*アマチュア無線に関連するコーナ


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アマチュア無線の場合は、無線局から発信される電波による曝露に関して電波防護指針に適合することの確認作業が義務づけられています。
これに関連する項目を紹介します。
また、アマチュア無線家を対象とした疫学調査に関しても、紹介します。

1.小型磁界ループアンテナに関する注意点
2.
 アメリカのアマチュア無線連盟ARRLの注意
3
アメリカのアマチュア無線機器メーカであるMFJ社のループアンテナに関する使用上の注意から
A磁界ループアンテナ販売店の広告にある使用上の注意
4.Wikpediaでの「アマチュア無線」に関する項目
5.短縮ダイポールで1kWの出力 




11
アマチュア無線家の死亡率Milhamの1988年研究
12
アマチュア無線家の死亡率調査Cantorの2003
13
1976年Mitllerのアマチュア無線の研究


 

 

---

 

1.小型磁界ループアンテナに関する注意点

1版:2007-7-21 

2版:2007-7-24 少し 修正してこのWEBに公開:2013816 さらに修正 2013-8-17

更新 2020−1−4

$1.はじめに

小型磁界ループアンテナの使用時の留意点を電磁界曝露の観点から簡単にまとめて見ました。

 

アマチュア無線家は電波防護指針に適合していることを自己証明する必要がある。

ダイポールアンテナ、垂直アンテナ、八木アンテナに関してはJARLが標準的な電磁界曝露評価法を定めている。
こうしたアンテナを使用する場合は、JARLの指針に従えばよい。

 

小型ループアンテナの場合は、JARLの判定法に記載はない。
アメリカのARRLの曝露評価でも、ループアンテナの近傍の電磁界の解析結果の例が示されているに過ぎない。

多くの小型ループアンテナを使用するアマチュア無線家は自分で、何らかの形で、アンテナの近傍の電界・磁界強度を測定・評価を行う必要がある。

 

アメリカの小型ループアンテナのメーカであるMFJは、小型ループアンテナの使用に際しては制限を加えるべく、注意・警告を発している。

 

日本のアマチュア無線家で小型ループアンテナを使用している場合の、電波防護指針への適合を如何にしているのか????

 

以下は、BEMSJ解析した結果の一例である。一例に過ぎない。

 

$2.解析結果の例−1 : 小型ループアンテナ 1m角ループアンテナ 14MHz

 

使用した解析ソフト:EZNEC+ ver. 4.0

対象としたアンテナのサイズと形式:各エレメントの長さが1mの四角いループアンテナ

対象周波数:14.05MHz

 

アンテナの形式はあるアンテナ解析ソフトに標準添付された形式をベースに、このEZNECに入れ替えた。

主ループは 各エレメント長さ1m 直径10mm 10セグメントに分割して解析

チュニングのコンデンサーは 31.247PF コンデンサーの容量によって敏感に共振周波数が変わる、非常に敏感である。

 

マッチング用の小型ループは各エレメント長12cm 直径2mm セグメントに分割して解析

アンテナはXYZ軸の原点を中心に、YZ面にループ面を形成 

電磁界の強度はX軸方向のみ計算を行った。

その他の軸方向では解散は割愛 後日時間があれば実施可能

 

解析の条件は 自由空間、エレメントの損失はなしと仮定

 

給電点のインピーダンスは Z38.23J11.19オーム 50オームに対してSWR1.45

遠方界の利得は0.57dBi

給電点に流れる電流は 電力10Wの時 0.51A

主ループの給電点に近いエレメントに流れる電流は 電力10Wの時 7.0A 

主ループのインピーダンスは 電流の比から推定して0.20オーム程度となる。

 

21:電力は10Wとして解析

 

電波防護指針 一般公衆への曝露は 電界:57.4V/m 磁界:0.152A/m (14MHz)である。

 

以下の計算結果から10Wの電力であっても、アンテナ面から水平に少なくとも2m以上の距離をとる必要がある。
1m程度の小型ループアンテナはアパマンハムにようにアンテナの設置場所に苦労している人が多く用いるとすれば、アンテナから2m以上の距離をとる必要があるということは、現実に大きな問題となろう。
ベランダにアンテナを置いて、2m以上の距離を確保せよ、隣接の住宅と2m以上の距離を確保せよ、ということは大きな課題であろう。

 

磁界ループアンテナであるので、近傍界における磁界の強度が大きい。

近傍界であるので、電界と磁界の両方の強度を電波防護指針に照らし合わせなければならない。

 

 

 

X (m)

Y (m)

Z (m)

