*高周波電磁界に関するコーナ(11


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携帯電話の電磁波曝露は、子供の方が強く曝露を受ける・・・・・という情報がある。
これに関して、入手して、読むことができた範囲で、関連する研究の概要をこのコーナでまとめて行きます。
最初は1件、2件の研究紹介から始めます。
    作成開始:2010-04-03

1.1996年のGandhiらの研究
2.2101年 久田らの研究
3.2004年 藤本らの研究
4.201103総務省「電波の安全性に関する説明会」の中の説明から
5.携帯電話の子供の使用による脳腫瘍リスクは増加せず 2011年の研究
6.藤原修らの携帯電話のSAR 成人と小児の違い 2004
A藤原修らの2000年の研究 
7.矢部武著「携帯電磁波の人体影響」集英社新書2010年発行 から
8.スイスの2010年 Kusterらの研究
9.2008年のフランスのWiartらの研究
10.2009年WHOのワークショップでのスイスの講演
11.BEMS年次総会2012年 上野らの研究
12.2004年のBurdaloらの研究

***子供への影響に関する研究等***
21
韓国放送通信委員会の勧告「子供のためのガイドライン」を予定
22
エール大2012年の母ネズミの携帯曝露による胎児の影響に関する研究
23.レパチョリらの2005年研究


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1.1996年のGandhiらの研究

記:2012−5−5

たぶん、子供の脳の方が、携帯電話の電磁波の影響を受けやすい・・・・という報告を行ったのは、以下の研究が最初ではないかと、思われる。

タイトル:Electromagnetic absorption in the human head and neck for mobile-telephones at 835 and 1900 MHz
研究者:Gandhi, O.P. Lazzi, G. Furse, C.M.  
掲載誌:This paper appears in: Microwave Theory and Techniques, IEEE Transactions on
Publication Date: Oct 1996 Volume: 44, Issue: 10, Part 2 On page(s): 1884-1897

この研究では、大人のモデルに対して、子供のモデルは、単純に比例で縮尺したモデルを想定している。
大人のモデルはサイズ1.974とし、10歳児の子供のサイズは1.515歳児の子供のサイズは1.2989としている。
すなわち、大人に対して、5歳児の子供の大きさは約6割の大きさに、縮小している。

原書の表9

原著の表9を示す。
出力600W4分の1波長のモノポールアンテナで、周波数を835MHzとした場合の、大人と10歳児、5歳児のSARの計算結果を示す。

赤で囲んであるように、1gあたりのピークSARでは、大人に対して10歳児、5歳児の値が大きく、1.5倍程度になっている。

 

原著の表10

原著の表10を示す。

出力125W4分の1波長のモノポールアンテナで、周波数を1900MHzとした場合の、大人と10歳児、5歳児のSARの計算結果を示す。

赤の下線で示すように、1gあたりのピークSARでは、頭部全体では大人に対して10歳児、5歳児の値が大差はなく、脳内でのピークSARでは大人に対して5歳児は約1.5倍程度になっている。
「矢部武」本では、赤い四角で囲んだ数字だけを、紹介している。

 

原著の図2

原著の図2を示す。
周波数835MHzの場合、大人(a)、10歳児(b)、5歳児(c)では、脳内のSARの分布状態が異なり、年齢が若いほど、脳の内部まで浸透している。
変化が大きい。

 

原著の図3

原著の図3を示す。
周波数1900MHzの場合、大人(a)、10歳児(b)、5歳児(c)では、脳内のSARの分布状態が異なり、年齢が若いほど、脳の内部まで浸透している。
835MHz
の図2に比べると、変化は小さい。

