高周波電磁界に関するコーナー (2)


無線LAN、電力線通信、RFID等の電波に関する解説です。          

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1. 無線Lanにおける近傍電磁界曝露の推定
2. 無線Lanにおける近傍電磁界曝露の推定―補足
. ブルートゥースからの電波
4. 無線Lan機器などに適用する欧州の規定 
5. 無線LAN機器からの電波による人体曝露に関して、インテルのWEBにあった注意書き
6. パソコンに搭載された無線LANからの電波によるSARなどの研究
7. 総務省の2004年の報告から
8. 電力線通信
9. RFIDの医療機器への影響
10.ザルツブルグで無線LAN使用に制限
11.カナダの大学で無線LAN使用の制限
12.2007年5月のBBC放送
13.ドイツでは学校で無線LANを使用しないことを勧告?
14.微小電力機器からの電磁界曝露
15.WIFIが航空機に電磁干渉
16.新生児に無線発信機導入2006年の週刊金曜日の記事

 

 


 

---

 

1.無線Lanにおける近傍電磁界曝露の推定

電磁波の健康影響への不安から、無線Lanに関する不安の声も聞こえる。そこで、無線Lanのアンテナの周辺における電磁波(電波)の強さを推定してみた。

1) 室内、卓上アンテナの場合 (コリニアアンテナ) 
アンテナとして、Brantブランドの卓上無線Lan用コリニアアンテナを対象として、計算を行なった。
送信出力は10mWに規制されている、とした。 
アンテナの長さは25cm、 アンテナ利得は4dB=2.51倍である。

説明: image007Brantのカタログより


電波防護指針などによるコリニアアンテナの電波曝露指針への適合方法は、」
近傍界と遠方界の境目を 
 R=0.6h*h/λ (m)  としてある。 
hはアンテナの長さ 
2400MHzの電波の波長λは 300/2400=0.125m であるので 
これより R=0.6*0.25*0.25/0.125=0.3mとなる。 
30cmより近い距離では近傍界として、30cm以上アンテナから離れた場所では遠方界として計算することになる。

近傍界の電力密度Sの推定は
S=P*K/(20πRh)   mW/cm2    ここで K:反射係数=2.56である。 
P: アンテナの送信電力  R:距離   で計算できる。 

遠方界の電力密度Sの推定は 
S=P*G*K/(40πR*R)  mW/cm2  ここで K:反射係数= 2.56   
G: アンテナの利得


以上の計算式で計算した結果は以下の表となる。

距離 m

電力密度

  mW/cm2

電力密度

 W/m2

電界強度

 V/m

0.02

0.0815

0.815

17.53

0.03

0.0544

0.544

14.31

0.05

0.0326

0.326

11.09

0.10

0.0163

0.163

7.84

0.20

0.0082

0.082

5.54

0.30

0.0054

0.054

4.53

0.30

0.0057

0.057

4.63

0.40

0.0032

0.032

3.47

0.50

0.0020

0.020

2.78

0.75

0.0009

0.009

1.85

1.00

0.0005

0.005

1.39

1.50

0.0002

0.002

0.93

2.00

0.0001

0.001

0.69

 

限度値:1mW/cm2  電界換算 61V/m 

従って、この程度の無線電力の場合は、アンテナに2cmまで近づいても大きな健康影響があるとはいえない。 

BEMSJからのお願い: 
無線LANの場合、無線電力の最大は10mWに制限されていると聞きました。その正確な論拠を教えてください。 (この件に関しては以下の補足を参照してください)

 

用語解説: 反射係数
ある地点において、アンテナから発信される電波の強さを評価するとき、その地点にアンテナから直接やってきた直接波と、大地などで反射してきた反射波とが、重なり合って強くなったり、打消しあって弱くなったりすることがある。 これは電波には「波」の性質があるからである。
 
うまく重なり合えば2倍の強さになる。 過去の経験などから周波数が高いとき、ここで論議をしている2400MHzといった電波の場合は、最大で電圧(電界強度)が1.6倍になることが多かった。 そこで電界強度は直接波の1.6倍になるという条件が一般的に採用されている(電波防護指針も、アメリカのFCCの指針も同じ考えになっている)。

電界強度が1.6倍になるということは、その地点での電力密度は電界の2乗に比例するので、2.56倍の強さになる場所があるとして、計算を行なうことになっている。


反射係数は、基本的には遠方界と呼ばれるアンテナからある一定以上離れた場所では現実味がある。 近傍界では反射の影響は無視できるのであるが、電波防護指針などで、机上計算である地点での電界強度や電力密度を見積もるときは、厳しいほうに計算をしてみることが一般的なので、あえて近傍界の計算式にも反射係数が含まれている。

 

2) 室内、卓上アンテナの場合 (平面アンテナの場合―1) 

 アンテナとして、Brantブランドの卓上無線Lan用平面パッチアンテナを考えた場合、
送信出力はおなじく、10mWに規制されている、として
カタログから、アンテナ利得を9dBi=7.94倍とする。


        説明: image008Brantのカタログから引用

 


電波防護指針などによるパッチアンテナの電波曝露指針への適合方法は、
λ/2πより遠方の場合は 点源とみなして 以下の式で計算・推定を行うことになっている。
波長は0.125mであるので、2cm以上アンテナから離れた地点では次の推定式を使用する。

