学術学会の研究などのコーナ(5)

 

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主に電子情報通信学会の環境電磁工学研究会に参加(聴講)し、電磁波の健康影響に関する発表などを聞いた内容です。

1.電子情報通信学会・環境電磁工学研究会(EMCJ)参加報告 20041
2.環境電磁工学研究会(EMCJ)聴講の報告 20044
3.環境電磁工学研究会(EMCJ)聴講の報告 20047
4.EMCJ 20060727聴講の記
5
EMCJ 20060728 聴講の記
6.環境電磁工学研究会(EMCJ200711)の概要


 



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1.電子情報通信学会・環境電磁工学研究会(EMCJ)参加報告 


   2004120日 東京都立大学にて開催。

講演を聴いたときの概要を以下に纏めた。

1。八の字ループアンテナを用いたラット頭部局所曝露装置の曝露評価 
  渡邊博〔農工大・通信総研〕ほか

・携帯電話の電波を頭部に局所的に曝露し、脳腫瘍やBBBへの影響を評価するときに必要となる曝露装置の開発に関する発表である。如何にラットの頭部にのみ電波を当てて、その他の部位には曝露が少ないように曝露装置を設計するかが、重要となる。
・頭部への局所SAR10gあたり2W/kgとしたとき、全身平均SARとの比は500倍にものぼる。
C.K.Chouらのラットへの曝露装置、小型ループアンテナでは、全身平均SARと頭部局所SARの比は23倍程度である。
・そこで、更なる局所曝露装置を考案した。

10W程度のアンテナ入力電力まで考慮する。
・ループ長を2λとして、基盤からリード線を浮かした形の改良八の字ループアンテナを開発した。10Wのアンテナ入力時でもアンテナエレメントなどの温度上昇は1度以下である。このアンテナでは局所と全身平均SARの比が64となった。

2.ダイポールアンテナによる成人および乳幼児頭部内部温度上昇とSARの相関
 藤本正樹(大阪大学)ほか

FCC1997年に機器からの電波輻射による近傍電磁界暴露限度をSARで設定した。(FCC OETブリテン65
・過去の研究では、頭部のSARの分布と、温度上昇の分布は一致しない。熱の拡散などがあるためである。しかし、局所SARと最大温度上昇は比例関係にある。
・ダイポールアンテナを、耳を除く頭部から2.2cm離れた場所に置き、3才、7才、成人の局所SARと最大温度上昇を調査した。結果は、20%程度の違いはあるが、ほぼ同じレベルであった。したがって、幼児であるからSARを厳しくしなければならないという必要はない。
・この研究で、職業曝露値の10/kgというSARでは、温度上昇が2度であった。

・質疑応答:
もしこれが本当であれば、温度上昇1度から規定している職業曝露の限度値を10W/kgから半分にしなければならなくなる。確認が必要となる。

3.妊娠女性の計測データに基づく簡易形状腹部モデルを用いたSAR評価 
  横田俊裕(千葉大学)ほか

・業務用無線端末(周波数150MHz、アンテナは0.18λの短縮アンテナ)を腰につけて使用する。妊娠女性がこうした作業を行った場合のSARを研究した。
・簡易的な人体モデルを想定した。アンテナは胴体から60mmの距離に置いた。

・結果は、腹の前にアンテナを置いた場合、胎児のSARは送信電力1Wあたり0.4W/kgとなり、無線機の送信電力が5Wとすれば、SAR2W/kgとなり、職業的な曝露の限度値の5分の1である。

質疑応答
Q:胎児に対して職業的な曝露限度値を適用することは適当か?
A;業務として、妊婦が意識して使用しているので、職業的な曝露を適用した。全ての無線機が送信電力5Wまで出力できるわけではないので、実使用状態では適切なSAR値に収まるのではないか。

Q:アンテナを人体に近づけると、アンテナのマッチングが変化し、ミスマッチが増加し、5Wの無線機が低い電力した送信できなくなる可能性があるので、こうしたことも検討すべき。

4.任意姿勢モデルを用いた変動磁界入射による生体内誘導電流・電界のドシオメトリ
 渡部純美子(都立大)ほか

・IH電磁調理器からの磁界による誘導電流密度の推定に関する研究
・人体モデルとしては、全身均質なモデルを用いて、σ= 0.2S/mとした。
・実際の調理器の使用の局面を調査した。位置や上半身をどの程度傾けているかなどを事前に調査をおこなった。腹部と電磁調理器の外殻との距離は直立姿勢では15cmとして設定した。かがみこみ姿勢では25cmに設定しなければならなかったので、これは予備試験とした。

・かがみこむ姿勢で、想定した人体モデルでの最も大きい局部的な磁界強度は1.4μTであった。この状態での体内誘導電流は13.1mA/m2であった。1.4μTの磁界強度を、もし、ICNIRPの規定値である6.25μTまでと想定すれば、体内誘導電流は58.5mA/m2となり、ICNIRPの規定(46mA/m2)を超える。