1mSQL 10W w/m H A/m

1mSQL 10W w/m E V/m

Z=E/H

0.00

0

0

6.088000

435.888

71.6

0.25

0

0

4.602510

330.340

71.8

0.50

0

0

2.511750

179.662

71.5

0.75

0

0

1.316430

92.586

70.3

1.00

0

0

0.733479

50.095

68.3

1.25

0

0

0.441235

28.983

65.7

1.50

0

0

0.284422

17.848

62.8

1.75

0

0

0.194247

11.607

59.8

2.00

0

0

0.139114

7.921

56.9

2.25

0

0

0.103598

5.650

54.5

2.50

0

0

0.079685

4.206

52.8

2.75

0

0

0.062969

3.265

51.9

3.00

0

0

0.050905

2.640

51.9

3.25

0

0

0.041956

2.217

52.8

3.50

0

0

0.035157

1.925

54.7

3.75

0

0

0.029885

1.718

57.5

4.00

0

0

0.025722

1.566

60.9

4.25

0

0

0.022381

1.451

64.8

4.50

0

0

0.019662

1.361

69.2

4.75

0

0

0.017421

1.288

73.9

5.00

0

0

0.015552

1.226

78.8

10.00

0

0

0.003844

0.673

175.2

15.00

0

0

0.001920

0.462

240.9

15.25

0

0

0.001870

0.455

243.4

20.00

0

0

0.001243

0.351

282.2

25.00

0

0

0.000914

0.282

308.5

30.00

0

0

0.000723

0.236

325.8

35.00

0

0

0.000600

0.202

337.4

40.00

0

0

0.000513

0.177

345.7

45.00

0

0

0.000448

0.158

351.6

50.00

0

0

0.000399

0.142

356.0

電界を考慮した場合は1m離れればよいが、磁界を考慮すると2m 離れなければならなくなる。

微小ループの特徴である近傍で空間インピーダンスの低下が見られる。

 

22:電力100Wとして解析

以下の結果、100Wでは、3m以上 離れる必要がある。

X (m)

Y (m)

Z (m)

1mSQL 100W w/m H A/m

1mSQL 100W w/m E V/m

Z=E/H

0.00

0

0

19.252000

1378.400

71.6

0.25

0

0

14.554400

1044.630

71.8

0.50

0

0

7.942860

568.142

71.5

0.75

0

0

4.162910

292.783

70.3

1.00

0

0

2.319470

158.413

68.3

1.25

0

0

1.395310

91.651

65.7

1.50

0

0

0.899423

56.442

62.8

1.75

0

0

0.614264

36.705

59.8

2.00

0

0

0.439918

25.047

56.9

2.25

0

0

0.327605

17.867

54.5

2.50

0

0

0.251985

13.301

52.8

2.75

0

0

0.199125

10.326

51.9

3.00

0

0

0.160975

8.349

51.9

3.25

0

0

0.132675

7.011

52.8

3.50

0

0

0.111178

6.087

54.7

3.75

0

0

0.094506

5.431

57.5

4.00

0

0

0.081340

4.952

60.9

4.25

0

0

0.070775

4.589

64.8

4.50

0

0

0.062176

4.304

69.2

4.75

0

0

0.055088

4.071

73.9

5.00

0

0

0.049180

3.876

78.8

10.00

0

0

0.012157

2.129

175.2

15.00

0

0

0.006071

1.462

240.9

20.00

0

0

0.003929

1.109

282.2

25.00

0

0

0.002890

0.892

308.5

30.00

0

0

0.002288

0.745

325.8

35.00

0

0

0.001896

0.640

337.4

40.00

0

0

0.001622

0.561

345.7

45.00

0

0

0.001418

0.499

351.6

50.00

0

0

0.001261

0.449

356.0

 

 

$3.マッチング回路なしの条件での解析

$2に同じであるが、マッチングの小ループと、チュンイングコンデンサーを削除し、メインのループだけにして マッチングなしでの計算も行った。

 

この場合の 給電点のインピーダンスはZ=0.2216+j326.8 オームであり、 マッチングありの推定主ループのインピーダンスに近い。

給電点に流れる電流は 電力10Wの時 6.9Aでこれもほぼ等しい。

アンテナの遠方界への利得は G=1.7dBi となっている。

計算結果から10Wの電力であっても、2m以上の距離をとる必要がある。

詳細の解析結果のデータ・グラフは割愛。

 

このことはマッチング回路の損失が1.1dB程度ある と見ることができる。   

近傍の電磁界強度はマッチング回路が無い時は計算結果では1割程度大きい。

 

この計算から、マッチングを考慮せず、主ループだけで数値解析を行っても、防護指針への対応は少し過剰側に評価するといえる。

 

$4.第1版、中間のまとめ

 

