1.日本における電波(電磁界)曝露に関する法令
2.WHO世界保健機構の国際電磁波プロジェクト
2A.低周波電磁界の環境保健基準の内容
3.ICNIRPのガイドライン(1998)の概要
3A.ICNIRP低周波電磁界ガイドラインの改訂案ドラフト(2009年7月)
3B.ICNIRPガイドライン値以下は「安全な曝露値」
3C.ICNIRPの声明:IARCのELF磁界の発がん性判定2Bに関する声明
4.アメリカIEEEの電波防護規定
5. 総務省の電波防護指針とICNIRP・IEEEの一般公衆への曝露基準の比較
6.欧州の共通電磁界場曝露規定
7.欧州の共通電磁界場曝露規定 進捗状況
8.北欧の情報処理機器からの規定
9.欧州の職業的な電磁界曝露規定
9A.欧州議会の動向 無線周波数での曝露限度3V/mの規制を議員が提案 その後は?
10.ILO文書「Ambient Factors in the Workplace 職場における環境要因」1999年の中の電磁波曝露に関する規定
11.CRTディスプレィに関するTCO 03の電磁界関係の規定 概要
12.フラットパネルディスプレィに関するTCO 03の電磁界関係の規定 概要
13.デスクトップコンピュータ関するTCO 05の電磁界関係の規定 概要
14.ノートパソコンに関するTCO 05の電磁界関係の規定 概要
15.環境省H17年報告書から 各国の防護指針の動き
17.イタリアの電磁波曝露規定に関する情報
17A.オランダの厳しい電磁波曝露規制
17B.オランダ予防原則適用の事例2006年変電所に隣接する小学校
18.フォローゲン州の厳しい電磁波曝露規定の調査
19.ドイツの予防原則
20.総務省H18年度海外基準・規制調査報告書
21.ドイツの携帯電話に関するブルーエンジェル
22.ICNIRP静磁界のガイドラインを改訂 2009年
23.古いアメリカの曝露規定制定の履歴
23A.アメリカ海軍の電磁波曝露規定
24.ドイツにおける移動体電磁波の研究結果
25.スウェーデンのローカルな低周波磁界の規制
26.スウェーデンの2009年 政府としての勧告
27.ドイツの電力設備からの電磁界曝露 法規制
28.旧ソ連の文献1970年に提唱されていたマイクロ波電磁界曝露限度値
28A.ソ連の低周波電磁界の規制
29.1997年にあった電磁波に関するJIS規定の動き
30.サンフランシスコ市の携帯電話SAR表示条例
31.フランスでの子供の携帯電話規制
32.アメリカにおける送電線からの電磁界に関する法的な規制
33.アメリカ カリフォルニア州アーバイン市の磁界規制に関する実態
33A.JEICニュース21号にみるアーバイン市の磁界規制
34.WHOのEHC環境保健基準を否定していた荻野晃也
35.2012年09月インドの携帯電話規制−1
36.2012年09月インドの携帯電話規制−2
37.疑問だらけで恥ずかしい全国電磁波測定士協会の自主基準
1.日本における電波(電磁界)曝露に関する法令
日本では1990年に郵政省(現在総務省)は電波防護指針というガイドラインを発行した。
これは10KHz以上300GHzの電波領域の電磁界を曝露した時の健康影響を防ぐために、限度値として提唱されたものである。
職業的な曝露に対する限度値と、一般公衆に対する限度値が規定されていた、当然一般公衆に対する限度値の方が低く抑えられている。
しかし、このガイドラインは法的な強制力を持たないガイドラインであったので、実効性をあげる為に、電波法が改正され、1999年から強制力を持つようになった。
******** 総務省のWEBにあった情報から抜粋 *************
電波法(抜粋)
(安全施設)
第三十条 無線設備には、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えることがないように、総務省令(*)で定める施設をしなければならない。
* 施行規則第二十一条の二−第二十七条
電波法施行規則(抜粋)
(電波の強度に対する安全施設)
第二十一条の三 無線設備には、当該無線設備から発射される電波の強度(電界強度、磁界強度及び電力束密度をいう。以下同じ。)が別表第二号の二の二に定める値を超える場所(人が通常、集合し、通行し、その他出入りする場所に限る。)に取扱者のほか用意に出入りすることができないように、施設をしなければならない。
ただし、次の各号に掲げる無線局の無線設備については、この限りではない。
一 平均電力が二十ミリワット以下の無線局の無線設備
二 移動する無線局の無線設備
三 地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合において、臨時に開設する無線局の無線設備
四 附則(平成十年十月一日 郵政省令第七十八号)
1 この省令は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。
別表第二号の二の二 電波の強度の値の表 |
||||
周波数 |
電界強度 |
磁界強度 |
電力束密度 |
平均時間 |
10kHzを超え30kHz以下 |
275 |
72.8 |
- |
6 |
30kHzを超え3MHz以下 |
275 |
2.18/f |
||
3MHzを超え30MHz以下 |
824/f |
2.18/f |
||
30MHzを超え300MHz以下 |
27.5 |
0.0728 |
0.2 |
|
300MHzを超え1.5GHz以下 |
1.585f1/2 |
f1/2/237.8 |
f/1500 |
|
1.5GHzを超え300GHz以下 |
61.4 |
0.163 |
1 |
注 f : MHzを単位とする周波数である。
*********** ここまでが引用 ************ **************
従って、周波数20kHzの磁界への曝露限度値は72.8 A/mであり、換算すると91.4マイクロテスラとなり、914ミリガウスと等価となる。
同様に、8 MHzの磁界への曝露限度値は、2.18/8(MHz)=0.27 A/mであり、換算すると0.34マイクロテスラで、3.4ミリガウスと等価となる。周波数が異なると磁界曝露限度値などは大きく変化する。
この法律の意味は、電波は出しても良い(電磁波は放射しても良い)が、人が近づくような場所では限度値を超えた曝露であってはならず、超える時は人が立入ることができないような処置をとればよいということである。
10kHz以下の電磁界に関しては、電波法の適用外ということで、電波法では規定されていない。
1990年の電波防護指針の策定に当たり、送電線などに由来する50Hzや60Hzの低周波電磁界への曝露に関しては、通産省資源エネルギ庁の所管であり、郵政省は手を出すことができず、電波法に規定する10KHz以上の電磁界に関するガイドライン策定に留まっている。
2.WHO世界保健機構の国際電磁波プロジェクト
電磁波の健康影響に関する論文は、問題を見つけたという報告と、問題はなかったという報告、問題を見つけた研究の追試結果で再現しなかったという報告などが、錯綜している。 これらの論文を公正な立場で評価して、全体像を見出すことはなかなか困難であり、その結論を「公正、中立、科学的」といずれからからも評価される必要がある。 各国や学術学会などでそうした全体像の把握と結論を提案してきているが、必ずしも各界から賛意が得られているとは限らない。
そこで、WHOは電磁界発生源の増加やその形態の多様化による電磁界曝露の健康影響が懸念されていること等を受けて、電磁界曝露や環境影響を評価する国際プロジェクトを発足させた。 これがWHO国際EMFプロジェクトである(1996年5月設立)。 このプロジェクトの中でWHOは公式かつ独立性を保って、「電磁界による生物学的影響に関する研究論文」の厳正な評価を行っている。当初は5年計画であったが、延長され10年計画となっている。
こうした経緯からWHOの見解や発行文書は十分に信頼のおける科学的な根拠であると言える。
詳細はWHOのWEB http://www.who.ch/emf/
を参照。
WHOのプロジェクトでは評価は行うが、曝露限度値に関しては、共同研究を行っているICNIRP国際非電離放射線防護委員会が定めることに、限度値に適合しているか否かの測定方法に関してはIEC国際電気標準会議が担当することになっている。
作成:2006−12−9
環境省「平成17年度 一般環境中電磁界曝露に係る情報収集 報告書」平成18年3月 には、以下の報告があります。
発行が期待されている(2007年春には刊行?)低周波電磁界の環境保健基準の目次だけは明らかになっています。
この目次をみれば、「規制するための基準の提案」に相当するような項目はありません、 「各国政府への提言」の項目の中に含まれるのでしょうか?
環境保健基準 超低周波電磁界
超低周波電磁界の環境保健基準の最終稿がWHOのvan Deventer 女史から説明され、質疑が行われた。
目次を表1.1.11 に示す。
表 1.1.11 環境保健基準 超低周波電磁界(Environmental
Health Criteria: Extremely low frequency fields)
WHO 国際電磁界プロジェクト、ジュネーブ、スイス、2005年6月
目次
序
1.概要と今後の検討課題の提言
2.発生源、測定および曝露
2.1 電磁界
2.2 電磁界の測定と計算
2.3 変動磁界の発生源:自然環境
2.4 磁界の発生源:人為的
2.5 磁界への曝露
2.6 電界
2.7 疫学研究での曝露評価
3.体内線量測定
3.1 序論
3.2 人体および動物でのモデル化
3.3 電界線量評価
3.4 磁界線量評価
3.5 接触電流
3.6 多様な曝露の比較
3.7 微視的線量評価
3.8 結論
4.生物物理学的メカニズム
4.1 序論
4.2 蓋然性の概念
4.3 誘導電流と電磁界
4.4 電磁界のその他の直接効果
4.5 電磁界の間接影響
4.6 まとめ
4.7 曝露反応
4.8 結論
5.神経行動科学的反応
5.1 電気生理学的視点
5.2 志願者実験研究
5.3 疫学研究
5.4 動物実験
5.5 結論
6.神経内分泌系
6.1 志願者実験研究
6.2 動物実験
6.3 結論
7.神経変成疾患
7.1 アルツハイマー病
7.2 筋萎縮性側索硬化症
7.3 パーキンソン病等
7.4 考察と結論
7.5 提言
7.6 最終評価
8.心臓血管疾患
8.1 電磁界曝露による人での心臓血管系への影響
8.2 疫学
8.3 結論
8.4 提言
9.免疫および血液系
9.1 免疫系
9.2 血液系
9.3 結論
10.生殖および発達
10.1 疫学
10.2 哺乳動物への影響
10.3 非哺乳動物への影響
10.4 結論と評価
11.癌
11.1 IARC2002年評価の概要
11.2 疫学研究
11.3 実験動物での発ガン
11.4 疫学および動物研究での量反応解析
11.5 In vitro 癌研究
11.6 結論
12.健康リスク評価
12.1 発生源と曝露
12.2 超低周波線量評価と相互作用メカニズム
12.3 生理学的反応
12.4 生殖および発達への影響
12.5 心臓血管系および神経変成疾患
12.6 癌
12.7 最終評価
13.予防対策
13.1 序論
13.2 保健政策における一般的問題
13.3 電磁界政策での科学的背景
13.4 WHOの枠組み
13.5 各国政府への提言
文献
付録 疫学研究での量反応解析
ページ数は343ページを超えている。
3.ICNIRPのガイドライン(1998)の概要
作成: 1998ー8ー24
1998年4月に「時間変化する電界、磁界および電磁界への曝露制限の為のガイドライン(300GHzまで)」というガイドラインが、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)から発行された。
このガイドラインは、英文版等の正式発行に一足早く、日本語訳が世界に先駆けて発行された。これは、1998年4月に東京でICNIRPの国際シンポジウムが開催されたので、これに間に合わせるべく刊行の準備が行われたからである。
ICNIRPの国際シンポジウムに参加して(聴講してというべき、)この最新の国際的なガイドラインを入手したので、概要を紹介します。このICNIRPのガイドラインが各国の政府に採用されて、それぞれの国の曝露基準になっていきます。
以下に概要を示します。 ( )内は私のコメントです。
概要;
このガイドラインは直流の電磁界、すなわち時間で変動しない電磁界を除いて、いわゆる交流電磁界の全てを包含するものである。
ペースメーカを埋めこんだ人への影響はこのガイドラインでは対象外とする。 こガイドラインを順守してもそうしたペースメーカなどへの影響は必ずしも防止されない。
医療用の機器との電磁波干渉も必ずしも防止されない。
このガイドラインは有害な電磁波の健康影響の確認が進展すれば、更新される。
電磁波の影響に関しては、「確立した」影響のみが曝露制限の根拠として採用。
(当然、今色々と研究されているテーマで、電磁波の影響が確立すれば、このガイドラインは更新される。)
50Hz等の低周波磁界の発ガンへの影響は、そうした可能性を示唆する報告はあるが、説得力に乏しい証拠しか提出されていないので、得られているそうしたデータは、曝露制限の選定の根拠とするには不十分である。
(疫学調査に基づく磁界の発ガンの可能性については、まだ採用しない。)
1,000MHzの周波数で動作している携帯電話等の機器では、近傍界での人の曝露が起こる。 この曝露影響は遠方界での曝露と異なる。 磁界の影響が支配的かも知れない。
約10GHzより高い周波数の電磁波曝露では、生体組織への侵入深度は小さい。
(体の中まで浸透しない。 体の表面に影響が集中する。このように周波数によって制限する指標も異なってくる。)。
第1章 根拠とした研究の内容:
1)100KHzまでの電磁波
生殖への影響:
現在入手可能な情報において、パソコンなどのVDTへの職業上の曝露と生殖への有害な影響との関連を裏付けることは出来ない。
住居環境での50Hz等の磁界の影響:
アメリカのNAS委員会の報告の後の研究には、1997年に発表したノルウェーの研究がある。
近接の送電線とあらゆる小児癌500例の症例を解析、白血病・脳腫瘍・リンパ種等に磁界との関連は見出せなかった。
1997年に発表されたドイツの研究がある。 症例129で小児白血病に関して解析、2ミリガウス以上では相対リスクは3.2と高かった。
1997年に発表されたアメリカの研究がある。小児白血病に絞って症例数も大きく638例、電線コード(ワイパーが最初に小児癌と送電線の磁界の関係を見出した研究で採用した研究手法、実際の磁界等を測定しないで、送電線の形式等から磁界が多いか少ないかを推定して解析を行う手法)では白血病との因果関係は見つからなかった。
実際の磁界測定値との関係では、3ミリガウス以上で相対危険度は1.7であった。
成人の癌と住居環境の磁界とのデータは乏しく、小児白血病を含む癌に関する疫学研究は、実験研究による証拠立てを欠いているので、曝露指針策定の科学的根拠とするには十分に強力ではない、というICNIRPの見解である。
細胞および動物実験:
低周波電磁界の生物学的影響を調べる多くの研究が行われているものの、生体機能に重大な混乱を生じる閾値となる電界・磁界を決定すうという体系的な研究はほとんどなされていない。
(健康影響が検出された報告があったとしても、どこまで低くすれば問題がなくなるかを研究したり、健康影響がなかったとした研究ではどこまで強い電磁波を与えても問題はなかったのか などという危険・安全の限界を調べる研究はほとんどない、ということです。)
低周波電磁界が発ガン性をもつという証拠はない。
最近の研究では、化学的な他の発癌物質で癌を発生しやすくし(イニシエーションという)その状態で電磁波を浴びせて、発ガンの頻度の増加等のプロモーション(癌への促進作用)への影響可能性の調査に焦点を置いている。
肝臓の部分切除したラットに対して、発ガン性のある化学物質でイニシエーションと、化学物質で癌の促進効果を与えた状態で、50Hzの磁界 5ミリガウスから500ミリガウスまで曝露させた時、肝癌の病巣の発育に影響はなかった。
発癌性の化学物質でイニシエーションした鼠類の動物の乳癌の発育に関する研究では100ミリガウスから300ガウスの商用周波数(50Hz、60Hz)の磁界の曝露によって、乳癌の促進を示唆した。
(この研究で、100ミリガウスでも癌の促進作用を示したのか? はこのガイドラインの解説では不明です。そこまでは記載されていません。原著を読む必要があるかも知れません。)
こうした研究では、別個の研究機関による研究成果の再現が必要である。
(1つの研究で結論を出す事は科学的ではない。別の独立した研究で再現出来て、始めてそうした研究報告は認められるようになる。そうした再現性が得られない限り、このICNIRPとしては、国際的なガイドラインに採用する曝露基準の設定の根拠に採用しない。)
疫学調査(送電線と小児癌の関係などの研究等)は、実験研究による裏付けがないため曝露ガイドラインに盛り込まれるには不十分である。
2)100KHzから300GHzまで
癌リスクとマイクロ波曝露の研究はほとんど存在しない。
航空機産業と米軍におけるレーダー労働者についての2つの疫学研究では、全罹病率又は全死亡率の増加の証拠は何も見出されなかった。
低レベルのマイクロ波曝露を慢性的に受けたモスクワの米国大使館従業員についての研究の結果も同様であった。
1996年の研究で、携帯電話のユーザの間では全死亡率の過剰は見られなかった。
霊長類の目の網膜、高彩や角膜内皮が低レベルのパルス変調のマイクロ波放射の影響を受けやすい事を示唆している。 Keussの1993年の報告で、網膜の光感受性細胞の変性が報告されたが、1994年に他の機関が再現実験を試みたが再現はしなかった。Keuss等の研究は、現時点では評価する事が出来ない。
4W/kgのSAR値を生ずる強い電磁波への曝露は、体の熱調節能力を破綻させ、生体組織に有害なレベルの加熱を生ずる可能性がある。 このことから、職業人の曝露基準を、10分の1(安全率10を見込む)にとって、0.4W/kgとする。 一般公衆に対してはさらに安全率を5として、0.08W/kgとした。 これらの安全率は、まだ未解明の研究成果などに対して、考慮してある、ということもできる。
第2章 曝露制限の為のガイドライン
曝露影響に対する制限は、確立された健康影響を根拠とした。全てを紹介しきれません。 一部のみ紹介します。
基本制限:
表4 周波数10GHzまでの時間的に変化する電磁界に対する基本制限: 公衆の曝露
周波数範囲 |
頭部および体幹の電流密度(mA/m2)(rms) |
全身平均SAR (W/s) |
局所SAR (頭部と体幹) (W/s)10gあたり |
局所SAR(四肢)(W/s) 10gあたり |
1Hzまで |
8 |
− |
− |
− |
1−4Hz |
8/f |
− |
− |
− |
4Hz−1kHz |
2 |
− |
− |
− |
1−100kHz |
f/500 |
− |
− |
− |
100kHz−10MHz |
f/500 |
0.08 |
2 |
4 |
10MHz−10GHz |
− |
0.08 |
2 |
4 |
注:1. f はHzを単位とした周波数
100kHzを境にして、低いときは体に誘導する電流(感電)、高いときは熱が発生する量で規制している。
携帯電話のハンドセットからの電波で頭部が受ける量をSARで規制し始めているが、根拠はこの表である。
参考とする管理制限: 参考レベル
上記の基本制限は、測定などによる検証が困難なので、以下の参考レベルが提案されている。 よって、参考レベルを超えても、基本制限に立ち返って検証し、その結果が管理制限を満足していることが確認できれば良い。
1)職業的な曝露制限
50Hzの磁界 5ガウス(0.5ミリテスラ)
100KHzから10GHzまで 全身平均SAR 0.4W/kg
10GHzから300GHzまでの電力密度 5mW/cm2
900MHzの電界 90V/m
2)一般公衆に対する曝露制限(詳細は以下の表7に示す)
50Hzの磁界 1ガウス(0.1ミリテスラ)
100kHzから10GHzまで 全身平均SAR 0.08W/kg
10GHzから300GHzまでの電力密度 1mW/cm2
900MHzの電界 41V/m
(これらの曝露制限値を超えたから「健康に危険」と断定することはできない。)
表7:時間的に変化する電界及び磁界への公衆の曝露に関する参考レベル(無擾乱rms 値)
周波数範囲 |
電界強度 (V/m) |
磁界強度 (A/m) |
磁束密度 (μT) |
等価平面波電力密度 Seq (W/m2) |
1 Hzまで |
− |
3.2×104 |
4×104 |
|
1-8Hz |
10,000 |
3.2×104/f2 |
4×104/f2 |
- |
8-25Hz |
10,000 |
4,000/f |
5,000/f |
- |
0.025-0.8kHz |
250/f |
4/f |
5/f |
- |
0.8-3kHz |
250/f |
5 |
6.25 |
- |
3-150kHz |
87 |
5 |
6.25 |
|
0.15-1MHz |
87 |
0.73/f |
0.92/f |
- |
1-10MHz |
87/f1/2 |
0.73/f |
0.92/f |
- |
10-400MHz |
27.5 |
0.073 |
0.092 |
2 |
400-2000MHZ |
1.375f1/2 |
0.0037f1/2 |
0.0046f1/2 |
f/200 |
2-300GHz |
61 |
0.16 |
0.20 |
10 |
注: 1. f は、周波数範囲の欄に示す単位で表される。
2. 基本制限が満たされ、間接的な結合による有害な影響が排除できれば、電磁界強度が表の値を超えてもよい。
このガイドラインの日本語版は日本保健物理学会のWEBで、個人利用に限定してファイルが公開されている。
記:2009年8月2日
ICNIRPの新低周波電磁界ガイドライン(1Hz-100kHz)のドラフトが公開されました。 20097月29日付けの文書です
このドラフトに関して、ICNIRPでは今年度末までに、広くコメントを集めて検討し、その結果で、正式発行する見込み。
http://www.icnirp.de/ のサイトに 「ELF open
Consultation」文書として公開されています。
三浦は今、ダウンロードしました。 これから読んでいきますが、ざっと目を通した感じでは
*これまでの基本制限は、体内に誘導さえる誘導電流で規制していました。
一方、アメリカのIEEEは体内に誘導される体内電界強度で規制したほうが 好ましいと主張してきました。
新版では、基本制限はアメリカIEEEの考え方を採用しているようです。
*50Hz から100Hz の磁界に関しては 参照レベルは、一般公衆に対して、50Hzでは100μTと これまでと同じです。
*少し高い周波数では、アメリカのIEEEに近い方向に、3倍ほど緩和されています。
例;20kHzのIH調理器からの磁界曝露に関しては、一般公衆の曝露
従来は6.25μTであった。
新版では20μTと約3倍に緩和
となっています。
関心のある方は、上記のサイトからダウンロードして読んでください。
記:2010−11−17
平成22年11月4日(木) 日本科学未来館 みらいCANホールで開催された電磁界情報センタ特別講演(ICNIRP議長パオロ・ベッキア氏)「超低周波電磁界に関するガイドラインの改定について」の講演から抜粋
以下の見解が紹介された。
*************** レジメから抜粋 ************
****************** ************
ICNIRPの曝露限度値を超えない範囲は「安全な曝露」である と。
2004−10−22のログ WEBに公開2014−2−12
http://www.icnirp.de/activities.htm#9st にあった内容
****************************
IARC's evaluation of carcinogenic risks to
humans from exposure to electric and magnetic fields
The International Agency for Research on Cancer (IARC) held a monograph meeting
in June 2001 to evaluate the scientific evidence that exposure to extremely low
frequency (ELF) electric and magnetic fields may cause cancer in humans.
