VDTからの電磁波のコーナー(3)

 もう廃刊となりましたが、一時期はVDTからの健康問題に詳しかったVDTニュースのバックナンバーの紹介

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1.VDT News 1992年9/10月号
1A.VDT News 1993年11/12月号の内容から

1B.VDTnews1994年9/10月号に掲載されていた内容から
2.VDTnews1994年11/12月号から一編の論文を紹介
3.VDTnews1995年3/4月号の内容から
4.VDTnews1995年7/8月号の内容




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1.VDT News 19929/10月号

記;2013−6−2

このニュースに掲載された情報は、以下の研究以外は、VDT作業に関連するエルゴノミクス関連の情報であった。

U.K. STUDY: NO LINK TO MISCARRIAGES
英国の研究:流産と無関係

A U.K. epidemiological study has found that women who work with VDTs arc not at an increased risk for miscarriages. The researchers, led by Dr. Eve Roman of the Imperial Cancer Research Fund in Oxford, contend that, "Given the consistency of our findings with those from recent studies it is reasonable to conclude that further research in this area is unwarranted."
英国の疫学研究で、VDT作業を行っている女性に流産のリスクは増加しないということが判った。
オックスフォードの帝国癌研究基金のロマン博士が主導した研究者らは、「最近の研究結果から得られた知見と我々の知見とが一致していることから、さらなる研究は不要であると結論付けることは合理的である。」と主張した。

The case-control study compared 150 women, who had no previous children and had clinically confirmed spontaneous abortions, with 297 similar controls. The only significant difference between the two groups was that those who had miscarriages reported a higher rate of job dissatisfaction.
始めての出産で、早産したと臨床的に確認された150名の女性と、同じような対照群297名を比較した症例対照研究である。
唯一の有意な相違点は、流産した女性群が仕事への不満をより強く持っていたことである。

Roman also found no effect due to "passive exposure" from nearby VDTs-defined as working within 10 feet of another terminal. She did not explain the basis for picking this distance.
ロマンは、また、他の端末に10フィート以内で働くことによる受動的なVDT曝露によっても、影響はないことを見出した。
10
フィートという距離をなぜ選択したのかに関しては、彼女は説明しなかった。

The British team concluded that, "The lack of an association in this relatively homogeneous group of women offers further support for the view that the results of earlier poorly designed studies were erroneous."
英国の研究チームは、かなり均質な女性群の中に関連性が見られなかったことは、これまでの研究設定が不十分であった研究による結果は誤りであることを示していると、結論づけた。

Roman submitted her study for publication before the results of a Finnish study Linking VDT magnetic fields to miscarriages were announced. The U.K. study did not include any magnetic field measurements.
ロマンはVDTからの磁界が流産に関連しているとするフィンランドの研究が発表される前に、この研究結果を学術雑誌に掲載すべく投稿した。
この英国研究では磁界の実測は行っていない。

 

 

A.VDT News 199311/12月号の内容か

記;2013−6−3

・スウェーデンのMPRガイドラインのアメリカ版を作成中。
・ニューヨーク市は、VDT用のフィルターとして、グレア防止に加えて磁界防止効果のあるフィルターの購入をあきらめた。
Optech
社と契約したが、磁界防止効果が無いことが判り、契約を破棄した。
ニューヨーク市としては低電磁界モニターと、グレア防止と電界防止機能のついたVDTフィルターの購入を検討していく。

Brain tumor cluster studied at St. Louis Paper
セントルイスの新聞社の5階フロアに勤務する人の中でで、1982年以降、7名が脳腫瘍になっている。
この集中的な発生の原因を調べた。
多くの患者の場合、脳腫瘍は原発性癌ではなかった。すなわち、様々な部位での癌から転移して脳腫瘍になったもので、5階のフロアで脳腫瘍が集中発生しているとしても、この場合は、脳腫瘍になる特定の要因が5階のフロアに有るとは言えない、結果であった。
職場の電磁環境のきちんとした測定評価は行われていないが、局所的に床下の配電線などからの磁界として床面で80mG、膝の高さで23mGが観測されている。

その他の多くの記事はエルゴノミクス関連の情報でした。

 

1B.VDTnews1994年9/10月号に掲載されていた内容から

 

