IARCによる高周波電磁波の発がん性判定2Bを受けての解説の頁です。
正確でない個所があるかもしれません。 その場合はBEMSJ宛に連絡を入れてください。 修正します。
作成;2011−8−20 修正作業中 修正作業完了し、公開:2011−12−25
1.IARCの判定に関するマスメディアの報道
2011年6月1日前後に、多くのマスメディアにIARCの判定に関するニュースが流れた。
読売新聞のニュースの例:http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110601-OYT1T00409.htm
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携帯電話で脳腫瘍の可能性?危険度コーヒー
【ジュネーブ=佐藤昌宏】
世界保健機関(WHO)の専門組織「国際がん研究機関」(本部・仏リヨン)は31日、携帯電話が発する電磁波で脳腫瘍にかかる危険性が限定的だが認められるとの見解を発表した。
国際がん研究機関は見解の中で、これまで発表された論文などを再検討した結果だとして、「携帯電話使用と脳腫瘍の一種である神経膠腫には関連がみてとれる」と指摘した。
ただ、今回の評価では、携帯電話使用と発がんの因果関係は5段階の分類で3番目と、コーヒーの摂取やガソリンの排ガス吸引などと同じレベルとされた。
因果関係が最も確かなレベルに分類されている喫煙などと比べると不確かな部分が多い。
国際がん研究機関は、昨年5月には「携帯電話の使用が脳腫瘍にかかる危険性を増やすとは認められない」との調査結果を発表していた。
今回はこれを修正した格好だが、「携帯電話を使えばがんにかかるということを意味するものではない」と改めて強調している。
(2011年6月1日11時15分 読売新聞)
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この読売新聞の記事は、必ずしも正確ではない。特に赤字にした2か所、危険性と因果関係の用語が適切ではない。
この読売新聞の記事を書きかえると、以下になる。
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世界保健機関(WHO)の専門組織「国際がん研究機関」(本部・仏リヨン)は31日、携帯電話が発する電磁波で脳腫瘍にかかるリスクが限定的だが認められるとの見解を発表した。
国際がん研究機関は見解の中で、これまで発表された論文などを再検討した結果だとして、高周波電磁界の発がん性評価結果を発表し、脳腫瘍にかかるリスクが限定的だが認められるとの見解を発表した。
携帯電話使用と発がんに関するこれまでの研究成果を評価し、証拠の強さによる5段階分類で3番目と、コーヒーの摂取やガソリンの排ガス吸引などと同じレベルの証拠の強さに判定した。
因果関係が立証されているレベルに分類されている喫煙などと比べると不確かな部分が多い。
国際がん研究機関は、昨年5月には「携帯電話の使用が脳腫瘍にかかる危険性を増やすとは認められない」とのいう内容も含む調査結果を発表していた。
今回はこれを含めて、総合的に評価した。「携帯電話を使えばがんにかかるということを意味するものではない」と改めて強調している。
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最低限度の修正を記事に加えてみた。
オリジナルの記事が389文字に対して、改正案では429文字と多くなっているが、このように記述しないと正確な情報にはならない。
今回のIARC判定は、高周波電磁波全体を評価したものであって、携帯電話の電磁波だけを評価したのではない。
毎日新聞の記事の一部を引用する。
毎日新聞 2011年7月19日 東京朝刊
携帯電話:発がん性は WHOの組織、可能性指摘
◇一部脳腫瘍リスク上昇 不明多く「念のため控えめに」
携帯電話から出る電磁波とがん発症との関係を調べていた世界保健機関(WHO)の付属組織「国際がん研究機関(IARC)」が、「電磁波は人に対して発がん性をもつ可能性がある」との評価結果を5月末に公表した。
WHOの組織が携帯電話に関し発がん性を指摘したのは初となる。携帯電話の契約数は世界で50億と推定され、今や多くの人の生活に欠かせない存在。
IARCの結果をどう受け止めたらよいだろうか。【下桐実雅子、小島正美】
赤字の部分が誤りで、「可能性がある」ではなく、「可能性があるかもしれない」が正しい表現となる。
日経新聞の記事の一部を引用する。
2011/7/10付
日本経済新聞
携帯の電磁波と発がん性 WHO評価には時間
世界保健機関(WHO)が5月、携帯電話から出る電磁波に「発がん性があるかもしれない」という評価を下した。
発がんのリスクはコーヒーや自動車の排ガスと同じ程度。
ただ証拠は限定的で、WHOは今後、多角的に調査を続け、4年以上かけて総合評価をまとめるとみられる。
赤字の部分「コーヒーや自動車の排ガスと同じ程度」というのは正確ではなく、「コーヒーや自動車の排ガスと同じ証拠の強さを示す区分に分類された。」が正しい表現である。
産経新聞の記事を引用する。
