太陽光発電の頁に類似していますが、色々とありそうなので、別ページにしました。
1.洋上風力発電所の電磁波の影響調査(2022年研究)
2.アメリカ政府の洋上風力発電からの電磁波に関する規定(ガイドライン)(2012年)
3.スウェーデンの風力発電所建設の環境アセスメントから(2008年)
記:2024‐10‐07
$1.はじめに
https://news.nifty.com/article/item/neta/12363-3420195にあったニュースから
一部引用。関心のあるかたは原文を参照してください。
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海底ケーブルの電磁波でエビの赤ちゃんが「カナヅチ」になると判明
2024年09月28日20時00分 ナゾロジ一
洋上風力発電のために敷設された電カケーブルが、海底のカニを惹きつけ、移動習性に悪影響を与えている、というニュースがありましたが、海底ケーブルの及ぼす影響はそれだけではなかったようです。
2022年に報告された英国のヘリオット・ワット大学(Heriot-Watt
University)、セント・アブス海洋ステーション(St Abbs Marine Station)の共同研究で、海底ケーブルの電磁場にさらされたロブスターの赤ちゃんは「カナヅチ」になることが新たに判明しました。
また、何らかのかたちで奇形になるリスクも3倍高くなったとのことです。
研究の詳細は、2022年4月21日付で科学雑誌『Journal of Marine Science and Engineering』に掲載された。
ヘリオット・ワット大によると、風力発電のために敷設された電カケーブルが、ヨーロッパイチョウガニの習性に悪影営を与えていると判明。電磁気がカニを惹きつけ、血液細胞に変化を起こし感染症にかかりやすくなっていた。
今回は、セント・アブス海洋ステーションにある実験用水槽を用い、4000個以上のカニとロブスターの卵を、海底ケーブルから発されるのと同レベルの電磁波にさらしました。
それと並行して、電磁波をまった<照射しないカニとロブスターの卵(比較群)も用意しています。
この実験では、卵から幼生になるまでの成長を数力月にわたって追跡し、最終的には遊泳テストも行いました。
垂直方向の遊泳テストで、水槽の底から餌を得るために水面まで浮上できるかを調査した場合、電磁波を浴びたロブスターの赤ちゃんは、浴びなかった個体に比べ、3倍近くもテストに不合格になり、水面まで到達できなかったのです。
さらに、それらのロブスターは、奇形になるリスクも3倍高くなっていました。最も多く見られた奇形は、体の全体的な縮小と、尾の部分の折れ曲がりです。泳ぎが下手になっていたのは、これらが原因と見られます。
また、目の発達が乱れていたり、体がパンパンに腫れ上がる症状も確認されました。
一方、カニの赤ちゃんにも多少の縮小は見られましたが、遊泳に支障をきたすレベルにはありませんでした。
セント・アブス海洋ステーションのペトラ・ハーサニ(Petra Harsanyi)氏は「力ニの縮小は、ロブスターのように、すぐに影響の出るものではなかったが、発育に問題があることを示している」と指摘。
「長期 な障害や死亡率を増加させる可能性があるため、時間をかけて追跡調査をしなければならない」と話しています。
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このニュースを見て、どの程度の強さの、どの周波数の電磁波を曝露実験に用いたかに関心を持った。
そして、その曝露量は実用的な洋上発電からの電力ケーブルから漏洩する曝露量との比較必要と感じた。
原著論文とその概要です。
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掲載誌: J Mar Sci Eng 2022; 10 (5): 564
タイトル:The Effects
of Anthropogenic Electromagnetic
Fields (EMF) on the Early Development
of Two Commercially
Important Crustaceans, European
Lobster, Homarus gammarus (L.) and Edible Crab, Cancer pagurus (L.)
商業的に重要な二つの甲殻類ヨーロッパロブスターHomarus gammarus (L.)とヨーロッパイチョウガニCancer
pagurus (L.)の発生初期に対する人為的電磁界の影響
研究者:Harsanyi P, Scott K, Easton BAA, de
la Cruz Ortiz G, et al ;
計画中の洋上風力発電所は、ヨーロッパロブスター(Homarus gammarus)やヨーロッパイチョウガニ(Cancer pagurus)等の商業的に重要な甲殻類の生息地と重なり得ることから、これらの動物種の発生初期に対する海底電力ケーブルから発せられる電磁界の生物学的影響が懸念されている。
この研究は、抱卵中の雌のヨーロッパロブスターおよびヨーロッパイチョウガニを胚発生の期間を通じて静磁界(2.8mT)に曝露した。
胚および幼生のパラメータ、形成異常、ならびに孵化直後のロブスターおよびイチョウガニの垂直泳速を評価した。
その結果、静磁界による両種の胚発生時間、幼生の放出時間、垂直泳速への影響は認められなかったが、ステージごとの卵の体積に有意差、ステージIのロブスターおよびゾエアIのイチョウガニの幼生には、甲羅の高さ、全長、最大の目の直径の低下が認められた。
また、ロブスターの幼生の水泳試験の成功率の低下および形成異常の増加が認められた、と研究者らは報告している。
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曝露条件は静磁界(直流磁界)の2.8mT(28ガウス)と判明。
$2.洋上風力発電所からの電磁界とこの研究の磁界曝露条件の設定の論拠
1)下関市安岡沖洋上風力発電プロジェクトの報告によれば、
『安岡沖洋上風力の電磁波のシミュレーション結果、及び、山口県内の某ウインドファームの電磁波実測値から安岡沖洋上風力、埋設送電線の電磁波値を予測すると、交流50Hz・60Hz :5.2μT程度であり、日本国内の電磁波規制値;200μTに比べて十分に小さく、従って電磁波による影響は非常に小さいと考えております。』と。
2)その他に、日本語で検索を行った限りでは、「洋上風力発電の環境影響評価」に関する議論の中には、全くと言ってよいほど電磁波についてはふれていない。発生する磁界強度・・・・には触れていない。
3)上記論文の原著フルテキストを入手し、曝露条件に関する記述を読み込んだ。
以下に英文原文と和訳(仮訳)を示す。
Previous studies have highlighted that there is insufficient in situ
measurements to allow informed assessment of EMF
emissions around MRED cable deployments [6].
以前の研究では、MREDケーブルの展開周辺のEMF放射を情報に基づいて評価するには、現場での測定が不十分であることが強調されています[6]。
文献6:Centre for Marine and Coastal Studies. A
Baseline Assessment of Electromagnetic Fields Generated by Offshore Windfarm
Cables; University of Liverpool: Birkenhead, UK, 2003; p. 71.
6の文献は見つからない。
EMF intensities can be modelled, but
predicted values vary depending on cable properties, energy
transmission, cable layout and local geomagnetic. Currents between 850 and 1600 Amperes (A) are commonly used in subsea power cables which
would consequently produce an EMF of up to 3.20 millitesla (mT) (1600 A) on the
cable surface in a perfect wire [7].
電磁波の強度はモデル化できますが、予測値はケーブルの特性、エネルギー伝送、ケーブルレイアウト、および局所的な地磁気によって異なります。海底電力ケーブルでは 850 から 1600 アンペア
(A) の電流が一般的に使用され、その結果、完全なワイヤのケーブル表面に最大 3.20 ミリテスラ (mT) (1600 A) の
EMF が生成されます [7]。
7の文献:Bochert, R.; Zettler, M.L. Effect of Electromagnetic Fields on
Marine Organisms. In Offshore Wind Energy: Research on Environmental Impacts; Köller, J., Köppel,
J., Peters, W., Eds.; Springer: Berlin/Heidelberg, Germany, 2006; pp. 223–234
However, results from a handful of studies, that used in situ
methods to measure EMF report lower values on single cables [8–10].
ただし、電磁波の測定を現地で行ったいくつかの研究の結果は、一本のケーブルから測定では低い値を報告しています[8–10]。
Some windfarm projects use export corridors, with multiple HVDC laid in close proximity to each other.
一部の風力発電所プロジェクトでは、複数のHVDCが互いに近接して敷設された送電網を使う。
EMFs emitted from theses cables could
potentially interact, resulting in higher EMF values than those obtained on
single cables.
これらのケーブルから放出されるEMFは相互作用する可能性があり、その結果、単一のケーブルで得られるEMF値よりも高くなります。
Exposure to 0.23mT had no adverse effects on
juvenile European lobster Homarus gammarus behaviour
[11].
0.23 mTへの曝露は、ヨーロッパロブスターの幼魚Homarus gammarusの行動に悪影響を及ぼさなかった[11]。
Conversely, the impact on juvenile H. gammarus appears limited as EMF values up to 200 マイクロT did
not significantly impact daytime behavior [11].
逆に、200マイクロTまでのEMF値は日中の行動に大きな影響を与えなかったため、幼体H.gammarusへの影響は限定的であるように見えます[11]。
文献11:Taormina,
B.; Di Poi, C.; Agnalt,
A.-L.; Carlier, A.; Desroy, N. et al;
Impact of magnetic fields generated by AC/DC
submarine power cables on the behavior of juvenile European lobster (Homarus
gammarus). Aquat. Toxicol. 2020, 220, 105401.
Helmholtz coils were powered using a variable DC power supply (Elektro-Automatik EA-PSI 8360-15) (Figure
1a)
曝露装置:ヘルムホルツコイルに、可変DC電源(Elektro-Automatik
EA-PSI 8360-15)を使用して給電した(図1a)。 図は割愛
以上から、海底電力ケーブルで1600A電流が流れている時のケーブルの表面では3.2mTという磁界強度になる。他の研究では0.23mTの磁界曝露では影響がないとされるので、本実験では3.2mTの磁界曝露で実験を行った、とされる。
$3.BEMSJの感想
・洋上風力発電の送電ケーブルは、海底に這わせて配置するのか? それとも多少なりとも海底50cmとか1mの深さに埋設するのではないか?
・となれば2.8mTというケーブル表面での磁界強度は10分の1とか・・・に減るのではないか?カニは海底に埋設されたケーブルまで、穴を掘って触るにいくか????
