*直流電磁界に関する情報


変動しない磁界、変動しない電界、直流磁気、静電気に関連する情報    
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1. ポーランドの研究 直流8ミリテスラの影響
2. 日本に志賀論文にみる直流磁界の影響
.  日本の上野論文にみる強い直流磁界の研究
4. ボタン電池でも健康影響がある?
5. 直流電流による磁界発生  
6. 電磁波(直流磁気)の免疫効果 
7. 地磁気の変動と生物 
8. 強い永久磁石での障害事例
9. 直流磁界と心臓ペースメーカ
10.WHOの静電界及び磁界に関する見解
11.強い静磁場に関する日本の研究 2007
12.1999年Okanoら10ガウスで血流に変化
13.式部啓ら編「電磁界の健康影響 その安全性を検証する」1999年文光堂発行から
14.強い磁石20テスラで水をはじく
15.2003年池畑らの14テスラでの研究
16.直流磁界がアポートシスに影響という1999年の研究
17.静磁界はヒトに影響せず2014年の英国の研究
18.磁石に痛み緩和効果かしという2004年のアメリカの研究
19.1999年飯島の研究にみる静磁場の影響



 

 

 

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1.ポーランドの研究 直流8ミリテスラ(80ガウス)の影響

 産業衛生学会の英文誌 200111月号に掲載

タイトル Influence of a 7 mT Static Magnetic Field and Iron Ions on Apoptosis and Necrosis in Rat Blood Lymphocytes
研究者 J. Jejte et al

概要
ラットの血液中のリンパ細胞に 直流磁界8mTを印加した時に発生する細胞死の割合を調査した。

対照群に比較して、磁界を曝露した群には有意差はなかった。
磁界の曝露と同時にFeCl2(塩化鉄?)を10マイクログラム/ミリリットルを加えると、細胞死が有意に増加し、特にNecrosisで死ぬ割合が磁界だけの曝露時の10%から、32%に増加した。
このことから、鉄イオンの存在が磁界の影響と関連している、

という内容です。

交流電磁波だけではなく、こうした直流磁界でも生体影響があるとして研究が行われています。
磁界の強さは8ミリテスラですから、古い単位に換算すると80ガウスです。

この論文でちょっと私が気になったのは、加えた塩化鉄の量です。
人体の中にどの程度の鉄分があるのでしょうか? 血液中にはヘモグロビンという鉄成分がありますが、どの程度の割合なのでしょうか?

加えた量と、実際にヒトなどの体内にある鉄の量があまりにもかけ離れているのであれば、ヒトの人体内部では研究結果と同じことは起こらないことになります。

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2.日本に志賀論文にみる直流磁界の影響

直流磁気と人体影響に関する情報です。 Tはテスラで一万ガウスと等価です。

研究者:志賀健
論文名:磁場の人体影響
掲載雑誌:日本医事新報 1995年  からの情報です。

*動脈血流は影響を受けないが、血液中の赤血球のヘモグリペンは磁気(磁場)の影響を受けるので、肺や肝の血流は磁気の影響を受ける。 但し磁気強度と磁気勾配の積が100 T2(テスラの二乗)/m以上でないと影響が現れない。

*数T以上の強い磁場では、扁平円盤状の赤血球が、磁気の向きと円盤面が平行になるように配向する。
*ある理論計算によれば、上行大動脈に直角に5Tを負荷すると、血流速度が1割低下する。
*心電図に影響: 1Tの磁界を加えても正常な心電図であるが、1Tを超えると影響がある。

*MRIの改良に伴う人体実験。 ボランティア11名が4TのMRIで試験した。 試験中は半数にめまいなどの症状がでたが、試験後に回復した。 1年後の検査でも健康影響は無かった。

*マウスを2Tの磁界に曝露、100日間飼育したが影響無し。
*妊娠マウスを1日1時間、胎児の臓器形成期間に6.3Tの磁界に曝露、 対照群に比べて差異はなかった。

詳細は原著を読んでください。

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3. 日本の上野論文にみる強い直流磁界の研究


非常に強い直流磁界に関する研究情報です。

タイトル: 磁界の生体作用
研究者: 上野 照剛
掲載雑誌: 医器学 1998年

上野先生は非常に強い直流磁気の生体影響を研究しています。 この論文は、それらの研究を総説しているものです。

参考までにどのような研究が行われているかというと
*アフリカツメガエルの受精卵に8テスラ(8万ガウス)および14テスラの磁界中で保温。 結果は対照群と比べて、顕著な差異はなかった。

ショウジョバエの幼虫に8テスラの磁界を8時間曝露。 対照群に比べて、1.8倍の眼色モザイク突然変異が観察された。
 (遺伝子に対する変異原性が認められた)。
 

*15テスラ程度までの曝露では酵素の活性に影響はなかった。
*非常に強い磁気で、同時に磁気勾配を急峻にすると、8テスラの磁界下で、水の流れが止まる。水の分子に磁界が影響する。

以上 興味のある方は、上記論文を読んでください。 

直流磁界、変動しない磁界でもこのように強い磁界では生体影響が現れます。 

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直流磁界であっても、強ければ何らかの生体影響が現れます。                      