「携帯電話電磁波で限定的ながらがんの危険性」 WHO組織が初めて指摘
2011.6.1
携帯電話の電磁波とがん発症の関連性について、世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(本部フランス・リヨン)は31日、「聴神経腫瘍や(脳腫瘍の一種である)神経膠腫の危険性が限定的ながら認められる」との調査結果を発表した。
WHOの組織が携帯電話に関して発がん性を指摘したのは初めて。
国際がん研究機関は危険性の数値化はしておらず、「(最終的な結果を得るためには)今後、携帯電話の長時間使用について調査を続ける必要がある」としている。
同機関の分類では、電磁波による発がんの危険性について得られている証拠の確実性は、鉛やコーヒーと同じ部類に入るという。
当面の対策としては「(耳に触れずに)携帯電話のメールを使うなど直接電磁波に触れないような使用方法が重要だ」と指摘。
なるべく携帯電話本体に触れる時間を短くするよう提案した。(共同)
この共同電を使った産経新聞の記事では、「証拠の確実性」といった表現を用いており、全体として正確に書かれているといえる。
産経新聞にあった記事を示す。
「日本の対応遅れている」専門家
2011.6.1 13:10
携帯電話の電磁波に詳しい荻野晃也元京都大工学部講師の話 携帯の電磁波による聴神経腫瘍の危険性は以前から指摘されており、予想どおりの調査結果だ。
欧米に比べ日本は電磁波への対応が遅れている。
今の時代は携帯がなくては生活できない環境になってきているが、緊急時を除いて特に子供はできるだけ使用を控えた方がいい。
どうしても頻繁に使わないといけない人はイヤホンを使用するといい。
携帯の基地局は電磁波が強く出るので、民家など人の集まる場所からは遠ざけるべきだ。(共同)
この新聞に書かれている荻野晃也のコメントの中の「携帯の基地局は電磁波が強く出るので、民家など人の集まる場所からは遠ざけるべきだ。」は、明らかな誤りである、 IARCの報道発表では「基地局からの電磁波は不十分な証拠」となり、携帯電話基地局の場合は問題視されていない。
2.IARCの報道発表
6月1日前後のマスメディアに流れたニュースの元ネタは、以下のIARC(国際がん研究機構)が発表したプレスリリースである。
http://www.iarc.fr/en/media-centre/pr/2011/pdfs/pr208_E.pdfにあった英文の翻訳
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国際がん研究機関
世界保健機関
プレスリリース No.208 2011年5月31日
IARCは無線周波数電磁波をヒトに対して「発がん性の可能性があるかもしれない」と分類
WHO/国際がん研究機関(IARC:フランス、リヨン)は2011年5月31日、携帯電話の使用に関わる脳のがんの悪性タイプである神経膠腫のリスク増加を根拠にして、無線周波数電磁波をヒトに対して「発がん性の可能性があるかもしれない(グループ2B)」として分類した。
背景
過去数十年間、無線通信機器によって放射される無線周波数電磁波の曝露による有害な健康影響の可能性について、懸念が増えていた。
携帯電話契約者の数は全世界で50億人と推定される。
2011年5月24日から31日、14か国31人の科学者によって構成されるワーキンググループは、無線周波数電磁波への曝露による可能性のある発がん性のハザード(危険性)を評価するために、フランスのリヨンで会議を開いていた。
これらの評価結果は、IARCモノグラフの102号として発行されるだろう。
それは、55号(太陽光放射線)、電離放射線に関する75号と78号(X線、ガンマ線、中性子、放射線核種)、非電離放射線に関する80号(極低周波電磁界)に続く、物理的因子に焦点をあてたこのシリーズの5 番目のモノグラフになるだろう。
IARCのモノグラフ・ワーキンググループは、これらの曝露が長期的健康影響を誘発する可能性、とくにがんのリスク増加について議論した。
これは公衆衛生、使用者の人数が特に若者や子どもたちの間で大きく増えている携帯電話使用者と特に関連がある。
IARCモノグラフ・ワーキンググループは、無線周波数電磁波に関連する下記の曝露カテゴリーにおいて入手可能な文献に関して議論を行い、評価を下した。
・レーダーとマイクロ波への職業的曝露
・ラジオ、テレビ、無線電話通信の送信に関わる環境曝露
・無線電話の使用に関わる個人的な曝露
国際的な専門家たちは、曝露データ、ヒトに関するがんの研究、動物実験でのがんの研究、メカニズムとその他の関連データに取り組む複雑な作業を分担した。
結果
科学的証拠は徹底的にレビューされた。
全体的評価としては、携帯電話ユーザーの間の神経膠腫と聴神経腫は「限定的な証拠」と評価された。
他のタイプのガンは「不十分な証拠」と結論づけた。
上記の職業的曝露と環境曝露に関する証拠はともに「不十分な証拠」と判定された。ワーキンググループは、リスクを定量化しなかったが、携帯電話使用に関する過去の一つの研究(2004年まで)では、ヘビーユーザーの最も高い分類群(報告された平均:1日30分を10年以上)で、神経膠腫のリスクが40%増えることを示していた。
