*高周波電磁界に関するコーナー (3)
心臓ペースメーカや電子機器への影響に関する情報のコーナーです。
A:携帯電話などと心臓ペースメーカなどの干渉の問題の経緯(概要)
いつ頃から携帯電話が心臓ペースメーカに影響することがわかり、どのような勧告が出されたか?
電車の中で、携帯電話を使用しないようにというアナウンスがされるようになったきっかけは?
B:アメリカにおける携帯電話によるペースメーカへの影響に関する初期の研究など
C:携帯電話などと心臓ペースメーカなどの影響に関する一般的な情報
C1.朝日新聞の投書欄に掲載された心臓ペースメーカ着用者の生の声 2009年2月
C2.あるブログにあった過敏な例
C3.盗難防止装置EASと心臓ペースメーカに関する医薬品等安全性情報55号
C4.車内での携帯電話の影響を怖がりすぎている事例
C5.携帯電話電源オフ車両
C6.車内の携帯電話使用、誤った知識を振り回すオッサンの例
C7.心臓ペースメーカ着用者のためのペースメーカ手帳に書かれている注意事項の例
C8.AERA2013年の記事「優先席で携帯電話オフ」は本当に妥当? 医師の指摘は
C9.ヘッドホンの磁気がペースメーカに影響
D:携帯電話のペースメーカへの影響の研究論文など
D1.アメリカのHyesの研究 1997年
D2.ペースメーカの誤動作防止電磁波シールドの研究
D3.医療機器と電磁波の影響:氏原1997年
D4.ペースメーカの電磁波影響度試験法
D5.ペースメー力植込み患者に及ぼす携帯電話の影響 須賀研究から
D6.2000年の電車内の携帯電話使用に関する意識調査から
D7.院内携帯電話などの解禁に関する日本ME学会 医療電磁環境研究会での発表から
D8.ペースメーカと携帯電話の距離の改訂に関する研究 2010年−2012年
D9.Lieshoutらの携帯電話と救命救急用医療機器の研究2007年
E:携帯電話のハンドセットからの電波が他の電子機器に与える影響
E1.航空機での使用禁止
E2.電波のヒトへの影響と電子機器への影響
E3.NTTドコモの環境レポート2001から
F:ガソリンスタンドでの携帯電話使用禁止
F1.都市伝説に過ぎないという2003年3月の報道
G:高周波電波が電気機器に影響した例
G1.強い電波がストーブに影響、火事になった
G2.携帯電話基地局の周辺の電波で、CDラジカセが誤動作
電車内での携帯電話使用禁止に関するアナウンスのいきさつも含む
作成: 2003−4−19
1) アメリカのFDAの動き
アメリカのFDA(食品医薬品局)は1993年、1995年に携帯電話などの医用電気機器への電磁干渉を報告している。
2) カナダの動き
カナダ健康保護局からの警告(ぺ一スメーカ関係)
1995年11月6目に出されたカナダ健康保護局(Health Protection Branch)からペースメーカ植込みセンター及び診療所心臓専門医への警告(Alert)文書の概要
表題:心臓ペースメーカを妨害するデジタル携帯電話
同局での実験では、一部の新型デジタル携帯電話で、一部の植込み型心臓ペースメーカの作動に影響が出る可能性があった。アナログ携帯電話での報告はない。
米国2カ所の臨床試験においては、「デジタル携帯電話をペースメーカのごく近くに置くと次の電磁干渉による作用をもたらし得る」としている。
(1)心室出カの抑制
(2)非同期ページング
(3)電磁波ノイズによる心房チャンネルトラッキング
(4)セイフティペーシング
同局はペースメーカ14機種を調査、3機種がデジタル携帯電話から電磁干渉を受けやすかった。
2機種では出カパルス数が減り、ペースメーカ依存患者では危険である。
他の1機種では電話の作動により望ましくないペーシングがなされ、これは正當な洞調律と競合し頻脈などを引き起こし得る。
・電磁干渉は通話中のみに生じ、電話を切れば正常な働きに回復した。
・デジタル携帯電話が4.5cm以内のときに電磁干渉が生じた。
・アナログ携帯電話では電磁干渉は起こらなかった。
同局は、ペースメーカの主要製造会社とこの問題について長期的解決策を協議中である。
米国では、臨床試験と実験研究が行われており、1996年5月までに結果が入手できる。
デジタル携帯電話による電磁干渉で生命を脅かす可能性は低いが、安全距離の勧告を出すのは難しい。
患者には以下の注意をするよう、指示すべきである。
・デジタル携帯電話をペースメーカのごく近くで使用すると、ペースメーカが誤動作することがあるので注意する。
・デジタル携帯電話を使用するときは、ペースメーカを植え込んである方と反対側の耳でする。
・携帯電話をペースメーカのすぐ上にある衣服のポケットに入れて持ち歩かない。
3) アメリカのWTRの動き
アメリカでは1996年に以下のような最終報告があった。
米国WTR(Wire1ess Technology Research LLC.)の勧告
WTR最終報告(1996/9/30):携帯電話と植込み型心臓ペースメーカの干渉についての評価〜最終勧告
(a)ペースメーカ装着者への勧告
WTRは携帯電話をペースメーカから安全な距離に離すよう勧告する。
「既存のデータによると、ペースメーカと携帯電話の距離が大きくなるほど干渉の危険が低くなり、6インチが危険を最小化する距離である。」
上記勧告を達成するための具休的な方策は以下の通り。
・携帯電話は電源をONにした状態で胸ポケットのようなペースメーカに近い場所におくべきでない。(電源ONとはバッテリから携帯電話に電カが供給されているときである。)
・携帯電話はペースメーカと反対側の耳で使用すべきである。
4)日本の動き、1996年・1997年新聞報道から
以下の報道があった。
*********************
共同通信 1996年10月14日
タイトル:ペースメーカに障害 携帯電話の影響を携帯電話、電磁波
心臓ペースメーカを装着した人に通話中の携帯電話を近づけると、条件によってはペースメーカに電磁波が原因とみられる誤作動が起きることを、埼玉医科大第二内科の松本万夫講師らのグループが患者を使ったテストで実証した。
急速な普及が続く携帯電話だが、満員電車の中では電源を切るなどの配慮が利用者には求められそうだ。
グループは、不整脈などでペースメーカを体内に植え込んだ患者102人の同意を得て、デジタル型とアナログ型の国産携帯電話2機種を使って影響を調べた。
患者の胸の皮膚に電話をさまざまな角度で接触させ「電源オン」「電源オフ」「呼び出し中」「通話中」の4つのケースについて異常の有無をチェック。
102人中2人で、通話状態のデジタル型を垂直に接触させた場合に、ペースメーカの電気刺激が消失する異常を認めた。
電話を6センチ以上体から離すと異常は解消したが、この間の心臓の電位には電磁場によると思われるノイズが現れた。
アナログ型や通話中以外のケースでは異常はなかった。
ペースメーカが、携帯電話からのノイズで誤作動した可能性が強いという。
松本講師は「電気刺激の消失が長く続けば命にかかわる。
いくつもの条件が重ならないと異常は起きないので、いたずらに恐れる必要はないが、体が触れ合うような場所では携帯電話を使うべきでない」と注意を呼び掛けている。
日本心臓ペースメーカ友の会」によると、国内のペースメーカ使用者は約20万人。
同会は「可能性としては指摘されていたが、実際の臨床例で影響があったという国内の報告を聞くのは初めてだ」と話している。
*******************
以下の報道が「あった。
共同通信 1997年2月14日
*******************
◎携帯電話で医療機器誤作動 約1割の病院が経験 共同通信 2/14
「輸液ポンプが止まった」「心電図の波形が乱れた」−携帯電話の電磁波によるとみられるこんな医療機器の誤作動を、約1割の病院が経験していたことが京都府保険医協会のアンケート調査で14日、分かった。
アンケートは昨年12月、府内の199病院を対象に実施、128病院から回答を得た(回答率64・3%)。
医療機器の誤作動は、14の病院であり、「3メートルほど離れて携帯電話を使うと、輸液ポンプが止まった」「心電図モニター装着中面会者に携帯電話がかかり、波形に乱れが出た」などのケース。
ほとんどが近くでの携帯電話使用が原因とみられる。
こうした事態に対し74%の病院が、携帯電話の使用禁止ポスターを掲示するなど、患者や見舞い客に注意喚起をしていた。(了)
*****************
4A) 日本の動き 不要協1997年の報告
1995年、携帯電話端末から発射された電波が医用電気機器の機能に影響を与える恐れがあると海外で報じられたのを機に1995年12月20日に不要電波問題対策協議会のイミュニティ委員会に「医用電気機器作業部会」を急邊設置し、再現実験等を実施し、1996年3月「携帯電話等の使用に関する暫定指針」をとりまとめ、公表した。
1996年度においては、実験対象とする医用電気機器を1995年度の277機種から延べ727機種に増やし、充実を図った。
また、携帯電話端末だけでなく、PHS基地局、PHS端末、アマチュア無線機等のその他の無線機器についても追加実験を行った。
さらに、現在も使用中の旧型の医用電気機器に与える影響等を調査するため、病院内において電磁干渉実験を実施した。
また新たに補聴器についても実験データの収集を行い、指針として取りまとめ、「医用電気機器への電波の影響を防止するためー携帯電話端末などの使用に関する調査報告書」として1997年4月に刊行した。
この報告書では、医療現場のみならず、在宅で各種の医用電気機器が使用されるような家庭等での環境においても携帯電話等の発射する電波が同様に医用電気機器に障害を起こす耳能性があることを示唆している。
さらにまたペースメーカや補聴器に対して、混雑した公共交通機関内等の環境においても携帯電話等と近接した状態では、携帯電話等の発射する電波が同様にそれら機器に障害を起こす可能性があることを示唆している。
実験結果からの抜粋 携帯電話などの心臓ペースメーカへの影響
方式 |
PDC |
PHS |
|
送信周波数 |
800MHz帯 |
1500MHz帯 |
1900MHz帯 |
電波発射源 |
デジタル携帯電話 |
デジタル携帯電話 |
ダイポールアンテナ |
アンテナ入力 |
0.8W |
0.08W |
|
試験対象機器数 |
ペースメーカ 228 |
||
干渉を受けなかった機器数 |
184 |
219 |
222 |
干渉を受けた機器数 |
44 (19%) |
10 (4.3%) |
6 (2.6%) |
最大干渉距離(cm) |
30 * |
15 |
7 |
* 30cmが1機種、他は全て14cm
