*高周波電磁界に関するコーナ(10


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10GHzを超える高周波に関する研究状況
10GHz
を超えると曝露評価の条件が異なってくるので、10GHzを超えた健康影響に関連する情報を以下に紹介します。 
一部は、10GHz以下のGHz帯の研究結果も包含させます。     
    作成開始:2007-11-18

1.10.6GHzまでの塩澤研究
2.10GHzを超える高周波電磁界の健康影響に関する研究論文の状況 
3.60GHzでの研究
4.Kantzらの研究
5.Akoev らの1994年研究
6.Trilloらの2.2GHzパルス変調での細胞実験2011
7.2000年の7.7GHzでの研究
8.1992年VRHOVACらの7.7GHz研究
9.BEMS誌1997年の論文から
10
BEMS誌1999年の論文から
11
BEMS誌1999年Caraらの研究
12
BEMS 2012年 年次総会の予稿集から 60GHzでの研究
13
60GHz帯の無線通信機能付テレビ
13A.60GHz無線設備の高度化に伴う電波防護指針への適合
14
青森に設置のXバンド・レーダ関連の情報



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1.10.6GHzまでの塩澤研究

 

電気通信普及財団のWEB で公開されている研究調査報告書No.21 2006にあった論文から一部を抜粋して紹介します。 
関心のある方は全文を入手して読んでください。

タイトル:UWB 電磁波の生体影響に関する基礎的研究 
研究者:塩澤 俊之 中部大学工学部教授

FCC
の規制緩和では,3.1GHzから10.6GHzまでの周波数帯をUWB無線通信システムに開放した。
本報告では,UWB電磁波パルスが解剖学的な人体頭部モデルに入射した場合に人体に吸収される電力量と温度上昇の時間発展の定量的な評価を行なった。

3次元人体頭部モデルに電波が入射した際の吸収電力と温度上昇の相関を検討した。
本研究では計算機メモリの都合上、5GHz まで計算したが5GHzから10GHzまでの検討にはより解像度の大きいモデルが必要であり、その領域における検討が今後の課題である。

図:眼球平均SAR の周波数特性


図にあるように、眼球の大きさに関連すると思われるが、3GHz付近に極大点があり、5GHzと周波数が高くなると吸収エネルギSARは小さくなる

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2.10GHzを超える高周波電磁界の健康影響に関する研究論文の状況 


PubMedで検索、GHz, cm-wave, mm-wave等で検索し、関連しそうな論文のAbstractを入手。それらを仮訳した。
1の目的としては10GHz-30GHzcm-Waveの文献が望ましいが以外に少ない。
多くの研究では、古い時代には2.45GHzが電子レンジからのマイクロ波漏洩事件をきっかけにして世界的にマイクロ波の健康影響の研究がおこなわれ、最近では携帯電話の電波の周波数を対象に研究が行われているが、これらは全て10GHz以下である。
全てBEMSJの仮訳である。

一覧

文献

 研究者 

対象  

周波数(GHz)

曝露強度 

結果

Vijayalaxmi

2006

細胞

2.45

510mw/cm2

染色体異常なし

Vijayalaxmi

2006

細胞

8.2

510mw/cm2

染色体異常なし

de Lorge

1980

ラット

1.28

15mW/cm2

ラットの行動に影響あり

de Lorge

1980

ラット

5.62

26mW/cm2

ラットの行動に影響なし

牛尾剛

1999

数値解析

0.7-6

5mW/cm2

目のSAR 1.9GHzで最大。SARは1.8W/kg

D'Andrea

1994

5.62

46W/kg

行動に変化あり

D'Andrea

1994

5.62

2W/kg

行動に差異なし

Natarajan

2000

細胞

8.2

108W/kg

細胞の機能に影響あり

Frei

1989

ラット

9.3

3060mW/cm2

体温調節機能に影響あり

Alekseev

2005

ヒト

42.25

208mW/cm2

皮膚温度上昇あり

Walters

2004

ヒト

94

175mW/cm2

血流を押さえると局部体温上昇あり

Alekseev

2003

ヒト

42.25

出力:52mW

熱の解析結果と一致する

温度上昇

10

Nelson

2003

鼠、猿、ヒト

94

 

熱解析と一致する温度上昇

11

Foster

2003

霊長類

3594

2-7W/cm2

熱解析と一致する温度上昇

12

Walters

2000

ヒト

94

1800W/cm2

局部的な温度上昇を感知

13

Mason

2001

ラット

94

33mW/cm2

皮膚がんの発がん性なし、促進もなし

14

Danilenko

1995

ヒト

54-78

 

医療目的に研究中

15

Danilenko

1997

ヒト

30以上

 

ミリ波は治療に効果あり

17

Ryan

2000

 

30以上

 

ミリ波の研究のレビュー

19

Morrissey

1999

マウス

1.6

 

曝露基準の30倍以上で影響

文献1618は環境電磁界の強度の測定を行った研究
BEMSJ
注:94GHzでの研究が多いのは、アメリカ軍が開発中の電波兵器との関連?