記:2024−10−8
以下にBEMSJの仮訳を示す。
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Guidelines on Best Environmental Practice
(BEP) in Cable Laying and Operation
(Agreement2012-2)
ケーブルの敷設と運用における最適な環境対応(BEP)に関するガイドライン
(制定2012-2)
3.5. Electromagnetic fields generated by
power cables
3.5. 電力ケーブルによって発生する電磁界
Electromagnetic fields are generated by operational power cables.
Electric fields increase in strength as voltage increases and may be as strong
as 1000 µV per m (GILL & TAYLOR 2001).
In addition, induced electric fields are generated by the
interaction between the magnetic field around a submarine cable and the ambient
saltwater (GILL et al. 2005).
Magnetic fields are generated by the flow of current and increase in
strength as current increases.
The strength may reach the multiple of the natural terrestrial
magnetic field.
電磁界は、動作中の電力ケーブルにから発生する。
電界は送電電圧が増加するにつれて強度が増し、1000μV/mにもなる場合がある(GILL
& TAYLOR 2001)。
また、海底電力ケーブル周辺の磁場と周囲の塩水との相互作用により、誘導電界が発生する (GILL et al. 2005)。
磁界は送電電流によって発生し、電流が増加すると強度が増す。
その強度は、地上の自然磁界(地磁気)数倍に達する場合がある。
BEMSJ注:地磁気の大きさは日本では水平分力が30μT程度
Magnetic fields generated by cables may impair the orientation of
fish and marine mammals and affect migratory behaviour.
Field studies on fish provided first evidence that operating cables
change migration and behaviour of marine animals
(KLAUSTRUP 2006, GILL et al. 2009).
Marine fish use the earth's magnetic field and field anomalies for
orientation especially when migrating (FRICKE 2000).
Elasmobranch fish can detect magnetic fields
which are weak compared to the earth's magnetic field (POLEO et al. 2001; GILL
et al. 2005).
ケーブルから発生する磁界は、魚や海洋哺乳類の動きの向きに影響を与え、回遊行動に影響を与える可能性がある。
魚類のフィールド調査では、ケーブルの稼働(実際にケーブルで送電する)が海洋動物の移動と行動を変えるという最初の知見が得られた(KLAUSTRUP 2006、GILL et al.2009)。
海産魚は、特に回遊する際に、地磁気と磁気の変動を方向付けに利用する(FRICKE 2000)。
エラスモウシの魚は、地磁気に比べてより弱い磁気を感知する(POLEO et al. 2001;GILL et al. 2005)。
Marine teleost (bony) fish show physiological reactions to electric
fields at minimum field strengths of 7 mV/m and behavioural
responses at 0.5-7.5 V/m (POLEO et al. 2001).
Elasmobranchs (sharks and rays) are more than ten-thousands fold as
electrosensitive as the most sensitive teleosts.
GILL & TAYLOR (2001) showed that the dogfish Scy/iorhinus canicu/a avoided
electric fields at 10 µV/cm which were the maximum expected to be emitted from
3-core undersea 150kV, 600A AC cables.
海産魚類は、最小電界強度7 mV/mで電場に対して生理学的反応を示し、0.5-7.5 V/mで行動反応を示す(POLEO et al. 2001)。
エラスモウシ(サメとエイ)は、最も敏感なテレオストの1万倍以上の電気感受性を持っている。
GILL & TAYLOR (2001) は、イヌマズの Scy/iorhinus canicu/a
が、3本の芯線からなる150kV、600A 交流海中ケーブルが発生すると予想される最大値である 10 μV/cm の電界を回避したことを示した。
5.3.2 Electromagnetic
fields
Electromagnetic fields are generated by operational power cables.
This effect is much more relevant to power transmission cables than
to telecommunications cables, even though modern fiber-optic cables are
equipped with electrical power supplies (OSPAR 2009).
Although there are specific studies according to which coaxial
telecommunication cables also induce electric current in the surrounding area,
such current is very low.
These aspects are therefore not examined in further detail here.
5.3.2. 電磁波
電磁波は、稼働中の電力ケーブルから発生する。
通信ケーブル(現代の光ファイバーケーブルには電源が装備されているにもかかわらず)よりも送電ケーブルは大きな影響がでる(OSPAR 2009)。
同軸通信ケーブルが周囲に電流を誘導するということを示す研究はあるが、そのような電流は非常に低い。
したがって、これらの側面については、ここでは詳しく説明しない。
Cable type ケーブルのタイプ別に
Directly generated electric fields are regarded to be controllable
by adequate shielding, e.g. steel plates, sheaths within the cable insulating
the conductor etc.
However, an induced electric field generated by the magnetic field
may occur.
In case of high current flows during power transmission the electric
fields near the cable significantly exceed values typical under natural
conditions.
直接発生する電界は、鉄板、導体を絶縁するケーブル内のシースなど、適切なシールドによって制御可能と見なされる。
ただし、発生磁界によって誘導電界が発生する場合がある。
送電時に大電流が流れる場合、ケーブルの近くの電界は自然条件下での一般的な値を大幅に超える。
Occurrence of magnetic fields associated with power transmission is
best limited by field compensation to be achieved by using appropriate
conductor/cable placement patterns and/or configuration geometry.
When using two separate single-conductor cables for a DC
transmission, they should be buried in the seabed parallel to and at the
shortest distance possible from each other ('close lying'), so that the
magnetic fields would neutralize each other as far as possible.
In a two-conductor cable this neutralization reaches ideally 100 %
when using a coaxial-design and no electric field will be induced and should
therefore be considered and where suitable applied as avoidance measures.
電力伝送に関連する磁界の発生は、適切な導体/ケーブル配置パターンおよび/または構成形状を工夫して達成される磁界補償によって最もよく制限される。
DC伝送に2本の別々の単線ケーブルを使用する場合は、磁場が互いに中和するように、互いに平行に、可能な限り最短距離で海底に埋める必要がある(近接)。
2導体を持つケーブルでは、同軸に設計すると、この中和は理想的には100 %に達し、電界は誘導されなくなるので、回避手段として、適切に適用すべきである。
In case of AC transmission system the magnetic field is best limited
by using three conductor-cables leading to an almost complete field
neutralization at the surface of the cable, since the sum of the voltages and
currents of the three phases is zero at any one time.
If three single conductor cables are used, again they have to be
installed as close as possible and parallel to each other to achieve sufficient
field compensation.
Nevertheless, due to the phased character of the magnetic field, an
electric field will be induced in surrounding conductive materials such as salt
water.
AC送電システムの場合、磁場は、3つの導体ケーブルを使用して最適に制限され、3相の電圧と電流の合計が一度にゼロであるため、ケーブルの表面でほぼ完全な磁場中和につながる。
3本の単線ケーブルを使用する場合は、磁界漏洩を十分に抑え込むためには、各線はできるだけ接近させ、互いに平行に設置する必要がある。
それにもかかわらず、磁界の位相特性により、塩水などの周囲の導電性材料に電場が誘導される。
Burial depth 埋葬深度
Because the strength of both magnetic and (induced) electric fields
declines as a function of the distance from the cable, an additional reduction
of the exposure of marine species to electromagnetic fields can be achieved by
cable burial.
The sediment does not have any screening effect, but burial of the
cables reduces the exposure of sensitive species to electromagnetic fields by
increasing the distance of the animals to the cable.
磁界と(誘導)電界の両方の強度は、ケーブルからの距離に応じて減少するので、ケーブルは埋設されことによって、海洋生物の電磁界曝露をさらに低減することができる。
堆積物には遮蔽効果はないが、ケーブルを埋めると、ケーブルまでの動物の距離が遠くなることにより、敏感な種の電磁界への曝露が減少する。
BEMSJ注:このアメリカ政府のガイドラインには、発生する電磁界の大きさに関しては全く触れていない。
記:2024―10−7
2008年のスウェーデンにおける環境アセスメント文書の中に、以下のような記述がある。
http://www.aselekraft.net/data/samradsunderlag-2008-11-20.pdf
注:2008年の文書で古くなってしまっている、その後、改訂されているかもしれない。
この文書は洋上なのか、陸上に建設のものか、定かではありません。
*****************************
7.6 Elektromagnetiska fält
Det finns teorier
som gör gällande
att elektromagnetiska fält kan vara
skadliga för människans hälsa.
Misstankar finns om att långvarig exponering av elektromagnetiska fält kan ge upphov
till sjukdomar.
Därför finns det rekommendationer om gränsvärden för strålning med hänvisning till försiktighetsprincipen,
vilken enligt Strålsäkerhetsmyndighetens(4) normer
är 0,2 μT (mikrotesla).
Den planerade kraftledningen
för anslutning av vindkraftanläggningen
byggs med isolerad luftledningsamt markförlagd jordkabel.
Strålningen från luftledningen
underskrider rekommenderat värde redan efter bara ett tiotal meter från yttersta fasen.
Den partvinnade jordkabeln
ger minmalt elektromagnetiskt
fält.
7.6 Electromagnetic fields
There are theories that claim that electromagnetic fields can be
harmful to human health.
There are suspicions that long-term exposure to electromagnetic
fields can cause diseases.
Therefore, there are recommendations on radiation limit values with
reference to the precautionary principle, which according to the standards of
the Swedish Radiation Safety Authority(4) is 0.2 μT (microtesla).
The planned power line for connecting the wind farm will be built
with insulated overhead lines and underground cables.
The radiation from the overhead line falls below the recommended
value after only a few ten metres from the outermost
phase.
The twisted pair earth cable provides a minimum electromagnetic
field.