実験結果からの抜粋 アマチュア無線などの心臓ペースメーカへの影響
方式 |
アマチュア無線 |
無線LAN |
||
送信周波数 |
144MHz帯 |
430MHz帯 |
1200MHz帯 |
2450MHz帯 |
アンテナ入力 |
1.5W |
1.5W |
0.8W |
0.26W |
変調方式 |
FM |
FM |
FM |
直接拡散 |
試験対象機器数 |
18 |
|||
干渉を受けなかった機器数 |
13 |
10 |
12 |
15 |
干渉を受けた機器数 |
5 (28%) |
8 (44%) |
6 (33%) |
3 (17%) |
最大干渉距離(cm) |
20 |
15 |
10 |
8 |
これらの実験結果から、15cm以上の距離をとれば携帯機器からの電波は心臓ペースメーカに影響しないとして、マージンを見て22cmという規定を提案した。
引用文献: 「医用電気機器への電波の影響を防止するためー携帯電話端末などの使用に関する調査報告書」電波産業会 1997年
5) 電磁波問題市民団体の動き 1997年
ガウスネット(高圧線問題全国ネットワーク)は1997年2月 以下に示す標準フォーマットを作成し、鉄道会社などに対する運動を始めた。
標準フォーマットの一部を引用する。
*********** ガウスネット作成の提案書より一部引用 ****************
○○鉄道株式会杜様
電車内及び駅構内での携帯電誘の使周禁止を求める要望書(案)
(略)
携帯竃語の閥題は「うるさくて逮惑であるから」という理由ばかりではなく携帯電話を使用することによる竃磁渡の健康への影響が懸念されていることです。
電磁波間題は日本では郵政省など国の機関もこれを放置している状態ですが、欧米の多くの研究では危険性の指摘もされています。
アメリカやスウヱーデンなどでは脳腫瘍や過敏症などの発生が報告され、大間題となって訴訟も頻発しています。
また、携帯電話を使用する本人だけならいざしらず、近くに居合わせた心臓を患っている方か使用されているペーメーカへの竃滋波による悪影響も無視できません。 (略)
携帯電話は普及したとは言え、まだ使用者は10人に2人ほどであり、残りの大多数の乗客は人混みや電車の中でもお構いなしの電話魔に辟易しています。
たばこの場含は長い年月の末に分煙が進み、ホームなどでの禁煙も最近になって実現しましたが、携帯電話が同じ轍を踏んで解決に時間を費やすことは、電車利用者としては耐え難いことです、
アナウンスで「まわりの迷惑にならないように」と呼びかけるだけではこの問題は解決しません。
私たちは電車内及び、駅構内での携帯竃謡の使用は絶対に禁止して下さることを要望いたします。
(略)
1997年2月15日 ガウスアクション集会参加者一同
賛同団体 高圧線問題全国ネットワーク(ガウスネット)
日本消費者連盟 婦人民主クラブ
コンピュータ合理化研究会
連絡先 東京都東大和市仲原3−10−1C−20 高圧線問題全国ネットワーク 懸樋哲夫
電話:0425−65−7478
*************** ***************
また同様な市民運動が継続されている。
以下は、電磁波問題市民研究会が2000年に作成した要望書の標準フォーマットである。
********電磁波問題市民研究会のWEBより 一部 引用 ************
2000年○月○日
○○○○○○○御中
電磁波問題市民研究会 代表 野 村 修 身
携帯電話使用禁止に関する申し入れ
私たちは電磁波間題を研究し、電磁波によって起こる健康問題や社会問題を未然に防止するために1996年10月から活動している環境NPOです。
私たちは97年から車内、駅構内での携帯電話の使用を禁止するよう関係団体に申し入れし、一定の改善がなされてきたことを喜ばしく思っています。
しかし、改善されたとはいえまだまだ不十分な面がいくつも見られます。
私たちはただ携帯電話の使用が他人に迷惑をかけているといった点から反対しているのではなく、携帯電話の使用がペースメーカ使用者への影響や電磁波過敏症の人たちへの影響等幅広い観点から反対しているのです。
その立場から以下の申し入れを行ないます。
以下 略
********* ***************
こうした市民団体からの要望を受けて、鉄道会社は「携帯電話の使用をやめるよう」車内でアナウンスを行っていると思われる。
(と、BEMSJは想像しています。鉄道関係の方で、背景となる情報に関して、公開可能な情報があれば、ぜひ公開してください。このページで紹介したいと思います。)
5A)1997年2月市民団体ガウスネットの動き
以下の共同通信電を参照
**********************
JRに携帯電話禁止を要望 市民団体
共同通信 2/10 18:13
電磁波による健康被害の問題に取り組む市民団体「高圧線問題全国ネットワーク」(ガウスネット、事務局・東京都東大和市)などは10日、電車内や駅構内での携帯電話の使用を禁止するよう求める要望書をJR東日本に提出した。
要望書によると、電磁波については欧米での研究で危険性も指摘されており、心臓ペースメーカへの悪影響も無視できないとして、携帯電話使用の自粛を求めるアナウンスだけでなく全面禁止に踏み切るべきだとしている。
要望書に対しJR東日本は、社内で検討して3月末までに文書で回答すると答えた。
(略)
[共同 2月10日] ( 1997-02-10 18:13 )
*******************************
5B)心臓ペースメーカ友の会からの要請 1998年
2012年3月6日の総務省の電波の安全に関する説明会で、「電車の中で携帯電話の電源を切ること」のアナウンスに関しては、実は、ペースメーカ友の会の患者団体が要請したことに始まる という趣旨の話がありました。
何時、どのような文書などで申し入れを行ったのか・・・・までは、説明はありませんでした。
追記:2013−9−20
以下のニュースが古いファイルの中から見つけました。
1998年12月19日の毎日新聞のニュースです。
*************
<特報・電磁波>「車両内に携帯電話禁止板」を 守る会が要
毎日新聞ニュース速報
「電車内で携帯電話を使われると電磁波が心臓ペースメーカを誤作動させる危険がある」として、ペースメーカ使用者らでつくる「内部障害者の福祉を守る会連合会」(事務局・兵庫県西宮市、約400人)の新明進会長(72)らが18日、野田聖子・郵政相に会い、「車両内に携帯電話禁止プレートを付けて」と申し入れた。
JRや各私鉄は車内放送で使用禁止や自粛を呼びかけているが、無視して使用する人が絶えない。
野田郵政相は「以前から気になっている問題で、踏み込んだ改善策をとりたい」と約束した。
(略)
不整脈などでペースメーカを使用している人は国内に約20万人。会では「車内の携帯電話は騒音迷惑だけの問題ではない」と訴えている。
野田郵政相は「電車にプレートを張ったり、車内放送でペースメーカへの影響に触れるのも一つのアイデアだと思う。早速、運輸省とも協議したい」と答えた。同会は運輸省に対しても同様の申し入れをした。 [1998-12-19-02:00]
**************************
5C)日本の通信機器事業者等の動き 1999年
毎日新聞 1999年4月1日の記事から引用
********************************
<携帯電話>「ペースメーカ」誤作動問題 影響 明記決める
毎日新聞ニュース速報
携帯電話の電磁波が心臓ペースメーカを誤作動させるとされる問題で、NTTやKDDなどが加盟する電気通信事業者協会(東京都港区)は、料金請求書に「ペースメーカへの影響があるため、満員電車など混雑した場所では電源を切ってください」と書いたちらしを同封することを決めた。
不統一だった購入時の取扱説明書にも、ペースメーカの影響について統一して明記する。
郵政省の指導を受けて対応した。
同省も、同じ趣旨のパンフレット約1万5000部を作製、全国の電気通信監理局に配布し、広報活動に利用する。
(略)
ペースメーカ使用者らでつくる「内部障害者の福祉を守る会連合会」(兵庫県西宮市、約400人)によると、実際に気分が悪くなった人が出ているといい、昨年12月、同会の新明進会長(72)が野田聖子郵政相に改善を要望していた。
また、同省は運輸省に対しても鉄道事業者に車内放送などでの呼びかけを徹底するように要請した。 [1999-04-01-18:21]
******************************
*1999年6月の共同通信のニュース 医療用PHSの導入
***************
1999年6月14日 共同通信ニュース速報
医療用のPHSを導入 微弱波使い関電病院で
関西電力は14日、電波の出力を小さくして医療機器への影響を抑えた医療用PHS400台を、同社健康保険組合の直営病院である関西電力病院に導入したと発表した。
PHSや携帯電話は、心臓のペースメーカなど医療機器の誤作動の原因となる恐れがあるため、医療機関では原則使用ができず、PHSの院内導入は珍しい。
微弱波利用のPHSは、関電系のアステル関西(大阪)が開発した。
電波出力は、1997年に郵政省などがまとめた病院内使用指針に基づく10mW。
通常の電話回線用交換器に取り付けたPHS用入出力装置を通じて、病院内外から院内の職員が持つ端末と直接通話できる。
内線電話の利用に比べ、素早く連絡できる。
利用場所や機器との距離によっては悪影響が懸念されるため、医師や看護婦の専用とし、患者や来客は使用できない。
導入後も、院内の委員会による影響調査を実施、端末に専用ステッカーを張るなどして「誤用や混乱が生じないよう努力していく」(関電病院)方針。
********************
5D)鉄道会社の動き 2000年
*2000年4月17日のNHKニュースから
**************************
JR東日本 朝夕混雑時の電車内での携帯電話使用全面禁止
2000年4月17日
NHKニュース速報
JR東日本は、携帯電話が出す電波が心臓病の人が使っているペースメーカに影響を与えるおそれがあるなどとして、きょう(17日から朝・夕の混雑時には電車内での携帯電話の使用を全面的に禁止することになりました。
JR東日本は、ほかの乗客への迷惑になるとして平成8年から電車内での携帯電話の使用を控えるよう呼びかけてきましたが、携帯電話の急速な普及に伴って、その後も乗客からの苦情は増える一方だということです。
また、携帯電話が出す電磁波は、心臓病の患者が使うペースメーカなどに異常を引き起こすおそれがあると指摘されていることから、JR東日本はきょう(17日)から朝夕の混雑時には、携帯電話の使用を全面的に禁止することにしたものです。