小型磁界ループアンテナを用いる場合は、かりに10W程度の電力で送信する場合であっても、アンテナ面から2m以上の距離を確保する必要がある。

今般は1m角で14MHzでの解析だけである。

時間をみて、他の周波数。他のサイズのアンテナに関しても解析を試みたい。

 

$5.解析結果の例-2 : 大きなサイズのループアンテナ 約6m角ループアンテナ 14MHz

 

アンテナのサイズを大きくした。 各エレメント長は5.8mSquare Loop antenna

周波数は14.05MHz

主ループは 各エレメント長さ5.8m 直径10mm 25セグメントに分割して解析

マッチング用の小型ループはない。

アンテナはXYZ軸の原点を中心に、YZ面にループ面を形成 

電磁界の強度はX軸方向のみ計算を行った。 その他の軸方向では解散は割愛 後日時間があれば実施可能

解析の条件は 自由空間 エレメントの損失はなしと仮定

給電点のインピーダンスは Z133.5J36 オーム  

給電点に流れる電流は 電力は10Wとし、 0.27A  

 

電波防護指針 一般公衆 電界 57.4V/m 磁界 0.152A/m (14MHz)

以下の解析から、大きなループアンテナ(使用周波数の波長の長さに等しいか少し全エレメント長が長い)の場合は、近傍の電磁界は小さく、近接しても電波防護指針には適合する。

 

 

X (m)

Y (m)

Z (m)

6m Loop 14MHz 10W H A/m

6m Loop 14MHz 10W E V/m

Z=E/H

0.00

0

0

0.002889

7.935

2746.6

0.25

0

0

0.003087

7.884

2553.8

0.50

0

0

0.004708

7.737

1643.2

0.75

0

0

0.006665

7.509

1126.5

1.00

0

0

0.008402

7.221

859.5

1.25

0

0

0.009849

6.899

700.5

1.50

0

0

0.010995

6.564

597.0

1.75

0

0

0.011853

6.233

525.9

2.00

0

0

0.012452

5.919

475.3

2.25

0

0

0.012830

5.628

438.7

2.50

0

0

0.013025

5.364

411.8

2.75

0

0

0.013074

5.125

392.0

3.00

0

0

0.013011

4.910

377.4

3.25

0

0

0.012863

4.716

366.7

3.50

0

0

0.012653

4.541

358.9

3.75

0

0

0.012399

4.381

353.3

4.00

0

0

0.012116

4.234

349.4

4.25

0

0

0.011815

4.098

346.8

4.50

0

0

0.011503

3.971

345.2

4.75

0

0

0.011189

3.852

344.2

5.00

0

0

0.010875

3.739

343.8

10.00

0

0

0.006419

2.303

358.8

15.00

0

0

0.004414

1.622

367.4

20.00

0

0

0.003345

1.242

371.2

25.00

0

0

0.002689

1.003

373.1

30.00

0

0

0.002247

0.841

374.2

35.00

0

0

0.001929

0.723

374.8

40.00

0

0

0.001690

0.634

375.3

45.00

0

0

0.001503

0.565

375.6

50.00

0

0

0.001353

0.509

375.8

 

 

$6. 第2版 中間のまとめ 

 

ループアンテナのサイズによって近傍の電界・磁界の強度の分布は大きく変化する。

大きなループサイズの場合、例えば全ループ長が波長に対して等しいか少し長い程度の場合は、

解析例―2にあるような14MHz5.8m角の場合は、10Wでは近傍の電界・磁界強度は電波防護指針に適合しており、近接しても大丈夫である。

 

しかし、波長に対して微小ループと見なせるような小型ループアンテナの場合、解析例―1に示すように、波長(21m)に対して全エレメント長が4m程度の場合は、10Wの電力の場合でもアンテナ面から2m以上離れる必要がある。

 

波長に対してどこまで小さいループまで大丈夫かは、継続して解析を行う必要がある。

 

まだ結論は出せないが、解析1214MHzに対して、アマチュア無線でより低い周波数の1.9MHzで小型ループアンテナの使用は、さらに厳しくなると予想される。



71.9MHzと低い周波数での解析
記:2013-8-17

20138月にこの追加の解析を行った。

主ループは 各エレメント長さ1m 直径30mm 5セグメントに分割して解析(5セグメント以上に細かくセグメントを切ることは不可能

マッチングを考慮せず、主ループだけで数値解析を行っても、防護指針への対応は少し過剰側に評価するといえる、ことが、過去の解析で判明

チュニングのコンデンサーはなし 

マッチング用の小型ループもなし 

アンテナはXYZ軸の原点を中心に、YZ面にループ面を形成

電磁界の強度はX軸方向のみ計算を行った。その他の軸方向では解散は割愛 後日時間があれば実施可能

解析の条件は 自由空間 エレメントの損失はなしと仮定

給電点のインピーダンスは Z0.0000496J32.85 オーム  R分は微小

遠方界の利得は0.09dBi

給電点に流れる電流は 電力10Wの時 449A 

 