質疑応答:
Q:電磁調理器からの磁界の実測に使用したセンサーの大きさは?
A:サイズ約1.5cmのセンサーで実測を行なった。 

Q:今回は人体モデルとして男性モデルを使用しているが、なぜか?
A:今後は女性モデルでも検討する。 

5.日本人男女人体数値モデル用いた電磁調理器周辺磁界による誘導電流・電界ドシメトリ  
 鈴木敬久(都立大学)ほか 

・電磁調理器からの磁界を測定した。直径16cmの鍋を用いた。23kHzの磁界として、最大6.2μTを得た。
・電磁調理器の外殻から直立人体モデルの腹までの距離は50mmとした。 

・人体モデルは、組織部位ごとに誘電率を設定した。解剖学的人体モデルを用いた不均質モデルである。
・男性モデルでは、体幹で磁界3.3μTで、誘導電流の最大は21mA/m2で、小腸の部分でられた。
・女性モデルでは、体幹で磁界3.3μTで、最大の誘導電流は11mA/m2で、筋肉の組織で得られた。

・ホットスポットも見られ、体表面より数cm内部で、1ボクセル分で発生している。
・全身均質モデルの場合は、脇の部分に最大の誘導電流が流れており、不均質モデルとかなり結果が異なる。これらを今後するか検討していく。

6.オールメタル対応型電磁調理器から発生する磁界測定  
 芳賀昭(東北学院大学)ほか

・センサーサイズ直径約10cmのNARDAの磁界測定器(10Hzから400kHz)を用いて、EN50366−2003(IEC TC106 のドラフト62233相当)による測定が行なわれている。
・結果は、ICNIRPの曝露規定に合致していた。
・HPの近磁界プローブでの周波数分析も行っている。

質疑応答 
Q:センサーが磁界発生源と直接カップルしていることはないか?
A:近磁界測定用なので、問題はないと考えているが、異なる測定器でも同じ値が出るか、チェックして見る。

Q:測定器のセンサーの近傍に金属があれば、また、センサーの金属部に渦電流が流れれば、被測定の磁界分布が乱れたりしないか?
A:もう少し検討を行なってみる。 

Q:電磁調理器でも、更に大型の、営業用・業務用のものは?
A:今回は2−3kW出力の一般用の機種で実験を行なった。

Q:過去に、業務用の電磁調理器の関係者とやったことがある。頭が痛いと訴えるケースもある。業務用の電磁調理器の中には、いかに厚い鉄板で囲まれているとしても、調理法が優先されており、人体への電磁界暴露が2番目になっているモデルもある。

7.高周波電磁場(2.45GHz)曝露による細胞学的影響の解析
 高島良生(弘前大学)ほか

2.45GHzで細胞の影響を観察した。
200W/kgといったSARになれば、温度上昇が大きく、43℃位になる。
・電磁波ではなく、熱を加えて、温度が42℃を超えるようにすると細胞死が急増する、
・平均SAR200W/kgとなれば、細胞に影響する。

・平均SAR100W/kgでは細胞への影響は観察されない。また、間歇曝露として平均SAR100W/kgであるが、最大SAR値を大きくし、1500W/kgまで大きくしたが、影響は見られなかった。
・これらのことから、2.45GHzの電波の影響は熱作用で説明できることが確認された。

8.強磁場によるアガロースゲルの配向制御と応用
 宮下智明(横浜国立大)ほか
10Tの直流磁場を利用した配向制御の基礎研究

9.磁場を用いた細胞のパターニング
 佐藤由紀子(東京都立大学)ほか
1Tの直流磁場を利用した実験(BEMSJにはよくわからない)

10.直流磁場中におけるカイワレ種子発芽の検討
 松本和俊(鹿児島大学)ほか
1.2Tの直流磁場によって、発芽が増進される。

11。細胞膜が受ける強磁場の影響―蛍光プローブを用いた検討―
 矢尾板仁(帝京科学大学)ほか
8Tの直流磁場による細胞膜の研究(BEMSJにはよくわからない)

12、重畳磁場曝露の変異原性の評価
 池畑政輝(JR総研)ほか
・直流磁場5T50Hz交流磁場1mTの複合曝露装置を開発した。
・この装置で、微生物を利用して変異原性を評価した。
・点突然変異に関する変異原性は観察されなかった。
・染色体組み換えに関しては、わずかに変異原性の増加が観察された。

13.牛副腎皮質クロマフィン細胞の細胞内Ca2+動態に及ぼす1.5T変動強磁界の影響 
 池原敏孝(徳島大学)ほか

1.5Tの直流磁界を3秒毎に断続を繰り返した。On時には瞬間的に30mA/m2程度の誘導電流が流れている。
細胞の挙動に影響が見られた。

14.特別講演「高磁気力用超伝導磁石による磁場効果の研究
 谷本能文(分子科学研究所)
・最大15Tの直流磁界発生装置を用いて、磁場効果を研究している。蛙が磁気浮上したりする。