文献1: 2.46GHz8.2GHzマイクロ波10mW/cm2程度では細胞レベルに影響しない
掲載誌:Radiat Res. 2006 Sep; 166(3):532-8
タイトル:Cytogenetic細胞遺伝学の studies in human blood lymphocytes exposed in vitro to 2.45 GHz or 8.2 GHz radiofrequency radiation.
  2.45GHz8.2GHzの無線周波数電磁界に対するヒトの血液のリンパ球への細胞遺伝学的な研究
研究者:Vijayalaxmi
Department of Radiation Oncology, The University of Texas Health Science Center, San Antonio, TX 78229, USA

概要:
健康なボランティアから採血された抹消血液を2.45GHz8.2GHzのパルス波形の無線周波数電磁界に曝露した。
2.4GHz
8.2GHz2時間細胞に曝露したマイクロ波は、入力電力、平均電力密度、SAR,温度はそれぞれ、21W60W,5mW/cm210mW/cm22.13W/kg2071W/kg36.9+/-0.1℃・37.5+/-0.1℃である。

疑似曝露か曝露群から分割した同じ血液を、対照群と陽性対照群(1.5グレィのガンマ線を照射)とした。
培養されたリンパ球は、染色体異常や微小核の存在を評価することによって細胞遺伝学的な実験を行った。
実験の結果では、無線周波数曝露群と疑似曝露群のリンパ球の間に、異常発生のレベルに有意な差異はなかった。

また、8.2GHzのマイクロ波に曝露したとき、不活性となったリンパ球とphytohemagglutininで活性化させたリンパ球の間でも有意な差異はなかった。
一方、ガンマ線を照射した陽性対照群では、疑似曝露群およびマイクロ波曝露群に比べて、有意な損傷の増加があった。

文献2: 1.26GHz15mW/cm2)・5.62GHz26mW/cm2)マイクロ波  1.26GHzの方が影響大 
掲載誌:Bioelectromagnetics 1980;1(2):183-98.
タイトル:Observing-responses of rats exposed to 1.28- and 5.62-GHz microwaves.
1.285.62GHzマイクロ波に曝露したラットの反応
研究者:de Lorge JO, Ezell CS.

概要:
2
周波数(1.28GHz5.62GHz)のマイクロ波照射による効果を鼠の行動への影響として、調査した。
毎日マイクロ波の照射を受けながら、8匹の雄鼠は、2−レバータスクを行った。
ひとつのレバーを押すと2種類の音の一方の音が出て、もう一方のレバーを、正しい音が出ているときに押すと餌が得られる。

5.62GHz
では、電力密度を26mW/cm2まで増加しても、行動に影響はみられなかった。
1.28GHz
では電力密度15mW/cm2で全てのラットの行動に影響が現れた。

全身SARはそれぞれ4.943.75W/kgである。
鼠の形状をした筋肉質で構築したモデルを使用して、局所SARを調べたところ、2周波数間で明らかな差異があった。
1.28GHz
の場合、鼠の頭部の局所SARは、放射源に近い抹消の部分で高かった。
5.62GHz
では局所SARは頭部の中央で高かった。

5.62GHzより1.28GHzでより低い電力密度で鼠の行動に影響が見られたのは、低い周波数の場合より体内の深部まで電磁界が浸透するからであり、マイクロ波の吸収分布が周波数によって異なるからである。

文献3: 目への影響 700MHzから6GHzの範囲で1.9GHzが最も影響力大、周波数が低くても・高くても影響力は低下
掲載誌:電子情報通信学会論文誌B Vol. J82-B No.8 PP1605-7  1999年8月に掲載
研究者:牛尾剛ら、
論文名:眼球内のおけるホットスポットの生成 

概要:
ヒトの目は熱の対流もなく、電磁界によって熱が発生すると影響を受けるので、ホットスポットが発生しないかFDTD法でシミュレーションを行った。

条件
一般公衆より5倍強い電磁界を受けても良い職業的暴露の限界値5mW/cm2の電磁界に暴露したとした。目の重さは11gである。
周波数は、人体頭部が共振を起こさない高い周波数として、700MHzから6GHzまで、とした。

結果;
平均SARが最大となる周波数は1.9GHzである。
これより高い周波数でも、低い周波数でも平均SARは低下する。
この最大値は、10g当たりの平均SAR1.8W/kgで 指針値の10W/kgを超えない。

このことから、職業人に許容される強い電磁界の暴露下で、目にホットスポットが発生したとしても、指針値を超えない。

BEMSJ
注:このことから、電磁波の目への影響は、1.9GHzが最大で、それより高い周波数では影響度が低減する という結果です。
この研究では6GHzまでしか検討していませんが、10GHz以上の影響に関しては参考になる資料です。

文献4:高ピークのパルスレーダ 5.62GHzを照射した時の猿の行動への影響  SAR2W/kgでは影響なし

掲載誌:Bioelectromagnetics. 1994; 15(2):163-76.
タイトル:Rhesus monkey behavior during exposure to high-peak-power 5.62-GHz microwave pulses.
高ピーク電力の5.62GHzマイクロ波パルス電磁界に曝露した猿の行動
研究者:D'Andrea JA, Thomas A, Hatcher DJ
Aviation Performance Division, Naval Aerospace Medical Research Laboratory, Pensacola, Florida

概要:
短時間照射する高ピーク電力マイクロ波に対する曝露基準が採用された。
しかし、高ピーク電力マイクロ波電磁界曝露による影響を理解するための追加の研究データが必要である。
高ピーク電力マイクロ波電磁界の行動への影響を研究するために、4匹の雄猿を、餌を得るためにレバーを押したりする行動の訓練をした。