電波防護指針 一般公衆 電界 275V/m 磁界 1.15A/m (1.9MHz

ICNIRP 1998 一般公衆 電界 63V/m 磁界 0.38A/m (1.9MHz

 

以下の計算結果から10Wの電力であっても、電波防護指針では4m以上、ICNIRP1998年指針では6m以上の 距離をとる必要がある

 

 

 

 

Xm

Y(m)

Z(m)

1mSQL 10W w/o m

E V/m

1mSQL 10W w/o m

H A/m

Z=V/A

0.00

0

0

3784.40000

405.0960000

9.342

0.25

0

0

2875.50000

305.5600000

9.411

0.50

0

0

1575.83000

165.4160000

9.526

0.75

0

0

822.07100

85.5464000

9.610

1.00

0

0

452.11100

46.8152000

9.657

1.25

0

0

266.70500

27.5462000

9.682

1.50

0

0

167.73100

17.3048000

9.693

1.75

0

0

111.31000

11.4821000

9.694

2.00

0

0

77.21210

7.9685500

9.690

2.25

0

0

55.55110

5.7385800

9.680

2.50

0

0

41.19880

4.2616600

9.667

2.75

0

0

31.34370

3.2476300

9.651

3.00

0

0

24.36790

2.5297400

9.633

3.25

0

0

19.29940

2.0079700

9.611

3.50

0

0

15.53270

1.6200000

9.588

3.75

0

0

12.67760

1.3257400

9.563

4.00

0

0

10.47560

1.0986200

9.535

4.25

0

0

8.75118

0.9205970

9.506

4.50

0

0

7.38211

0.7791190

9.475

4.75

0

0

6.28180

0.6652900

9.442

5.00

0

0

5.38769

0.5726830

9.408

5.25

0

0

4.65386

0.4965810

9.372

5.50

0

0

4.04611

0.4334670

9.334

5.75

0

0

3.53859

0.3806850

9.295

6.00

0

0

3.11155

0.3362060

9.255

6.50

0

0

2.44119

0.2662130

9.170

7.00

0

0

1.94824

0.2145590

9.080

8.00

0

0

1.29455

0.1456610

8.887

9.00

0

0

0.90028

0.1037160

8.680

10.00

0

0

0.64911

0.0767016

8.463

15.00

0

0

0.18190

0.0246628

7.375

20.00

0

0

0.07671

0.0114310

6.710

25.00

0

0

0.04464

0.0064635

6.907

30.00

0

0

0.03293

0.0041313

7.972

35.00

0

0

0.02751

0.0028654

9.600

40.00

0

0

0.02425

0.0021053

11.517

45.00

0

0

0.02189

0.0016138

13.567

50.00

0

0

0.02003

0.0012777

15.674

100

0

0

0.01078

0.0002955

36.490

150

0

0

0.00731

0.0001300

56.223

250

0

0

0.00442

0.0000474

93.430

350

0

0

0.00317

0.0000248

127.658

400

0

0

0.00277

0.0000193

143.539

450

0

0

0.00247

0.0000156

158.571

500

0

0

0.00222

0.0000129

172.713


8)小暮氏の磁界ループアンテナのサイトにあった情報 その1
記:2020−1−4

http://home.j00.itscom.net/kce/files/MLA48_letter6.pdf
 にあった情報

*********************
MLA48
プロジェクト
News Letter 2013
年4月10日

MLA
の電波防護指針
MLA
(マグネチック・ループ・アンテナ)は、ベランダに設置してもHF帯で運用できるので、アパマンハム向きといえます。
しかし、低いバンドでは放射効率が低く、勢いハイパワーでQSOしたくなるでしょう。
ベランダに設置する場合、シャックが近接していればMLAとの距離はおそらく数メートルで、隣家にも近いでしょう。
そこで、電波防護指針に則り、アンテナに何W加えることができるのか、試算してみました。

MLA
のアンテナ型式を知る必要がありますが、JARLWebページ(自己点検の手順)によれば、選択肢は「半波長ダイポール型」、「単一型・垂直型」、「ビーム型」、「その他」です。
しかし前の3種は自己点検表にありますが、「その他」については、なぜか具体的な計算方法が避けられているので悩みます。

三浦正悦著『電磁界の健康影響』,東京電機大学出版局によれば、1m×1mMLA14MHz10W)では 2m以上の距離を確保する必要があるとのこと、エレメントと整合回路が無損失のときのEZNEChttp://www.eznec.com/)による計算結果です。