これについて、JR東日本は「乗客の中にペースメーカを使っている人がいた場合、混雑した車内ではすぐ近くで電波の影響を受けるおそれがある。
また、携帯電話は通話をしていなくても電波は出しているので、電源そのものを切るようお願いしていきたい」と話しています。
JRは、車内放送や駅のポスター、車内の中づり広告を使って乗客の協力を求めていくことにしています。
********************
*2000年10月14日 時事通信のニュースから
********************
携帯電話の使用を禁止=混雑車内で16日から−関西大手私
2000年10月4日
時事通信ニュース速報
◎携帯電話の使用を禁止=混雑車内で16日から−関西大手私鉄5社
関西私鉄大手の阪急、南海、京阪、阪神の各社は4日、混雑した車内での携帯電話使用を16日から禁止すると発表した。近鉄も同日から禁止する予定。
各社ともにこれまで車内放送などで、乗客に「遠慮」を促してきたが、携帯電話の電磁波が心臓のペースメーカなどに影響を及ぼす恐れがあると判断し、「電源を切る」よう呼び掛けることにした。
*************************
6) 日本の動き:2002年の報告
1996年3月「携帯電話等の使用に関する暫定指針」の報告書に引き続いて、総務省と電波産業会は、同様な試験を行い、2002年3月に「電波の医用機器などへの影響に関する調査研究報告書」を刊行した。
この報告書によれば、以下の結果に示すように、前回の調査に比べると、携帯電話などからの影響は少なくなっている。
従って維持すべき22cmという距離は改定されても良いことになるが、まだ古いペースメーカも使用され続けていることから、指針値は変更しないことにした。
実験結果からの抜粋 携帯電話などの心臓ペースメーカへの影響
方式 |
PDC |
PHS |
W-CDMA |
CDMA/CDMA2000Ix |
||
送信周波数 |
800MHz帯 |
1500MHz帯 |
1900MHz帯 |
2000MHz帯 |
800MHz帯 |
|
アンテナ入力 |
0.8W |
0.8W |
0.8W |
0.08W |
0.25W |
0.2W |
電波発射源 |
実機 |
実機 |
ダイポールアンテナ |
ダイポール アンテナ |
実機 |
実機
|
ペースメーカ
試験対象機種数 |
124 |
109 |
124 |
124 |
56 |
56 |
干渉を受けなかった機器数 |
116 |
107 |
99 |
121 |
54 |
54 |
干渉を受けた機器数 |
8 (6.5%) |
2 (1.8%) |
25 (20%) |
3 (2.4%) |
2 (3.6%) |
2 (3.6%) |
最大干渉距離(cm) |
11.5 |
4 |
6 |
2.5 |
1 |
1.8 |
引用文献:電波の医用機器などへの影響に関する調査研究報告書。(社)電波産業会 2002年3月
7) 鉄道会社17社の統一見解 2003年
追記:2004−6−2
20003年9月、関東の鉄道会社17社は電車内での携帯電話使用に関する統一見解を出した。
優先席では携帯電話の電源をオフとして、ペースメーカなどの着用者を保護する。
その他の場所では、電源を切る必要はないが通話は行わないこと、とした。
8) 病院内で、携帯電話の使用を許可する動きが出始めた。 2004年
*共同通信2004年3月のニュース
*********************
九大病院が携帯電話を解禁 患者の心情、利便に配慮
登録日 :04/03/27
共同通信ニュース速報
入院中も、友人や家族と携帯電話で気軽に話したい。そんな患者の希望に応えようと、九州大病院(福岡市)が、医療機器への悪影響を理由に禁止していた病院内での携帯電話使用を昨年10月から解禁したことが27日、分かった。
最近は病院でも公衆電話が減少し「入院患者の心情や外来患者の利便性を考えると、デメリットよりメリットの方が大きい」(田中雅夫副病院長)というのが理由。
解禁から半年たっても事故はないという。
医療機関での使用禁止が定着する中で“常識”を覆す試みだが、電磁波で誤作動を起こす可能性もある心臓ペースメーカの装着者からは疑問の声もあり、議論を呼びそうだ。
使用を解禁したのは集中治療室(ICU)や手術室などを除く病院内のほぼ全域。
ただし病室では、人工呼吸器など特定の機器が使われていない場合に限る。
総務省が実施した医療機器に対する電磁波影響調査の結果などを参考に、院内の患者サービス専門部会で検討、「医療機器の性能向上などもあり安全性に大きな問題はない」と判断し、昨年6月の臨床部長会で解禁を決定。
昨年7〜9月の試行期間を経て、同年10月から本格実施した。
(略)
********************
追記: 2004−6−2
*産経新聞2004年3月28日の報道「九大病院が携帯電話を解禁 患者の心情、利便に配慮」があった。
********* 一部 引用 ********
入院中も、友人や家族と携帯電話で気軽に話したい。
そんな患者の希望に応えようと、九州大病院(福岡市)が、医療機器への悪影響を理由に禁止していた病院内での携帯電話使用を昨年10月から解禁したことが27日、分かった。
(略)
最近は病院でも公衆電話が減少し「入院患者の心情や外来患者の利便性を考えると、デメリットよりメリットの方が大きい」(田中雅夫副病院長)というのが理由。
(略)
総務省が実施した医療機器に対する電磁波影響調査の結果などを参考に、院内の患者サービス専門部会で検討、「医療機器の性能向上などもあり安全性に大きな問題はない」と判断し、昨年6月の臨床部長会で解禁を決定。
昨年7−9月の試行期間を経て、同年10月から本格実施した。
(略)
******* ***********
興味のある方は、このニュースが報じられた新聞を読んでください。
9)改訂された総務省2013年1月のガイドライン
記;2013−1−31
以下の指針が発表されています。
関心のある方は、全文を、総務省のWEBで見てください。
************* 抜粋 ***************
各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針
平成25年1月 総務省
平成24年7月25日以降サービスが行われている方式の携帯電話端末による植込み型医療機器への影響を調査した結果、一部の植込み型医療機器について、携帯電話から最長で3cm程度の離隔距離で影響を受けることがあったことから、以下の通り取り扱うことが適切である。
ア 植込み型医療機器の装着者は、携帯電話端末の使用及び携行に当たっては、植込み型医療機器の電磁耐性(EMC)に関する国際規格(ISO14117等)を踏まえ、携帯電話端末を植込み型医療機器の装着部位から15cm程度以上離すこと。
また、混雑した場所では、付近で携帯電話端末が使用されている可能性があるため、注意を払うこと。
イ 携帯電話端末の所持者は、植込み型医療機器の装着者と近接した状態となる可能性がある場所では、携帯電話端末と植込み型医療機器の装着部位との距離が15cm程度以下になることがないよう注意を払うこと。
なお、身動きが自由に取れない状況下等、15cm程度の離隔距離が確保できないおそれがある場合には、事前に携帯電話端末が電波を発射しない状態に切り替えるなどの対処をすることが望ましい。
***************** *********************
10)電磁波の市民団体が鉄道に携帯オフ車両を要求
記:2013−2−15
電磁波問題市民研究会報No.80(2013年1月27日発行)に、以下のような記事が掲載された。
・電磁波問題市民研究会では、都営地下鉄、東京メトロなどでも携帯電話やWimaxなどの通信機器が使えるようになったことで、それに対する意見として、先の都営地下鉄、東京メトロをはじめ首都圏の鉄道計21事業者、及び私鉄各社で構成する日本民営鉄道協会(民鉄協)に対して、「一両すべてで携帯電話の電源オフを求める車両を設定することを要望する」要望書を昨年11月21日に提出し、回答を求めました。
・電磁波問題市民研究会は、報告した通り、日本民営鉄道協会(民鉄協)宛にも要望書を提出しました。
後日、民鉄協と当会による意見交換会を申し入れたところでご快諾をいただき、2012年12月12日、東京・大手町近くの民鉄協で、参与・運輸調整部長・地方交通室長の小林主治さん他1名と、当会事務局長大久保、事務局網代とが約1時間、意見交換を行いました。
関心がある方は、詳細は、当該の会報を読んでください。
11)電車内の携帯電話の使用を緩和 2015年9月
以下のニュースが「産経ニュース」にありました。
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産経ニュース
2015.9.17
電車内「携帯電源オフ」ル-ル、 10月から緩和へ 混雑時除く
関東などで鉄道各社が電車内の優先席付近で携帯電話の電源を切るよう求めている規制ルールについて、JR東日本など関東、東北、甲信越の計37の鉄道事業者は17日、10月から混雑時を除いて「電源オフ」は求めないとするル-ルの緩和を行うと発表した。
各社は順次、車内アナウンスやポスターなどで周知徹底を進める。
規制ルールをめぐっては、携帯電話から出る電波が心臓ペースメーカなど医療機器に影響を及ぼす恐れがあるとの理由から、平成15年に関東の鉄道事業者が統一して現行ルールを設定。
その後、東北や甲信越の鉄道事業者も順次、同様の規制ルールを導入。
しかし、総務省が今年8月、悪影響が出る可能性は非常に低いとする見解を指針で示したことを受け、各事業者がルールの緩和を検討していた。
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12) 電車内の携帯電話の使用の緩和を実施 2015年9月30日
以下のニュースが共同通信から流れました。
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1日から電車内の携帯マナー変更
2015年9月30日(水)17時15分配信 共同通信
JR東日本など関東甲信越・東北の計37の鉄道事業者は、優先席付近では携帯電話の電源を切るよう求めてきたマナーの呼び掛けを10月1日から緩和し「混雑時」に限定する。
JR東は30日、東京総合車両センターで山手線車内のステッカーを「優先席付近では、混雑時には携帯電話の電源をお切りください」と呼び掛けるものに貼り替えた。
