*中央リニアの電磁界のコーナ

                            

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 JR東海の中央リニアに関するページとして、独立させました。
最終更新: 2020-3-16



1.山梨リニア実験線の磁界
2.電車の車内のリアクトルからの磁界
3.中央リニアの建設の関する国土交通省の検討資料から 2011年4
4.ICNIRPの2008年声明文書に引用されていた日本のリニアモーターカーからの磁界
5.山梨リニア実験線でのペースメーカへの影響
6.中央リニアに関する衆議院での議論から
7.2013年12月JR東海の公開磁界測定報告について
8.荻野晃也の2014年の講演に見る強い静磁界に関する論の誤り
9.ガウス通信131号(2015年2月8日)に掲載されたリニアの磁界に関する記事の誤り

10.中央リニア反対に関する裁判 電磁波も争点の一つ
10A懸樋の裁判における意見陳述に間違い



1.山梨リニア実験線の磁界

記:2009331 

山梨日日新聞 19970402日(水)に以下の記事が掲載されていました。

*********   *********  一部 引用  **************
磁気、環境基準下回る 山梨リニア沿線 JR、総研が測定 見学所2.4ガウスが最大

山梨リニア実験線の沿線で事業主体のJR東海、鉄道総合技術研究所(鉄道総研)が磁界測定を行った結果、車両基地や高架下など五カ所の磁気の強さは0.02ガウスから2.4ガウスで、山梨リニア実験線・環境影響調査報告書に示された環境保全基準である20ガウスを大きく下回ることが、一日までに分かった。

測定場所はリニア車両基地(ガイドウエー端から4m)、実験センター前の高架(高さ7.8m)下、高架(同5m)下の見学者通路、桂川西側の大原B1高架(同2030m)下、県立リニア見学センタ(ガイドウエー端から3.5m)の五カ所。

リニア車両を走らせ、通過時の磁気の強さを、地磁気(地球自体が持つ磁気0.5ガウス)分を引いた値で表した。
測定の結果、最も値が高かったのは見学センターで2.4ガウス。続いて車両基地の1.9ガウス、高架下の見学者通路1.4ガウス、実験センター前の高架下0.2ガウス、大原B1高架下0.02ガウスだった。
***************    ***********

関心のある方は、当該の新聞記事を読んでください。

記事では周波数は記述されていませんが、「地磁気を引いた値」とあることから、直流磁界を測定したのであると思います。

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2.電車の車内のリアクトルからの磁界

記:2009−3−31

古い論文ですが、以下の論文を読みました。
掲載誌:電気車研究会・偏 「電気車の科学」 19894月 42巻 第2
論文名:鉄道車両と電磁波障害
研究者:水間 毅

この論文の中に、以下の記述があります。
********    *************
3.3
 実際の測定例
3.3.1
 在来車輌における測定例
在来のチョッパ車やVVVFインバータ車における正確な測定は行われていないが、車内で漏洩磁界が最も高いところはリアクトル直上部周辺である。
リアクトルの配置、電流値によって異なるが、概して力行時に最も高くなり、VVVFインバータ車では80G程度になるものもある。
*********    ************   *********

この測定結果で80ガウスという条件は、磁界の周波数が明記されていないので、なんとも判断ができない。
また車輌の床面で測定を行ったのかも定かではない。
直流磁界の80Gと、60Hz磁界の80Gでは全く意味が異なってくる。

20
年以上前の論文ということで、磁界の周波数の判明は不可能かも知れない。

関連する情報として、以下の情報を得た。
近畿車輛技報 第11号 200411月 に関連する比較的最新の情報がありました。
論文名:EMC問題への対応 
筆者:西田輝幸
************ 一部引用   *********** 
3
)乗客への配慮

床下幾器、特にフィルタリアクトルと呼ばれるものから放射されるEMIの1種である漏洩磁界が、ペースメーカ等の医療機器に影響を与えるので、漏洩磁界を阻止するために、磁気遮蔽として肉厚の鉄鋼板を設置している(図3)。
これで、万一該当乗客が転倒して床下リアクトルとの距離が最も近くなった場合でも、十分な安全が保たれることとなっている。

説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: image0063

**************   ************   
こうした対策が、鉄道車両のリアクトルに施されている、ことがわかった。

ただし、全ての車輌にこうしたことが施されているのか? 何か法的な規制等を受けて、行っているのかは、定かではない。 
どなたか情報を提示していただける方がおられれば、BEMSJに教えてください。