7.6 電磁界
電磁界が人間の健康に害を及ぼす可能性があると主張する説がある。
電磁界に長期間さらされると、病気を引き起こす可能性があるという疑いがある。
したがって、予防原則を参照して、電磁波曝露限度値に関する推奨事項があり、スウェーデン放射線安全局の基準によれば0.2μT(マイクロテスラ)である。
風力発電所を接続するための計画された電力線は、絶縁された架空送電線と地下埋設ケーブルで建設される。
架空送電線からの電磁波は、最も外側の送電線の電線からわずか数十メートル離れる、推奨値を下回りる。ツイストペア・アースケーブルは、電磁界を最小限の大きさにする。
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この環境アセスメントの場合に、磁界は0.2μTを超えるか否かが、評価の尺度になっている。
スウェ―デン語を機械英訳、英語を仮訳した。
「5省庁のガイダンスに基づき、予防原則で磁界は0.2μTという推奨値がある。発電所は人里離れた場所にあり、架空電線からの磁界は最も外側送電線の電線の直下から10m以上の距離の箇所で推奨値を満たし、地上配線は撚線にすると最小になる。」となっている。
5省庁のガイダンスでは格別の数値規制値を設定していないが、上記の環境アセスメントでは、0.2μTという数値が出てきている。
記:2024−10−8
電磁波に関連する箇所(3か所)だけを抜き取り、仮訳をつけた。
Title: Environmental Assessment of Plan for Thor Offshore wind Farm,
report 1: Nontechnical
summary and overall assessment.
Published by: The Danish Energy Agency、2021
タイトル:トール洋上風力発電所計画の環境評価、レポート1:非技術概要と全体的な評価。
発行元:デンマークエネルギー庁、2021年
*Fish stocks are only expected to be temporarily affected during the
construction phase by the spill of sediment and
underwater noise.
During operation, fish stocks could be affected by electromagnetic fields around subsea cables, the reduction of
seabed areas and noise from turbine rotors.
Based on experience from other offshore wind farm projects the effects are expected to be local and negligible.
Depending on the design and placement of the
turbine foundations, they can develop into artificial reef habitats able to support a diverse fish fauna.
The effect is assessed to be local and of little significance to fish stocks and commercial fisheries.
*魚類資源は、建設段階での堆積物の流出や水中騒音によって一時的に影響を受けることが予想される。
運転中、海底ケーブルの周りの電磁波、海底面積の減少、タービンローターからの騒音などにより、魚類資源は影響を受ける可能性がある。
他の洋上風力発電所プロジェクトの経験に基づくと、その影響は局所的で無視できると予想される。
タービン基礎の設計と配置によっては、多様な魚類相を支えることができる人工サンゴ礁の生息地に発展する可能性がある。
この影響は局所的であり、魚類資源や商業漁業にとってはほとんど重要ではないと評価されている。
*The impact on benthic fauna and fish from a wind farm during the
construction phase will potentially occur in the form of sediment spill causing
sediment in the water column and sedimentation, underwater noise and habitat
loss.
During the operational phase for the offshore wind farm potential
impacts will be introduction of new habitats, along with electromagnetic fields
and heat generated in the seabed near the cables.
*建設段階での風力発電所からの底生動物や魚への影響は、水柱が堆積物、水中騒音、生息地の喪失を引き起こす土砂流出の形で発生する可能性がある。
洋上風力発電所の運用段階では、ケーブル近くの海底で発生する電磁波や熱とともに、新しい生息地が導入される可能性がある。
*Electromagnetic fields and heat from cables in the seabed
Electromagnetic fields (EMF) and heat are generated around the
cables in the seabed between the turbines and in the cable corridor.
The electromagnetic field will be highest directly above the cable
and decrease in line with distance from cable to around 10 m, where it will be
more or less undetectable.
Regarding the effect of electromagnetic fields,the
degree of impact for fish and invertebrates depends on whether the cable is
exposed or buried as well as the current.
Furthermore, the degree of influence depends on the physiology and
sensitivity of the fish species to EMF. An electromagnetic field of 3.7mT has
been shown to have no effect or increased mortality on invertebrates i.e.
common shrimp and mussels.
It is expected that the cables are buried, but the impact will
depend on the specific conditions.
Furthermore, the commercial fishing of common shrimp during
operation is affected, as within the protection zones there is a ban on any use
of gear etc. that is towed on the bottom, due to the cable executive order.
Based on fish surveys from nearby offshore wind farms, it is not
expected that there will be a large occurrence of sensitive fish species such
as sharks and rays in the area of Thor Offshore Wind Farm, and flatfish are not
considered to be directly affected.
On this basis, impact from EMF and generated heat is expected to be
negligible.
*海底ケーブルからの電磁波と熱
電磁波(EMF)と熱は、タービン間の海底ケーブルとケーブル回廊のケーブルの周囲に発生する。
電磁波はケーブルの真上で最も高く、ケーブルからの距離が約10 mまで離れると減少し、多かれ少なかれ検出できなくなる。
電磁波の影響については、魚類や無脊椎動物への影響の程度は、ケーブルが露出しているか埋設されているか否か、および流れている電流の大きさによって異なる。
さらに、影響の程度は、魚種のEMFに対する生理機能と感受性に依存する。
3.7mTの電磁波は、無脊椎動物、すなわち一般的なエビやムール貝に影響を与えない、また、死亡率を増加させないことが示されている。
ケーブルは埋設されることが予想されるので、影響は個々の建設条件によって異なることになる。
さらに、ケーブルは大統領令により、保護区域内では底に牽引されるギアなどの使用が禁止されているため、操業中の一般的なエビの商業漁業が影響を受ける。
近隣の洋上風力発電所からの魚類調査に基づくと、トール洋上風力発電所のエリアでは、サメやエイなどの敏感な魚種が大量に発生するとは予想されておらず、ヒラメは直接的な影響を受けるとは考えられていない。
よって、電磁波と発生する熱による影響は無視できると予想される。
BEMSJ注:「3.7mTの電磁波は、無脊椎動物、すなわち一般的なエビやムール貝に影響を与えない」とある。この論拠は示されていない。
3.7mT・・・という量から、これは静磁界(直流磁界)の値と推定する。
記;2024−10−17
REPORT
ON ENVIRONMENTAL IMPACT ASSESSMENT OF THE CONNECTION INFRASTRUCTURE OF THE BAL
TICA B-2 AND B-3 OFFSHORE WIND FARMS
バルチカB-2およびB-3洋上風力発電所の接続インフラの環境影響評価に関する報告書
Date:19.06.2022
2.2.3.2
Electromagnetic field emission (EMF)
For
cable lines, only the magnetic component of the electromagnetic field (EMF)
will be introduced to the environment (the electric component is shielded by a
cable sheath conductor, a metal shielding braid in particular). To reduce the
impact of EMF on the terrestrial environment, the cable lines are planned to be
laid in trenches with a depth of approx. 2 m. The intensity of the magnetic
field does not exceed the permissible values specified in the Regulation of the
Minister of Health of 17 December 2019 on the permissible levels of
electromagnetic fields in the environment (Journal of Laws of 2019, item 2448).
2.2.3.2
電磁波放出(EMF)
ケーブル電送網の場合、電磁界(EMF)の磁気成分のみが環境に放射される。(電界成分はケーブルシース導体、特に金属シールド編組によってシールドされる)。
EMFによる周辺環境への影響を低減するため、ケーブル電送網は深さ約2mのトレンチに敷設される予定である。磁界強度は、環境中の電磁波許容レベルに関する2019年12月17日の保健大臣の規則で指定された許容値を超えない(Journal of Laws of 2019、2448項)。
Busbar
systems generate EMF during operation. Due to the correctly selected suspension
height of the busbar system elements and the distance from the buildings, all
requirements will be met with regard to the impact limits, thus:
• in the case of an electric field, the permissible value of 10 kV·m-1 will not be exceeded for the locations accessible to the public;
• in the case of a magnetic field, the permissible value of 60 A·m-1 will not be exceeded for the locations accessible to the public;
母線網からは運転中に電磁界を放出する。(略)、よって
• 電界は公衆がアクセス可能な場所では、許容値10kV/mを超えないものとなる。
• 磁界は公衆がアクセス可能な場所では許容値60A/m(訳者注:約72μT、これはACを意味している)を超えないものとなる。
The
intensity of the electric field in the vicinity of a line depends primarily on
the distance between the phase conductors and the ground, and reaches its
highest values at the point where the distance between the phase conductors and
ground is the smallest. With distance from the line axis, the electric field
intensity decreases.
路線付近の電界強度は、主に相導体とグランドとの間の距離に依存し、相導体とグランドとの間の距離が最も小さい点で最高値に達する。線軸からの距離が離れるにつれて、電界強度は減少する。
In
the onshore substation area and in the immediate vicinity of the
electromagnetic infrastructure equipment work space, electromagnetic field
values corresponding to the intermediate protection, danger or hazardous zones
may occur. The measurements taken outside the area of operating substations
show that the levels of individual components of the electromagnetic field are
negligible, except for the areas of electrical power connections entering the
station.
陸上に設置された変電設備の設置エリアおよび電気機器の作動領域のすぐ近くでは、中間保護ゾーン、危険ゾーン、または危険ゾーンに対応する電磁界値が発生する可能性がある。
稼働中の変電所の領域外で行われた測定では、電磁界の個々の成分の強度は、変電設備を外部電力線との接続部分を除いて無視できることを示している。
6.1.2.5
Impact on the electromagnetic field
The
impact of underwater cables buried in the seabed on the electromagnetic field
is negligible.
According
to Normandeau Associates Inc. et al. (2011) depending on the distance from a
cable buried in the seabed at a depth of 1 m under the seabed, the strength of
the electric component of the field is up to 0.8mV/m on the seabed, 0.034mV/m
in the water depth 5 m above the seabed and0.012m5 V/m in the water depth 10 m
above the seabed.
The
magnetic field strength induced by AC cables is 0.89 A/m on the seabed, 40m A/m
in the water depth 5 m above the seabed and 15mA/m in the water depth 10 m
above the seabed.
6.1.2.5
電磁波の影響
海底に埋設された海底ケーブルからの電磁波の影響はごくわずかである。
Normandeau
Associates Inc. et al. (2011)によると、海底下1mの深さに埋設されたケーブルからの距離に応じて、電界の電界の強度は海底で0.8mV/m、海底上5mの水深で0.034mV/m、海底から10mの深さで0.012mV/mである。
ACケーブルによる磁界強度は、海底で0.89A/m(訳者注:0.89μT=8.9ミリガウス、これはAC分と推定)、海底上5mで40mA/m、海底上10mで15mA/mである。
P445
6.1.4.6 Electromagnetic field emission
At the Baltica
OWF Cl implementation stage, there will be no emission of electromagnetic
field, as it concerns devices which are energized, i.e. in operation.