結論
ジョナサン・セイメット博士(アメリカ、南カリフォルニア大学:ワーキンググループの全体の議長を務めた)は、「科学的証拠は現在でも集められている最中であるが、結論としての2B分類を支持するためには十分である。
この結論は、いくらかのリスクはあるので、したがって、ガンのリスクと携帯電話の関連性は慎重に監視し続ける必要があることを意味する」と指摘した。
「この分類と所見は、公衆衛生に対する可能性のある成果を与えた」とIARCディレクターのクリストファー・ワイルドは述べた。
「長期期間の、携帯電話のヘビーユーズについてさらに調査をすることが重要だ。そのような情報が入手できるまでの間、ハンズフリー装置やメールのように、曝露を減らすための実際的な対策をとる事が重要だ」。
ワーキンググループは数百もの科学的文献を検討した。
完全なリストはモノグラフとして発行されるだろう。
インターフォン研究の結果であるいくつかの印刷中の最近の研究が、本会議の少し前にワーキンググループで入手でき、評価に含まれたことは注目に値する。
IARCワーキンググループの主な結論を要約し、無線周波数電磁波(携帯電話の使用を含む)の発がん性のハザード(危険性)を評価した簡潔な報告書は、ランセット・オンコロジーの7月1日号の中に、数日のうちに、オンラインで発表されるだろう。
翻訳:BEMSJ
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この報道発表で注意しなければならないのは、リスクとハザード という用語の違いと限定的な証拠、不十分な証拠 という表現である。
以下にこれらの用語の解説がある。
2A.今回のIARC判定の対象となった電磁波の範囲
今回のIARC判定は、高周波電磁波の発がん性評価を実施したのである。
すなわち、携帯電話の電磁波を含むすべての高周波電磁波が対象である。
再掲するが、上記のIARC判定に伴う報道発表には、以下のことが掲載されている。
IARCモノグラフ・ワーキンググループは、無線周波数電磁波に関連する下記の曝露カテゴリーにおいて入手可能な文献に関して議論を行い、評価を下した。
・レーダーとマイクロ波への職業的曝露
・ラジオ、テレビ、無線電話通信の送信に関わる環境曝露
・無線電話の使用に関わる個人的な曝露
科学的証拠は徹底的にレビューされた。
全体的評価としては、携帯電話ユーザーの間の神経膠腫と聴神経腫は「限定的な証拠」と評価された。
他のタイプのガンは「不十分な証拠」と結論づけた。
上記の職業的曝露と環境曝露に関する証拠はともに「不十分な証拠」と判定された。
ワーキンググループは、リスクを定量化しなかった。
携帯電話の電波のみについて発がん性評価を実施したのではないことを、マスメディアなどは明確に説明するべきであると考える。
「高周波電磁波全体の評価を行い、携帯電話の使用にのみ発がんとの「関連性が限定的である」が認められた。その他の職業的な曝露や携帯電話基地局・テレビなどの放送に伴う環境曝露では、発がんとの関連性に関しては「証拠は不十分」と判定された。」と長くなるが、表記するのが正しい。
2B.IARCとは? モノグラフとは?
IARCは、1965年、WHOの総会にて、“発がんのメカニズム、疫学、予防等を専門に研究する組織として設立が決定された。
その後、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、インド、日本、アイルランド、ノルウェー、オランダ、韓国、ロシア連邦、スペイン、スウェーデン及びスイスが参加し、2011年5月現在、IARCの会員資格は、22カ国まで増加している。
IARCは、がん研究を分子レベルから疫学調査まで幅広く研究する研究センターとして、私達の生活に関わる物質の発がん性を評価するプログラムである“ヒトへの発がん性リスク評価に関するモノグラフ”(以下「モノグラフ」)を1972年に発表した。
現在、IARCのモノグラフは、国際的に政治的に中立な立場から純粋な科学的証拠のみに基づく発がん性評価の報告書として、世界でバイブル的存在として高く評価されている。
IARCモノグラムは
・IARCの評価は、あくまでも発がん性に関するものであり、発がん性以外の毒性(例えば、がん以外の疾病への影響や催奇性、生殖毒性)とは無関係である。
・つまり、上位のグループに分類された因子が、より下位のグループに分類された因子よりも危険であることを必ずしも意味するものでない。
・またIARCの評価は、ある因子について法律や規制(例えば、ばく露制限)を勧告することを目的としたものではない。例えば、今回のRF電磁界と同じくグループ2Bに分類された因子であっても、日常生活において広く存在し、ばく露制限などの規制の対象とされていないものもある。
3.判定2Bの意味
IARCによって、発がん性Group 2Bと分類されている訳であるが、Group 2Bについては誤解が多いと言える。
IARCの発がん性判定は、以下の5段階に分類されます。
Group 1: The agent is carcinogenic to humans. 発がん性がある