電磁界の電力密度Sの推定は、
S=P*G*K/(4R*R)  mW/cm2   ここで K:反射係数=2.56 
 G: アンテナの利得
  計算結果は 

距離 m

電力密度  mW/cm2

電力密度 

W/m2

電界強度

 V/m

0.03

1.7982

17.982

82.34

0.04

1.0115

10.115

61.75

0.05

0.6473

6.473

49.40

0.10

0.1618

1.618

24.70

0.13

0.0958

0.958

19.00

0.15

0.0719

0.719

16.47

0.20

0.0405

0.405

12.35

0.30

0.0180

0.180

8.23

0.40

0.0101

0.101

6.18

0.50

0.0065

0.065

4.94

0.75

0.0029

0.029

3.29

1.00

0.0016

0.016

2.47

1.50

0.0007

0.007

1.65

2.00

0.0004

0.004

1.24

となった。  限度値:1mW/cm2  電界換算 61V/m 

この計算結果を見れば、4cm以内にアンテナに近接すれば、限度値を超えるという結果である。 単純に考えれば、こうした平面パッチアンテナを机の上に置いて、室内で無線LANを行なっている場合は、人は4cm以内に近接してはならない、ということになる。 4cm以内に人が近づけば、アンテナからの電波は人の体に邪魔されて、本来の目的であるLANの相手側の受信アンテナに届かなくなり、無線LAN回線断となる。 実質的に回線断となるような場所に人は近接しないと思われるので、実質的な問題はないと思われる。


電波防護指針の考えでは、こうした推定法で指針値に適合しない時は、実測などを行って、過剰ではない、正当な評価を行なう ことになっている。 しかし、この小型のアンテナに2cm、3cmという近距離で正確に電界強度を実測できる測定器はあるのだろうか?  疑問でもある。
この問題は、どのように考えるべきか???

ICNIRPなどでは、周波数が10MHzを超えた場合は、遠方界の規定を、近傍界に適用することが出来る、過剰側に立脚する立場であるが、 という考え方がある。 この観点に立って、電波法・電気用品では、遠方界の規定値を、電子レンジから漏洩する電波を機器から5cmのところでという近傍界に適用することを定めている。 

BEMSJからのお願い: どこかアンテナメーカや研究機関で、こうしたパッチアンテナの近傍電磁界を測定したり、シミュレーションしたりしたケースがありましたら、教えてください。


3) 室内、卓上アンテナの場合 (平面アンテナの場合―2) 

同様な平面アンテナをメルコも販売している。 型名は WLEーDA である。
この場合の利得は3mのケーブル損失を含んで 4dBi=2.51倍となっている。

電磁界の電力密度の推定は
S=P*G*K/(4R*R)  mW/cm2     K:反射係数 2.56    G: アンテナの利得   
計算結果は

距離 m

電力密度 

 mW/cm2

電力密度

 W/m2

電界強度 

V/m

0.03

0.5684

5.684

46.29

0.04

0.3197

3.197

34.72

0.05

0.2046

2.046

27.78

0.10

0.0512

0.512

13.89

0.13

0.0303

0.303

10.68

0.15

0.0227

0.227

9.26

0.20

0.0128

0.128

6.94

0.30

0.0057

0.057

4.63

 

この場合は何とか規定の1mW/cm2に収まる。

ケーブルの損失があるので、アンテナの利得が実質的に小さくなっているから、規定にはまるようになっていると考えることができる。

 

4) 室外無線LANアンテナ、多素子八木アンテナの場合   

無線Lan用八木アンテナを設定:

アンテナハンドブックの記載に基づいて エレメント直径は 0.0085λより 直径 1.06mmとした。
リフレクタは1本だけとし、長さは0.475λより 6cmとした。ラジエータとの間隔は0.20λより3cmとした
ラジエータは、長さ0.466λより 5.8cmとした。
1から第3のディレクタは、長さ0.424λより 5.2cmとした。
素子間の間隔は、ラジエータとすべてのディレクタの間は、0.308λより 3.85cmとなるが、計算の便宜上4cmとした。
第4から第25のディレクタは、長さ0.390λより、4.8cmとした。

これによって、ほぼ良好な指向性が得られた。
給電点のインピーダンスは 38.3+J36オーム  マッチングは考慮しない、
利得は17.9dbBi となった。 

 

同じ27素子のBrant社のアンテナの利得は19dBi である。

もう少し エレメントを調整すれば19dBiまでいくかも知れないが、今回はそこまでは挑戦しないで終った。 

空間は、付近に何もないFree Spaceとした。

エレメントの損失も無視した。 無線Lanの電力は10mW。
以上の条件下で、アンテナと同じ水平面で先端から距離をX軸上に取ったときの電波の強さを計算した。 同時にエレメントの下部20cmにおける近傍界をおなじく X軸上に距離をとって計算した。

その結果は 

距離

X  (m)

距離

Y  (m)

距離

Z  (m)

電界強度 V/m

電力密度 W/m2

電力密度mW/cm2

0

0

0

 

 

 

0.2

0

0

 

 

 

0.4

0

0

 

 

 

0.6

0

0

 

 

 

0.8

0

0

 

 

 

1

0

0

 

 

 