そこで断面が1cm×1cmで,同じ寸法のアルミ製MLAXFdtdhttp://network.kke.co.jp/products/)でシミュレーションしてみました(Q = 2000 のコンデンサー2つで整合.放射効率43%100W励振のとき)。
損失を含む現実的なシミュレーション結果(参考値)は、無損失の結果とは大きく異なりました。
モードにもよりますが、計算上100W(連続)では3m以上離す必要があると思われます。




9)小暮氏の磁界ループアンテナのサイトにあった情報 その2

記:2020−1−4

************************
http://home.j00.itscom.net/kce/files/MLA48_letter31.pdfにあった内容
MLA48 プロジェクト
News Letter 2013
111


6m
HLAの電波防護指針

JG1CCL
内田さんは,横浜みどりクラブの定例ロールコールで,直径約60cmMLAをベランダに設置しで実験しました。
50MHz
でのQSOですが,結果は上々で,私(JGlUNE)のQTH東京・大田区へも問題なく入感していました。
そこで早速,首尾をFacebookに投稿されましたが,MLAが共用通路の近くにあったため,私が「運用中に触られる危険」とコメントをしたことで,全国から多くのレスポンスを頂戴しました,

私は,責任上 電波防護指針の電磁界シミュレーションを実施しましたので,以下ご報告します。

内田さんはMLAを水平置きにしてSSB50WQSOされました。
一方,電磁界シミュレーションでは自由空間に置かれた、同じ全長の正方形MLAを用いで行います(XFdtdを使用)、これは,円形ル―プは空閤の離散化が極端に細かくなるため,解析時間の節約が理由です。

JARL
Webサイトによれば50MHzにおける電波防護指針は,一定で27.5V/m以下です。
シミュレーション結果は,1m先でEz 19V/mEy 65V/mでした。
Ey
は写真では通路に向けた距離なので,指針の値を越えています。

しかし、EzOKなので、垂直設置にして通路方向に平行に置すれば問題なさそうです。

きらに2m離した場合ほ,E10V/mEy 21V/mだったので,通路から2m離せばどんな設置でもクリアできるといえます。
ただし,このシミュレーションは50W連続ですから,SSBの場合は1m離れればよさそうです


 

 

********************************


 

 

 

 

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2. アメリカのアマチュア無線連盟ARRLの注意

 

ARRLが発行した“RF Exposure and you” という本がある。 
アマチュア無線局の電波からの曝露に関する本である。

この本の頁8.77には、以下の記述がある。
Safety distance from loop antenna of one-meter diameter, operated 150W, 10.5 feet is the distance for 14 MHz, 13.8 feet is the distance for 28MHz.
すなわち、1mの直径のループアンテナで、電力を150Wで運用する場合は、14MHzでは10.5フィート(約3.2m)、28MHzでは13.8フィート(約4.2m)以上の距離をとること、 と。


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3.アメリカのアマチュア無線機器メーカであるMFJ社のループアンテナに関する使用上の注意から

 

MFJ-1786  10-30 MHz Hi-Q Deluxe Loop Antenna として以下のアンテナを販売している。 直径36インチ(約直径90cm)

 

MFJ's tiny 36inch diameter loop antenna lets you operate 10 through 30 MHz continuously - including the WARC bands!
Ideal for limited space - apartments, small lots, motor homes, attics, or mobile homes.

 

このアンテナの取り扱い説明書には、電波曝露の観点から以下の注意書きが記載されている。
***********    ***************
WARNING! Never operate this antenna where people are subject to high levels of RF exposure, especially above 10 watts or above 14MHz.
Never use this antenna near RF sensitive medical devices such as pacemakers.

警告:このアンテナは人が高レベルの高周波電波に曝露するおそれがある場所では、特に10W以上、もしくは14MHz以上の周波数では、使用してはならない。
心臓ペースメーカのような感受性の高い医療機器の側では、このアンテナを使用してはならない。」
***************   ************

1m程度のループアンテナは10W以下で使用することが推奨されている。


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A.磁界ループアンテナ販売店の広告にある使用上の注意

記:2020−1−5

http://radio-part.com/ca152/187/
 というアマチュア無線関連のサイトにあった情報

チェコ製 マグネチックループアンテナ MLA-M QRP

 

磁界ループアンテナ(Magnetic Loop Antenna)を発売開始しました。MLA-M Magnetic Loop Antenna
ベランダ・屋内用ダブルターン式マグネチックループアンテナMLA-Mです。
ノブ2個を操作しスムースに調整します。2個の可変キャパシターはπ(Pai)ユニットと同等に動作します。
インピーダンスの最適化可能な周波数帯は3.5 MHz - 28 MHzです。
OK2ER
B PLUS TV社設計した特許取得済みの商品です。
MLA-M
アンテナは次のHF8バンドに使えます。 3.5 MHz7 MHz10 MHz 14 MHz18 MHz21 MHz24 MHz 28 MHz