直流磁界は安全で、交流磁界は危険」であるという論法は、それぞれの強度を考慮すると、    

必ずしも正しくはありません。                                                

 


4.ボタン電池でも健康影響がある

 直流の電池、乾電池ではなく小さいボタン電池での健康障害の例を見つけました。 直流の3Vという低い電圧での障害の例です。
一部を引用して紹介します。

*********  一部 引用 *************
全国で幼児が誤ってコイン型の電池(直流電圧3V)を飲み込み、体内で電池から電流が流れて食道に火傷を負う事故が増えています。  ・・・・・ (略)
田中淳介医師は「コイン型電池が食道に引っかかると、組織に電流が流れ、体液が電気分解される。
 
その結果、生じた水酸化ナトリウムが化学火傷を引き起こす。
わずか3Vの電池でも、火傷の進行は速く、犬での実験では30分程度で食道に穴があいた」と報告している。

*****************    *****************

引用文献:貴田晞照「ごしんじょう」 2001年 扶桑社 より

 

 わずか3Vの電池でも、場合によっては体の中で火傷や食道に穴を開けるという障害を発生させます。

 

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5.直流電流による磁界発生 

交流はいやであるとして、家庭内で直流配線を行なった場合の磁界発生を考えます。

 

直流白熱電球による直流磁界の発生:

 直流のバッテリーを準備し、マイナス側は大地に接地し、プラス側を電線でひいて、色々な機器に直流電力を供給するものと仮定します。

 1本の導体に直流電流が流れている時、その導体の長さが十分に長いとすれば

導体からaメートル離れた地点における磁界は 参考書によれば 

      磁界H = 流れる電流/2πa (A/m

      磁束密度B 4π x 107 H(テスラ) となります。

例題として 40ワット12ボルトの直流白熱電球1個に流れる電流は

40W12V 3.32 A となる。 

この電流によって発生する磁界は、導体から10 cmの距離では

     H 3.32/(2π x 0.1)= 5.28 A/m

      B 6.34 10-6 テスラ= 6.34マイクロテスラ = 63.4 ミリガウス

1個の40ワットの直流白熱電球の為に電線1本からこれだけの磁界が発生する。もし10個の、合計400ワットの白熱電球を使用していれば(普通の家庭ならば400ワット程度の照明器具を使用している?)634ミリガウスとなる。

634ミリガウスは自然界に存在する地磁気の強さに匹敵する。

 

直流電流の変動による発生磁界?

白熱電球の場合は、スイッチを投入した時に大きな過大電流が流れ、フィラメントの赤熱にともなって徐々にある一定の電流に安定する。したがって直流白熱電球といえども電流の大きさは変動している。

変動するということは低周波の磁界成分をなんらかの形で発生することになる。 

例えば1Hzというような低周波の磁界が発生する。

 

直流電流によって直流磁界しか発生させないためには、流れる電流が一定(不変)でなけれればならない。いかなる変動や変化があってはならない。

電池で動く剃刀であっても 電流の変動はある。

電池で動くモーターでも電流の変動はある。交流のように正負に極性が切り替わらないだけであって、直流(電池)で動くものであってもそこに流れる電流は一定(不変)であるとは限らない。 

したがって低周波の磁界が少なからず漏洩する。

 

上記例の634ミリガウスの直流磁界でも、もし1秒間隔で断続を繰り返せば、単純計算で約200ミリガウスの交流磁界は電線の周囲に発生することになる。

 

従って、直流のバッテリーから供給する直流電力であっても、交流の磁界は発生する恐れがある。

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6.電磁波(直流磁気)の免疫効果


直流磁気が体によい影響を与えているという研究です。
研究者B. D. Jankovic et al: 
論文名: Brain-applied magnetic fields and Immune response: Role of the Pineal Gland.
掲載雑誌: Intern. J. Neuroscience. 1993, Vol 70, PP 127-34 

概要; 
600ガウスの直流磁石が、生体の免疫機能を増強する作用がある可能性が見つかったという研究、 
鼠に磁石を埋め込み、他の条件と比較したら、磁石を埋め込んだ鼠の免疫機能が良かったという研究。 

研究データの一部を転載します。 
number of Plaque-forming cell(PFC)/10(6)cell
のデータのみ転載。 
1)松果体を除去した鼠                    740 
2)磁石を松果体の近くに埋め込んだ鼠            3163 
3)松果体を除去して、かつそこに磁石を埋め込んだ鼠     2098 
4)松果体を除去して、かつそこに磁石でない物を埋め込んだ鼠 1872 
5)比較の為に何もしなかった鼠               1662 
という結果であった。 

このことから、磁石は松果体及びその近隣の臓器に作用して、免疫機能を増強する作用があると認められる。2)のデータからみて、明らかである。 この研究でこうした知見が確定する訳ではないが、一つの確証である。

鼠等の場合は、メラトニンは松果体で生成されるが、その他の臓器組織でも生成される、従って、3)の様に松果体がなくても、磁石は他の臓器に作用して免疫機能を維持していると言える。 