1.2

0

0

7.185

0.1375

0.01375

1.4

0

0

5.066

0.0682

0.00682

1.6

0

0

3.997

0.0424

0.00424

1.8

0

0

3.325

0.0294

0.00294

2

0

0

2.857

0.0217

0.00217

2.2

0

0

2.508

0.0167

0.00167

2.4

0

0

2.238

0.0133

0.00133

2.6

0

0

2.022

0.0109

0.00109

2.8

0

0

1.844

0.0090

0.00090

3

0

0

1.696

0.0076

0.00076

3.2

0

0

1.570

0.0065

0.00065

3.4

0

0

1.462

0.0057

0.00057

3.6

0

0

1.368

0.0050

0.00050

3.8

0

0

1.285

0.0044

0.00044

4

0

0

1.212

0.0039

0.00039

4.2

0

0

1.147

0.0035

0.00035

4.4

0

0

1.089

0.0031

0.00031

4.6

0

0

1.036

0.0028

0.00028

4.8

0

0

0.988

0.0026

0.00026

5

0

0

0.944

0.0024

0.00024

0

0

0.2

1.672

0.0081

0.00081

0.2

0

0.2

1.716

0.0072

0.00072

0.4

0

0.2

2.057

0.0098

0.00098

0.6

0

0.2

2.107

0.0102

0.00102

0.8

0

0.2

2.006

0.0087

0.00087

1

0

0.2

1.217

0.0055

0.00055

1.2

0

0.2

0.856

0.0027

0.00027

1.4

0

0.2

2.586

0.0178

0.00178

1.6

0

0.2

2.804

0.0209

0.00209

1.8

0

0.2

2.651

0.0187

0.00187

2

0

0.2

2.435

0.0157

0.00157

2.2

0

0.2

2.225

0.0131

0.00131

2.4

0

0.2

2.038

0.0110

0.00110

2.6

0

0.2

1.875

0.0093

0.00093

2.8

0

0.2

1.733

0.0080

0.00080

3

0

0.2

1.610

0.0069

0.00069

3.2

0

0.2

1.502

0.0060

0.00060

3.4

0

0.2

1.407

0.0053

0.00053

3.6

0

0.2

1.323

0.0046

0.00046

3.8

0

0.2

1.248

0.0041

0.00041

4

0

0.2

1.181

0.0037

0.00037

4.2

0

0.2

1.120

0.0033

0.00033

4.4

0

0.2

1.066

0.0030

0.00030

4.6

0

0.2

1.016

0.0027

0.00027

4.8

0

0.2

0.971

0.0025

0.00025

5

0

0.2

0.929

0.0023

0.00023

 

この結果から、八木アンテナに近接しても、 最大でも0.01mW/cm2であり、問題はない

 

以上の検討から、無線LANからの電波(電磁波)に関しては

1.送信電力が10mW程度であれば問題はない。 送信電力が大きくなるのであれば厳密な検証が必要となる。
2.アンテナの利得が今回の計算に使用した以上に大きくなれば、そうした高い利得のアンテナが開発されれば、厳密な検証が必要となる。

ということができます。

5) コレガ社のWEBにあった無線LAN用アンテナ 


これはダイポールアンテナの様ですが、ダイポールアンテナで利得が5dBi とは?


http://www.corega.co.jp/product/list/wireless/wlantodag.htm 
      説明: image006


アンテナの仕様は 
指向性: 無指向性アンテナ
周波数帯域: 2.412GHz2.484GHz(中央周波数表示)
        : 5.170GHz5.230GHz(中央周波数表示)
アンテナ利得: 平均 4.5dBi / 最大 5dBi  となっています。
  このアンテナに関しては、これまでのような計算は割愛します。 利得が少し高いのが気になります。

 

2.無線Lanにおける近傍電磁界曝露の推定―補足

 

このWEBをみた専門家の方からアドバイスを戴きました。
「 2.4GHz帯無線LANは電波法上『小電力無線局』の一種ですが,空中線電力は電力密度で規定されており,その規格値は10mW/MHz以下(許容誤差は+10%,−80%)となっています。 
これまでの他の小電力無線局が総電力で規定されていたのに対し,無線LANでは1MHz当たりの電力で規定されているところが大きく異なっています。 

これは,無線LANがSS(スペクトラム拡散)方式を採用しており,送信波のスペクトラムが広い帯域に広がっていますので,1MHz当たりの電力で表す方が妥当であるという考え方です。あくまでも周波数共用のための空中線電力規制ですので,『拡散帯域が広い場合は総電力が多くなり,電磁波曝露上好ましくない』というような懸念はありません。

法規上の無線LANの拡散帯域幅は26MHz以下なので,計算上の最大空中線電力は312mW(=10mW/MHz×26MHz×1.2)となります。ここで,×1.2は許容偏差が最大の20%のときを意味しています。 
実際の送信波のスペクトラムは矩形ではなく,拡散帯域幅も20MHz程度なので,これほど大きな値にはなりません。

また,コスト制限やチップセット(ほとんどの2.4GHz帯無線LANはI社の半導体を使用しているので、この半導体の能力(定格)から,空中線総電力は20〜50mWが現実的な数字になっています。 

なお,最大値が10mW/MHzのときに,理論的なスペクトラム波形の総電力を計算すると,約100mWになります。」 
という情報を、このページを見たという専門家の方から、戴きました。 

こうしたことから、無線Lanの送信電力は 
上記に記したように最大10mWではなく、最大では100mW程度になるものがあってもおかしくないことになります。 
100mWの電力ともなれば、アンテナの近傍の電磁界は上記計算の10倍となり、ちょっと健康影響の観点から注意しなければならなくなります。 

総務省の電波防護指針によれば、法的に、平均電力が20mW未満であれば、指針に適合している(すなわち大きな健康影響はない)ことになります。 
一部の無線Lan機器は、このことを念頭において、送信電力は20mW以下であるとカタログに記載している例もあります。

無線Lanからの電磁波の健康影響を気にされる時は、以下のような手順で、無線Lanからの電磁波の曝露を考えればよいようです。
1.使用されている機器の送信電力の大きさを確認しましょう。 
 総電力が20mW以下であれば、ひとまず安心できます。 

2.無線Lanからの総電力が20mWを超える場合は、機器のメーカなどに確認を取りましょう。
総務省の電波防護指針に適合しているのか? 
適合しているのは送信アンテナから最低何センチ以上離れた場所か・・・・と。 
そして、その規定された距離以内にアンテナに近づかないように注意しましょう。 