技術資料
ループ直径: 62 cm
寸法: 63 x 75 x 18 cm
重さ: 2,6s
入力インピーダンス : 50 Ohm
入力コネクタ: PLM型相当)
最大使用電力: 10 W
周波数帯: 3,5 から28 MHz
SWR (
調整された状態で): 1:1 から最大1:1.2

 使用にあたってのご注意
磁界型アンテナ(以下、磁界ループアンテナと称します)は、すべて、電界以外に、強い磁界が発生いたします。
電波防護指針には、取付場所から近い人体への影響を考慮し、E面、H面でのデータが発表されておりますが、当店では自主的に取扱説明書に記載致しますので、必ずその値をご覧いただき、お客さまは、磁界ループアンテナは、最大でもどれだけのパワーに抑えて運用するかをご理解の上、お使いください。


当店、弊社では、他の製品同様、感電や、天災、電磁界、高周波による、一切の人体・生体、被害、傷害、損害につき免責事項とさせていただいております。興味深い小型アンテナではございますが、この点、自己責任で適正にご使用いただきますよう、お願い申し上げます。

**************************:

最大電力が10Wに制限されている。

 

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4.Wikipediaでの「アマチュア無線」に関する項目

2009−1−29

アマチュア無線の項の中の「健康への悪影響の可能性」の解説の中に
「無線機やアンテナの選択や設置状況によっては、電磁波がアマチュア無線家の健康に悪影響を及ぼしている可能性があるとされることもある。
ICNIRP
の一般公衆に対する参考レベルとしては、電界強度27.5V/m、磁界強度0.073 A/mとされている。
また総務省の電波防護指針では59V/mとされる。
これらの値を基準とし磁界強度だけでなく電界強度まで考慮すると、例えば磁界放出型のループアンテナ(周波数14MHz、送信電力10wと想定)などは、人体から2m以上の距離は確保しなければならない[5]という。

参考文献

5)三浦正悦 『電磁界の健康影響 工学的・科学的アプローチの必要性』 東京電機大学出版局、2004ISBN 4501324007 p.236   」

という記事がありました。

私の著と論がWikipediaの中で、利用されていました。  これは嬉しいことです。



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5.短縮ダイポールで1kWの出力

記:2009−4−25

2000
7月のログですが、Geocitiesのサイトに以下の様な紹介がありました。
2009
4月の確認ではサイトは閉鎖されたのでしょう、開くことができませんでした。

***************   ***************
1 k W に な り ま し た!
電監への変更申請
電監へは、100W固定局を1kWへ変更する形で申請しました。
リグとアンテナについては、配線が複雑にならないこと、操作が簡単なこと、かわいいこと(?)、ベランダで布団や洗濯物を干す際にじゃまにならないことを条件に検討しました。

その結果、ICOMのIC−746とIC−PW1の組み合わせで、7、14、21、28、50MHzは、メーカ製バーチカルを改造したベランダサイズ(?)の超短縮ダイポールアンテナで1kW、1.9、3.5、3.8MHzおよび、WARCバンドは、10メートル余りのワイヤーにアンテナチューナで200W、144MHzは八木アンテナで50Wとなりました。
***********************   *************

BEMSJの感想ですが、短縮ダイポールアンテナの場合、近傍の電界強度が、ノーマルな半波長ダイポールアンテナに比べて、大きくなるので、電波防護指針に対する適合は大丈夫なのでしょうか???

 

 

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11.アマチュア無線家の死亡率Milham1988年研究

記;201515

以下の研究がある。

掲載誌:Am J Epidemiol. 1988 Jan; 127(1):50-4.
タイトル:Increased mortality in amateur radio operators due to lymphatic and hematopoietic malignanciesアマチュア無線家のリンパ性・造血系の悪性腫瘍への死亡率増加に関する研究
研究者:Milham S Jr.