As an outcome of the meeting, reported in a press release by IARC, ELF magnetic
fields were classified in Group 2B, i.e. as possibly carcinogenic to humans.
The classification was based on limited, but consistent, evidence of an
epidemiological association between residential magnetic field exposure and
childhood leukemia.
No consistent evidence was found of other childhood tumors, as well as of any
adult cancer, neither for occupational nor for residential exposure.
Because of insufficient data, ELF electric fields could not be classified as to
their carcinogenicity to humans.
The IARC evaluation was based on a comprehensive review of the pertinent
literature.
Two recent pooled analyses of original data from several epidemiological
studies played a crucial role in the classification.
ICNIRP reviewed the scientific literature on health effects of ELF fields, with
special attention to epidemiological studies and meta-analyses, as a step in
the development of its guidelines issued in 1998.
It was concluded that in
the absence of support from laboratory studies, the epidemiological data were insufficient to
allow an exposure guideline to be established.
ICNIRP’s view does not conflict with IARC’s classification.
Although the support for the possibility
that ELF magnetic fields are carcinogenic has strengthened since 1998, changes in present guidelines would
not be justified.
原文の一部だけ、翻訳します。
実験室での研究で支持されない疫学研究データは、暴露基準を設定するには不十分であると結論付けた。
現行のガイドラインを変更することは正当化されない。
職業的な曝露に関する規定と、厳しい一般向け曝露基準があるが、ここでは一般向けのみを紹介する。
周波数によって、曝露しても良い基準は異なる。 磁界と電界では異なる。
一般公衆向け曝露基準 Uncontrolled access exposure
limits (IEEE C95.1-1991
|
|
平均時間 Averaging
time |
|||
Frequency range |
電界E |
磁界 H |
電力密度Power density, S |
E2 and S |
H2 |
0.003--0.1 |
614 |
163 |
[100, 1 000 000] |
6 |
6 |
0.1--1.34 |
614 |
16.3/fm |
[100, 10 000/fm2] |
6 |
6 |
1.34--3 |
823.8/fm |
16.3/fm |
[180/fm2,
10 000/fm2] |
fm2/0.3 |
6 |
3--30 |
823.8/fm |
16.3/fm |
[180/fm2,
10 000/fm2] |
30 |
6 |
30--100 |
27.5 |
158.3/fm1.668
|
[0.2, 940 000/fm3.336]
|
30 |
0.0636fm1.337
|
100--300 |
27.5 |
0.0729 |
0.2 |
30 |
30 |
300--3000 |
-- |
-- |
fm/1500 |
30 |
-- |
3--15 000 |
-- |
-- |
fm/1500 |
90 000/fm |
-- |
15 000— |
-- |
-- |
10 |
616 000/fm1.2
|
-- |
Note: fm = frequency in units of MHz. The exposure values in terms of electric and magnetic field strength
are the values obtained by spatially averaging values over an area equivalent
to the vertical cross section of the human body (projected area). |
*磁界に関してみれば、電磁調理器などに用いられている20kHz から50kHzの磁界強度に対して、100kHzを超えると、厳しくなってくる。
*100MHzから300MHzの周波数でもっとも厳しくなっている。これは人の身長に関連する。 人がこの周波数帯域で電波をもっとも受けやすい(受信アンテナ)身長になっていることによる。
5.総務省の電波防護指針とICNIRP・IEEEの一般公衆への曝露基準の比較
一例として、磁界への曝露(一般公衆への曝露限度値)の差異を紹介します。
厳しいから良いとはいえない、甘いから良いともいえない。 数字の判断はきわめて微妙です。
注) 周波数の単位は Hz である。
EC共同体(EU)では、1999年7月12日付けで、「電磁界(0〜300 GHz)への一般大衆の被爆限界に関するEU勧告」を発行した。
参考文献:安全問題研究会四季報 1999年秋号
概要:
*加盟国は、大衆被爆に対して付則Uに示される基本的制限の達成を目指すこと。
*加盟国は、付則Uに示される基本的制限を促進および推進するために、 付則Vに示される被爆審査用の参照レベルあるいは科学的に証明された測定結果および基本制限への適合性を評価する為に考案された計算手順に基づく、 欧州または国内の規格を考慮する。
*加盟国は、本勧告に沿って電磁界への大衆被爆に関する政策を採択する際に、リスクと利益の双方を考慮すること。
*本指令の採択から3年経過後に、施策にどのように反映されているか、欧州委員会に報告すること。
*付則U、付則V: 3項に紹介した1998年ICNIRPガイドラインに同じ。
この勧告に従って、EUの加盟各国は自国の法律に、電磁界曝露規定はICNIRPのガイドラインを採択する様に、勧告されている。
7.欧州の共通電磁界場曝露規定 進捗状況
EU情報
「Implementation report on the Council Recommendation
limiting the public exposure to electromagnetic fields (o Hz to 300 GHz)」を読んで
作成: 2002−5−29
EUでは1999年7月12日付けで、「電磁界(0〜300 GHz)への一般大衆の被爆限界に関するEU勧告」を発行した。
この指令の採択から3年経過後に、施策にどのように反映されているか、欧州委員会に報告することになっていた。
この報告はこの勧告に基づくものである。
53ページの分量で、簡単に気のついた点を列記する。
EUの勧告はICNIRPガイドラインに準拠している。
*1999年以前の状況から
1998年7月欧州議会はTamino議員に電磁波の健康影響に関するドラフトの作成を命じた。
1999年2月Taminoのドラフトは、色々な疑問点があって、審議は延期された。
1999年3月、欧州議会はTaminoドラフトに関して意見を出し、予防原則とALARAは否定された。
(注:Tamino議員はイタリア選出の欧州議会議員であった。
彼の作成したドラフトでは、送電線などで曝露する低周波磁界の曝露基準は、本来は適用できないMPR2の規定の数字をそのまま流用して、2.5ミリガウスにする、といった内容であった。
かなり無茶な論法であった。 これでは果たして欧州議会で議案として通過するレベルかと、素人目にも、疑う程度のものであった。
2001年頃の調査では、Tamino議員は欧州議会議員名簿の中にはなかった。
その後の欧州議会議員選挙で、再選されなかった。 議員選挙に出馬しなかったのか、出馬したが落選したのかは不詳。)
*その後の状況から
予防原則に関する記述がある。 予防原則とは。環境・人体・動物・植物などに危険を与える可能性がある場合に、科学的な結論が出ない前に行う手法である、電磁波の健康影響の場合は、危険の可能性の有無が科学的に明らかになっていない、「危険を与える可能性」そのものがまだ立証されていないから、電磁波は予防原則の適用の対象でない。と いう論法。
また、現在のICNIRPの規定は急性曝露に基づいているといえども、50倍という安全率を見ているのは、暗黙のうちに、長期曝露に対する影響も考慮しているといえる、という論法。
(この2点の論法に合意する?)
2001年11月にEMF会議が開催された。(この予稿集は入手済だがまったく読んでいない。)
この会議の結果では、現在の規定値を修正する必要はない となった。
*各国の施行状況
オーストリア: 基本的にICNIRP値を適用、但し携帯電話(GSM)の周波数帯ではICNIRP値より高い限度値に設定。
オーストリア連邦法ではなく、ローカルで電磁波曝露規定を設けているところがある。
ベルギー: 2001年4月に10MHzから100MHzの電磁波曝露規定を設定、規定値はICNIRPの規定の半分、例: 900MHzで41.25V/mの代わりに20.6V/m。
デンマーク: ICNIRP値を採用
フィンランド: 1988年の法律で100kHz以上の電磁波はIRPA/INIRC (ICNIRPの前身)の規定を採用。
100kHz以下も含めて、ICNIRP値の採用は2002年3月までに終わる予定。
フランス: 携帯電話の電磁波規定は2001年11月にICNIRP値を採用。
その他のTV放送などの高周波に関しては2002年の初めに発行の予定。
低周波電磁界に関しては2001年5月に制定、ICNIRP値を採用。
ドイツ: ICNIRP値採用であるが、心臓ペースメーカの為に特別に50kHz から50MHzの規定がある。
ギリシャ: ICNIRP値の採用であるが、携帯電話の中継塔に関してはICNIRP値の80%に規制。
アイルランド: ICNIRP値を採用
イタリア: 色々と説明があるが、結局どうなっているのか意味が取れない。予防原則などが絡んでいる。
ルクセンブルグ: 1994年に推奨として、送電線に近接して建物を新築することを許可しなくした。
非電離放射線全般煮に関する曝露規定は準備中である。
携帯電話の中継塔からの電波に関しては最大3V/mとなっている。
オランダ; ICNIRP値を採用
ポルトガル: 規定はまだ出来ていない。準備不足。
スペイン: 2001年9月 ICNIRP値を採用。
但し、学校や病院などでは出来るだけ低い曝露にすること。
スウェーデン: 1998年に予防原則を規定
英国: NRPBの規定(注:ICNIRPより甘い)があり、これをICNIRP値に合わせるか、検討中。
エストニア: ICNIRP値採用 2002年5月以降発効。
ラトビア: 欧州の規定ENV-50166を採用していた。ICNIRPに変更予定。
マルタ: 立法は行わないが、ICNIRP値で十分であると考えている。
ポーランド: ICNIRP値に近いが、周波数によっては低かったり、高かったりする。
特別に学校などでは50Hz電界を1kV/mに規制。
ルーマニア: ごちゃごちゃと説明があって、意味がつかめない。
TVとVDTからの電磁界はチェックの対象になっている。
スロバキア: ICNIRP値採用の予定。
スロベニア: ICNIRTP値であるが、ちょっと異なる部分もある。
チェコ: 2001年1月ICNIRP値を採用
リトアニア: ICNIRP値を採用。VDTに関する規定がある。〔注;内容不明、周波数バンドからMPR2準拠ではないかと想像〕。
スイス: 2000年2月環境保護法で予防原則を採用。電磁波曝露に関してはICNIRP値を採用しなかった。
独自の規定値を作ろうとしたが、十分な情報・根拠が得られず、あきらめた。
ICNIRP値を法律上の規定に採用するかも知れない。
IT ECO Declaration Guideline for IT ECO Declaration
2003 という文書があります。
2003年の自己宣言のためのガイドラインを入手しました。
電磁波の輻射に関する規定もあります。
概要
*ITECOはほとんどが自己宣言で済ませているが、電磁界の測定は試験機関での測定を要求。
*規定として、MPR2でも、TCOでも、prEN50279でも良い。
*VDTからの低周波電磁界の健康影響で問題ありとした研究はない。
*EUの規定はあるが、法規制と関連したものはない。
*EUにはICNIRPの規定を準用した規定がある。
*1996年以降、北欧ではprEN50279に基づく低電磁界のVDTの要求がある。
*prEN50279のカテゴリーC(輻射レベルの規定を設けない)は、アース接地のないクラス2機器を目的としたものである。
カテゴリーA,B(TCO,MPR2と同じレベル)は、アース接地が伴って可能となる。
*WHOのFact Sheet 201を参照のこと
詳細は自己宣言のガイドライン全文を参照してください。
DIRECTIVE 2004/40/EC OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 29 April
2004 欧州の指令 2004/40/EC 2004年4月29日 が刊行された。
作成: 2004−6−21
重要と思われる箇所を抜き出した。
minimum requirements for
encouraging improvements, especially in the working environment, to guarantee a
better level of protection of the health and safety of workers.
職業的な電磁界曝露を防護するための最低限度の要求事項である。
the long-term effects, including
possible carcinogenic effects due to exposure to time-varying electric,
magnetic and electromagnetic fields for which there is no conclusive scientific
evidence establishing a causal relationship, are not addressed in this
Directive.
電磁界による発ガンの可能性などの長期的な影響に関しては、科学的な確証などが得られていないので、この指令の対象外とした。
This Directive lays down minimum requirements, thus giving Member States the
option of maintaining or adopting more favorable provisions for the protection
of workers, in particular the fixing of lower values for the action values or
the exposure limit values for electromagnetic fields.
この指令は最低要求であり、加盟参加国はより好ましい法令を定めることができる、たとえば、この指令に定めた基準値より低くしたりすることである。
exposure to electromagnetic fields (0 Hz to 300 GHz) during their work.
電磁界として0Hzから300GHzまでを対象とする。
"action values": the magnitude of directly measurable parameters,
provided in terms of electric field strength (E),
magnetic field strength (H), magnetic flux density (B) and power density (S),
参考レベルというICNIRPの用語に代えて、ここでは行動値という用語が用いられている。
Modifications of the exposure limit values and action values set out in the
Annex shall be adopted by the European Parliament and the Council in accordance
with the procedure laid down in Article 137(2) of the Treaty.
この指令に規定した曝露限度値、行動値の変更に関しては、欧州条約の規定によって、欧州議会と欧州委員会の承認が必要である。
Table 1: Exposure limit values 曝露限度値
ここを見ると 完全にICNIRPの職業的な曝露値(管理レベル)と同じ
B. ACTION VALUES 行動値
ここを見ると 完全にICNIRPの職業的な曝露値(参考レベル)と同じ
興味のある方は、欧州指令の全文(英文)を入手して読んでください。
記;2016−2−2
*はじめに
欧州議会で無線周波数の人体曝露限度値を3V/mに規制する案が審議されているというニュースがあった。
http://www.interferencetechnology.com/lead-news/article/eu-contends-with-em.html
にあった内容
******************
***********************
欧州議会で電磁波に関する論争
04/01/09 10:23 AM (2009−April−1)
eNewsによれば、人工的な電磁界への曝露とヒトの健康影響に関して、急いで予防原則を適用することに関する聴聞会を開催する予定とのこと。
ベルギーのリベラル議員F.Reisは欧州議会で演説を予定しており、携帯電話の安全性に関する彼女が作成した報告書を持参する予定である。
伝えられるところによれば、Reisは携帯電話だけではなく、Wi-Fiネットワーク、携帯基地局のタワー、電力送電線、GPS受信機、等の「電磁波のカクテル」という用語を使う予定である。
特に、レポートには欧州として、学校・病院・公衆が立ち寄る場所で、送電線から・ラジオ周波数・マイクロ波に曝露する可能性のあるアンテナのある場所・携帯基地局から、特定の距離内では3V/mに規制するということが盛り込んである。
(略)
************************
さて、この厳しい規制に関する提案は、その後どのように、欧州議会で採択されたのか?
