラーを起こしているものと 推定されます。 

パソコン本体の近接時のマイクロ波、パソコンディスプレィでのマイクロ波、ワープロでのマイクロ波(高周波)も、 テレビの場合と同じく、エラーと思われます。 

携帯電話ハンドセットからは低周波磁界はほとんど出ないはずなのに、10ミリガウスという測定結果が報告されている。 
これは、携帯電話からの電波(マイクロ波)によって、低周波磁界測定部がエラーを起こしていると推定できます。 

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このセルセンサを入手しました。  作成:2005−5−9
一部の報告を、追記します。

1.セルセンサで、低周波磁界を測定してみました。
このセルセンサは低周波磁界を測定できますが、センサが1軸の為に、上下、左右、前後方向とあらゆる方向に向けて極大値を探す必要が有り、決して楽に測定はできませんでした。
どこに向けたらよいのか、常に方向を模索しなければなりませんでした。これは、かなり不便です。


場所を移動しながら、機器への距離を変えながらの測定は、極大値を見出すことができず、ほんとうに不便です。
やはり、3軸のセンサの測定器を使用すべきかもしれません。

2.マイクロ波電界測定
このセルセンサは電界を検知し、空間インピーダンスを377オームとして電力に換算して、指示値としています。
感度は、最低感度が0.1mW/cm2になっています。 電界に換算すれば、約20V/mとなります。

すなわちICNIRPの電磁界曝露指針などの限度値を超える場合は、測定が可能という感度です。 
携帯電話のハンドセットの近傍の電界強度の測定はできても、携帯電話の中継塔からの電波の強さは、到底測りきれません。 
よく見ると、英文の取扱説明書には「携帯電話基地局からの電波は測定不可能」と明記されていました。

また、携帯電話のハンドセットからの電波の測定では、この取説では4インチ以上アンテナなどから離して測定すること」と注記されています。 
空間インピーダンスが377オームにならない近傍界では測定が正確ではないことを、このセンサの製造会社は、わかっているようです。

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3A:磁界測定器による測定誤差の例 トリフィールドメータ・EMDEX2・セルセンサ

記;2016−11−11

10年以上前の測定例の事例が出てきました。

 

 

 

 

以上の測定から

1.EMDEX2のデータは正しい。

2.トリフィールドメータはEMDEXに比べて5倍、10倍の指示値となる。

3.セルセンサは1軸の為に、うまく測定したときの軸が最大の軸と一致すれば、EMDEXと同等の値を示すがほとんどの場合は、最大の軸方向をサーチしていないので、低めに出る。

 

 

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4.電磁界測定における3軸検出器の重要性と必要性

電磁界はX, Y, Z軸の3方向の成分を持っている(いわゆるベクトルと呼ばれる)。
しかも測定しようとしている場所では、電磁界の発生源から、どのような方向で電磁界が到来しているのか一般的には不明である。
図1にあるようにVという電磁界はX軸方向の成分VxY軸方向の成分Vy, Z軸方向の成分Vzを持っている。
言い換えると、正しく電磁界Vの大きさを求めようとすると、X軸、Y軸、Z軸の3方向の電磁界の強さを測定する必要がある

  

 

Vの強度は、以下の式で求められる。 V=√(Vx2+Vy2+Vz2)  ・・・・ (1)


もし1軸の測定器であれば、図2にある様に3方向に測定センサの向きを変えて、3回測定を行い、それらの値を(1)式に代入して、電磁界の強度を計算しなければならない。

     

   図2 1軸の場合は、3回も測定器の向きを変えて測定する。

これは大変な作業である。
特殊は電磁界の強度測定・評価で、どの方向から来るかなどX,Y,Z軸の値を知る必要のある場合は、1軸センサであるべきというのは当然である。
しかし、一般的に、ある場所の電磁界強度の測定では、その場所の電磁界強度を求めることが多い。
3軸検出器は、それぞれの軸の検出が出来るようにお互いに直交する3つの検出器を備えたものであり、多くは式(1)の計算を測定器内部で行ってくれるようになっている。

典型的な電磁界の例で、X, Y, Z軸方向に分解した時のそれぞれの値の計算例を示します。

表1は、EZNECというアンテナ電磁界解析ソフトで計算した例、
理想的な大地(これを解析ソフトではPerfect Groundと呼ぶ)の上で、地上高さ1.5mの地点に長さ8cmのモノポールアンテナを設置、携帯電話の周波数である900\MHzで、送信電力0.8Wとして、
1.5m
の高さでアンテナから距離をとって、それぞれの地点での電界強度を、X, Y, Z軸とそれらの合成値を計算したもの。

表1

X (m)

Vx

Vy

Vz

3軸合成値

0.1

20.7932

0.0000

46.1631

47.7835

0.2

4.7339

0.0000

27.6804

27.9770

0.3

1.9272

0.0000

19.3129

19.3998

0.4

0.9435

0.0000

14.6749

14.6998

0.5

0.9058

0.0000

11.7468

11.7730

0.6

0.8260

0.0000

9.8420

9.8766

0.7

0.4459

0.0000

8.5735

8.5788

0.8

0.1672

0.0000

7.5638

7.5656

0.9

0.5189

0.0000

6.6011

6.6021

1

0.6957

0.0000

5.7922

5.8282

   電界の値:単位: V/m

 