猿に、可変インターバル(625秒)でプラスチックのレバーを押し、そして色の信号に反応し、餌を得るために二つ目のレバーを押さなければならない という行動パターンを教えこませた。
猿は光ファイバーで表示される3色のカラーを判別しなければならない。
赤の信号の場合は、最初のレバーを押さなければならない。
緑の光(1秒間)の場合は、2番目のレバーを押せば餌が得られる。
白が光っているとき、2番目のレバーを押せば、30秒の休憩となる。

これらの行動実験の間、猿は軍用レーダパルス電波(5.62GHzで動作)か、この軍用レーダにエネルギ倍増装置を取り付けてレーダパルスの9倍のピーク電力となるようにした装置で、電磁界に曝露した。
これらの二つのパルス曝露に対して、疑似曝露と比較した。
ピーク電力密度は、エネルギ増加装置の場合は、51812702520W/cm2、通常のレーダパルスの場合は、56128277W/cm2であった。
ともにマイクロ波パルスは1秒間に100パルスで、20分間曝露し、全身平均SAR246W/kgであった。
疑似曝露群と比較して、4W/kg6W/kgの曝露群では、レバーへの反応、反応時間、餌にありつけた回数などに有意な変化があった。
しかし、2W/kgの曝露群では差異はなかった。

軍用レーダと、エネルギ倍増型レーダでは行動への影響に差異はなかった。

文献5: 8.6GHz 5mW/cm2マイクロ波 細胞の機能に影響

掲載誌:Bioelectromagnetics. 2002 May;23(4):271-7
タイトル:NF-kappaB DNA-binding activity after high peak power pulsed microwave (8.2 GHz) exposure of normal human monocytes
高電力ピークパルス波(8.2GHzのマイクロ波)を人の単核細胞に曝露した後のNF−カッパB DNA結合活性
研究者:Natarajan M, Vijayalaxmi, Szzliagyl M, Roldan FN, Meltz ML.
Department of Radiation Oncology and Center for Environmental Radiation Toxicology, The University of Texas Health Science Center, San Antonio 78229-3900, USA.
注:monocytes 単核細胞 :血液にみられる単核白血球の一種

概要:

仮説の検証を行った。その仮説は、8.2GHzマイクロ波による高電力ピークパルス電波を哺乳類の細胞に曝露すれば、真核の転写機能や原子核のカッパB因子が活性化されるというものである。
このDNA結合たんぱく質は細胞の機能を長期にわたって複雑な遺伝子を制御している。
8.2GHz
の曝露条件は、高出力のパルスRF発信機として入手可能である、という観点から選択した。

この研究では、まったく同じ3つの人の単核細胞を培養したものに、パルス電力を照射した。
ピークと平均に比は455:1である。パルス幅は2.2マイクロ秒、繰り返し周期は1秒間に1000パルスである。
平均電力密度は50W/m2(=5mW/cm2)であり、平均SARは培養に用いたフラスコの底部で108+/-7.1W/kgであった。
FDTD解析では、10%の細胞は22−29W/kgのSARとなっている。

細胞は37度Cで90分間電波に曝露し、その温度で再度培養し、曝露後4時間で取り出した。
原子核のエキスは電気泳動の移動度解析によって解析を行った。

結果として、疑似曝露の対照群に比較して、パルス電波に曝露して4時間後の単核細胞のDNA結合におけるNFカッパB活性は3.6倍と、意味深い増加を見出した。
冷NF−カッパBによる実験に完了によってDNA結合活性の特定性が確認できた。
この結果は、高出力ピークパルスRF電波は細胞を混乱させ、信号伝達系に影響を与えることがわかった。
しかし、現時点では、この現象が非熱的なメカニズムによるものであると表明することは行わない。

なぜならば、今回の実験ではフラスコ内のSAR分布が広くばらつき、今回の実験結果が細胞への低SARによる効果なのか高SARによる効果なのか、検討しなければならないからである。

文献6: 9.3GHz 3060mW/cm2の電磁界の影響 体温調節機能に影響
掲載紙:Radiat Environ Biophys. 1989;28 (1):67-77
タイトル:Thermoregulatory responses of rats exposed to 9.3GHz radiofrequency radiation.
9.3GHz
高周波電磁界に曝露したラットの体温調節機能
研究者:Frei MR, Jauchem JR, Heinmets F
Department of Biology, Trinity University, San Antonio, TX 78284

麻酔をかけられたラットに9.3GHz連続波(遠方界)とパルス波(2マイクロ秒、1秒間に500パルス)を照射した。
平均電力密度は3060mW/cm2、全身平均SARはそれぞれ9.318.6W/kgであった。
電磁界の照射は結腸温度が38.5度から39.5度になるように周期的に変化させた。
結腸温度、鼓膜の温度、皮下の温度、心電図、血圧、呼吸数を実験中、連続して記録をとった。

両方の曝露強度において、皮下と鼓膜の温度は結腸温度の増加量を超えて、有意に増加した。
両方の曝露条件ともに、心拍数は照射期間中有意に増加し、照射停止に伴って元に戻った。
血圧と呼吸数は照射によって有意な変化は見られなかった。
パルスか連続波による有意な違いは見つからなかった。

過去の2.8GHzでの実験結果と比べて、皮下の温度上昇と心拍数の変化は大きく、結腸温度を1度上昇させるために必要な照射時間は長かった。
実験の結果は、照射した電磁界の搬送波はラットの体温分布に影響を与え、生理学的な変化を起こしているということが判った。