概要:
To search for potentially carcinogenic effects of electromagnetic field exposures, the author conducted a population-based study of mortality in US amateur radio operators.
電磁界曝露の発がん性の可能性を調査するために、アメリカのアマチュア無線家の死亡率に関する疫学研究を行なった。

Ascertainment of Washington State and California amateur radio operators (67,829 persons) was done through the 1984 US Federal Communications Commission Amateur Radio Station and/or Operator License file.
1984
年のFCC無線局と従事者のライセンスのフィアルから、カリフォルニア州とワシントン州のアマチュア無線家であることを確認した。総勢6782名。

A total of 2,485 deaths were located for the period from January 1, 1979 through December 31, 1984, in a population of amateur radio operators which accumulated 232,499 person-years at risk.
1979
11日から19841231日までの期間に、アマチュア無線家の中に、2,485名の死亡があり、232,499人年の研究規模となる、

The all-cause standardized mortality ratio (SMR) was 71, but a statistically significant increased mortality was seen for cancers of the other lymphatic tissues (SMR = 162), a rubric which includes multiple myeloma
骨髄腫and non-Hodgkin's lymphomas.
全死亡の標準化死亡率は0.71であるが、リンパ系の癌(複合骨髄腫と非ホジキンリンパ腫を含む)の標準化死亡率は162であった。

The all-leukemia standardized mortality ratio was slightly, but non-significantly elevated (SMR = 124).
全白血病の標準化死亡率はちょっと高いが有意でではなかった、標準化死亡率124.

However, mortality due to acute myeloid leukemia was significantly elevated (SMR = 176). 
しかし、急性骨髄性白血病は有意に高く、標準化死亡率は176であった。


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12.アマチュア無線家の死亡率調査Cantorの2003

記:201516

以下の研究がある。

掲載誌:Epidemiology :September 2003
タイトル:MORTALITY AMONG RADIO AMATEUR OPERATORS: ISEE-417. アマチュア無線家の死亡率
研究者:Cantor, K; Baris, D; Inskip, P

Abstract
 概要

Radio amateurs, numbering over a million worldwide, experience a variety of exposures, including exposure to 60 Hz and radio-frequency EMF.
アマチュア無線は、世界で100万人以上のアマチュア無線家がおり、60Hz磁界と高周波電磁波を含む様々な曝露を経験している。

They often work in the electrical, electronics, and broadcasting industries that have been linked with elevated risk of brain cancer and leukemia as well as amyotrophic lateral sclerosis (ALS).
彼らはしばしば、電気・電子・放送業界といったALS・脳腫瘍・白血病のリスク増加と関連しているとされる場所で働いている。

Female breast cancer has a hypothesized link with exposure to electromagnetic fields.
女性の乳がんは電磁界への曝露と関連しているとの仮説がある。

A retrospective cohort study of radio amateur licensees was conducted to investigate risk of mortality due to cancer and other causes.
アマチュア無線家に関する後ろ向きのコホート研究として、癌とその他による死因のリスク増加に関する研究が行われている。

Using computerized licensing information from the U.S. Federal Communications Commission, we identified a cohort of 108,586 subjects (94,610 males and 13,976 females) who reported at least one residence in the State of California during the period 1966-1995.
アメリカ連邦通信委員会からの情報をコンピュータに入力して、19661995年の間にカルフォルニア州に一度でも住んだことのある人を対象に、108,586名の対象者(男性94,610名、女性13,976名)を抽出した。

Vital status follow up was through the end of 1995.
健康状態の確認は1995年末までとした。

Deaths were identified by record linkage with California State mortality records, the National Death Index, and mortality listings of the Social Security Administration.
死亡データは、カルフォルニア州死亡記録、国の死亡登録情報、国の社会保障管理局の死亡記録とリンクして、抽出した。

A total of 1,558,865 person-years were accrued among men and 176,065 among women.

累計した研究規模は男性では1,558,865人年、女性では176,065人年に及んだ。

Standard mortality ratios (SMR) for the full cohort and subcohorts defined by license class and other factors were calculated using California mortality rates as the standard.
カルフォルニア州の標準的な死亡率比を標準として、コホート全体と、アマチュア無線のライセンスクラスとその他の要素を考えたサブコホートにおける標準化死亡率比を計算した。

During the period of this study, there were five classes of license. License class is associated with duration and intensity of activity as an amateur and likelihood of employment in broadcasting, electronics, and related industries.
研究の過程で、アマチュア無線家の活動としての密度と期間がアマチュア無線家のライセンスクラスと関連していることが判った、また放送・電子・関連する工業界で勤務してした可能性とも関連していることが判った。

Among men, there were 14,630 deaths (SMR = 0.73 (95% CI = 0.71-0.74)) and among women, 760 (SMR = 0.72 (0.67-0.78)).
男性では、14830例の死亡で、標準化死亡比=0.7395%信頼区間=0.710.74)であった、また女性では760例の死亡で、標準化死亡比=0.7295%信頼区間=0.670.78)であった。

There were 4,007 cancer deaths among males (SMR = 0.79 (0.76-0.81)) and 289 among females (SMR = 0.82 (0.72-0.92)).
男性での癌による死亡は、標準化死亡比は0.7995%信頼区間0.760.81)で、女性では標準化死亡比は0.8295%信頼区間0.720.92)であった。