6.1.4.6
電磁波の放射
バルティカOWF Cl建設段階では、通電されている機器、つまり動作中の注目の機器からの電磁波放出はない。
P479
6.1.5.6 Electromagnetic
field emission
6.1.5.6 電磁波の放射
That Appendix also
contains a detailed description of the assumptions made for the calculations.
6.1.5.6.1 ケーブルライン
ケーブルライン上で予想される磁界強度{H)の最大値の計算結果を表6.103に、ケーブルベッド領域の軸線を横切る断面の磁界強度(H)の分布図を付録3に示す。その付録には、計算のために行われた仮定の詳細な説明も含まれている。<付録3は割愛>
Table 6.103. Results of
calculations of expected maximum values of magnetic field strength in the surroundings of the cable bed area (9 cable lines, flat
layout) [Source: internal materials]
表 6.103.ケーブルベッドエリア周辺における磁場強度の予想最大値の算出結果(ケーブル9本、フラットレイアウト) (出典:内部資料)
<この表から、最大は距離0.2mで27.6A/m=29μT という交流磁界強度>
Calculations of
the distribution of the magnetic field (H) generated by the cable bed area
supplying power to the OnSS have shown
that in each of the solutions adopted - assuming the maximum load current of each cable line for the purpose of calculations - the
value of the field intensity will not exceed the
permissible value (Hp = 60 A·m-1)
set out in the regulations for places accessible to people, within the height range from 0.2 to 2.0 MAGL.
おいてOnSSに電力を供給するケーブルベッドエリアにおいて、放射される磁場(H)の分布の計算結果は、採用された各ソリューションで、計算の目的で各ケーブルラインの最大負荷電流を仮定して、電磁界強度の値が人々がアクセス可能な場所の規制で定められた許容値(磁界強度H = 60 A/m)を、距離0.2
から 2.0 mの距離の範囲内で、超えないことを示している。
The results of calculations of expected maximum values of electric field
strength (E) and magnetic field strength (H) determined at the height of 2.0 MAGL
- assuming the most unfavourable conditions of operation of busbar systems from the environmental
perspective, i.e. Un= 400 kV (Umax = 420 kV), with a
permissible current-carrying capacity of lmax = 2300 A for each
busbar system are presented in Table 6.104, while the distributions of
electric (E) and magnetic (H) components of the
electromagnetic field in the calculated cross-section are presented in the
figures contained in Appendix 3 to this Report.
6.1.5.6.2
母線システム
2.0mの高さで計算された電界強度(E)と磁界強度(H)の予想最大値の結果を:環境の観点から最も好ましくない母線システムの動作条件、すなわち電圧Un = 400 kV(Umax = 420 kV)、各母線システムの許容電流容量lmax = 2300 Aを仮定して、表6.104に示しす。一方、計算された断面積における電磁界の電気(E)成分と磁性(H)成分の分布は、本報告書の付録3に含まれる図に示されている。
Table
6.104. Results of calculations of expected maximum values of the electric {E)
and magnetic (H) field
strength
in the surroundings of 4 busbar systems for two phase configurations
(configuration A and B) [Source: internal materials]
表 6.104.電界(E)と磁界(H)の予想最大値の計算結果
2相構成用の4つの母線システム(構成AおよびB)の周囲での強度 [出典:内部材料]
The
calculations of electric (E) and magnetic (H) field distributions, which had
been carried out for the shortest distance of the phase conductors (cables) forming the
busbar systems (h = hmin = 13 m) from the ground, showed that the total electric field strength (E)
under the 4 busbar systems - at the height of 2 MAGL -
will not exceed the values of 3.9 kV/m for the busbar configuration A and 4.2 kV/m for the busbar configuration B. Thus, irrespective of the
configuration, the maximum electric field strength will
be significantly lower than the regulatory limit value (10 kV/m) for places accessible to people.
バスバーシステムを形成する相導体(ケーブル)の最短距離で行われていた電界分布(E)と磁界分布(H)の計算(h = hmin = 13 m)を地面から見ると、4つの母線システム(2mの高さ)での合算電界強度(E)は、母線構成Aの場合は3.9kV/m、母線構成Bの場合は4.2 kV/mの値を超えないことが示された。したがって、構成に関係なく、最大電界強度は人が近接できる場所での法規制限界値(10kV/m)よりも大幅に低くなる。
The
nearest existing housing developments are located at a distance of 520 m and
potential housing developments - at a distance of 385 m from the axis of the 4
busbar systems. Therefore, both the existing and the potential housing
developments are situated in an area where the electric field strength is
considerably lower than 1 kV/m (permissible value for residential areas).
最も近い既存の住宅開発地とは520 mの距離にあり、潜在的な住宅開発地(BEMS注:未開発地、将来住宅地に開発される可能性のある土地)は4つの母線システムの軸からは385mの距離がある。したがって、既存の住宅開発地と潜在的な住宅開発地の両方が、電界強度が1kV/m(住宅地での許容値)よりもかなり低い地域に位置している。
The
calculations of magnetic field distribution (H) indicated that its intensity
under the four busbar systems, identified at the height of 2m at the most unfavorable
operating conditions of the busbar systems, will not
exceed the value of 22.5 A/m, and hence it will be significantly lower than the
permissible value (60 A/m) established in regulations governing places
accessible to people.(BEMSJ注:この磁界は50Hzなどの交流と推定)
ケーブルベッド領域における電磁波の影響の評価を表6.105に示し、影響の重要性の評価を表6.106に示す。
磁界分布(H)の計算では、母線システムの最も不利な動作条件で2mの高さで特定された4つの母線システムの下でのその強度は22.5 A/mを超えないため、人々が近接可能な場所を管理する規制で定められた許容値(60 A/m)よりも大幅に低くなることが示された。
ケーブルベッド領域における電磁界の影響のスケールの評価を表6.105に示し、影響の重要性の評価を表6.106に示す。
Table
6.105. Assessment of the scale of impact of the electromagnetic field [Source:
internal materials]
表 6.105.電磁波の影響規模の評価 [出典:内部資料]
6.1.6.6 Electromagnetic
field emission
In the Baltica OWF Cl decommissioning phase, there will be no
emission of electromagnetic field, as it concerns
devices which are energized, i.e. in operation.
6.1.6.6
電磁波の放射
Baltica OWF Clの非稼働状態では、通電されている、つまり動作中の機器がないために、電磁波の放射はない。。
6.2.2.1 Electromagnetic field emission
6.2.2.1.1 Calculation of
magnetic field distribution in the surroundings of the planned cable line
6.2.2.1
電磁波界放射
6.2.2.1.1
計画されたケーブルラインの周辺における磁界分布の計算
The
calculation results of the maximum values of the magnetic field strength (H)
that can be expected above the cable bed area for the RAV are presented in Table
6.145, whereas the diagrams of the distribution of the
magnetic field strength (H) in the cross-section transverse to the axis of the cable bed area are indicated in the figures in Appendix 3 to this
Report.
The
Appendix contains a detailed description of the assumptions made for the calculations.
RAVのケーブルベッドエリアより上で予想される磁界強度(H)の最大値の計算結果を表6.145に示す。、ケーブルベッドエリアの軸線を横切る断面における磁界強度(H)の分布の図を本レポートの付録3に示す。付録には、計算のために行われた仮定の設定条件の詳細な説明が含まれている。
<付録の部分は割愛>
表 6.145.ケーブルベッドエリア周辺における磁界強度の予想最大値の算出結果(ケーブル11本、フラットレイアウト) 【出典:内部資料】
7.4.2.4
Electromagnetic field emission
7.4.2.4
電磁波の放射
The
values of the individual components of the EMF generated by other substations
identified in places where the distribution of the EMF generated by the Baltica OWF Cl busbar systems was modelled, are negligibly
small due to a considerable distance between them.
Therefore,
they were not included in the model-based computations and their cumulative
impact should not be expected.
バルティカのOWF Cl 母線システムによって発生するEMFの分布が、モデル化された場所で特定された他の変電所によって発生するEMFによって影響を受ける個々の成分値は、それらの間の距離がかなり長いため、無視できるほど小さくなっている。
したがって、これらはモデルベースの計算に含まれておらず、その累積的な影響は予想できません。
The
computations aimed at establishing the magnetic field distribution in the
vicinity of the proposed shared cable bed area for all developers. The
computations of the distribution of the magnetic field (H) generated by the
cable lines supplying power to the 6 proposed customer substations, which form
a shared cable bed consisting of 23 (APV) or 25 (RAV) cable lines, showed that
in none of the cases analyzed, the cumulative value of the magnetic field
strength does not exceed the limit value (60 A/m) for places accessible to people specified
in the applicable regulations.
この計算は、すべての土地開発地に向けて予想された共有ケーブルベッドエリアの近傍の磁場分布を確立することを目的とする。23本(APV)または25本(RAV)のケーブル線からなる共有ケーブルベッドを形成する6つの予想される顧客の変電所に電力を供給するケーブルラインによって発生する磁界(H)の分布の計算では、分析されたいずれのケースでも、磁界強度の累積値が、適用規則で規定された人々が近接可能な場所での曝露限界値(60 A / m)を超えないことが示された。
When
analyzing the maximum expected values of the resultant (cumulative) magnetic
field strength at the heights specified (0.2; 1.0 and 2.0m), it can be noted
that at the given heights, regardless of the variant (solution) selected, the
difference is only slight. At the same time, it is evident that the highest
value of the cumulative magnetic field strength is recorded at a height of 0.2m, which is explained
by the smallest distance between the cable lines and the design point.
設定された高さ(0.2、1.0および2.0m)における結果として生じる(累積的な)磁界強度の最大期待値を分析する場合、設定された高さでは、選択された変動要因に関係なく、その差はわずかであることに注意することができる。同時に、累積磁場強度の最大値は0.2mの高さで記録されることは明らかであり、これはケーブルラインと設定点との間の最小距離であることが明らかである。
Considering
that in each of the variants analyzed, the cumulative value of the magnetic
field strength is more than two times smaller than the limit value (60 A/m),
from the point of view of the possible electromagnetic field effects on the
environment, any of the solutions analyzed can be selected.