ここからは筆者のコメント: 
 詳細はJOIS等からこの原著を入手して読んで戴くことにします。 
1)の様に松果体を削除してしまえば、鼠の免疫機能は低下する。 
2)磁石があれば松果体の機能を増強する。 
3)松果体がなくても、磁石は近隣の臓器に作用をして免疫機能を維持する、と、
ここまでは素人の筆者でも実験結果に納得がいきます。 

しかし、
4)は、松果体は除去されていて、磁石ではないダミーが埋め込まれているので、基本的には免疫作用は1)の状態に限りなく近くまで低下するはずである。 しかし、この実験結果では、免疫機能は殆ど低下していない。 

ということは、研究全体もしくは一部にどこかおかしい点があるといえます。 

すペで松果体を除去する時に、十分に除去されずに、一部の組織が残っていたとか、色々な研究手段の不正確さが残っているといえます。 

この研究で検査されたPFCとは何?(筆者は調べていません) 
 この研究で使用された磁石の強さ600ガウスは、磁気ネックレス等に使用されているマグネットの強さ(約1000ガウス)に比べると少し低いレベル、地球の磁場は0・5ガウス程度であるので、地磁気に比べると非常に強い磁気となる。 


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7.地磁気の変動と生物 

 

KDDの広報誌ON THELINEという小冊子の1995年6月号に掲載された科学的なエッセイとして、"地磁気の中に生きる"と題して 巨大な磁石・地球と生命進化のかかわりを解いています。

***************************************
"
鳩や鯨は地磁気に頼って長距離移動の際の航法を行なっているという説が唱えられている。
しかし、おそらく彼らも、ただ地球磁場だけをあてにして航法を行なっているのではあるまい。 
なぜなら、地球磁場はけっして安定した存在ではなく、数十万年ないし数百万年の周期で消滅し、南北の極が逆転するという現象を繰り返しているからである。 
長距離を渡るガンカモ科の鳥は、遅くとも7000年前恐竜時代の末期にはもう姿を現していた。 

この時代から生きてきた彼らは、何度も地磁気の消失や磁場の逆転を経験しているはずである。 
彼らがそんな頼りない航法システムだけで、これまでの長い時間を生き延びてこられたとは思えない。 " と。 
********************************

日本語訳版も出ている電磁波の健康影響に関しては読者も多い「クロスカーレント」、著者のベッカーはこうした地磁気と生命進化のことを取りあげて、交流磁気の恐ろしさを説いています。 

「長い地球の歴史の中で、地磁気が逆転したような(これは地層等の研究で明らかになっている事実)時期と、恐竜が滅亡したり、色々な地球上の生物の大きな変革(それまでに勢力を誇っていた生物が滅亡して、新しい生物が地球上を支配する)時期とは、面白いことにかなりのケースで一致している。」 

ベッカーは「こうした地磁気の逆転や大きな変動のあった時に、同時にシューマン共鳴によって地球上に存在する低周波電磁界も変化をしたのではないかという説を提唱している。」 
(これは事実ではなく、仮説を提唱している、原著では「I Propose」という表現になっている。) 

地磁気と低周波の電磁界の絡みで、サイクロトロン共鳴等で生命に影響を与えることになって、恐竜等も滅亡した、 
従って低周波磁界は大きく生命全体の存亡に影響を与えるので危険である。と。 

ベッカーの論理でいけば、ガンカモ科の鳥は既に死に絶えていなければならないことになります。 

ここにベッカーの著作に、大きな疑問点を見つけてしまいました。 

ベッカーの「クロスカーレント」もこうした点からみれば、参考になる著書ですが、100%正しいとは言えず、バイブルとする訳にはいかないようです。  



追記:2013−6−3
産経新聞 1997430日の記事として、以下の報告があります。

*************** 一部を引用 *****************
2
5000万年前の生物大絶滅
地層のすき間から答見えた?
地球規模の”超酸欠”か

日本の研究で解明に進展地球は四士ハ億年の歴史で何度か生物絶滅を経験した。
最大の絶滅は約二億五千万年前。海の生物はほぼ全滅し、陸の動植物も一変した。
この絶滅では、地球の地殻や内部で起きた変動が引き金となって、大規模な「酸欠事件」が起きたらしい。
その真相に迫る研究が日本の地層を突破口に進み出した。

○火山活動が原因か
 この絶滅が起きたのは古生代ペルム紀と中生代三畳紀の間。地質学では「PT境界」と呼ぶ。
三葉虫や原生動物のフズリナなど古生代型生物は一掃され、海の無脊椎(せきつい)動物の九六%が死滅した。
原因をめぐっては、六千五百万年前の恐竜絶滅と同様のいん石落下説や、氷河期や温暖化など諸説あるが、いん石説は証拠がなく旗色か悪い。
最近、世界的に注目されているのが磯崎行雄東京工業大助教授(生物絶減史)の火山活動説。

シナリオはこうだ。
古代末期、地球上の陸地は一つに集まり超大陸パンゲアを形成した。
大陸間にあった海洋プレート(岩板)はマントルに沈み地球の「核」に落下する。
反動で核から熱いマントルの塊「スーパーブルーム」が上昇、異常な火山活動をもたらした・・・。
「火山灰などで太陽光が遮られ植物は光合成ができなくなり、地球規模で、超酸素欠乏事件″が起きた。
有毒ガスの発生や酸性雨、寒冷化も進んだ」(磯崎助教授)。