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2.環境電磁工学研究会(EMCJ)聴講の報告 20044

  作成:2004−8−5

EMCJ
2004416日開催)では、以下の研究が、健康影響関連として、講演発表があった。 この話を聞いた。

タイトル:アンテナ装着PCの近傍電磁界と人体相互作用
研究者:王建青 藤原修 名古屋工業大学大学院工学研究科情報工学専攻

あらまし
無線LAN用の5GHz帯アンテナを搭載したノート型パーソナルコンピュータ(PC)を対象として,実使用状態の人体数値モデルを作成し,人体のアンテナ特性への影響及び人体内部での電磁吸収特性をFDTD(Finite-Difference Time-Domain)法で数値解析した.
その結果,アンテナ放射パターンは,人体の存在で人体方向へ最大20dB,キーボード上に置いた両手で斜め上方向へ約10dBほどそれぞれ減衰すること,ピークSAR,キーボードの入力時にアンテナ側の手に生じ,入力作業を行わないときにはアンテナ側の胸に生じるが,いずれも安全指針レベルを超えないこと,などが確認できた.

概況は
4世代の無線LANとしては5GHz帯が用いられる。パソコンに無線LANが装着されるケースが増加してきている。こうなれば、パソコンは無線装置のアンテナの一部となる。パソコンを操作する人との結合や、人の電波吸収(SAR)も課題となる。
5GHz
帯では、人への電波の浸透は、皮膚表面部1mm程度に収まり、また人体による反射もある。
こうした状態で、無線LANのアンテナの放射特性に与える人体の影響、人体の電波吸収による影響を検討した。PCは全て金属と仮定した、形状はノートPCを模した。
FDTD
法での解析に当たって、人体は均質モデルとし、アンテナに近い体表面部は解析格子を細かく、その他の部分は格子を荒くして、解析を行なった。無線LANのアンテナ出力は0.15Wとした。
アンテナの入力インピーダンスや、指向性などの放射特性は、人体の影響を受ける。
人体の受けるSARは、キーボードに手を置いたタイプの状況では、手の部分に局部的なSARが発生するが、頭部のSARは低い。手を下に下げた上体では、頭部に局部的なSARが発生する。
タイプ時 1gあたりのピークSAR 1.17W/kg   10gあたりのピークSAR 0.39W/kg
タイプしていない時 1gあたりのピークSAR 0.011W/kg 10gあたりのピークSAR 0.005W/kg
となり、2W/kgという基準値(これは体幹部に対する規定)を超えない。

興味のある人は、原文を入手して読んでください。

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3.環境電磁工学研究会(EMCJ)聴講の報告


2004
729日と30日に東京・機械振興会館で開催された研究会に参加した。電磁波の健康影響に関係する報告は以下である。    
作成:  2004−8−5 

1.疫学調査の為の曝露評価指標に関する検討
発表者:望月章士ら

あらまし:携帯電話を対象とした疫学調査のための曝露評価指標としてSARを用いることの妥当件について検討した。異なる近傍電磁界特件を有する波源により曝露された頭部に生じる曝露指標(SAR、内部電界、内部磁界)を数値解析により求めた。その結果、SARはいずれの近傍波源においても内部電界・磁界と同様の分布を有していることから、SAR以外の内部電界・磁界に起因する未知の非熱的影饗を評価する指標となりうるため、疫学調査における曝露指標になりうることが示唆された。

頭部内SAR分布は携帯端末種類により大きく異なることが知られており、主成分分析によるカテゴライズが試みられている。これらのカテゴライズされた端末のSAR特性を実験で詳細に評価するのは困難であるため、数値解析によるSAR特性の評価を試みた。定性的な評価では、実験と計算でほぼ同様の傾向が得られることが示された。
今後、測定と数値計算による相違を定量的に評価し、疫学調査のための曝露指標として数値解析結果を利用した場含の不確かさ評価を行うことが課題である。

概況:携帯電話の使用と脳腫瘍のリスクに関する疫学研究に関連する基礎的な研究。
脳内ピークSARと温度上昇は相関しているという報告がある。IARCで行っている国際プロジェクトの疫学調査は症例対照研究である。曝露指標として頭部のSARで良いかの検討を行った。頭内部の磁界および電界の分布も曝露評価指標として有効か、検討した。
頭部へ平面波の曝露、近傍電磁界の曝露として検討し、結果はSAR,頭内部の磁界および電界は相関が取れていることがわかった。

講演の後、この発表の共同研究者である和氣加奈子さんと話をした。「IARCの疫学研究は、症例がなかなか集まらず、苦労している。日本の場合は、携帯電話だけではなく、PHSの使用も対象に加えている。携帯電話のハンドセットから発信される無線電力は、基地局との距離などに応じて送信電力が大幅に変動する。したがって、曝露指標として単に携帯電話の使用時間などだけでは評価できないことになる。でも、とりあえず、ばっさりと携帯電話の使用時間などで評価し、そのあとで、送信電力の変動・SAR変動を含めた解析を行うことになるだろう」と。