Group 2A: The agent is probably carcinogenic to humans. おそらく発がん性がある。
Group 2B: The agent is possibly carcinogenic to humans. 発がん性があるかもしれない。
Group 3: The agent is not classifiable as to its carcinogenicity to humans. 発がん性の判定は保留する。
Group 4: The agent is probably not carcinogenic to humans. おそらく発がん性はない。
Group 1は「発がん性があることが確定」である。
Group 2はその次のランクで、それがさらにAとBにわかれていて、それぞれprobableとpossibleだというわけである。
この英語の違いが非常の重要である。この二つとも明確に対応する日本語はない。
ともに単純に翻訳すれば「可能性がある」である。
日本語だけではなく、他の外国語でも同じように明確にその国の言葉に翻訳できない場合もあるそうである。
この明確で、適切な対応する日本語がないことが、一般の理解を困難にしている根源である。
厳格には、英語の、IARCで使用している意味での英語のニュアンスで理解する必要がある。
「Possibleは30%程度の確率である、いや20%程度の確率である」という言語学的な主張をされる場合もありました。
しかし、IARCの判定会議などに参加された経験のある専門家に、以前に聞いた話では、「IARCとしての判定ではPossibleはXX%程度の確立である・・・・ とかという定量的な判定は一切行っていない。あくまでも定性的な判断である。」となっている。
英語の原文を改めて確認してみると「The terms probably carcinogenic and possibly carcinogenic
have no quantitative significance and are used simply as descriptors of
different levels of evidence of human carcinogenicity, with probably
carcinogenic signifying a higher level of evidence than possibly
carcinogenic.」と明記されている。
翻訳すると「ProbablyとPossibleの用語には定量的な差異はない、単に証拠の強さを異なるレベルに分類するための記述である。
ProbablyはPossibleより有意に高いレベルの確証である」と。
強いて翻訳すれば、possiblyは確度としてはprobablyよりかなり低く、「可能性は半々かそれ以下」くらいである(もっと低いかもしれない)。
日本語では「あるかもしれない」くらいだと思われる。
「ありそう」とか「たぶんある」とかはGroup 2Aのprobablyに相当するはずである。
probableとpossibleの違いについては、"possible
but not probable"という言い回しがあるくらいなので、かなりきちんと英語の世界では区別されていると考えるべきである。
したがって、Group 2Bは「発がん性ありと判定」でも、「発がんの可能性がある」でもないし、また「発がん性なしと判定」でもない。どちらに解釈するのも誤りである。
「あるかもしれない」と「ないかもしれない」の区別は日本語では微妙な気がする。
「ないかもしれない」といえば、「ない」も含むので、Possibleを「可能性がないかもしれない」と翻訳することには私は反対である。
「発がん性がない」はIARCの判定では4に分類されるからである。
Group 2Bは「あるかもしれない(possibly carcinogenic)」が妥当な表記であろう。
「おそらくない(probably not)」がGroup 4で、その上にGroup 3として「判定不可能・判定保留」という区分がある。
メディア黒書のサイトで公開されていた(http://www.geocities.jp/shinbunhanbai/KDDIogino.html)
「KDDI延岡大貫訴訟:荻野晃也氏の証人尋問 証人氏名
荻 野 晃 也」 として
「2Bというのは癌の可能性があると。2は2段階に分かれていまして,2Aと2Bがあって, 2Aは英語で言えばプロバブル, 2Bはポシプル, 3は研究がまだないと, 4は多分発癌性はないと,分類が5つに分かれています。それで2Bというのは可能性があると。可能性があるというのと, 2Aはプロバプリーですから大体割合で言いますと,日本では両方とも可能性があるになるんですけれども, 2Aは大体7割ぐらいは可能性があると。2Bは、2,3割ぐらいはあると。可能性でも上下に分かれております。」にある証言「2Aは大体7割ぐらいは可能性があると、2Bは2,3割ぐらいはあると。」は明らかな誤りである。
4.IARCの発がん性評価の意味
2011年8月電波の安全性に関する説明会レジメよりの抜粋を示す。