アルツハイマー病と電磁波の関係を示唆する研究結果が報じられていました。
1994年に開催されたアルツハイマー病に関する国際会議の中で、アメリカとフィンランドの共同研究で、服飾関係の仕事でドレスメーカーやミシンが問題になりそうです。 

これらの機械の取扱者の頭のところで2ー11ミリガウス、膝の所では200ミリガウスという磁界があり、
アルツハイマー病へのオッズ比は、 
3カ所の検討結果で2・9、3・1、3・0  
総合して女性で3・8 
男女合わせて3・0 

これらのオッズ比は従来の電磁波と白血病の関係の研究で判明しているオッズ比より大きい、と。 
詳細に関してはこのVDTnewsを読んで見てください。  

ここからは私見ですが、
この記事だけでは何とも言えませんが、どこまで交絡因子を考慮した疫学研究結果なのか? 原論文を読んでみたいものです。 
オッズ比という言葉は、こうした電磁波の生体影響の情報に接していると常に登場します。


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2.VDTnews1994年11/12月号から一編の論文を紹介

 

1) ドイツの研究成果で、メラトニンと乳癌の研究。

DMBAという発癌性物質を与えた鼠に50Hzの磁界3ー10ミリガウスに暴露させた。
統計的に有意なメラトニンに低下があった、 
そして腫瘍は増加する傾向にあったが統計的に有意ではなかった。 

このことから磁界はメラトニンに影響を与えるが、磁界は発癌に対するプロモーターにもコプロモーター(ガン細胞の増殖を助けて発癌を促進させる作用)はない。  となったと。 
同じ研究者が以前に1ガウスの磁界で同様なテストを行なって、腫瘍の促進を見いだしている。 

************************ 

このことから1ガウスといった強い磁界は乳がんの促進作用を持つ。(現在の国際的な暴露基準では一般公衆の最大暴露限度はこういう低周波磁界では1ガウスになっている) 
10ミリガウス程度では、乳がんの促進までは行かないがメラトニンの量に影響している ということが判ります。 


2) ラップトップパソコンからの電磁界: 
アメリカのBendixさんはコンパックのラップトップパソコンを1989年に購入。膝の上に置いて使用して(ラップトップは膝の上の意味)。 2年後にその膝の部分が癌になった。 
1993年になって、そのパソコンを調べたら、交流磁界が1ガウスを越えていた、後日再測定したら6ガウスの磁界強度があった。 そこで癌はこの磁界によるものとしてコンパックに手紙を書いた。

コンパックからの回答は"Bendixが指摘するEPA報告書案では磁界と癌の関係を認めているが、この報告書案はその後専門家のPEER reviewによって認められていない。 よって磁界でガンになったとは言えない・・・・・" と。 
最近になって購入したコンパックのラップトップパソコンでは磁界は5ミリガウスであった。 

Bendixさんはこうしたコンパックとのやり取りをVDTnews社に提供したので、記事として掲載された。

筆者のコメント: とてもラップトップパソコンから6ガウスという磁界が発生しているとは信じ難い、 しかしこうしたこともあるということです。

ラップトップパソコンは、現在で言うところのノートパソコンの古い時代のバージョンで、ノートパソコンよりは一回り大きく、がっちりしていたと思います。 確認はしていないが、液晶ディスプレィ部をもっていると思います。

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3.VDTnews1995年3/4月号の内容から

1) MPR-3の紹介:
VDTnews1995年3・4月号にMPRー3の基準値が掲載されていましたので紹介します。 

スウェーデンのMPR2TCOの情報はありますが、このMPR3の情報はあまり知られていないと思いますので、パソコンからの電磁波に興味のある方のために、紹介します。 
基準値というか推奨値は、4段階のカテゴリーに分類されています。

電磁界               カテゴリー      
ELF(5Hzー2kHz)  A    B    C    X    
 電界          10   25   50   $$   
 磁界           2    2    2   $$   
VLF(2kHzー400kHz)

 電界         1・0  2・5   10    $$  
 磁界        0・25  0・25  0・25  $$   
静電気          5    5    5    $$   