以下 略
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「携帯電話 その電磁波は安全か」 ジョージ・カーロ&マーティン・シュラム著 高月園子訳 2001年 集英社発行 という本がある。
この中に、携帯電話と心臓ペースメーカの干渉に関する初期の研究や動きが例示されているので、一部を引用して、紹介する。
関心のある方は、このカーロの本を読んでください。
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*1990年代の初め、世界中でポツポツとその報告はあった。
そして、その一つひとつをFDA(米国食品医薬品局)はファイルに収めていった。
心臓のペースメーカの調子が、時々狂うという。それも、携帯を使用した後に。心臓細動除去器が誤作動するという。
携帯や二方向無線機を身体の近くで使用した後に。
さらにコロラドの丘陵では、電動式車椅子が勝手に動き出し、乗っていた人が放り出され、腰の骨を折る重傷を負うという事件もあった。
これも明らかに無線が原因だった。
これらは癌とは何の関係もない。問題は電磁波の干渉だ。
広く使われているペースメーカなど医療機器への干渉問題は、まもなくFDAの関心の焦点となった。
同時にそれは、カーロの研究プログラムの中心的課題にもなった。
資金を出している業界の役員の中には、これを驚きの目で見る者もいた。
だが、カーロの主導による電磁干渉の研究は、いくつかの長期的な成果を生み出すことになる。
FDAとの緊密な協力体制のもと、カーロは研究を組織化し、公衆衛生上の大きな問題を解決する。
だが、その研究を進めるにあたり、CTIA(携帯電話産業連盟)の指示を仰がず、独立した立場をとったことが、ウィーラーを激怒させる結果となった。
そして、その後、ウィーラーのカーロに対する不信感は決して修復されることはなかった。
二人の関係に生じた亀裂は、将来、カーロに深い苦悩をもたらすことになる。
*1994年、コペンハーゲンで開かれた生体電磁気学会の年例会議に出席したカーロは、携帯が埋め込み式ペースメーカに干渉するという三つの研究報告を聞いた。
ペースメーカは制御された電子パルスを心臓の洞房結節に送ることで、心臓の鼓動を規則正しく整える。
この機器により、多くのタイプの不整脈が正される。
最近のペースメーカは、ふつう、肩の鎖骨付近に埋め込まれ、そこから二本のワイヤが心臓に電子シグナルを送る。
まず、イタリアからの報告は、ヨーロッパ製デジタル式携帯の実験室と臨床の実験結果だった。
実験室では、30台のペースメーカを携帯の近くに置き、パルスに乱れや停止が起きないかが調査された。
結果として、端未がごく近く(10センチ以内)にある時、半数のケースで何らかの干渉が認められた。
臨床では、11社の製造による43機種のペースメーカを埋め込んだ患者101人の胸の上(ペースメーカの近く)に、11種類の携帯のアンテナを置く実験が行われた。
結果として、26人に何らかの干渉が確認された。実験中、ペースメーカは最高感度に設定されていた。
スイスでは、39人の患者を対象に、デジタル式の端末をペースメーカの真上に置く実験が行われた。
結果として、数人のペースメーカに加速と停止の両方が起きた。
研究者たちは、この種の問題がどの程度一般的なのかを調べる詳しい調査が必要だと訴えた。
この実験では心臓病患者の協力が必要だったため、実施前にいくつかの倫理上の問題をクリアする必要があった。
最後に、のちにモトローラ社に雇われるオーストラリアのケン・ジョイナー博士が、ペースメーカを埋め込んだ患者10人を対象とした実験の結果を報告した。
アンテナをペースメーカの真上20センチに保ったところ、やはり干渉が確認されたとのことだった。
以上の結果はいずれも決定的なものではなかったが、ペースメーカ装着者が無線電話を使う際の安全性に大きな疑問を投げかけた。
*3ヶ月後の94年9月、マイアミのマウントサイナイ病院の心臓外科医ロジャー・カリロ博士が、ペースメーカを埋め込んだ患者59人を対象とした実験の中間報告を、カーロにファックスしてきた。
カーロのプログラムのことを耳にしたカリロは、研究を続けるための資金援助を求めて、連絡してきたのだった。
カリロは、当時米国で試験使用中だったデジタル式携帯のペースメーカへの憐を判定するシステムを開発していた。
実験に使用した携帯はモトローラ社から提供されていた。
それらはモトローラ社の科学者により、受信できない送信専用のテスト状態に設定されていた。
カリロはペースメーカを高感度にセットし、59人の患者を対象に数種類の携帯で実験を行った。
携帯をペースメーカのすぐ上にもっていくと、21人の患者に干渉が確認された。
計170回のテストで、何らかの干渉が認められたのが39回。そのうち12回では、停止という最も強度の干渉が起きた。
計19機種のペースメーカに干渉が起きたが、携帯を耳に当てるという通常の通話姿勢では起きなかった。
なお、このテストに参加した患者たちは全員、自主的に協力した人たちで、テスト中は常時医師が付き添っていた。
テスト中に痛みを感じた患者は1人もいなかった。
*カーロはただちにFDAに連絡した。
一週間後、カーロと彼の同僚たちは、FDAにカリロの実験結果とその解釈についての報告をすることになった。
ミーティングはワシントン郊外ロックビルにあるFDA本部で行われた。
モトローラ社の弁護士イーガーも携帯業界の代表として出席した。
この会議で「結論として大規模な臨床研究の実施が決定」した。
*メイヨクリニックの研究
この研究の目的は、電磁波干渉が実際にどの程度起きているかを調べ、ペースメーカを埋め込んだ患者が携帯電磁波にさらされることで、どんな重大な健康リスクがあるかを判定することにあった。
臨床調査が、メイヨクリニック、ニューイングランド医療センター、オクラホマ大学健康科学センターの三カ所で同時に行われた。
ペースメーカを埋め込んだ患者980人に対し、5機種の携帯(米国で使用中のアナログ式1機種とデジ夕ル式4機種)を使って実験が行われた。
携帯は最悪の事態をシミュレートするために、最大の出力で電波を出すようプログラムされ、加えて、デジタル式の1機種では実際の通信中にテストが行われた。
テスト中、ペースメーカの真上に置かれた携帯にさまざまな操作が加えられている間、患者たちは心電図で監視された。
干渉の程度は患者に危険が及ぶかどうかを基準に測定され、判定が下された。合計で5553回のテストが行われた。
明白な結果が出た。
何らかの干渉が全体の20パーセントのケースで認められた。
干渉が起きる率は携帯のタイプにより異なる。
アナログ式ではわずか3パーセントだが、デジタル式では25パーセント近くにのぼった。
実際の通話中の方が、テストモードの時より干渉が起きる率が高かった。
また、通常の通話姿勢に比較し、携帯がペースメーカの上に直接置かれた時の方が、干渉ははるかに頻繁に起きた。
そして、最も有意義な発見は、ペースメーカから出ている2本のワイヤに普通のものより余分にノイズフィルターが付いている機種で、干渉の起きる率が最も低かったことだ。
この結果の意味するところは明らかだった。
デジタル式携帯が埋め込み式ペースメーカの真上に置かれた時に、その機能を妨害するだけのパワーをもっていることに疑いの余地はなかった。
逆に、通常の通話姿勢ではほとんど問題ないこともわかった。
また、ノイズフィルターは干渉を防いでいた。
以上の発見により、ペースメーカと携帯の両業界と当局は、短期長期両方の対策を導入することを決定した。
まず、短期的な対策として、ペースメーカと携帯の両方のメーカが、ペースメーカの装着者に、携帯をペースメーカから6インチ以上離すよう警告することになった。
たとえば、携帯を胸ポケットに電源を入れた状態で入れてはならない。
また、携帯はできるだけペースメーカから離す。
長期的な対策としては、将来すべてのペースメーカのワイヤにノイズフィルターを付けることか義務づけられることになった。
振り返ってみると、この干渉問題の解決は、国と産業界の機構がともに抜群によく機能した、
まれにみる例だといえよう。
初めて問題が明らかになってから、わずか24ヶ月後に、問題は解決された。
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記;2009−10−25
新聞記事から、一部を抜粋して紹介します。
関心のある方は、全文に関しては、当該の新聞記事を読んでください。
朝日新聞 声(投書)欄 2009年2月17日
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携帯びくびく命がけ優先席
私は1年前から心臓ペースメーカを使用している。外科手術で左胸に埋め込んである。
電池で動く精密機械。お陰で普通の生活が送れる。大変ありがたいものだが、磁力や電波に弱いという弱点があり、電車に乗る時が一番厄介だ。
私の場合、携帯電話からペースメーカまでは22cm以上の距離を取らなければならない。
車内では多くの人が携帯を使用。
私は用心し、すいた時間帯のみに乗るようにしているが、それでも冷や冷やし通しだ。
大げさに言えは、命がけで周囲の人の携帯電話までの距離を目測し、22cm以内になると脱出する。優先席だからといって安心して居眠りなどできない。
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朝日新聞「声」(投書)欄 2009年2月23日
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「携帯びくびく命がけ優先席」(17日)を読みました。
日本心臓ペースメーカ友の会副会長の私としては、投稿の方の心理的な不安は理解しつつも「そこまで不安がる必要はありません」と一声かけたくなりました。
確かに、総務省は携帯電話とべースメーカ装着部位の距離を「22cm程度以上はなすこと」という指針を示しています。
私も機器を装着しており、ペースメーカの説明書にも「22cm以上はなれること」とあります。
しかし、「最近の機種は携帯電話の影響は受けない」と言えます。
これも科学的なデータに基づいています。
ですから、過剰な心配は無用です。
車内では、どうか、もっとリラックスしてください。
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記:2012−12−7
「【仮称】毎日おなかイッパイdeR 」のブログからの引用です。
http://rouxchan.blog.so-net.ne.jp/