2005−7−7の追記

参考までに、WEBをチェックしました。 秋葉原にある愛三電機というネットワーク機器を販売している会社のWEBで、販売している各社の無線LAN機器の送信電力の仕様値を調べました。URLは http://www.aisan.co.jp/ です。

*日本無線 送信出力 10mW/MHz で、平均出力の数字はない。
*Cisco 送信電力の選択が可能 最大は30mW(15dBm)まで 1mWも選択可能。
            これは場合によっては、20mWを超えている。
*Orinco 最大出力電力 17dBm(40mW)  これも場合によっては、20mW以上となる。
というレベルです。


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3.ブルートゥースからの電波

1) ブルートゥースとは

2000年12月に開催された第29回日本産業衛生学会VDT作業研究会で、講演がありました。
それによると、

「今年の春テレワーク人口は日本で246万人になったと調査結果が報告されました。 またブルートゥースは規制の無い帯域の電波を利用して、無線により短距離のデータ・音声通信を可能とする世界共通仕様で,2002年以降には、パソコンや携帯電話、家電機器などの環境を激変させると言われています。

□ 日 時: 平成12年12月15日(金) 10:00〜16:00

 ************  ***************

13:00〜14:00  ■ 招待講演「ブルートゥースとは何か?やさしい解説と最新動向 」 講師 酒井五雄さん(東芝) 

<<概要: 配布資料なし。

*2.4GHzの無線で端末機器間を相互接続する。 インターフェースの規格。

*発信出力は 基本的に1mWの出力。 マスタ(どれかがマスタになる)とスレーブ計7台を相互に接続する。 時間配分を決めて相互に無線通信を行なうので。 従って作業者が同時に7x1mWの無線電波を浴びることはない。

 携帯機器は、基本的に1mWに限定。

*高出力100mWのものもある。 これは基本的に据え置き型の機器に限定の予定。

 

2) この話から 以降は筆者のコメント

*このブルートゥースの電波発信電力が1mWであれば, 上記無線Lanの解説にある10mWより低いので、 無線Lanの場合の計算例に対して、 電力密度は10分の1、電界強度は3分の1と小さくなるので、 ブルートゥールスの無線送信アンテナに近接したとしても、問題はない。 

*ブルートゥースを高出力100mWの据置型を利用するとすれば、 そして送信アンテナとして、上記無線Lanの解説で使用したような利得の高いコリニアアンテナや平面パッチアンテナを利用したとすれば、 それらの無線送信アンテナの近傍における電波の強さは、上記無線Lan(10mW)の計算例に対して、電力密度では10倍、電界強度では3倍となる。 そうなれば、アンテナの指向性や利得を考慮して、厳密な評価を行なう必要がある。 

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4.無線Lan機器などに適用する欧州の規定

 

欧州規定 EN50371 発行:March 2002

Generic standard to demonstrate the compliance of low power electronic and electrical apparatus with the basic restrictions related to human exposure to electromagnetic fields (10 MHZ - 300 GHz) -General Public
低電力電子・電気機器が、10MHzから300GHzの一般公衆への電磁界暴露に関する基本制限に適合していることを証明するための一般規則

3.10 Emitted power
The total power emitted by the device in the form of electromagnetic fields.
NOTE
For transmitters that use antennas the total power is irrespective of antenna gain.
送信電力の定義
デバイスにより輻射する電磁界の全電力を送信電力とする。
アンテナを使用する送信部にあっては、全送信電力はアンテナ利得には無関係とする。

Annex A (informative)
Justification for Compliance Criteria
参考情報としての補足A 適合性確認のための判定 

A.1 Justification for compliance criterion in the frequency range 10 MHZ to 10 GHZ
周波数10MHzから10GHzにおける適合性確認のための判定

The justification for this criterion is that the most stringent basic restriction at frequencies between 10 MHZ and 10 GHZ is on localized SAR in the head. Any device with output power below 20mW cannot produce an exposure exceeding this restriction under the most pessimistic exposure conditions.

頭部の局部SARに関して、10MHzから10GHzの周波数範囲で最も厳しい基本制限で、判定する。送信電力が20mW以下である全ての機器は、もっとも悲観的な条件下でも基本制限を越えない。

The simplest and most conservative assumption is that all the transmitted power is absorbed within 10g of tissue (see 4.1). The basic restriction is 2 W/kg so any unit which supplies less than 20mW (= 2/100 W) from its antenna port, averaged over 6 minutes, will meet the basic restriction.

簡単でもっとも保守的な推定は、送信電力が10gの体組織にすべて吸収されたとする。基本制限は2W/kgであるので、アンテナポートからの20mW以下の電力では、6分間の平均を取ったとき、基本制限に満足する。

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5.無線LAN機器からの電波による人体曝露に関して、インテルのWEBにあった注意書き

 

インテル(R) PRO/Wireless 2100 LAN MiniPCI アダプタ 
安全性および規定に関する注意事項

アンテナの警告
FCC
およびANSI C95.1 RFの放射制限に準拠するために、デスクトップコンピュータまたはポータブルコンピュータにIntel (R) PRO/Wireless 2100 LAN 2100 3B Mini PCI アダプタを取り付ける場合には、本製品のアンテナを自分の体または周囲の人から 20cm (8インチ) 以上離してください。
また、本製品のアンテナを他のアンテナまたは他の無線送信器を設置した場所に設置したり、それらの場所で操作してはいけません。
アンテナとユーザの距離が 20cm (8インチ) 未満の場合は、ユーザへの放射時間を制限することをお薦めします。