*提案文書
提案(別ファイル:この提案・ドラフトの補足説明の中に、3V/mに規制している事例があると記述されている。
以下のドラフト報告書がEU議会のWEBに公開されている。
19 Dec. 2008
Draft Report on health concerns associated with electromagnetic fields
Committee on the Environmental, Public Health and food Safety
Rapporteur: Frederrique Reis
この文書をみると、本文の中には「3V/mに規制する」などの記述はなく、付属の補足説明の資料の中に、国によっては3V/mに規制している例がある・・・・という情報が見える。
*欧州議会での採択文書
上記のドラフト報告書に基づいて、採択された文書も欧州議会のWEBに公開されている。
http://www.europarl.europa.eu/sides/getDoc.do?type=TA&language=EN&reference=P6-TA-2009-216
*****************
Texts adopted
Thursday, 2 April 2009 - Brussels Final edition
Health concerns associated with electromagnetic fields
P6_TA (2009)0216 A6-0089/2009
European Parliament resolution of 2 April 2009 on health concerns associated
with electromagnetic fields (2008/2211(INI))
********************
この採択文書の中にも、「3V/mに規制する」という記述は見当たらない。
従って、冒頭のニュース記事「特に、レポートには欧州として、学校・病院・公衆が立ち寄る場所で、送電線から・ラジオ周波数・マイクロ波に曝露する可能性のあるアンテナのある場所・携帯基地局から、特定の距離内では3V/mに規制するということが盛り込んである。」は、かなり偏っていると言える。
採択文書を見ればわかるように、無線周波数への曝露限度値を3V/mにするということは、欧州議会としても、認めていないと言える。
一部を抜き出した。 作成: 2004−8−22
6.2.3. Employers should conduct assessments:
雇用者は以下のアセスメントを行わなければならない。
(a) before routine operations begin, for all new installations capable of
producing electric or magnetic fields exceeding the recommended exposure
limits;
定常的な運用に前に、推奨されている曝露規定の電磁界強度を超える全ての新設備
6.2.5. In assessing the
hazard and risk, the employer should take account of the need to prevent
cardiac accidents which may result from exposure of workers with pacemakers or
similar medical implants to electric and magnetic fields, as well as the
special needs of workers for protection in relation to their health condition,
for example in the case of pregnant women.
障害とリスクのアセスメントの中に、雇用主は、妊娠した女性従業員に対する健康影響と同様に、心臓ペースメーカもしくは類似の体内埋め込み機器を装着している従業員が電磁界曝露によって生ずるかもしれない事故を防ぐことを考慮しなければならない。
その他の項目に関しては、当該の基準文書の原文を読んでください。
作成:2005−8−20
文書:TCO’03 Displays CRT Displays
Ver 2.0 2004-01-26
関連する箇所を抜き出した。
A.4 Emissions
When the first TCO label was introduced in 1992 one of the main interests was
the requirements for electrical and magnetic fields. Still the scientists and
experts are divided around the question if they can cause any damage to the
humans.
A4:放射
最初のTCOラベルが1992年に登場した時は、電磁界への要求事項が主要な関心の一つであった。現在も、電磁界が人に障害を与えるかという疑問に対して、科学者や専門家の見解は分かれている。
The obligatory requirements shall not be regarded as hygienic limit values.
義務として定めているこの要求事項は、産業衛生上の制限値と見なすべきではない。
<BEMSJのコメント:TCOのこの電磁界要求事項は、できるだけ低く抑えておこうという趣旨から提案されたもので、産業衛生・労働衛生の観点からの規定に比べると、非常に低い値に設定されている。よって、TCOでは、上記のような断り書を入れてある。>
The equivalent surface potential shall be within ± 0.5 kV.
静電気;等価表面電位は+/-0.5kV以内のこと。
Band I: 5 Hz to 2 kHz, ≤ 10 V/m, measured at 30 cm and
at 50 cm in front of the VDU.
Band II: 2 kHz to 400 kHz, ≤ 1.0 V/m measured at 50 cm
around the VDU and at 30 cm in front of the VDU.
電界:
バンド1: 5Hz-2kHz: 10V/m以下 正面30cmと周囲50cm
バンド2: 2kHz-400KHz: 1V/m以下 同上
Band I: 5 Hz to 2 kHz, ≤ 200nT, measured at 30 cm in
front of the VDU and at 50 around the VDU.
Band II: 2 kHz to 400 kHz, ≤ 25nT measured at 50 cm
around the VDU.
磁界:
バンド1: 5Hz-2kHz: 200nT以下 正面30cmと周囲50cm
バンド2: 2kHz-400KHz: 25nT以下
同上
詳細は、原文の規定書を読んでください。
作成:2005−8−21
文書: TCO’03 Displays Flat Panel Displays Ver 2.0 2004-01-26
関連する箇所を抜き出した。
基本的にはCRTディスプレィと同一の電磁界規定である。静電気に関する規定はない。
A.4 Emissions
When the first TCO label was introduced in 1992 one of the main interests was
the requirements for electrical and magnetic fields. Still the scientists and
experts are divided around the question if they can cause any damage to the
humans.
A4:放射
最初のTCOラベルが1992年に登場した時は、電磁界への要求事項が主要な関心の一つであった。現在も、電磁界が人に障害を与えるかという疑問に対して、科学者や専門家の見解は分かれている。
The obligatory requirements shall not be regarded as hygienic limit values.
義務として定めているこの要求事項は、産業衛生上の制限値と見なすべきではない。
<BEMSJのコメント:TCOのこの電磁界要求事項は、できるだけ低く抑えておこうという趣旨から提案されたもので、産業衛生・労働衛生の観点からの規定に比べると、非常に低い値に設定されている。よって、TCOでは、上記のような断り書を入れてある。>
Band I: 5 Hz to 2 kHz, ≤ 10 V/m, measured at 30 cm and at 50 cm in front of the FPD.
Band II: 2 kHz to 400 kHz, ≤ 1.0 V/m measured at 50 cm
around the FPD and at 30 cm in front of the FPD.
電界:
バンド1: 5Hz-2kHz: 10V/m以下 正面30cmと周囲50cm
バンド2: 2kHz-400KHz: 1V/m以下 同上
Band I: 5 Hz to 2 kHz ≤ 200nT, measured at 30 cm in
front of the FPD and at 50 around the FPD.
Band II: 2 kHz to 400 kHz ≤ 25nT measured at 50 cm
around the FPD.
磁界:
バンド1: 5Hz-2kHz: 200nT以下 正面30cmと周囲50cm
バンド2: 2kHz-400KHz: 25nT以下
同上
作成:2005−8−21
文書: TC0’05– Desktop computers, version.1.0
2005-06-29
関連する箇所を抜き出した。
基本的にはCRTディスプレィと同一の電磁界規定である。静電気に関する規定はない。
(BEMSJ注:CRTディスプレィに関してALARAで定めた数値をデスクトップコンピュータに適用することに意味があるかは?である。)
A.4
Emissions
When the first TCO label was introduced in 1992 one of the main interests was
the requirements for electrical and magnetic fields. Still the scientists and
experts are divided around the question if they can cause any damage to the
humans.
A4:放射
最初のTCOラベルが1992年に登場した時は、電磁界への要求事項が主要な関心の一つであった。現在も、電磁界が人に障害を与えるかという疑問に対して、科学者や専門家の見解は分かれている。
Users should
be aware that connecting a Desktop computer with Class I plug to a mains outlet
without a protective earth contact would raise the electric fields to a level
that is many times higher than if it was connect to a mains outlet with
protective earth.
クラス1プラグを用いて主電源にアース接続を行なうデスクトップコンピュータを、保護アース接地無しで使用することはアース接地付の場合に比べて数倍の高い電界輻射になることを、ユーザは知るべきである。
(BEMSJ注:スウェーデンの事務所などの交流電源は3線式でアース接地端子がある。電子機器をアース接地すると電界の輻射は少なくなる。こうしたアース接地を条件に定めたTCO規定を満足する機器を、アース接地のない日本のような2線式の交流電源に接続して使用した場合は、電界の輻射が大きくなる。 また、スウェーデンの一般家庭では日本と同じく2線式で、アース接地端子がない。したがって、TCO規定を満足する機器を購入しても、一般家庭では電界の輻射が大きいという、大きな矛盾点を抱えている。)
The
obligatory requirements shall not be regarded as hygienic limit values.
義務として定めているこの要求事項は、産業衛生上の制限値と見なすべきではない。
Band I: 5 Hz
to 2 kHz, ≤ 10 V/m, measured at 30 cm and at 50 cm in front of the Desktop
computer.
Band II: 2 kHz to 400 kHz, ≤ 1.0 V/m measured at 50 cm
around the Desktop computer and at 30 cm in front of the Desktop computer.
電界:
バンド1: 5Hz-2kHz: 10V/m以下 正面30cmと周囲50cm
バンド2: 2kHz-400KHz: 1V/m以下 同上
作成:2005−8−22
文書: TCO’05– Notebook computers, version 1.0 2005-06-29
基本的にはCRTディスプレィと同一の電磁界規定である。静電気に関する規定はない。
(BEMSJ注:CRTディスプレィに関してALARAで定めた数値をデスクトップコンピュータに適用することに意味があるかは?である。)
A.4
Emissions
When the first TCO label was introduced in 1992 one of the main interests was
the requirements for electrical and magnetic fields. Still the scientists and
experts are divided around the question if they can cause any damage to the humans.
A4:放射
最初のTCOラベルが1992年に登場した時は、電磁界への要求事項が主要な関心の一つであった。現在も、電磁界が人に障害を与えるかという疑問に対して、科学者や専門家の見解は分かれている。
Users should
be aware that connecting a Notebook computer with Class I plug to a mains
outlet without a protective earth would raise the electric fields to a level
that can be up to hundred times higher than if it was connect to a mains outlet
with protective earth contact.
クラス1プラグを用いて主電源にアース接続を行なうノートブックコンピュータを、保護アース接地無しで使用することはアース接地付の場合に比べて100倍にも上る高い電界輻射になることを、ユーザは知るべきである。
The
obligatory requirements shall not be regarded as hygienic limit values.
義務として定めているこの要求事項は、産業衛生上の制限値と見なすべきではない。
Band I: 5 Hz
to 2 kHz, ≤ 10 V/m, measured at 30 cm and at 50 cm in front of the Notebook
computer.
Band II: 2 kHz to 400 kHz, ≤ 1.0 V/m measured at 50 cm
around the Notebook computer and at 30 cm in front of the Notebook computer.
電界:
バンド1: 5Hz-2kHz: 10V/m以下 正面30cmと周囲50cm
バンド2: 2kHz-400KHz: 1V/m以下 同上
Band I: 5 Hz
to 2 kHz, ≤ 200 nT, measured at 30 cm in front of the
FPD and at 50 around the Notebook computer .
Band II: 2 kHz to 400 kHz, ≤ 25 nT
measured at 50 cm around the Notebook computer.
磁界:
バンド1: 5Hz-2kHz: 200nT以下 正面30cmと周囲50cm
バンド2: 2kHz-400KHz: 25nT以下
同上
測定条件の中での注意事項、
The external
power supply unit will contribute to the electromagnetic fields around the
Notebook computer. Power supply units, which are connected via a primary cable
to the outlet, shall be positioned centrally, directly behind the test sample,・・・
外部電源ユニットはノートブックパソコンの周囲の電磁界輻射に影響する。AC電源に接続して使用する電源ユニットは、試験するノートパソコンの後ろに密着させて、中央部に置いて試験を行なうこと。
<BEMSJ注:AC−DC電源ユニットからの電磁界輻射もあわせて測定を行う、と規定している。>
作成:2006−12−11
環境省「平成17年度 一般環境中電磁界曝露に係る情報収集 報告書」平成18年3月 にあった内容
WHOの会議への出席の報告から抜粋します。
各国の動きから、興味の深いところを抜粋して紹介します。 関心のある方は原著(報告書)全文を読んでください。
チェコ::
チェコでは電磁界曝露への反対は一部の市民団体に限定され騒ぎは収まってきた。
電気過敏症(こう呼ぶことになった)の存在は否定されたが、それらの人たちは必ずしも納得していない。
かつてICNIRPの基準値より100倍も低い基準値を独自に設定しており、テレビ放送塔などの建設が環境省により禁止されたこともあったが、2001年からのICNIRP基準採用後は抗議運動も沈静化している。
ギリシャ:
ギリシャでは基地局アンテナによるRF波の一般住民に対する曝露防護法、およびすべての低周波電界および磁界発生装置による一般住民への曝露防護法が制定された。
0−300GHzではECの基準値が採用されたが、携帯基地局からの一般住民への曝露基準値に限ってはそれらの80%と厳しい値が採用された。
ハンガリー:
ハンガリーでは2004年に0−300GHzの一般住民への曝露基準が法令となった。
これは1999年のECの法令の内容に完全に一致するもので、以前のより厳しい法令は無効となった。
作成:2006−12−28 更新:2019−10−30
1)はじめに イタリアの厳しい規制
イタリアでは法規制として、
「3GHz-300GHzに対して、曝露制限値としてはICNIRPより厳しい40V/mを
3MHz-3GHzに対してはICNIRPより厳しく20V/mを、
予防原則(品質目標値)として、0.1MHz-300GHzに対して6V/m、複数の周波数に曝露する場合はそれらの総和をとる。 」ことを規定している。
以下は2001年の状況であるが、実態が報告されている。
これによれば、2001年のこの報告の時点で、多数の無線局からの電波放射が規定の20V/mを超えていることが明らかになっている。
6V/mという品質目標値・・・・・以前の問題をイタリアは抱えている、といえる。
機会があれば、イタリアでのその後の動きを調査してみたい。
2)イタリアの厳しい規制の状況
諸外国における電波防護規制等に関する調査報告書 平成16年3月 発行元:不詳 にあった情報
******************
(1)EMF規制の経緯
2001年2月に、EMFに関する全体的な基本的法律として「電界、磁界、電磁界の曝露に対する防護枠組み法」が制定されたが、詳細な曝露規制値等は明示されていない。
次の2つのEMF政令・(内閣大統領令)が2003年7月8日に議会に出され、2003年8月28目と29日にそれぞれ発効した。
いずれもExposure limits(曝露限界)、Attention
values(注意値)、quality goals(品質目標〕が規定されている。
(a)「送電線から発生する商用周波数(50Hz)の電界、磁界に対して、国民保護のための曝露限界、注意値、品質目標の制定」(2003年8月28日発効)
(b)「100kHz〜300GHz間の周波数で発生する電界、磁界、電磁界に対して、国民保護のための曝露限界、注意値、品質目標の制定」(2003年8月29日発効)
(3)送電線からの電磁界の公衆曝露制限
2003年のEMF『政令「送電線から発生する商用周波数(50Hz)の電界、磁界に対して国民保護のための曝露限界、注意値、品質目標の制定」によって、50Hzの送電線、変電所、変圧器等の近辺ではAttention valuesとQuality goalsが磁束密度だけについて制定されている。
また、このEMF政令におけるExposure limits、Attention values、Quality goalsは、職業上の理由による曝露の労働者には適用されない。
表2−13 50Hz送電線からの電磁界曝露規制値
規制レベル |
規制値 |
特徴 |
@Exposure limits |
100μT 5kV/m
|
・ICNIRP準拠値、rms値(実効値) |
AAttention values |
10μT |
・50Hz送電線からの磁界で起こるかもしれない長期的影響に対して、用心のための措置として設定 ・センシティブエリアに適用 ・この値は通常の運転条件で24時間記録した値の中間値 |
BQuality
goals |
3μT |
・50Hz送電線から発生する電界、磁界への曝露を段階的に最小化することを目的として、既存の送電線・設備付近での開発計画のときはもちろん、センシティブエリア付近での送電線の新規設計のときに適用 ・この値は通常の運転条件で24時間記録した値の中間値 |
0〜100kHzの周波数範囲で、送電線に類似しない装置の放射源からの電界、磁界、電磁界への曝轟に対する規制値は、ICNIRPガイドライン(1999年7月EU勧告)が適用される。
<BEMSJ注:これでは、送電線と類似の設備以外からの電磁波曝露制限はICNIRP準拠となり、送電線だけを厳しく規制する意味がないと思われる。ざる法と言える。>