この表2から、電界の大きさもそうであるが、距離によってXYZ軸方向のそれぞれの大きさの割合が変化することが判り、またZ軸の電界が常に大きく、Z軸の値でほぼその地点の電界強度が定まるということがわかる。
従って、1軸の検出器でも、Z軸方向が最大であることを見出すことが出来れば、1軸検出器でも、有効なデータを得ることが出来る。

問題は、測定器のセンサ部の向きを360度あらゆる向きに変えながら、本当に最大値を見つけることが出来るかという点である。
間違って軸性を考慮しないで、Y軸方向の電界を測定し、そこには電界はゼロであるとしてしまえば、大変な誤りである。


電磁界の測定に十二分になれた人は、1軸センサでも十分に最大値を見出すことが出来るであろう。
しかし、そうではない場合は、1軸に比べてやや価格が高くなる傾向にあるが、3軸検出器を持つ電磁界測定器を利用した方が、大きな誤りは少なくなるといえる。

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. 高調波も考慮した測定が肝要

電磁波は、必ずしも単一の周波数ではない場合がある。 
多くの場合は高調波まで考慮した測定を行う必要がある。 
特に人体曝露基準値が周波数によって異なり、高い方の周波数では基準値が低い場合には、特に注意が必要となる。

ここでは、電磁調理器からの電磁波測定を例にして、高調波測定の必要性を説明する。

平成3年5月電気協会発行 「電気用品の漏洩電波の安全性に関する調査研究報告書」には電磁調理器の漏洩電磁界の実測データが、周波数ごとに測定されている。
この中から、実測データの例を見れば、基本周波数が22kHに対して 3倍の高調波まで観測され、4倍の高調波は測定不可能な低いレベルであったと 記録されています。

周波数

22 kHz

44 kHz

66 kHz

88 kHz

合成されたRMS

実測値 μT

2.349

0.432

0.190

0

2.396

 

電波防護指針                   

周波数

22 kHz

44 kHz

66 kHz

磁界総和判定

規定値

91.4

62.2

41.4

 

割合

0.026

0.007

0.005

0.037

 

ICNIRP 指針                   

周波数

22 kHz

44 kHz

66 kHz

磁界総和判定

規定値

6.25

6.25

6.25

 

割合

0.376

0.069

0.030

0.475

 

これらから、次のことが判ります。
1. IH電磁調理器からは、基本周波数以外に3倍の高調波まで漏洩している。
従って、正確に測定しようとすれば、最低でも3倍の高調波まで測定できる測定器を用いる必要がある。
実効値を見れば、基本周波数成分だけでも、十分な精度を持って測定できることは出来る。
全成分合計で2.396 μTであるものが、基本周波数の測定だけでも2.349 μTとなり、2 %の誤差にとどまる。

2. 20 100 kHz付近の磁界曝露に対しては、総務省防護指針では周波数によって曝露基準値が変わる。
複数の周波数に同時に曝露する場合は、各周波数の基準値に対して放射電磁界が何%かを計算し、それらの総和が1を超えてはならないことになっている。
この方式で周波数毎に割合を出すと、
ICNIRP
の場合は、基本周波数だけで考えると38%であるが、2倍の高調波は7%3倍の高調波は3%を占め、これら高調波によって10 %も、増加している。

こうしたことから、高調波成分をきちんと測定して評価を行わないと正しい曝露評価を行うことが出来ない ということになる。
曝露限度値に対して、漏洩する磁界などが十分に小さければ、高調波の影響は無視できる。
曝露限度値に近い比較的大きい磁界の場合は、基本周波数だけでかろうじて基準値に合致していても、高調波を考慮すれば、規定に合致しなくなる 恐れもある。

基本波と高調波
この例にあるように、IH電磁調理器は22kHzという動作周波数で磁界を発生させ、その磁界が鉄などの鍋に誘導させて、鍋を加熱させている。 
発生させている磁界には、22kHzより高く、22kHzの整数倍の周波数の磁界も同時に存在していることがわかる。
この基本動作周波数である22kHz成分を「基本波」とよび、22kHz「基本周波数」という。
2
倍の44kHz、 3倍の66kHz4倍の88kHzをそれぞれ2倍、3倍、4倍の「高調波」と呼ぶ。 

 

 

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6.発信源の知識も肝要

電磁波の測定結果を、適当な電磁波曝露指針値と照らし合わせて、適合しているか否かの判定を行う場合、「4. 高調波も考慮した測定が肝要」でも説明を行ったが、曝露する周波数が複数ある場合は、それぞれの周波数ごとに指針値への適合の割合を算出し、その比の総和を求めることになる。 

例えば10マイクロテスラが指針値であるとすれば、周波数Aの磁界が6マイクロテスラであれば、指針値に対する割合は0.6となる、同時に異なる周波数Bの磁界が5マイクロテスラであれば、指針値に対する割合は0.5となる。 割合の総和は1.1となり、この場合は指針値に適合していないことになる。 

それでは、以下の場合はどうなるか?