関心のある方は、原著論文を入手して読んでください。


追記:2012−5−17
原著の図2のカラー表示のグラフを見つけました。以下に示します。
このGandhiらの1996年の研究では、大人と10歳児、5歳児の頭部は、単純に大きさが異なるとして、大人の大きさから縮小モデルで解析を行っています。
大人はボクセルサイズが1.974×1.974×3oに対して、5歳児のボクセルサイズは1.2989×1.2989×1.9048oです。
すなわち、大人に対して、5歳児は約66%の大きさ、大人の頭のサイズを直径20cmとすれば、5歳児の頭のサイズは13cmとして、計算をしています。
そこで、以下の図では、5歳児の計算結果の図を、66%に縮尺して、大人のSAR分布と同じ大きさで比較できるように付記してあります。
これをみると、同じ電力の携帯電話の電波を受けると、大人は大きな直径20cmの頭部に対して、比較的周辺部での吸収で収まっていることに対して、5歳児は単純に頭のサイズが小さいので、より脳の内部まで吸収の範囲が浸透している ということが判ります。




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2.久田らの2001年の研究

 

掲載誌:電子情報通信学会 信学技報EMCJ2001-81(2001-01)
タイトル;携帯電話の成人と幼児の頭部を対象とした局所SARの比較評価
研究者:久田智視・王建青・藤原修

あらまし
携帯電話の小児頭部に対する局所SARの評価は研究グループで大きく異なり、論争中である。
本文では、筆者らの開発になる成人頭部数値モデルから日本人頭部寸法の年齢別計測データにしたがって縮減・作成した小児モデルに対して、GandhiらとKusterらの計算条件下で局所ピークSARを解析した。
その結果、成人に対する小児頭部内の局所ピークSARは、モノポール型アンテナの出力電力を一定とするときはサイズ縮減と共に顕著な増加がみられるのに対し、ダイポール型アンテナの実効電流を一定とするときは、サイズ依存性はほとんどみられなかった。
前者はGandhiら、後者はKusterらの結果と同じであり、このことは両研究グループの結論の相違がアンテナの種類と出力電力または実効電流を一定とした条件下の数値解析でもたらされた可能性を思わせる。

以下に原文より図1SAR計算のためのアンテナ配置 図2:携帯電話のアンテナ出力を0.6Wとした局所ピークSAR 図3:半波長アンテナの実効電流を100mAとした局所SARを転載します。
この研究では周波数は900MHzとし、Gandhiらの研究条件と一致させています。

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関心がある方は、原著全文を入手して読んでください。


BEMSJ
コメント:
3と図4を比べてみれば、アンテナの条件によって子供の頭部では大人の頭部よりSARが大きくなったり、大きくならなかったりすることが判る。
ほとんどの携帯電話の送受話器(ハンドセット)に採用されているアンテナは、モノポールアンテナであり、図4の条件に相当する。

 

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3.2004年 藤本らの研究

記;2010−4−19

電子情報通信学会・環境電磁工学研究会(EMCJ)参加報告 から抜粋
2004
120日 東京都立大学にて開催。
講演を聴いたときの概要を以下に纏めた。

タイトル;ダイポールアンテナによる成人および乳幼児頭部内部温度上昇とSARの相関
研究者: 藤本正樹(大阪大学)ほか

FCC1997年に機器からの電波輻射による近傍電磁界暴露限度をSARで設定した。(FCC OETブリテン65
・過去の研究では、頭部のSARの分布と、温度上昇の分布は一致しない。熱の拡散などがあるためである。
 しかし、局所SARと最大温度上昇は比例関係にある。
・ダイポールアンテナを、耳を除く頭部から2.2cm離れた場所に置き、3才、7才、成人の局所SARと最大温度上昇を調査した。
 結果は、20%程度の違いはあるが、ほぼ同じレベルであった。
 従って、幼児であるからSARを厳しくしなければならないという必要はない。

・この研究で、職業曝露値の10W/kgというSARでは、温度上昇が2度であった。

・質疑応答:
もしこれが本当であれば、温度上昇1度から規定している職業曝露の限度値を10W/kgから半分にしなければならなくなる。確認が必要となる。

関心のある方は、原著全文を入手して読んでください。


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4.201103総務省「電波の安全性に関する説明会」の中の説明から

記:2011−3−10  

「電波の安全性に関する説明会 安全で安心な電波利用環境に向けて」が開催された。
1
日時 平成2338日(火曜日)13時から1630分まで
2
場所 日暮里サニーホール(東京都荒川区)