(4)高周波の電磁界の公衆曝露制限
2003年の政令「100kHz〜300GHz間の周波数で発生する電界、磁界、電磁界に対して、国民保護のための曝露限界、注意値、品質目標の制定」の適用設備は、次の通りである。
・通信用固定システム、ラジオ・テレビ放送用固定システム、携帯電話基地局等の固定施設からの電磁界放射に対して適用される。表2−14〜表2−16の値を超えてはならない。
・これらの固定設備以外の放射源装置からの電磁界曝露の規制値は、ICNIRPガイドライン(1999年7月EU勧告)が適用される。
(d)異なった複数の信号源からの多重の放射に曝露する場合は、個々の信号源からの電磁界強度または電力密度を政令の規制値で除し、この個々の計算値の総和を求め、その総和が1未満でなければならない。総和が1以上のときは政令に適合せず、1つまたはそれ以上の信号波を低減しなければならない。
<BEMSJ注:これでは、それぞれ電界強度1V/mであれば、AMラジオ2波、FMラジオ放送1波、テレビ放送2波、携帯電話1波しか使えない。現実の無線通信事情を考えたら、たぶん、実現は不可能。>
(5)EMF政令に関する国際評価委員会
2001年5月の選挙後、新イタリア政府は「枠組み法」が適切であったか、EMF『政令の曝露規制値』が妥当であったかについて、現在の科学から判断することを切望した。
独立した科学的助言を得るために、イタリアの領土環境保護省、保健省、通信省の大臣たちは、2001年12月に次のメンバーから成る国際評価委員会を編成設立した。
委員名簿は略
その国際評価委員会の最終報告書はイタリアの新聞に発表された。
同委員会の勧告によれば、イタリアのEMF政令の妥当性については、イタリアの法律を変えてICNIRPガイドラインに準拠するように、というほど厳しい評価であった。
しかし、イタリアの政治家はその勧告を聞き入れていない。
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3)イタリアの現状を伝えるサイトから
http://www.japanitaly.com/jp/specialreportsbn/zoomup_200106.html <リンク切れ>にあった情報
********* 一部引用 ************ **********
2001/06/01
ELETTROSMOG イタリアの電磁波スモッグ対策 田中 ちひろ
ELETTROSMOG、電波、電子波、電磁波スモッグ問題である。
イタリアではELETTROSMOGに関してはヴァチカンラジオが大変な問題になった。
局に関する調査では、98年に一応設けられていたリミット(電界1mあたり20V)をはるかに上回るローマのセニオ通りでは幼児白血病の発生率が通常の6倍というデータが出ている。
この法律ができたときのイタリアの実情調査によると、イタリアにはなんと、このリミットを越えている電磁気施設が現在152も存在するという。
ロンバルティア州ではブレーシャ県に1箇所、コモ県に3箇所、FM.TV中継アンテナからの電磁波汚染が20V/mのリミットを越える地域が存在する。
新法律では、これらすべてを2年以内に正常化すべく、2670億リラの予算が組まれているが、ENEL、TELECOMの関連施設、また大手携帯電話用のアンテナからの電波、電磁波減少のための工事、設備の移転、中継局排除などがどれだけスムーズに行くのかはかなり疑問視されているのも事実である。
対象になるのは当然のことながら電気、電子通信事業関係の会社だけではない。
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4)イタリアの曝露規定6V/mの変更の動き 2022年
以下はガウス通信164号(2022年1月)にあった情報の一部引用
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イタリアRF基準値の危機
世界で最も厳しい基準の一つであるイタリアの6V/mのRF曝露基準が、5Gの犠牲になるかもしれない。
イタリアはコロナ感染パンデミック終息後の国家復興計画として、国のデジタル化の促進に400億ユーロ(約48000億ドル)以上の予算を投じ、5G技術の推進、ブロードバンド速度の向上などを掲げている。
その一環として、現在の6V/mのRF制限値を、多くのRFアンテナの設置が必要となる5Gインフラ構築を阻むものとして、10倍にあたるICNIRPの61V/mの水準に合わせることが提案された。
イタリアの主要政党も暴露基準の緩和には賛成している。
唯一これに抵抗している極右政党の「フラテリ・デイタリア」でさえ、通信 事業者がアンテナを設置しやすくすることを望んでいると言う。
(略
*******************:
関心のある方は、当該の原文を読んでください。
記:2019−10−30
諸外国における電波防護規制等に関する調査報告書 平成16年3月 発行元:不詳 に以下の情報がある。
オランダにおける基地局建設に関する住民の同意
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2)携帯電話基地局アンテナ設置に関する契約
オランダにおける携帯電話基地局のアンテナ設置は、現在では国家アンテナ政策に基づいて行われているが、それ以前は事業者と建物所有者との間の契約のみで、その建物の屋上にアンテナを設置できる制度であった。
したがって、建物に居住している住民には一切の情報提供がなされないまま屋上にアンテナが設置されるという状況が多発し、多くの問題が生じた。
そこで、設置面からの高さが5mを超えないアンテナの場合は、その建物に居住する住民の合意を獲得することを条件とする携帯電話基地局アンテナ設置に関する契約を政府と携帯電話事業者で締結した。
これはあくまで契約であり、法令ではない。
内閣の承認から14ケ月経過後の2002年2月、政府と事業者等との間で携帯電話基地局アンテナ設置に関して合意が得られ、契約が交わされたことで、当初の目的、すなわち「公衆衛生、環境、安全を確保しつつ、アンテナ設置の促進を図る」ことは最終的に達成されたとの認識が持たれている。
この合意は中央政府だけではなくオランダ自治体連合、家屋所有者、不動産所有者協会などの様々な関係者が関わったものであり、携帯電話基地局設置に関する基本的枠組みとなった。
3)合意のエッセンス
合意のエッセンスは、設置面からの高さが5m以下の携帯電話〔GSM/UMTS)基地局アンテナについては、住宅法上の許可を受けることなく居住用建物の屋上に設置することが可能であるという点である。
ただし、当番建物の所有者の承認を得た上で、居住する世帯の過半数の反対がない場合に限るという条件が付されている。
そのため、当惑建物に居住している全ての世帯にアンテナ設置に関する情報を提供し、アンテナの設置に関する説明及び設置に反対の場合にはその意思表示が求められていること示す必要がある。
また、既設アンテナの情報を含むアンテナ設置計画の自治体への事前提示や、基地局アンテナ設置に際しての景観への配慮も盛り込まれている。
さらには、契約はオランダの既存の様々な健康に対する規制を網羅したものであることが保障されており、EMFに関しても例外ではない。
4)住民の同意
居住用建造物の屋上に設置面からの高さが5m以下のアンテナを設置する場合については、住宅法上の建築許可は不要である(同5m超の場合は建築許可要)。
ただし、所有者の承諾以外に当該建造物に居住する住民の承諾も得なければならない。
住民の承.諾とは、賛同する世帯数ではなく、反対票数で決する(1世帯が1票を有する)。
すなわち、50%超(過半数)の反対の場合のみ、承諾しないという形となり、反対が50%以下の場合は承諾となる。
実際に反対の意思表示がなければ賛成とみなされる「消極的合意」であるため、事業者側にとってソフトな規制となっている。
これまでのところ、データ上は、8割以上が反対を表明していない(賛同+中立・無回答)という結果が得られている。
(4)送電線からの電磁界(ELF)
送電線が近接する既存の住宅に対し、その状況を改善するための措置が検討されているが、コストが高すぎるとの政府の判断により、具体的にどのような政策方針で臨むのか、議会ではまだ決定されていない。
送電線に近接する住宅が今後新たに発生することをできる限り避けることが政府の基本的方針である。
ただし、オランダは人口密度が非常に高いため、不可避な場合もある。
新たに住宅(住宅地)を建築する際、電磁界に関する法的な制限は、その場所の磁界強度がICNIRPの基準値である100μTを超えないことである。
しかし、現状では予防的な措置として、高圧送電線が通っている場所への住宅建築(宅地開発)は避けるよう、中央政府から自治体に対してアドバイスしている。
高圧送電線に近接する住宅の建築を規制する法令がないため、中央政府としてはアドバイスの形にせざるを得ない。
どうしてもその場所に建築したい場合には、(勿論、できるだけ避けるようにという中央政府の方針に変わりはないが)ICNIRPの基準(100μT)を下回っていれば、建築〔開発)は可能である。
なお、電磁界とは無関係に、あくまで安全上の観点によるものであるが、距離に関する条件として高圧送電線からおよそ35m離れていることが通例とされている(法律による規制ではない)。
現状では科学的に確実な根拠が明確ではないため、こうした予防的な姿勢で進められている。
磁界低減のための措置については、コストパフォーマンスが議論の中心である。
ただし、実施に際しては、電力会社と政府との間の合意という形態が有力である。
住宅と高圧電線とが近接する場合に電力会社が採る措置の内容等を、政府と電力業界との合意の形で進めていく方針である。
********************
記:2020−4−20
1)オランダの要望原則に関連する情報 その1:電磁界情報センターニュース第7号(2010年1月)
一部を引用
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海外の動向(その2)
〜オランダの磁界低減型送電線 〜ウィントラック計画〜
オランダの送電線運用者であるテネット(TenneT)社が開発中の磁界低減型送電線に対し、実際の使用に向けた最終試験が行われ、実用化の目処が立ったことが2009年11月23日にテネット社から報じられました。
現在オランダには、送電線などから発生する磁界の健康影響から公衆を防護するための法規制はありませんが、2000年に保健会議(Health Council;政府への政策助言機関)がガイドラインを定めています。
このガイドラインでは、50Hz 磁界へのばく露を制限するための参考レベルとして、120µTが設定されました。
一方、このガイドラインとは別に、オランダ政府は特に子供たちが磁界に長期間曝露されることの影響の可能性を懸念し、いわゆる「プレコーション的」な方策を導入することを決定し、2005年、0.4µTを目標値とした行政勧告文書が示されました。
この文書では、子供たちが長時間過ごすような場所の近くに送電線を新たに建設する場合にそのような場所で0.4µTを超えないことや、既にある送電線の近くで土地開発を行う場合に、磁界レベルが0.4µTを超える場所には子供たちが長時間滞在するような施設を作らないこと、そのために送電線運用者は磁界レベルがわかる図を提示すること、などが求められています。
(略)
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2)オランダの要望原則に関連する情報 その2:電気安全環境研究所の報告
平成30年度 電力設備電磁界情報調査提供事業 報告書
平成31年2月 一般財団法人 電気安全環境研究所に以下の記述がある。
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オランダ住宅・国土計画・環境省 2005勧告
周波数:50Hz
曝露制限値 5.0kV/m
100μT
− 0.4μT
土地利用制限:高圧電力線の新設、及び、既存の高圧送電線の側で地域計画を策定する場合に、年平均磁界が 0.4μTを超えるエリアに子供が長期に滞在するという状況を、合理的に可能な範囲で避ける。
なお、電磁界対策ではないが、経済省は既設高圧電力線への対策として、2017年より郊外における高圧電力線下住宅の買上を実施しており、2019年1月には都市部高圧電力線の地下埋設に関する法案が施行されている。
特に、オランダは、オランダ保健評議会(HCN)が 2018年4月18日付で、「電力線と健康その1:小児がん」と題する報告書を発表しており、規制動向を確認する必要がある。
また、2019年1月1日に都市部の高圧送電線の地中化に関する法制化が完了されたため、その後の運用状況の情報収集が必要である。
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3)予防原則が適用されたとする新聞記事
読売新聞2006年11月7日に掲載された記事
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赤レンガの2階建て校舎から、児童たちが勢いよく飛び出してきた。
午後0時半。迎えにきた母親に抱きついたり、友達とじゃれ合ったり、にぎやかな声が響く。
運河が縦横に走るアムステルダムの中心部にあるクレイヌ・レーウス小学校。
いつもの下校風景が戻ったのは、半年前のことだ。
すべては学校の裏手に住む母親が抱いた、「隣の変電所は安全なのかしら」という疑問に始まった。
変電所は、289人の全校児童が毎日通る玄関のすぐ東隣にある。
小3の長男と小2の長女を学校に通わせる母親は兄に相談し、電磁波問題に取り組む市民団体のウェブサイトにたどり着いた。
スウェーデンのカロリンスカ研究所による1992年の報告を見つけた。
「送電線からの電磁波が0・3μT(マイクロ・テスラ)以上の場所では小児白血病の発症率が3・8倍に高まる」という。
周囲の保護者とともに、昨年9月、学校側に相談。
これを受け、アニヤ・ホーセンス教頭(43)は、校内の電磁波の測定を専門業者に依頼した。
すると、変電所に最も近い2階の教室で0・4μT、玄関脇の遊具付近では1・6μTが計測された。
学校は翌10月、変電所寄りの教室など2部屋を使っていた4年生などの児童を150メートル離れた別棟の校舎に移した。遊具も撤去された。
「親の不安を深刻に受け止め、緊急避難的に対処した」とホーセンス教頭は説明する。
4年生の長男を持つ父ピム・ボウマンさん(40)も、「たとえ小さなリスクでも可能な限り避けたい、というのが子を持つ親の率直な願いだ」と話す。
その後も保護者側は学校や市、電力会社と協議を重ね、施設に遮へい設備を導入することで決着した。
工事は今年5月に終了。
2階の教室内で0・2μTに半減したことを確認し、児童らは7か月ぶりに元の校舎に戻った。
7万ユーロ(約990万円)の工事費は市が全額負担した。
電磁波と小児白血病との関係は79年、発症率が高まる可能性を示した米の疫学調査をきっかけに注目され始めた。1073の症例を集めた最大規模の調査(英国、99年)では、「電磁波0・4μT以上で1・6倍」という結果が出ている。
オランダ政府は昨年10月、「15歳以下の子どもが長時間過ごす学校や保育園で0・4μT以上の電磁波が生じる状況は極力避けるべきだ」と地方自治体や電力会社に勧告した。
アムステルダムの小学校は、勧告に基づき自治体が対応した「第一号」となった。
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詳細な情報を知りたいと思い、ネットでの検索を続けたが、なかなか思うように情報が見つからなかった。英文での検索の他に、オランダ語での検索を試みたが、不十分であった。
2020年4月、オランダの友人に依頼して、オランダ語で様々な情報を探してもらい、結果として、「いかに記するような情報が得られた。
得られた情報は、必ずしも上述の読売新聞の記事と、一致しないこともある。
4)オランダの電磁波活動家のサイトElectrosmog NL(J. Houtenbos氏)のサイトにあった情報
Houtenbos氏は、2005年9月13日、彼が測定したデータをKleine Reus小学校で開示した。
測定は、測定器を連続測定モードにして、移動しながら磁界を連続測定したものと思われる。
測定器の名称は不祥。したがって、測定器の精度は不祥。3軸測定か否かも不詳。
<2019年にはサイトを見ることができたが、2020年4月にはサイトは開くことができなくなり、公開されていたHoutenbos氏のメルアドにメールを入れても「不達」で戻ってきてしまっている。>
Kantoor: in het
midden van het bureau aan de linker kant.
= Office: in the middle of the desk on the left side
学校の事務所内で中央部から左側に向かって移動しながら測定、1.3μT程度
Vanaf de Oostkant van de gevel van het
NUON gebouw naar de school
toe tot aan het begin van het hek
van de speelplaats.
= From the East side of the façadeof the NUON
building to the school until the beginning of the gate of the playground.
NUON(アムステルダムの電力会社)の変電所建屋の正面玄関の東側から、学校の方に移動し、遊び場の入り口まで。 75μT(750mG)という高い値が測定されてる。
このデータは、変電所・学校のある街路に沿って、路上での磁界測定と思われる。
Vanaf het beginvan het hek van de speelplaats tot aan het
begin(ingang) van de school.
= From the beginning of the gate of the playground to the beginning (entrance)
of the school.
遊び場の入り口から学校の玄関まで移動しながら測定。75μT(750mG)という高い値が測定されている。学校の玄関の方に行くと磁界は低くなる。
このデータは、変電所・学校のある街路に沿って、路上での磁界測定と思われる。
5)TNOによる磁界の測定 2005年10月19日の報告書
オランダの研究機関TNOによって、磁界の測定が行われた。
報告書から一部引用
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TNO-rapport:
TNOレポート
Magnetische veldsterkte metingen uitgevoerd in en rond lagere school “De Kleine
Reus” op adres Nieuwe Looierstraat 49 te Amsterdam.
=Magnetic field strength
measurements carried out in and around primary school “De Kleine Reus” at address Nieuwe Looierstraat
49 in Amsterdam.
=アムステルダムのNieuwe Looierstraat 49番地にあるDe Kleine Reus小学校の内部・周辺で行った磁界測定
Datum: 19 Oktober 2005
・測定器はHoladay HI-3604である。<BEMSJ注;この測定器は1軸測定である。>
・測定値は測定器のループセンサーの向きで変わるので、向きを変えて最大値を記録した。
・測定は、小学生の身長を考慮して、地上もしくは床面からの高さ1−1.25mで行った。
・測定結果と測定場所
18 Buiten Wipkip
(nabij Nuon gebouw)
=18 Outside Wipkip (near Nuon building)
24 Buiten Maximum op de gevel Nuon
(op muur gemeten, ca 6 meter naast ingang Nuon
gebouw) NB gemeten op 2m hoogte
=24 Outside Maximum on the Nuon
façade (measured on wall, about 6 meters next to entrance Nuon
building) NB measured at 2m height
BEMSJ注:学校内で比較的大きな磁界を示したのは、測定点1、4、4b、5、8、16、17、19で、いずれも隣接する変電所との距離が近い場所である。いずれも0.5μTを超えている。
学校内で中程度の磁界を示したのは測定点3、6、7、9、15である。これらは、隣接する変電所との位置関係から、変電所由来の磁界というよりは、学校内の電気機器などからの磁界が大きく寄与しているのかもしれない。
51番地に変電所、49番地に小学校がある。
BEMSJ注:最も高い測定は24番の17.2μT,18番の16.5μTであり、街路で最も高い値を示している。この高い箇所は、前述のHoutenbos氏の測定で高い値を示した場所と略一致していると言える。
どちらの測定値が真値に近いかは、判定できない。
6)GGD:アムステルダム市公衆衛生部の文書2005年11月2日
Advies GGD Amsterdam over onderstation
NUON, Nieuwe Looijersstraat
51
=Advice GGD Amsterdam on substation NUON, Nieuwe Looijersstraat 51
=Nieuwe Looijersstraat 51番地のNUON変電所に関するアムステルダム公衆衛生部の助言
結論
The GGD Amsterdam uses as a starting point the pursuit of a situation where
children do not stay for a long time in a magnetic field above 0.4 microtesla.
アムステルダム公衆衛生部は、0.4μTを超える磁界に子供は長時間いてはならないという状況の遂行に起点を置く。
The degree of overrun and the simplicity and cost-effectiveness of measures
determine how strongly this should be pursued.
対応策に関する過剰、簡素と費用対効果の度合いは、この問題をどの程度に強く推進すべきかによって決まる。
Following VROM, we advise that this should be determined in consultation with
all those directly involved.