2.低周波磁界と小児白血病に関するわが国の大規模疫学調査結果の総括の試案
  発表者:雨宮好文

あらまし:ELF磁界とがんに関する多数の疫学研究の個別的結果から帰納により導いた普遍的結論は「がんリスク増加はない」である。がんは磁界または地点に由来するという条件を適用することにより、筆者は「磁界に発がん性はない」、かつ「発がんは地点由来に限られる」という最終結果を論理的に導出した。前者は動物実験で得られている結果と一致する。したがって、わが国で実施されたELF磁界とがんに関する大規模疫学調査の総合報告の結果を筆者は次のように総括した。
総括:「わが国の調査対象地域では地点由来の急性リンパ性白血病の発症があった。しかし、磁界の発がん性はない。このパターンは米国と同一である。」

概況:環境研究所の疫学調査結果などから、総合判断に関する試案として発表。プール分析での解析結果ではなく、個々の疫学調査結果を基に判定すべきである。それぞれの研究結果の95%信頼性区間の下限値を基に判定すれば、日本・アメリカでの疫学結果はリスクありであったが、その他の国ではリスクの増加はない。 よって、「地域的に増加のリスク要因はあるが、全体としてみれば、低周波磁界の発がん性はない」と見るべき。 

質疑応答
Q:この磁界と小児ガンの増加のリスクは、磁界そのものではなく、送電線のコロナ放電による紫外線の発生、この紫外線の発生による白血病の増加ではないか、詳細はここに持参した私の報告書があるが・・・・
司会者:時間がないので、そうしたことは後ほど、個別に演者と論議をしてください。

Q:「地点に由来する」とあるが、症例も対象も同一地点から抽出されているので、「地点に由来する発ガンはあるが、磁界の発がん性はない」とする結論はおかしい。プール分析などではそれぞれの研究の規模などに重み付けを与えている。単純に、個別の研究の成果を多数決判定のようにして結果を導くのはおかしい」
A:「地点に由来する」は、その地域にあるかも知れない磁界以外の因子のことである。
司会:時間がなくなったので、これ以上は、後で個別に論議をしてください。

3.1.5GHzPDC信号を用いた長期動物曝露実験におけるラット内SARの評価
発表者:渡辺聡一 

あらまし:長期大規模動物曝露実験を行うため、L5GHzPDC信号をラット頭部に局所曝露するシステムを開発した。FDTD法を用いた数値解析およびファントムを用いた温度測定実験によりラット内SARの評価を行った。その結果、ラットの一生涯にあたる2年間の実験期間においてほぼ一定の頭部局所曝露が実現できていたことを確認した。

概況:ラットは小さいので、下手をすればラット全体を曝露し、頭部だけの局所曝露にならないので、苦労して曝露装置を開発している。

質疑応答:
Q:1.5GHzの場合、アンテナとラットの頭部との距離はどの程度か? 波長を考えると20cmとなり、頭部は近傍界曝露とはいえないのではないか?
A:近傍界というよりは、アンテナのごく近傍での曝露 と考えてください。

4.EMC04仙台の報告  
報告者:上芳夫

 電磁界の健康影響に関する報告が増えている。

以上 2日間のEMCJの研究会で、健康影響に関連する報告はこの3件だけでした。


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4.EMCJ 20060727聴講の記  


2006
727日、東京・機械振興会館にて開催の電子情報通信学会 環境電磁工学研究会EMCJを聴講した。
以下はそのメモ

1.作田俊一(武蔵工大)ら 「高速電力線通信線路の伝送路の伝送特性に対する端末条件依存性」
「伝送路のディファレンシャルモードインピーダンス値の変化が伝送特性や放射電磁界に影響を及ぼすことがわかった。」という研究。

PLC
モデムでは出力を低インピーダンスで信号を送り出し、信号を受け取るモデム側ではハイインピーダンスとしているが、これでは放射電磁界が大きくなる。
これを逆にする、すなわち送り出し側をハイインピーダンスにすることにより、ディファレンシャルモード電流が少なくする、これによりコモンモード電流も少なくなり、漏洩放射電磁界が低下する。

2.滋賀博樹(新潟大学)ら「SARプローブ校正のための液体中アンテナの絶対利得測定における系統的不確かさを評価」
3GHz
以上の周波数におけるSAR測定に関する研究。

3.菊池悟(千葉大学)ら「リアルな妊娠女性数値モデルを用いたMRIRFコイルによる胎児内SAR
1.5T
MRIに用いられるRF周波数は64MHz帯である。
一般的なバードゲージコイルにおけるSARを推定した。
妊娠初期と妊娠7ヶ月の人体をシミュレーションした。結果は、子宮部におけるSARは周囲の体側部に比べて十分に低い値であった。

4.松本好太(青山学院大学)ら「IHクッキングヒータのコイル近傍における周辺磁界に関する検討」
アルミ(厚さ0.1mm)をIHコイルの周囲に巻くことで、周囲への磁界漏洩を5dB少なくすることができた。
(質問に答えて、このアルミは暑くなっていたということから、比較的高い周波数成分のショートリングになっている?)

