携帯電話の電磁波防護グッズに関する解説、情報のコーナー 研究トップへ戻る
1.英国・携帯電話の電磁波防護グッズ評価報告書
1A.マイコミニュースでも報道されていた英国貿易産業省の防護グッズ報告
2.小片のシールドパットの例
2A.電磁波市民グループが推奨していた携帯電話防護グッズ
2B.三和興業製携帯電話電磁波防止グッズ「すてるす君」
2C.柴田陶器が製造していた携帯電話電磁波防護グッズ Wave Saver
2D.三共化成が製造していた電磁波防護グッズ「アンテナ君」
3.携帯電話の電磁波防護グッズの効果検証法の提案
4.Oliverらの2001年研究 携帯電話防護グッズに効果なし
4A.アメリカのIEEEの携帯電話電磁波防護グッズに関する声明
5.イヤホンを使うことによる電磁波の低減に関するニュース報道
6.イヤホンを使っても電磁波の低減効果がないとするニュース報道
7.イヤホン・マイクの効果 EDN2000年12月のニュース
8.カシムラの電磁波防護グッズ
9.携帯電話ハンドセットからの電磁波吸収防護の研究
10.電磁波防護グッズ「マイクロアーマ」
英Department of Trade and
Industry(貿易産業省) 2001年6月発行
携帯電話から発せられる電磁波をカット/吸収できるとして販売されている製品に関する調査報告書
「On the
Effectiveness of Various Types of Mobile Phone Radiation Shields」
概要は
携帯電話の電磁波防護グッズとして販売されているものを購入した。
実際の携帯電話に取り付けて、ファントムを使用したSARの測定を行い、防護グッズの有無で頭部SARの変化と、同時に、本来の通信機能への影響 の2点から評価を行った。
1.シールドケース、4種類を評価
(これは携帯電話をすっぽり入れてしまう電磁波防護繊維などで作られたケース)
ケース1は90%もSAR低減するが、同時に通信機能も80%以上低減させる。
ケース2は7%の通信機能の低減にとどまるが、SARの低減は24%程度にとどまった。
ケース3は28%SAR低減し、通信機能が26%アップ
ケース4は90%SAR低減し、通信機能が45%アップ
これらから、ケース4のようなものもあるが、SAR低減させるシールドケースは通信機能の劣化、バッテリ寿命の低減などの悪影響がある。
(当然といえば当然か、 通信機能がアップしたのは、ケースが2次アンテナとして動作したからかもしれない。)
2.小片のシールドパット 2種類を評価
ハンドセットの受話器の部分に金属や金属化繊維の小片を貼り付けたもの
色々なタイプの携帯電話に取り付けてテストを実施。
SARの低減効果は最大で10%の低減効果、最悪では20%SARが増加。
通信機能は14%低下から、40%増加まで変化。
これらから、パッドの電磁波防護グッズのSAR低減効果は効果がない。
これらのパッドによって、頭部とハンドセットの距離が数mmであるが、増加するので、頭部のSARが減る方向にあるが。
3.アンテナキャップ 2種類を評価 (送信アンテナにキャップをかぶせたり、くくりつけたりするタイプ)
色々な携帯電話に取り付けて評価。
SAR低減は43%から99%もある。 同時に通信機能は40%から99%も低下する。
これらから、この種のグッズは、頭部のSARは確かに低下するが、本来の通信機能が劣化し、バッテリが早くなくなる。
4.電波吸収体 3種類
ハンドセットのどこにでも貼り付ければ電磁波を防護するという、どちらかといえば、科学の原理に基づかないタイプのグッズなど
3種類を色々な携帯電話、貼り付ける場所を変えて、評価を実施。
頭部SARは最大で22%低減から、最悪は10%増加と変化あり。 通信機能への影響は少ない。
これらのグッズは、どこにはるかによって効果が異なる。最大でも20%程度。
5.イヤホンセットの使用の場合
頭部SARは確かに減少するが、携帯電話のハンドセットを頭部から離して、どこに置くかが問題となる。
体から離しておかない限り、体の他の部分が曝露を受ける。 (別紙に、シミュレーションの結果を例示)
6.ハンドセットによってはSARが低いモデルがある。
そうしたモデルに買い換えることもひとつの解。 金がかかるが。
日本でも、こうしたきちんとした報告書を纏めるべきかも知れません。
この英国の報告書ではテストした防護グッズのメーカ名や型式、写真も一切掲載されていません。
グッズ1、グッズ1という形で纏められていますので、
それらと同じものが日本でも販売されているか否かは、わかりません。