文献7: 42.25GHzミリ波 208mW/cm2照射時の皮膚温度上昇
掲載誌:Bioelectromagnetics 2005 Sep;26(6):489-501
タイトル:Local heating of human skin by millimeter waves: effect of blood flow.
 ミリ波電磁界によるヒトの皮膚の局所的な温度上昇;血流の影響
研究者:Alekseev SI, Radzievsky AA, Szabo I, Ziskin MC.
Center for Biomedical Physics, Temple University Medical School, 3400 North Broad Street, Philadelphia, PA 19140, USA

概要:
我々は、開口部をもつ導波管とYAVミリ波電磁界治療器をもちいた42.25GHz電磁界曝露による前腕と中指の皮膚の局所的な温度上昇に対する血液灌流の影響を調査した。
それぞれの電磁界源はベル型の電力密度分布を呈し、ピーク電力密度はそれぞれ20855mW/cm2である。
血液灌流は二つの方法を採用した、血流をふさぐ場合と、皮膚に血管拡張薬のクリームを塗る場合である。
熱力学モデルとして、生体―熱伝達式(BHTE)と、ハイブリッド生体―熱伝達式(HBTH)である。HBTHBHTHとスカラー熱伝達式を組み合わせたものである。

血流はノーマルな条件で208mW/cm2のミリ波に曝露した場合、前腕の皮膚温度上昇は4.7+/-0.4度であり、中指での血流速度は速いので、中指の皮膚温度上昇は、前腕に比べて低く、2.5+/-0.3度である。
しかし、血流を止めた場合は、温度上昇は同じになる、血流のない状態では熱伝達率は前腕と中指は同一といえる。

BHTH
解析では血流の少ない場合、前腕でのみで局所的な温度上昇が精度よく予知された。
HBTH
解析では、血液灌流率の高低ともに、精度よく、温度上昇が予知された。
血流と実効的な熱伝達率(K)の関係はリニアであるとわかった。
高い血液灌流率での熱放散効果は、係数kの増加によってもたらされる。

ミリ波電磁界曝露は浸透深さ0.56mmより深い体組織まで、定常的に温度上昇を呈する。
表面の温度上昇と熱の浸透深さは、照射される電磁界のビーム径が大きくなるにつれて、また、曝露時間が長くなるにつれて、大きくなる。
よって、ミリ波電磁界の大きな電力密度での曝露は、皮膚と皮下組織に存在する熱感知構造に熱的な影響を与える。

文献8: 94GHzミリ波による体温上昇と血流の関係  
掲載誌:Health Phys. 2004 Feb;86(2):115-20.
タイトル:Effects of blood flow on skin heating induced by millimeter wave irradiation in humans.
ヒトがミリ波電磁界を曝露した時の皮膚温度上昇における血流の効果
研究者:Walters TJ, Ryan KL, Nelson DA, Blick DW, Mason PA.
Veridian Engineering, Brooks City-Base, TX 78235, USA

概要:
ミリ波電磁界に曝露したときの皮膚温度上昇が動物の種によって異なることを我々はこれまでに報告してきた。
我々は、この差異は局所的な体温上昇時に、血流を増加させる能力が動物の種によって異なることが主因であるという仮説を立てた。
数学モデルはヒトがミリ波電磁界に長い時間曝露した時の皮膚温度上昇率は皮膚の血流に依存するということを示している。

そこで、この仮説のための実験を行うことにした、ヒト(3名の女性と3名の男性)に94GHzミリ波電磁界を曝露させ、皮膚の温度上昇率と血流の関係の基礎データをえるために、赤外線サーモグラフィとレーザードップラー画像を用いて皮膚温度と血流を測定した。
ミリ波の曝露は4秒間の1W/CM2の高電力モード(HP)と、180秒間の175mW/cm2の低電力モード(LP)で行った。

血流はa)通常 b)上腕にクフ(血圧測定器に腕に巻くもの)を使って血流を止めた場合 c)電磁界曝露の前に皮膚を暖めて血流を増加させた 場合の3ケースとした。
結果は、HP曝露では、これらの血流の状況は皮膚温度上昇率に影響しなかった。
LP
曝露では、血流をふさぐことは温度上昇に小さい影響を与えた。
対象的に、血流を2倍に増加させると、温度上昇は有意に低下した。
血流をふさぐことはこの温度上昇の低下を裏返すものである。

この研究の結果は、94GHz電磁界に曝露したときは、皮膚の血流の比較的小さい変化が皮膚温度上昇率に影響を与えるかも知れない、ということを示している。

文献9: 42.25GHzミリ波による温度上昇 
掲載誌;Bioelectromagnetics 2003 Dec;24(8):571-81
タイトル;Local heating of human skin by millimeter waves: a kinetics study.
ミリ波によるヒトの皮膚の局所的加熱:動力学的な研究
研究者:Alekseev SI, Ziskin MC.
Institute of Cell Biophysics of Russian Academy of Sciences, Pushchino, Moscow Region, Russia

概要:
42.25GHz
のミリ波(導波管もしくは医療用に設計されたYAV機器を用いた)による局所的なヒトの皮膚の温度上昇率を、インビボで、赤外線サーモグラフィで測定を行った。
二つの発信源からは共に、皮膚の表面に円形で対称なガウス分布の電力分布密度がえられている、
細い(直径0.1mm)熱伝対の挿入は、実験に有意な悪影響は与えず、物理的な測定や電力密度の分布も乱していない。