「IARCの発がん性評価は、対象となる作用因子(物理的因子、化学的因子、特殊な環境的因子などによる発がんの性質の程度をグループ別に分類するものであり、定量的な評価をするものではない)」と。
2011年8月電波の安全性に関する説明会レジメよりの抜粋を示す。
IARCの意図するものは
1)純粋な科学的評価である。
2)定性的な判断である。
3)各国での癌原物質使用の規制および法制化への勧告は出さない。
2011年8月電波の安全性に関する説明会レジメよりの抜粋を示す。
IARC評価では
1)発がん性の強さを評価しているのではなく、発がん性の証拠の強さを評価している。
2)発がん性のリスク評価しているのではなく、発がん性ハザードを評価している。
「発がんの性質の程度」、「発がん性の証拠の強さ」の評価であるという表現は、これも非常に難解である。何を言っているのか、わかりにくい。
説明会の終了後に講師に聞いてみたが、「証拠の強さ」を判り易く言い換えることは不可能と言われた。
言い換えると、原文のもつ意味から離れる恐れがあるので、できないと。
IARCの原文によれば「These categories refer only to the strength
of the evidence that an exposure is carcinogenic and not to the extent of its
carcinogenic activity (potency).」とあり、「これらの分類はあくまでも証拠の強さにだけ基づいており、発がん性の強さに基づいたものではない」とある。
IARCの原文では「証拠のつよさ」はStrength of Evidenceである。
「証拠の強さ」ではちんぷんかんぷんであるが、すくなくとも「発がん性の強さ」を評価しているのではないことは確かである。
すなわち、電磁波がどの程度の発がん性を持っているか、その程度はどのくらいかに関しては、まったく論じていない。
1時間の曝露で10人中3人に癌が発生するような危険度でも、100万人に1人程度もしくはそれ以下しか癌が発生しない危険度であっても、研究結果(証拠)が十分にあって、強ければ「発がん性あり」という判定になる、ということである。
毎日1kgの物質を体に取り込むと癌になろうが、毎日1mgの物質を体に取り込むだけで癌になろうが、研究結果(証拠)が十分にあって、強ければ「発がん性あり」という判定になるということである。
毎日1kgも体に取り込むと癌になるという研究結果から「発がん性あり」と判定されたこの物質を、毎日1kgも体に取り込むことはありえない とすれば、IARCの判定で「発がん性あり」となっても、実際には規制も法制化も行われないことになる。
IARCの判定を受けて、その影響度を、リスクを考えて、規制や法制化に進むのである。
これが「2)定性的な判断である。3)各国での癌原物質使用の規制および法制化への勧告は出さない。」とした意味である。
IARC判定が出た場合、「判定が出たから関係機関に規制を行え」と主張することは正しくない。
「判定が出たから、規制が必要か否かの検討を行え」と主張することは正しい。
Group 2Bに含まれるものとして、コーヒーがよく知られている。
これをもって、「高圧線の磁界の危険性はコーヒーと同じくらい」、「携帯電話の危険性はコーヒーと同じ」と解釈しているサイトや報道などもある。
これは誤りである。「コーヒーと同じくらい」なのはあくまでも「発がん性についての証拠の確からしさの度合い」、「発がん性についての証拠の強さ」である。
どちらがより危険か、発がんの強さが同じ程度か否か、という話ではない。
5.証拠の分類基準
IARCでは、以下の判定基準で、証拠の強さを分類することになる。
証拠の分類基準の翻訳は、国立保健医療科学院のサイトにあった「http://www.niph.go.jp/soshiki/seikatsu/seiri/html/WHO/evidence-jp.htm から抜粋した。
注:このサイトの文書は、少し古いIARC文書の翻訳かもしれない。
疫学(人での発がん性の証拠)に対して
十分な証拠
ヒトのがんとの間の因果関係が立証されたと見なす。
つまり偶然、バイアス(偏り)および交絡因子を納得できる信頼性をもって取リ除くことができた研究において曝露と癌の間に正の相関関係が観察される。
原文は「The Working Group considers that a causal relationship has
been established between exposure to the agent and human cancer.」であり、「因子への曝露とヒトの癌との間の因果関係が確立した」とみなした場合は、「十分な証拠」とみなすのである。
「因果関係が確立した」とみなされる場合は「十分な証拠」とみなされることになる。
限定的な証拠
曝露とがんの間に正の相関(関連性)が認められ、がんとの因果関係の説明は信頼できるものと認められるが、偶然、バイアス(偏り)および交絡因子を納得できる信頼性をもつて除外できない。
原文は「A positive association has been observed between