興味のある方は、WEBで英国の報告書を入手してください。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020514-00000093-myc-sci(リンクは切れています) にあった内容です。
************ 一部 引用 *************
毎日コミュニケーションズ コンピュータニュース - 2002年5月13日 (月)22時44分
正しい知識で対策を - 電磁波カットで携帯電話機の性能も低下との調査報告
英Department of Trade and Industry(貿易産業省)は、携帯電話から発せられる電磁波をカット/吸収できるとして販売されている製品に関する調査報告書「On the Effectiveness of Various Types of Mobile Phone Radiation
Shields」を発表した。
実際には効果がない製品や、大幅に電磁波をカットできると同時に携帯電話機の性能まで落としてしまう製品などが挙げられており、身体を安全に保護するために、各ユーザーは適切な対策を取るよう勧められている。
今回の調査は、アンテナにダイレクトに装着するタイプの製品が最も効果性が高く、携帯電話からの電磁波が人体に吸収されるエネルギー量(SAR)を90%以上カットできると発表。しかしながら、同時にアンテナの性能も大きくカットされ、電波状態が悪くなったり、通話音質の低下やバッテリの急速な消費を引き起こしたりすることが報告されている。
一方、電話機の本体に貼り付けて使用するタイプの製品は、操作キー部分も含めた全体をカバーすることで初めて電磁波のシャットアウトが可能になると判明。通話中に耳と接するスピーカ部分にのみ装着して電磁波カットを試みる製品などが広く販売されているものの、それだけでは効果は非常に薄い。
とはいえ、全体をカバーするケースタイプの製品は、アンテナ装着タイプと同様に、電磁波から身体を保護するという目的では確かに威力を発揮するが、電話機の性能にも大きく影響を与えてしまう。
貼り付けるだけで電磁波を吸収できるとして販売されている製品は、最大で20%のSARカットが可能とのテスト結果が出されている。それほど効果性は強力とは言えないが、電話機のパフォーマンスには影響を与えないことがメリットとなる。
(略)
************ ***************
D社の携帯電話シールドパッドの例を下図に示す。
電磁波シールド素材(デンジーメッシュ)を小さく切断したものを、携帯電話の受話器や耳に当てる箇所に張ることによって、電磁波の害を減らすというグッズである。
デンジーメッシュは、特殊は試験法(KEC法)で測定すれば、シールド繊維を突き抜ける電磁波は大きく防護できることが実証されている。
しかし、電磁波は、こうした小片に対して、回折といって有限の大きさの電磁波シールド素材の縁からほとんどが回り込む性質をもつので、これらのシールドパッドの電磁波遮断効果は、上記英国報告にあるように、効果は少ないことになる。
記:2011−2−21
EMFactという電磁波の健康影響に関心を持っている市民グループがあり、様々な情報を提供している。
http://www.emfacts.com/weblog/?p=1414 にあった内容 2011−2−21のログ
*********************************
1358: Iatrogenic or snake oil medicine
Monday February 21st 2011, 3:25 pm
1) The Cell Phone Dot for only
$45.
You stick it on the phone and
it “provides protection from cell
phone frequencies while boosting battery life.
1)Cell Phone Dot
僅か45ドル
携帯電話に取り付けると、バッテリの寿命が長くなり、携帯電話の電磁波から防護される。
So, provided you take Dr. Peterson’s advice to
purchase and use one of these wacko devices (perhaps he gives a discount if you
purchase both?) you and your children are supposed to be protected against an
increased risk of a brain tumor.