分析された各変動要因において、磁界強度の累積値が限界値(60A/m)の2倍以上小さいことを考慮すると、環境に対する可能な電磁界の影響の観点から、分析された解決策のいずれかを選択することができる。
21.2.2.3.5
Emission of electromagnetic field (EMF) by power cables
21.2.2.3.5
電源ケーブルによる電磁波(EMF)の放射
In
the case of cable lines, only the magnetic component of the electromagnetic
field will be introduced to the environment (the electric component is shielded by
the cable return wire). This emission will not exceed
the permissible values specified in the Regulation of the Minister of Health of 17 December 2019 on the permissible levels of electromagnetic
fields in the environment (Journal of Laws of 2019,
item 2448).
ケーブルラインの場合、電磁波の磁界成分のみが環境中浸透する(電界成分はケーブル帰還ワイヤによってシールドされる)。この放射は、環境中の電磁波の許容レベルに関する2019年12月17日の保健大臣の規則で規定された許容値を超えない(Journal of Laws of 2019、2448項)。
The
busbar system generates electromagnetic field during operation. Due to the
correctly selected suspension height of the busbar system elements and the distance
from the buildings, all requirements will be met with
regard to the impact limits, thus:
• for electric field, the value of 10 kV/m will not be exceeded for
the locations accessible to the public;
• for magnetic field, the value of 60 A/m will not be exceeded for
the locations accessible to the public.
母線システムは、稼働中に電磁波を放射する。母線システム要素の支持高さと建物からの距離が正しく選択されているため、影響の制限に関するすべての要件が満たされる。
• 電界の場合、公衆が近接可能な場所では、10kV/mの値を超えない。
• 磁界の場合、60A/mの値は、一般に近接可能な場所では超えない。
路線付近の電界強度は、主に相導体とグランドとの間の距離に依存し、相導体とグランドとの間の距離が最も小さい所で最高値に達する。電界強度は、線軸からの距離とともに減少す。
In the OnSS area and in the immediate
vicinity of the electromagnetic infrastructure equipment work space,
electromagnetic field values corresponding to the intermediate protection,
danger or hazardous zones may occur.
OnSSエリアおよび設備の電気機器に近接する作業領域では、中間的保護対象領域、危険領域、または危険領域に相当する電磁界値が発生する可能性がある。
In
the area surrounding the substations with an upper voltage of 400, 220 and 110 kV,
no electric fields with intensity exceeding 1 kV/m (the value permissible for
areas intended for residential development). Exceptions usually include the
locations in the vicinity of the high-voltage overhead lines entering a
substation, where within the area up to the first support structure, fields
with strengths not exceeding a few kV/m are identified quite often.
400kV、220kV、110kVの電圧が上限の変電所周辺では、1kV/m(住宅開発用地の許容値)を超える電界は発生されない。例外として、通常、変電所に流入する高圧架空送電線の近くで、最初の支持構造までのエリア内で、数kV/mを超えない強度の電界が頻繁に特定される。
21.3.6
Electromagnetic field
21.3.6
電磁波
There are no natural or artificial
sources of electromagnetic radiation in the area of the planned Baltica OWF Cl project. The existing 450 kV DC Sweden-Poland
transmission system is located several kilometers from the location of the
planned project. Changes in natural electric fields do not have a direct impact
on living organisms as well as human well-being. Natural magnetic fields show
differences depending on the geographical location.
計画されているBaltica OWF Clプロジェクトの領域には、自然または人工的な電磁放射源はない。既存の450kV DCスウェーデン=ポーランド送電システムは、計画されたプロジェクトの場所から数キロメートルの場所にある。自然電界の変化は、生物や人間の健康に直接影響を与えることはない。自然界は地理的な場所によって違いを示す。
それらはいくつかの生物に大きな影響を与える。電流の流れによって生成される電磁波は、海洋哺乳類の自然な移動行動を変えることができ、海に導入される熱エネルギーの源にもなり得る。
However, these factors are difficult
to measure and in compliance with the Update of the preliminary environmental assessment of the marine
water status (CIEP, 2018), are not currently monitored
in Poland. Some animals, such as dolphins, birds and certain species of
insects, in underwater migration or long-distance
flights are guided by the position of the magnetic poles.
しかし、これらの要因を測定することは困難であり、海水の状態に関する予備的な環境評価の更新(CIEP、2018)に準拠して、現在ポーランドでは監視されていない。また、イルカ、鳥、特定の種類の昆虫などの一部の動物は、水中での移動や長距離移動において、磁極の位置を感知・利用している。
地球の自然磁場の方向を認識するこれらの能力は、1〜50テスラの直流磁界という非常に強い強度の場合は、乱される可能性がある。
21.3.18
Electromagnetic field emission (EMF)
21.3.18
電磁波の放射(EMF)
The
analyses of the magnetic field distribution indicated that the permissible
value of the intensity of that field would not exceed, in the altitude range
from 0.2 to 2.0 m, the permissible value (60 A/m), specified in the Regulation
of the Minister of Health of 17 December 2019 on the permissible levels of
electromagnetic fields in the environment (Journal of Laws of 2019, item 244)
for places accessible to people.
磁場分布の分析により、その磁界強度の許容値は、0.2〜2.0m(地上高)の高度範囲で、環境中の電磁界の許容レベルに関する2019年12月17日の保健大臣の規則で指定された一般公衆が近接することができる場所での許容値(60 A/m)を超えないことが示された(Journal of Laws of 2019、 item 244)は、
The calculations of the electric and
magnetic field distribution, which were conducted for the smallest distance of
phase conductors (wires}, constituting the busbar systems (13.0 m}, from the
ground, indicated that the intensity of the electric field below the complex of
busbar systems, identified at an altitude of 2.0 m, would not exceed the value
of 3.9 kV·m-1, therefore,
would be significantly lower than the permissible value (10 kV·m-1} established in the Regulation of the Minister of Climate of 17
February 2020 on methods of checking compliance with the permissible levels of
electromagnetic fields in the environment (Journal of Laws of 2020, item 258}
for places accessible to people.
母線システムを構成する相導体の最小間隔(地上から13.0 m)で計算された電界および磁界分布は、地上高2.0 mで特定された母線システムの複合体の下部の電界強度は3.9 kV/mを超えないことを示した。
したがって、2020年2月17日の気候大臣の規則で定められた、環境中の電磁場の許容レベルへの準拠を確認する方法に基づいて、定められた許容値(10kV/m}(Journal of Laws of 2020, item 258})よりも大幅に低くなることになる。
The
calculations of the magnetic field distribution indicated that its intensity
below the complex of busbar systems, identified at an altitude of 2.0 MAGL at the most unfavourable working conditions of the
busbar systems, would not exceed the value of 22.5 A-m-1, thus, would be
significantly smaller than the permissible value (60
A-m-1} established in the Regulation of the Minister of Health of 17 December 2019 on the permissible levels of electromagnetic fields
in the environment (Journal of Laws of 2019, item 2448}
for places accessible to people.
磁場分布の計算は、母線システムの最も好ましくない作業条件下で地上高2.0mの位置で特定された母線ステムの複合体の下部でのその強度は、22.5 A/mの値を超えないことを示しており、したがって、2019年12月17日の保健大臣の規則(Journal of Laws of 2019、item 2448)で規定された、人々が近接できる場所についての許容値(60 A/m)よりも大幅に小さくなる。
21.6.1.5.6
Electromagnetic field impact
21.6.1.5.6
電磁波の影響
21.6.1.5.6.1
Underground cable lines
Calculations
of the distribution of the magnetic field generated by the cable lines in the
cable bed area supplying power to the OnSS have shown
that in each of the solutions adopted - assuming the maximum load current of
each cable line for the purpose of calculations - the value of the field
intensity will not exceed the permissible value set out in the regulations for
places accessible to people, within the height range from 0.2 to 2.0 MAGL.
21.6.1.5.6.1
地下ケーブルライン
OnSSに電力を供給するケーブルベッドエリアのケーブルラインによって発生する磁界の分布の計算は、採用された各ソリューションで、計算の目的で各ケーブルラインの最大負荷電流を想定すると、電磁波の強度は、人々が近接可能な場所での規制で定められた許容値を超えないことが示された。0.2から2.0mの地上の高さ範囲内で。
21.6.1.5.6.2
Busbar system
21.6.1.5.6.2
母線システム
The
calculations of electric and magnetic field distribution carried out for the
shortest distance of the phase conductors (cables) forming the busbar systems (h = 13.0 m)
from the ground showed that the total electric field
strength under the four busbar systems - identified at the height of 2.0 MAGL
-will not exceed the values of 3.9 kV·m-1 for the
busbar configuration A and 4.2 -m-1 for the busbar configuration
B.
母線システムを形成する相導体の地上からの最短距離(h = 13.0 m)で行われた電界および磁界分布の計算では、地上高さ2.0mで特定された4つの母線システムの総電界強度は、母線構成Aの3.9 kV/mおよび母線構成Bの4.2kV/mの値を超えないことが示された。
Thus,
irrespective of the configuration, the maximum electric field strength will be
significantly lower than the regulatory limit value for places accessible to
people.
したがって、構成に関係なく、最大電界強度は、人々が近接可能な場所での規制限界値よりも大幅に低くなる。
Table
21.43 presents the identified noise impacts on existing and potential
residential development areas along with an assessment of their scale and significance.