Intel(R) PRO/Wireless LAN
製品は、高利得指向性アンテナの使用を意図して設定されていません。
これらの製品でそのようなアンテナを使用することは、違法になります。

 

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6.パソコンに搭載された無線LANからの電波によるSARなどの研究

 

興味の深い研究があります。

掲載誌:信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE. EMCJ2004-10(2004-04)
タイトル:アンテナ装着PCの近傍電磁界と人体相互作用
研究者:王建青 藤原修 名古屋工業大学大学院工学研究科情報工学専攻

あらまし
無線LAN用の5GHz帯アンテナを搭載したノート型パーソナルコンピュータ(PC)を対象として,実使用状態の人体数値モデルを作成し,人体のアンテナ特性への影響及び人体内部での電磁吸収特性をFDTD(Finite-Difference Time-Domain)法で数値解析した.
その結果,アンテナ放射パターンは,人体の存在で人体方向へ最大20dB,キーボード上に置いた両手で斜め上方向へ約10dBほどそれぞれ減衰すること,ピークSAR,キーボードの入力時にアンテナ側の手に生じ,入力作業を行わないときにはアンテナ側の胸に生じるが,いずれも安全指針レベルを超えないこと,などが確認できた.

興味のある方はこの論文を入手して読んでください。

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この研究はEMCJ2004416日開催)で講演がありました。私が聞いて理解できた内容を以下に示します。
4世代の無線LANとしては5GHz帯が用いられる。パソコンに無線LANが装着されるケースが増加してきている。こうなれば、パソコンは無線装置のアンテナの一部となる。パソコンを操作する人との結合や、人の電波吸収(SAR)も課題となる。
5GHz
帯では、人への電波の浸透は、皮膚表面部1mm程度に収まり、また人体による反射もある。

こうした状態で、無線LANのアンテナの放射特性に与える人体の影響、人体の電波吸収による影響を検討した。PCは全て金属と仮定した、形状はノートPCを模した。
FDTD
法での解析に当たって、人体は均質モデルとし、アンテナに近い体表面部は解析格子を細かく、その他の部分は格子を荒くして、解析を行なった。無線LANのアンテナ出力は0.15Wとした。
アンテナの入力インピーダンスや、指向性などの放射特性は、人体の影響を受ける。

人体の受けるSARは、キーボードに手を置いたタイプの状況では、手の部分に局部的なSARが発生するが、頭部のSARは低い。手を下に下げた上体では、頭部に局部的なSARが発生する。
タイプ時:         1gあたりのピークSAR 1.17W/kg  10gあたりのピークSAR 0.39W/kg

タイプしていない時:  1gあたりのピークSAR 0.011W/kg  10gあたりのピークSAR 0.005W/kg
となり、2W/kgという基準値(これは体幹部に対する規定)を超えない。

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7.総務省の2004年の報告から

総務省平成16年6月18日発表の 「電波の医用機器等への影響に関する調査結果 (電子商品監視機器、無線LAN機器等が植込み型医用機器へ与える影響について確認)」に関する報告書です。

「平成15年度の「電波の医用機器等への影響に関する調査」の結果、電子商品監視機器から発射される電波が植込み型の医用機器(心臓ペースメーカ及び除細動器)に及ぼす影響については、立ち止まらず通路の中央をまっすぐに通過すれば、その影響を最小限に抑えられることが確認されました。
無線LAN機器から発射される電波が植込み型の医用機器に及ぼす影響については、特定の心臓ペースメーカと一部の無線LAN機器との組み合わせを除き、影響のないことが確認されました。
また、RFID機器から発射される電波が植込み型の医用機器に及ぼす影響のうち、ゲート型のRFID機器については電子商品監視機器と同様に、通路の中央をまっすぐに通過すれば影響を最小限に抑えられ、ハンディ型のRFID機器については22cm説明: センチメートル以上離せば、影響を避けられることが確認されました。」

この中で、無線LAN機器が植込み型医用機器に及ぼす影響 に関しては

「心臓ペースメーカについては、1機種を除き影響を受けることはありませんでしたが、この心臓ペースメーカについていえば、アクセスポイントの機種の一部から6cm説明: センチメートルの距離で影響を受け、また、移動機の一部の機種から1cm説明: センチメートル未満の距離で影響を受けました。この影響は、無線LAN機器のアンテナ部から遠ざかれば、正常に復することが確認されました。
除細動器については、いずれの無線LAN機器からも影響を受けることはありませんでした。
」とあります。

無線LAN機器による心臓ペースメーカへの影響は、この報告のように、ひとまず安心してよいようです。
詳細に関しては、総務省のWEBを参照して下さい。

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8.電力線通信


2004年マイクロウェーブ展で開催されたフォーラムの予稿集にあった発表です。家庭内の電力線に短波帯域の電波を流し込み、通信を行なうという手法です。

この発表では、漏洩電磁界の低減技術にも論及されているので、たぶん 送信電力の微弱さなどから、人体影響はほとんどないと思いますが、要確認です。

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タイトル:電力線通信の最新動向と将来について
発表者:薦田 美行 岡田 幸夫 松下電工株式会社

1. はじめに

電力線通信は、電力を供給するための配線に、情報信号を重畳させて通信を行う技術である。
通信用の伝送路を新たに敷設する必要がないため、ホームネットワーク等への応用が期待されている。
現在、国内では450kHz 以下の周波数が電力線通信で利用可能で、これまでにSS 等の変調技術を用いた方式が開発され、住宅設備ネットワークシステム等への実用化が行われてきた。