そして、Peterson博士の推奨の基づいて、グッズを購入し、これらのグッズを使うと、(両方のグッズを購入すると割引で購入できるかだろう)、あなたとあなたの子供は、電磁波による脳腫瘍の増加リスクを防護できると思われる。
No advice on the necessity of
reducing exposure or taking sensible precautions, especially for children – nothing – just
purchase a wacko device and you and your family are protected.
曝露を低減しなければならないという勧告はなく、また賢明な予防原則をとれという勧告はない、特に子供に対する勧告はないが、このグッズを購入するだけで、あなたとあなたの家族を守ることができる。
(略)
Don
ドン(EMFfactという市民グループの代表者)
**********************
このサイトでは、携帯電話のハンドセットに小片を貼り付ければ、電磁波の害を防護できるとするグッズを推奨していた。
紹介されているグッズの写真を以下に示す。
Cell Phone Dot Price: $45.00 Cell Phone Booster (EMR protection)
幸いなるから、日本語のサイトではYahooもGoogleでもこのCell Phone Dotではヒットせず。
日本では売っていないといえる。
追記:2017−1−11の調査では、「Cell Phone Dot」で検索した場合、日本語・英文のサイトともに何もヒットしない。
たぶん、売れなくなり、市場から消えたものと思われる。
記:2012-11-25
ネットの検索で、疑問のあるグッズを見つけました。
携帯電話に貼るだけのシールで、すてるす君というグッズです。
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■サイズ 48mm×26mmの楕円形
■800MHz:約50%減衰 1.5GHz:約60%減衰 1.9GHz:約70%減衰(カタログ値) 三和興業データ
シールに銀でパターンが配線されています。携帯電話の不要電磁波と配線パターンで作られるLCRと電磁波が 共振する事によってシート周辺の電磁波を吸収し熱に変換されます。
貼り方例 すてるす君シール
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このシールで1.5GHzの携帯電話の電磁波(電波)が7本当に70%も吸収されれば、電波の飛びは極めて劣悪になり、基地局まで電波が届かなくなります。
そうなると携帯電話は最大の電力で発信し、バッテリの消耗も激しくなり、何とか通話ができるか、下手をすれば通話が不可能になります。
シールなしで弱い電波で通話した時の頭部の電磁波曝露量と、シールを貼ることによって電波の飛びが悪くなり、最大電力の電波が発信された場合の頭部の電磁波曝露量とは、どちらが大きいでしょうか?
こうしたことを考慮すると、このグッズの効能は極めて疑問となります。
製造会社の販売サイトも見つけることはできませんでした。
もしかして、もう製造していないのかもしれません。
2000年12月頃に入手したこの防護グッズのパンフレットを以下に示す。
赤線で囲んだ部分には、「Mセラミックは電磁波の波長に共鳴して有害な電磁波を吸収する画期的な方法で、危険な磁場から脳を守ります。」という記述がある。
このパンフレットの裏にある電磁波の吸収特性は、KEC法による測定結果が示されている。
グッズが携帯電話から発信される電波(電磁波)に共鳴して、電波を99%も吸収してしまえば、電波は近くの携帯電話基地局に飛んで行かなくなり、通話が不可能になる。
KEC法は、確かにこの小片のグッズを通り抜けないことの証明をしてくれている。しかし、電波の回折を考えると、このグッズの効能は欺瞞と言える。
2014年2月16日 「Wave Saver 電磁波」でネットを検索してみる。
1件だけ、かなり古いサイト(サーバーが更新され、新サーバーへの以降中である)の古いサーバーに残っていた協進商事ではない他の通販サイトの頁に、このグッズの販売広告があった だけ。
同じく販売元の「大阪 協進商事」をネットで検索してみる。
この会社名で浄水器のブランドを意匠登録していいたことが特許庁のサイトでヒットしたが、それ以外には情報はない。
住所をグーグルの地図で調べると、 この場所には2002年からビエラスという別の会社の本社になっている。
これらから、このグッズはもう販売されていないし、販売元の会社も存在していないと思われる。
2000年2月にネットの検索で見つけた資料が、そのハードコピーが残っています。
以下に示します。
製造元はSankyo Kasei Co. Ltd となっている。
5cm×2.8cmのシールを貼るだけで、「電磁波をカット」でき、かつ「携帯電話の感度もよくなる」という驚くべきキャッチフレーズです。