導波管とYAV機器からの電磁界曝露による皮膚の加熱状況は、均質な物質とみなした2次元生体熱伝達解析の結果とよく一致している。
照射するビーム径(1-8mm)を変化させても、初期(0.3-3秒)の加熱状況に差異はなかった。
しかし、ビーム径を小さくすると、加熱状況のレベル(温度上昇の程度)も小さくなった。
温度上昇率の正確な測定のための一定期間内の温度上昇率が非常に低いので、今回の実験で使用している低電力密度では、正確なSAR値の実験での計測は、事実上不可能であった。

正確なSAR値は加熱状況に適用できるモデルに基づいて算出されるであろう。

注:BEMSJの手元にあるこの論文のFull Textによれば、実験に使用した導波管の出力は52mWYAV機器の場合で47.9mWとかなり低電力である。

文献10: ミリ波94GHzによる体表面温度上昇の研究
掲載誌:Health Phys. 2003 May;84(5):608-15
タイトル:Inter-species extrapolation外挿法・推定, of skin heating resulting from millimeter wave irradiation: modeling and experimental results.
ミリ波電磁界曝露による皮膚温度の種間の推定:モデルと実験結果
研究者:Nelson DA, Walters TJ, Ryan KL, Emerton KB, Hurt WD, Ziriax JM, Johnson LR, Mason PA.
Department of Biomedical Engineering, Michigan Technological University, Houghton, MI 49931, USA
 

概要
この研究では、94GHzミリ波に暴露したときの皮膚表面温度を、3種で計測した。それらの種は鼠、猿、ヒトである。
実験は、長い時間で低い電力密度のマイクロ波暴露(LPM)と短時間で高い電力密度のマイクロ波暴露(HPM)で行った。
温度上昇カーブは生体―熱伝達モデルによる計算結果と比較した。

平均表面温度上昇は、3種に対する短時間HPM曝露では全て約7℃の上昇であり、長時間LPH曝露では猿で8.5℃、鼠で10.5℃であった。
HPM
での温度上昇カーブは、血流を無視した一次元熱伝達モデルによる結果とかなり一致していた。
LPM
での温度上昇カーブは、様々な血流速度を考慮した生体―熱モデルでの計算結果と比較した。

結果としては、ダイナミックな体温調節機能を反映した可変血流モデルが、長時間のマイクロ波電磁界曝露下における皮膚表面温度上昇を表すのにより適しているといえる。

文献11: 35GHz94GHzミリ波の目への影響は熱作用で予測可能
掲載誌;Health Phys 2003 Jun;84(6):764-9
タイトル:Thermal modeling of millimeter wave damage to the primate霊長類  cornea 角膜at 35 GHz and 94 GHz  
ミリ波(35GHz94GHz)における霊長類の角膜の障害に関する熱モデル
研究者;Foster KR, D'Andrea JA, Chalfin S, Hatcher DJ
Department of Bioengineering, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA
 

概要:
最近のミリ波電磁界曝露による霊長類の角膜の障害に関するデータは、簡単な熱モデルで説明できる。
電磁界曝露(35GHzもしくは94GHz、電力密度は2-7W/cm21-5秒間)による温度上昇の測定は、データのばらつきの範囲で。モデルと一致している。
角膜の障害(蛍光色素で判定した角膜上皮の汚れ、角膜水腫)の閾値は両方の周波数の電磁界曝露共に、約20度の温度上昇と関連している。
1
次元モデルの制限の中で、角膜障害発生の閾値は曝露状況から予測できる。

文献12: これも94GHz1.8W/cm2 ミリ波電磁界における皮膚での感知の研究 
掲載誌:Health Phys. 2000 Mar;78(3):259-67
タイトル;Heating and pain sensation produced in human skin by millimeter waves: comparison to a simple thermal model.
ミリメータ電磁界による人の皮膚での熱と痛みの感知:単純な熱モデルとの比較
研究者:Walters TJ, Blick DW, Johnson LR, Adair ER, Foster KR.
Veridian Engineering, Inc., Brooks Air Force Base, TX 78235, USA

概要:
94GHz
電磁界、約1.8W/cm2の電力密度までの3秒間の曝露を10名の人を対象に行い、熱的な痛みの閾値を測定した。
曝露中に、赤外線サーモグラフを用いて皮膚の表面温度上昇を計測した。

実験前の温度は34.0+/-0.2℃であった。
突き刺すような痛みを感ずる閾値は43.9+/-0.7℃で、これは対表面の温度が9.9℃上昇した値である。
対表面における測定された温度上昇は、熱の伝導と電磁界エネルギの体組織への浸透の深さを考慮した単純な熱モデルと一致していた。

これらから、他の周波数のミリメータバンドの電磁界における予知される閾値のモデルに使用することができるといえる。

文献13: 94GHzの電磁界の発がん性研究 発がん性・癌の促進性はない
掲載誌:Carcinogenesis. 2001 Oct;22(10):1701-8.
タイトル:Lack of effect of 94 GHz radio frequency radiation exposure in an animal model of skin carcinogenesis.
皮膚がんに関する動物実験では94GHz無線周波数電磁界曝露の影響はない。
研究者:Mason PA, Walters TJ, DiGiovanni J, Beason CW, Jauchem JR, Dick EJ Jr, Mahajan K, Dusch SJ, Shields BA, Merritt JH, Murphy MR, Ryan KL.
Air Force Research Laboratory, Directed Energy Bioeffects Division, Brooks AFB, TX, 78235, USA.