表21.43は、既存および潜在的な住宅開発エリアに特定されたノイズの影響と、その規模と重要性の評価を示しす。
Table
21.43. Assessment of the electromagnetic field impact significance on existing
and potential residential development areas [Source: internal materials]
表 21.43.既存および潜在的な住宅開発地域における電磁波の影響の重要性の評価 [出典:内部資料]
注:上の表の結果、磁界と電界は共に、Impact significance: Negligible(影響の重要性:無視できる)となる。
BEMSJ注:長々とポーランドでの洋上風力発電所環境影響評価報告書の中から、電磁波に関する項目だけを抜き出して翻訳してみた。
この風力発電所の送電は交流(50/60Hz)で行われるとみられ、解析されている電磁波は交流電磁波に関してのみになっている。
記:2024−10−20
以下は英国の報告書から電磁波に関連すると思われる個所を引用、仮訳をつけた。
関心のある方は、原書を入手して読んで下さい。
**************
Literature review on the potential effects of electromagnetic fields and subsea noise from marine renewable energy developments on Atlantic salmon, sea trout and European eel
海洋再生可能エネルギー開発による電磁界と海中騒音がアトランティックサーモン、シートラウト、ヨーロッパウナギに及ぼす潜在的影響に関する文献レビュー
COMMISSIONED REPORT
Summary
委託レポート
概要
Commissioned Report No. 401 (iBids No.10745)
Contractor: Cranfield University
Year of publication: 2010
委託報告書
No.401(iBids No.10745)
請負業者:クランフィールド大学
発行年:2010年
Background 背景
This report reviews the current state of
knowledge with regard to the potential for three fish species of conservation importance, namely Atlantic
salmon (Salmo salar), sea trout (Salmo trutta) and
European eel (Anguilla anguila), to
be affected by marine renewable energy developments (MRED).
本報告書は、保全上重要な3種の魚種、すなわちアトランティックサーモン(Salmo salar)、シートラウト(Salmo trutta)、ヨーロッパウナギ(Anguilla anguila)が海洋再生可能エネルギー開発(MRED)の影響を受ける可能性に関する現状知識をレビューする。
The focus is on marine wave and tidal
power developments that will generate electricity offshore, which will then be
transferred to land by subsea cable.
沖合で発電し、海底ケーブルで陸上に送電する海洋波浪および潮力発電の開発に焦点をあてる。
During construction and operation, the
marine renewable energy (MRE) devices are expected to cause a number of
disturbances to the marine environment including electromagnetic fields (EMF)
emissions and subsea sounds (generally referred to as 'noise').
建造中および運転中の海洋再生可能エネルギー(MRE)装置は、電磁波(EMF)の放射や海底音(一般に「ノイズ」と呼ばれる)など、海洋環境に多くの障害を引き起こすことが予想される。
Such disturbances were assessed to meet the following aims:
・To determine the current understanding of the effects of EMFs and noise associated with the installation and
operation of MREDs, on the behaviour of three
species: S. salar, S. trutta
and A. anguilla.
・To determine the gaps in current knowledge
and identify research
requirements.
これらの撹乱要素は、以下の目的を満たすように評価された。
・MREDの建設と運用に関連するEMFとノイズの影響について、S.salar、S.trutta、A.Anguillaの3種の挙動に対する現在の知見を判断する。
・現在の知識のギャップを特定し、さらなる研究の必要な点を特定する。
Main findings 主な調査結果
レビューの基礎となる情報の入手可能性と質から、MRE建設前と建設後の両方で、魚の回遊行動と活動のすべての側面に関して、限定されていることが判った。これにより、原因と結果を特定することが難しくなった。
The main findings
were:
主な調査結果は次のとおりです。
・S. salar and A.
anguilla can use the earth's
magnetic field for orientation and direction finding during migrations. S. trutta
juveniles, and close relatives of S. trutta, respond to both the earth's magnetic
field and artificial magnetic fields.
・S. salarとA. anguillaは、地球の磁場を移動時の方位や方向探知に利用している。S.
truttaの幼体やS. truttaの近縁種は、地球の磁場と人工磁場の両方に反応する。
・Current
knowledge suggests that EMFs from subsea cables and cabling orientation may
interact with migrating eels (and possibly salmonids) if their migration or movement
routes take them over the cables, particularly in shallow waters (<20m).
The effect, if any, could
be a relatively trivial temporary change in swimming direction, or
potentially a more serious avoidance response or delay to migration.
Whether this will
represent a biologically significant effect cannot yet be determined.
・現在の知識では、海底ケーブルやケーブルの向きからの電磁界は、特に浅瀬(<20m)で、回遊または移動ルートがケーブル上を通る場合、回遊するウナギ(およびおそらくサケ科魚類)と相互作用する可能性があることが示唆される。
その影響は、もしあるとすれば、遊泳方向の比較的些細な一時的な変化かもしれないし、あるいは、より深刻な回避反応や移住の遅れである可能性もある。
これが生物学的に有意な効果を表すかどうかはまだ判断できない。
・S. salar, S. trutta
and A. anguilla are likely to
encounter EMF from subsea cables either during the adult movement phases of
life or their early life stages during migration within shallow, coastal waters
adjacent to the natal rivers.
・S. salar、S. trutta、A. anguillaは、成虫の移動期または出生河川に隣接する浅い沿岸水域での移動時期に、海底ケーブルからの電磁波に曝露する可能性が高い。
・The
subsea noise from MRE devices has not been suitably characterized to determine its acoustic properties
and propagation through the coastal waters.
・MRE装置からの海中騒音は、その音響特性と沿岸水域への伝搬を決定するために適切に特性評価はされていない。
・MREDs
that require pile driving during construction appear to be the most relevant to
consider, in addition to the time scale over which pile driving is carried out,
for the species under investigation.
・建設中に杭打ちを必要とするMREDは、調査対象の種について、杭打ちが行われる時間スケールも含んで、最も考慮すべき観点であると思われる。
・In the absence of a clear understanding
of their response to subsea noise, the specific effects on S. salar, S. trutta
and A. anguilla remain very
difficult to determine for Scottish waters in relation to tidal and wave power.
・海底騒音に対する魚類の応答が明確に判っていないため、スコットランドの海域におけるS. salar、S. trutta、A. anguillaに対する具体的な影響度を、潮汐力と波力発電所の場合に関して、決定することが非常に困難である。
・Based on the
studies reviewed, it is suggested that fish that receive high intensity sound
pressures (i.e. close proximity
to the MRED construction) may be negatively impacted to some degree, whereas
those at distances of 100s to 1000s of metres may
exhibit behavior responses, the impact of which is unknown and will be
dependent on the received sound.
During operation there may be more subtle behavioral
effects that should be considered over the life time of the MRED. Whether these
effects will represent biologically significant impacts cannot yet be determined.
・レビューした研究から、高強度の音圧を受ける魚(MRED構造に近接する魚)はある程度の悪影響を受ける可能性があるが、数百メートルから数千メートルの距離にいる魚は行動反応を示す可能性があることが示唆されているが、その影響は不明であり、受ける音に依存する。
運用中は、MREDの寿命にわたって考慮すべきより微妙な行動への影響がある場合がある。これらの影響が生物学的に有意な影響を表すかどうかは、まだ判断できない。
・The
current assumptions of limited effects
are built on an incomplete understanding of how the three species move around
their environment and interact with natural and anthropogenic EMF and
subsea noise.
・現在の影響が限定的であるという仮定は、3つの魚種が環境内をどのように移動し、自然および人為的な電磁波および海底騒音と相互作用するかについての理解が不完全であることによる。
・A number of gaps in understanding exist, principally whether S. salar, S. trutta and A. anguilla respond to the EMF and/or the noise associated with
MREDs in Scottish waters.
A number
of suggestions for specific studies are highlighted in the final section of the
report.
・主に、S. salar、S. trutta、A. anguillaがスコットランド海域のMREDに関連するEMFおよび/または騒音に応答するかどうかについて、理解には多くのギャップが存在する。
特定の研究に関するいくつかの提案は、本レポートの最後のセクションで述べる。
BEMSJ注:概要の部分だけでは具体的なことが判らない。
以下は本文の中の4:考察の部分だけを抜き出す。
4.DISCUSSION 4:考察
The discussion
section summarises the current understanding with regard to EMF and noise effects from MREDs on A. anguilla, S. salar and S. trutta, specifically
looking at the information directly related
to the migratory behaviour and ecology of the three species.
For S. salar or S. trutta, available information was limited. There was more information relating
to A. anguila, principally through research on navigation in relation to
geomagnetic fields.
Where there
was no species specific information, the best understanding for other
species is explored, and potential effects are extrapolated.
考察の項では、MREDがA. anguilla、S. salar、S. truttaに及ぼすEMFと騒音の影響に関する現在の理解をまとめ、特に3つの種の移動行動と生態に直接関連する情報に注目する。
S. salarまたはS.
truttaについては、入手可能な情報は限られていた。
A. anguillaに関連する情報は、主に地磁気に関連する航行に関する研究など、より多くあった。
種固有の情報がない場合は、他の種に対するベストな理解が得られるよう、潜在的な影響力を推定した。。
4.1:EMF from subsea cables
4.1:海底ケーブルからのEMF
All cables that carry electricity will emit EM
radiation, which is generated as a result of the flow of electrical current in
the cable (Figure 1).
Industry standard cables are designed so that the direct E
field is shielded; however the B field is not (see Section 1.2).
The conductivity and permittivity of the cable
shielding materials can be altered to reduce the B field (CMACS, 2003).
電気を運ぶすべてのケーブルは、ケーブルに電流が流れることによって生成される電磁放射を放出する。(図1)。業界標準のケーブルは、電界成分は直接がシールドされるように設計されている。
ただし、磁界成分ははそうではありません (セクション 1.2 を参照)。
ケーブルのシールド材料の導電率と誘電率を変更して、磁界成分の輻射を減らすことができる。(CMACS、2003)。
BEMSJ注:以下は別ページにあった直流送電ケーブルの場合の電磁波輻射の説明図。
電界成分はシールドされ、外に漏れる量は少ない。磁界成分は外に漏れる。
BEMSJ注:直流送電ケーブルの例を以下に示す。
However,
whilst it is theoretically possible to contain the B field, the practical
design and huge cost implications mean that it is not currently feasible.
Furthermore, there is presently not sufficient evidence
to require the cables to be redesigned.
This
is the main reason that further knowledge of the E and B fields and the
responses by migratory fish is required.