注:この項は、中央リニアとは無関係です。
しかし、一部の著作物やWEBなどで、リニアの電磁界に関連する情報として取り上げられているケースが有るので、このページに記録しておきます。

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3.中央リニアの建設の関する国土交通省の検討資料から 20114

記;2011−4−28   全面更新:2014−3−30

以下の図は「国土交通省リニア新幹線2010年第2回小委員会」の会議資料として公開されている。
注目すべきは、床上10cmでも測定を行うことになっている点である。
これは、たぶん、ペースメーカ着用者が床上などで転んで倒れた場合の、最接近距離として、想定したものではないかと思う。

31

 

32

 

33


中央リニア
の建設に関する検討が進められている。
その検討課題の中に、リニアから発生する磁界の問題がある。

以下は国土交通省の小委員会の検討資料としてWEBに公開されている資料の一部である。
磁界測定の結果、超電導リニアの磁界は、ICNIRPガイドラインに適合している という趣旨の資料である。
これは、これで意味のある資料といえる。

しかし、1点、抜けている課題がある。

2回小委員会資料によれば、以下に示すように、車内静磁場の最大値は1.3mTとなっている。
この値は、ICNIRPのガイドラインに適合しているが、考えなければならないのは、医療機器への影響である。
特に、ペースメーカは静磁界1mTを超えると、心臓ペースメーカは初期値に強制的に設定されるなどの影響を受ける。
よって、1.3mTとある静磁界の状態でリニアが運転されれば、心臓ペースメーカ着用者は影響を受ける恐れが出てくる。
したがって、この点を勘案して、さらに低い静磁場の漏洩に抑え込まなければならない。

たぶん、あと一歩の改善で可能とは思うが、必須の改善事項と思われる。

 

中央リニアの開業にあたっては、室内静磁界最大値は1mTを超えないようにしなければならない。

2011
4月「「交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会答申(案)に関するパブリックコメント」」に、この旨のコメントを発信しておいた。


20131211日にJR東海が公表した「超電導リニアの磁界測定データについて」の報告書を読むと、以下の記述がありました。

(4)医用機器(ペースメーカ)等に対する超電導リニアの対応
車両、ホーム等通常人が立ち入る空間について、自主規制として厚生労働省のペースメーカ等の承認基準である静磁界1mTを守るよう、施設や車両の設計を行うこととしています。
 ・平成1932目 薬食発第0302004号 厚生労働省医薬食品局長通知(薬事法に基づく) 「植込み型心臓ペースメーカ等承認基準」
  27.6 植込み型パルスジェネレータは、 1mTまでの磁束密度の静磁場により影響を受けないこと」

私のパブコメだけではなく、たぶん、多くの関係者からの指摘があったからでしょう。

従って、今後は。図33はそのままでは利用できない図となります。

 

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4ICNIRP2008年声明文書に引用されていた日本のリニアモーターカーからの磁界等

記;2011−5−9

思いがけないところに、日本のリニアモーターカーの磁界に関する情報がありました。

掲載誌:Health Physics Society2008
ICNIRP Statement
ICNIRP STATEMENT ON EMF-EMITTING NEW TECHNOLOGIES

Superconducting MAGLEV
Superconducting MAGLEV systems are currently under development in Japan.
While they have been technically approved, these systems have not been put into commercial use.
They use superconducting magnets (SCM) for levitation, guidance and propulsion of the vehicle.
Therefore, a unique alternating magnetic field in the form of an extremely low-frequency, intermittent pulsed magnetic field is generated near the tracks by the moving SCMs on the vehicle.

A few measurements of MAGLEV have been conducted so far.
One report showed that the magnetic fields were between 45
μT (19.3 m from the SCM) and 268μT (7.5 m from the SCM), outside the vehicle.
The frequency of the magnetic field can be up to 6.4 Hz at 500 km/h (Sasakawa et al, 1998).