2001年1月に日本アメニティコーポレーションNACという会社のWEBに販売宣伝の広告がありました。
販売の全権は「フジモト」にあり、NACは単に販売を行っているだけのようでした。
2001年3月にNACのWEBを見るとこの「アンテナ君」はWEBから消え、NACに問い合わせると「販売は行っていない」ということでした。
2001年3月に「電磁波」と「アンテナ君」でネットを検索してみました。
ヒット件数はゼロ。
何も情報は得られなくなっていました。
多分、欺瞞に満ちたグッズで、売れなくなり、市場から消えたのでしょう。
以下のような方法で、もし効果が検証されれば、携帯電話のハンドセットに貼り付けた小片の防護グッズが、電磁波を吸収してくれるといえるかもしれません。
携帯電話の電波の周波数は900MHzや1500MHzですから、電子レンジの動作周波数に近いといえます。
そこで、電磁波を吸収するということは 電子レンジの中に コップに入れた水を置き、隣に電磁波防護グッズを入れたもう一つのコップに入れておきます。
電子レンジを動作させると、電磁レンジの中の電磁波は電磁波防護グッズに吸収されてしまい、隣においたコップの水は全然暖まらない、もしくは温まり方が少ない、ということ等が実験的に証明すればよいでしょう。
記:2010−4−4
以下の研究報告があります。
掲載誌:23rd Annual Meeting of Bio
Electromagnetics Society. Abstract
タイトル:Testing the Effectiveness of Seven Radiation
Shields for Cellular Phones.
研究者:P. Oliver et al;
わずか半頁の概要のため、詳細は判りません。
以下の内容が記載されています。
・市場で販売されている携帯電話の電磁波防護グッズ7品を購入してテストを行った。
・試験は914MHzと1880MHzで行った。
・頭部を模したファントムを準備し、通常の携帯電話だけの場合の、頭部のSARと、携帯電話からの放射電力を測定した。
・上記と同じで、携帯電話防護グッズを取り付けて、テストを繰り返した。
・結果としては、どの防護グッズもSARの低減に有効ではなかった。 また携帯電話の放射電力にも変化はなかった。
・よって、電磁波防護グッズが称している「50%から99%電磁波低減」効果は見られなかった。
という内容です。
関心のある方は、この概要を入手して読んでください。
この報告書には実験を行った防護グッズの商品名などは含まれていません。
この研究は、以下にあるように、正式な論文になりました。
掲載誌:Bio electromagnetics.
2003 Jan; 24(1):66-9.
タイトル:Testing the effectiveness of small radiation
shields for mobile phones
携帯電話用小型電磁波シールドグッズの効果に関するテスト
研究者:Oliver JP, Chou CK, Balzano Q.
Abstract 概要
Nine small radiation shields made to adhere to the case of mobile phones were
tested at 914 and 1880MHz.
携帯電話の筐体に取り付けるタイプの9種類の電磁波防護グッズを914MHzと1880MHzでテストした。
Five popular products were tested because advertisements typically claim they
are up to 99% effective in blocking radio frequency (RF) radiation emitted from
mobile phones.
携帯電話から放射される高周波電磁波を99%まで遮断できると謳う広告をしている5種類の典型的なグッズをテストした。
Also, four other conceptually unusual products were tested because
advertisements typically claim they emit oscillations that counteract中和する the RF radiation from mobile phones.
また、携帯電話からの高周波電磁波輻射を中和する発信を行うということを謳う広告を行っている4種類の概念的に尋常ではないグッズもテストした。
Each shield was tested on the same mobile phone, and measurements were made to
compare the absorption of RF energy in the head with and without each shield
attached to the phone.