exposure to the agent and cancer for which a causal interpretation is
considered by the Working Group to be credible, but chance, bias or confounding
could not be ruled out with reasonable confidence.」である。
「因子への曝露と癌との間に関連性(相関)が観察され」て、かつ「がんとの因果関係の説明が信頼できると認められるが、偶然・バイアス・交絡因子を納得できる信頼性を持って排除できない」場合は、「限定的な証拠」とみなされることになる。
ここで注目すべきは、「因子への曝露と癌との間に関連性(相関)が観察され」という表現である。
「十分な証拠」の場合は「因子への曝露とヒトの癌との間の因果関係が確立した」場合であるから、「限定的な証拠」とみなした場合は、因子への曝露と癌の因果関係を認めていない ことになる。
不十分な証拠
評価の対象となった研究は、データの質、一貫性、または統計学的な検出力において因果関係の有無を結論つけるには不十分である。あるいは人に関するデータがない。
発がん性が無いことを示唆する証拠
人が曝露されることがわかっている全ての曝露レベルをカバーする幾つかの適切な研究があり、いずれの曝露レベルにおいても、調査したいずれのがんとの間にも正の相関がない点で一貫性がある。
発がん性がないことを示唆する結論はこれまでの調査で対象となったがん部位、曝露条件及び曝露レベルならびに観察時間の長さに限定されるのは避けられない。
更に、調査した曝露レベルでのごくわずかな危険の可能性はどうしても除外できない。
この分類は特定の器官や組織に限定してもちいられるが、少なくとも2種類以上の動物について適切な研究がなされており、それらの試験条件の範囲内で、発つがん性のないことを示している。
発がん性の欠如を示す証拠により得られる結論は、試験した動物の種類、腫瘍部位及び曝露レベルに限定されるのは避けられない。
動物での発がん性に対して
十分な証拠
(a)2種類以上の動物において、または(b)1種の動物で異なった時期、研究機関、または異なった計画のもとで実施された2つ以上の独立した研究において、曝露と悪性新生物の発生率増大、または良性及び悪性新生物のしかるべき組み合わせでの発生立増大との間に、因果関係が立証されたと見なす。例外として、悪性新生物が発生率、部位、腫瘍の種類または発生時の月齢の点で、異常な場合は、1種の動物による単独の研究でも発がん性の十分な証拠になると見なされることである。
限定的な証拠
データは発がん性作用を示唆するが、断定的な評価を下すには、つぎの理由により限界がある。
例えば、
(a)発がん性を示す証拠が単独の実験に限定されている。
(b)試験の計画、実施または結果の解釈の適切さに関して、問題が残る。あるいは、
(c)作用因子もしくは混合物は、良性のみ新生物もしくは悪性度が不明な病変のみを、あるいは特定の系統に高い頻度で自然発生するもののみを増加させる。
不十分な証拠
試験は定性的もしくは定量的に大きな限界があるため、発がん作用の有無が明らかになったとは解釈できない。
または実験動物での発がんに関する利用できるデータがない。
発がん性が無いことを示唆する証拠
ヒトの場合と同じ
6.IARCの発がん性判定の分類とその基準、因果関係か関連性か
2011年8月電波の安全性に関する説明会レジメよりの抜粋を示す。
グループ1:
発がん性がある ヒトへの発がん性を示す十分な証拠がある場合
グループ2A:
ヒトへの発がん性を示す証拠は限定的であるが、動物への発がん性を示す十分な証拠がある場合
グループ2B:
ヒトへの発がん性を示す証拠が限定的であり、動物実験での発がん性に対して不十分な証拠や限定的な証拠がある場合
グループ3:
発がん性を分類できない
ヒトへの発がん性を示す証拠が不十分であり、動物実験での発がん性に対しても十分な証拠がない場合
となっている。
これらから、グループ1は、ヒトへの発がん性で「因果関係が確立」しているとみなされる「十分な証拠」があるから判定されたといえるので、グループ1と判定された因子は、「因子への曝露と癌の因果関係がある」と表現することが可能となる。
グループ2Aでは、動物への発がん性で「因果関係が立証された」証拠がある「十分な証拠」があるから判定されたといえるので、グループ2Aと判定された因子は、すくなくとも「因子への曝露と癌の因果関係がある」と表現することが可能と言える。
グループ2Bでは、因果関係は立証されず、関連性(相関)があるとされる「限定的な証拠」があることから判定されたといえるので、グループ2Bと判定された因子は「因子への曝露の癌の因果関係がある」とは表現できず、「因子への曝露と癌の関連性がある」という表現にとどまることになる。
このように考えると、グループ2Aとグループ2Bとの間には、大きな壁、因果関係があるか否かの違いがあるといえる。
7.因果関係と関連性
因果関係と関連性とではとても大きな違いがある。