しかし、理論的に磁界成分を封じ込めることは可能であるが、実用的な設計と莫大なコストの影響があり、現時点では実現不可能である。
さらに、現在のところ、ケーブルの再設計を要求する十分な証拠はない。
これが、電界成分と磁界成分と、回遊魚の応答に関するさらなる知識・研究が必要な主な理由である。
4.1.1: The scale
of electromagnetic emissions from subsea cables
The
design and specification of cables, their rated capacity, and associated
substations are important in predicting the EMF emissions associated with
offshore energy generation, and therefore their potential impact in the marine
environment.
4.1.1: 海底ケーブルからの電磁放射の大きさ
ケーブルの設計と仕様、ケーブルの定格容量、および関連する変電所といった要素は、オフショア(沖合設置型の)エネルギー生成に関連するEMF放射を予測する上では重要な要素である。
そうして海洋環境への潜在的な影響を予測する。
Recent reports and industry consultations indicate that
increasingly there is widespread standardization in cabling strategy across the
wind farm industry (Gill et al., 2005,
and references within).
最近のレポートと業界の協議は、風力発電所業界全体でケーブル戦略の標準化がますます広まっていることを示している(Gill et al.、2005、および内部の参照)。
Developers commonly select three-core, AC 33 kV cables
for intra-array connections and 132 kV (or possibly 245kV) cables for grid
connection to land. Physically larger cables are capable of carrying greater
currents.
開発業者は通常、アレイ内接続には3芯のAC 33kVケーブルを選択し、陸上へのグリッド接続には132kV(場合によっては245kV)ケーブルを選択する。物理的に大きいケーブルはより大きな電流を流すことができる。
Research modelling EMFs from cables with contrasting conductor sizes and current loads at the Kentish
Flats offshore wind farm site has been undertaken by the University of
Liverpool (Table 2; Gill et al., 2005).
リバプール大学は、ケンティッシュフラッツ洋上風力発電所の敷地で、導体サイズと電流負荷に注目したケーブルからのEMF放射をモデル化する研究を行っている。(表2;Gill et al., 2005)。
The simulations indicated that a higher current within a
cable means that the maximum size of the EMF in the sea and seabed is increased
(Table 2), which has implications to the effects on EM-sensitive fish.
A previous study
modelled a single 132 kV AC, three-core subsea cable carrying 350 A in each
conductor (CMACS, 2003).
シミュレーションでは、ケーブル内の電流が大きくなると、海や海底での電磁波の最大値が大きくなることが示され(表2)、電磁波に敏感な魚への影響が示唆されている。
これまでの研究では、各導体に350Aを流す単一の132kV AC、3芯の海底ケーブルをモデル化した(CMACS、2003年)。
Analysis methods were broadly similar between these
studies but differences occurred relating to the conductivity constant used for
seawater, and the environmental context of these two studies.
This modelling approach is useful for making comparison
of commonly specified subsea cables in MRE developments.
これらの研究間では分析方法は概ね類似していたが、海水に当てはめる導電率とこれら2つの研究の環境状況に関連する違いがあった。
このモデリング化はMRE 開発で一般的に使用される海底ケーブルの比較に役立つ。
These models
predicted that the B field on both the surface of a 33kV cable (i.e. within
millimeters of the source) and the seabed directly above the cable was of the order of
40 µA/m2 or
1.5 µT (Table 2).
これらのモデルでは、33kVケーブルの表面(つまり、数ミリメートル以内)と、ケーブルの真上の海底の両方での磁界が40μA/m2または1.5μTのオーダーであると予測された(表2)。
Assuming the seabed has a conductivity of 1 S m-1
the resultant E field would have a likely strength of 40 µV m-1.
Furthermore, the E field in the seabed was modelled to
dissipate rapidly to only 1 or 2 µV m-1 within a distance of
approximately 10 m from the cable.
The maximum magnitude of the modelled B field at the
interface between the seabed and seawater was approximately 10 µA m-2
or 0.33 µT.
This means that the maximum E field strength induced in the
seawater would be circa 2.5 µV m-1.
海底の導電率が1 S/mであると仮定すると、結果として得られる電界強度は40 μV/mである可能性が高い。
さらに、海底の電界強度はケーブルから約10mの距離でわずか1または2μV/m1まで急速に減衰するというモデルができた。
海底と海水の界面におけるモデル化された磁界強度の最大値は、約10μA/mまたは0.33μTであった。
これは、海水中で誘導される最大電界強度が約2.5μV/mになることを意味します。
(Table 2), assuming fully marine seawater
(conductivity of 4 S m·1).
The
modelling of 350 A, 132 kV three core
cable buried at 1 m showed that the
strength of the E field in the sea was 91 µV m·1, indicating
that there is a range for potential emissions from subsea cables and that these emissions are cable
specific, as well as dependent on the conductivity of the seabed.
(表2)は、完全海洋海水(導電率4S/m)を想定している。
1mの深さに埋設された350A、132kVの3芯ケーブルのモデリングでは、海中の電界強度が91μV/mであることが示され、海底ケーブルからの潜在的な放射には限度があり、これらの放射はケーブル固有であり、海底の導電率に依存することが示されている。
Table 2. EMF output parameters
for industry standard
cables buried 1.5 m in seabed.
テーブル2.海底に深さ1.5mで埋設された業界標準ケーブルの電磁波放射状況。
cableA |
CableB |
|
Conductor size (mm2) |
500 |
185 |
Maximum voltage
(kV) |
33 |
33 |
Maximum current (A) |
530 |
265 |
Maximum B field in seabed (µT) |
1.5 |
0.9 |
Maximum B field in sea
(µT) |
0.03 |
0.02 |
Maximum current density
in seabed (µA m·2) |
40 |
25 |
Maximum current
density in sea (µA m·2) |
10 |
6 |
Maximum iE field
in seabed (µV m·1) |
40 |
25 |
Maximum iE field
in sea(µV m·1) |
2.5 |
1.5 |
Estimated normal
iE field in seabed (µV m‐1) |
20 |
12.5 |
Estimated normal B
field in sea (µT) |
0.015 |
0.01 |
ケーブルパラメータ |
Cable A |
Cable B |
導体サイズ (mm2) |
500 |
185 |
最大電圧 (kV) |
33 |
33 |
530 |
265 |
|
海底の最大磁界強度 (µT) |
1.5 |
0.9 |
海上最大磁界強度 (μT) |
0.03 |
0.02 |
海底の最大電流密度 (µA/m2)· |
40 |
25 |
海中の最大電流密度 (µA/m2) |
10 |
6 |
海底の最大電界強度 (µV/m) |
40 |
25 |
海上で最大電界強度 (µV/m) |
2.5 |
1.5 |
海底の推定典型的な電界強度 (µV/m) |
20 |
12.5 |
海中の推定典型的な磁界強度 (µT) |
0.015 |
0.01 |
The Kentish Flats modelling study also provided the first
assessment of the B and iE fields from wind farm
cables at their normal operating capacity, i.e. turbines generating energy at
average wind speeds (Table 2; Gill et
al., 2005).
A directly proportional linear relationship between
current load and resultant B and iE fields was
determined for both fields such that halving the current halves the size of the
resultant fields.
Kentish Flatsモデリング研究では、風力発電所のケーブルから、通常の運用容量、つまり平均風速でエネルギーを発生させるタービンからの電界・磁界の最初の評価も行われた。(表2;Gill et al., 2005)。
電流負荷と結果として生じる電界・磁界強度との間の正比例線形関係が、電流を半分にすると結果として生じる電磁強度が半分になるとう様に、電界・磁界ともに、成り立つことが判った。
The predicted maximum iE field from
both studies outlined above is within the magnitude and range (between 0.5 - 100 µV m·1), which may be detectable and attractive to
elasmobranchs and other fish species, possibly including S. salar, S trutta or A. anguilla.
These emissions may
have an effect on fish behaviour (see Section 4.2).
上記の2研究から予測される最大電界強度は、大きさと範囲は0.5-100μV/m内であり、これはエラスモブランチや他の魚種(おそらくS.salar、S.trutta、またはA.anguillaを含む)にとって検知可能で魅力的である可能性がある。
これらの放射は、魚の行動に影響を与えるかもしれない(セクション4.2を参照)。
As the scale and extent of energy capture from MRE sources increases, the requirement for devices and offshore
sub-stations incorporating switchgear and transformers is likely to
also increase.
MRE装置からの電力取り出しの規模と範囲が拡大するにつれて、関連装置や開閉装置と変圧器を組み込んだ沿岸変電所の要素も増加するでしょう。
This subsea infrastructure is required to convert the voltage of multiple renewable energy
device cables into the voltage
of the network of subsea
cables to shore.
Spatially, the result is likely to be an agglomeration of cables on the sea
floor at offshore sub-stations with
multiple cables over relatively short distances.
この海底インフラは、複数の再生可能エネルギー装置のケーブルの電圧を、海岸への海底ケーブルの電力網の電圧に変換するために必要です。
空間的には、その結果、比較的短い距離に複数のケーブルが敷設された沖合の変電所の海底には多数の電力ケーブルが集積する可能性がある。
The implications of
this for the size of the EMF generated are unknown but there is the potential for the fields to
interact.
Normally, the magnitude of the EMF at any given point is inversely proportional to the distance from the power cable.
これが発生する電磁波の強に及ぼす影響は不明であるが、電界ト磁界が相互作用する可能性がある。
通常、任意のポイントでの電磁波の強度は、電源ケーブルからの距離に反比例する
However, when 50 Hz subsea cables are closely placed, the
emission fields may cancel each other out to some extent (if 180° out of phase), or be combined
constructively (in phase) in an additive
fashion (Yi Huang, pers. comm.).
しかし、50Hzの海底ケーブルが密集して配置されている場合、放射は互いにある程度打ち消し合うか(位相が180°ずれている場合)、または相加的に加算(位相で)される可能性がある。(Yi
Huang、pers.comm.)。
This would result in larger emission fields in these areas, which could then create iE fields of several hundred µV m·1 when cables come together at
sub-stations.
This, however, is an unknown and complex field of
research.