それぞれのシールドグッズは、ある一定の携帯電話に取り付け、携帯電話に取り付けたシールドグッズの有無別に、頭部における高周波エネルギーの吸収を比較するというやり方で、テストした。
The phone was positioned against a head model, and an automated measurement
process was used to determine specific absorption rate (SAR) in the same way it
is used at Motorola to test the compliance of mobile phones with respect to
human exposure limits.
携帯電話は頭部モデルに取り付け、人体暴露基準に関して携帯電話の適合テストとしてモトローラで行っている方法と同じ自動測定法で、SARの測定を行った。
The location of the peak SAR
was not observed to change with any of the shields attached to the phone, and the
1 g, peak spatial average SAR did not change by any statistically significant
amount.
携帯電話にシールドグッズを取り付けても、ピークSARの分布の変化は観察されず、1g当たりのピークSAR値は統計的に有意な量の変化はなかった。
These results indicate the small shields are ineffective in reducing the
exposure of the head to RF energy emitted by a mobile phone.
これらの結果は、小型のシールドグッズが、慶太電話からの高周波輻射エネルギーの頭部への暴露を低減する効果がない、ことを示している。
このフルテキストをダウンロードした。一部を紹介する。 以下は本文からの抜き書き
These materials can attenuate RF radiation by about 25–35 dB (about
99.7–99.97%) at mobile phone frequencies.
使用されている材料は、携帯電話の周波数で、約99.7%から99.9%の無線周波電磁波を減衰させることができるものである。
In any case, we did not expect these radiation shields to be effective in
significantly reducing the exposure of the head.
いずれの場合でも、我々は、これらの電磁波シールドグッズが頭部の暴露を有意に減少させる効果があるとは期待していない。
The shields are too small to block the RF energy emitted from the antenna and
the case of a mobile phone.
シールドグッズは、携帯電話端末のアンテナや筐体から放射する無線電力を遮断するに小さすぎる。
We also purchased and tested all four products we had seen advertised.
我々は宣伝されていた4種類のグッズを購入し、実験した。
Fig. 1: The
mobile phone with (A) one of the small, oval patches attached over the speaker-port,
and with (B) one of the containers attached to the case.
図1:携帯電話とA(スピーカの部分の上にかぶせる様に取り付けた楕円形の小さいグッズ)、B(筐体にかぶせた容器形状のグッズ)
RESULTS
The location of the peak SAR was not observed to change with any of the nine
shields attached to the mobile phone.
For example, plots of the SAR distributions obtained during one test at 914 MHz
are shown in Figure 3.
結果
ピークSARの分布は、携帯電話に取り付けた9種類のいずれのグッズの場合でも、変化は見られなかった。
例として、914MHzでテストしたときのSAR分布の図を図3に示す。
図3