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電磁波アレルギーばあさんに遭遇しちゃいました。ある日の東横線で。
「あなた!いま携帯使って たでしょ!!」
ボックス席に座っていたら、斜向かいに座っていたおばあさんがいきなり物凄い剣幕で捲くし立ててきた。
一体何が起こったのやら。
カバンに 入れていた携帯のメール チェックした だけ なんだけど。
びっくりしたついでに、いやいや電源を切っただけですよーと嘘(オホホ)の説明をしたら素直に信じてくれた。
やれやれ〜。
おばあさんといっても背筋はしゃんとしていて小奇麗で洋装の良く似合う方でした。話を聞くと・・・・
rouxchan at 2007-04-19 23:05
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Pharmaceuticals and Medical Devices Safety Information No.155
以下は概略です。
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この医薬品等安全性情報は,従来の医薬品副作用情報を改めたもので,厚生省において収集された副作用情報をもとに,医薬品等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成11年(1999年)6月 厚生省医薬安全局
医薬品等情報の概要:
植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置
近年,万引き防止監視システム(ゲート)の小売店等の出入口への設置が普及する傾向にある。
また,空港等では警備のため金属探知器が使われている。これらのシステムの発生する磁場が植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置に電磁干渉を及ぼし,患者の健康に影響する可能性があることから,使用している患者に注意を促す必要がある旨の注意情報が米国FDAから発せられた。
我が国において,当該問題により患者の健康に影響が認められたとの報告例はないが,今後万引き防止監視システムの普及や心臓ペースメーカ装着者の海外旅行等により,米国FDAが指摘した危険性は増していくことが考えられるため,注意喚起を行うものである。
*本文 *****
3 万引き防止監視及び金属探知システムの植込み型心臓ペースメーカ,
植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置への影響について
近年,万引き防止監視システム(ゲート)の小売店等の出入口への設置が普及する傾向にある。
また,空港等では警備のため金属探知器が使われている。
これらのシステムの発生する磁場が植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置に電磁干渉を及ぼし,患者の健康に影響する可能性があることから,使用している患者に注意を促す必要がある旨の注意情報が米国FDAから発せられた。
我が国において,当該問題により患者の健康に影響が認められたとの報告例はないが,今後万引き防止監視システムの普及や心臓ペースメーカ装着者の海外旅行等により,米国FDAが指摘した危険性は増していくことが考えられるため,注意喚起を行うものである。
(1)現状
我が国において,当該問題により患者の健康に影響が認められたとの報告例はないが,FDAは「過去10年間に44件の報告を受けている。」と発表している。
(2)患者に対する推奨
大半の患者においては万引き防止監視システム及び金属探知器が植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置に与える影響によって,臨床上重篤な症状が起こることは少ないと考えられる。
しかし,条件によっては,重篤な症状が起こることが否定できないため,患者には以下のような注意事項を伝えることが必要と考えられる。
・万引き防止監視システムや金属探知器に寄りかかるなど,これらのそばに必要以上に長く留まらないで下さい。
・携帯型の金属探知器でチェックを受ける必要がある場合には,警備担当者に対して自分が植込み型の電子医療機器を使用していることを告げ,金属探知器を当該医療機器のそばに近づけるのは必要最少時間にするよう依頼して下さい。
・商業施設の出入口にはすぐには確認できない場所に万引き防止監視システムがカモフラージュされている場合があることから,出入口等に立ち止まらずに通り過ぎるようにして下さい。
・患者用取扱説明書や院内ポスター等で注意喚起を行っているので,これらの情報に留意するようにして下さい。
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詳細は安全情報55号の全文を読んでください。
記:2013−1−31
オリーブニュースというサイトにあった内容から一部抜粋して紹介します。
http://www.olive-x.com/news_ex/newsdisp.php?n=97371
2012年5月9日のログ
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コラムと特集記事 > ニュース特報
荻野晃也著『危ない携帯電話』を読んで
電車内では以前と同じように「優先席近くでは携帯電話の電源を切るようにご協力お願いします。」とアナウンスされているが、最近は聞こえないふりをしてか、あるいはわかっているのか、優先席にどっかりと座って、平気で携帯電話でメールをしている人をよくみかける。
電話をかけていなければ(話さなければ)OKだと思っているのだろうか?
筆者の友人から聞いた話だが、いつも同じ時間に乗る電車に、必ずと言っていいほど「ペースメーカ」を付けた男性が乗ってくるそうだ。
普通は見ただけではわからないが、その人は「私はペースメーカをつけています。付近の方は携帯電話の電源を切ってくださるよう、お願いします。」と、名前や住所を書いた大きなカードを胸にぶらさげているそうだ。
大抵の人は電源を切ってくれるが、一部不愉快な顔をして使い続ける人もいるということだ。
そんな時、彼は車両と車両の狭いスペースに避難して、両側のドアをピタリと閉めてしまうらしい。
(略)
セラヴィ ( 2010/09/27 16:00 )
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関心のある方は、当該のサイトを覗いてください。
車内での携帯電話の使用を怖がり、車両と車両の連結部に避難するということは、万が一のことを考えたら、かえって危険なのではないでしょうか???
記:2010−11−8
阪急電鉄:
阪急電鉄で2003年6月10日より採用されている。
最初はあくまでも試験的な導入であったが、同社と系列会社である能勢電鉄は同年7月11日より本格導入することを発表した。
関西の鉄道では初めてという。
対象は、能勢電の二両編成を除く全列車。
6〜8両編成なら最前・最後部の計2両
10両編成の場合は、梅田駅側の2両を加えた計4両
3〜4両編成なら嵐山線は嵐山駅側、ほかの線は梅田駅側の各1両
で、それぞれ取り入れる。 であった。
2007年10月29日には阪急電鉄・能勢電鉄・神戸電鉄が優先座席を再設定したことにあわせて見直しが行われた。
結果は、携帯電話電源オフ車両は1両のみに減らされた。
最後尾の車輌1両だけが携帯オフ車輌に設定されている。
東京急行電鉄:
2000年10月16日から携帯電話のマナー策定にあたって編成中の偶数号車(2・4・6・8・10号車)を携帯電話電源オフ車両としていた。
地下鉄との相互直通運転を行う路線があり、乗り入れ相手先で電源オフ車両を設定していないことから、2003年9月15日に首都圏鉄道各社局(横浜市営地下鉄を除く)の携帯電話マナーを京王電鉄で採用していた現行の「優先席の周りは電源オフ」に統一した際に、携帯オフ車輌の設定は廃止された。
記: 2010-11-16
http://iwassy.blog48.fc2.com/?no=361 にあった内容です。
ブログの管理人の許可を得て、如何に転載します。
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ウキウハ マナマナマナ
オレは、丁寧に、「マナーの注意ありがとうその通りです。」
「でも、根拠のない理由で、人に物事押し付けないほうがいいですよ。」
「携帯でペースメーカは止まりません。」 と言い切ってみた。
オッサンは、ほとほと呆れ顔で、「あんた何言ってるんだ、注意されたからって、言いがかりつけるノか!」
オレは冷静に、「いやいや、違います。あなたの論拠に対する、私の考えを言っているんです。」 「もめたい訳じゃあありません。」
おっさんは、目を見開き、 「なぁにおいってんだ。おれは日○電池に勤めてるんだぞ!知ってるんだよ。」
(多分、ハッタリだと思うが。)と、ガナリたてる。
オレは、動じず、
「いやいや、日○電池だろうとなんだろうと、携帯の通常利用でペースメーカは止まらないんですよ。」 「影響が疑われる距離は数センチの近さのみですよ。」
「マナーを注意するのは何の問題も無いと思いますけど、理由は変えたほうがいいですよ。」
オッサンは、
「なんだあんた、阪急電鉄(って言ってたような気がする)の具合悪くなった人のニュースを見て無いのか?」
「影響あるからこうやって、OFFってシールが貼ってあるんだろう!アナウンスもしてるだろう!」
「影響ないのにこんなことするか!」
「俺が間違ってるっていうのか!」
絶対ひかないぜ
「いや間違ってるかどうかといえば間違ってますよ。 携帯電話が影響あるかないかって点では」
「じゃあ、降りたら鉄道会社の人に聞いてみましょうよ。」
オッサンは、 「影響あるに決まってるだろうが、言いがかりつけやがって。」 とぶつぶつ言っている。
(おっさん。ハフハフさせてやるぜ)
駅で降り、駅員に聞いた。 オッサンは、興奮しながら、 「コイツが言いがかりつけるんだ。携帯でペースメーカが止まらないって、」
「コイツに教えてやってくれ駅員さんよ。」とまくし立てる。
駅員は、(長々やんわりどっちとも取れずな内容で説明したが、最終的には) 「具体的に携帯でペースメーカに影響あるか分からないんです。」
「ただ、100%影響ないとは言い切れないので、あのように対処しています。」
オッサンの顔色が見る見るかわる。
「あんた何言ってんだ!鉄道会社に務めてて知らないのか!」 「阪急電鉄のニュースは?!阪急電鉄のニュースみてないのか!?」