○手掛かりは付加体
問題は、PT境界の地層がなかなか見つからず、仮説の検征が難しいことだ。
当時の陸のたい積物は風雨による侵食で消滅している。
かろうじて中国南部など一部地域に当時の浅い海底の地層が残っていたが、生物絶滅の原因は絞り込めなかった。

磯崎助教授は1990年代に入り、かつての遠洋の海底たい積物の分析から、地球規模の酸欠現象が起きたことを裏付ける証拠を次々と見つけた。
かぎは金魚鉢に入れたりするたい積岩の「チャート」。
海洋プレートは大洋の大山脈「中央海嶺」で生まれ、大洋の緑で陸側プレートの下に次々に沈むため、二億年以前の海底は既に存在しない。
だが表面のたい積物はこそぎ取られて陸側にくっつき、陸からの土砂と混ざった「付加体」を作る。
磯崎助教授は愛知・岐阜県境にあった付加体中のチャートを調べた。

▽新しいなぞ
その結果、PT境界の前後約二千万年間、鉄が酸化されずにたい積しており、大規模な酸欠現象の発生が立証された。
カナダのブリティッシュコロンビアにある付加体でも結果は同じだった。
(略)
************************************

この磯崎研究からも、ベッカーの仮説は、仮説に留まっているということができる。

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8.強い永久磁石での障害事例


産業医科大学ニュース 200310月号に掲載された情報です。
**************  ******************   ************
産業保健実務相談窓口事例
Q
 :強力な永久磁石(磁石表面で1.3テスラ)を使用した製品の開発部門において、1時間程度の作業後に頭痛・眩暈を訴える作業者が数名おります。
数時間後には症状は改善しますが、永久磁石とこれらの症状との間の因果関係につきご意見を頂ければ幸いです。

A:
 (略)・・・・・・・ (略) ・・・・・・・・・・・ 以上をまとめますと、定常磁界の生体影響については、分子レベルではメカニズムが解明されていますが、個体のレベルにまで影響を及ぼすほど強い作用は有していないと考えられています。
ただし、強磁場において様々な自律神経系の症状を訴える者が多いという報告があり、貴職場でみられた症状はこれと思われます。
現時点での安全基準として、ICNIRPのガイドラインにより職業上の曝露上限として1時間平均が0.2テスラに設定されていること、距離の3乗に比例して磁束密度が減少することから、永久磁石までの距離・磁界曝露時間を考慮することで、磁界曝露を減らすことができると考えられます。
************  *****************   ******************

このように直流磁界・磁石でも、1.3テスラ(13000ガウス)といった強力な場合は、個人にもよるが、こうした障害の事例はあるようです。
興味のある方は、全文を入手して読んでください。

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9.直流磁界と心臓ペースメーカ


「ペースメーカ装着者の就労や社会参加の促進に向けた電磁波干渉防止に関する研究 ( 調 査 報 告 )」 特定非営利活動法人 ペースメーカ電磁波情報協会2004 11 8日 初版発行 の中に、以下の点が有りました。

1)静磁界(直流の磁界)による干渉
心臓ペースメーカは、動作確認のために外部から0.002T(2mT=20ガウス)以上の静磁界を加えると固定レートで動作するように作られています(マグネットモード)。 このため、0.002T を超える静磁界に曝されるとモード変更が起こります。核磁気共鳴装置や超電導磁気浮上式リニアモーターカーを利用する時は、この条件に相当します。」

興味のある方は、詳細に関しては、この報告書を入手され、読んでください。

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10.WHOの静電界及び磁界に関する見解 

 WHO 国際EMFプロジェクト ファクトシートNo.299 電磁界と公衆術生:「静電界及び磁界」 が 20063月に刊行されています。

 

その概要です。

世界保健機関(WHO)の国際EMFプロジェクトは最近、高い静電磁界曝露の健康への意味合い(possib1e health Imp1ications)についてレビューを行い、医療スタッフ及び患者(特に子供及び妊婦)、ならびに高強度の磁石を製造する産業の作業者に対する公衆衛生防護の重要性を強調した(環境保健基準 Environmental Health Criteria, 2006)。

発生源
最近の技術革新により、最大で地磁気の10万倍も強い磁界が利用されるようになっている。
これらは、研究や、脳やその他の軟組織の三次元画像が得られMRI等の医療応用の分野で用いられている。
通常の医療システムでは、スキャンされる患者、及び装置のオペレータは、0.23Tの範囲の強い磁界に曝露される可能性がある。
医学的研究応用においては、更に高い最大約10Tの磁界が、患者の全身スキャンに用いられている。

健康影響
静電界については、研究はほとんど実施されていない。
これまでの結果では、急性の影響は、体毛との相互作用を通じた電界の直接的な知覚と、火花放電による不快感のみであることを示唆している。
静電界の慢性または遅延性の影響は適切に調査されていない。

