大村の提唱は必ずしも医学界で広く受け入れられている訳ではないが、これまでの西洋医学・漢方では難治な疾病の治療に有効であるとする医学関係者もいる。
以下に大村論文2件の概要を紹介する。
*その1 1991年の論文
以下はオーリング関係者による概説から引用したもの
研究者:Omura Y, Shimotsuura
Y et al:
タイトル:Chronic
or intractable medical problems associated with prolonged exposure to
unsuspected harmful environmental electric, magnetic or electro-magnetic fields
radiating in the bedroom or workplace and their exacerbation by intake of
harmful light and heavy metals from common sources.
掲載誌:Acupuncture
& Electro-Therapeutics Research, The International Journal, Vol. 16, No. 3
& 4: p.143-177, 1991.
大村恵昭が、環境中の電磁場の長時間の被曝により慢性の難治性の疾患を起こすであろうことを報告した論文です。
タイトルを意訳すれば「寝室や仕事場における環境中の気がつかない有害電磁場を長期被曝することにより引き起こされた慢性・難治性の病気ならびに身近なものから有害金属を摂取することによる増悪」となる。
一日の内の長い時間を電磁場にさらされた状態でいると、数カ月から1年で痛みなどの症状が始まり、数年から10年で癌などの重篤な疾患を引き起こす可能性があると述べている。
オーリングテストを用いて有害な電磁場環境を調べることができ、60Hzの電場で、10V/mほどから“マイナス”反応がみられ、110Vの電圧で、コンセントにさしてある電源コードより33〜51cm以上は離れていないと危険であると書かれています。
電磁場にさらされていると局所の循環障害がおこり、アセチルコリンが減少してくることがオーリングテストで観察され、電磁場から離れているとその反応は時間とともに消えていくと述べている。
鉛や水銀、アルミニウムなどが沈着している場合は、その電磁場被曝の影響が長びき、それは顕微鏡レベルのアンテナ効果によるものではなかろうかと大村は推察している。
特に水銀はオーリングテストで癌発生の危険因子と考えられており、電磁場被曝が癌発生を助長する危険性について指摘している。
電磁場被曝は人体上では、しばしば直線の帯状の異常領域としてイメージングされることなどを、症例を呈示して報告している。
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以下はPubmedにあったアブストラクトから、BEMSJが翻訳。
掲載誌:Acupunct Electrother. Res.
1991:16(3-4):143-77.
タイトル:Chronic or intractable medical problems associated with
prolonged exposure to unsuspected harmful environmental electric, magnetic or
electro-magnetic fields radiating in the bedroom or workplace and their exacerbationby intake of harmful light and heavy metals
from common sources.
寝室や職場における気がつかない有害な電磁界放射への長期曝露に伴う慢性もしくは難治な医学問題と一般的な発生源からの重金属と有害な光線の摂取による病状の悪化
研究者:Omura
Y,大村ら
Unsuspected prolonged
exposure to abnormal environmental (very high frequency) electro-magnetic
fields (EMF), electric fields (EF) or magnetic fields (MF) at 60 Hz or 16K Hz
in the bedroom or workplace may contribute to the development of various
intractable medical problems.
寝室や職場における60Hzや16kHzの異常な環境(高周波)電磁界、電界、磁界は、様々な難治性の疾患の発生に関係しているかも知れない。
<BEMSJ注:ここでは高周波と言っている。研究者の大村は医学部と電気工学部を卒業している人であるが、どの位の周波数を高周波と言っているのか明確ではない。>
Most of the clinical
symptoms appear when the individuals are exposed to EMF for many hours a day
for at least several months to 1-year for relatively benign diseases or
symptoms (such as intractable pain or medical problems), or several to over 10
years for more serious diseases (such as cancers of the digestive system or
other organs), all of which seem to appear with the additional co-existence of
micro-circulatory disturbances with Thromboxane B2 (TXB2), bacterial or viral
infections and decrease or absence of acetylcholine, and lead, mercury, or
aluminum deposits, with or without asbestos.