「あのニュースはどうなるんだ!?」
駅員は、ちゃんと説明の教育を受けているらしく、
「阪急電鉄のニュースはしってます。きちんと研修を受けていますから、」
「今現在は、携帯電話がペースメーカに影響を与えるって、確実な例は無いんです。」
「影響がないとは言い切れない。そこまでしかわかっていないんです。」
オレはここぞとばかり、「な?オッサン、分かったろ?」と小ばかにする。
オッサンは、真っ赤になる。
「そんなわけない。それじゃあニュースはどうなるんだ!そんな不確実なことニュースでやるわけない!」
「何パーセント影響があるんだ?あいつにいってやってくれぇ!」 「3メートルだろ!?3メートル以内はダメだって!オレは知ってるんだ!」
「8○○Hzだろ!影響あるのは!オレは知ってるんだ!」 「ちゃんとニュースも新聞もみてるんだ!あいつにいってやってくれ!」
「3メートル以内では使っちゃダメだって!」
駅員も楽しくなってきたみたいで 「何%とかそういうの無いんですよ。」 と、冷徹に切り捨てる。
オッサンは、泡吹きそうに悶絶している。
「何言ってんだあんた!オレはここ(鉄道会社)の株主だぞ!ふざけるな!」 (多分、ハッタリだと思うが。)
「100%影響あるんだ!影響あるっていえ!止まるんだろ!止まるっていえ!」
駅員は、 「いや、影響あるか分からないんです。」 「むしろ、99%影響ないです。」
「そんな確実に影響あったら、街中で使えないじゃないですか。」 駅員も呆れ気味に言い放つ。
オッサンは、 「あんたも分からない奴だな、100%!ヒャクパーセント!100%影響あるんだよ!そう言え!」 「あいつに100%影響あるって言え!」
もう、言っていることは、マナーの伝道師でなく、むしろ自己中心的な言いがかりだ。
「ここの社長に、教えてやる!社員の教育がなってないって!」 「話にならん!」
といって、プンプンしながら帰っていった。。。
ほんと、おっさんのあの姿面白かったあ。
2010/11/03 12:35
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BEMSJ注; 上記で話題になっている「阪急電鉄の話」は、阪急電鉄で携帯電話オフ車輌を設定したという話のことでしょう。
最初は先頭と最後尾の2車輌を携帯オフ車輌に設定したが、その後、最後尾の車輌のみに変更しています。
以下はあるペースメーカ手帳の事例です。
心臓ペースメーカの製造会社によっては、異なるかもしれませんが、参考の為に、手帳の画像を紹介します。
記:2013−1−31
AERA 2013年2月4日号より 一部抜粋
関心のある方は、AERAを読んでください。
**************
電車内に虚しく響く「優先席付近での携帯電話オフ」の呼びかけ。
だが現実には、優先席付近で携帯を操作する乗客は数多い。
現実を直視すれば、マナーの悪さを嘆くより、呼びかけの見直しを考えるほうが妥当かもしれない。
呼びかけの背景にあるのは、心臓ペースメーカ利用者への配慮だ。
(略)
では、携帯が原因とされるペースメーカの事故は、これまであったのだろうか。
総務省などによれば、電車内外を問わず「皆無」だ。
(略)
一方、前出の中島医師は、こう指摘する。
「正しい知識が大事なのに、電車の呼びかけは『携帯は危ない』という漠然とした不安感を広めている。
普通の生活を取り戻すために装着したはずの患者が、怖くて電車に乗れなかったり、ペースメーカにより生活が制限される逆転現象が起きている」
無用な恐怖と摩擦を減らすため、携帯オフは満員時に限るのも一案ではないか。
****************************************
記:2013−7−29
以下は2008年12月2日(火)の新聞「東京スポーツ」に掲載された記事の一部です。
************************
ペースメーカ使用者はヘッドホンに注意
ヘッドホンの近づけ過ぎにご用心−。
磁石を内蔵したヘッドホンやイヤホンは、ペースメーカや埋め込み型除細動器の機能を障害する恐れがあるとする研究が11月9日、米ニューオーリンズで開かれた「米国心臓協会年次総会で発表された。
ロイター電によると、実験はペースメーカや除細勅語を埋め込んだ60人の患者を対象に実施。
主任研究者のケンブリッジ・ベスイスラエル医療センターのウィリアム・マイセル博士によると、8つのMP3プレーヤーヘッドホンを調べたところ、14人の患者の心臓機器に干渉を与えたという。
ただし、ヘッドホンを皮膚から3cm以上離せばこの影響は起こらないとのこと。
(略)
******************
関心のある方は、当該の新聞を読んでください。
D1.アメリカのHyesの研究
論文名: Interference with Cardiac Pacemakers by Cellular
Telephones
研究者: David L. Hayes et al
掲載誌: The New England Journal of Medicine Volume 336:1473-1479 May 22, 1997 Number 21
携帯電話のペースメーカへの影響に関する研究結果です。
980名のペースメーカ装着者を対象に、携帯電話の出力は最大になるようにセットして
通常の使用条件である耳の所にハンドセットを置いた時と、
心臓ペースメーカの近く、1−2cmの近距離に置いた時に
心臓ペースメーカに異常が発生するかしないかをテストした結果です。
結果は、
*耳の近くに置いた時は、異常は発生しない。
*ペースメーカの近くに置いた時は、ある確率で異常が発生した。
という内容です。
興味のある方は、上記論文の原著を読んでください。
************** ********************
上の記事をもう少し詳しく解説すると以下になります。
記:2009−11−3
掲載誌; N Eng J Med 1997; 336 : 1473 - 9
タイトル:INTERFERENCE WITH CARDIAC PACEMAKERS BY CELLULAR TELEPHONES 携帯電話による心臓ペースメーカの電磁障害
研究者:David L. Hayes, et al,
概要:
背景:
心臓ペースメーカと携帯電話との間に電磁障害が起りうることを示唆する証拠が増えつつあり,公共の健康問題となる可能性が提起されている.
方法:
心臓ペースメーカを装着した患者 980人を5 タイプの携帯電話機(アナログ1台およびデジタル4台) とともに調べ,障害の可能性を評価した。
電話機を試験モードで調べ,最悪のシナリオを模するように最大電力で通話するように設定した。
さらに,実際の使用を模するために,1台の電話機では実際の通話状態で調べた。
患者を心電図でモニターしながら,同側の耳に電話機をあてた場合と,ペースメーカの真上で一連の操作を行っている場合を調べた。
効果のタイプおよび臨床的重要性に従って,障害を分類した。
結果:
何らかのタイプの障害の発生率は,5,533回の試験中20%で,症状発生率は7 .2%であった。
臨床的に重要な障害の発生率は6.6%であった。
電話機を正常な位置で耳にあてた場合,臨床的に重要な障害は起らなかった。
明らかに臨床的に重要な障害は試験の1.7%に起ったに過ぎず,これらは電話機をペースメーカの上に置いた場合に限って認められた。
結論:
携帯電話は,植え込んだペースメーカの機能を妨害することがありうる.
しかし,電話機を正常な位置である耳に当てた場合,この障害は健康に危険を及ぼさない。
電子情報通信学会論文誌 B Vol. J84-B
No.10 PP1829-1833 2001年10月にあった論文です。
研究者; 王建青ら
論文: 携帯情報端末で心臓ペースメーカに誘発される電磁妨害のしゃへい材による低減評価
これによると、心臓ペースメーカの近くに電磁波シールド材を置けば (注;そうした材料で作った下着などを着用すれば、という意味と考える)、それなりの電磁波防護効果が発生する。
ペースメーカを覆う程度の75mm×100mm程度では不十分であるが、300 mm×400 mm程度の大きさになれば, 22 cmの距離で影響が出るのが、1 cmの距離まで改善されると。
興味のある方は、上記論文を読んでください。
ここからは私のコメント:
基本的には電磁波はこの程度の大きさの電磁波繊維では、回折という回り込み現象によって、電磁波防護効果は減少するのですがペースメーカは体内のすぐ内側に埋め込まれており、ペースメーカやその電極と数mmのところにシールド繊維があることと、周波数が900MHzと高いので、効果が発揮できたのではないかと想像します。
興味のある方は、上記論文の原著を読んでください。
医療機器への電磁波の影響に関する報告です。
研究者: 氏原良和ら
タイトル: 各種携帯電話及び無線機使用での電磁波障害調査
雑誌: 日本手術医学会誌 1997年
概要:
大分医科大学手術部の研究。
近年,医療現場において,携帯電話から発射される電磁波による医療機器への影響が指摘されている中で当院手術部,及び病棟では,ナースコール連動型コードレス電話機の導入がなされた。
今回我々は,この機会にコードレス電話等5種類の電話機及び無線機を使用して,医療機器への電磁波障害の調査を行なった。
方法:当院手術部で使用されているME機器のうち使用頻度が最も多いと思われる,患者監視装置,シリンジポンプ,自動血圧計,麻酔ガスモニター,輸液ポンプの5種類,各々5台を用いた。
電磁波障害の検証は,各ME機器を動作状態で,50cm,30cm,20cm,10cm以下の距離で電話機及び無線機を送信状態で電磁波を発生させ,各ME機器の動作を観察した。
コードレス電話およびPHSでは10cmまで近づけても問題はなかった。
携帯電話は近づけると問題が発生し、携帯電話に比べて出力の比較的大きい1.5Wもしくは2.5Wのアマチュア無線の携帯無線器は、もっとも影響が大きかった。
詳細は原典を読んでください。
ペースメーカは携帯電話の電磁界からの影響を受け難くするためでしょうか、試験方法などを決めようとしています。
アメリカのペースメーカ関連の医療器工業会(Association for the Advancement of
Medical Instrument: AAMI)は、電磁波の影響度を測定する規格を制定中である。
ペースメーカの電磁波影響度測定法
規格名:Active implantable medical devices-Electromagnetic