 
  

引用: 日本子孫基金「食品と暮らしの安全」 156号から 転載

上図は、IH電磁調理器から漏洩する磁界を周波数分析が可能な測定器で測定した例で、20kHz付近に大きな磁界があることを示している。
黄色のグラフはテスコム社の電磁調理器からのデータで、見ると大きなピーク(山)が二つある。
こうなれば、それぞれのピーク(山)ごとに指針値との割合を出して、その総和を得る必要がある。  

筆者は、なぜこれらのIH電磁調理器の漏洩磁界に二つの周波数のピークがあるのか、ふと疑問を感じた。 
関係者に当たってみたところ、電磁調理器から発信する磁界の周波数は、常に一定ではなく、ある目的から、周波数は時々刻々変動させているということで、測定結果に二つのピーク)山)があっても、それらは、測定結果では、同時に存在するかのように表示されるが、実際の経過時間でみれば、同時には存在しないと。 
 筆者も、これには驚きました。 

そうなると、
測定した結果を、そのまま鵜呑みには出来ず、ある程度その機器に関する知識がないと、正しい判断は出来ない、ということになりました。 


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被測定物との距離  

電磁界の測定に際して、注意しなければならないことがある。 特に電磁波の発生源や電磁波を発生している電子機器などからの電磁界を測定する場合の注意事項を述べる。 

*電界の測定
電界の測定では、測定器を持つ人の人体の影響がある。 従って、電界測定器の電界センサー(プローブ)の部分は人体から遠ざけて測定を行なう必要がある。 測定する場所の近傍に金属があっても、その金属によって電界の分布は乱されるので、測定しても正しい評価にはならない。

*機器や発生源との距離が近接している場合 
測定器のセンサと、漏洩している電磁波を測定しようとしている電子機器とは、最低限度維持しなければならない距離がある。
社団法人 電波産業会が1999年に発行した「電波防護標準規格への適合性の確認法 ARIB TR−T11」によれば、「測定器からの遠隔距離は、周囲のあらゆる物体から20cm以上離れていること(放射源の周波数が300MHz以上の場合は10cm以上)
ただし、使用するアンテナと放射源との電磁結合の影響が想定される場合には、別途検討が必要である。」と規定されている。 

電子機器からの電磁界漏洩を測定しようとすれば、機器に近接して測定することになる。 
機器に近づけばそれだけ大きい電磁界の値となる。 
それでは近接して測定した時は、正しい測定になっているか、 考える必要がある。 

機器からの電磁界放射は、距離によって急激に変化する。 
測定器のセンサは標準的には10cm程度の大きさであるので、10cmの間で電磁界が変化しているとすれば、正確な測定は不可能となる。 
これに対しては小さいセンサを使用すればある程度は測定が出来る。 

電磁界の発信源(放射源)はアンテナであるし、測定器のセンサもアンテナであるので、お互いに直接結合(干渉)することになる。 
こうした相互干渉が起これば、何を測定しているのかわからなくなる。 

ということで、機器に近接して測定する時には、十分な注意が必要である。 電磁界の測定器は均一な電磁界で校正されているので、機器の近傍の近傍界の測定には、注意が必要となる。 

電磁波測定器のカタログなどに、必ずしも、どこまで発信源に近接しても測定できるか、という注意書きが書いてあるとはいえない。
ドイツ製電磁波測定器 ファウザーフィールドメータ FM―6型(電界と磁界を測定可能)の取り扱い説明書を読んでいたら「測定精度を保証するために、電場(電界)発生源及びその空間の他の物体までの最低距離として50cmを維持する必要があります。 正確な測定値は、大抵の場合、25cmの距離ですでに得られます。」という注意書きがありました。 磁界の測定に関してはこうした距離の記述は見つかりませんでした。 

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8.近傍界と遠方界の測定     

1.一般論としての説明

Near-field and far-field: 
Electromagnetic fields can be split into two components: the electric field E [measured in V/m] and the magnetic field H [measured in A/m]. The E-field and H-field are strongly interdependent for the far-field, i.e. anywhere more than a certain distance from the source (see diagram). If, say, the H-field is measured in this region, the magnitude of the E-field and the power density S [W/m] can be calculated from it.

In contrast, the H-field and E-field must be measured separately in the near-field region.

Near-field and far-field definition, Measurements at a distance d of 1 x wavelength l (better: 3 x l) from the source are made under far-field conditions.」 

東洋メディック社が販売している電磁界測定器EMR-20の英文カタログには、上記にある英文で「遠方界(Far Field)と遠方界の説明が記載されている。

遠方界では、電界と磁界は密接な関係にあり、電界、磁界、電力密度のいずれかを測定を行なえば、単純数値計算でその他を求めることができる。電界EV/m)と磁界HA/m)の関係はE/H=120πで一定となり、共に距離に逆比例して強度は小さくなる。(筆者追記)

近傍界(Near Field)にあっては、磁界と電界は独立した関係にあり、それぞれを測定する必要がある。 
電磁界の発生源から、1波長(望ましいのは3波長)以上離れた場所では遠方界とみなせる。」とある。 