この講演の中で、
「電波防護指針の根拠と測り方」渡辺聡一氏は
国際共同研究(NICTを含む14研究機関)でSAMファントム、成人男性モデル、小児モデルで頭部SARの違いに関する研究を行った
結果は2006年にIEEEで発刊した論文にある。これによれば、SAM>成人>小児であり、現用のSAMファントムで評価を行えば、小児に対しても安全といえることが判った。
という説明があった。

以下にレジメのページを示す。

 

      

 

関心のある方は、このレジメに紹介されている英文の論文を読んでください。

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5.携帯電話の子供の使用による脳腫瘍リスクは増加せず 2011年の研究

記:2011−8−6

http://japan.cnet.com/news/service/35005689/ にあった内容 2011−7−29のログ
******************************   ***********

CNET Japan ニュース

携帯電話使用の子ども、脳腫瘍リスクは増加せず--疫学研究論文
2011/07/29

携帯電話を使用する子どもが脳腫瘍にかかるリスクは、使用しない子どもと比べて高くなるわけではないことを示唆する疫学研究論文が発表された。
この研究は、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、スイスで行われたもので、「Journal of the National Cancer Institute」に論文が掲載された。
研究グループは、7歳から19歳までのおよそ1000人の子どもを調査し、2004年から2008年までに脳腫瘍と診断された子どもと、一般から無作為に選ばれたグループについて調べた。

研究グループは被験者に対し、携帯電話で音声通話をどの程度使っているかを尋ねた。
また、一部では無線プロバイダーから利用に関する情報が提供された。
その結果、携帯電話をいつも使っている子どもの脳腫瘍リスクは、携帯電話をあまり使っていない子どもに比べて高いというわけではなかった。
また、頭部の中で携帯電話からの電磁波により多くさらされる部位で脳腫瘍のリスクが高まることもなかった。


以下 略

***********************          *************

関心のある方は、当該のニュースを読んでください。

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6.藤原修らの携帯電話のSAR 成人と小児の違い 2004


作成:2006−11−28

掲載誌:電気学会誌C 12412号 2004
タイトル:成人と小児の頭部MRIモデルを対象とした携帯電語による局所SARの熱的尺度評価
研究者:藤原修ら

まえがき からその一部を紹介
********************   ****************
情報化杜会の到来で携帯電話が爆癸的に普及する一方、使用者の低年齢化が急遠に進んでいる。
それに伴い、小児頭部内でのドシメトリ(電磁波を浴びたときに生体組織に誘導される電磁吸収量を定量すること)に関心が高まっている。

Gandhi
らは、小児頭部に対しては成人頭部よりも局所ビークSARSpecific Absorption Rate、即ち単位質量当たり吸収される電力)は著しく増加すると主張しているのに対して、Kusterらは、成人と小児のいずれの頭部モデルに対してもSARの空間分布は類似し、小児頭部での局所SAR値の増加はないとしている。

この論争について、2002年にGuyらは、Gandhiらの計算をフォローした上でKusterらの結果を支持する論文発表したが、奇しくも同年に筆者らは、日本人頭部磁気共鳴像(MRI: Magnetic Resonance Imaging)データに基づく成人数値モデル及びそれを下に日本人年齢別計測統計データを参考に成人頭部モデルを部位毎に異なる比率で縮減して作成した小児頭部モデルを対象として、GandhiらとKusterらと同じ計算条件の下で携帯電話による頭部内局所SARを計算し、両グループの結果が共に正しいこと小児頭部内局所ピークSARの増減傾向は実はアンテナの入カインピーダンスに依存して異なることを明らかにした

更に、児童に相当する12歳児・10歳児・7歳児・5歳児と幼児相当の3歳児の頭部モデルに対して、携帯電話の標準使用位置とされる「頬の位置」と「傾斜の位置」での頭部内局所SARを試算し実使用状態での局所ピークSARの子供と成人との間での差異は小さく、成人と比べると子供のほうが逆に減少する傾向にあることも示した

***********  ***********

関心のある方は、原著論文を入手して読んでください。

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A.藤原修らの2000年の研究

このページに公開:2012−7−12

電子情報通信学会のWEBに公開されていた論文の内容です、
http://search.ieijp.or.jp/jpa/2000/allsearch/j83-b1-81.htm
<リンクが切れています>