VROMに従えば、本件は直接関連する人々が相談して決めるべきとある。
BEMSJ注;この時点ではアムステルダム公衆衛生部は、方針を決定していない。
7)2005年12月2日のアムステルダム市の見解
以下の報道発表があった。
Municipality of Amsterdam Administrative Service アムステルダム市管理部
Persbericht=Press release 報道発表
2 december 2005
・アムステルダム市とアムステルダム中央区は、Nieuwe Looiersstraatにある変電所に関して、行動をとる。
・地区、変電所の管理会社、アムステルダム公衆衛生部、アムステルダム市は協議して、早急に市全体としてのプランを作る。
・測定した磁界の値は新設の高圧送電線に関するオランダ省庁の推奨値を超えていることは明らかである。早急に、学校内および公衆が立ち入る場所に対応策を講ずる。
8)2006年2月21日のアムステルダム市公衆衛生部の文書
Advies GGD Amsterdam over maatregelen
NUON bij onderstation Nieuwe Looiersstraat
=Advice GGD Amsterdam on NUON measures at Nieuwe Looiersstraat
substation
=Nieuwe Looiersstraatの変電所のNUON対応に関する市衛生部の助言
・2006年2月3日付で電力会社NUONは変電所の磁界対応が可能と言ってきている。
・NUONは2006年1月18日に独自に追加の測定を行った、報告書はないが。
NUONは変電所が最大負荷になった時の磁界強度を考慮。学校のホールでほんの少しオーバー、階段のところでちょっと高い値を示すことが判った、いずれも変圧器が壁の向こう側にあるからである。
・NUONの対応策では学校内の磁界は十分に減衰するが、一部の箇所はほんの少し大きくなる。
結論として
・NUONが提案した対応策では、学校における磁界強度は、7分の1までといった具合で、十分な低減がある。
・但し、学校の1階のホールと階段では0.4μTを超える。
・これらに対して、0.4μT以下にするためには、変圧器を移動させなければならない。
・子供が長時間滞在する場所では、磁界強度は0.4μT以下にすることが期待される。
・我々は、354.000ユーロ(BEMSJ注:1ユーロ120円として約4200万円)という金額が磁界低減のために必要であると言うことを、査定できない。
・アムステルダムの中央区はこの大きな費用をそのまま受け入れることを要求するであろうと、我々は思う。
・我々は、本件に関して、何が合理的な対応であるかに関して、すべての直接的な関与者の間で、協議することを勧める。
9)2006年6月6日 アムステルダム市の報道発表
GEMEENTE AMSTERDAM
=Municipality AMSTERDAM
=アムステルダム市
Beperkte maatregelen bij NUON-onderstations
=Limited measures at NUON substations
=NUON変電所の測定
市全体としての研究実施の理由は、アムステルダム中央区のDe Kleine
Reus小学校で2005年に行った磁界が大きかったことである。市はアムステルダム市内の他の変電所周辺の磁界を測定することにした。
市公衆衛生部の調査では、De Kleine Reusで見られたような状況は、他では見られなかった。
10)最終的なアムステルダム市としての対応は、どうなったのか?
残念ながら、確証がつかめない。
読売新聞に書かれた情報「工事は今年2006年5月に終了。2階の教室内で0.2μTに半減したことを確認。7万ユーロ(約990万円)の工事費は市が全額負担した。」は確認できない。
11)変電所とDe Kleine
Reus小学校の位置などの2020年4月現在での確認
結論を先に言えば、この学校は、変電所のある場所から西方に移転していた。
移転時期などは不祥。
*元の位置
Nieuwe Looiersstraat 49に2005年当時は学校があった。2020年のグーグルでは現在WEBショップ・衣料品店になっている。右に隣接しているのは変電所である。
Nieuwe Looiersstraat 51には変電所があり、稲妻マークがあり、右側の入り口には「高圧注意」のマークもある。
変電所である。変電所らしい外観をしている。 そのままで存在している。
変電所、中庭の方に3つ並んで、変圧器などの設備らしいものも見える。
〇印の箇所に、たぶん、小学校があった時は、遊戯場であったと思われる。
*現在の位置
現在の学校
49番地から西に移転し、6番地に学校は移転した。
第1報 作成:2006−12−28
よく電磁波は危険という論の中で、ザルツブルグの規定のほかに、オーストリアかオーストラリアのフォローゲン州の規定として0.001μW/cm2・・・・という提案中の数字が出てくる。
日本語のインターネットで「フォローゲン州」で検索すれば、電磁波の記事だけがヒットする。
それ以外のサイトでは、この州の名称は出てこない。
すなわち日本語のサイトにおいては、電磁波の健康影響の局面でのみ有名になっている地名といえる。
ネットの百科事典Wikpediaで調べると、オーストラリアにも、そしてオーストリアにも州の名称としてのフォローゲンがない、フォローゲン州という行政機構は存在しない。
わずか、とある電磁波関係のサイトで、以下の情報を得た。
対称周波数:460-1800 MHz
規定:0.001μW/cu
Wollogon Council, NSW,
Australia フォローゲン議会, オーストラリア(提案中)
Wikpediaでさらに調査
「ニューサウスウェールズ州は次の14の地域(Region)に区分される。」という情報のなかに、Wollongonは地域の名称にはない。
したがって州の下位に属する行政区でもない。
これでフォローゲンの原語がわかった。
しかも、オーストラリアのニューサウスウェールズ州のウォローゴンという行政区(州レベルより下位の県や郡や都市レベル)での話とようやく判明した。
手元のワールドアトラス(地図帳)で調べるとオーストラリアのシドニーの南、80km程度のところにWollongong(ウォロンゴン)という町がある。
某電磁波サイトにあったスペルはミスであろう。人口は27万人(2004年)程度である。
したがって、「フォローゲン州の州議会での提案」は誤りで、「ウォローゴン市議会での提案」というのが正しいことになる。
海外の、英文で書かれた電磁波の報告書・文章にも「Wollogonの厳しい規定・・・・」とある。
したがって日本のサイトだけではなく、海外の英文のサイトでもスペルを誤って使用されているケースがある。
日本の多くのサイトではこうした誤った情報をそのまま、知らずに展開していることになる。
以下はスペルを誤っている英国の電波曝露に関する調査結果の報告書にあったもの。
英国の報告ではこのフォローゲンの規定は英国の規定の100万倍厳しいと、記述されている。
厳しいと驚くのは日本だけではない。
Australia’s New South Wales Wollogon
Council has the most conservative limit for RF mobile phone emissions - 0.00001
W/m2 which at 1800MHz/1.8GigaHz is 1 million times more rigorous than the equivalent UK limit!
上の報告にあるWollongongの規定の提案は、とあるメーリングのアーカイブを引用しているものであった。
原点を直接引用してはいない。
したがって、フォローゲンの議会の提案文書を、その原典を見ることはできなかった。
原典を求めて、ネットで検索を続けた。
以下に見つけた「WollongongのCity Coucil(市議会)」のWEBは、なぜか開くことができなかった。
クリスマスの休暇でオーストラリアのサーバーも休んでいる?
Wollongong City
Council
オーストラリアのYahooで検索を継続した。
「Mobile Phone Towers - 23/09/2004」というニューサウスウェールズ州議会の関連WEBにあった報告書がヒットしたが、ここもなぜか開くことができず、Yahooのキャッシュに残っていた情報を入手した。
NSW Legislative Council Hansard
MOBILE PHONE TOWERS の中に以下の文章がある。
So we have now a situation in which
the Coalition is saying, through its amendment, that presumably the whole of
New South Wales—with the exception of Sydney, Wollongong, Newcastle and a small area of
their hinterland—can have mobile phone towers on every
hill, on every corner, within metres of every school
throughout the whole of regional and rural New South Wales.
これから、2004年の段階で、Wollongongでは携帯電話のタワーの建設に制限がついていると推定できる。
さらに本件に関する調査を継続する予定です。
フォローゲンの規定がいつ頃に提案されたのか、その提案文書の原典は?
携帯電話のタワーからの電波の曝露だけを規定しているのか、その他のテレビジョン放送などの電波の規制もあわせて行っているのか・・・・・
そして、市議会に提案された規定は、議会でどのように採決が行われたのか、法案・規定として現在も有効なのか・・・・ など
わかりしだいに追記・第2報として報告します。
以下は私のコメント:
もし、この規定が有効であるとすれば、0.001μW/cm2という曝露から、逆算すると、電界強度は0.06V/mが限度となる。
これでは、かなりの遠方にテレビ放送塔があって、テレビの放送1チャンネルだけがかろうじて受信できる、という電波利用が限度となる。
日本の東京地区のように、FM放送・テレビ放送チャンネルが多数ある環境では対応できない。
したがって、もしかすれば、テレビ放送・FM放送などに関しては特段の規制は行わず、携帯電話の中継塔だけを目標に、厳しい規定を提案しているのかも知れない。
電磁波(電波)の人体防護を目的として規制をおこなうのであれば、テレビ放送を除外して、携帯電話の基地局塔だけを規制するのは、意味がないように見える。
さて、携帯電話の基地局があるとしよう、それらから同時に10人使用できるとして、10チャンネル分だけが電波を出すことができるとすれば、1チャンネルあたりの電波の電力強度は10分の1の0.0001μW/cm2となり、電界強度では0.02V/mとなる。 何とか携帯電話は使用が可能な状況は維持できると思われる。
これが同時に100人使用できる 環境にしようとすれば、1チャンネルあたりの放射電波はさらに弱くなり、電界強度は0.006V/mとなる。
まだ携帯電話は使用可能かも知れない。でも明瞭に聞こえるか否かは定かではない。
携帯電話を使用している人がいるとしよう。
ハンドセットからの電波は使用者にも影響を与えるが、それは使用者の責任として、別にする。
ハンドセットの電力を1Wと仮定して、理想的な状態で計算を行えば、1m離れた場所では0.6V/m程度である。
10m離れで電界強度は0.06V/mとなる(詳細な解析は必要である)。
すなわち、フォロ−ゲンの規定を満足させるためには、携帯電話基地局からの電波発信強度の規制だけではなく、同時に携帯電話の使用者は、他の非使用者と最低でも10m以上離れて使用させなければならない、という規制を行わなければならない。
このようなことが現実に実施できるのであろうか????
でも、なんとか、携帯電話はかろうじてして、使用可能かもしれないが、その他の無線はほとんど使用できなくなる。
オーストラリアは国土が広い割には人口が少ない、そこで、Flying Dotorという医療制度が発達しており、緊急医療では無線機を持った医者が自家用飛行機などで治療に向かっている。こうした無線サービスをフォローゲン地区では利用しないというのであろうか???
(オーストラリア郵政から、数年前にこのFlying Doctorサービスを顕彰する郵便切手が発行された、小生の手元にその切手はある。)
追記:2007−1−22
Wollongong市議会の関係者とようやく連絡が取れた。 過去のいきさつと、現状は以下のメールでわかる。
Date: Mon, 22 Jan 2007 12:40:05 +1100
Wollongong市議会は1998年5月に「無線通信設備の設置」に関する市議会の決議を採択した。
当時、携帯電話のアンテナ塔に関連する電磁界エネルギの健康影響に関する研究はほとんどないと市議会は考えた。
さらに、過去数年間に発行された健康に関する規定もないし、関連する研究もほとんどないし、 また、国際的に受容された規格もないと、市議会は考えた。
そこで、市議会は通信設備からの電磁界曝露規定に予防原則を適用することにした。
この値は国際的な規定の1000倍厳しい値として、0.2μW/cm2と、土地の利用に対する距離の制限事項を採択した。
1998年以降、オーストラリア放射線防護・原子力安全庁は3kHzから300GHzの電磁界に関する曝露規定を定めた。
この規定は確固たる科学研究に基づくものであった。
加えて、幾多の住民との裁判の結果では、市議会の方針に定めた予防原則よりは、新しい基準を定めるべきであるとされた。
現在、市議会はこの方針の見直しを行っている。
新しい方針が出るとき、0.2μW/cm2という予防原則の値よりは、オーストラリアの規定を採用するであろう。
現在、市議会では学校などの近く、300m以内に携帯電話基地局を設置することを許可している。
当然、オーストラリアの規定は満足していなければならない。
市議会の1998年の方針を以下に示す。
WollongongのCOUNCIL
POLICY
SITING OF TELECOMMUNICATIONS AND RADIO
COMMUNICATIONS FACILITIES
DEVELOPMENT ASSESSMENT AND COMPLIANCE File No:
13.07.147
Adopted by Council: 25 May 1998 Minute No. 123 議事録第123号
合計8ページの文書の中で、電磁界に関する記述は以下である。
Electromagnetic radiation 電磁界放射
Towers and antennas and satellite dishes should meet the following
precautionary sitting requirements:
無線塔・アンテナ・衛星放送用パラボラアンテナに関しては以下の予防原則に適合すること
Not within 300 metres from any residential dwelling
unless annual average exposure at the nearest residential dwelling is less than
0.2 uW/cm2.
最も近い住居における年間平均電波曝露量が0.2μW/cm2以下でない限り、住居の300m以内に設置してはならない。
Not within 300 metres from any school, child care centre, hospital or aged care centre
and annual average exposure at these land uses must be less than 0.2uW/cm2.
全ての学校・病院・子供センタ・老人センタから300m以内に設置してはならない。
そして、それらの場所における年間平均電波曝露量は0.2μW/cm2以下であること。
NOTE: The measure of power flux density is a cumulative measure of emissions
from all facilities on a site.
注:測定は各サイトにおいて、全ての無線局からの放射を累積して電力密度として評価する。
この文書で、少なくとも「フォローゲン州の規定として0.001μW/cm2・・・・という提案中の数字」は、提案されたのかもしれないが、少なくとも最終的にはザルツブルグより甘い0.2μW/cm2で採択されたことは確かである。
さらに、1998年の市議会方針の改定に関する情報も入手した。
Date: Mon, 22 Jan 2007 12:41:44 +1100
1998年の市議会方針の見直しを行う予定である。
新しい方針案(ドラフト)では、2002年にオーストラリア政府(放射線防護・原子力安全庁)が定めた曝露規定を参照することになっている。
このドラフト案は近い将来 採択されるであろう。
この新方針のドラフトも入手した。 合計28ページもある大作である。
これから読み始めるので、後日 報告の予定。
作成: 2007−1−17
ドイツでは50Hzの電力設備に関しては予防的に10μT(ICNIRPの約10分の1)に規制されている。
高周波に関しては予防的な規制は行わない。高周波に関してはICNIRPの値で十分とされる。
>掲載誌:一橋法学 第I巻 第1号 2002年3月(一橋大学の定期刊行物)
>タイトル:日独における電磁波規制の動向
>研究者:戸部真澄
以下は上記の論文にあった内容の抜粋です。関心のある方は全文を入手して読んでください。
ドイツの電磁場についての命令(26.BImSchV)に関する情報が記載されています。
26.BImSchVはStrah1en(電磁波と訳すべき)を適用領域としており、かつ法規命令には危険防御だけでなくリスクに対する事前配慮についても規定を置くことが認められているために、電磁波については非熱作用も含めて、規制される。そして、1997年1月1日から発効している。
26.BImSchVは、営業目的に使用されているか、ビジネス的事業の中で利用され、かつBImSchG4条による許可を必要としない高周波・低周波施設に適用される。国境警備隊・国防軍の通信施設は営業を目的とせず、家庭用電気機器や携帯電話などは施設ではないため、これらには適用されない。ここで高周波施設とは、1OW以上の無線出力を持ち、かつ10MHz〜300GHzの電磁波を発生させる無線通信施設のことを言う。具体的には、移動体通信に用いるアンテナ塔やテレビ局・ラジオ局などがこれに該当する。
また、26.BImSchVが適用される低周波施設は、50Hzで電圧1000V以上の送電線・地下ケーブル)、16Hzあるいは50Hzの鉄道用送電線・架線、50Hzで1000V〜220kVの電圧を扱う変電所に限定されている。
(2)高周波電磁波の限界値
高周波電磁波が発熱作用という有害な作用を持っことは早くから知られ、健康に害が出る閾値は動物実験を通して科学的に突き止められている。それによれば、体全体で1℃以上体温が上昇すると、胎児の奇形・死亡が爆発的に増大するとされている。これをSAR値に換算すると4W/kg以上ということになる。WHOはこの閾値に安全率を計算に入れて、職業上の曝露ついてはO.4W/kg、職場よりも長時間曝露することが前提となる一般家庭などで曝露する場合にはO.08W/kgという限界値を導き出した。この限界値は国際的にも広く受け入れられ、ドイツでもDIN規範やSSKの勧告などに採用された。
争いがあるのは非熱作用である。論争の結果、最終的には26,BImSchVでも発熱作用のみを考慮したSAR値O.08W/kgが「危険防御」のための限界値として基礎に置かれることとなった。事前配慮についても非熱作用のための規制可能性は否定された。というのも、0.08W/kgという限界値で既に実際に健康危険が生じる閾値の50分の1であり、この限界値を守れば住民の保護には十分であるとされていたからである。そして、事前配慮によるこれ以上の限界値引き下げは違憲とされた。その意味では、高周波電磁波の非熱作用のリスクは規制において切り捨てられたということになろう。
(3)低周波電磁波の限界値
低周波電磁波は高周波電磁波とは異なり発熱作用を持たない。問題となるのは非熱作用のみである。
低周波電磁波が人の体内に電流を誘導するということは確実に分かっている。26.BImSchVでは、この「体内に誘導された電流」の作用に焦点を当てて限界値が設定された。最終的には26.BIm−SchVでも2mA/uが「危険防御」のための限界値として採用されることとなった。体内で生じる電流密度を測定するのは困難であることから、電界強度(kV/m)と磁界強度(mT)に分けて限界値が定められ(50Hzの電磁波については5kV/mと1OOμT)た。
ところで、低周波電磁波の非熱作用については、疫学研究において小児白血病との相関が指摘され、激しい議論がなされてきた。この問題につきSSKはICNIRPの近時の調査結果を引用しながら、磁場と発ガン作用との間の関連は証明されておらず、最終的な解明のためにはさらなる調査が必要であると指摘するにとどまった。その結果、「危険防御」のための限界値設定において発ガン作用は考慮の対象から除外されることとなった。