静磁界については、急性の影響は、例えば人の動きや身体内部での血流や心拍といった、磁界環境内での運動の際にのみ生じると思われる。
2T
以上の磁界環境で動く人は、目眩や吐き気、場含によっては金属質の味覚や閃光を感じる可能性がある。
ほんの一時的ではあるものの、そのような影響は繊細な作業を実施する作業者(例えば、MRI装置内部で作業を行う外科医)にとって、安全上のインパクトがあるかもしれない。

これまでのところ、質の良い疫学研究または長期的な動物実験がないので、たとえmT領域の磁界曝露であっても、それによる何らかの長期的な健康影響があるかどうかを決定することはできない。よって、静磁界のヒトに対する発がん性は現時点では分類できない(IARC,2002)。


国際基準
静磁界への曝露は、国際非電離放射線防護委員会(ICMRP)が扱っている(www.icnirp.org 参照)。
職業曝露については、現行の限度値は静磁界の内部での運動により生じる目眩や吐き気の感覚の回避に基づいている。
推奨されている限度値は、職業曝露に関する作業日の時間加重平均値が200mT、上限値が2Tである。
一般公衆に関する連続的な曝露限度値は40mTとされている。

各国の当局ができることは?
WHOは当局に対し、以下の措置を講じることを推奨する。
・科学に基づく国際的な曝露限度値を採用すること。
・防護措置の実施を確実にするため、2Tを超える磁界を生じる磁気共鳴画像法(MRI)装置の免許制度を検討すること。

 

詳細に関しては、原文を入手され、全体を読んでください。

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11.強い静磁場に関する日本の研究 2007

作成;2009−2−28

独立行政法人 物質・材料研究機構 共用基盤部門 強磁場共用ステーション 2007年度成果報告書にあった報告の抜粋です。

関心のある方は、全文を読んでください。

タイトル:静磁場の骨芽細胞及び破骨細胞に対する作用:魚のウロコを用いたモデル系による解析
研究者:鈴木信雄 ら
概要:高強度の静磁場が骨形成に有効である可能性がある。
そこで物質・材料研究機構の超伝導マグネットを用いて、13T の静磁場に対する骨芽細胞に加えて破骨細胞の影響をウロコの培養系により解析した。
キンギョのウロコを取り、そのウロコを半分に切りった。半分に切断したウロコは、2 群に分け、実験群と対照群とした。
13T
の磁場に、6及び24時間曝露し、骨芽細胞と破骨細胞の活性に及ぼす影響を調ペた。
結果として、静磁場により、骨芽細胞の活性は上昇し、破骨細胞の活性は逆に低下することが判明した。
今後これらの遺伝子の発現解析を行い、静磁場による骨形成機構をさらに詳細に調ペ、骨折の治療に貢献するための基礎データをとる予定である。

タイトル;強磁場の生体影響に関する研究
研究者:池畑政輝ら
研究では、遺伝子を欠損する大腸菌を用い,変異原性を指標として磁場の生物影響を評価することを目的とした。
定常磁場曝露装置として,磁東密度が最大13T の定常磁場を発生することが可能な超伝導磁石を用い,5 , 10 , 13T での磁場の変異原性を検討した。
結果,どの磁東密度条件においても明らかな変異原性は見られなかった。


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12.1999年Okanoら10ガウスで血流に変化

 作成: 2000−3−21

興味深い論文を見つけました。

掲載誌 Bio ElectroMagnetics  Vol20Nov. 1999
研究者:HOkano et al;
タイトル:Biphaseic Efdfects of Static Magnetic Fields on Cutaneous Microcirculation in Rabbits.

日本の研究です、 厚生省の公衆衛生関係の研究所にいる大久保先生とビップエレキバンの会社と思われる会社に勤務している岡野さんの研究です。

10ガウスの直流磁界を ウサギの耳に当てて、局部の末梢血流への影響を顕微鏡的な手法で観察したものです。

知識がなく、十分に読みこなす事ができませんが、結論は、血流に変化が現れた となっています。

まずか10ガウス、ちょっとした棒磁石や馬蹄形磁石のレベルで、こうした生体影響が現れるとは、信じがたいのですが・・・・・・   関心のある方は原著論文を入手して読んでください。

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13.式部啓ら編「電磁界の健康影響 その安全性を検証する」1999年文光堂発行から

記:2013−4−3

以下の記述があり、引用して紹介する。

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静磁界の作用
そのほか、体内のマグネタイトは渡り鳥の方向感覚、鮭などの回遊方向の感覚、伝書鳩や蜜蜂などの帰巣方向感覚、に関係するといわれている。
しかし、マグネタイトが体内にあっても、まだ感知器官であるとの証拠がなく、感知メカニズムを説明するための決定的な論拠もない。
これらは地磁気という非常に弱い磁界による方向感知そのものの証明とマグネタイト含有の器官という物証と両方にまだ問題がある。
さらに脳内での複雑な方向感覚とその記憶の説明となると全く証明困難である。
伝書鳩の帰巣に関するKeetonの実験例(1971)が地磁気の感知としてしばしば引用されていたが、その続報や追試が不成功に終わり、もはや引用されなくなった。