5.高橋良英(東京農工大)ら「人体組織等価液剤を用いた人体等価アンテナの開発」
足首誘導電流を実測するために、人体ではなく等価なアンテナを開発するための研究。

詳細は、予稿集などを参照。


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5EMCJ 20060728 聴講の記


2006
728日 東京・機械振興会館で開催された環境電磁工学研究会EMCJを聴講した。
以下はそのメモ、 EMFの健康影響に直結する発表は以下の1件のみ。

王 建青(名古屋工大)ら
「妊娠・出産ラットに対する2GHz帯全身無拘束曝露のドシメトリ解析」

・携帯電話の電磁界の影響、妊娠ラットへの影響に関する基礎的な研究である。
・携帯電話の基地局からの電磁界曝露は、24時間連続曝露となる。人が立っていると曝露の偏波は電界面となり、寝ていると磁界面となる。
・ラットを無拘束として拘束によるストレスの要因を避ける。円偏波として磁界面・電界面への曝露を考慮する、SARは大きく変動しないように、たとえば0.5から2の範囲に収まるようにする。 この目的のための曝露装置を開発した。

2本のダイポールアンテナをクロスさせ、位相差を90度にすることにより、遠方界では円偏波となる。
3/2波長のダイポールアンテナにすることによって、比較的広い空間領域で一定な電磁界曝露強度にした。
・ラットに対するSAR分布をFDTDで解析した。結果、全ての飼育ゲージ内ではないが、飼育ゲージの80%の空間では、ほぼ所要の曝露強度となった。

・ラットが飼育箱のどこにいるかをシミュレーションし、40種類のパターンで解析を行った。
・この曝露装置は、ラットにとっては全身均一曝露に相当する。
・解析の結果、ラット内にHot Spotは生じていない。

・全身平均SAR0.59-1.53の範囲に収まった。
・胎児のSARはほぼ母親のSARに等しい。
・生まれてきた子供のSARは、生後4日後で、SAR0.66-1.59の範囲に収まっている。
・この曝露装置を利用して、名古屋の近くにある別の研究所で、曝露実験が行われている。1年後にはその実験結果が出る。

関心のある方は、詳細は英文の予稿集を入手し、参照してください。

BEMSJのコメント:
オーストラリアで行われたラットへの曝露実験(携帯電話の電磁界:レパチョリが行った実験)では、ラットを無拘束とし、飼育箱から離れた場所に発信アンテナを設置したので、飼育箱の位置によって大きく暴露強度は異なる。そこで定期的に飼育箱の位置を変えた。結果、電磁界の悪影響(発がん性の増加)が検出された。

この実験を受けて、オーストラリアでは別の実験が行われた。今度はラットが動けないように姿勢を拘束し、電磁界曝露は一定に保った。結果は電磁界の影響(発がん性の増加)は見られなかった。
これらから姿勢拘束によるストレスを避け、曝露強度を一定に保つ実験が必要となった。上記王教授の研究は、これに関連するもの。

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6.環境電磁工学研究会(EMCJ200711)の概要 

     作成 : 2007-11-27 
日時 20071115日(木) 13:35 - 16:40
2007
1116日(金) 10:35 - 16:05
会場名 東京工業大学 大岡山キャンパス

1 13:35-14:00 SAR推定およびプローブアレーを用いたSAR測定高速化手法
○木南克規・井山隆弘・大西輝夫(NTTドコモ)

あらまし
IEC
およびIEEEによって,携帯電話等の無線端末から放射され人体へ吸収される電磁波のSAR測定法が詳細に定められている.これらの測定法に従ってSAR測定を行った場合,正確な測定結果を得られる一方で,SAR 測定に多くの時間を要する.

本報告では,従来,我々が提案している等価定理およびマクスウェルの方程式を用いて理論的にSARを推定することによりSAR測定を高速化する手法において,測定手順および測定系が非常に複雑となるという問題点を改善し,より簡易な方法でSARを理論的に推定する手法を提案し,数値計算および実側によりその妥当陸について評価を行った.

その結果,提案手法を用いて精度よくSARを算出することが可能であり,SAR測定の高速化に有効であることがわかった.また,さらなるSAR測定の高速化を実現するために、複数本の電界検出用プローブのアレー化を提案し、その測定精度およびSAR測定高速化における有効性について評価を行った.その結果,プローブアレーを用いて電界分布を精度よく測定可能であり,SAR推定手法と組み合わせることにより,SAR測定高速化に十分有用であることがわかった.