因果関係は、ずばり、Aという因子がCという事象を引き起こしている、原因と結果が直接結びついていることを意味する。酒を飲めば顔が赤くなる、走れば疲れる等。
関連性を示す良い例はあるか? 工学系の人や数学に強い人の場合は、「相関がある」という数学用語で関連性を説明するとすぐ理解してもらえる。
畢竟な例を示してみる。アイスクリームの販売数と水難事故の数の統計を図にしてみれば、アイスクリームの販売数の増加に伴って、水難事故の発生数が増加していることが判る図が書けるかもしれない。
それでは、アイスクリームという因子Aが水難事故という事象Cの原因か? ちょっと考えてみればおかしいと気づく。
アイスクリームは気温の上昇によって販売数が増える。
気温が上昇すると海水浴場などへ行く人が増えて、そして水難事故が増加する。水難事故の増加という事象Cの原因は気温の上昇というBという因子が原因である。
しかし、データを取り、図に示してみれば、気温の上昇という真の原因Bと関連して増加している別の因子A(アイスクリームの販売量の増加)と関連しているということが判明する。
このように、関連性はあることが判ったとしても、真の原因であるとは言えない、関連性があるが、因果関係は立証されない場合がある。
こうしたことから、IARCの評価で、因果関係が確立したと認められるか、関連性があることを認めるかでは、次の対応が大きく異なってくるのは自明である。
因果関係が確立したと認められるグループ1と2Aの場合と異なり、関連性が認められたという程度のグループ2Bの場合は、因果関係があるのか否かの研究の継続が大切になるといえる。
8.ハザードとリスク
「リスク」は英語の“Risk”の訳語で、場合によっては「危険」と訳している。
類似の用語に“Hazard”という英語もある。HazardとRiskと違いを考える。
Webster英々辞典からこの2語の意味を調べると、
Risk: Possibility of loss or injury, a dangerous element or factor.(損失や障害の可能性、危険因子や危険要素)
Hazard: source of danger.(危険となる源、危険なもの)
となっている。
このように英語の表現では二つの用語の間には厳然たる用語の意味の違いが存在する
一方、一般の英和辞典ではどのように翻訳されているかを調べると、
Risk:危険、冒険、保険用語では危険率や保険金額
Hazard:危険、冒険 となっている。
英語のRiskとHazardを単純に日本語に翻訳をすれば、ともに「危険」となり、英語での大きな差異は消えてしまう。
リスク(Risk)は経済学・統計学用語である。
人間の活動や生存には、不測事態による損失ないし災害はつきものである。
この不測事態とは、事前に、確実に予見できないような事象が起こることを意味する。
そのような不確実にしか予見できない事象が起こることによってこうむる損失、もしくはその可能性(頻度)といった両面性をリスクと呼ぶ。
この経済用度・統計学用語としてのリスクに的確に対応する目本語がない。
この場合、リスクには、
1) 複雑な自然のメカニズムに対する人間の知恵の限界と、自然力に対する制御不可能性からくるもの(地震・集中豪雨など)。
2) 生体、物質間の相互作用の在り方をはじめとして、事物の因果関係については科学的になお未知部分があるために起こるもの(新薬の副作用など)。
3) 人的ミス、誤操作などによっておこるもの(医療過誤、パイロットの誤動作による航空事故など)
4) 市場価格、一般大衆の反応といった、人間行動をとりまく杜会的環境条件の将来動向を完全には予測しえないことからくるもの(大規模設備投資の失敗など)などの諸タイプがある。
電磁界の健康リスクは、2)に該当する。
高速道路を時速200kmで車の高速運転を行えば、事故になる確率はかなり高くなる。
この場合、自動車は「障害性(ハザード:Hazard)」、自動車を運転することが「リスク」であり、高速運転は「ハイリスク」となる。
リスクを避けるには、自動車というハザードがあっても運転しなければリスクに繋がらない。
また、タバコを例にとると、タバコ屋あるいは自動販売機で販売しているタバコ自体は“ハザード”(危険要素)であると言える。
タバコの箱をあけて喫煙して初めて“がん”へのリスク(危険度)が生じるわけで、リスクは吸ったタバコの本数、年数などによって異なる。
IARCの発がん性判定は、このハザードであるか否かの評価を行ったものである。
「発がんの可能性があるかもしれない」というハザードの評価結果がでたことになる。
繰り返すと、IARCのモノグラフ(研究論文)が、そのタイトルにあるように、文字通り“発がん性リスク(危険度)を評価している”と誤解している人が多いと思われるが、厳密には、“リスク”ではなく“ハザード(危険要素)を同定(評価)”している”のである。
自動車に例えれば、「高速で運転するから」や「どのような車を運転するか」・・・・などの条件はさておき、「自動車は危険である」とハザードとして認定(評価)したことになる。
リスク(危険度)=ハザード(危険要素)×曝露量(摂取量) と表すことができる。
ハザードの評価が終わってから何をするか?