超電導方式のリニアモーターカーMAGLEV(JRが開発中)では、超電導磁石を使用する。
この超電導コイルの移動に伴って、変動磁界が生ずる。
報告によれば、磁界強度は超電導磁石から19.3m離れた地点では45μTBEMSJ注:地磁気の大きさと同準)、7.5mの距離では268μTである。
車両が時速500kmで走った時の周波数は6.4Hzである。

BEMSJ
注:この笹川らの1998年報告は、英文で書かれた報告書であるが、原著の複写サービスを行っているDBに所蔵されていなく、詳細は把握できませんでした。原文を読んでみたいものです。
たぶん、この報告は、静磁界のみに注目しているのだと思います。

HSST Trains
HSST uses resistive magnets for levitation and propulsion.
The first commercial line, named
Linimo, has been in operation since March 2005 in Aichi, Japan.
There is no report of magnetic field measurement inside a Linimo vehicle.
In a predecessor vehicle (H-200 type), the levels of stray magnetic fields were up to 1
μT for the static magnetic field at 10 cm above floor and 100μT for 10
20 Hz above its VVVF inverter (Mizuma and Kato 1999).

HSST
方式のリニアモーターカーはリニモとして2005年に商用開始している。
リニモからの磁界に関する報告はない。
このリニモの開発段階で、H-200での測定によれば、VVVFインバータの上の床上10cm静磁界は1μT1020Hzの磁界としては100μTであった(水間と加藤による1999年報告による)。

BEMSJ注:この水間と加藤の1999年論文は複写DBに依頼済みです。


追記:2011−5−15
水間と加藤の1999年論文を入手。

掲載誌:交通安全公害研究所報告 第27号 19993月発行
タイトル:電気鉄道からの放射磁界測定法とその評価法
研究者:水間毅、加藤佳仁

*上記のICNIRP声明に引用されていた「このリニモの開発段階で、H-200型での測定によれば、VVVFインバータの上の床上10cmで静磁界は1μT1020Hzの磁界としては100μTであった(水間と加藤による1999年報告による)。」という記述が、見つかりません。
もしかして、ICNIRP声明の誤りかもしれません


*HSSTからのデータは、以下の図(Fig 22)に示されるのみでした。グラフは対数目盛であり、縦軸が薄くて軸が読み取れません。
静磁界(DC)は0.5mT程度とどうにか読み取れます。
また、AC分(この論文では300Hzまでの交流分)は0.02mT(20μT)程度と、どうにか読み取ることが可能です。

    


*また、この報告書ではリニアモータ方式の地下鉄(鉄車輪による誘導方式、浮上しない)での磁界の実測値を紹介しています。
その図(Fig.18)を以下に示します。車両内のリアクトルの上の床面で測定したものです。リアクトルから大きい磁界の漏洩があります。
この図によれば、DC(静磁界)は床面で0.5mT程度である。床面から大きく離れると今度は架線からの影響が出てきている。
AC(300Hzまでの交流分)は、床面では0.05mT(50μT、500ミリガウス)となり、床面から離れると減衰し、100cmでは0.01mT(10μT、100ミリガウス)となっている。


関心のある方は、この原著を入手して読んでください。

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5.山梨リニア実験線でのペースメーカへの影響

記;2011−11−3

以下の記事が、読売新聞 中部版に掲載されていました。
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_k/linear/linear111102_1.htm
にあった内容 
一部の引用です。

***********    *************
なるほど!リニア 車両編 (5)ペースメーカOK

東海道新幹線は、全ての列車が16両編成で運行している。
JR東海が2027年に東京と名古屋の間で開業を目指す「リニア中央新幹線」も新幹線並みの16両近い編成となる見通しだ。
(略)
山梨実験線(山梨県)では、リニアの実用化に向けた様々な試験が行われてきた
例えば、心臓の動きを助ける医療機器「心臓ペースメーカ」は、車内で正しく反応するか。リニアの走行中は車両の周囲に磁界ができているが、
試験では、ペースメーカに誤作動は生じなかった。
携帯電話やインターネット通信も、車内では磁界の影響は受けないといい、設備が整えば、乗車中の通話や通信もできるようになりそうだ。

2011112日 読売新聞)

 

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6.中央リニアに関する衆議院での議論から

記;2012−11−29

衆議院での議論の中に、中央リニアの電磁波に関する質問と、回答がありましたので、抜粋して紹介します。


******************************
平成221019日提出
質問 第 70
リニア中央新幹線計画に関する質問主意書
提出者 中島 隆利

3リニア山梨実験線において運転中のリニア車両の電磁界について、座席、通路など乗客の利用箇所での計測値を、強度と周波数の両方について、また、走行中の磁場の周波数の変動について、それぞれの速度に応じた数値を示していただきたい。
実用線において変化が想定される場合は、その数値も明らかにされたい。
また、リニアの駅のホームにおいて、線路際から近い位置の車両がある場合とない場合の電磁界の数値を明らかにしていただきたい。
さらに、実験線の乗務員の健康調査は行ったのかどうか。行っている場合には、その結果を明らかにしていただきたい。