しかし、SSKはそのすぐ後におおよそ以下のように続けている。即ち、上記の限界値以下で生じるとされている生体影響は、現時点ではそうでないとしても、後の研究結果によって健康に害をもたらすと評価されることもあり得るということを考慮しておかねばならない、と。そして、SSKは白血病や脳腫瘍等の深刻な健康被害との関連があやしいとされる低周波電磁波について、5/3kV/m(電場)と1OμT(50Hzの場合の磁場)が事前配慮規定とされた。
学校、病院などの近くでは事前配慮規定が適用される。かくして、ドイツの規制において非熱作用の不確実性(リスク)は、事前配慮規定によって捉えられることになったのである。
「電磁波ばく露による生物学的影響に関する評価試験及び調査 平成18年度 海外基準・規制動向調査報告書 平成19年3月
総 務 省」を読んで、興味深い点だけを抜き出した。
報告書全頁で437と膨大です。 作成:2008−6−29 追記:2009−5−15
*各国の全体としての動向
調査した欧州の国のほとんど(即ち、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オランダ、フランス、英国、ドイツ、オーストリア、スペイン、チェコ、ハンガリー、ルーマニア)は国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドラインの参考レベル(電磁界強度と電力密度の規制値)に準拠している。
しかし、欧州でもベルギー、スイス、イタリア、ギリシャ、クロアチアは、ICNIRP ガイドラインの参考レベルを基本として導入しているが、センシティブエリア(学校、病院、老人介護施設など)ではさらに厳しい制限値を追加して設定している。
また、ロシア、ポーランド、ブルガリアは電磁界強度や電力密度について独自に厳しい規制を行っている。
これら欧州諸国のうち欧州連合(EU)加盟国は、ICNIRPガイドラインよりも緩い規制ではないので、電磁界の公衆ばく露規制に関する理事会勧告1999/519/EC を満たしていることになる。
欧州以外では、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、台湾、シンガポール、フィリピン、マレーシア、ブラジル、南アフリカがICNIRP ガイドラインの参考レベルに準拠している。
トルコは最大規制値をICNIRP ガイドラインの参考レベルと一致させて準拠しながら、単一装置の基地局の場合は、より低い規制値を設定している。複数基地局の総和としてはICNIRPに同じ。
中国は独自に厳しい規制を行っている。
タイは電波防護規制を定めていないが、インドは電波防護ガイドラインを作成中である。
ハンガリーは2004年 旧ソ連の規定からICNIRP準拠の規定に変更。
英国は2004年に<それまでの英国独自の甘い規定から>、ICNIRP準拠に変更した。
チェコは2000年にICNIRP準拠に規定を定めた。<この報告書では記述はないが、それまでは旧ソ連の規定準拠であった。>
改定された新規格 IEEE Std C95.1-2005(2006年4月19日発行)では上記(a)
ICNIRP ガイドライン(1998年)と同じSAR値となったが、上記3ヵ国(アメリカ・カナダ・韓国)はSAR値の改定には至っていない(2006 年末現在)。
*カナダのトロント市における電話基地局規制
一時期トロント市において、携帯電話の基地局からの放射基準をSafety Code 6の100分の1にしたいとの提案が出されたことがある。
しかし、基地局の管轄は連邦政府であり、トロント市にある5ヵ所の基地局で実際に測定した結果では連邦のSafety Code 6の規制値を大きく下回っていたことから、これ以上厳しく電磁界の制限値を下げる必要はないとの結論に達し、現在に至っている。
*スウェーデンの携帯電話
2005 年にスウェーデン放射線防護機関(SSI)は、携帯電話の使用に関して予防原則を適用すると決めたと発表し、携帯電話を使うときには不必要なばく露を避けるようにと、次のように勧告している。
・ハンドフリー装置を使う。
・携帯電話端末機を身体から離す。
・アンテナの周りを遮蔽しない。
・電波の受信の良好な場所で通話する。
・乗用車では屋外アンテナを使用する。
・SAR値の低い携帯電話端末機を選ぶ。
*オランダの場合の携帯電話基地局建設に関する住民の同意に関する規定
オランダにおける携帯電話基地局のアンテナ設置は、現在、国家アンテナ政策に基づいて行われているが、それ以前は事業者と建物所有者との間の契約のみで、その建物の屋上にアンテナを設置できる制度であった。従って、建物に居住している住民には一切の情報提供がなされないまま屋上にアンテナが設置されるという状況が多発し、多くの問題が生じた。
そこで、設置面からの高さが5mを超えないアンテナの場合は、その建物に居住する住民の合意を獲得することを条件とする携帯電話基地局アンテナ設置に関する契約を政府と携帯電話通信事業者で締結した。これはあくまで契約であり、法令ではない。
居住用建造物の屋上に設置面からの高さが5m 以下のアンテナを設置する場合については、住宅法上の建築許可は不要である(同5m超の場合は建築許可要)。ただし、所有者の承諾以外に当該建造物に居住する住民の承諾も得なければならない。
住民の承諾とは、賛同する世帯数ではなく、反対票数で決する(1世帯が1票を有する)。
即ち、50%超(過半数)の反対の場合のみ、承諾しないという形となり、反対が50%以下の場合は承諾となる。実際に反対の意思表示がなければ賛成とみなされる「消極的合意」であるため、事業者側にとってソフトな規制となっている。
これまでのところ、データ上は8割以上が反対を表明していない(賛同+中立・無回答)という結果が得られている。
*オランダ政府の携帯電話アンテナ基地局に対する対応
国家アンテナ局
携帯電話基地局アンテナの設置に関する国民の信頼を得るための一つの措置として、電気通信局が補助金を出し、国家アンテナ局が2001年10月に設置された。国家アンテナ局は、無線通信局に属している。
携帯電話基地局アンテナが非常に大きな社会問題になるのではないか、あるいは健康影響の懸念が大きくなり、多くの業務を処理する必要があるのではないかとの予想から、当初は大所帯であったが、徐々に規模が縮小されてきた。
現在のスタッフはわずか10人の小規模な組織であるが、広報的な役目を担う非常に重要な位置付けにある。
*パリ市と携帯電話通信事業者の協定
パリ市内に携帯電話基地局が高い密度で設置され、パリ市民の懸念が高まっていることから、パリ市(市長Bertrand
Delanoë)と次の携帯電話通信事業者の間で「携帯電話基地局アンテナに関する協定」が 2003年3月20日に締結された(有効期限は2年間であったが、2005年に更新されている)。
・ブイグテレコム社(Société BOUYGUES TELECOM)
・SFR 社(Société Française du Radiotéléphone )
・オランジュ社(Société ORANGE France SA)
協定書の主要な内容は以下の通りであるが、特にGSM(900MHz、1800MHz)の基地局アンテナについて、生活環境内におけるばく露量の24時間平均値(計測値と情報流量から算出される)で2V/m以下になるよう要求されていることが注目される。
<BEMSJ注:2V/mの平均 ということは電力密度に換算すれば1μW/cm2です。>
*英国における予防原則
英国の曝露ガイドラインは、電磁界ばく露による健康影響に関する実験的、疫学的データをNRPBが包括的に再評価した結果に基づいており、その制限値は、職業人、一般人の区別なく同一のものであった。
これは、英国内で広く受け入れられ、中央政府をはじめ自治体、専門機関、産業界において利用されてきた。
1998 年には、ICNIRP ガイドラインが公表された。
ICNIRP ガイドラインでは、公衆ばく露に対して、より低い制限値が設定されていたことから、NRPBは自身の策定したガイドラインの再評価を1999年に実施している。
結果として、NRPB ガイドラインを見直し、公衆向けとしてICNIRP ガイドラインを採用するだけの科学的、論理的な根拠は認められないとの判断がなされた。
2000年5月には、NRPBの「携帯電話に関する独立専門家グループ(IEGMP)」 が、スチュアート報告とも呼ばれる「携帯電話と健康」を発表した。
この報告には、携帯電話で使用される周波数については、予防的アプローチとして公衆ばく露に関するICNIRPガイドラインを採択すべきという、英国政府に対する勧告が含まれている。
英国政府はこの勧告に積極的に応じ、NRPBの役員会は、政府の対応を支持する声明を出した。
これを踏まえ、NRPBは、2002年に、無線周波(特に携帯電話と基地局)に対し、予防的措置として追加するためにICNIRPガイドラインを適用するよう勧告(BEMSJ:注:ICNIRPガイドラインの採用が予防原則に基づく施策とされたという意味では興味深い。)した。
*ドイツの携帯電話端末機用環境ラベル:SARブルーエンジェル・マーク
RALドイツ商品安全・表示協会は、連邦環境省管轄下の連邦環境局と連携して、携帯電話端末機に貼付するための環境ラベルとしてSAR(比吸収率)のブルーエンジェルの作成を検討し、認証基準を制定し2002年6月に発表した。
性能面からの認証基準の主要点は、次の通りである。
・携帯電話端末機のSAR値は、DIN EN 50361に従って測定する。
・携帯電話端末機のSAR値は、0.60W/kgを超えてはならない。
もちろん、この他に環境ラベルとしてのリサイクル重視の基準を満たすことが必要である。即ち、廃棄する場合に機器が分解し易く回収しやすい素材・構造で設計することが要求される。
この環境ラベルの認証取得は自由参加が原則であり、参加を義務づけることはできない。
他の法的基準を満たしていれば、SAR環境ラベル認証を取得する必要性は全くない。
製品に環境ラベルを貼る位置はメーカに任されている。
携帯電話端末機ではデザインが重要になるので、機器自体に環境ラベルを貼付するかどうかは、RALで規定しない。端末機自体に環境ラベルが貼付されている必要はなく、認証されていることをインターネット上で公開する、またはテレビのコマーシャルや雑誌の宣伝で知らせるなどが可能である。
この環境ラベルは、政治的判断から政策として導入され作られたものである。
2002年6月のSAR環境ラベル発表以降、例えば、連邦環境大臣は、携帯電話端末機メーカに対しこのSAR環境ラベルを採用するようにと圧力をかけてきた。
RALの発行する環境ラベルで他のブルーエンジェル・マークについては成功例が多いものの、このSARブルーエンジェル・マークの認証申請への企業の参加実績は2006年に至ってもゼロである。 <関連する情報を追記 こちらへ >
*ドイツにおける基地局サイト情報の公開
ドイツ全域の携帯電話基地局に関する情報を2004年1月23日に旧Reg TPのホームページで一般に公開を始めた。現在は、連邦ネットワーク庁の提供するウェブサイトで公開されている。
管轄の地方自治体の管理者1人だけがパスワードを与えられ、ウェブサイトにアクセスできる。
居住地域の郵便番号を入力し、地名、通り名を選択するとその地域の基地局アンテナの情報が得られる。
郵便番号の市町村内の情報しか見ることができない。
他の地域の情報を公開するのは携帯電話通信事業者の競争に係わるので、全国を一覧するシステムはできない。アンテナを設置した携帯電話通信事業者がどの企業か、という情報は一般市民には提供しない。その情報を公開すると、企業のアンテナ占有率などが分かりビジネスの競争に介入することになる。
*ドイツにおける研究動向
ICNIRPガイドラインが発表された1998年当時、生体に対する健康影響は問題がないとされており、現在までの研究結果を考慮しても規制値で問題が出る疑いすら出ていない。
しかし、既に述べたように2001年10月のSSK報告により、これまでの科学研究論文を見直し、ICNIRP ガイドラインの制限値よりも低いばく露強度での生体影響が不確実の分野について、特に携帯電話からの放射電磁界の影響について研究することの必要性が勧告された。
その勧告に基づいて、BfSが中心となって、生物学、疫学、ドシメトリー、リスクコミュニケーションの4分野について総計51件の研究テーマの研究が進められており、既に完了し報告されたものもある。
2007年には最終結果が得られ、その結果によって厳しい電磁界政令に改定されるか、あるいは現状の電磁界政令が継続されるかが決まる予定である。
<BEMSJ注:2007年に終わるとある上記記述ですが、2008年になった現在でも、特にドイツからその種の報告が聞こえてこないので、まだ終わっていないのかもしれません。>
*スイスにおける携帯電話基地局
スイスでは電磁界政令として「非電離放射線防護政令」(本節では電磁界政令と呼称)が1999年12月に連邦議会で承認され、2000年2月に施行された。この電磁界政令は「連邦環境保護法」(1983年制定)および「連邦土地計画法」(1979年制定)に基づく公衆ばく露規制であり、「連邦環境保護法」に記述された用心(Vorsorge)の概念が取り入れられている。
連邦環境・森林・景観局BUWALでは、この電磁界政令の作成に際し、「連邦環境保護法」の関連部分を確認することによって極めて効率的に行うことができ、この「連邦環境保護法」がなければ膨大な作業量になったであろう、という。
また、後述する8種類の設備カテゴリーのばく露に関する「設備制限値」は妥協の産物で、環境保護団体はもっと厳しい値を要求し、携帯電話通信事業者はICNIRPガイドライン準拠で十分という議論の中で、その間を取って定められた、いわゆる政治的決着であったが、現在、問題は生じていない、という。
スイスにおける基地局アンテナの大きさは、当初、多くの小型アンテナ(低い放射電力)が設置されていたが、市場公開制になった後、最近は逆になり、互いに競合会社より勝る強い電力の少数の大型アンテナ(高い放射電力)を建設する方向に移行しつつある。
地理的な場所や周囲環境を選定することにより、強い電力で通信する方向に進んでいる。
*ロシアは独自の電磁波規制を行っています。
その中で、携帯電話基地局からの電波による一般公衆の曝露規定の数値を見つけました。
規定値は10μW/cm2 でした。
*中国の国際規格との調和
中国はロシアと同様、独自の電磁波規制を行っています。電磁波の規制には、公平な国際貿易という観点も考慮されています。
2001年に中国がWTOに加盟した当時から、WHOは中国に対し、各国で適用する電磁界基準の同一化(harmonization)に向けて、ICNIRP ガイドラインを導入するよう勧告していた。
中国は世界の動向を見ながら規制緩和に向けて、この基準同一化について検討してきたが、中国の衛生部と情報技術部で意見が異なり、統一見解に至っていない。
しかし2005年末に、携帯電話に関する基準草案が提出され、その草案ではSAR値2W/kg が提案されている。(この提案はICNIRPの基準値である。)
*イタリアの予防原則適用の理由と課題
「曝露限界」の20V/mは、ICNIRPガイドラインでの27.5V/mより多少厳しい設定である。
イタリアがICNIRPガイドラインを採用しなかった背景には、ICNIRPガイドラインが短期的な影響を中心に取り入れているのに対して、腫瘍等のような長期的影響についてはあまり考慮されていないことや当時、環境保護系政党が政権与党として連立を組んでいた等の、政治的な理由によるものがある。
イタリアの電磁界の法律は予防原則に沿って国民の保護のために作られたが、一般の人々は逆に、法律で電磁界について厳しく用心しているのは何らかの健康影響があるからだと一層不安に陥り心配する傾向にあるといわれている。このような問題の解決が今後の課題とされている。
*チェコにおける電波防護政策の転換、旧ソ連版からICNIRPへ
2000 年末までの高周波(60kHz〜1000GHz)に関する電磁界規制(No. 408/1990)は、旧COMECON圏で適用された基準を採用し、携帯電話基地局の送信機、TV放送等の周波数ではICNIRPガイドラインに比べ200倍厳しい制限値であった。
しかし、この従来規則を廃止し、ICNIRPガイドライン準拠の規則を導入することが検討され、次の新しい政府規則(480/2000)が2000年11月22日に制定され、2001年1月1日から発効した。
同規則は、ICNIRPガイドラインを全面的に採用しており、携帯電話からの電磁界だけでなく、レーザー等全ての非電離放射線を含む周波数範囲0〜1.7PHzのばく露防護規則である。
*ニュージーランドの携帯基地局ガイドライン
1990年の半ばには、全国で携帯電話の基地局を設置することに賛否両論が交わされ、それぞれの市町村議会が異なる基準を作り始めたため、異なるばく露基準値が存在するようになった。
このことは、携帯電話通信事業者にとっては、携帯電話の展開を困難なものにする要因であった。
市民にとっても、異なる基準値が多く存在するため、誰を、何を信用してよいのかわからないような状況に陥っていた。
そこで中央政府は、環境省に対して無線設備の影響管理に関するガイドラインを作成するよう指示し、また議論の中心が健康影響であったことから、同時に保健省に対しても健康影響に関するガイダンスを規定するよう指示した。
その結果、2000年12月に「環境ガイドライン」(environmental guidelines)と呼ばれる次のガイドラインが発行された。
「環境ガイドライン」における健康影響以外の内容:
「環境ガイドライン」は、健康に対する影響だけではなく、景観に関する影響も含めた内容となっている。
景観に関しては、「環境ガイドライン」の6節(pp.36)に記載されている。
この中に、健康への影響、景観への影響も含め、自治体がどのような形で扱うべきか、審査すべきかが記載されている。
また、通信業界に対しては、「環境ガイドライン」の7節(pp.47)で通信業界自身がもっと住民と対話し細かな対応をすることが必要である旨、記載されている。
さらに、学校、病院、老人ホームなどやその近隣では通信塔を設置すべきではない、ということは基準では一切規定されていない。
しかし、「環境ガイドライン」の7節には推奨事項として記載されており、これを無視して通信事業者が学校や病院等の近くに通信塔を設置しようとすると、市民から猛反対されることになる。通信業界にとっても、そのような場所を避けることは常識的なこととなっている。
一方、市民や市民団体に対するガイダンスも存在する(8節(pp.50))。安全ではないと思っているだけで、無線設備の設置に反対することは、正しい姿勢ではないという趣旨のことが記載されている。
*欧州委員会のリスクに関する捉え方
EU理事会勧告では、リスクマネジメントにも言及している。
問題となるのは、欧州に居住する多くの人たちが電磁界の悪影響の可能性があると考えていることである。
欧州委員会が労力と時間を割いているのは、一般の人たちに向けて学術研究の最新結果がどのようなものであるか、それを根拠に制定・管理されている法制度がどのようになっているかを伝えることである。
欧州議会やNGO(非政府組織)からの大きな圧力もある。現行法規制が一般の人たちを守るのに十分強力かという圧力である。
法規制を管理し見直す際には一般の人たちのこのような懸念も考慮しなければならない。
各加盟国におけるリスクコミュニケーションの最適実施策は何かも調べている。
タバコよりも電磁界の影響の方を恐れるのは非常に奇妙なことと欧州委員会は捉えている。
真のリスクは何かという、リスクマネジメント、リスクコミュニケーションの問題である。
*欧州委員会の権限
公衆ばく露規制の理事会勧告と職業ばく露規制のEU指令について:
公衆ばく露規制の理事会勧告(1999/519/EC)に関しては、加盟国は国内法に適用する義務はなく、今後もこの勧告が指令に変わることはない。
これは、欧州共同体設立条約第152条公衆衛生において「理事会は、欧州委員会からの提案について条件付き多数決で決議して、本条項に規定される目的の勧告を採用してもよい」という規定による。
他方、第137条労働安全衛生では「理事会は、前項言及分野において、各加盟国で行われている既定や技術規則を考慮しながら、徐々に実施するための最低の要求を、指令の手段により、採用してよい」と規定されている。
一般環境では労働環境と異なりばく露レベルの評価が非常に難しく、また理事会勧告の公衆ばく露の制限値はEU指令の職業ばく露の制限値と比べて低い。
労働環境では一般環境よりも緩い規制値であるため、労働者を十分に保護するために法的に強制しようという立場を取っている。
以上 関心のある方は原本の報告書を入手して、読んでください。
記:2009−7−21
1)ブルーエンジェル・マークの提唱2002年
2002年06月 ドイツ連邦環境省の発表によれば、ブルーエンジェル・マークの対象に「低電磁波携帯電話」を加えた。
携帯電話の条件:
ドイツでは昨年、2000万台の携帯電話が販売され、特に若者の間に広がっている。
携帯電話からのSARとして1キログラムあたり、0.6ワットの上限値を守る携帯電話に対しエコラベルを認める。
*しかし、ほとんどの携帯電話会社はこの規定案を無視して、適合した製品を市場に出さなかった。
2)2007年3月の日本の報告書の記載状況
以下の報告書がある。
電波ばく露による生物学的影響に関する評価試験及び調査 平成18年度 海外基準・規制動向調査報告書
平成19年3月 財団法人 テレコム先端技術研究支援センタ