結構 興味の深い研究成果です。
以下に概要を紹介しますが、興味のある方はWEBを覗いたり、原著論文を入手したりして読んでください。

携帯電話は頭部で使用するので、電磁波が頭部に影響する、特に頭の中央部などに集中して影響が現れるのではないか(これをホットスポットという)という観点もあります。
この研究は、その観点に答えてくれる研究です。

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ieicejps B 2000 1
携帯電話の電磁界による頭部内のホットスポット形成とSARFDTD解析
藤原修 Osamu FUJIWARA Nagoya 王建青 Jianqing WANG Nagoya
牛本卓二 Takuji USHIMOTO Nagoya 野島俊雄 Toshio NOJIMA NTT

本論文では,携帯電話によるホットスポット形成の有無を明らかにするために,筆者らの製作になる成人,小児,幼児サイズの3種類の実形状不均質頭部モデル(以下,リアルモデルと呼ぶ)と,
対照モデルとしてそれらの大きさに対応した均質球モデルを用い,携帯電話による頭部内SARを平面波曝露の場合と併せてFDTD解析した.

その結果,
携帯電話の実使用状態ではリアルモデルでも均質球モデルでもサイズの大小にかかわらず局所ピークSARは表面上で生じ,内部にはホットスポットは形成されないことがわかった.

一方,携帯電話を頭部から9.75cm離した状態では幼児サイズのリアルモデル及び均質球の両モデルにおいてホットスポットが現れることが判明し,このことは平面波曝露で顕著に確認できた.

しかし,これらのホットスポット値は,携帯電話の実使用状態で頭部表面上に生ずるピークSAR値に比して十分小さく,
例えば幼児サイズの首まで含めたリアルモデルでのホットスポット値は 900 MHzでは1g平均で41, 10g平均では36, 1.5GHzでは1g平均で16, 10g平均では11であることがわかった. 
****************

追記:BEMSJはこの論文のフルテキストを入手しました。

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7.矢部武著「携帯電磁波の人体影響」集英社新書2010年発行 から

記:2012−5−4

P122
〜 ガンジーの研究の確認のことが紹介されている。
・「子供の脳は電磁波に対して脆弱だ」という1996年のガンジーの研究で、子供の脳のSARは大人と比較して大きいという発表がある。
・これに対して、子供と大人の吸収量は殆ど違いがない、という研究も発表された。


・フランスのヴィアール博士の研究(2008年の研究論文)や、ブラジルのデサレス博士の研究(2010年のマイクロウェーブニュースの記事)は、ガンジーの研究の確認を行っている。
BEMSJ注:この二つの研究の詳細は調べる価値はある。フランスの研究は以下に結果を紹介

関心のある方は、この集英社新書を読んでください。

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8.スイスの2010年 Kusterらの研究

記;2012−5−5

以下の研究があります。

掲載誌:Phys. Med. Biol. 55 (2010) 17671783
タイトル:Age-dependent tissue-specific exposure of cell phone users
研究者:Andreas Christ,  Marie-Christine Gosselin,  Maria Christopoulou, Sven Kuhn and Niels Kuster

成人、11歳児、6歳児、3歳児などの条件がことなる場合のSARの違いを研究しています。

以下に原著の図4と図5を紹介します。 周波数を900MHzとした場合と、1800MHzとした場合の解析結果です。
図4の900MHzの場合は、年齢によるSARの差異は殆どありません。
51800MHzの場合は、3歳児のSARが、大人に比べて大きい場合(携帯電話のアンテナの条件によって異なる)があります。
ただし、この解析はSAMというICNIRPIEEEで定めた携帯電話からのSAR測定法によるSAR値を基準にしているので、この基準値は超えてないことに注目する必要があります。

 

 

関心のある方は、上記の原著論文を読んでください。

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9.2008年のフランスのWiartらの研究

記:2012−5−6

以下の研究があります。
この研究は、上記の矢部武著に紹介されている論文です。

掲載誌:Phys. Med. Biol. 53 (2008) 36813695
タイトル:Analysis of RF exposure in the head tissues of children and adults
研究者:J. Wiart, A. Hadjem, M. F. Wong and I. Bloch