多くの臨床的な症状として、個人が最低数ヶ月から1年にわたって1日数時間の電磁界曝露を受けていると、良性の病気や症状(例:難治性の痛みや医療問題)の発生が見られ、それが数年から10年以上の長期間になると、さらに重い病気(例:消化器官やその他の臓器のガン)の発生が見られる。
それらは共に、トルモボキサンに関係する抹消血流の障害発生、細菌やウイルスの空気感染、アセトルコリンの減少や欠乏、鉛・水銀やアルミの沈着、アスベストの有無に関連している。
These abnormal
environmental EMF's or EF's can be detected by the Bi-Digital O-Ring Test,
which has good correlation with standard laboratory measurement, especially
with EF measurement, and the distribution of EMF often includes a linear
band-like appearance on the abnormal part of the patient's body, as well as on
the patient's corresponding area of the bed, or at the workplace.
これらの異常な電磁界・電界はオーリングテストで検出できる。
オーリングテストは、標準的な実験室環境下でのテストと良い相関が得られている。
特に電界との関係は良好である。
電磁界の分布は、患者の職場やベッドに相対する位置に、しばしば患者の身体の異常な部位の上に、線で領域を示す形で、現れる。
These EMF's can be
eliminated either by a metal sheet, acting as a reflector, which redirects the
harmful EMF or eliminates it completely by grounding the metal sheet at high
frequency range, while extremely low frequency (ELF) magnetic fields at the
near field are more difficult to eliminate.
これらの電磁界は反射物として働く金属板によって除去できる。
有害な電磁界の方向を変え、大地に接地することによって高周波成分は完全に除去できる。
しかし近傍界におけるELFの極低周波磁界は除去することが容易ではない。
Several examples of medical problems that appear to be associated with repeated
and prolonged exposure to abnormal environmental EMF, EF or MF are summarized
in this article.
繰り返し・長期にわたる異常な電磁界・電界・磁界への暴露に関連する幾多の医療問題の例をこの文献にまとめた。
EF or MF-induced
abnormalities were artificially and reversibly created in humans by exposing
the extremities or head to a 10Volt/Meter (V/M) EF at 60 Hz about 33 (evening)
to 50 cm (daytime or after midnight) from a pair of rubber insulated wires
connected to an AC source, but where no current is passed, so that no extra MF exists.
電界もしくは磁界に誘導される異常は、60Hzの電界10V/mを頭や四肢に曝露することによって人為的に、可逆的に、見出される。
この場合は、交流電源に接続された1対のゴム絶縁電線に夕方であれば33cmの距離、日中や深夜であれば50cmの距離であり、電流は流れていないので磁界の発生はない。
After exposing normal
parts of the extremities and head to a 10 V/M EF for 5 minutes, abnormal
increase of TXB2 and disappearance or significant reduction of acetylcholine
was observed for 5 minutes, and slightly longer abnormal time duration was
observed in those who have aluminum, lead, or mercury deposits.
5分間10V/mの電界を四肢や頭の正常な部位に曝露したとき、トルモボキサンは異常に増加し、アセチルコリンの消失もしくは有意な減少は5分間にわたって観察される。
もし、人がアルミ・鉛・水銀などの沈着があれば、この時間は長くなる。
This indicates that the
upper limit of relatively safe EF should be around 10V/m at 60 Hz rather than
25V/m at ELF by Swedish Government recommendation, which is now widely
accepted.
この知見は、広く受け入れられているスウェーデンの推奨値である25V/mではなく、60Hzにおける電界曝露の上限値を10V/m
にすべきということになる。
(ABSTRACT TRUNCATED AT
400 WORDS) 概要は400語でカットされた。
*その2 1993年の論文
これもPubmedの概要を翻訳しています。
掲載誌:Acupunct Electrother
Res. 1993 Jan-Mar: 18(1):33-73.
論文名:Electro-magnetic
fields in the home environment (color TV, computer monitor, microwave oven,
cellular phone, etc) as potential contributing
factors for the induction of oncogen C-fos Ab1, oncogen C-fos Ab2, integrin alpha 5 beta 1 and development of cancer,
as well as effects of microwave on amino acid composition of food and living
human brain.