概要

無線周波数の電磁界エネルギが癌の突然変異誘発性を持つという確証はないが、発ガンの動物実験において発ガン促進作用、もしくは発ガン促進作用の促進作用をではないかという提起はある。
最近の技術で、ミリメータバンドと呼ばれる30-300GHzの電磁界を発生させることができるようになってきた。
ミリメータバンドの電磁界吸収は皮膚で起こるので、有害な健康影響が予想される。
もしあるとすれば、皮膚で発生するということがいえるであろう。

この研究では、単発の(1.0mW/cm2の電力を10秒間)曝露と繰り返し曝露(33mW/cm2の電力を10秒間、週に2回、12週連続)が、DMBA(発ガン物質)で誘発した鼠の皮膚がんに対して促進作用があるか、促進作用の促進作用があるかを調査した。

ミリメータバンド電磁界の上記2種の曝露はともに
乳頭腫の発生に有意な影響を与えず、腫瘍の発生と耐用性に関する影響がないという確証となった。
電磁界曝露は、DBMAで発ガンさせ、12-O-tetradecanoylphorbol 13-acetateで処理したラットにおける促進作用の促進作用を持つという確証は無かった。
したがって、今回の実験で行った94GHz電磁界曝露条件は、皮膚がんの動物モデルにおける乳頭癌の促進作用、促進作用の促進作用を持たないという結論となる。

文献14: 旧ソ連では54GHz-78GHzミリ波の電磁界を治療目的に利用している。
掲載誌:Vopr Kurortol Fizioter Lech Fiz Kult 1995 Nov-Dec;(6):16-8.
タイトル:The efficacy of using an electromagnetic field of extremely high frequency (54-78 GHz) in treating patients with chronic nonspecific lung disease]
[Article in Russian]
 急性肺病の治療への高周波(54−78GHz)電磁界の効用 
研究者:Danilenko SR, Shatrov AA, Gerasimovich OI.

概要:
気管支炎と気管支喘息の150名の患者への高周波電磁界を含む治療試験(治験)をえて、上記疾患に対する電磁界による治療を開始した。

BEMSJ
注;上記はロシア語の論文のわずか3行の概要だけで、詳細は不明。
PubMed
で同じ研究者で検索し、以下の概要を見つけた。

文献15
掲載誌:Vopr Kurortol Fizioter Lech Fiz Kult  1997 Nov-Dec;(6):16-8.
タイトル;The efficacy in using an extremely high-frequency electromagnetic field in the combined treatment of chronic bronchitis patients.
[Article in Russian]
 急性気管支炎の患者への高周波電磁界も含めた治療の効果
研究者:Danilenko SR.

概要
急性気管支炎の患者に対する治療法に関する基礎を述べる。
ミリメータバンドの高周波電磁界を併用した治療は有効である。

文献16: 環境中の電磁界強度の測定結果 放送電波は1V/mを超えていた。
掲載誌:Biomed Instrum Technol. 1996 Mar-Apr.;30(2):155-9
タイトル:Radiofrequency field surveys in hospitals.
   病院内の無線周波数環境の調査
研究者:Foster KR, Soltys M, Arnofsky S, Doshi P, Hanover D, Mercado R, Schleck D.
Department of Bioengineering, University of Pennsylvania, Philadelphia 19104, USA

概要:
筆者は、医療機器の無線周波数電磁界との干渉問題に関する情報を得るために、フィラデルフィア地区の4つの病院で、0.1-1000MHzの帯域で、無線周波数電磁界の環境レベルを測定した。
対象は2箇所の大規模な市中病院・地区の病院、2箇所の郊外の病院である。

それぞれの病院の6から12箇所で、3つの周波数帯域に分けて、測定を行った。
5
番目の病院では追加の限定した測定も行った。
測定サイトとしては、送信アンテナからの無線周波数が存在するかも知れない箇所(ページングアンテナに近い最高層の窓の近くなど)や病院内の代表的な箇所である。

測定結果、無線周波数電磁界の中央値はかなり低く、0.1Vmから0.5V/mであった。
しかし、特定の場所では放送電波の強さが1V/mを超えていた。
多くの強い電磁界は、外科用電気機器の近くと、携帯無線機器(携帯電話とUHF送信器)の近くで検出された。

文献17: ミリ波帯域の職業曝露
掲載誌:Health Phys. 2000 Feb;78(2):170-81
タイトル:Radio frequency radiation of millimeter wave length: potential occupational safety issues relating to surface heating.
 ミリ波帯域の無線周波数:帯表面の温度上昇に関連する職業安全上の課題
研究者:Ryan KL, D'Andrea JA, Jauchem JR, Mason PA.
Air Force Research Laboratory, Directed Energy Bioeffects Division, Brooks AFB, TX 78235, USA.

概要:
現在、電磁界の無線周波数としてミリメータバンド(30-300GHz)の利用技術が開発されている。
こうした技術が投入され、日々の利用が進めば、ミリメータバンドの電磁界の有害な曝露の可能性も出てくる。
今日、ミリメータバンドの電磁界による健康影響に関する刊行された研究・論議はない。
本研究(レビュー)ではこの穴を埋めることを試みる。
体内への浸透する深さとエネルギから、ミリメータバンド電磁界による熱は人の皮膚の表面の1-2mmに発生する。

ミリメータバンドは、旧ソ連では皮膚病、胃潰瘍、心臓病、癌などを含む様々な病気医療目的に利用されてきた。
逆に、ミリメータバンド電磁界の偶発的な過大曝露に関連する障害の可能性も存在する。
このレビューでは、急性影響としての火傷や目の障害に加えて、癌を含む長期影響に関して、臨床的に可能性を解析する。

BEMSJ
注:レビューの結果はどうか? この概要では触れられていない。

文献18: VHF/UHF放送波 放送センタ勤務者の電磁界曝露
掲載誌;Med Pr. 2001;52(5):321-7.
タイトル;Exposure to VHF and UHF electromagnetic fields among workers employed in radio and TV broadcast centers. I. Assessment of exposure[Article in Polish]
ラジオ・テレビ放送センタに勤務する従業員のVHFUHF帯域電磁界曝露:1:曝露の評価
研究者;Zmyslony M, Aniolczyk H, Bortkiewicz A.
Zaklad Zagrozen Fizycznych, Instytut Medycyny Pracy, lodz.