原著の図10

原著の図10を上に示します。

10gあたりのSARの最大(MSAR)は、周波数を変えて、大人と子供の場合の比較を行っています。
結果は子供に対して、大人が20%程度大きくなる場合と、20%程度小さくなる場合もありますが、総じて大人と子供では大差はない、となっています。

原著の図11

原著の図11を上に示します。
gあたりのSARで解析した結果では、子供の頭部の皮膚の厚さ、頭蓋骨、筋肉の厚さなどが薄いためでしょうか、局所的に大人と異なるSAR値が検出されています。
一番大きいSAR値となる皮膚では、子供は大人より小さいか同順です。
筋肉の部分では、SAR値は皮膚より小さくなっているが、子供は大人より大きい値となっています。脳みその部分でも子供は大人より大きな値となっています。


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10.2009年WHOのワークショップでのスイスの講演

記;2012−5−7

以下のWHOのシンポジウムにおけるスイスのKusterの講演レジメが、比較的判り易い。
「2009年6月にイスタンブールで開催された電磁界に関する子供の感受性に関するWHOのワークショップ」の講演レジメです。

関心のある方は、このレジメ全体を入手して、見てください。
一部を、以下に転載します。

レジメの冒頭の頁


Schonbormらの1998年の研究の紹介・900MHzで3歳児・7歳児と大人(4モデル)で、ピークSARを日アックした場合、子供と大人では大きな差異はない。


Kusterらの研究結果 大人(4モデル)と、子供(3歳児、7歳児、日本の7歳児)で比較、 10gあたりのピークSARを比較した場合に子供だから大きいことはない。


Kusterらの研究結果 大人(4モデル)と、子供(3歳児、7歳児、日本の7歳児)で比較、 1gあたりのピークSARを比較した場合に子供だから大きいことはない。


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11.BEMS年次総会2012年 上野らの研究


記;2012−11−17

4. Session PA: Poster Session A
Comparison of Specific Absorption Rate (SAR) Induced In Brain Tissues of Child and Adult Using Mobile Phone
携帯電話の使用による大人と子供の脳内組織に誘導されるSARの比較

Mai Lu1 & Shoogo Ueno2
1
Key Lab. of Opt-Electronic Technology and Intelligent Control of Ministry of Education, Lanzhou Jiaotong University, Lanzhou, China, 730070

In this study, two children and one adult head models have been employed to calculate the specific absorption rate (SAR) in brain tissues by finite-difference time-domain method.
It was found that there is a deeper penetration of absorbed SAR in child head.
The induced SAR can be significantly higher in subregions of child brain.
この研究では、1つの大人の頭部と、二つの子供の頭部を用いて、脳内組織に誘導されるSARFDTD法で解析した。
子供の脳では吸収されるSARは脳深部に達していることが判った。
誘導されるSARは子供の脳の局所において大きくなっている。

Long Abstract
から一部引用
A generic handset (known as IEEE mobile phone) was modeled in this study.
The length of the monopole antenna is 38 cm at 1750 MHz.
The antenna is mounted on a conductive box with lateral dimensions 40 mm
× 100 mm, and thickness 20 mm.
IEEE
携帯電話として知られている携帯端末を用いた。
モノポールアンテナは1750MHzで長さは38cm40X100mmで深さ20mmの導電性の箱に取り付けた。
<BEMSJ注:38cmのモノポールとあるが、波長から考えて3.8cmの間違いであろう。どの程度の電力としたのか記述はない。>

SAR10g in child brains are higher than the corresponding values in adult brain.
However in both child and adult brains, SAR10g is well below 2 W/kg, the safety level defined in IEEE standard.
大人の場合のSARに比べて、子供の10gあたりのSARは大きい。
しかし、IEEEの規定にある安全基準10gあたりのSAR 2W/kgに比べると十分に低い。

 

Figure 1:頭部モデル  (a) 6才男児 (b) 11才女子 (c) 34才男性

Figure 2SARの分布の違い (a) 6才男児 (b) 11才女子 (c) 34才男性

 

Table 2SAR10g (W/kg) の比較 

 