したがって、測定する条件によっては、電界測定器と磁界測定器の両方が必要になる。 

「電磁界の発生源から1波長(望ましいのは3波長)以上離れていれば遠方界とみなす」はあくまでも一般的な目安です。 
厳密には送信アンテナの種類や大きさによって遠方界と近傍界の境目の距離は異なります。 

1
波長以上離れた場合は遠方界とみなすとした時の距離 
 電磁波(電波)は光速で進むので 波長=光速/周波数 で得られる。 計算結果を以下に示す。 

周波数(MHz)

波長 m

 

10000

0.030

 

2450

0.122

電子レンジ、無線LANなど

1000

0.300

 

800

0.375

携帯電話など

500

0.600

 

300

1.0

テレビ放送など

100

3.0

 

50

6.0

 

30

10.0

 

10

30.0

 

3

100.0

 

1

300.0

 

周波数(kHz)

波長 k

 

500

0.6

 

100

3.0

 

20

15.0

IH調理器など

10

30.0

 

1

300.0

 

周波数(Hz)

波長 k

 

500

600

 

300

1000

 

100

3000

 

60

5000

送電線など

50

6000

送電線など

 

*高圧送電線などからの電磁界の測定には、電界と磁界の両方の測定が必要となる。
IH電磁調理器も、15km以内の距離であれば電界と磁界の測定が必要。
*テレビ放送の場合は、送信アンテナからの電波測定では、1m以内の近距離での測定を除けば、一般的には電界だけの測定で済む。 

*携帯電話の800MHzの電波では、基地局のアンテナからの電波の強さの測定では、送信アンテナに40cm以内に近づくことはほとんどないので、通常は電界だけの測定で済む。 
*携帯電話は携帯電話でも、ハンドセットからの電波によって人体がどうかという時には、アンテナから40cm以内の近距離での測定が必要になるので、電磁界の強度の評価としては、電界と磁界の測定が必要となる。
但し、この周波数では、人体への影響は現在では熱効果のみ考慮することになっているので、電界の測定からSARの計算を行なうことで済んでいる。
将来は磁界の測定・評価も行なわれるかも知れない。 

*電子レンジの漏洩電波の場合は、12cm以上離れれば遠方界とみなすので、通常は電界の測定だけで済む。 
*無線LANの場合も、アンテナに近接して12cm以内の電波の測定を行なうという時以外は、電界の測定だけで済む。 

こうした判定は、上記「1波長以上離れた場合は遠方界とみなす」という理屈によって行なわれる。 

2.実例に基づく判定 
典型的なアンテナの例で、数値解析(EZNECという解析ソフト)で計算してみました。 

1
) 周波数2450MHz(波長12cm)の標準的なアンテナ;水平半波長ダイポールアンテナの場合 
以下の図にあるように、磁界は完全に距離に比例して磁界強度は小さくなっている。
一方電界は、近距離で電界強度が比較的低く、頭打ちの傾向にある。 

グラフを見ると1波長の距離である12cm以上のところで遠方界とみなせることがわかる。
この地点でのE/H=365オームであり、まだ120π=377オームにはなっていない。 
3
波長離れた地点 36cmではE/H=375.4オームと120πに近い値になっている。 

 

 

2) 波長に対して短くしたアンテナの場合: 
周波数1.9MHz(波長158m)のアマチュア無線用周波数で、場所の関係で短いアンテナしか立てられない状態を模したもの。
全長1mのダイポールアンテナ。 

下図に示すように、距離30m以上(波長の5分の1程度)では磁界も電界も共にほぼ距離に逆比例している。
この地点でのE/H=257オームであり、遠方界に近くなっている。
このグラフでは350m2.2倍の波長の距離〕まで計算しているが、この地点でのE/H375オームであり、120πに近い状況になっている。 
距離30m以内では、磁界は距離の2乗に、電界は距離の3乗に逆比例している。これらの領域は典型的な近傍界である。

  

 

3)80cm80cm程度の四角のループアンテナの場合 周波数400KHz(波長750km) 
下図に示すが、計算ソフトの計算限界に近いので、結果が一部乱れている。 
電界に関しては、1kmの距離より遠くになった時に距離に逆比例するようになる。
しかしこれらの地点でもE/H100オーム以下で、遠方界にはなっていない。
50cm
より近いと電界も磁界強度もともに頭打ちになっている。1mから1kmの間では距離の2乗に逆比例している。
  
いずれもE/Hの関係は120πにはほど遠く、磁界と電界を共に測定しなければならない領域であることがわかる。 

  

 

4) 周波数16.9MHz(波長17.7m)2m2m四角ループアンテナの場合

下図に示すように、電界と磁界が共に距離に逆比例するようになるのは17m程度以上の離れた距離である。
この地点でのE/H353オームで120πに近い。 この17m1波長に相当する。 
1
波長より電磁界の発生源に近い場所では、電界と磁界の関係が一定ではく、近傍電磁界として測定・評価を行なわなければならない。

 

以上のように、おおむね電磁界の発生源から1波長以上離れた距離では遠方界とみなすことができて、電界、磁界、電力密度の相互換算ができるが、近傍界ではそうした作業は不可能であることがわかる。