ヒトでも脳内にマグネタイト結晶を見つけたとの報文がある(Kirschvinck et al1992)が、まだ正確な追試ができていない。

静磁界の作用
異常赤血球:先天性ヘモグロビン異常のある鎌状赤血球性貧血の患者血では、脱酸素化により赤血球形態が鎌状または棒状に変化する。
このような棒状赤血球を均一な静磁界の中でゆっくり流動させると、棒の長軸が磁界の向きに垂直になるように配向する。
棒状赤血球の長軸方向と短軸方向とでは磁界との間の相互作用の強度が異なる(磁気異方性が大きい)ためである。

棒状化した赤血球の配向は静磁界強度0.35T程度で起こる。
この現象は1965年に報告され(Murayama1965)、20年後に追試確認された(Brody et al1985)。
また、この知見は1970年代に、強磁界装置(とくに線形加速器)従事者の曝磁基準や一般人の立入禁止区域を設定するのに役立った。

例えば線形加速器周辺において、鎌状赤血球性貧血患者に対する立入禁止の静磁界レベルは一般人のレベルより10倍厳しく設定されていた。

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14.強い磁石20テスラで水をはじく


2000年頃の情報です。
古いメモに残っていました。

http://www.from.co.jp/niroku/26tayori.htm
というWEBに有った内容です。
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磁石情報配信メール・二六便り
二六便り・Vol,10 みなさんこんにちは!
株式会社二六製作所 村上肇です。
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● 磁石情報 ● <磁石で、乾燥機・冷蔵庫を作る!!??>

◆磁気で洗濯物を乾かす?
日本経済新聞より。
これは水が磁気に反発する「モーゼ効果」を利用して水を弾き飛ばし、洗濯物などを早く乾かすのに使えるのではと言うものです。
磁気による水滴浮上実験は、東北大学の本河光博教授により成功しているそうです。
まず、10ccの水滴の両横から約20テスラ(ネオジウムのBrが 1.22テスラ)というものすごく強い磁気をかけたところ「水滴がジャンプした」ものであります。
**************

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152003年池畑らの14テスラでの研究

 

産業衛生誌 45巻 2003年 「2003年日本産業衛生学会総会の予稿集」から
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酵母を用いた電磁場の変異原性および遺伝子発現に対する影響の評価
池畑政輝1)、高島良生2)、宮越順二3)、小穴孝夫1)
1)
財団法人鉄道総合技術研究所環境工学研究部生物工学研究室
2)
東京工業大学人間環境システム、3)弘前大学医学部

目的:
近年の技術の進歩により、核磁気共鳴画像診断装置(MRI)等が汎用となり、強磁場への職業曝露、公衆曝露の機会が増加している。
しかしながら、磁場曝露の生体影響についての知見は未だ少なく、安全性も含め詳細に検討する必要が生じている。
磁場の変異原性に関して、これまでにいくつかの報告があるが、その変異原性は、塩基レベルの損傷ではなく染色体レベルの損傷もしくは修復等への影響である可能性が示唆されている。

そこで、本研究では真核細胞のモデルとして非常に有用である、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いて、磁場の生体影響を検討することを目的とし、最大14Tの定常磁場および最大40mT50Hz変動磁場の生体影響に関して、突然変異および遺伝子発現特性を指標として検討をおこなった。

【方法】
1. S. Cerevisiae XD83 (MATa/MAT
α,his4-519/his4-519, +/pet1,arg4-4/arg4-17,ade2-18/+,lys1-1/lya1-1)を用い、対数後期まで培養後、リジンとアルギニンの選択培地に播種し、磁場曝露群と対照群に無作為に分けて30℃にて5日間培養した。
その後、lys1-1の点変異復帰頻度およびαarg4における遺伝子変換/組換頻度を測定し比較をおこなった。

2. S.Cerevisiae4338
を磁場中で24時間静置培養した。この菌体よりmRNAを抽出し、通常の培養器で静置培養した菌体を対照として、cDNAマイクロアレイを用いて全遺伝子レベルでの遺伝子発現の解析をおこなった。

【結果】
定常磁場5Tの曝露により、arg4の復帰変異頻度がわずかながら有意に増加した。
一方、lys1-1の復婦変異頻度には差違は認められなかった。
また、変動磁場では40mTの磁場曝露でも影響は見られなかった。
したがって、これまでの報告と同様に磁場曝露により遺伝子変換/組換が増加する可能性が示唆された。

一方、遺伝子発現特性については、14Tの曝露によりいくつかの遺伝子において発現の誘導が見られたが、特異的な遺伝子ネットワーク、シグナルトランスダクション等に関する明確な影響は観察されなかった。
したがって、14T程度の強磁場曝露によって細胞が何らかの応答を示す可能性は低いと考えられる。

また、他の曝露条件では影響は見られなかった。
これらの結果から、磁場曝露により細胞が明確に認識し応答を示す程のストレスや1塩基レベルでのDNA損傷・修飾は生じていないが、染色体レベルでの組換えを促進する、磁場の特異的な効果が示唆された。

一方、磁場の変異原性の強度に関しては、陽性対照として用いた紫外線の変異原性との比較により、日本の平均的な太陽光中に含まれる紫外線の数千分の一以下であると評価された。

今後、その作用機構について、遺伝子発現解析の条件検討や、磁場と各種変異原の複合的な曝露による効果の検討などを通して解明し、合わせて曝露によるリスクの検討をおこなっていきたい。