しかし、通信速度が10kbps 程度であるため、設備機器の制御監視が主な用途であった。一方、MHz 帯を用いた電力線通信技術が近年開発されている。この周波数帯域は、電気用品安全法等によって雑音端子電圧が規制されているため、kHz 帯と比べて電力線上のノイズが小さく、帯域も広いため、高速化が可能である。

本稿では、高速電力線通信の
実用化に向けての課題と、技術開発動向について述べる。

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新しい技術の開発途上にある方式です。 どの程度の人体曝露になるのか、注目したいと考えます。
「実用化に向けての課題」の中に、人体曝露も含まれていればよいのですが。

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9.RFIDの医療機器への影響


平成17年8月11日に総務省の報道発表がありました。

「電波の医用機器への影響に関する調査結果
新たな方式の携帯電話端末及びRFID機器が植込み型医用機器へ与える影響について確認」という文書です。

この報告書では、
管理区域専用のRFIDの場合は、医療機器への影響が大きいので、管理区域専用のRFIDを一般用に転用しないように注意を求めています。詳しい技術的な情報はBEMSJも持っていませんが、管理区域といって専用の場所で使用されるRFIDなので、一般のRFIDに比べて、無線出力が大きいのかも知れません。

>最高感度に設定された植込み型心臓ペースメーカが影響を受けた試験モード数は762であり、総試験モード数の48%であった。
>ペースメーカの設定プログラムが変更される現象(影響度合いカテゴリーのレベル3)が1試験モード(0.06%)で発生した。

>2.1.2 影響を受けた距離
>最高感度に設定された植込み型心臓ペースメーカが最も遠く離れた位置で影響を受けたものの距離は70cmで、
>その時の影響度合いのカテゴリーはレベル2であった。

>(社)日本自動認識システム協会は管理区域専用RFID機器が一般環境へ流出し使用されないよう会員会社に周知徹底する

といった注意書きがあります。   興味のある方は、総務省の報告書を入手して読んでください。

 

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10.ザルツブルグで無線LAN使用に制限

作成:2006−12−16

無線LANの使用に関して、オーストリーのザルツブルグでは、学校や幼稚園での使用を推奨しない、というザルツブルグ健康衛生部門からの見解文書が刊行されています。
法律や条例にはなっていない模様です。 電磁波(電波)の健康影響の不安からでた見解のようです。

文書の発行: December, 5th 2005
内容は「The official advice of the Public Health Department of the Salzburg Region is not to use WLAN and DECT in Schools or Kinder gardens.
ザルツブルグ地域の健康衛生担当官のアドバイスとして、学校や幼稚園では無線LANなどは使用しないこと」 です。

 関心のある方は、詳しい情報を入手してください。

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11.カナダの大学で無線LAN使用の制限

 

作成:2006−12−16

カナダのレイクヘッド大学ではキャンパス内での無線LAN使用を制限しています。
電磁波(無線電波)の健康影響に不安があるから、禁止する、キャンパス内で有線のLANが敷設できないような場所を除けば、無線LANは使用制限する、というものです。
電磁波の健康影響の確認が取れるか、もしくは学長を交代させない限り、この方針は学長方針として、遂行する、というものです。

関心のある方は、以下の大学のサイトを覗いてください。 
http://communications.lakeheadu.ca/bulletin/

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12. 20075月のBBC放送

作成: 2007−6−13 
2007
523日にイギリスのBBC放送のテレビ番組で、「
無線LANの電波は携帯電話よりも身体に悪い?」という内容が放送された。
この番組をビデオで見ると、携帯電話の基地局アンテナから少し離れた地上1m程度の地点での電界強度を測定し、学校のパソコン教室でPCの無線LAN装置の近傍での電界強度を測定し、無線LANからの電波の強さが3倍と強かった、という内容である。
強さは曝露基準の600分の1となっている。

携帯電話基地局アンテナからの電波の強さは地上1m程度では、0.5V/m程度と推定できる。
これはヒトにとってはほぼ全身曝露である。 

一方パソコンに具備されている無線LANの無線電力は小さいが、近接して測定を行えば、2V/m3V/mといった程度の電界強度になることは想定できる。
これは距離とともに変化する不均一な、局所的な曝露である。
3
倍の電波・・・・という放送内容はうなづける範囲にある。 

単純な測定値の比較で、これらの電界強度の実測値で3倍であるから無線LANは携帯電話より危険であるということは正しくない。

追記: 2008−3−28
BBC
放送で5月に放送された無線Lanに関する番組は不適切であった とする裁定がでました。

ECU ruling: Panorama: Wi-fi: a Warning Signal, BBC1, 21 May 2007
Publication date: 30 Nov 2007

関心のある方は、以下の英文サイトを覗いてください。
http://www.bbc.co.uk/complaints/news/2007/11/30/51156.shtml
にあった内容

 

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13. ドイツでは学校で無LANを使用しないことを勧告?