(2)RF exposure to mobile phones and cancer risk -- SAR distribution in different brain structures -- 
Nadege VarsierTokyo Metropolitan Univ./NICT)・Kanako WakeNICT)・Taki MasaoTokyo Metropolitan Univ.)・Soichi WatanabeNICT

Abstract
For the purpose of exposure assessment in epidemiological studies on RF exposure and brain tumor risk, SAR distributions In different anatomical structures of the brain of a realistic numerical model were estimated for different use conditions and phone categories.

Our results suggested that the maximum SAR is always obtained in the temporal lobe
 and that the temporal lobe is generally the highest exposed anatomical structure, except for special types of phones with an absorption localized at the back oft he head, which makes the occipital lobe and the cerebellum the highest exposed structures. Occipital lobe and cerebellum were for almost all use conditions and phones categories either the first or the second exposed structures whereas exposure of parietal and frontal lobes were usually low. We nuanced our results with the fact that we used measurements in a homogeneous phantom to estimate SAR in a heterogeneous model.

3)平面波曝露による妊娠4,8,12週の女性モデル内のSAR評価 
○河井寛記・長岡智明・渡辺聡一(NICT)・齊藤一幸・高橋応明・伊藤公一(千葉大)

あらまし
本稿では,平面波曝露された際の初期妊娠時における胎芽,胎児への電磁波曝露量を数値計算により評価する.まず初めに,日本人平均女性モデルの子宮に立方体または回転楕円体の胎芽,胎児を組み込んだ妊娠4, 8, 12週のモデルを提案する.次に,胎齢による含水量の差異を考慮した胎芽,胎児の電気定数を推定する.最後に,10MHz2GHzまでのE偏波及びH偏波曝露によって生ずる胎芽,胎児内のSARFDTD 法数値計算により求める.

その結果,初期妊娠時の胎芽,胎児内平均SARは,胎齢によらずほぼ等しいことが分った.
また,E偏波曝露の方がH偏波曝露時よりも胎芽,胎児の平均SARの最大値が高いことが分った.更に,胎芽,胎児のSARが,主として水平面の定在波の発生位置に依存することが分った.

4)人体の吸収影響を考慮した携帯電話利用時のエレベータ内電磁界評価 
○安孫子友祐・廣野正彦・日景 隆・野島俊雄(北大)

あらまし
電車やエレベータ等に代表される金属導体で囲まれた電波の多重反射が生じるような空間内において携帯電話を使用した場合の植込み型医療機器(心臓ペースメーカやICD)への電磁干渉影響評価を目的として検討を行っている.
本稿では,エレベータ内電磁界分布における人体の吸収による影響を検討する.

乗客の数および位置の変化が評価結果に与える影響ついて明らかにするため,数値解析によりエレベータ内部のファントム設置条件をかえた場合の推定結果について統計的検討を行う.
解析の妥当性はヒストグラムを使った実験値との比較により示される.
著者等はこれまでに,ペースメーカへの電磁干渉リスクを数値解析により得られた電磁界分布から算出したヒストグラムにより評価する方法を提案し,反射空間内部に存在する人体(携帯電話使用者,非使用者等)を考慮することが干渉評価には必要であることを明らかにしている.

BEMSJ注:電車やエレベータ内での携帯電話使用では、人体が電波を吸収するので、閉じられた空間内であっても、ホットスポットは発生しない、という研究。

5HFRFIDリーダライタ近傍界による植込み型医用機器干渉のFDTD解析‐数値モデル化と誘起電圧推定‐
○遠山徳宏・二ッ森俊一・日景 隆・野島俊雄(北大)・小池 勉(日本自動認識システム協会)・藤本 裕・豊島 健(日本メドトロニック)

あらまし
本研究はRFID 機器が植込み型医用機器に与える影響について,高精度数値解析に基づいたEMI評価法の実現を目的としている.
本報告では,HFRFIDリーダライタアンテナのFDTD 法を用いた数値解析において,新たに開発した三次元電磁界自動測定系を用いて得られた値と,近傍磁界解析値を比較し,解析値の有効性と妥当性を議論する.
また,平板型トルソーファントム数値モデルにおいて,内部での磁界測定値と解析値を比較することにより,同数値モデルの妥当性を明らかにする.
さらに,HF帯ではペースメーカのリード線がEMIの主要因であると仮定し,リード線コネクタ部に誘起される干渉電圧計算推定について検討を行う.

6Liquid-Type Human-Body Equivalent Antenna with Inverted Bottle-Like Structure 
Ally Yahaya SimbaNICT/Tokyo Univ. of Agri. and Tech.)・Yoshihide TakahashiSoichi WatanabeNICT)・Takuji ArimaToru UnoTokyo Univ. of Agri. and Tech.