研究者:Omura Y, Losco M.
概要:
The effects, on normal human subjects, of 3 minutes exposure to
electro-magnetic fields (EMFs) emitted from: A) personal computers, B) color
television sets, or C) microwave-ovens, or cellular phones were compared by
placing the same large sheet of aluminum foil with a square hole or rectangular
band-shaped hole at the chest level (or at the side of the head with the
cellular phone), with or without grounding the aluminum foil, using the
Bi-Digital O-Ring Test Dysfunction Localization and Molecular Identification
Methods with cancer related substances (i.e, Oncogen C-fos Ab2 and mercury in
the cell nucleus, Integrin alpha 5 beta 1 in the cell & nuclear membranes,
and disappearance of Acetylcholine) as reference control substances.
一般の健常者に、パソコンモニター、カラーテレビ受信機、電子レンジ、携帯電話からの電磁波を3分間暴露させた時の影響を、同じサイズの四角い穴か三角形の穴をあけたアルミ箔を胸の上に置き、アルミ箔を接地した時としない時、オーリングテスト法で、ガンに関連する物質(オンコジンなど)の検知と機能障害を、比較検討した。
All the above sources of the EMFs not only induced the following various
transitional abnormalities on the EMF entry area, but also induced similar
abnormalities at the EMF exit area on the back (where the abnormality was found
in the same shape as exposed EMF entry area, and the effect lasted for a
shorter time than the entry point of the EMF):
全ての上記電磁波源は以下に述べる様々な一過性の異常を誘発するだけではなく、暴露したからだの背面でも同様な影響が現れた。
背面での影響はより早く消失した。
A) Exposure of the body at about 50 cm from the monitor of some of the typical
personal computers resulted in: A1) decrease in Acetylcholine; A2) appearance
of circulatory disturbance with the appearance of Thromboxane B2; A3)
short-lasting appearance of Oncogen C-fos Ab2; A4) short-lasting appearance of Oncogen C-fos Ab1, though it
lasted longer than C-fos Ab2; A5) no appearance of
Integrin alpha 5 beta 1.
A)コンピュータモニターから50cmの所で人に暴露した場合、以下のことがわかった。
A1)アセチルコリンが減少。
A2)トロムボキシンB2の発現と共に、血流障害が発生した。
A3) オンコジンC-fos Ab2が短時間だけ発現した。
A4) オンコジンC-fos Ab1が短時間だけ発現したが、発現時間はオンコジンC-fos
Ab2より長かった。
A5)インテグリンの発現はなかった。
B) part of the chest was exposed at a distance between 1 meter and up to 3
meters from a color television sized anywhere from 13'' to 21'', resulting in:
B1) decrease in Acetylcholine; B2) appearance of circulatory disturbance with
the appearance of Thromboxane B2; B3) short-lasting appearance of Oncogen C-fos Ab2; B4)
short-lasting appearance of Oncogen C-fos Ab1, though it lasted longer than C-fos
Ab2; B5) very short-lasting appearance of Integrin alpha 5 beta 1.
B)13−21インチのカラーテレビ受信機から1mないし3mの距離で胸の部分を暴露すると、以下の結果が得たれた。
B1)アセチルコリンが減少した。
B2)トロムボキシンの発言と共に、血流障害が現れた。
B3)オンコジンC-fos Ab2オンコジンC-fos Ab2が短時間だけ発現した。
B4)オンコジンC-fos Ab1が短時間だけ発現した。その発現時間はオンコジンC-fos
Ab2より長かった。
B5)インテグリンは極めて短時間だけ発現した。
C) When body was exposed, at a distance of 0.5m-2 meters, to microwaves emitted
as leakage from a small microwave oven (about 2.45 GHz with 450 Watt output),
the effects usually lasted about 2 to 3 times the exposure time at the exposed
area and 1.6 to 2 times the exposure time at the back of the body at the EMF
exit area.