作成:2008−6−6  

1).
ICEM電磁波の健康影響は重大と考える研究者の集まりとおもわれる)のサイトでは以下の案内が書かれている。
http://www.icems.eu/

July 20, 2007, The German Government has issued aWiFi safety warning, especially for children and youth.
The German Federal Ministries for the Environment, Nature Protection and Reactor Safety recommends, in view of the regulated limits, supplementary precautionary measures such as wired cable alternatives are preferred to the WLAN system, especially for children and youth as the question about the age-dependent energy absorption and energy distribution has not yet been satisfactorily answered and schools are called upon to avoid WLAN, if possible.
仮訳:ドイツ政府は子供と若者に対する無線LANに関する勧告を出した。
ドイツ連邦の環境・自然保護・原子力安全省は、法規制の観点に補足して、無線LANより有線LANが好ましいという予防原則の適用を推奨した。
特に、子供や若者にとっては電磁波の吸収の分布や年齢による影響の違いに関する明確な回答が得られていないことから、できれば、学校での無線LANを避けるべしと。

そして、「WiFi safety warning」の内容として以下の資料にリンクが貼られている。
http://www.icems.eu/docs/deutscher_bundestag.pdf
この文書は、ドイツ連邦議会での議論とおもわれる。質問主はみどりの党。
ドイツ語原文に英語訳が追記されている。

)ドイツ連邦議会での論議を見ると。
冒頭に、
The German Federal Ministry for Radiation Protection recommends (
) precautionary measures such as wired cable alternatives are to be preferred to the WLAN system () This statement led the Bavarian Landtag to issue a recommendation to schools in which the schools are called upon to avoid WLAN, if possible.
とあり、ドイツの放射線防護庁は、無線LANより有線LANが好ましいと予防原則の観点で推奨した。
これを受けてババリア州議会は学校で、できれば、無線LANの使用を避けるべしとの勧告を出した、と。

さらに、個々の質問への回答として、
Q: Does the German Federal Government consider the recommendation of the Bavarian Legislative Assembly to dispense with WLAN in schools, if possible, and to prefer the use of cable connected solutions, to be correct?
質問:ドイツ連邦政府はババリア州議会の勧告(学校における無線LANは不要で、できれば、有線LANが望ましい)を考慮しているか? これは正しいか?

A: The question, whether a wireless controlled W-LAN Network or a cable connected solution is to be preferred in schools, is subject to an individual decision.

The German Federal Government does not provide an evaluation.
回答:学校において無線LANが有線LANのいずれが好ましいかは、個々の学校の事情による。ドイツ連邦政府としては評価を行わない。

とある。

3) BEMSJの考察
以上のことから、予防原則の観点からドイツのババリア州議会では学校では無線LANを避けるべし、との勧告を行ったことは確かなようである。
しかし、ドイツ連邦としては、そうした勧告は行っていない。
ICEM
はドイツ連邦議会の質疑にリンクを貼りながら、連邦議会でのドイツ連邦政府の見解を正確に理解していない。
下手をすれば、ICEMの見解の文章だけが、一人歩きするおそれがある。

 

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14.微小電力機器からの電磁界曝露   

記: 2009−5−6


総務省は微弱な無線電力発信機器の使用を許可している。
そうした中でも、比較的パワーの大きいと思われる無線機器としては、産業用などのラジコン無線がある。
この場合は、無線機から500mの距離で、電界強度が200μV/m以下であること、使用できる周波数は27MHz40MHz72MHz73MHzと限定されている。
これらの無線機器の近傍での人の曝露はどの程度になるのであろうか? ちょっと考えてみた。

1)上記のラジコンの場合
周波数が27MHzであれば、波長は約11mである。500mの地点では遠方界とみなせるので、500mにおける電力密度から、無線機の発信電力を推定することが可能になる。

500m
における電力密度=0.2mV/mの二乗/377=0.1nW/m2
半径500mの円球状にこの電力密度が均等に分布するとして、総和を求めると
発信電力の総和=4×π×500の二乗×0.1 nW/m2  =0.25mW となる。
即ち、許可されているラジコン機器からの総無線電力は0.25mW以下に制限されていることになる。

よって、こうしたラジコン無線機からの電波が仮に全てを人が吸収したとしても、ICNIRPなどの基本制限(局所的なSAR値)は越えることはないといえる。

2)その他の一般的な小電力機器・微弱電力機器の場合は?
これらの場合は、周波数の厳しい制限はない。
機器から3mの距離で、500μV/m以下の電界強度以下であることが要求される。

周波数を10MHzと仮定する、波長は10mとなる。3mの距離は近傍界となり、空間インピーダンスは377オームからははずれ、電界及び磁界を両方とも測定や評価を行わなければならなくなる。
電界強度だけでは、発信源の電力値は想定することができなくなる。

無線機のアンテナがループアンテナの場合、近傍界では大きな磁界強度となるが、電界強度は低くなる。
もしかして、3mの距離で500μV/mの電界強度の規制値を満足していても、発信源の電力が大きくなる可能性がある。
そこで、数値解析ソフトEZNECで解析を行ってみた。

解析1:周波数60MHz 波長5m、まだ距離3mは近傍界領域である。発信アンテナは50cm×50cmの四角いループアンテナとした。
発信電力を20mWとした場合、距離3mでの電界強度は0.30V/mとなった。これは規制値500μV/m600倍強い電界強度である。

これから類推して、3m500μV/mとなる最大の送信電力は20mWの約25分の1となる。

解析2;周波数は30MHz 波長10m、発信アンテナは50cm×50cmの四角いループアンテナとした。 
発信電力を20mWとした場合、距離3mでの電界強度は0.33V/mとなった。これは規制値500μV/m660倍強い電界強度である。

これから類推して、3m500μV/mとなる最大の送信電力は20mWの約25分の1となる。
よって、周波数10MHzの場合は、0.8mWを超える電力の場合は、規制値を満足しなくなるので、規制値を満足している機器の近傍では、人の曝露はICNIPRの局所SARを満足する といえる。

解析3:周波数は30MHz 波長10m、発信アンテナは20m×20cmの四角いループアンテナとした。
発信電力を20mWとした場合、距離3mでの電界強度は0.35V/mとなった。これは規制値500μV/m660倍強い電界強度である。