これにより、一つの変電所にケーブルが集する場合、これらの領域でより大きな放射電磁界(数百μV/m)が発生することになる。
しかし、これは未知で複雑な研究分野となるだろう。
BEMSJ注:この報告書でも発生する直流磁界に関してはほとんど触れていない。
記;2024−10−21
掲載誌:海生研研報,第29号,1−23,2023
タイトル:洋上風力発電所の建設・稼働時における海生生物及び漁業への影響に関する文献調査
研究者:百田恭輔・島隆夫
長文の報告書中からの、電磁波(電磁界)に関する記述のみ抜き出した。
関心のある方は原著・全文を読んで下さい。
*****************************
電磁界
電磁界とは,送電線の周囲に発生する電界と磁界の総称である。
洋上風力施設の場合では,海底に敷設される送電ケーブル(タービン間を繋ぐインターアレイケーブル及び,陸上グリッドまでのエクスポートケーブル)の周囲で発生する(第2図)。
電磁界の強度はケーブルから距離が離れると急激に減衰(理論減衰率=1/距離3)するため(Gill et
al ., 2009),多くの場合,海生生物へ及ぼす影響はケーブルルートに沿った狭い範囲に限られると考えられている(Wilson et al ., 2010)。
一方で,電磁界の強度はケーブルの設計や敷設工法等により変わることや,電磁界への感受性が高い種は数百メートル離れていても影響を受ける可能性が指摘されている(Gill et al ., 2009)。
魚類やエビ・カニ類のような底生無脊椎動物については,電磁界を感知する種の存在が確認されている(Snyder et al ., 2019;Albert et al ., 2020)。
例えば,サケ類やウナギ類等のように大規模な回遊を行う魚種は,地球の自然磁場の強度と方向を認識することで目的地を目指していると考えられている(Snyder et al ., 2019)。
そのため,送電ケーブルで発生する電磁界の生物への影響は,生理的な面だけではなく,行動にも干渉する可能性が懸念される。
生理機能及び行動への影響については,底生無脊椎動物や魚類を対象とした研究が欧州において蓄積されてきている。
ヨーロッパエビジャコCrangon やミナトオウギガニ Rhithropanopeusharrisii等の小型甲殻類と,ヨーロッパイガイMytilus
edulisを電磁界(DC磁界3.7mT)に34〜93日の長期にわたり曝露した研究では,生存,酸素消費量や生殖腺の発達に影響を及ぼさないことが確認されている(Bochert and Zettler, 2006)。<BEMSJ注:他の報告書に引用されていた論文>
ヨーロッパイガイM. edulisついては,成体を300μT及び47μT(環境の磁界強度)の電磁界に曝露した研究があり,殻の開閉運動や濾水量に有意な差が認められなかったことが報告されている(Albert et al.,2022)。
二枚貝であるバルチックシラトリMacoma balthica及びゴカイの一種であるセイヨウカワゴカイHediste
diversicolorを50HzのAC磁界(1mT)に9〜12日間曝露した研究があり,生存,摂餌量や呼吸数には影響が認められない一方で,アンモニア排泄量が増加することが報告されている(Jakubowska et al.,2019)。
また,Scott et al.(2021)による,ヨーロッパイチョウガニCancer pagurusを異なる強度の電磁場(250μT,500μT,100μT)<BEMSJ注:周波数は?原著に関する調査でDC磁界と判明>に暴露した研究では,強度に依存した生理機能及び行動への影響が確認されている。
この研究では,250μTでは顕著な生理機能及び行動への影響は認められなかったが,500μTと1000μTではL-乳酸とD-グルコースの概日リズムの乱れや総血小板数の変化という生理的な影響が確認され,電磁波源である装置に引き付けられる,
動き回る時間が大幅に減少するといった行動の変化も確認されたことが報告されている。
しかしながら,同じ甲殻類であるヨーロッパロブスターHomarus gammarus の稚エビを225±5μTのACまたはDC磁界に一週間暴露した研究では,隠れ家を探す行動や探索行動には影響が認められなかったことが報告されており(Taormina et al .,2020),前述のヨーロッパイチョウガニC.
pagurusの結果を考慮すると,個々の種で生理機能及び行動への影響は異なる可能性が考えられる。
電磁場を受容するような反応は魚類の研究でも確認されており,Jakubowska et al.(2021)によるニジマスOncorhynchus mykissの稚魚を用いた研究では,DC磁界(10mT)またはAC磁界(1mT)に40日間曝露したところ,酸素消費量の変化等のストレス反応は認められないが,曝露期間終了後に曝露条件であった磁界強度を好むようになる傾向がみられたことを報告している。
一方,イカナゴの一種Ammodytes marinusの仔魚(孵化後17〜24日,体長約12 mm)を高電圧直流(HVDC)で生成されるレベルの磁界強度勾配(50〜150μT)に曝露した研究では,仔魚の空間分布,遊泳速度,遊泳距離等に影響は認められていない(Cresci et al.,2022)。
ここまで紹介した研究は屋内における暴露実験に基づくものであるが,実海域ではバイオテレメトリーを用いた研究例が蓄積されつつある。産卵回遊期のヨーロッパウナギAnguilla anguillaの研究では,130KVのACケーブルが敷設されているエリアを横切る際に遊泳速度の低下が確認されたが,これによる移動の遅れは僅かであり,影響は小さいと結論付けられている(Öhman et al., 2007)。
また,DCケーブル(200kV,400MW,ケーブル付近の磁界強度:245nT)がキングサーモンOncorhynchus tshawytschaの降海した稚魚とチョウザメAcipenser medirostrisの回遊へ及ぼす影響を研究した例では,これら両魚種の回遊に影響が無いことが報告されている(Kavet et al ., 2016)。
硬骨魚類以外を扱った研究としては,アメリカンロブスターHomarus americanusとガンギエイの一種Leucoraja
erinaceaのそれぞれの種ついて,HVDCケーブル(150KV,330MW,磁界強度:99.2〜116.6μT)上に設置したケージ内に収容し,行動の変化を観察した例がある(Hutchison et al .,2018)。
この研究では,ケーブルに通電すると,移動距離の延長,移動速度の低下,方向転換の頻度の増加,高い電磁界のエリアで過ごす時間の増加といった行動の変化が両種で確認され,L.erinaceaの方がより強い影響を受けた。
総じて,生理機能及び行動を介した致命的な影響は確認されてきてはいないが,影響の大きさは個々の種や磁界強度に応じて異なる可能性が指摘されている。
そのため,生存や分布に影響を与えるか否かを明らかにするために,今後も知見の蓄積が必要であると考えられる。
**************************
注:以上の概説から、様々な研究が行われていることが判る。
記:2024−10−21
前述の調査報告書では『Scott et al.(2021)による,ヨーロッパイチョウガニCancer pagurusを異なる強度の電磁場(250μT,500μT,1000μT)に曝露した研究では,強度に依存した生理機能及び行動への影響が確認されている。』とある。
この論文の概要を以下に示す。
掲載誌: J Mar Sci Eng 2021; 9 (7): 776
タイトル:Exposure to Electromagnetic Fields (EMF) from
Submarine Power Cables Can
Trigger Strength-Dependent Behavioural
and Physiological Responses
in Edible Crab, Cancer pagurus (L.)
海底電力ケーブルからの電磁界曝露は強度に応じた食用ガニ(Cancer
pagurus (L.))の行動学的および生理学的反応のトリガとなり得る
研究者: Scott K, Harsanyi P, Easton
BAA, et al;
概要:本研究では、異なる強度の磁界曝露(250µT、500µT、1000µT)が食用ガニ(Cancer
pagurus (L.))に及ぼす影響を調べた。
行動学的および反応パラメータ(シェルターの嗜好、休息/歩き回るのに費やす時間)に加えて、ストレス関連要素(l-乳酸、d-グルコース、総血球数(THC))を24時間にわたって測定した。
その結果:
1)250µTでは、生理学的および行動学的な影響は限定的であった。
2)500µTと1000µTでは、l-乳酸およびd-グルコースの概日リズムを乱し、THCを変化させることが示された。
3)カニは磁界曝露(500µTおよび1000µT)したシェルターに誘引され、歩き回るのに費やす時間が有意に減少することが明確に示された。
曝露条件:DC 静磁界
注:関心のある方は原著・全文を読んで下さい。
記:2024−10−21
前述の報告書に『ヨーロッパエビジャコCrangon crangon やミナトオウギガニRhithropanopeusharrisii等の小型甲殻類と, ヨーロッパイガイMytilus
edulisを電磁界(DC磁界3.7mT)に34〜93日の長期にわたり曝露した研究では,生存,酸素消費量や生殖腺の発達に影響を及ぼさないことが確認されている(Bochert and Zettler, 2006)』とあった。
以下はこの研究の原著・概要である。
掲載誌: Bioelectromagnetics
2004; 25 (7): 498-502
タイトル:Long-term exposure of several
marine benthic animals to static magnetic fields
直流磁界に対する海洋底性動物の長期曝露
研究者: Bochert R, Zettler ML
本研究では、多くの無脊椎動物および脊椎動物が生息する海底に敷設された海中ケーブルから発生する磁界がこれらの生物の及ぼす影響を調べる目的で2つの実験を行なった。
第1実験では、北海エビ(Crangon
crangon:甲殻類十脚目)、カニ(Rhithropanopeus harrisii:甲殻類十脚目短尾下目)、ヘラムシ(Saduria entomon:甲殻綱等脚目)、ムラサキイガイ(Mytilus
edulis:二枚貝)、および稚魚のヒラメ(Platichthys flesus:魚類)に、数週間、3.7mTの静磁界(MF)を曝露した。
第2実験では、ムラサキイガイを春季の繁殖期に当たる3ヶ月にわたって、上述と同じ磁界条件下で飼育した。
その結果、
1)数週間の曝露の場合、曝露群と対照群の間で生存率の差は見られなかった
2)春の繁殖期3か月間、静磁界条件下で飼育されたムラサキイガイの生殖腺インデックスおよび状態指数に対照群との有意差は見られなかった。
注:関心のある方は原著・全文を読んで下さい。