*****************
RALの発行する環境ラベルで他のブルーエンジェル・マークについては成功例が多いものの、このSARブルーエンジェル・マークの認証申請への企業の参加実績は2006年に至ってもゼロである。
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3)ようやく第1号が市場に投入された。2007年
2007年8月 ドイツ連邦環境省の発表によれば、
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ドイツ 携帯電話とベビーフォンにエコマーク授与第1号が誕生
ドイツ連邦環境省は8月9日、Hartig+Helling社のベビーフォン「BabyRuf MBF 3333」とKandy Mobile AG 社の携帯電話「Kandy Mobile Handy-Paket fur Kinder」にエコマーク「ブルーエンジェル」を授与したことを発表した。
これらの製品は、2007年9月に市場に登場する予定である。
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4)2009年7月のBEMSJの確認
ドイツのッブルーエンジェルの担当部門に確認したら、上記の幼児用2モデルはマークの認可を行った、ことが確認できた。
同時に、成人用の携帯電話に関して確認したら、マーク付きの携帯電話はまだ市場に出ていない、と。
以下は、ネットで見つけた幼児用携帯電話BabyRuf MBF 3333の宣伝です。
ブルーエンジェル・マークが右上に例示されている。
5)総務省の報告2011年に見るブルーエンジェル
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平成22年度 電波防護に関する国外の基準・規制動向調査
平成23年3月(2011年)
総務省
ドイツ
RALドイツ商品安全・表示協会は連邦環境省配下の連邦環境局と連携して、自由参加ではあるが、携帯電話端末機に対する環境ラベル(SARブルーエンジェル・マーク)認証を受けるよう携帯電話通信事業者やメーカに勧告していた。
連邦環境省からの度重なる推奨により2007年には初めてこの認証を受けた携帯機器が市場に出たが、2009年末にドイツ携帯電話事業主は今後、この認証を受けないことを決定した。
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6)ドイツのブルーエンジェル登録状況を2019年10月にチェック
上記に紹介した「幼児用携帯電話BabyRuf MBF 3333」は登録されていない、登録を抹消したのかもしれない。
以下に示す様に、香港の会社の電話機8モデルが、このモデルだけが電話機としてブルーエンジェルのマークを付けていることが登録されていた。
7)2020年ドイツ連邦放射線保護局の発表から
以下は電磁界情報センタのサイトになった情報
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ドイツ連邦放射線防護局(BfS)が比吸収率(SAR)の低い携帯電話を推奨
2021.1.8掲載
ドイツ連邦放射線防護局(BfS)は2020年12月16日付の報道発表で、携帯電話等のスマートデバイスを購入の際には比吸収率(SAR)が低いものを検討するよう推奨しました。
スマートフォンやタブレット端末は身体、特に頭部の近くで使用され、放射されたエネルギの一部は吸収され、熱に変換されます。SARはこのエネルギ吸収の尺度で、キログラムあたりのワット数(W/kg)で表されます。
BfSは、ドイツ国内で市販されているスマートフォンおよびタブレット端末のSARについて取りまとめたリストをインターネットサイトで公開しています。
BfSはこのリストを定期的に見直し、現在は第5世代(5G)端末を含めて88社製の3744機種を対象としています。
国際的なガイドラインに従い、SARは2W/kgを超えてはならないとされています。
また、ドイツ独自の「ブルーエンジェル」ガイドラインでの低放射デバイスの要求事項である「頭部でのSARが0.5W/kg以下」を満たすものは、SARリストで緑色のマークが付けられています。
BfSのInge Paulini局長は次のように述べています。
「新たなデバイスを購入する際には、最新の5G通信規格に対応しているかどうかといった技術的な特徴だけでなく、電波防護についても考慮することが望ましいです。SARリストの検索機能を使えば、購入を検討しているデバイスのSARを確認できます。
最新の科学的知識によれば、携帯電話使用によって生じる電磁界と人の病気との因果関係について確認された証拠はありません。5Gの技術的側面は新しいものですが、そこで利用されている電磁界は同じものです。
同様に、電磁界の利用の基礎をなす物理的および生物学的な作用メカニズムも同じです。このため、制限値を遵守している限り、5Gによって健康影響が生じるとは考えられません。」
BfSの報道発表の原文およびSARリスト(どちらも英語)は、それぞれ以下のURLで確認できます。
〔報道発表〕https://www.bfs.de/SharedDocs/Pressemitteilungen/BfS/EN/2020/019.html
〔SARリスト〕https://www.bfs.de/DE/service/sar-suche/sar_suche_node.html
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BfSのサイトを見ると低SARの機種にはマークがついている。
そこで、改めてドイツのBlaue Engelの登録サイトを見てみたが、6)に示す情報と同じで、携帯電話にこのブルーエンジェル・マークを付けているものの登録は、6)で示したもの以外はなかった。
https://www.blauer-engel.de/en/our-label-environment で確認
すなわち、SARの値は低いものはあるが、それらがマークを付けて、低SARを表に出して、販売している訳ではない。
記:2009−4−6
電磁波の曝露基準をICNIRは制定していますが、このたび静磁界のガイドラインが改訂されました。
1994年にICNIRPは静磁界のガイドラインを発行しています。 15年ぶりに改訂となったようです。
以下の、ICNIRPのドイツの本部のサイトに公開されています。 http://www.icnirp.de/
Guidelines on Limits of Exposure to Static Magnetic Fields are now published in
Health Physics 96(4):504-514; April 2009.
Based on review of the scientific evidence, ICNIRP recommends the limits for
exposure at the occupational level and for the general public.
----> Guidelines - Fact Sheet summarizing the guidelines
まだ一部しか読んでいませんが、 1994年の値と2009年のちを簡単に比べると、以下のように曝露限度値が緩和されています。
職業的な曝露
1994年 時間平均で0.2T 天井値として2T(四肢に対しては5T)
時間で平均した場合は0.2Tであるが、瞬間的にでも天井値である2Tは越えてはならない。
2009年 時間の制限はなく、最大2T。
但しMRI装置のように必要な場合は、きちんと管理されていることを条件に 最大8Tまで許容。
一般公衆の曝露
1994年 40mT
2009年 400mT と10倍まで緩和
関心のある方は、上記サイトから原文全文を入手して、読んでください。
記:2009年5月21日
1966年に発行されてH. Puschner著 「Heating with Microwaves」という本を入手した。
この本はマイクロ波による加熱に関する本です。
ほんのわずか、電磁波の生体影響に関する記述もある。
以下は、その一つです。
アメリカの電波防護規定は、旧ソ連に比べて100倍、1000倍甘い・・・・とされるが、以下のアメリカの履歴も見れば、アメリカの中にも、企業や組織によっては、曝露限度を0.1mW/cm2や1mW/cm2とかなり厳しい規定を持っていたことがわかった。
アメリカではさまざまな提案・規定が存在したが、さまざまな研究の結果、1958年・1959年頃にかけて、10mW/cm2に統一された、ということがわかった。
アメリカ陸軍、アメリカ海軍の100mWが10mWに変更された。GEの1mWが10mWに変更、BELLの0.1mWが10mWに変更された。
結果として、数年かけて、10mWに統一された。
追記: 2012−4−24
浜田至宇著「マインド・コントロールの拡張」1995年第三書館発行の中に、関連する情報がありました。
1953年アメリカ海軍は熱の影響の閾値として100mW/cm2から10の安全率を考慮して、曝露基準を10mW/cm2 と定めた(これは上の図と異なる情報)。
そして翌年1954年には、民間企業で独自の曝露基準として、GEは、影響の閾値は同じく100mW/cm2であるが、安全率を100として、曝露基準としては1mW/cm2を定めた。
記;2−12−6−29
アメリカ海軍の電磁波曝露規定を入手した。より厳しく規定している非管理条件での曝露規定を、以下に転記します。
以下のグラフには、ICNIRPの1998年ガイドラインにおける一般公衆への曝露規定値を、BEMSJが黄色いマーカ線で追記して、比較してあります。
(1)は高周波帯域での電力密度による制限値で、200MHz付近では両者は同準です。 しかし、2000MHz以上の高い周波数では、アメリカ海軍の曝露規定はICNIRPの10倍となっています。
(2)は低周波帯域における磁界曝露の制限値で、100MHz付近では両者は同準です。 しかし、低い周波数ではアメリカ海軍の曝露規定はICNIRPの10倍と言った値になっています。
(3)は低周波帯域における電界曝露の制限値で、100MHz付近では両者は同準です。しかし低い周波数ではアメリカ海軍の曝露規定はICNIRPの10倍と言った値になっています。
関心のある方は、アメリカ海軍の曝露基準の原文を入手して読んでください。
記;2009−7−1
EICネットにあった情報です。
参照:http://www.eic.or.jp
EICネットは「(財)環境情報普及センタが運用する環境教育・環境保全活動を促進するための環境情報・交流ネットワークです。」とサイトに書かれています。
*始まり:研究スタート時の情報
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発表日:2003.09.25 情報源:ドイツ
携帯電話研究プログラムを開始
ドイツ連邦環境省は、携帯電話や電波塔における電磁波等の未解決の疑問や健康リスク問題を研究するため、「ドイツ携帯電話研究プログラム(DMF)」を実施することを発表した。
2002年から2005年までの間に、合計850万ユーロ(11億円)の研究資金を用意している。
(略) 【ドイツ連邦環境省】
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*結果:研究の成果の報告
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発表日:2008.06.17 情報源:ドイツ
ドイツ 移動体通信の電磁波予防は現行の制限値で可能
ドイツの移動体通信電磁波研究プログラム最終会議が、6月17・18日、ベルリンで開催された。
この研究プログラムは、ドイツ連邦環境省が2002年6月に委託、ドイツ連邦放射線保護庁が担当したもので、研究のために連邦環境省と移動体通信網運営者が850万ユーロを拠出した。
6年間の研究の成果により、ドイツ連邦放射線保護庁と放射線保護委員会は、現行の制限値は、学術的な視点から問題とはならないという見解を示した。
研究プログラムの開始時に懸念された現行の制限値内でのリスクは、研究では確認されなかった。
(略) 【ドイツ連邦環境省】
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記;2010−3−21
1)Bollnas市での規制
Bollnasはストックホルムの北方にある人口15000人程度のスウェーデン中部にある町
この町の環境目標として以下の規定がある。
新しい住居を建設したり。送電線を移設したりする場合、以下の安全策を講ずる。
・送電線からの磁界が0.3μTを超えない距離に住居を建てる。もしくは、
・400kV送電線の場合は、100m以内に住居を建てない。
2)Karlstadt市での規制
このKarlstasdtはストックホルムの西方にある人口6万人程度の市
市の条例と思われる条文に
「新しい住居は、0.2μTを超えない場所に建てるべきである」という趣旨の規定がある。
上記の情報は、それぞれの市のサイトにあったスウェーデン語の情報を機械英訳しているので細かいニュアンスも、詳細も判らない。
注記:スウェーデンの状況に関しては、別のページに詳細情報を掲載しました。 こちらへ
記:2010−11−1
電磁界情報センターニュース11号(2010年10月発行)に以下の情報がありました。
一部を引用して紹介します。
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スウェーデン政府の取り組みと勧告
2009年、上述のスウェーデン政府5機関の連名で、「磁界と健康リスク」というパンフレットが公表されました。
そのパンフレットの冒頭には、「私たちの周りに常に存在する磁界について、多くの人は健康に害があるのではないかと考えています。
このパンフレットでは、磁界と健康リスクに関する5つの機関の取り組みについて紹介します。」と書かれています。
以下、その中の当局の勧告の部分を簡単に紹介します。
スウェーデンでは5つの機関が磁界に関する健康問題に対する責任を共有しています。
これらの機関はそれぞれの立場で、測定、研究及び評価を行い、アドバイス、勧告及び規制を作成します。
長期的な磁界の健康影響は無視できないので、公衆及び労働環境に対して慎重な勧告を行っている。
当局は、計画時や建設時に対して、経済的に良識的と考えられる費用で実現できる場合には、という条件付で、以下の勧告を行っている。
・高圧送電線や他の電力設備の新設の際には、磁界の曝露を低減するためにその設置場所を考慮すること。
・磁界が大きくなる高圧送電線付近での住宅及び学校などの設備の新規建設は避けること。
・住宅、学校、育児施設及び電力作業環境において通常考えられる値と極端にかけ離れた磁界を作らないように努力すること。
日本とスウェーデンの地理的環境や国家政策にはいろいろな面において違いがあります。
スウェーデンの政策全てを日本に取り入れることが最良の方法とは思えませんが、今後、電磁界問題を考える上での参考になると思います。
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記:2010−10−25
以下の情報が電磁界情報センタ発行「電磁界情報センターニュース」第10号(2010年8月発行)に記載されていました。
****************** 一部 転載 ****************
ドイツにおける電磁界の規制値
電力設備から発生する電磁界に関するドイツの規制政策を紹介しておきます。
ドイツでは、1997年1月1日に、公害防止法のうち、電磁界に関する施行令第26号」と呼ばれる法律(施行令)が発効しています。
この法律は、送電線や変電所などの電力用設備や鉄道への供給用電力設備など、低周波電磁界を放射する電力設備について電磁界の制限値を定める法律です。
法律によれば、「これら電磁界の制限値は、人が常時使用することを目的とした建物内や場所において、電界が5kV/m、磁界100μTを超えてはならない」とされています。
また、1日のうちの5%未満の時間であれば、住宅、学校、幼稚園などの施設を除いて、電界では10kV/mまで、磁界では200μTまでが許容されるという補足制限条項もあります。
ドイツでは、現在でも、この法律は電力設備が遵守すべき規制です。
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関心のある方は、当該のニュースを読んでください。
記:2010−11−6
Petrov, I.R.編 Influence of Microwave Radiation on the
Organism of Man and Animals. Academy of Medical Sciences of the USSR,
発行:1970. 英語翻訳版に以下の曝露規定の提案がありました。
On the basis of this figure, one-tenth of the radiant intensity, i.e., 0.1 mW/cm2, was recommended as the safe level for exposure
throughout the working day (rounded off to 10 hours).
For a tenfold hygienic safety margin, arrived at in view of the varying ages,
individual sensitivities, etc., a still lower (by a factor of 10) intensity,
i.e., 0.01 mW/cm2 (10 microW/cm2)
has been recommended as the maximum permissible level.
マイクロ波曝露に関して曝露限度値を提案する。
職業的な曝露では1日10時間程度の作業として、曝露限度は0.1mW/cm2とする。
様々な年齢や感受性の高い人 即ち一般公衆の曝露限度は10倍の安全率を持って、0.01mW/cm2とする。
記:2011−5−17
天笠啓祐とガウス探検隊著、ネスコ 1996年12月発行の「電磁波恐怖マニュアル」を読んで、以下の情報がありました。
この本はとんでもない本で、正確に測定できないような磁界測定器で、生活環境中やオフィスでの電気製品からの磁界を測定しただけの本なので、以下の情報も本当か? ウラを取る必要がありそうですが、とりあえず紹介します。
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ソ連時代に、高圧送電線は人家から100m離すことが決められていたが、
それも1984年(電場・電界)と1985年(磁場・磁界)に設定された規制値は、1kV/m、1800ミリガウスと大変高いものになっている。
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記:2010−11−7
毎日新聞 1997年4月26日の記事です。
************ 一部引用 **********
JIS 携帯電話などの電磁波被害で見直しに着手
携帯電話やパソコンなどの電磁波が、心臓のペースメーカや点滴器の誤作動を引き起こす問題で、通産省・工業技術院は26日、電磁波被害を防止するため、日本工業規格(JIS)の見直しに着手することを決めた。
マイコンを使用した家電製品や携帯電話の普及で、電磁波を放出したり、逆に影響を受ける家電製品は増加しているため、メーカ側も対応を迫られることになりそう。
見直しは、日本工業標準調査会(通産相の諮問機関)がこの日まとめた中間報告を受けたもので、電磁波の放出制限や、電磁波を受けても乱れない機能の規格などを定める。
以下 略
************** **********
関心のある方は、古い新聞を開いて読んでください。
このJISの制定の話は、結果としてどうなったのでしょうか?
少なくとも、メーカとして対応しなければならない・・・・という規格が制定された、という話は聞いたことはありません。
記;2011−5−9
始まり:
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100617-00000009-cnn-int<リンク切れ>にあった内容 2010-6-17のログ
********** 一部 引用 *************
携帯電話の電磁波量開示を義務化へ サンフランシスコ
6月17日13時48分配信 CNN.co.jp
(CNN) カリフォルニア州サンフランシスコで、携帯電話から放出される電磁波量を店頭で開示することを義務付ける法案が制定される見通しとなっている。
制定されれば米国の市としては初となる。
地元紙サンフランシスコ・クロニクルによると、市の立法機関である管理委員会は15日、携帯電話メーカに対して電磁波の放出量を店頭で開示するよう義務付けた法案を10対1の賛成多数で承認した。
ニューサム市長の署名で成立する見通し。
******************** ***************
その後の動き:
http://japan.cnet.com/news/business/35001241/ にあった内容 2011−4−4のログ
*************************** 一部 引用 ****************
CTIA、携帯電話SAR開示条例は違憲と主張--サンフランシスコ市と対立.