compatibility-EMC test protocols for implantable cardiac pacemakers and
implantable cardioverter defibrillators
AAMI/CDV-1 PC69
発行: 1999年3月 ドラフト(Committee Draft for Vote)
概要:
*AAMIの規格として、レーダ等の電磁界放射源からの遠方界を考慮したペースメーカの電磁界対応の規定は1975年に制定されていた。
*この新しい規格は、全周波数の帯域の電波(電磁界)による影響を測定できる規格にするが、とりあえずは、携帯電話のハ ンドセットの影響を優先させて、450MHzから3000MHzまでの周波数帯域で、近傍電磁界に関する測定法を定める。
30MHz以下、30MHz-450MHz、3000MHz以上の3バンドに関しては、別途定める、
*埋め込まれたペースメーカ等の機器から15cmはなれた所に携帯電話等の電磁界放射源がある場合の影響を想定した。
試験の為の電波発信源はダイポールアンテナであり、アンテナに実効的に入力される高周波電力は40mWとした。
さらに高い高周波電力での試験についても規定する。
*テスト法
生理食塩水の中にペースメーカを置く。
ペースメーカの表面と生理食塩水の表面の距離は0.5mmである。
生理食塩水の表面とアンテナ素子の中心までの距離は2mmである。
アンテナ素子の直径は3.58mmである。
(但し、素子は同軸ケーブルをそのまま利用したもので、3.58mm直径のアルミ棒ではない、ちょっと複雑な送信アンテナである。)
(このことから、極めてアンテナとペースメーカは近接して設置されることがわかる)
その他ペースメーカの動作条件などを規定
*ダイポールアンテナへの実効入力電力を40mWとした根拠。各種携帯電話の実機を用いて、15cmの距離で、ペースメーカのリードに誘導する電圧の大きさを測定し、それらの誘導電圧と同じ値を発生するダイポールアンテナをより近接して設置した時の入力電力の値から定めた。
研究者: 幾賀須 ら
論文名: ペースメー力植込み患者に及ぼす携帯電話の影響
掲載雑誌: セラピューテックリサーチ 23巻 3号 2002年
はじめに:
携帯電話よるペースメーカへの電磁干渉は,近年マスメディアにも取り上げられ、杜会問題化している。またペースメーカ使用者の中には電車内などでの周囲の携帯電話使用に不安を持つものも多くみられる。
しかし日常生活中に携帯電話によりペースメーカ使用者の健康被害が実際に起こったとの報告は稀である。したがって携帯電話によるペースメーカへの影響が実際以上に強調され,不必要な不安をペースメーカ使用者に与えている可能性も否定できない。
そこで今回携帯電話によるペースメーカの不調の発生状況を調べ, ペースメーカ障害が日常生活において実際に起こっているかを評価した、
結果:
携帯電話による自覚的なペースメー力の不調は97例中9例(9.3%)に認め,88例(90.7%)には認められなかった。携帯電話による不調を認めなかった88例においても,今回の質問項目にはなかったが,携帯電話によるペースメーカ障害を懸念するために満員電車など至近距離で携帯電話を使用されうる状況を意識的に避けているとの回答が複数みられた。
ペースメーカの不調を認めた症例と認めなかった症例の比較では,年齢,性別, ペースメーカ極性, ペースメーカ依存度には有意差を認めなかった。
次に,自覚的なペースメーカ不調を認めた9例について,その発生状況の詳細を示す。
携帯電話使用者は1例が自分自身,8例が自分以外であった。べ一スメーカ不調を感じた場所は全例で車内や建物内などの閉鎖空間内であった。
ぺ一スメー力と携帯電話間の距離は,30cm未満の至近距離は1例のみであり,他の8例では30cm以上であった。この内の最大距離は10m以上であった。
不調発生時の携帯電話の状態は,多くの場合何らかの動作中であったが,何もせず携帯電話を持っていた状態であったものも2例認められた。
ぺ一スメーカ不調の自覚症状は,頻拍・心 心悸亢進などの、いわゆる「動悸」が6例と最も多かった。症状の継続時間は1分未満3例,1分以上10分未満2例,10分以上4例であった。
不調の症状の終了は,ペースメーカと携帯電話の距離が離れたもの(4例)や通話終了によるもの(2例)が多かった。
プログラマによる解析では,1例のみ携帯電話によるノイズを否定できない15分間継続する400bpm以上の心房センシングを認めたが,この時の心内電位は記録されておらず携帯電話による電磁干渉と確定することはできなかった。
ぺ一スメーカ不調自覚時に携帯電話との距離が30cm未満であった1例を含め,この他の8例ではノイズの混入など明らかな携帯電話による電磁干渉を示唆する所見は認めなかつた。
考察
ペースメーカの不調を認めた全9症例において,1例を除き不調が携帯電話による電磁干渉を起こしうる距離より離れた30Cm以上で生じていることに着目する必要がある。
ぺ一スメーカ不調は全例で周囲に携帯電話があることを認識した状態で発生しており,さらに7例(77.7%)ではその携帯電話が使用中であることを認識した状態で生じていた。
反対に,原因不明のペースメーカ不調が生じた後に周囲に携帯電話使用者がいたことを認識した症例は認められなかった。
また症状終了まで10分以上を要した4例(44.4%)では,携帯電話からの距離が離れても不調はただちには治まらず,しばらくの問症状が継続していた。
通常携帯電話の電磁干渉により生ずるペースメーカの誤動作は電波の照射中にのみ生ずる一過性のものであり,今回の結果は携帯電話による電磁干渉のみでは説明不能であるように思われる。
日常生活内における携帯電話に関連したペースメーカ不調の発生は,実際のペースメーカ障害より,携帯電話の存在を認識することによる一種のプラセボ効果の影響が大きいと考えられた。
興味のある方は、上記論文の原著を読んでください。
記:2010−11−4
以下の研究があります。
掲載誌;情報文化学会論文誌 Vol.7 No.1 2000
研究者:石川幹人
タイトル:メディアがもたらす環境変容に関する意識調査 −電車内の携帯電話使用に関して−
その他の記述(H 項目)では,「電話車両」や、「車内に携帯電話用の空間」を作ればよいといった現実的な提案もあった。
後半群では,ペースメーカを理由にした規制の問題に関する否定的意見が,多くあった。
関心のある方は、上記の論文を読んでください。
日本ME学会 医療電磁環境研究会 の予稿集から
平成16年度第4回研究会(2004年11月 松山市で開催)
セッション「携帯電話院内使用の現状と今後の課題」で発表された内容
*タイトル:九州大学病院における院内PHS導入と携帯電話使用の部分許可
研究者:花田 英輔 ら
次の条件で携帯電話の使用を2003年7月1日から許可した。
・ICU・CCU・KCU・NICU・手術室周辺は使用禁止
・生命維持装置が使用されている部屋は使用禁止
・使用許可時間帯は午前7時〜午後9時
・院内ではマナーモードにする 解禁後は大声での通話といったマナー問題はあるが、医療機器の停止・誤作動は発生していない。
*タイトル:島根大学医学部附属病院におけるPHS導入と携帯電話使用の部分許可
研究者:花田 英輔
携帯電話使用の一部解禁
本院では、九州大学病院の導入経緯を参照し、これまでの不要協等の実験結果、筆者の実験結果等を参考に独自の基準を定め、2004年1月22日から携帯電話の使用を一部許可した。
表1 本院における携帯電話使用許可の条件
・使用は外来ロビー、個室病室、食堂内に限る(食堂ではできるだけ窓際で使用すること)
・職員は看護師室・カンファレンス室でも使用可
・周辺50cm以内に医療機器がある場合使用禁止
・医療機器装着患者は使用禁止
・消灯後は使用禁止
・職員は回診中・説明中・歩行中の使用禁止
詳細は予稿集を入手して、全文を読んでください。
記;2013−1−31
以下の2つの研究論文がある。
*その1:2010年
掲載誌:医機学Vol.80 No.5 2010
タイトル:携帯電話によるペースメーカ電磁干渉指針見直しの必要性に関する研究
研究者:酒井順哉.酒井俊彰、川村吉紀
4,考 察
以上の結果から、仮に1期からW欄までのペースメーカに電磁干渉を少なくするシールド対策が認められないとしても、第2世代のPDCに比して、第3世代のW−CDMA・CDMA2000では最大干渉距灘および発生頻度も激減していることがわかった。
このことは、第3世代のW‐CDMA・CDMA2000の電波出力が第2世代のPDCの電波出力の1/3程度になっていることからも裏付けられる結果である。
さらに、第3世代の携帯電話が大きなシェアを占めるNTTドコモは2012年、Softbankは2010年にPDCサービスの停止することを予告しており、今後、携帯電話によるペースメーカの電磁干渉は飛躍的軽減すると予想される。
5.まとめ
総務省の調査結某と今回のペースメーカおよび携帯電話の販売機種数の年度推移から.従来の2cm指針はPDCのものであり、現状の実態と乖離しているため、W‐CDMA・CDMA2000の実験結果に基づく新指針に緩和すべきであろう。
*その2:2012年
掲載誌:医療の安全に関する研究会 第17回研究大会
安全安心のための在宅医療と介護の連携−情報共有のあり方を考える− 予稿集から
開催:2012年12月15日
タイトル:ペースメーカから携帯電話を22cm 離す指針を緩和すべきではないか
研究者:服部梨乃,川村吉紀,酒井順哉
概要:
第2世代通信サービスが完全に終了した2012年7月24日時点において、第2世代携帯電話での利用がなくなるため、総務省の電波干渉指針22cmは意味のなさないことになる。
また、「周波数再編アクションプラン」に基づき、各通信事業者が第3世代移動通信システム(W-CDMA、CDMA
2000)でサービス提供を継続していくことから、発信出力は従来より1/3から1/4程度に減少するため、従来の電波干渉指針は8cmで十分となろう。
この指針の距離制限の見直しは、電車内優先席での携帯電話の注意アナウンス、注意書きの廃止、医療現場での携帯電話の使用の緩和など運用面で今後、必要となろう。
関心のある方は、それぞれ原著論文を読んでください。
記:2020−10−29
以下の研究がある。
EMF Portalにあった情報
************************
掲載誌: Crit Care 2007; 11 (5): R98
タイトル:Interference by new-generation mobile phones on
critical care medical equipment.