 

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9.携帯電話基地局からの電波の強さの測定法

   作成:2007−9−29

以下の研究があります。 基地局アンテナからの電波の強さの測定法は単純ではないようです。

掲載誌:信学技報 EMCJ2004-138{200501
タイトル:移動通信基地局環境における電界強度測定
研究者:大下浩二郎、東山潤司、小山博昭、垂澤芳明

概要:
移動通信基地局周辺における電波環境を評価するための電界強度測定装置の試作を行う。
基地局環境では、エリア内のトラフィック量に応じて送信電力が変動するため、周辺の電界強度もまた変動する。

本試作装置は、基地局のパラメータを調べた後、PDC方式、IMT方式それぞれにおいて、トラフィック量に依存しないチャネル成分について電界強度を測定する。
得られたチャネル成分に関する電界強度から、基地局の最大送信電力の場合に換算し、測定点での電界強摩の最大値を推定する事ができる。
この装置を用いて、運用中のマルチバンド基地局(PDC方式800MHz帯、1.5GHz帯、IMT-2000方式2GHz)周辺の電波環境を測定する。

また、基地局周辺における電力密度は、基地局に設定された最大トラフィックの条件下においても、電波防護指針の参照値を下回ることを確認する。

関心のある方は、上記の論文を入手して、読んでください。

 

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10.電磁界測定器に関連する用語の解説

他のページの内容と多少は重複する箇所もあります。  作成: 2002-6-12

電界:電界とは、厳密な電界の定義とは異なるが、例として、静電気等のある場所で塵芥などが引き付けられるような力が働く場所、そういう目には見えないが、電気の力が働いている場ということが出来る。電界は独立して測定が可能で、固有の単位を持っている。V/mが用いられる。
1,000 V/m = 1 kV/m (キロボルト、小文字のk) 
0.001 V/m = 1 mV/m
 (ミリボルト、小文字のm 0.001 mV/m = 1 μV/m (マイクロボルト、ギリシャ文字のμ)

電場:電界と同義語。工学系では電界という言葉を、物理系では電場という用語が好まれて使用される。

磁界:磁界とは、厳密な磁界の定義とは異なるが、例として、磁石がある場所で釘等が引き付けられるような力が働く場所、そうした目には見えないが、磁気(磁石)の力が働いている場ということができる。 磁界は独立して測定が可能で、固有の単位を持っている。
磁界の強さはA/mである。 1,000 A/m = 1 kA/m (キロアンペア、小文字のk
0.001 A/m = 1 mA/m
 (ミリアンペア、小文字のm
磁束密度で表すことも出来る。単位はT(テスラ、大文字のT)。0.001 T = 1 mT(ミリテスラ、小文字のm 0.001 mT = 1 μT(マイクロテスラ、ギリシャ文字のμ) 0.001μT = 1 nT (ナノテスラ、小文字のn
磁束密度(テスラ)= 4 π x 10-7 x 磁界の強さ(A/m)で換算が可能である。1 A/m = 1.2 μTとなる。 

ガウス(G 大文字のG)という単位は非常に古くから使用されている単位で、現在は正式には使用できない。 1テスラ=10,000ガウス 0.001G = 1 mG(ミリガウス、小文字のm0.001 mG = 1μG (マイクロガウス、ギリシャ文字のμ)

磁場: 磁界と同義語。工学系では磁界という言葉を、物理系では磁場という用語が好まれて使用される。

電磁波: 電磁波とは電界と磁界が相互に密接な関係になっており、電界が磁界を誘導する、その磁界がまた新たな電界を誘導する、これを繰り返す形で伝播していく波もしくはそうした力が働いている場のこと。電磁波としては測定が不可能で、電界もしくは磁界としてどちらか一方を、または電界と磁界をともに測定を行う。電磁波には、X線などの放射線、紫外線、可視光線(目に見える光)、赤外線、マイクロ波などの電波、低周波電磁界などが含まれる。

電磁界: 電磁波とほぼ同義。
電磁場: 電磁界と同義語。工学系では電磁界という言葉を、物理系では電磁場という用語が好まれて 使用される。

電波: 主に電気通信手段として使用されるマイクロ波などのパートを指す。日本では電波法で10kHz以上、300GHz以下の周波数帯域をさす。

直流: 乾電池から供給される電気のように、流れる方向が常に一定である電気の流れ。

脈流: 電気 の流れが常に一定の方向であるが、時間的に変化している場合。

交流: 電気の流れる方向が時間的に変化をしている場合。 ある瞬間はAからBに向かって電気が流れ、次の瞬間はBからAに向かって電気が流れること。

時間変動: 時間変動磁界というように使用される。交流と脈流を含んだ言葉で、時間的に電界や磁界の大きさが変化する場合は、「時間変動」という。

周波数: 電気などの流れる方向が変化する割合。1秒間に1回方向が変われば1サイクル、現在の単位はヘルツ(Hz)で表す。古くはサイクルが単位として使用され、50サイクルといった。現在の単位系では50サイクルは50 Hzとなる。
周波数は数が大きくなると3桁毎に呼び方を変えている。1,000 Hz = 1 kHz 1,000 kHz = 1 MHz 1,000 MHz = 1 GHzである。kは小文字でキロと読む、Mは大文字でメガと、Gも大文字でギガと読む。電子レンジに使用している周波数は2.45 GHz = 2,450 MHz = 2,450, 000 kHz = 2,450, 000, 000 Hzである。   