Among men, the SMR for glioma was 1.14 (0.97-1.3) and for all leukemia 0.89 (0.8-1.03).
Chronic myelogenous leukemia showed somewhat elevated risk, with an SMR (males) of 1.2 (0.9-1.7).
男性における神経膠腫の標準化死亡比は1.1495%信頼区間0.971.3)、全白血病の標準化死亡比は0.8995%信頼区間0.81.03)であった。
慢性骨髄性白血病のリスクはいくばくかの増加を見せ、標準化死亡比は男性に対して、1.2(95%信頼区間0.91.7)であった。

The SMR for female breast cancer was 0.7 (0.6-0.95).
女性の乳がんの標準化死亡比は0.795%信頼区間0.60.95)であった。

Hodgkin's disease among men was elevated (SMR = 1.3(0.9-1.9)).
The overall SMR for ALS was 1.21 (0.9-1.6).
ホジキン病に関してはリスク増加があり、標準化死亡比は1.3095%信頼区間0.91.9)であった。
ALS
に関する標準化死亡比は1.2195%信頼区間0.91.6)であった。

Among men (but not women), smoking- and alcohol related causes of death were below expectation.
男性に関しては(女性を除いて)、たばことアルコールに関連する死亡は予想以下であった。

The SMR (males) for laryngeal cancer was 0.6 (0.4-0.8), for cirrhosis of the liver 0.33 (0.29-0.38) and for lung cancer 0.65 (0.61-0.69).

The SMR (females) for lung cancer was 0.9 (0.7-1.2).
男性の喉頭部の癌では標準化死亡比は0.695%信頼区間0.40.8)、肝硬変の標準化死亡比は0.3395%信頼区間0.290.38)、肺癌の標準化死亡比は0.6595%信頼区間0.610.69)であった。女性の肺癌の標準化死亡比は0.995%信頼区間0.71.2)であった。

Analyses of risk by license class were generally unremarkable.
However, among men, SMRs for smoking-related cancers decreased with increasing license class, consistent with an effect of socioeconomic status (SES).
アマチュア無線のライセンスのクラス別における解析では格段に目立つことはなかった。
しかし、ライセンスのクラスが上になるにつれて、たばこの喫煙に関連する標準化死亡比が低下し、社会経済的な指標の影響を受けているとみられた。

Among entry-class licensees, the SMR for lung cancer (males) was 0.8 (0.7-0.9)) and for the highest class licensees, 0.4 (0.3-0.5).
初級のライセンスクラスでは、肺癌の標準化死亡比は0.895%信頼区間0.70.9)で、上級のライセンスクラスでの標準化死亡比は0.495%信頼区間0.30.5)であった。

The overall SMR for aircraft accidents was 2.2 (1.8-2.8).
航空機事故に起因する全体の標準化死亡比は2.295%信頼区間1.82.8)であった。

While incomplete mortality ascertainment may partially explain the low overall SMRs observed here, a larger portion of the deficit is likely due to good health practices and widespread access to health care delivery in this population.
不完全な死亡率の確認は、この研究で見られる全般的に低い標準化死亡比を説明してくれるかもしれないし、又、データの不足の多くは良い健康状態や人々の間で行われている健康管理への広範な酸化によるものと思われる、

The small excesses found for brain cancer, chronic myelogenous leukemia, and ALS are consistent with previous observations in the electrical, electronics and broadcasting industries.
脳腫瘍・慢性骨髄性白血病・ALSに関して、この研究で見られた低レベルのリスク増加は、これまでの電気・電子・放送業界における観察結果と同一である。


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13.1976Mitllerのアマチュア無線の研究

2020−5−1

以下はEMF Portalの日本語版にあった内容を基に、英語版などを見て、一部を修正した。
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掲載誌: Environ Res 1976; 11 (3): 326-330
タイトル:Failure of 2- and 10-meter radio waves to induce genetic damage in Drosophila melanogaster.
2
および10メートルバンドのアマチュア無線電磁波はキイロショウジョウバエの遺伝子損傷を誘導しない
研究者: Mittler S

この研究は、オスの成体ショウジョウバエに、20W送信機からの146.34MHz(波長λ= 2.05m)および300W送信機からの29.00MHz(波長:λ=10.03m)の非熱的電磁波を12時間曝露した。

X
染色体またはY染色体の消失、非接合および伴性致死誘発など影響度を測定した。
結果は、遺伝子損傷を誘発しなかった。アマチュア無線家が使用する平均的な携帯型無線機(2mバンド、10mバンドの周波数帯)は使用者に対して「変異原性」を持たない。

 

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