c)小型の電子レンジ(2.45GHzで動作、出力450W)から漏洩するマイクロ波に対して、0.5−2mの距離で暴露した場合、暴露した箇所では暴露時間の2-3倍の時間で影響度は消え、暴露した体の背面での影響は、1.6-2倍の時間で消えた。
(ABSTRACT TRUNCATED AT 400 WORDS) 概要は400語の制限によりカットされた。
概要が途中で切れています。
電気機器からの電磁波の短時間暴露によって、一過性であるが、体内にがんに関連する物質が発現した・・・・・という意味の研究結果です。
関心のある方は、原著論文を入手して、読んでください。
参考:
上記に登場するアセチルコリンとは?
Wikipediaの解説から引用
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アセチルコリン(Acetylcholine,ACh)は神経伝達物質である。副交感神経や運動神経の末端から放出され、神経刺激を伝える。
コリンの酢酸エステル化合物。化学式は
CH3COOCH2CH2N+(CH3)3。
アセチルコリンは骨格筋や心筋、内臓筋の筋繊維のアセチルコリンの受容体に働き、収縮を促進する。
自律神経の内、副交感神経を刺激し、脈拍を遅くし、唾液の産生を促す活性がある。
1914年にヘンリー・H・デイルによって発見され、オットー・レーヴィによって神経伝達物質であることが明らかにされた。
彼らはこの業績により1936年にノーベル生理学・医学賞を受賞している。
アセチルコリンは酵素コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)によってコリンとアセチルCoAから作られる。
有機水銀はスルフヒドリル基と親和性が高く、これによりこの酵素の機能が阻害され、アセチルコリン濃度が低下し、運動障害を生じさせる。
通常、生体内で放出されたアセチルコリンは、酵素アセチルコリンエステラーゼ(AChE)の作用で、コリンと酢酸に速やかに分解、除去される。
神経ガスはこの酵素を阻害するため、アセチルコリンが除去されず、痙攣、唾液過多、瞳孔の収縮などの症状がみられる。
一部の殺虫剤にはアセチルコリンエステラーゼを阻害する物質が含まれている。
一方、脳内のアセチルコリンの相対的減少はアルツハイマー病と関連があるとされ、コリンエステラーゼ阻害剤、ドネペジル(商品名アリセプト)が治療薬として用いられている。
一方、脳内のアセチルコリンの相対的増加はパーキンソン病と関連があるとされている。
ボツリヌス毒素はSNARE蛋白を切断することにより、アセチルコリンの放出を阻害する作用がある。
アセチルコリンの受容体は、ニコチン性アセチルコリン受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体に大別され、それぞれニコチン(少量の場合)、ムスカリンを投与したときに作用する。
逆にアトロピンやスコポラミンはムスカリン性アセチルコリン受容体を阻害する作用(抗ムスカリン作用)がある。
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オンコジンとは?
同じくWikipeidaの解説から
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がん遺伝子(オンコジン:oncogene)とは、ある正常な遺伝子が修飾を受けて発現・構造・機能に異常をきたし、その結果、正常細胞のがん化を引き起こすようなもののことをいう。
このとき、修飾を受ける前の遺伝子をがん原遺伝子
(proto-oncogene) と呼ぶ。
1911年に、ペイトン・ラウスにより、ニワトリに癌(肉腫)を発生させるウイルスが発見され、発見者の名をとりRous=ラウス肉腫ウイルス(レトロウイルス)と命名された。
その後の研究により、このウイルスには、自身の増殖に関する遺伝子以外に、細胞を癌化に導く遺伝子が存在することが判明した。
その遺伝子こそが、世界で初めて発見された、がん遺伝子=Src(Sarcoma〔肉腫〕の意味)と呼ばれるものである。
がん遺伝子には、細胞増殖因子やその受容体チロシンキナーゼ、srcのような非受容体型チロシンキナーゼ、ras(rat sarcomaの意味)のような低分子量Gタンパク質、その下流にあるセリン・スレオニンキナーゼといったシグナル伝達因子の他、さらに下流で機能するmycやetsなどの転写因子が含まれる。
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