新世代携帯電話による救命救急用医用機器への電磁干渉
研究者: van Lieshout EJ,
van der Veer SN, Hensbroek R, Korevaar
JC, Vroom MB, Schultz MJ
【目的】第二世代、第三世代携帯電話の救命救急用医用機器への電磁干渉(EMI)による事故を評価し分類すること。
【方法】汎用パケット無線システム(GPRS)の2つの信号(900MHz、2Wでタイムスロット割り当てが異なるもの)と、ユニバーサル移動通信システム(UMTS)の1つの信号(1947.2MHz、0.2W)を用いた。
61台の救命救急用医用機器近傍で、実際上、携帯電話の最大送信出力になるように制御しながら各信号を発生させ、EMIを評価した。
EMIの事故は、調整された重大医療イベント尺度にしたがって分類された。
【結果】17のカテゴリーにわたる61台の装置 (製造者は27社)が検証され、26の装置で48例の事故が実証された(43%)。
16例(33%)が危険な事故、20例(42%)が重大な事故、12例(25%)が軽度の事故に分類された。
信号による割合は、GPRS-1信号が最多(41%)、GPRS-2信号は25%、UMTS信号は最小(13%、P<0.001)であった。
EMI事故時のアンテナと医療機器の平均距離は3cm(範囲0.1〜500cm)だった。
1例の危険な事故は100cm以上で起きた(GPRS-1信号と人工呼吸器、300cm)。
【結論】救急救命用医用機器は、新世代無線通信技術によるEMIに対して平均距離約3cmで脆弱である。
携帯電話は救急救命病床から“1メートル”離すことと、無制限の使用場所を近くに設けることを併用した方針はまだ必要らしい。
********************
E1.航空機での使用禁止
発掘!あるある大事典/#72 携帯電話:
http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search/arukeitai/keitai3a.htm にあった内容から一部引用します。
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携帯電話の裏側には、こんな表示がある。
『警告!航空機内では電源を切ってください。』
1996年、ブラジル、サンパウロ郊外でブラジル機が離陸中に墜落事故を起こした。 その原因として疑われたのが携帯電話の電磁波。
******************* ***************
このテレビ番組を見れば、航空機の航法に影響するので、人の健康に影響があると結び付けているように見えますが、正しい報道の姿勢とは思えません。
携帯電話のハンドセットは微弱とはいえ、0.8Wという無線電力で、意図的に電波(電磁波)を発信しています。 この発信電波に対して、人間の体以上に敏感なのが、航空機の航法システムであり、ペースメーカに代表される医療機器です。
航空機にしても、医療機器にしても、これらの問題は携帯電話とそれらの機器の間の相互干渉という問題です。
これらの問題は、人の健康への影響とは、全く別の観点から考えなければならない問題です。
航空機の航法に影響するから機内では携帯電話を使用してはならない、病院では医療機器に影響を与えるので携帯電話を使用してはならない ことと、健康への影響を混同すべきではありません。
総務省のWEBにあった内容をベースに論議します。
******** 引用 ****************
発表日 : 1998年 9月28日(月)
タイトル : パソコン等情報技術装置に求められる耐ノイズ性の規格化
−CISPR規格の国内規格化に関する電気通信技術審議会答申−
郵政省は、本日、電気通信技術審議会(会長:西澤 潤一 岩手県立大学学長)から、身近にある無線機器や電子機器等からの電波等による影響を受けることなく、パソコンやファクシミリ等の情報技術装置(注1)を安心して使用することができるようにするため、装置側において必要とされる耐ノイズ性(イミュニティ)の限度値とその測定法について答申を得ました。答申の概要は別紙のとおりです。
この答申は、国際無線障害特別委員会(CISPR)(注2)で作成された国際規格を踏まえ、我が国の国内規格とするための条件を定めたものです。
郵政省では、誰もが安心して情報通信機器を利用できる環境を整備していくため、この答申の内容が我が国の関係機器に反映されるよう、メーカ等の関係機関に対して広く周知していくこととしています。
答申の概要
イミュニティの限度値と試験項目
試験項目 |
限度値と条件 |
無線周波電磁界/振幅変調 80〜1000MHz. (JIS C 1000-4-3) |
3V/m 80%AM(1kHz) |
その他の試験項目は割愛
****************************
この答申は、パソコンやファクシミリなどが、外来の電波ノイズ(答申に付記されたイラストによれば、送電線からの電波ノイズ、雷などの自然界に存在する電波ノイズ、携帯電話などの無線機器からの電波ノイズ、車のエンジンからの電波ノイズによって、パソコンやファクシミリが誤動作することを少なくするために、ノイズの発生源を規制するだけではなく、これらのパソコンも誤動作をしにくいように、耐ノイズ性を高めることにする、という趣旨です。
ここで注目すべきは、無線周波数電磁界に対してパソコンなどが誤動作しないようにするノイズの大きさは3V/mという電界強度である、ということです。
ICNIRPの電磁界ガイドラインで、一般の公衆の曝露限度値(参考レベル)は900Mhzに対して41V/mとなっています。 人体は体内に誤動作しやすい半導体や集積回路ICは入っていないので、外来電波ノイズに強いのでしょうか、健康影響の観点からは41V/mまでは大丈夫となっています(ICNIRPが規定を変えたら、この文章は変更しなければなりませんが)。
一方 各家庭に入っているファクシミリやパソコンは3V/mを越える電界があれば、誤動作する恐れが出てきます。 電子機器はヒトより電磁界に弱いのでしょう。
これらのことから、身の回りに存在する電波の強さは、ヒトへの健康影響の観点だけではなく、生活空間に存在する電子機器の誤動作を引き起こさないことも考慮しなければならないことがわかります。
さらに
以下の参考文献には、「国内における電磁環境に関する情報」が記載されている。
これによれば多くの電機・電子機器は、外部からの電界3V/mには耐えるようにすべき とされている。
言い換えれば、多くの電子機器は3V/mを越える外部からの電界ノイズに対しては耐えられず、何らかの誤動作を起こす可能性があると言える。
国内における電磁環境に関する情報:
財団法人日本品質保証機構(JQA)が通商産業省(当時)の委託により行った、“平成11年度電波障害対策調査研究「0.8−3GHz帯の電磁環境実態調査」報告書“(平成12 年3 月発行) によれば、国内におけるデジタル無線電話の実態と上記IEC61000−4−3 Amendement 1:1998での要求限度値との関係は、「動作が連続的で、携帯電話移動局が近傍で使用される環境に置かれた電機・電子機器は”レベル2“(3V/m:130dBμV/m)を満足することが必要」との指針が妥当と考えられる、との報告がなされている。
参考:
情報技術装置および周辺機器のイミュニティ試験ガイドライン 改訂1版 平成14 年4月
発行: (社)ビジネス機械・情報システム産業協会
興味のある方は、上記論文の原著を読んでください。
電子・電気機器は大きな電波によって誤動作する恐れがあると、説明し、その一つの例として電界強度3V/mがあるということを紹介した。
NTTドコモのWEBで、以下の内容を見つけた。 http://www.nttdocomo.co.jp/search/ にあった内容。
************* 引 用 **************
環境レポート2001年 から
企業責任の遂行 − 研究開発
* 電磁波に関する研究
近年、携帯電話の普及に伴い、携帯電話や基地局からの電磁波による人体や環境への影響について関心が高まっています。
総務省の提示した指針値を遵守して、電波利用を行っています。
基地局は規制値を満足させるのみならず、周囲環境の電子機器等への影響を考慮し、建設・運用しています。
********************* *****************
環境レポートの中で、特記すべきは赤字で示した部分で、中継塔(基地局)からの電波によるヒトの健康への影響の他に、電子機器などへの影響も考慮している、と明記されていることです。
それでは、NTTドコモは、その他の携帯電話通信会社は、電子機器への影響を考慮して、具体的にどの程度の電界強度以下にしているのでしょうか? 上記環境レポートでは明記されていません。 興味のあるポイントです。
BEMSJからのお願い:
このWEBを見た関係者の方で、情報を公開してくださる方がいらっしゃれば、BEMSJまで連絡してください。
HOT Wired NewsのWEB 2003年3月25日にあった内容
一部を引用します、 前文は当該のWEBにアクセスしてください。
************ 一部 引用 *************
「ガソリンスタンドでの携帯着信で火災」の真相は? Elisa Batista
2003年3月25日 2:00am PT
ウェブで出回っている電子メールによると、1999年にガソリンスタンドでインドネシアの男性の携帯電話から火が起こり、男性は顔面にひどい火傷を負ったという。
また、同じ年に給油装置の近くでオーストラリアの男性の携帯電話が鳴ったとき、男性ごと爆発したとも書かれている。
これらの事故を受けて、シェル石油社は最近、身につけた携帯電話がガソリンの給油中に着信した場合、小規模の火災を引き起こすのに十分なエネルギーを発する可能性があるという警告を発した――と、電子メールには記されている。
そんな話は都市伝説にすぎないと、ワイヤレス業界や石油業界の関係者は述べている。
しかし、人の興味をそそる話であることは明らかだ。
都市伝説の真偽を暴くウェブサイト『スノープス』によると、このメールがネット上に出回るようになってから3年になるという。
この件について、シェル石油社は、ガソリンスタンドで携帯電話を使用しないように促す警告は一切出していないと否定している。
「この電子メールはこれまでかなりの期間、インターネットで出回っている。しかし、メールの指摘する事故も、メールの出所も、当社は保証できない」とシェル石油社は述べた。
米国セルラー通信・インターネット協会(CTIA)によると、ここ3年というもの、毎週少なくとも1回はこの件についての質問を受けているという。
「本当のところ、これは都市伝説だ。ガソリンや気化したガソリンが携帯電話によって発火するという話がまともなニュースソースで報じられた例には、お目にかかったことがない」とCTIA。
石油設備協会(PEI)の広報担当者ロバート・レンクス氏は、過去数年間に報告されたガソリンスタンド火災をすべて記録しているが、「人類史上、携帯電話が火災の原因になった例はまだ発見していない」と述べた。
*********** 引用 終わり **********
興味のある方は、上記論文の原著を読んでください。
G1. 強い電波がストーブに影響、火事になった
これは総務省・関東総合通信局が発行した「不法・違法電波を使わない、出さない」というパンフレット(発行年などは不詳)にあった事故例です。
*****************:
しまっておいた石油ストーブから突然出火し、火事になった。 原因究明のための実験によると、この石油ストーブは点火装置に電子回路が使用されており、きわめて強力な電波を受けたときに、電子回路が誤動作し、点火スイッチを押した状態になることがわかった。
誤動作したときの強い電波の電界強度は
150MHzの電波の場合は 127 dBμV/m
27MHz電波の場合は 102 dBμV/m であった。
****************** ***************
この127dBは換算すれば約2V/mという電界強度です。
ICNIRPの一般公衆に対する150MHzの電波(電磁波)の曝露基準値は27.5V/mです。 健康影響を受けると予想される27.5V/mというレベルより低い段階で、電気機器が誤動作する例があるということです。
興味のある方は、上記論文の原著を読んでください。
記:2009−5−19
ガウス通信37号(1999年6月23日発行)に掲載された電子機器の誤動作の例です。
************* ************
携帯電話基地局の下でCDが止まる
兵庫県川西市にCDラジカセでCDを聴いていると突然止まってしまったり電気機器に異状が多発するという場所がある。
近くに携帯電話の基地局があるのでそのせいかもしれない、ということでテレビ局や電波管理局などが調べたが、電波がいろいろ飛び交っているので特定できない。
そこで、他の電波が届かない、和歌山県の山の中の携帯電話基地局の近くでCDラジカセを鳴らせ、鉄塔の下まで歩いてみだ。するとやはり音楽が止まってしまった。
この一件はテレビ朝日の5月5日昼の番組で放映されたもの。
**************** *************
こうした電子機器は以外に電波に弱いのかも知れない。
この記事では、どの程度の電波強度で、CDラジカセが誤動作したのか、不明です。