波長: 電磁波は光速と同じ速度で伝播する。交流の場合の1サイクルの周期の間に伝播する距離の長さで表すと電磁波という「波」の長さがわかる。これを波長という。

静電気: 摩擦などで発生する電気。電気の方向が一定である。直流電気ともいう。

静磁界: 馬蹄形磁石から発生する磁界の強さは時間変動がなく、常に一定である。変化がない静的なということで静磁界(静磁場)という。直流磁場(直流磁界)とも言う。

高周波: 交流の中で、比較的周波数の高い部分

低周波: 交流の中で、比較的周波数の低い部分。

高周波と低周波の明確な定義はない。60Hzを主に考えている電力技術者にとっては1kHz以上が高周波である。
携帯電話の電波を扱っている通信技術者にとっては1MHz以下が低周波である。

低周波電磁界(低周波電磁場):
送電線からの磁界などの場合は周波数が50Hz程度と低くなる。
周波数が50Hzでは、波長は6,000kmという長い波になる。
これだけ長い波ではひとつの波が6,000km先に到達した時には、エネルギーが少なくなってしまい、電磁波はほとんど消滅してしまう。
これでは、相互に密接に連携した電磁「波」というよりは、電磁界という言葉が好ましくなる。 

電力密度: 電磁界の強度を考える時、電界は電圧(交流100Vなど)、磁界は電流(交流10Aなど)と対比して考えることが出来る。
電圧と電流をかけたものが電力(500Wの消費電力など)である。

空間にある電磁波もその空間に存在する電磁波の電力の大きさで表現することが出来る。
電磁波の発生源からある一定以上の距離がある場所では、電力密度=電界の二乗/377 磁界の二乗x377である。
電界/磁界=377の一定の関係にある。 この377空間インピーダンスと呼ばれる。 
電力密度の単位としては、W/m2 mW/cm2が用いられる。
1 W/m2 = 1,000 mW/m2 = 1,000 mW
10,000 cm2 = 0.1 mW/cm2で相互に換算が可能。 例:10 W/m2 = 1 mW/cm2となる  

検出器、プローブ、センサ: 電磁界の測定器は電磁界を検出する部分、検出器からの信号を増幅したり信号処理を行なったりする部分、結果をメータや画面に表示する表示部からなる。
電磁界の検出器が大きなウエイトを占めている。
検出器のことをセンサ(sensor 感じる)、プローブ(prove 探り針)ともいる。

ホールセンサ: 磁気センサの一つ、ホール素子という磁気を感じる素子を用いたもので、静磁界も測定できる。

アンテナ: 無線では良く使われる、電波の発信器でもあり、同時に受信器(検出器)でもある。
同じものが送信器としても、また検出器としても使用できる。
色々なアンテナのタイプがある。代表的なものは標準として用いられるダイポールアンテナ(電磁波の半分の波長の長さの金属棒2本からなる)、
テレビジョン受信機用の八木アンテナ、パラボラアンテナ、丸いループ形状をしたループアンテナなどである。
電磁波の測定用には、ダイポールアンテナやループアンテナが用いられる。

アンテナエレメント:アンテナを構成する金属棒などをアンテナ素子(エレメント)という。

等方性: アンテナから発信される電波が、360度全方向に向かって均等に発信されることを等方性という。
受信(検出)の場合は、360度どの方向からの電波も均等に受信(検出)できることを等方性という。
現実にある全てのアンテナは、どのアンテナも全方向に均等に発信は出来ず、ある程度の方向性を持っている(これを指向性という)。
従って、一つの受信アンテナでの測定ではアンテナの向く方向に大きく依存する。
電磁界は、XYZ軸方向(3軸)にそれぞれの強度を持っている、電磁界は3軸の方向成分から合成された「向きを持つ強度」である。

単軸センサ: センサとして一つのアンテナだけで測定を行っている場合、ある地点の電磁界強度を正確に把握するためには、短軸センサの測定器の場合は、センサ部の軸方向を3回変えて測定する必要がある。
構成が簡便なので廉価となるが、測定には熟練が必要となる。

3
軸センサ: 一つのセンサの中に、XY Z軸の電磁界を同時に独立して測定が可能なように、3つのアンテナを具備したセンサ。
この方式であれば、センサを測定する場所に置くだけで、その場の電磁界強度を容易に測定が可能となる。

感度: どの程度の微弱な電磁界を測定できるか、その限度を示す数値。感度がよければより小さい電磁界を測定できる。 
1 V
まで測定できるか、0.01 Vまで測定できるかといった数値が感度。