これから類推して、3m500μV/mとなる最大の送信電力は20mWの約25分の1となる。
よって、周波数10MHzの場合は、0.8mWを超える電力の場合は、規制値を満足しなくなるので、規制値を満足している機器の近傍では、人の曝露はICNIPRの局所SARを満足する といえる。

従って、10cm角、50cm角のループアンテナは、十分に小さい「微小ループ」とみなすことができる。

解析4:周波数は10MHz 波長30m、 発信アンテナは50cm×50cmの四角いループアンテナとした。 
発信電力を20mWとした場合、距離3mでの電界強度は0.5V/mとなった。 これは規制値500μV/m1000倍強い電界強度である。

これから類推して、3m500μV/mとなる最大の送信電力は20mWの約30分の1となる。
よって、周波数10MHzの場合は、0.7mWを超える電力の場合は、規制値を満足しなくなるので、規制値を満足している機器の近傍では、人の曝露はICNIPRの局所SARを満足する といえる。

解析5:周波数を1MHz 波長300mm、発信アンテナは50cm×50cmの四角いループアンテナとした。
発信電力を20mWとした場合、距離3mでの電界強度は4.1V/mとなった。周波数が低くなると、同じ距離における電界強度の大きさは大きくなる。周波数10MHzに比較して約10倍大きくなる。
これは規制値500μV/m8000倍強い電界強度である。

規制値を満足するために、周波数1MHzでは発信電力を20mW90分の1、約0.2mW程度に抑えることになるので、ICNIRPの局所SARを満足する。

これらの解析から、総務省の認めている微小電力機器の場合、発信電力は大きくても1mWを越えず、その1mWの無線電力を全て人体が吸収したとしても、ICNIRPの局所SARの基準値を満足するといえる。

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15.WIFIが航空機に電磁干渉

記:2011−4−28

Interference Technology日本語版 20115月号にあった記事です。
*************************    **************
飛行中のWi-Fi による飛行用重要電子機器への妨害

飛行中のWi-Fi と携帯電話サービスによって、航空機の胴体内部に低電力マイクロ波無線信号が送信され、それが飛行に重要な電子機器に妨害を与えていることが分かった。
これは最近、ボーイング社がWi-Fi 機器を次世代双発旅客機737で飛行中に使用して試験した結果、発見されたものである。
同社は、Aircell 社製の無線システムを飛行中に近くで使用すると、ハネウェル社製のある新製品で明るいコックピット表示が全部消えると報告している。

ボーイング社は、この表示技術を用いた航空機は1機も出荷しておらず、ハネウェル社によって新表示装置がWi-Fi に耐えられるようになるまで、将来の航空機の全ての機種で、如何なる乗客にもWi-Fi システムを作動させないとしている。
***********************   *****************

この情報には、問題となったWiFIの無線電力の値などが含まれていない。 詳細は不明である。

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16.新生児に無線発信機導入2006年の週刊金曜日の記事

記:2016−1−10

*週刊金曜日 第609 20060609に掲載された記事から一部引用

***********************
金曜アンテナ
新生児に発信器導入  電磁波の影響は!?

市立札幌病院では、産科病棟の新生児に発信器をつけ、連れ去り事件を防ぐシステムを4月に導入した。
新生児を病棟の外に連れ出そうとするとアラームが鳴る仕組みだ。
今年1月に仙台市内の病院で発生した新生児連れ去り事件を受け、こうした防犯対策が各地で浸透しつつある。
この装置を開発した竹中エンジニアリングによると、同様のシステムは全国十数の病院で導入されている。

発信器は周波数3158メガヘルツ、出力500マイクロボルト/メーター。
出力強度は携帯電話の16万分の1、PHSの16000分の1と小さいが、新生児への影響は未知数だ。

電磁波環境研究所の荻野晃也所長は、「なぜ、最も全身に吸収されやすい周波数を使っているのか。事件が起きるリスクより、電磁波被曝のリスクの方が高いのではないか」と、慎重な姿勢を見せる。


これに対し、同病院の看護師は「発信器から出る電磁波は携帯電話よりはるかに弱いので、生体影響は全く心配していない。
それに、病棟のお母さんは皆、赤ちゃんの隣で携帯メールをしている」という。
同病院では、指定場所以外での携帯電話の使用を禁止し、院内でアナウンスもしているが、徹底されていないようだ。

(略)
(加藤やすこ・ライター)
*****************************

*上記の記事に関する検証

微弱電力機器に関する総務省の規定は以下
***********************
無線設備から3メートルの距離での電界強度(電波の強さ)が、次の図に示されたレベルより低いものであれば、無線局の免許を受ける必要はありません。
周波数や用途など制限はありません。

図:微弱無線局の3mの距離における電界強度の許容値

**********************************

これらの規定から、315MHzにおける微弱無線機器としての最大可能出力を想定してみる。

3m
で最大0.5mV/mの電界強度ということで、発信電力は指向性がないとして、最大の電力値は
電力密度S0.5mV /m2/377=00066μW/m2
3m
の全円周を積分して P4π×3mの二乗×0.0066μW/m27.5μWが最大可能電力 
PHSの電力20W対して2700分の1の無線出力となる。

上記の報道はPHS16000分の1となっていることから、単純計算で、1.2μW程度の極めて微弱な無線出力レベルとなる。

この程度であれば、新生児への影響はないと考えられる。
『電磁波環境研究所の荻野晃也所長は、「なぜ、最も全身に吸収されやすい周波数を使っているのか。事件が起きるリスクより、電磁波被曝のリスクの方が高いのではないか」と、慎重な姿勢を見せる。』という記事は、的外れなコメントで、1.2μWの電磁波被爆のリスクより、事件が起きるリスクの方が大きいと言えるかもしれない。


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