Kent German (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル 2011/04/04 11:38
Cellular Telecommunications & Internet Association(CTIA)の広報担当者John Walls氏は、米CNETとのインタビューの中で、サンフランシスコ市が携帯電話の販売店に対して、電磁波の悪影響の可能性について消費者に警告する資料を配布するよう強制することはできないと述べた。
「言論を強制することはできない。販売店にこの情報を伝えるよう命じるのは、米憲法修正第1条に違反する」(Walls氏)
サンフランシスコ市行政執行委員会は2010年6月にこの条例(PDF)を可決したが、それに対してCTIAが提訴している。
同条例は5月1日に発効する予定だったが、同市は2月、施行日を6月15日に延期している。
****************************** ************
結果:
http://japan.cnet.com/news/biz/35002460/ にあった内容 2011−5−9のログ
***************** 一部 引用 ******************
サンフランシスコ市、携帯電話SAR開示条例を無期延期
Kent German (CNET News) 翻訳校正: 編集部 2011/05/09 15:10
サンフランシスコ市当局は、小売店が店頭にて携帯電話機の比吸収率(SAR)を表示し、携帯電話の電磁波に関する資料を消費者に配布しなくてはならないという、同市の情報開示条例の実施を無期限に延期するとした。
この条例に代わる法律の制定が見込まれてはいるが、詳細は発表されていない。
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記:2011−5−18
*始まり
東京新聞のサイトに以下の記事がありました。
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【国際】小中学校での携帯電話禁止 仏上院、法案可決
2009年10月12日 朝刊
【パリ=清水俊郎】フランス上院議会で8日、小中学生が学校で携帯電話を使うのを禁じる条項を盛り込んだ環境法案が賛成多数で可決された。
近く下院で審議し、成立する見通し。
フランスでも校内での携帯使用を制限している学校が大半だが、授業中に携帯のメールやゲームにふける子どもが多いため、法制化に踏み切った。
「携帯の電磁波から子どもの健康を守る」のが法案の主目的。
14歳以下を対象にした携帯電話の宣伝や、6歳以下の幼児でも使えるように操作手順を簡略化した製品の開発も禁じる。
**************** ************
面白いことに上院で初めに可決し、下院に送付しています。
その後、この案件はどうなったのか? 新聞などでは報道されていません。
*結果
2010年11月25日付の以下の電波産業会の資料の中に、その後の情報と詳細がありました。
http://www.arib-emf.org/pdf/20101125.pdf にあったもの
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平成22年11月25日 (社)電波産業会 電磁環境委員会
子ども向けの携帯電話の販売禁止等に関するフランスの法律について
フランス国民議会(下院)は2010年6月29日、「環境に対する国のコミットメントについて」と題する法律を可決しました。
なお、この法律は、上院で2009年10月に可決されたもので、下院での可決を受けて、7月19日付の官報に公告されました。
この法律は、「建築及び都市計画」「運輸」「エネルギ及び環境」「生物多様性」「リスク、健康、廃棄物」「統治」の6章で構成されており、全体で257項、126頁にわたる膨大なものです。
この中で「リスク、健康、廃棄物」の章の2つの項(183項及び184項)に、携帯電話に関する以下の記述があります。
○ 183項:
・ 電話サービス提供のため一般に開放されたネットワークに接続する無線端末は、通話中の頭部への電波曝露を制限する付属品なしに販売できない。
・ フランスの規制当局は、全国平均の曝露を大幅に上回る地域を同定するため、公衆の電波曝露に関する全国調査を2012年12月31日までに実施しなければならない。
・保健省は、6歳以下の子ども向けの電波放射機器の販売または無料配布を禁止する法律を制定することができる。
・14歳以下の子ども向けの携帯電話の広告またはマーケテイングを禁止する。
・幼稚園・学校・大学での児童・学生の携帯電話の使用を禁止する。
曝露測定実験を実施する地方政府は、その結果を国家周波数局及び環境衛生労働安全局に通知すること。
○ 184項:
・ フランス国内で販売される全ての携帯電話は、比吸収率(SAR)をフランス語で明確に表示しなければならない。
また、通話中の頭部への電波曝露を制限する付属品の使用推奨にも言及しなければならない。
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ということで、下院でも可決したことが判りました。
関心のある方は、上記の電波産業会の資料を参照してください。
作成:2006-5-29 このWEBに公開:2012−3−22
以下の本にアメリカの送電線からの電磁界に関する情報が掲載されている。
ちょっと古い情報になる。
“Electrical and Biological Effects of Transmission
Lines: A Review”, Jack M. Lee,
Bonneville Power Administration, Portland, Oregon, December 1996 を入手
その概要を以下に示す。
1)連邦法としては 規定はない。
2)各州の動向:全て予防原則、慎重なる回避策として
アリゾナ州:新規に送電線を建設する場合、学校などからは離すという予防原則を採用。 数値規制なし。
カルフォルニア州:カルフォルニア州教育局の方針、1993年、学校から高圧送電線は距離を取る、例:50万ボルト送電線の場合は350フィート以上、
コロラド州:1992年慎重なる回避策を採用。規制の数値なし
コネチカット州:1992年慎重なる回避策は不要との報告書
デラウエア州:電力会社は1990年に磁界は他の現存の送電線下の磁界値並みにすると規定、送電線路端で電界は2kV/m、磁界は20μT
フロリダ州:送電線路端で電界は2kV/m、磁界は20μT(500kV送電線の場合)
ハワイ州:1994年慎重なる回避策を採用
ミネソタ州:送電線路端で電界は8kV/m、磁界はなし。
モンタナ州:1984年、送電線路端で電界は1kV/m、磁界はなし。
オハイオ州:1992年、新規送電線建設の時は電磁界レベルの情報開示を要求。
オレゴン州:1980年、近接可能な場所での送電線下の電界は9kV/m以下に規制。磁界はなし。
ニュージャージー州:1981年、送電線路端で電界は3kV/m。1993年磁界も規制という案が出たが確定していない。
ニューヨーク州:1978年、送電線路端で電界は1.6kV/m。1990年、磁界は20μT以下に規定。
3)地方公共団体での動き
Ashland Oregon: 1991年慎重なる回避策を採用。規制の数値はない。
Bellevue Washington: 1993年、合理的に可能であれば送電線の地中化促進策を決定。
Brentwood Tennessee: 1991年、120kV以上の高圧送電線下の磁界は4mG以下。既存の送電線は5年以内に対応。
Camas Washington: 新規建設の送電線は慎重なる回避策を講ずること、申請書に4mGを超える区域を示すこと。
Eugene Oregon: 慎重なる回避を考慮する。規制数値はない。
Irving California: 1990年、4mGを超える区域を示すこと、その中に学校などがあってはならない。
Sandy city Utah: 1996年新規送電線は地中化を義務付け。
Wilmette Illinois: 1991年鉄道の路線での磁界を2mGに規制した。
関心のある方は、1996年の文献を読んでください。
記;2012−3−22
1)以下のフォーラムで、アーバイン市の磁界規制に関する情報が得られた。
*******************************
第6回電磁界フォーラム開催のご案内(3/21東京) 〜電磁界とプレコーショナリ原則(Precautionary Principle)〜
1.日 時:平成24年3月21日(水) 13:00〜16:30
2.場 所:日本科学未来館 みらいCANホール(住所:東京都江東区青海2-3-6)
3)米国におけるプレコーショナリ政策の事例 電磁界情報センタ 倉成祐幸
・アメリカ・アーバイン市の磁界規制の実情の紹介
アーバイン市の38区画を住宅地として開発しようとした時、この区画に隣接してサザン・カリフォルニア・エジソン社の高圧送電線があった。
住宅地としての開発に関する環境影響評価の中で、送電線からの電磁界の問題が提起された。
電磁界の健康影響ありとなしの意見があり、結論は出せなかった。
そこで、保守的に考えて、4mGまでは大丈夫として、4mG以内の場所の住所を送電線から離して建築することにした。
この規制で影響を受けたのは20件の住宅のみであった。
この規制は、この38区画に開発にのみ適用され、他の区画には適用されない。
アーバイン市で4mGの規制を市内全域に適用したとか、生活環境で4mGを超えてはならない という規制を行った などと言うことはない。
38地区の土地区画条例の中に記述されている。
6)全般的な質疑応答
Q:アーバインの紹介があった。これはアメリカでは一般的な動向か?
A:アメリカは連邦法の磁界規制はない。州法の規定がある州もあり。今回紹介したアーバイン市は特殊な事例。
アーバイン市の38区画という特定の区画での住宅開発に限定した動きである。
アーバイン市は全市で4mGの磁界規制値を作ったとよく誤解されるが、そうではない。
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関心のある方は、このフォーラムのレジメを入手して読んでください。
2)そこで、レジメに記載された地図をもとに当該の地区の状況をグーグルの航空地図とストリートマップで、現状をチェックしてみた。
JEICの情報を基に、グーグルの航空地図で当該の地域を同定した。図1は当該の区域である。
赤い線が2系統の高圧送電線の位置である。
橙色の四角で囲んだ箇所が4mGを超える区域として、20軒の住宅の位置を送電線から離して建設された区域である。
送電線を挟んで、橙色の区域の反対側は、磁界規制の対象区域には指定されていない。
黄色の丸印に示す白い建物は、低層の倉庫が工場と思われる。この真上を高圧送電線は通過している。図2に示す。
規制された区画に隣接して規制されていない場所では 送電線の敷地に密接して住居がある。
しかも図1の緑色の丸印で示した箇所、磁界漏洩が大きいと推定できる比較的低圧の高圧送電線に隣接して住居が建設されている、図3に示す。
これらのことからも、磁界規制は極めて限定された土地開発区域にのみ適用されたと判断できる。
図1 対象とされた区域 黄色マーカ部分の拡大図を図2に、緑マーカの部分の拡大図を図3に示す。
橙の□とX印の部分が、磁界曝露を規制した区域。
図2 低層の工場か倉庫の真上を送電線は通過
図3 高圧送電線に隣接して住居が建設されている。
規制対象となった区域の航空写真を図4に示す。
2本の送電線のうち、低圧で、1回線の鉄塔からより大きい磁界が発生しているのかもしれない。
そのために、比較的低圧の送電線に近い住居が距離をとるようになったのと推定。 庭に利用されている。
図4
記:2012−7−12
以下の記事がJEICニュース(電磁界情報センタ)21号 2012年6月発行に記載されていました。
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カリフォルニア州アーバイン市の磁界規制
アーバイン市の歴史は、1850年代にジェームス・アーバインという方が牧草地として広大な土地を買ったところから始まりました。
現在も開発用地すべてがアーバイン社1社から供給を受けているという珍しい町です。
また都市景観に非常に気を配っており、住宅の塗装色や屋根の外観などが規制される場合もあります。
1987年にアーバイン社が38地区の住宅開発を市に提案したところ、環境影響評価の一環として送電線からの電磁界による健康影響について評価が行われ、磁界の規制が導入されました。
磁界規制の内容は、「土地開発者は申請書の提出に際し、4mG(0.4μT)磁界等高線を地図上に表示しなければならない。
サザン・カリフォルニア・エジソン社の送電線用地と4mG磁界等高線との問に住宅・幼稚園を開発してはならないというものです。
この規制に関わったアーバイン市の担当者は、「環境影響評価では電磁界の健康影響の有無に関する結論は出なかったが、Cautionの位置づけで規制が導入された。
注意が必要なのは、アーバイン市は人の電磁界曝露を4mGに規制したと誤解されるが、そうではなく、この38区のある数十軒の建築を制限(セットバック)したまでということ。
38地区以外には規制は適用されない。
つまり、アーバイン市約8万6,000軒のうち規制を受けている家屋はこの地区の約20軒のみということになる。
また、電力会社が鉄塔を移すとか費用を負担することはない。」とお話されていました。
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記;2012−5−30
電磁波の健康影響に関する著作が多い荻野晃也は、以下に示すように、WHOの環境保健基準を否定していた。
*WHOの環境保健基準を否定する荻野の論:1996年
「高圧線と電磁波公害」 高圧線問題全国ネットワーク 編 1996年 緑風出版発行の中で、荻野晃也が分担執筆している「電磁波の人体に及ぼす影響」という章の中で、以下に記述している。
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電力会社(私の聞いているのは東電・中部電・中国電ですが)は住民に対して「世界保健機構(WHO)の規制値は一ガウスですが、送電線などからの電磁場はずっと弱いので心配はありません」と説明しているようです。
WHOの報告書に書かれている値は磁場で50ガウスのはずなのですが、WHOという名前を使う方が騙しやすいので使っているのでしょう。
もちろんWHOの専門家グループはIRPAと協力してやっていますから、WHOとまったく無関係だとはいいませんが、WHOの「環境保健基準69(磁場)」の値はあくまで50ガウスなのです。
さらにいえば、その値はWHOとして正式決定した「磁場についての安全基準」ではありません。
「基準69」の表紙には「この報告は国際的な専門家グループの共同の見解を示すものであって、必ずしも国連環境計画、国際労働機構、世界保健機構の決定あるいは確定した政策を示すものではない」と書かれているのです。
何らかの目安値が必要だということから書かれたのであって、もちろん拘束力はまったくないのです。
その証拠に、東京電力や通産省などは「WHOの値は50ガウス」といっているのですが、関西電力は「5ガウス」と宣伝に使っているのでもわかります。
電磁波問題は一部の科学雑誌に取り上げられるようになってきたとはいえ、マスコミで報道されることもほとんどありませんので、電力会社としても好きなように説明できるのではないでしょうか。
スウェーデンの報告にもあるように、2〜3ミリガウス以上の交流磁場に曝露された子供たちに白血病などのがんの危険性が高いことが発表されたというのに、私たちには何も知らされていないのです。
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すなわち電力会社がWHOの環境基準文書69を基に、5ガウス、50ガウスという値以下であるから安全と言っているが、環境保健基準文書はWHOの正式文書ではなく、拘束力はないと、環境保健基準文書を否定している。
*2008年以降は?
調査中。
記:2012−11−23
EMFactのサイトhttp://www.emfacts.com/2012/09/india-adopts-health-warnings-u-s-mobile-phone-standards/ にあった内容の一部を紹介です。
インドは基地局:ICNIRPの10分の1に曝露強度、端末:アメリカ式の1.6W/kgに規制 というものです。
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India Adopts Health Warnings & U.S. Mobile Phone Standards
インドはアメリカの携帯電話に関する規格と健康への警告を採用
September 6, 2012 in
-Mailing List, Cell phone news by EMFacts
India adopts the U.S. cell phone radiation standard, issues health warnings and
requires safety precautions in user manuals.
インドはアメリカの携帯電話の電磁波規格を採用し、健康への警告発し、取扱い説明書に予防的な安全策を要求した。
India just adopted the U.S. cell phone handset radiation standard.
The Indian government also issued precautionary health warnings about cell
phone use and is requiring manufacturers to include safety precautions in user
manuals.
インドはアメリカの携帯電話端末に関する電磁波規格を採用した。
インド政府は、携帯電話の使用による予防的な健康に関する警告を発行し、製造業者には取扱説明書に予防的な安全策を書き加えるように要求した。
(略)
The following are the highlights of the Standards:
Mobile Towers (EMF Radiation Norms)
* EMF (Electromagnetic Frequency) exposure limit (Base Station Emissions) has
been lowered to 1/10th of the existing ICNIRP exposure level, effective 1st
Sept. 2012.
規格の注目点
携帯電話基地局からの電磁波に関する法規制
・基地局からの電磁波曝露はICNIRPの規定値の10分の1に低くする。2012年9月1日より発効。
詳細はこの記事だけでは判りません。
関心のあるかたは、このEMFactの記事だけではなく、インド政府の情報を探してください。
記:2013−6−28
Interference Technology 日本語版 2012年11月号にあった内容
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インドの電磁波放射に対する健康懸念について
インドの電気通信局(Department of Telecommunications)は2012年9月1日から強制となる電波塔からの放射エミッションに対する新規則を発行した。
インドの携帯電話通信事業者は、既に95パーセントの電波塔の放射エミッションを9月1日以降の厳しい規制レベルに適合させる事前策を取ったと言っている。
現在の1平方メートル当たり4,500ミリワットの放射レベルは、その1/10、1平方メートル当たり450ミリワットに下げなければならない。
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詳細は不詳です。
記:2021−3−15
以下は、全国電磁波測定士協会という団体のWEBにあった自主基準です。
2012年3月のログです。2012年の古い資料が出てきたので、2021年にまとめてみます。
2021年3月のアクセスではこのWEBは開けなくなっています。
全国電磁波測定士協会は「一般社団法人 日本電磁波協会(本部:市川市)」と名前をかえたようです。
この日本電磁波協会のWEBをみましたが、どこにもこの自主基準は掲載されていませんでした。
この基準は以下に示す様に、疑問があります。
・スウェーデンのMPRのガイドライン値、60Hz 電界 25V/m以下、磁界:2.5mG以下は、パソコン用表示装置VDTに関する規定で、VDTが技術的に可能で低くできる限度値から定めたものです。
したがって、VDTの場合は、適合できるように設計・生産ができても、類似の家庭用電気製品 例:テレビ受信機は、適合できるという保証は全くありません。
むしろ、ほとんどの家電製品は、この値に適合できないと言えるかもしれません。
そうしたものを、日本の国内の家庭などでの電磁波曝露基準(電磁波測定士協会の測定士が測定し、その結果を判定する基準)とすることは無理があります。
下手をすれば、測定結果が「危険」とし、対策グッズなどを押し売りすることにでもなったら、大変です。
・MPR2の規定は、電磁波源VDTの近傍で測定します、この近傍での磁界は距離減衰や強度の分布が不均一になったりします。
こうしたこともあり、100p2と言ったセンサーの面積を持つもので測定した場合の基準値です。
もし、より小さなループ面積を持つセンサーで測定を行えば、局所的により大きな測定値が得られます。
電磁波測定士協会の指定の磁界測定器を見ると、センサーのループ面積はかなり小さいとみえます。
これでは、MPR2に適合したVDTを測定した場合でも、適合不合格となる数字が測定されるでしょう。
・電界の測定は、さらに微妙です。
電界の測定器は片側アース設置方式です。この方式で測定した場合、VDTから50pで25V/mという値が得られた場合、測定器を距離25pにして再測定すると50V/m、距離10cmでは250V/mという値が出ます。
すなわち、MPR2の電界基準値は機器から50pといった限定された測定距離でのみ有効な数字です。
これを、測定距離を無視して、一般的に基準値25V/mとすれば、電磁波測定士は、測定業務を行いながら、対策の実施や対策グッズの押し売りを行うことになりかねません。
電磁波測定士協会の指定の電界測定器は1軸です。
一般的に電磁波はX.Y.Zの3軸方向で大きく値が異なります。
したがって、X,Y,Zの3軸の値を測定して、それらの合算値を計算する必要があります。
センサーの向きを3方向に変えて測定を繰り返し、3つの測定値からその場の電界強度を計算して算出すればよいのですが、送電線からの電界の場合は、特定の軸方向の電界はゼロです。
したがって、3軸で繰り返さずに、任意の方向だけで判断した場合は、測定値:ゼロ という結果も出てきます。
従って、この自主基準値は、一般の電磁波環境測定時の判断基準とするのは
そもそも間違いであり、測定器や測定法もザルと言わざるを得ません。
もしかして、こうした問題点が判明したので、現在は自主基準を取り下げ、WEBからも削除したのかもしれません。