次のステップでは、どのようなリスクがあるか、どの程度の発がん性があるか、対象となる人口はどの程度か・・・・といったことを検討することになる。
こうしたリスクの検討の結果で、場合によっては規制や法制化を行ったり、何もしないことに決定したりする。
ハザードはリスクを評価するための第一歩であり、「IARCは国際機関としてハザードの同定はするけれどリスク評価は各国で行なうべきである」としている。
IARCのこの発がん性判定を受けて、WHOの電磁界プロジェクトは、高周波電磁波のリスクの評価を行うことになる。
とりあえずは、2012年もしくは2013年に行われるWHOのリスク評価結果を待つか、プレコーション的な策を講じることになる。
WHOはこのIARC判定を受けて、WHOの電磁界プロジェクトからFact Sheet 193の改訂版が2011年6月に公開されている。
2011年8月20日現在、英文版はあっても、まだ日本語訳版はない。
以下は2011年8月1日に開催された「電波の安全性に関する説明会」のレジメからの抜粋である。
2011年8月電波の安全性に関する説明会レジメよりの抜粋
「国際がん研究機関により、携帯電話が発生する電磁界(電磁波)は「ヒトに対して発がん性があるかもしれない」に分類されています。」、「WHOは、2012年までに、無線周囲は電磁界(電磁波)曝露による健康影響に関する全ての研究について、公式のリスク評価を実施する予定です。」とある。
9.まとめ
この節はBEMSJの個人的な見解。
今回のIARCの「高周波電磁波に関する発がん性判定:2B」となったからと言って、表題どおりにすべての高周波電磁波に発がん性があるかもしれない となったのではない。
IARCの報道発表にあるように、携帯電話の使用に伴う個人曝露が「発がん性があるかもしれない」となっていることに留意すべきである。
「レーダーとマイクロ波への職業的曝露」や「ラジオ、テレビ、無線電話通信の送信に関わる環境曝露」に関しては、今後の新たな研究報告が出るまでは、静観していればよいだろう。
携帯電話の使用が「発がん性があるかもしれない」と判定されたが、これは因果関係が認められたわけではなく、あくまでも関連性が認められたに過ぎない。
したがって、携帯電話の使用にともなう発がん性に関しては継続して研究を行うべきであり、WHOのリスク評価を待つのが得策と思われ、待てない人は、IARCの報道発表にもあるように、ハンズフリーキットの使用などのプレコーション策を取ればよい。
10.国際がん研究機関(IARC)の発がん性評価を受けて発表された、各種国際的な機関などの見解
9項ではBEMSJの個人見解を載せたが、国際的な組織における見解も紹介する。
以下は電磁界情報センターのサイトにあった情報の一部引用である。多くの関連情報が電磁界情報センターのサイトに公開されている。
≪米国食品医薬品局(FDA)が国際がん研究機関(IARC)の無線周波電磁界2B分類に関する見解を発表≫
米国食品医薬品局(FDA)は、2011年6月24日、FDAのウェブサイト上で、2011年5月に国際がん研究機関(IARC)が発表した携帯電話などで使用する無線周波数電磁界の発がん性評価結果に関するFDAの見解を公開しました。その概要を紹介します。
○発表内容の概要
最新の研究結果
健康問題と携帯電話を使用することによる無線周波電磁界へのばく露との間に関係はあるのだろうか?
これまでに行われた大部分の研究の結果は、それが無いことを示している。
さらに言えば、関係を示した極めて少数の研究を再現および確認する試みは失敗に終わっている。
現時点でのデータにしたがって、FDAは、科学的証拠の重みは、携帯電話からの無線周波電磁界へのばく露と有害な健康影響との間の関連を示していないと信じる。
それでも、長期にわたる携帯電話の使用の影響や小児の集団への影響など、これまでに情報がない部分に取り組むため、追加的研究が是認されることは合意されている。
世界保健機関の国際がん研究機関は、2011年5月31日、無線周波電磁界を「ヒトに対して発がん性があるかも知れない」に分類した。
国際がん研究機関(IARC)は、モノグラフプログラムを通して、ヒトのがんのリスクを上昇させ得る環境要因を探し出して同定する。
環境要因の分類には5つのカテゴリーが用いられる。
IARCは、この2B分類について、無線周波電磁界のヒトでの発がん性の限定的証拠、および実験動物での発がん性の十分とまでは行かない証拠があることを意味すると説明している。
FDAは、無線周波電磁界へのばく露における研究の進展の監視を継続する。
アメリカのFDAは、IARCの2B判定を受けて、「研究の進展の監視を継続する」としている。
以下は国立がん研究センターの見解である。一部を引用する。
携帯電話と発がんについての国立がん研究センターの見解
2011.6.28
今回のIARCの調査結果でも通常の携帯電話による通話が悪性脳腫瘍であるグリオーマの発生につながるという十分なエビデンスはないが、携帯電話とグリオーマの発生について、今後も慎重に調査を進めていく必要がある。
ただし1640-2000時間にもおよぶ累積通話時間が大きい群では、グリオーマの発生のリスクがあることが報告されており、過度の携帯電話による通話は避けたほうがいいと考える。
子供は成人に比べて携帯電話によるエネルギーの脳への影響が2倍以上という報告もあることや、20歳未満の子供が長時間携帯電話で通話した場合の発がんへの影響についてはまだ報告されていないため、小中学生・高校生の携帯電話の使いすぎは注意すべきである。
この見解では、研究の継続と、プレコーション的な策の実施を薦めている。