概要:
今日、ラジオ・テレビは急速に進歩している人の技術的な活動の一環になってきている。
VHF
帯域とUHF帯域はテレビ・ラジオの放送搬送波として利用されてきている。
ポーランドでは、ラジオ・テレビネットワークRTCNが、200mを超える高さの放送塔を持って、1960年代・1970年代に設立された。
これらのセンタでは、RTCNの枠内に限定されるが、国内・地方向けの多くの放送センタの役割を集中的に担っている。
数十年前に設立されたRTCNは今でも重要である。

放送センタで働く人の電磁界曝露評価は複雑で、ある程度の概算で行うことになる、なぜならば、作業員の長い勤務年数の間に個々の放送局からの曝露状況も変化し、設置されている放送塔の数も形式も変化しているからである。
この研究報告では、過去にさかのぼって曝露評価を行う方法について述べ、3つのタイプのRTCNで行った評価結果について述べる。
解析の結果、RTCNで働く人は主にVHFUHF帯域の電磁界に曝露しているが、そのレベルは許容範囲であり、作業員の健康に悪影響をもたらすことはない。

文献19 *イリジウム・・・とあったので、イリジウム通信衛星からの電波1.6GHzに健康影響の研究かと思ったが、アブストラクトを読んでみると携帯電話におけるパルス変調波の影響に関する研究であった。

掲載誌:Neuroscience 1999;92(4):1539-46
タイトル:IRIDIUM exposure increases c-fos expression in the mouse brain only at levels which likely result in tissue heating.
体組織を加熱するレベルのイリジウムの無線周波数電磁界に曝露したマウスにおけるc-Fos発現の増加
研究者:Morrissey JJ, Raney S, Heasley E, Rathinavelu P, Dauphinee M, Fallon JH.
Goodwin Institute for Cancer Research, Plantation, FL 33313, USA

概要:
過去20年を超える無線通信技術の急速な発展に伴って、携帯電話からの、長期間にわたる低レベルの無線周波数電磁界による健康影響の可能性に関心が集まってきている。
政府関係者によるリスク解析のデータベースを集めると、1.6GHz無線周波数電磁界にマウスが1時間曝露した場合、連続波でもイリジウム通信に使用している11Hzのパルス変調波であっても、脳におけるc-Fos発現が報告されている。

イリジウム信号は地上―宇宙局―地上間の携帯電話通信に使用される周波数であり、最近、運用が開始された。
同一に設計された多数の低軌道の衛星は、イリジウム原子核の周りを周回する電子に似ていることから、イリジウムと命名された。
c-Fos
の発現は、携帯電話に対する人の電磁界曝露制限値の全身平均曝露量では30倍、ピーク曝露制限値では6倍を超えるまで、マウスの脳からの有意な増加はない。
連続波(アナログ式携帯電話を想定)とイリジウム方式(パルス変調波を想定)の高曝露によってc-Fos発現の増加はあるが、パルス変調による効果は見られない。
脳の辺縁皮質や脳皮質下に見られたc-Fos発現の様子は、拘束を伴う発熱の知覚によるストレス反応や、体温調節機能領域の神経活性と一致しており、脳組織に対するイリジウムエネルギ(パルス変調波)による直接的な影響ではない

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3.60GHzでの研究

作成:2007−11−26

環境電磁工学研究会(EMCJ
日時 2007111()開催で以下の発表があった、

タイトル:60GHzミリ波レンズアンテナによる集束ビームの測定と各種条件における人体表面への曝露計算
研究者:香西将樹(東工大)・西方敦博(東工大/NICT)・酒井泰二・渡辺聡一(NICT

あらまし
著者らは先に,レンズアンテナから集束ミリ波ビームを生体に照射した際の温感闘値の測定とその数値解析,実測に基づくビームの再構成と人体モデルへの入射時の電界強度について報告した.
本稿では電界をさらにいくつかの面で測定し,ビーム再構成の精度について検討を行った.
また,照射実験時の位置合わせのずれの影響や皮膚状態の違いの影響を検討するため,照射位置のずれや,集束ビームの斜め入射,皮膚表面の乾湿,皮膚層の厚みなど, いくつかの条件における電界分布を計算した.

BEMSJ注:この発表の中で、60GHzの場合、皮膚1mmでのエネルギ吸収が大きい。皮膚に続く脂肪層でのエネルギ吸収はピークの15dB以下である、という結果が含まれている。

関心のある方は上記原書を入手して、読んでください。

 

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4.Kantzらの研究

アブストラクトを仮訳した。  作成;2008−1−5

掲載誌:Int J Environ Health Res. 2005 Jun; 15(3):207-15
タイトル:Insensitivity of cardiovascular心臓血管の function to low power cm-/mm-microwaves.
 低電力の波長cm-mmのマイクロ波による心臓血管機能の無感受性
研究者:Kantz J, Muller J, Hadeler KP, Landstorfer FM, Lang F.