All the
shields are considered to be ineffective in reducing the exposure of the head
to RF energy.
全てのシールドグッズは、高周波エネルギーの頭部への暴露を低減することには効果がないといえる。
COMAR Reports
USE
OF "PROTECTIVE DEVICES" FOR CELLULAR TELEPHONES
TECHNICAL INFORMATION STATEMENT
2002年1月19日 承認
IEEEのCOMAR報告
携帯電話の電磁波防護グッズの使用
技術情報声明
COMARは携帯電話のハンドセットからの電磁波(電波)曝露に関して一般公衆が安全性を気にしているということを認識している。
携帯電話ハンドセットは低電力であるが、そのエネルギーの一部は使用者の体に吸収される。
それらのエネルギーから使用者を防護もしくはシールドすると称する多くのものが市場に存在する。
それらはさまざまなものがある。その中には、身に着けたり、自宅の周囲を覆ったりして、高周波エネルギーの人体への影響を「中和化」すると言うものがある。
ほかには、ハンドセットに取り付けて使用し、ユーザーの高周波エネルギー曝露を減らすと称するものがある。
以下は、高周波エネルギーの曝露を減らすこと、および、携帯電話の使用者の健康上の益のための、それらの有効性に関する技術的なコメントである。
1.アメリカ国内およびその他の地域で、専門的な機関と政府機関によって、高周波電磁界への曝露基準やガイドラインが作成されている、
これらの基準値は高周波電磁界曝露による機知の障害を防護するために、十分な安全係数を持って、定められている。
携帯電話のハンドセットは、これらの国際的な基準に合致するように設計されている。
したがって、防護グッズが実際に曝露を低減してくれるとしても、高周波電磁界への曝露を低減すると称するグッズで更なる曝露の低減は、科学的な観点から、健康や安全の利益にはならない。
2.多くのグッズは高周波曝露を低減すると称している。
これらのグッズには様々なものがある。あるものは「ハンドフリーキット」として、ハンドセットを頭部から離す。
あるグッズはハンドセットやアンテナ部に取り付けて使用する。
それらのグッズが唱える健康利益とは異なり、ほとんどのグッズは曝露低減効果がほとんどないか、未確定である。
FTC(連邦取引委員会)は、グッズの唱える健康利益は科学的な確証によって確認されていないと、市民への警告を発している。
3.ユーザーの携帯電話ハンドセットからの高周波曝露量評価は複雑で特殊な測定器と技能が必要である。
科学的に曝露評価はSAR測定であり、単位組織に吸収されるエネルギーの率で、組織の1kgあたりの電力値として測定される。
この試験は、人の頭部モデルを使用し、基準に従って、厳格な条件下で行われる。
IEEE,IEC、CENELECの3箇所の国際的な標準策定機関は、共同して、国の枠を超えた有用な測定方法を策定した。
これらの基準に従わない測定は、評価は難しく、信頼性に欠けるといえる。
ハンドセットの設計と送信電力によってSAR値に異なる。
ハンドセットからの発信電力は近隣の中継局によって制御され、時々刻々変化している。
通常、電力は通信網で通信が可能な範囲でもっとも低い電力に設定される。
この機能は「適応電力制御」と呼ばれ、標準的なSAR測定手順には含まれていない。
SAR測定は最悪の曝露条件(最大のハンドセット電力での送信)で測定される。
適応電力制御によって、通常は、中継基地からの電波が十分に強ければ、ハンドセットの送信電力は最大値より低い状態で動作するようになっている。
防護グッズがハンドセットと中継基地間の電波伝送量を低くするように働くとすれば、適応電力制御によって、ハンドセットからの発信電力を増加させることになる。
言い換えると、防護グッズは、実効的には、それらのグッズを使用しない場合に比べて使用することによって、ユーザーの高周波曝露を増加させているかもしれない。
防護グッズが高周波曝露を低減させていることを示す有効なテストは、以下の2条件を満足しなければならない。
(a)一定な送信電力で動作しているハンドセットからのSARを、防護グッズの有無で、測定する。
(b)ハンドセットと中継基地局間の通信に変化があるかを調査する。
4.ある防護グッズの販売者は、その防護グッズが高周波曝露を低減する確認のテストレポートを提示している。
しかし、独立したテストによれば、それらの防護グッズは曝露低減に効果がないことを示している。
5.ある防護グッズの販売者は、それらの防護グッズは生物学的な試験で効果があると主張している。