平成221029日受領
答 弁 第 70
内閣衆質17670

  平成221029
衆議院議長 横路 孝弘殿
内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 仙谷 由人
衆議院議員中島隆利君提出リニア中央新幹線計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

一の(3)について
山梨実験線における超電導磁気浮上式鉄道(以下 「超電導リニア」という。)に係る電磁界の測定結果に関する資料は、国土交通省から、本年4月に開催された第二回の交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会(以下 「交政審小委員会」 という。)に提出し、現在、同省のホームページに掲載しているところである。

また、JR東海によると、山梨実験線で勤務しているJR東海社員については、年一回以上の健康診断を実施しており、その健康状況について、電磁界に関係する特記すべき事柄や医師からの指摘はないとのことである。
*************************************

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7201312JR東海の公開磁界測定報告について

記:2014−3−30

2013
1211日にJR東海が公表した「超電導リニアの磁界測定データについて」の報告書をJR東海のWEBからダウンロードしました。
この報告書を読むと、素人目にも、データの不備というか疑問点が沢山、出てきました。
以下に疑問点などを列記します。
この疑問点に関する補足の情報が入手できれば、順次、修正・加筆していきます。

1
)参考資料2に掲載されているグラフからの数値の読み取りに疑問

71

測定器2は、明記されていないが、外観と仕様値からNARDAELT400と推定することができる。

赤線で囲んだ部分の拡大図を以下に示す。

 

  図7−2

 

このグラフに多々疑問がある。
3
軸測定から合成実効値を出しているが
1
)磁界の測定値は、静磁界も含めて測定しているはずであるが、磁界が検知される前もゼロとなっている。
地磁気として50μT程度は存在する。
この測定では、この地磁気の分は、測定器をオフセットして測定を行っているのかもしれない。 要確認である。

2
)大きな磁界発生後の最後の部分では直流成分だけになっている部分を見ると
画像が不鮮明で良く見えないが、X,Y,Z軸成分はそれぞれ0目盛、0.4目盛、0.4目盛、合成実効値は1目盛になっている。
この割合を3軸合成として二乗の和の平方根を取ると合成値は0.6目盛程度になるはが、なぜか合成値は1目盛となっている。

もしかして、画像は不鮮明で良く見えないが、X,Y,Z軸成分はそれぞれ0目盛、0.4目盛、1.0目盛、合成値は1目盛になっているとも見える。
この割合を3軸 合成として二乗の和の平方根を取ると、合成値は1.08目盛になるはず。
合成値は目盛1より少し離れていても良いはず。

いずれにしても、より鮮明な画像で要確認となる。

3
)大きな磁界が発生している区間を見ると、各軸の磁界の瞬時値を二乗し、和を求め、その平方根として3軸合成値の瞬時値を得たものと思われる。
この測定された磁界は、静磁界に交流磁界が重畳した形になっている。

XYZ
各軸の変化はグラフが不鮮明で良く見えないが、お互いに位相が反転していて打ち消しあうことにはなっていないと見える。

別項:参考情報にあるように、静磁界と交流磁界が重畳している場合は、静磁界の大きさは、75μTから50μTに変化している。
先頭車両と最後尾車両から(?)の静磁界漏洩が75μTと読める。

交流磁界の大きさは、重畳している静磁界に対して交流磁界の方が大きいので、図にあるピーク値184μTのルート2分の1の約130μTと読むことができる。

JR東海の報告書を見ると、静磁界も交流磁界も共に184μTと読み込むことにしているようである。
これはこれで、最悪の方向に読み取るというスタンスとしては、不正解ではない。


交流磁界の周波数は?XYZ各軸の測定データの変動の周期T1に対して、参考情報の項にもあるように、プラスとマイナスの両方向に振れて変動する磁界の瞬時値を二乗して和を求め、その平方根を求めれば、その変動の周期は半分のT1/2になるはずである。
しかし、図72を見ると、XYZ各軸の測定データは、8回の繰り返しとなり、3軸合成値の変動データも8回の繰り返しとなっている。
測定データには、どのような高調波が含有しているのであろうか?
XYZ各軸の測定データから正確に合成値を算出しているのであろうか?
疑問である。この疑問を解かない限り、他の、全てのこの報告書の記述は疑問だらけとなる。