Abstract
This paper presents a new design of human - body equivalent antenna to improve its induced current performance.
The previously proposed equivalent antenna has a constant cross - section area, thus leaving the height as the only variable when modeling adults and children. As a result, if the antenna electric properties are designed for the adults, the induced current obtained when applied to the children deviates by almost twice to the value obtained from an anatomically human model.

The new structure has two different cross - sections the upper part of the antenna has different cross - section area to that of the lower part. By taking advantage of the added variables, i.e. area and length of each section, the antenna can be designed to produce induced current close to those obtained by the human model for both adult and children. Preliminary investigation on the effect of the added parameters of the antenna on induced currents is presented in this work. Finite Different Time Domain
FDTD method is employed in the investigations.

BEMSJ注:足首の部分に流れる誘導電流・接触電流を解析するための人体を模擬したファントムの形状に関する研究。

7)マイクロ波帯/準ミリ波帯における低周波増幅器の非線形応答の実験的評価 
○妹尾宏樹・二ッ森俊一・日景 隆・野島俊雄(北大)

8)比吸収率測定およびプローブ較正における境界効果に関する検討 
○浜田リラ(NICT)・田中 淳(電通大/NICT)・佐藤賢一(NTT-AT)・渡辺聡一・山中幸雄(NICT)・岩崎 俊(電通大)

あらまし:
携帯電話の適合性試験のための標準測定において,人体と等しい電気的特性を持つファントム液剤を用いた比吸収率(SARSpecific Absorption Rate)測定が,法的に義務づけられている.

SAR
測定には,多くの不確かさ要因が存在している.
本報告では,その一つであるSARプローブの境界効果について,プローブ較正セットアップおよびSAR測定セットアップにおける影響をFDTD計算により検討した.
その結果,プローブ較正セットアップの方が境界効果の影響が大きく,不確かさを大きく見積もる可能性があることが分かった.

9)導波管貫通法による人体複素誘電率の in vivo 測定の検討 
○齋藤 光・香西将樹・青柳貴洋(東工大)・西方敦博(東工大/NICT)・渡辺聡一(NICT


あらまし
円柱形状の材料の複素誘電率を測定する方法として提案してきた導波管貫通法を用い,指,腕,脚などの人体各部位をin vivo測定する方法について検討した.
具体的には,円筒状のアプリケータにより外径を均一化し,導波管に挿入してSパラメータの測定を行う.今回は3.95- 5.85GHz 帯の導波管を製作し,手指の測定を試行した.
計算では測定部位を均質と見なすことで,複数の組織の平均的な等価複素誘電率が求められる.
その結果を,既に報告されている生体組織ごとの値と比較した.

1060GHzミリ波レンズアンテナによる集束ビームの測定と各種条件における人体表面への曝露計算 
○香西将樹(東工大)・西方敦博(東工大/NICT)・酒井泰二・渡辺聡一(NICT

あらまし
著者らは先に,レンズアンテナから集束ミリ波ビームを生体に照射した際の温感闘値の測定とその数値解析,実測に基づくビームの再構成と人体モデルへの入射時の電界強度について報告した.
本稿では電界をさらにいくつかの面で測定し,ビーム再構成の精度について検討を行った.

また,照射実験時の位置合わせのずれの影響や皮膚状態の違いの影響を検討するため,照射位置のずれや,集束ビームの斜め入射,皮膚表面の乾湿,皮膚層の厚みなど, いくつかの条件における電界分布を計算した.

BEMSJ注:60GHzの場合、皮膚1mmでのエネルギー吸収が大きい。その内部の脂肪層での吸収は少ない。

11)数値人体モデルを用いた体内誘導量の入射磁界分布依存性に関する検討 
○鈴木敬久(首都大学東京)・丸山 啓(青学大)・和氣加奈子・酒井泰二(NICT)・橋本 修(青学大)・渡辺聡一(NICT)・多氣昌生(首都大学東京)

この発表ではレジメ・あらましは間に合わず、準備されていない。
電気機器やIH調理器などの近傍の不均一な磁界に曝露した場合の誘導電流の評価では、近傍電磁界の距離減衰特性と整合をとった磁気ダイポールを磁界源とみなして推定を行えばよい、という研究。

12)低周波暴露磁界と人体組織内誘導電流の関係
○太良尾浩生・桐田和樹(高松高専)・林 則行(九大)・伊坂勝生(徳島大)

あらまし
低周波磁界の人体暴露による誘導電流に関して,体内誘導は暴露磁界の方向や不平等性によって全く異なる分布となる。
本稿では,人体を占有する空間での最大磁東密度(Bm)と,数値解析で得られた各組織における誘導電流の99%値(J - 99)との関係に着目している。
先ず,平等磁界を人体モデルに対して様々な方向から暴露した場合について、各組織におけるJ - 99を解析し,暴露方向の違いによる組織内誘導電流の違いを検討した。

次に,直線電流や微小ループ電流がつくる不平等磁界内に人体頭部モデルを置いた場合について各組織におけるJ - 99を解析し,平等磁界の場合の結果も含めて,Bmax J - 99の関係を検討した。