ダイナミックレンジ: 如何に感度が良くて、微弱な電磁界が測定できたとしても、ちょっと大きい電磁界は測定できないというのでは使用しにくい。
正確に測定できる測定可能な強度の範囲を示す数値。
この数値をダイナミックレンジという、広ければ小さい電磁界から大きい電磁界まで、大きい電磁界と小さい電磁界が同時に存在する時に、それらが正確に測定できる。

直線性: 測定器は、測定範囲において、常に、完全に正確に測定できるとは限らない。
測定する強度によって、微妙に正確さが異なってくる場合がある。
この測定量によって正確さがどの程度に抑えられているかを示す指標が直線性。 

  図1 直線性の説明 極端な例
上図にあるように、測定可能な最大値10と校正を取っている5の位置では測定値(指示値)と真の値は一致しているが、高い読みの場合は真の値より高い方にずれていて、低い読みの場合は真の値より低く出るといった場合は、直線性が悪いと言う。

精度: 測定して得られた数字に対してどこまで正確であるかを示す指標。
100 V
まで測定できる測定器で50 Vが測定された時、測定器の精度が2 %であれば、真の値は50 +/- 1 Vとなる。
誤差の大きさ(精度)は+/- 1 Vとなる。
測定値が25 Vであれば真の値は25 +/- 0.5 Vで、誤差の大きさは測定値に対して常に一定の割合である。

確度: 精度と似ている指標であるが、確度といった場合は、その測定時の最大測定値(フルスケール)の値に対して定められた正確さを示す指標。
フルスケール100 Vに対して確度2 %であれば、測定指示値の如何を問わず、常に+/-2Vの誤差があるという意味。
測定指示値が50 Vであれば、真の値は50 +/-2 Vとなる。測定値が25Vの場合は真の値は25 +/-2 Vであり、フルスケールに対して測定値が小さくなれば、相対的に測定の精度が低下する。 

注)日本語ではこのように精度と確度は異なる意味づけをしている。英語の場倍は? 不詳。

平均値: 時間で変動する電圧などをその平均を取って表した値。場合によっては時間平均値とか、算術的平均値という言葉を用いる。

図1にある様に、時間1では1、時間24、時間3では1に変化する場合、この期間の平均値は2である。
しかし、実効値の場合は、時間1における値1の二乗で1、時間2における値4の二乗で16、時間3における値1の二乗で1、総和は18、期間3で割って平均を取ると66の平方根は2.45となる。

実効値: 電気工学の世界で広く使用されている言葉。基本的には、特記なき限り、すべての測定値はこの実効値で示す。
Root Mean Square Value
RMS)ともいう。
時間で変動する瞬間値を二乗し、総和を求め、その期間の平均値を求めてから、再度平方根を開くというやり方で求められる。
この実効値を用いると直流でも交流でも同じ電力消費値(熱の発生)となる。 
平均値の場合は、直流1Aの場合と交流1Aの場合では、熱の発生量が異なってしまう。
実効値を用いれば、同じ発生熱量となる。

表示分解: 測定器で得られる指示値がどこまで細かく表示されているかを示す指標。
4
桁であれば1356 Vという形で細かく測定が可能、もしこれが3桁であれば4桁目は四捨五入されてしまい表示値は1360 Vとなり、1 Vの桁が読めなくなる。表示分解能と精度・確度は独立した関係にある。
表示分解能が細かくても、精度が良いとは限らない。

空間分解能: 空間に存在する電磁界は、無限に一様ではない。
空間的に大きさが変化している。特に機器からの近傍では、距離によって大きく電磁界強度が変化する。
こうした空間的に変化している電磁界に対して、センサがどこまで細かく測定できるかを示す指標。

ガウスメータ: 磁界測定器のこと。
ガウスという用語は磁界の単位としては使用できなくなっているが、長い過去の習慣の延長線上で、ガウスメータという言葉もまだ生きている。

校正: 測定器は時間の経過などによって、その正確さが狂ってくる。
従って定期的に標準となる測定器と比較して、指示値が正しくなるようにチェックを行なう必要がある。
この業務を校正(較正という言葉が本来の用語)という。 

トレーサビリティ: 校正を行なうに当たり、自家の標準器で校正するだけではなく、国家的な標準器などとも校正が取れるように管理されていること。
国家標準器と自社の標準器を校正し、自社の標準器と個々の測定器とを校正を行なうというシステムが構築されていれば、その会社の校正システムは「国家標準にトレーサビリティが取れている」といえる。

基本波と高調波: 色々な波形の電波(電圧でも、電流でも良い)は、その波形を分析すると多数の周波数成分によって構成されていることがわかる。
この解析は数学のフーリエ級数で考えることが出来る。

 

    

図3−1 パルス的な波形     図3−2 基本的な正弦波形


フーリエ級数で展開をすれば、図3-1のようなパルス的な波形は、図3-2に示す基本的な正弦波の波形の組み合わせであることがわかる。
逆に色々な周波数を組み合わせると任意の波形を作成することができる。音楽のシンセサイザーと全く同じ原理である。
パルス波形を分解すると、最も低い基本となる周波数(これを基本波という、基本波周波数)と、基本波周波数の整数倍の周波数成分(これを高調波という、基本波の3倍の高調波を3次高調波、5倍を5次高調波と呼ぶ)からなることがわかる。