2
.データ(測定地点1)の測定結果の纏めに疑問

73

 

3)測定器2によるICNIRPガイドラインに対する比の総和の値は24%となっている。
この測定結果が正しいと仮定する。

500km
走行時の測定器1による測定結果は0.19mTである。
500km
走行時の交番磁界の周波数は5.7Hzであり、5.7Hz に対するICNIRP基準値は1.2mTである。
単純に計算すると0.191.216 %となり、測定器2の値と合致しない

1
3)に述べたように0.19mTは静磁界に交流磁界が重畳した磁界から、ワースト側に評価して得られた値であり、交流分だけを抜き出した場合は、ルート2分の1になるはずである。
交流分は013mT程度であるとすれば、そして、交流分には大きな高調波成分はないとすれば、ICNIRPガイドラインとの比の総和は0.131.211%程度になる。
よって、測定器1の値と、測定器2の値が乖離している。

「準備書予測値と準備書実測値そして今般の測定器1による実測値は一致している」と述べているが、以上の疑問から、そうした記述に疑いがかかる。
準備書予測値の信頼性が疑われることになる。

3
.データ 測定地点2でも上記と同じ疑問がある。

4
.データ 測定点4でも上記と同じ疑問がある。
この場合は測定器1と測定器2の間に10倍もの乖離がある。

5.データ 測定点5 でも2と同じ疑問がある。
この測定では測定器2による測定結果は37%にも及ぶ。
ICNIRP
37%と言った高い割合での電磁波曝露は、ICNIRPに合致しているとはいえ、気にする人は気にするであろう。
電磁波は危険と騒ぐ人は、こうした高曝露を追及してくるかもしれない。
この測定点はリニアが走行する高架の真下にある道路であり、一般公衆が通る。

6
.測定器1と測定器2のデータの乖離の原因として、想像できるのは、測定器12を並べて配置して、測定器1から漏洩する交流磁界を測定器2で拾っていることです。
測定器1はたぶん、バッテリーでの動作でしょう。測定器2はもしかして、AC100V 電源での動作かもしれない。

これらの疑問点が明確になってから、適当な形で、JR東海の報告書の内容をまとめてみる予定です。

***参考情報************
1
.静磁界と交流が重畳している場合の測定データのグラフの波形の例

 

図7−4

 

静磁界が0.4、交流磁界のOP値を1.0とした場合、静磁界(DC)と交流磁界(正弦波 A)をそれぞれ二乗し、総和を獲て、平方根で求めた合成波形を示す。
合成波は2倍の周波数で変動し、静磁界が重畳していることが判る。

もし、測定データとして上記のような合成波が得られたとすれば、このデータからは、変動している部分の最小値をもって静磁界分とする。
交流磁界分に対して静磁界が小さい場合は、簡略的な方法で、厳しい方向への評価として、変動している瞬時値の最大ピークに0.707を乗じて交流磁界の実効値を得ることになる。

2
.位相や周波数の異なる交流の合成

 

図7−5

 

基本波に対して、2倍の周波数が加算された場合の合成波形

合成波形は基本波の2倍の繰り返し周波数となる。

 

図7−6

 

基本波に、位相がずれた同じ周波数の波形を加算した場合の合成波形

同じように、合成波形は基本波の2倍の繰り返し周波数となる。

 

********************

 

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8.荻野晃也の講演に見る強い静磁界に関する論の誤り

記;2014−3−30

学習会『電磁波とリニア新幹線問題』  2014222日 日比谷図書文化館で開催    
荻野晃也の講演レジメから抜粋

****************
静磁界の問題:リニアの車内には強い超伝導磁石がありますから、その静磁界の影響問題がまず心配になります。
磁石の表面では1T=10,000G(ガウス)もあり、それを遮蔽するためもあって新しい「LO車体」では床を厚くしました。
静磁界の強度は世界中の自然界にも0.05mT前後(500mG)ぐらいありますが(山梨実験線周辺では0.04mTです)、それ以上の強い被曝を人類は今まで経験していないはずですが、ICNIRPなどでは400Tまでは安全だとしていますから、その差は何と1万倍もあります。
*****************

ここで、荻野は「静磁界」として地磁気の0.05mTを超える磁界への人類の曝露は今まで未経験と言っている。
はたしてそうであろうか?