 電界の数字の単位はV/m、 磁界の単位はミリガウス、 静電気の単位はkV/m 

カテゴリーAは多分TCOのレベルに同じ、カテゴリーBは従来のMPRー2を考慮、 
カテゴリーCは日本のJEIDAの数字、アメリカのIEEEの規格のドラフトにあって、最後には採用されなかった数字、 
欧州の規格のドラフトにあって最後には採用されなかった数字を根拠にしている、様です。  
カテゴリーXは数字が$$で規定されておらず、製造業者がそれぞれ独自に設定できる数字で, ABCより厳しくても構わないし、甘くても構わないという任意に設定できるレベルです。 

このMPR3は正式にはそのように呼ばずに、スウェーデンの国家規格番号が付与されていますので、その規格番号で呼ぶのが正しいのですが、MPR2の後継の規格という事で、俗称でMPR3と呼んでいます。 

これらのMPRー3は欧州規格に提案、そして国際規格に提案していくと書かれています。 
MPRー2の提案された基準値の根拠のあいまいさで各国は合意できないで困っている所を、このカテゴリーXという形で妥協を計ろう、MPRー3に各国を引きずりこもうとしているのではないかと思います。  

これらの基準値には科学的な論拠は無く、VDTとしてはできるだけ低くしましょう、ここまでならば大幅なコストアップ無しで、技術的に低く押さえることが可能でしょう、という観点から提案されています。

言い換えると、ここまで押さえ込まなければならないという必然性はないのです。 
ある意味では、VDT(パソコン用モニタ)は予防原則を先行的に行っているともいえます。 

2) 電磁波の健康影響の研究報告: 

Swedenで95年1月17日257頁の報告書が発行、 スウェーデン語のみで英文版はない模様、英文の抄録はある模様。

カロリンスカ研究所のHagenfeldt博士等が参画。 電磁波の生体影響に関して研究。 
その結論としては : 
1)電磁界が異常妊娠の原因となるという確定した証拠は疫学調査からも、動物実験からも、見いだせなかった。
2)電磁波と癌の関係も、関係を全面的に否定することはできないが、 現存するデータからは関係があることを支持することはできない。 等などと。 

同じ頁に別の報告もあります。 
これは、カロリンスカ研究所のJohnnson博士が、電磁波が皮膚障害を起こすか否かの研究を始める、 VDTオペレーター等で電磁波過敏症といわれている人などを対象として研究、 これに25000ドルの研究費がついた、という報告でした。 

Swedenでは、このように電磁波は問題がないようだという報告が発行されると同時に更に継続して研究を進めているというのが現状の様です。

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4.VDTnews1995年7/8月号の内容

1) 電磁波関係を含む記事全般 
会議やセミナー案内のコーナーにAnnual Review of EMF Bio-effects Researchという電磁波全般の会議の案内が1件あるだけで、その他の会議の内容は殆どが人間工学に関係するもので、これ以外には殆ど電磁波に関連する会議は紹介されていません。

朝から晩までキーボードを叩くアメリカ人に一時期騒がれた手首の腱鞘炎のような問題に関する記事が大変多く掲載されています。これに関してはIBMが裁判に訴えられていたが、結果はIBMが勝訴して、問題はないとなっている、と。

アメリカ政府として人間工学の規格を作成すべきだ、いや、規制緩和の中でやるべきではないといった議論がある・・・・・と言った内容が大半でした。

昔のVDTnewsには電磁波の問題が掲載されていました。 

2) VDT作業と異常妊娠  
コラムで紹介されている内容の一部を紹介します。 

1995年6月に発表されたNIOSHの研究は、2430名の電話交換手を対象にして調査、VDTと異常妊娠の関係は無かった と。 
NIOSHでは別の研究者によって、1991年にも研究発表されているが、この時もVDT作業は異常妊娠の原因にはなっていないという結論であった。 

1995年の他の研究、Brackenらの研究でも、VDT作業が妊娠異常をおこすことはないとの結論であった、 と、 
以上は記事の抄録です。

 
こういう最新の研究結果をみると、1980年代にいわれたカナダのトロントスター社その他の数個所で発生したと報告されている異常妊娠の話は、どうなったのか、原因は何であったのか?  
なぜ当時だけが問題を発生して、その後は問題が発生していないのか?  
非常に興味をひくポイントです。 

 

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