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12.2004年のBurdaloらの研究

記:2013−3−10

以下の研究がある。

>掲載誌:Phys. Med. Biol. 49 (2004) 345–354
>タイトル:Comparison of FDTD-calculated specific absorption rate in adults and children when using a mobile phone at 900 and 1800 MHz
>研究者:M Martinez-Burdalo et al;

成人と子供の頭部での携帯電話の電磁波の曝露(SAR:吸収エネルギー)の違いを解析した研究で、大人と、88%縮小モデル(9-10歳を想定)、78%縮小モデル(2-3歳を想定)での違いを検討した。
アンテナと耳との距離は2.2cm、アンテナは半波長ダイポールアンテナとした。

結果は以下の表に示す。
多少の変化があっても、成人と子供のSARに大差はない。


 

 

関心のある方は、原著全文を読んでください。

 

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***子供への影響に関する研究等*****

21.韓国放送通信委員会の勧告「子供のためのガイドライン」を予定

記;2012−6−4

以下の報道がありました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120522-00000929-chosun-k
にあった内容
************* 一部 引用 **********

朝鮮日報日本語版
韓国電子通信研、携帯電話の使用とADHDの相関関係を解明
2012
522()1036分配信
(略)
携帯電話の使用頻度とADHDの直接的な相関関係を明らかにしたのは、世界で初めてとなる。
ADHD
を引き起こす環境要因としては、鉛が指摘されている。
ここ5年間、血中の鉛濃度が高い子どもほどADHD発症率が高いという研究結果が、世界中で相次ぎ発表されている。
檀国大の河美那(ハ・ミナ)教授(予防医学)は、血中の鉛濃度が平均に比べ約50%高い子どもが携帯電話を頻繁に使えば、ADHDを発症する可能性もより高まるとの研究結果を発表した。
鉛は食品包装紙に印刷されたインクなどに含まれ、ごく微量が子どもに吸収される。
河教授はしかし「鉛濃度が低い児童は、携帯電話を頻繁に使ってもADHDを発症する可能性は高くならず、携帯電話の電磁波だけでADHDの発症率が高まることはないようだ」としている。

先ごろ米エール大学医学部の研究陣が、胎児のときに携帯電話の電磁波にさらされると、成長期にADHDと類似の行動を取ることがあるという研究結果を発表したが、これは人間ではなくマウス実験に基づくものだった。

ETRI
の調査を主管した放送通信委員会は「携帯電話の電磁波から子どもを守るため、年内に『携帯電話の利用ガイドライン』を策定する」としている。
(略)
****************   **************

BEMSJ注:
河美那(ハ・ミナ)教授(
Ha Mi−na)の研究とあるが、本日のPubmed検索ではこの研究がヒットしない。
したがって、学術論文誌に掲載されたか否か、確認ができなかった。

エール大の研究に関しては、以下の22項で紹介する。

ETRIが今年度中に策定する「子供を守るための携帯電話利用ガイドライン」が如何なるものか、待ちましょう。

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22.エール大2012年の母ネズミの携帯曝露による胎児の影響に関する研究

記:2012−6−5

21
項の韓国の報道から、このエール大の研究はいかなるものか、確認をしてみました。

元ネタとなる論文は以下のものです。
掲載:Scientific Report 2: 312
Published 15 March 2012
タイトル:Fetal Radiofrequency Radiation Exposure From 800-1900 Mhz-Rated Cellular Telephones Affects Neurodevelopment and Behavior in Mice
研究者:Tamir S. Aldad

そして、以下のような、記憶機能に電波曝露の影響が見られた、というグラフなどが掲載されています。


関心のある方は、この論文の原文(英文)を入手して、読んでください。


JEICのサイトにこの論文に関する批判が公開されていました。
関心のある方は、以下のサイトにアクセスしてください。
http://www.jeic-emf.jp/research/thesis.html

***************************   ***********
論文解説
論文「800-1900MHz規格携帯電話機の無線周波電磁界への胎仔期ばく露はマウスの神経発達と行動に影響する」に対するRRG評価

学術誌サイエンティフィック・レポーツに論文「800-1900MHz規格携帯電話機の無線周波電磁界への胎仔期ばく露はマウスの神経発達と行動に影響する」が掲載されました(20123月)。