それらの効果を証明する事象を集めることは複雑であり、それらの試験方法が正しいかなどの確認のためには膨大な量の関係文献の調査が必要となる。
したがって、ユーザーは、そうした生物学的な試験方法と防護グッズが科学的に有効であるとか、人の健康に有効であると、考えるべきではない。
6.ハンドフリーキットが広く利用されている、
場合によっては携帯電話会社によって支給されている。
適切な試験結果によれば、頭部の高周波曝露は低減している(しかし、ハンドセットを人の胴体に近づけると、頭部以外の他の部位での曝露が増加する)。
これらのハンドセットは使用中にハンドセットを保持する必要がないので、至便である。
7.もし、携帯電話の使用者がいかなる理由でも、高周波曝露を低減したいのであれば
・通話時間を短くする
・古いアナログ式からデジタル式に交換する。
多くの場合、全てではないが、デジタル式のハンドセットの方が低電力で動作している。
(実際の使用の局面での送信電力は、使用する地域の条件に依存し、大幅に変化する)。
・ハンドフリーキットを使用し、ハンドセットは胴体から離す。
8.交通安全は携帯電話の使用に関連する重要は事項である。
ある研究によれば、携帯電話の使用は交通事故のリスクを増やす。
この観点から、運転中の携帯電話使用は、多くの地域で、違法となる。
ハンドフリーキットを使用したときに交通事故のリスクが減るという確証もない
参考文献:翻訳は割愛
興味のある方は、原典の英語版を入手してください。 以上は筆者の仮訳です。
詳細 別途
以下のニュースが流れていました。
********* 一部 引用 ***********
題名:共: イヤホン電話は電磁波で危険 英国各紙
登録日 :2000/04/04
共同通信ニュース速報
【ロンドン4日共同】4日付の英国各紙によると、同国消費者協会は、携帯電話にイヤホンをつなげて使うと、イヤホンのコードが電磁波を伝えるアンテナの役割を果たして、直接耳に当てた時の三倍の電磁波が頭部に伝わったとの調査結果を発表した。
同協会が代表的な二種類の機種の携帯電話用イヤホンで実験した。
(以下 略)
***************** ****************
BEMSJはまだこの報道にある元ネタ(英国消費者協会の報告)をチェックしていません。
上記に関連する報道がありました。
http://www.ednjapan.com/news/200012/20001221cellerphone_emwave.html<リンク切れ>
************ 一部 引用 ****************
EDN ニュース ( The Design Source for Engineers
and Managers Worldwide)
2000年12月21日号
イヤホン・マイクでは携帯電話機の電磁波を防げない
携帯電話機が放射する電磁波を嫌うユーザーは、イヤホン・マイクを使うことが少なくない。
電話機本体を頭部から離せば、電磁波の頭部への影響を避けられるとされているのだ。
ところが、イヤホン・マイクを使っても頭部における電磁波の強度はまったく変わらないどころか、場合によっては3倍以上も強く放射されているらしいことが分かってきた。
英国の消費者団体である英国消費者協会(U.K. Consumers' Association)は2000年4月3日に、イヤホン・マイクを使うと頭部内における電磁波の強度が約3倍に強まるという測定結果を傘下の出版社である「フイッチ?」社(Whitch? Ltd.)を通じて発表した。
その後さらに詳しい実験を重ね、電磁波の強度は最大で約3.5倍にもなるという測定結果を2000年11月2日に改めて公表した。
(略)
頭部内の電磁波強度は、測定系のレイアウトに大きく依存する。
イヤホン・マイクのケーブルの位置を変えると大きく変動した。
ユーザーによる実際の使用状態に近い、ケーブルを垂直に垂らした状態で測ると強度が高くなる。
英国消費者協会はこのようなレイアウトで測定した。
一方、机上に電話機を置いた測定レイアウトでは、ケーブルが水平に近くなり、頭部内の強度が低くなる。たとえば英国貿易産業省が2000年8月7日に公表した、「イヤホン・マイクを使うと頭部内の電磁波強度は十分に抑えられる」という実験結果はこのレイアウトによるものだという。
一方、国内でもトーキンと青山学院大学が共同で、イヤホン・ケーブル付近の電界強度分布を測定した。
2000年11月に電子情報通信学会電磁環境工学研究会でその結果を発表した。
イヤホン・ケーブルを机上に水平に置いてケーブル付近の強度を測定したところ、携帯電話機とケーブルの接続部(携帯電話機のアンテナ近く)から離れるにしたがって、電界強度は周期的に大きく変動した。
距離によってはアンテナ近くと変わらない強度になった。
(略)