BEMSJ注:
この研究では、50Hz 1μTを基準として誘導電流を計算している。
研究の中にある眼球の誘導電流の最大値は33μA/m2である。
この値を50Hzの参考値100μT時に当てはめると3.3mA/m2となり、ICNIRPの一般公衆への基本制限値2mA/m2を超える。
したがってこの研究が正しいとすれば、ICNIRPの一般公衆への参考レベル(磁界)は半分程度の値にしなければならない、ということになる。

この研究では、不均一磁界に曝露した場合、体が受ける曝露磁界の最大値は、均一磁界を想定したICNIRPの参考値と同じであれば、基本制限の誘導電流も満たす、という結論になっている。これが成り立つのは磁界源からある一定以上の距離のある場所である。
このことは、不均一磁界であっても、最大の局所的な磁界強度は、参照レベルを満たさなければならない、ということを意味する。
不均一磁界であるから全身の平均を取るとか、結合係数を勘案するということは許されない、ことになる。

磁界源に近接した場合は、同じ磁界でも誘導電流は小さくなるので、機器の近傍での曝露評価は、距離を勘案して行わなければならない。
この研究は、さらに継続して行ってもらう必要がある。

13)静磁界と極低周波変動磁界の重畳曝露による生物影響の評価 
○池畑政輝・吉江幸子(鉄道総研)・鈴木敬久・多氣昌生(首都大東京)・早川敏雄(鉄道総研)

あらまし
本研究では,定常磁界と極低周波磁界に着目し,これらの磁界を重畳させた曝露条件を実現する曝露装置の開発を行った.
さらに,その変異原性について,エイムステストおよび出芽酵母での変異原検出系を用いて,定常磁界5T, 50Hz変動磁界1mTをそれぞれの磁界の最大値として検討を行った.

その結果,エイムステストにおける点突然変異の発生頻度,および出芽酵母における点突然変異の発生頻度には磁界曝露群と非曝露群の間に差異は見られなかった.
一方,染色体組換えに関しては,定常磁場が5Tの磁界曝露群において,わずかに増加する傾向が見られた.今後,環境中で実際に発生している電磁界の環境を模擬して検討することにより,環境レベルでの重畳曝露の影響評価を行っていく予定である.

14FDTD Modeling of Current Induced in Human Body Due to Electrostatic Discharge 
Akimasa HirataChika MoriOsamu FujiwaraNagoya Inst. of Tech.

Abstract
There has been increasing public concern about adverse health effect due to ultra-fast electromagnetic pulse induced in the human body. Main source for this current is caused by electrostatic discharge current.
However, limited researches have been conducted on the electrostatic discharge from a charged human body
This study successfully demonstrated an FDTD modeling for the electrostatic discharge from a charged human bodySpecial attention was paid to the modeling for air discharge through a hand - held metal piece from the human body. Air discharge was considered as voltage source which was derived on Rompe - Weizel formula. The human body is modeled as homogeneous tissue, which obeys 1-pole Debye media. Amplitude of computed waveform was larger than that of measured one, which gives us conservative dosimetry from the stand point of human safety.

BEMSJ注;スパーク放電に関してはWHOEHC2007)でも継続検討すべきとしているテーマであることから、スパーク放電時の影響をモデル化して検討したものである。

15)人体の散乱界空間インパルス応答による実時間SAR推定法の検討 
○高橋 宰・王 建青(名工大)

あらまし
携帯電話,無線LAN,ディジタル放送などの基地局の放射電磁界に対する人体防護の基礎指針は,単位質量あたりに吸収される電力,すなわちSARの全身平均値で規定されるが,測定現場ではSAR測定の困難さから管理指針として入射電界或いは電力密度が用いられる.

しかし,基地局からの電波は人体に対して必ずしも均一な平面波入射になる保証がなく,特に基地局極近傍での作業者については,測定現場での実時間SARが推定できれば管理指針への適合性評価に大いに役立つ.本研究では,人体の散乱界空間インパルス応答を用いて,実時間SARを推定することを検討し,その妥当性を検証する

16CIP法を用いた完全導体円柱による平面パルス電磁波散乱解析 
○橋本将司・西方敦博(東工大)


あらまし
筆者らは,近年提案されたCIP法を用いた音場解析や電磁界解析の研究を進めている.
本研究では,TM波における2次元電磁界解析を行い,精度,メモリー量,計算時間の点でFDTD法と比較を行い,CIP法が優れていることを明らかにした.
その上で,完全導体表面での境界条件をCIP法に適用し,完全導体円柱による平面パルス電磁波散乱解析を行った.CIP法を用いることで,FDTD法より高精度で散乱解析を行うことができた. 

17)部分的に電波吸収体を配置した場合のサイトVSWRFDTD解析 
○緑 雅貴・桑原伸夫(九工大)・川畑将人(福岡県工技センター)
 

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