この論文では『マウスをモデルとして、子宮内での携帯電話機無線周波電磁界へのばく露が成長後の行動に影響するか否かを検証し、子宮内ばく露を受けたマウスは、物体認識試験、明暗箱試験、ステップダウン試験の結果、多動的で記憶障害が認められた。
妊娠中ばく露のリスクを明らかにするためには、ヒトまたはヒト以外の霊長類での更なる研究が必要である。』(要約)と述べられています。

電磁界情報センターでは、学術専門家グループ(Rapid Response GroupRRG)から論文に関する評価を得ましたので、以下に紹介します。
【論文タイトル】
Fetal Radiofrequency Radiation Exposure From 800-1900 MHz-Rated Cellular Telephones
 Affects Neurodevelopment and Behavior in Mice
800-1900MHz規格携帯電話機の無線周波電磁界への胎仔期ばく露はマウスの神経発達と行動に影響する)

学術専門家 RRGの評価書の結論
この研究は、携帯電話からのRF電磁界への出生前ばく露が、マウスの発達に対して長期に継続する有害な影響をもたらすことを、行動テストと電気生理学的測定で繰り返し、一貫して観察された変化をもって報告しています。

その上、電気生理学的測定における変化は、1日当たりのばく露時間数に依存したように見えました。
しかしながら、この研究の単純なばく露システムは携帯電話から成っており、これらの携帯電話からのRF電磁界は一定ではなく、かつそのレベルも未知でした。
論文に記述されたSAR 1.6 W/kgは、携帯電話を密着させたヒト頭部ファントムで測定される値です。

この研究では出力制御をしていないこと、携帯電話とマウスとの距離があったこと、マウスのRF吸収は周波数範囲900-1900 MHzで低いことを総合すると、ばく露群の一部あるいは全体と対照群との間に、ばく露の大きな差異はなかったかも知れないことが示唆されます。
各ケージに複数のマウスを入れたことが、実際のばく露の評価をさらに複雑にしています。

要約すると、携帯電話からのRF電磁界が報告されたような影響を引き起こしたかも知れないというのは、信じられないことだと思われます。
************************

BEMSJ注:

JEICの評価にもあるように、この研究では携帯電話の実機をマウスの飼育籠に括り付けています。
音声は出ないように設定していますが、携帯電話の場合、受話器から音声信号を入れないと、無音声では自動的に無線出力が小さくしたりする機能があるので、携帯電話のアンテナからは、ほとんど電波は出ない状況になります。
携帯電話の位置登録に電波は発信されるときもありますが、常時ではありません。

論文には、どのようにして通話状態を維持したのか、また電波が最大条件で発信続けるように何か工夫したのかも、何も記載されていません。
またマウスと携帯電話の間は、マウスが自由に飼育箱の中を動けるようにしているので、4.5cmから22.3cmの距離がありました。
これだけ離れると、マウスは小さいので、もしかして全身曝露になり、マウスのお腹にもそれなりの電波が照射されたかもしれませんが、曝露量の絶対値はかなり小さくなっていると想定できます。

すなわち、曝露しない対照群と、曝露した曝露郡の間に、大きな電磁波吸収に差異がなかったかもしれない、のです。
曝露に差異がなかったかもしれないのに、この研究で、曝露と対照群に行動などに差異があったことは、信じられない、ということになります。



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23.レパチョリらの2005年研究

記;2012−6−5

以下の見解が示されている。
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世界保健機関の会議は次のように結論しました。
「現在の知識から、ICNIRP1998]ガイドラインは子供を保護するのに十分な安全ファクターを一般公衆の制限の中に含むようだ、という大多数の意見はあった。
・・・しかし、子供での影響が不確定であることを考えると、国際基準の採用に加えて更に、子供の曝露を減らす対策を講じることが適切のようである」

- M Repacholi, R Saunders et al: Is EMF a potential environmental risk for children? Bioelectromagnetics Suppl7:S2-S4, 2005.
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関心のあるからは、レパチョリの論文を読んでください。



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