図4は基本波に対して、3次、5次、7次までの高調波の大きさをそれぞれ基本波の大きさより少し小さくして、重ね合わせていった場合の図である。
赤線で示したパルス(急峻な特性)に対して、基本波だけではなだらかな山で、パルス波形とはほど遠い。3次高調波を追加、さらに5次高調波まで追加、さらに7次高調波まで追加するにしたがって、徐々に頂上が平らになって、パルス特性に近くなってくる。
パルス波形は無限の周波数成分を含むことになる。

 

  図4. フーリエ級数で計算した場合のパルス波形の復元 


周波数スペクトトル: 音楽では周波数が一定な単音だけではなく、色々な周波数の音が同時に、低い音から高い音まで、含まれている。
音楽と同じで、電波(電磁波)も、図3-2にある一つの周波数だけからなるとは限らない。
複数の周波数の電磁界が同時に存在し、電磁界の波形が図3-1のようなパルス的な波形であれば、同時に多数の周波数の電磁界が存在することになる。
こうした同時に複数の周波数成分の測定を行なうことを周波数解析といい、それで得られた個々の周波数成分を周波数スペクトラムという。 
周波数解析を行う手法の一つがFFTFast Fourier Transformationである。

 

   図5 周波数解析の例 

 

図4にある基本波、357次高調波の大きさの割合を示す。基本周波数(10kHz)の大きさ1とした時に、3次高調波(30 kHz)の成分は0.6であり、5次高調波(50 kHz)の成分は0.57次高調波(770 kHz)の成分は0.4であることを示す。
こうした周波数スペクトラムがわかれば、図3にあるように波形を復元することが出来る。

バンドパス バンドストップ ブロードバンド: 電磁界を測定する時に、その場所に一つの周波数だけからなる電磁界であれば、その周波数を測定できる測定器で測定が可能である。
複数の周波数が同時に存在する時は、どうするか? 例えば10Hzから100 kHzまで測定できる測定器を使用して、電磁調理器からの磁界を測定する時、50 Hzの電源部から漏洩する磁界と、20 kHzの磁界、さらにそこには他の機器からの90 kHzの磁界ノイズが存在するとすれば、どのようにして測定を行なうか? 
すべてを包括して測定を行なう場合は、広帯域測定(ブロードバンド)となる。

50 Hz
磁界のみを選択的に測定しようとすれば、200 Hz以上の高い周波数成分を除去すればよい。
この高い成分を除去し、低い周波数成分だけを取り出すことを低域通過(Low Pass ローパス)という、90 kHzのノイズ分だけを測定するためには、50 kHz 以下の低い周波数を除去すればよい、この高い周波数だけを取り出すことを高域通過(High Pass ハイパス)という。
20 kHz
の磁界だけを測定するには、5 kHz以下の低い周波数成分を除去し、50 kHz 以上の高い成分も除去する、こうして中間の20 kHz成分だけを選択的に測定することを、帯域通過(band Pass バンドパス)という。
50Hz
90 kHzの磁界だけをあわせて測定する場合は20 kHz成分を除去する、これがバンドストップである。

イミュニティ: 電磁波の測定では一般に機器からの輻射量を測定し、出来るだけ機器からの輻射を少なくする。
一方色々な電子機器が外部の電磁界ノイズによって誤動作することがある。
よって外部からのノイズに耐えられるようにも設計を行なう。
この外来ノイズに対する耐性のことをイミュニティという。適切な日本語の訳語はない。

TEM
セル: 均一な電界分布となる空間を作る必要がある場合がある。
こうした目的で、特に高い周波数の電界を得るための特殊は試験装置の一つがTEMセルである。

電波防護指針: 総務省(旧郵政省)が作成したり、ICNIRP等が作成したりした人体が電磁界(電波)の曝露に対する基準値を提案している規定(ガイドライン)。

無線局: 基本的には意図的に電波を出して無線通信を行なう場所が無線局である。
携帯電話の様に移動しながら無線通信を行なう場合は移動無線局という。
無線局は意図的な無線通信を業務とする場所には限定されない。
電磁調理器でも、5 kW10 kWという大型になれば、他の通信に影響を与える恐れがあるので、設置許可が必要になる。
こうなれば、「無線局として免許を取得した業務用電磁調理器」となる。電磁調理器も小型のものは設置免許が不要なので「無線局としての免許の不要な無線局としての電磁調理器」となる。

MRI:  医療診断装置の一つ、非常に強い静磁界を利用する(1テスラ程度から数テスラの磁界)。

ハイパーサーミア:  医療治療装置の一種。電磁界を人体にあてて、人体内部で発生する熱による体内温度上昇を利用して治療を行なう装置。

電気設備基準: 日本では、送電線からの電磁界によるヒトの健康影響を防ぐために、1969年頃に電力会社、電気学会、日本医師会の共同研究が行なわれ、電界強度を3 kV/mに制限することが提案された。
この当時はまだ低周波磁界に関する健康影響の不安はなく、電界に関する影響度の研究で終わっている。
この値は現在法的に採用され、電気設備基準の一部になっている。