以下は東急ハンズのサイトで市販していた磁石、直径5mmで250mTの磁石。


 


ビップエレキバン  Wikipediaによる解説
**********************
肩こり、腰痛などの筋肉硬化症の患部に直接貼る。
80
mT(800ガウス)の磁気が血行を促進し凝りの解消を促すと同社が効能を謳っている。
ピップエレキバンA130mT、ピップエレキバンEX180mT、ピップエレキバンZ190mTある。
***********************

以下は磁石の専門製造会社である二六製作所のサイトにあったネオジウム磁石の例です。
直径2cm程度の、価格も84円と低価格な400mTの磁石が売られている。


 


以上の例にあるように、ITまでは届かないが磁気マグネットなどとして100mT,250mT,400mTといった磁石が世の中で使用されていることが判る。
従って、荻野晃也の論は、不正確と言うか、誤りと言える。


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9.ガウス通信131号(201528日)に掲載されたリニアの磁界に関する記事の誤り

記:2015−2−23

*以下の記事が掲載された。
JR
東海が発表した中央リニアの磁界調査結果に「リニア客室@50μテスラ、リニア客室A370μテスラとある。変動磁界の周波数を公開していないので、これらの値を50Hz と仮定して、ICNIRP2010年ガイドライン値200μTと比較すると客室でもガイドラインを超える磁界曝露となる。」とある。

 

 

*ガウス通信が取り上げたJR東海の報告書の当該の頁を以下に示す。

 

 

BEMSJの検証

ガウス通信で「リニア客室@50μテスラ、リニア客室A370μテスラとある。」は、JR東海の報告書にある「測定器1による静磁界、 客室@0.05mT(=50μテスラ)、客室A0.37T(=370μテスラ)」のことである。静磁界で370μテスラと謳っているので、これは周波数ゼロの直流磁界のことと、明白に周波数のことを記載している。
よって、ガウス通信の記述は大きな誤りとなる。
直流の磁界に関するICNIRPのガイドライン値400mTと日比較して、客室Aの0.37mTは十分に小さい、と判定することになる。


それでは、ガウス通信の著者がたぶん気にしていると思われる変動磁界に関しては、どのようにJR東海の報告書を読み込むか?
JR
東海の報告書には、一般向けに懇切親切な記述がなされてはいない。「ICNIRPの規定に従って測定」「使用測定器21Hz から400kHzの周波数帯域で、その結果はガイドライン値に対する比率であらわす」となっている。

BEMSJ
がみると、使用して測定器は、JR東海の報告書に記載の写真から、NATDAELT-400と判定ができる。
そしてこの測定器は1Hz以下の変動磁界と直流磁界はカットされるが、1Hz以上の変動磁界を測定し、周波数によって異なるガイドライン値に応じて、其々の周波数ごとのガイドライン値に対する比の総和を測定できるものである。

例えば  周波数  ガイドライン値  磁界測定値  比率
     10Hz     500μT     100μT   20%
     50Hz     200μT      50μT   25%
  NARDAの測定器はこれら複数の変動磁界を測定し、ガイドラインに対する総和の比として45%という値を測定結果として表示する機能を持っている。

従って、1Hz以下の変動周波数に関しては、不詳であるが、1Hzを超える変動磁界に関しては、JR東海の測定結果「測定器2による 客室A3.3%」をみれば、変動磁界がICNIRPガイドラインに適合していることがわかる。

JR
東海の報告書では、変動磁界の周波数は5Hz 程度ともあるので、ICNIRP2010年ガイドラインでの5Hzのガイドライン値は1mTである。5Hz以外の変動磁界がないと仮定すれば、3.3%の値から5Hz であれば、0.033mT33μTが発生しているとわかる
もしこの3.3%が、発生磁界が50Hzだけであるとすれば、ガイドライン値は200μTであるので、磁界の大きさは6.6μTであると推定することができる。

ガウス通信の著者や読者にもわかるように、JR東海の報告書は、もう少し懇切丁寧に記述すべきである。

 

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10.中央リニア反対に関する裁判 電磁波も争点の一つ

 