本研究の一部は日本学術振興会・未来開拓推進事業「強磁場下の生体挙動と影響評価」研究プロジェクトの援助によった。


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16.直流磁界がアポートシスに影響という1999年の研究

  作成: 2003-8-12


アブストラクトのみ入手、仮訳をつけた。 
この文章は難解。 ちょっと仮訳に自信がない。

掲載誌:The FASEB Journal. 1999; 13: 95-102 1999
論文名:Magnetic fields increase cell survival by inhibiting apoptosis via modulation of Ca2+ influx
直流磁界はカルシウムイオンの流入によってアポートシスを防止して、細胞の生存を増加させる。

研究者:C. Fanellia, S. Coppolaa, R. Baronea, C. Colussia, G. Gualandib, P. Volpea,c and L. Ghibellia,
Dipartimento di Biologia, Universita di Roma `Tor Vergata', via della Ricerca Scientifica, 00133, Rome, Italy

概要:
Static magnetic fields with intensities starting from 6 gauss (6x10-4 tesla, T) were found to decrease in an intensity-dependent fashion, reaching a plateau at 6 x 10-3 T, the extent of cell death by apoptosis induced by several agents in different human cell systems.
6ガウスから始まり、量反応関係が減少し、60ガウスでは飽和してしまうが、直流磁界は色々なヒト細胞でさまざまなエージェントによって誘発されるアポートシスによる細胞死を減らす。

This is not due to a change in the mode of cell death (i.e., to necrosis) or to a delay of the process itself; rather, the presence of magnetic fields allows the indefinite survival and replication of the cells hit by apoptogenic
(意味?) agents.
これは細胞死の種類が変化したり(ネクローシスに変化)、細胞死への過程が遅延したりすることによる変化ではない。
むしろ、磁界の存在が生存期間を無限化したり、XXXXしているためである。

The protective effect was found to be mediated by the ability of the fields to enhance Ca2+ influx from the extra
 cellular medium; accordingly, it was limited to those cell systems where Ca2+ influx was shown to have an antiapoptotic(意味?)effect.
この防護効果は、磁界が細胞外からカルシウムイオンの流入を増強することによってなされている。
カルシウムイオンの流入がantiapoptotic効果を持つ細胞に限定した効果である。

Magnetic fields thus might interfere with human health by altering/restoring the equilibrium between cell death and proliferation; indeed, the rescue of damaged cells may be the mechanism explaining why magnetic fields that are not mutagenic per se are often able to increase mutation and tumor frequencies.
磁界は細胞の死と再生のバランスを変化させることにより、ヒトの健康に影響を与えているかもしれない。 障害を受けた細胞の救出は、「磁界は突然変異や

腫瘍頻度の増加などを起こすことができる変異原性を持つものではない」ということを説明している。

FASEB: The Federation of American Societies for Experimental Biology

 

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17.静磁界はヒトに影響せず2014年の英国の研究

記:2015-3-21

*始めに

以下の情報が「Interference Technology日本版 20153月号」に掲載されていた。

****************引用 ****************
自然界の磁界は人間に悪影響を与えない

英国マンチェスター大学の科学者グループが「電磁波スモッグ」への曝露環境は人の健康に悪影響を与えないという研究を発表した。
電磁波スモッグとは、Wi-Fi ルータや携帯電話、タブレット、ノートPC、電源ライン、携帯基地局などから環境に発生する磁界(MF の総称である。
こういった磁界被曝の悪影響に対する関心は近年、高まってきていたが、この研究により議論はようやく一時休戦となりそうだ。

グループがラボで実施した研究では、フラビン依存性酵素という酵素の磁界感受性を調査した。
この酵素はDNA 修復やエネルギー生成、自然細胞死の調整、神経発生など数々の生物学的過程に関わっている。
Daily Telegraph
紙によれば「ラジカル対の中には、こういった酵素主導の反応の間に一時的に発生するものがあり、MF感受性から生じる反応の中で時期的に誘導された変化に科学者グループは着目した」という。

「ラジカル対に関わると考えられていた酵素分類の過程が磁界への被曝によって変化しようがしまいが、それは細胞にダメージを与える可能性がある。
彼らはこの反応が磁界に対して感受性はないことを発見した」と同紙は述べている。

電線や携帯電話などの機器からの弱い磁界によるリスクがあるため、明確な結論が出るまでにはさらに研究が必要である。

詳細はNHS Choices のウェブへ。(2015/01/22
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何か、意味が判然としない、ニュースの翻訳文である。

*元ネタへの探求とその結果

この解説の元ネタは
http://www.nhs.uk/news/2014/12December/Pages/Electromagnetic-smog-unlikely-to-harm-humans.aspx
 で、英国のDepartment of Health(英国保健省とでも訳す?)の健康情報サイトにあったニュースである。
'Electromagnetic smog' unlikely to harm humans
Thursday December 18 2014

さらに、英国マンチェスター大学の研究報告は、
タイトル:Magnetic field effects as a result of the radical pair mechanism are unlikely in redox enzymes.
研究者:Messiha HL, Wongnate T, Chaiyen P, Jones AR, Scrutton NS
掲載誌:J R Soc Interface 2015; 12 (103): 20141155-1 - 20141155-10
である。