************* ************
BEMSJはこの「その後さらに詳しい実験を重ね、電磁波の強度は最大で約3.5倍にもなるという測定結果を2000年11月2日に改めて公表した。」の詳細を確認できていません。 詳細情報があれば、教えてください。
このページへの公開:2012−7−11
1998年にNiftyの自然環境フォーラムに投稿した内容です。
***********************************
情報提供者 : BEMSJの電磁波健康影響レポート
提供日付 : 1998/01/17
01:23
登録経由地 : 自然環境フォーラム
未来への海図
#17339
電磁波の害を守るというグッズがあります。
携帯電話の受話器の部分に貼れば電磁波を防護出来ると謳っているグッズがあります。
2cm四方程度の大きさのもので、金属をメッシュした繊維から出来ています。
先日、近くの店で見たものは、カシムラという会社の物で、現物のパッケージに面白いことに「本商品は装着位置から発生される電磁波のみ抑制します。他の部分からの電磁波はカットしない」という旨の注意書きがなされていました。
こうした注意書きがあるだけでもこのグッズは良心的かもしれません。
金属メッシュの繊維は確かに携帯電話に使用されているような高い周波数の電磁波はカットしてくれます。
それはあくまでも繊維を通過する電磁波に関してだけです。 しかし、携帯電話からの電力は、主としてアンテナの部分から、四方八方に伝わります。2cm四方のシールドがあっても、完全に回り込みます。
防護グッズの貼った部分のスピーカの部分からは基本的に電磁波は発生しません。
従って実際の電磁波防護には、殆ど効力を発揮しないといえます。
こうして、実際の効果のないものが売られていることは残念なことです。
それだけ、携帯電話の電磁波に不安を持っている人が多いのでしょう。
記:2014−1−7
研究者:王建青ら
タイトル:電波の人体影響‐携帯電話の安全性と「電波グッズ」‐
掲載誌:日本AEM学会誌 Vol. 10: No.1: 2002
この研究によれば
携帯電話のハンドセットの筐体の一部に磁性体を貼ることによって筐体に流れる高周波電流が減る。
そして頭部のSARも減少する、という結果が出ている。
但し、低減効果はたかだか20%程度である。
関心のある方は、フルテキストを入手して読んでください。
1)マイクロアーマの開発に関する繊研新聞の1997年の記事
**************************
帝人 電磁波遮断する電話ケース開発、フリージア通じ販売
1997.02.26
帝人は携帯電話から発生する電磁波を遮断する電話ケース素材を開発し、フリージア(本社大阪府和泉市、松井英樹社長)を通じて四月末から「マイクロアーマ」のブランドで販売する。
(略)
帝人は携帯電話ケースに電磁波シールド素材「ヘルツ」を基布にした人工皮革を使用するとともに、文字盤の部分に同素材を挟み込んだ透明ラミネートシートを使うことで電磁波を九八%遮断して、同時に操作性も持たせた。
また、アンテナカバーも工夫し、電磁波を吸収・反射する形状にした。
皮革タイプが三千五百円、スエードタイプが三千八百円。
販売窓口は伊藤忠インテックスを中心に、携帯電話の販売代理店などを予定している。
繊研新聞社
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2)検証効果を示しているWEBから
以下は2000年11月のログで、このグッズの製造元は「伊藤忠ポリマー株式会社」とみられる。
<BEMSJ注:携帯電話のアンテナからの電波が97%も低減するのであれば、電波のトビは極端に悪くなり、通話が不可能になってしまう。
携帯電話には基地局まで電波が届きにくい場合は、より大きな電波を発信する機能がある。
したがって、このグッズを使った場合は、携帯電話から最大電力の電波が出るまで、より強い電波を出して(その為にバッテリはより早く消耗し)通話を行い、最大の電波を出しても基地局に届かなければ、不通話になるだけのことである。
従って、この防護グッズの電磁波遮断効果は意味がない。無駄なバッテリの消耗をすすめるだけであろう。>
3)携帯電話からの電磁波防護グッズ「マイクロアーマ」の通販サイト
記:2010−2−6
平本企画の通販のページ http://www.hiramoto.com/oms/mono/micro.html <リンク切れ> に2001年12月頃に掲載されていたグッズ。
電磁波遮断携帯電話ケース マイクロアーマ
商品概要:通信に必要な電波は通して、体に不要な電磁波を98%カットする携帯電話ケースです。
これも、現在(2010年2月の時点)ではサイトから消えています。
多分、実質的な効果が無いことから、市場から消えていったのでしょう、