1)裁判の開始

http://web-asao.jp/hp/linear/
ストップ・リニア!報道資料.pdf にあった情報から一部引用
電磁波も論点の一つになっている。

*******************
ストップ・リニア!訴訟記者会見資料                         2016.5.20発表

本日(2016年5月20日)午後1時30分、東京地方裁判所に、「平成26年10月17日、国交大臣がJR東海に対して行った、全国新幹線鉄道整備法に基づく中央新幹線工事 実施計画の認可処分の取消しを求める訴訟」(通称:ストップ・リニア!訴訟)を提起しま した。

(3)訴訟の内容    
訴訟で争う点は以下2点に集約されます。
項目として、沿線全体で問題が発生する可能性が高い。
@全国新幹線鉄道整備法及び鉄道事業法違反
(略)
A環境影響評価法違反
■地下水脈の破壊、■不明な残土処理対策、■工事車両による騒音、振動被 害など生活環境影響。走行の安全対策の不備、■南アルプスを中心とする自 然破壊、■電磁波の健康影響の危険性、■あかり部の日照や景観被害など
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BEMSJ
注: 電磁波の健康影響が争点の一つになっているので、今後もこの裁判を追いかけていきます。

 

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10A.懸樋の裁判における意見陳述に間違い

 

https://stoplinear.hatenablog.com/entry/2019/12/24/225901 にあった情報の一部引用
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stoplinear
のブログ

2019-12-24
意見陳述「電磁波問題」リニア裁判

20日のリニア裁判で電磁波問題の意見を陳述しました。

意 見 陳 述
2019(令和元)年12月20日
東京地方裁判所民事第3部BA係 御中
              原告   懸樋 哲夫 印

原告の懸樋哲夫と申します。
準備書面29を要約して説明させていただきます。
JR
東海は磁界に関する情報を隠し、測定値を明らかにせず、安全性の説明をしないままリニアを走らせようとしています。

また磁界に関する国際ガイドラインを定められているICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)の適用についてその元にあるWHO(世界保健機構)の勧告を意図的に都合の良いように解釈し、リニアの磁界のリスクをないことにしていることです。

磁界のリスクについては、国際がん研究機関・IARCが、低い強度(0.3-0.4μT 以上)の商用周波の磁界への毎日の慢性的ばく露が小児白血病のリスク上昇と関連していることを、疫学研究は一貫して見出している。

国際がん研究機関(IARC)は、そのような磁界を「発がん性があるかもしれない」(2B)と分類しています。

この事実はJR東海の説明資料にも表れていますが、その後の解説で「磁界と小児白血病の因果関係は確立されておらず・・・・・>(環10-3-14)とし、この事実を消そうとしています。

IARC
(国際がん研究機関)がその可能性を指摘している磁界の発がん性の可能性のレベルは0.4マイクロテスラという低い数値です。これはIARC20016月に報道発表しています。

そしてリニア実験線の測定値は、数値は静磁界で0.43mT430μT)とあるのみです。
ここで周波数が明らかにされていないことが問題になります

これを仮に50ヘルツの変動磁界でも同じ強さだとすればICNIRPの基準は200μTなので、甘いICNIRPの基準さえ倍以上超えてしまっている、と見えます。
これが事実であるかどうか、JR東海の説明では周波数が隠されているので不明なのです。

これらの事実から、JR東海はリニア新幹線走行の安全性についてその論拠を示さず、説明をしていない、ということになります。
次にWHOも勧めている予防原則についてです。
(略)
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注:以上の意見陳述は、「現行通り読み上げた・・・・」と付記されて、「ガウス通信161号 2020年2月14日」に記載された内容と同一である。


BEMSJ
注:赤字の部分は論理的におかしい。
JR東海の測定値が「静磁界で0.437mT」といっているのであれば、これは「周波数がゼロの静磁界(直流磁界)で0.437mT」と言っていることである。
静磁界は直流磁界、周波数ゼロの磁界と同義語である。
「周波数が明らかにされていないことが問題・・・・」と言っている懸樋の意見陳述は全くの的外れで、被告のJR東海側から簡単に論破されて、おしまいになるでしょう。
このレベルでは、原告側は「リニアの電磁波・・・・」で争うことは、できないでしょう。
「電磁波・・・・」を打ち出すのであれば、もっと明確なJR東海が困惑するような事柄を持ち出す必要があるでしょう。

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