Messiha
らは、11.1mTから 163.1mTの磁界で同様な結果を得たとして、「Although widely implicated in radical pair chemistry, we conclude that thermally driven, flavoezyme catalyzed reactions are unlikely to be influenced by exposure to external magnetic fields. ラジカルペア化学で広く用いられていることであるが、熱的に誘起されるフラビン酵素触媒反応は、外部磁界への曝露によって影響されたとは言えない。」と結んでいる。

Messiha
らのこの2014年論文には、磁界の周波数などに関しては、何も記述がない。別の論文を参照となっている。

そこで、EMF-Portalのサイトを見ると、Messihaらの2014年論文を紹介しており、曝露条件が明記してあった。
これによれば、この研究は、ネオジウム磁石を用い、静磁界で実験を行ったことが判った。

11.1mT
から163.1 mT111ガウスから1631ガウス)の静磁界を細胞などに曝露して、影響がなかったことが判っただけで、この研究から、英国NHSのサイトやInterference誌にあるような
「電磁波スモッグとは、Wi-Fi ルータや携帯電話、タブレット、ノートPC、電源ライン、携帯基地局などから環境に発生する磁界(MF の総称である。こういった磁界被曝の悪影響に対する関心は近年、高まってきていたが、この研究により議論はようやく一時休戦となりそうだ。」と
いうことはできない。


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18.磁石に痛み緩和効果なしという2004年のアメリカの研究

 

以下のニュースが読売新聞に掲載されている。

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「磁石」には痛み緩和の効果なし?米大学の研究で判明

【ワシントン=笹沢教一】体の痛みを緩和する効果があるとされる「磁石」には、医学的な効果が認められないことが、米オクラホマ大の研究でわかった。
米医学専門誌「アメリカ苦痛管理ジャーナル」の最新号に発表された。

磁石が持つ痛みの緩和効果については、磁力が神経に作用して痛覚神経の信号を抑えたり、血行をよくすることで、何らかの改善効果が得られると一般に信じられ、そのような効能をうたって販売される健康器具が米国内でも少なくない。

同大の研究チームは、痛覚信号の抑制効果について確認するため、49人の健康な人に磁石と偽の磁石のいずれかを装着。
被験者の体の1点に軽く触れるテストを行い、痛覚神経より敏感な触覚神経に信号の抑制がみられるかどうかを調べた。
その結果、磁石による信号の抑制効果は確認できなかった。

米国でも日本と同様に磁石を使った健康器具の支持者は多く、肩こりや慢性の関節痛が和らいだと主張する人もいる。
こうした“効き目”について、同大のデビッド・ギャリソン博士は「偽薬(プラシーボ)でも効いたと思い込むプラシーボ効果ではないか。
磁石をつけた腕輪状の健康器具で、腕輪の圧覚が脳に伝わり、結果として手首からの痛みの情報が制限されることも考えられるが、それは磁石の効果とはいえない」と説明している。

読売新聞社:20040826
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19.1999年飯島の研究にみる静磁場の影響

以下の論文から、静磁場に関する部分を抜粋して、紹介する。

掲載誌;山梨医科大学雑誌 第141号 001-005(1999)

タイトル:<総説>電磁場が染色体に及ぼす影響  

研究者:飯島純夫

定常磁場が染色体に及ぼす影響:
Wolff
らは一連の研究により、CHO細胞でもヒト末梢血リンパ球でも数テスラという強定常磁場が染色体異常、SCEDNA合成能のいずれにも有意な影響を及ぼさなかったことを報告している。
同様の結果はヒト末梢血リンパ球を用いた実験で報告されている。

筆者らの研究でも定常磁場の場合には、0.8Tまでの磁場強度で染色体異常もSCEも認められなかった。
このように現在までのところ定常磁場によって染色体異常および、SCEが誘発されたという報告はみられていない。
しかし、染色体異常の簡便な検出法の1つである小核試験では、マウスの骨髄赤芽球系細胞の小核誘発頻度が4.7Tという高定常磁場の単独曝露でも化学物質との複合曝露でも有意に増加するという結果が報告されている。

微生物を用いた変異原性試験であるエームステストでは、11.7Tという極めて高い定常磁場でも変異原性はなかったと報告されている。
同じ研究グループのCHL細胞を用いたin vitro小核試験でも単独曝露の場合には小核の有意な増加はみられていない。
筆者らはこれまでに、
@定常磁場(400800mT)によるヒト末梢血リンパ球でのSCE頻度、A定常磁場( 800mT)X(124Gy)を複合させた場合のヒト末梢血リンパ球での染色体構造異常頻度、BESR(Electron Spin Resonance ;電子スピン共鳴装置)からの磁場(501504501350mT)によるヒト末梢血リンパ球およびマウス大腿骨骨髄細胞でのSCE頻度、の3つの実験を、常磁場を用いて行ってきたが、これらの一連の実験結果はいずれも陰性であり、過去の知見と類似していた。

以上の知見から、定常磁場単独ではかなりの強磁場でも変異原性は認められないといっていいと思われる。

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