概要:
過去の研究では、市販されている自動車レーダ装置から放射される77GHzのマイクロ波(低電力で、3μW/cm2)に短時間(15分)曝露することによる心臓血管機能の適用急性対応に対する影響を検出することができなかった。

今回の研究では、5.8から110GHzの周波数を変化させた高電力マイクロ波に15分曝露した場合、心臓血管機能への影響があるか否かを調査した。

5.8
から110GHzの周波数範囲で(59.6μW/cm2の電力密度)連続的に変化されたマイクロ波に曝露した場合の、曝露前、曝露中、曝露後15分に、50名の試験者を対象に、心拍数、皮膚温度、血圧を測定した。
30
分の準備・適応期間の後に、最初の被験者群に曝露を行い、さらに30分後に2番目の被験者群曝露を行った。

試験は2重盲検法によって行われた。

時間によっては有意な効果が観察されたが、マイクロ波曝露群と対照群(マイクロ波に曝露しない群)の間には有意な差異は無かった。
これらのデータは、5.8GHzから110GHzのマイクロ波(中程度の電力密度59.7μW/cm2による心臓血管機能への生理学的な影響を示すものである。

BEMSJ
注:ICNIRPの一般公衆への曝露基準1mW/cm2に対して約20分の1の曝露である。

 

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5.Akoev らの1994年研究

記;2009−12−11

以下の研究があります。

原文はロシア語
掲載誌:Radiats Biol Radioecol. 1994 Jul-Oct;34(4-5):671-4.
タイトル:Modification of lethal radiation injury in mice by postradiation exposure to low-intensity centimeter-band radio frequency waves [Article in Russian]
研究者:Akoev IG, Mel'nikov VM, Usachev AV, Kozhokaru AF.

概要:

A clearly pronounced modification of acute radiation injury of mice has been obtained by prolonged action (for up to 23 hours) of low-intensity (5 +/-1.5μW/cm2) radiofrequency radiation in the ranges of 2-8, 8-18 and 19-27 GHz with a swing frequency of 12-14 Hz, applied immediately after exposure to lethal dose of gamma-radiation.
Survival of mice and average life duration of killed mice were increased.

致死量のγ線を照射後に、8-18GHzといった周波数の電磁界照射、電力密度は5μW./cm2(遠方界で換算すれば電界強度は4.3V/mと低くはない)で、鼠の生存率や死に至る期間の増加が見られた。
これはGHz帯域の医療効果といえる。
原文がロシア語の為に、詳細は不詳。

 

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6.Trilloらの2.2GHzパルス変調での細胞実験2011

記:2011−10−30  修正:2017−8−5

以下の研究がありました。

掲載誌:Bioelectromagnetics 32:340350 (2011)
タイトル:Cytostatic Response of NB69 Cells to Weak Pulse-Modulated 2.2 GHz Radar-Like Signals
レーダに類似した微弱な2.2GHzパルス変調電磁波へのNB69細胞の細胞増殖抑制反応
研究者:M. A. Trillo et al;

概要
The present study investigates the response of two human cancer cell lines to a 24-h treatment with a 2.2-GHz, pulse-modulated (5
μs pulse duration, 100 Hz repetition rate) radar-like signal at an average SAR = 0.023 W/kg, using a newly designed setup for invitro exposure to radiofrequency (RF) fields.
本研究では2.2GHz、パルス変調(パルス幅5μ秒、繰り返し周期は100Hz)のレーダに類似した電磁波に24時間、平均SAR0.023W/kgで曝露した時のヒト癌由来細胞系の反応を調べた。
新たに設計されたインビトロ条件での高周波電磁界曝露装置を用いた。


A complete discretized model of the setup was created for numerical dosimetry using finite-difference time-domain (FDTD) software, SEMCAD X.
FDTD
ソフトウエアSEMCAD Xを用いて、数値ドシメトリーに対して、完璧な不連続性の定を構築した。

The average dose of RF radiation absorbed by the cultures was calculated to be sub
thermal (ΔT < 0.1 ).
培養細胞に吸収される平均的な電磁界曝露はサブサーマル(温度上昇は0.1℃以下)の領域であると計算された。

The RF exposure induced a consistent, statistically significant reduction in the cell number (13.5% below controls, P < 0.001) in the neuroblastoma NB69 line.
高周波電磁界曝露は、神経芽細胞腫由来のNB69細胞系の細胞数の、首尾一貫した、統計的に有意な減少(対照群に比較して13.5%の減少)を誘発した。

This effect was accompanied with slight but statistically significant increases in the proportions of cells in phases G0/G1 and G2/M of the cell cycle (6% and 9%, respectively; P < 0.05 over controls).
この影響は、細胞周期G0/G1G2/M期に、少しばかり、それでも統計的に有意な増加をもたらした。

By contrast, the hepatocarcinoma cell line HepG2 did not respond to the same RF treatment.
対照的に、肝癌由来の細胞系HepG2では、同じ高周波曝露に反応しなかった(影響は受けなかった)。

These results indicate that a pulse-modulated RF radiation with high instantaneous amplitude and low average power can induce cytostatic responses on specific, sensitive cancer cell lines.
これらの結果は、パルス変調された高周波電磁界(平均電力は低く、瞬間的な振幅は高い)曝露は特定の感受性の高い細胞の細胞増殖抑制性に変化を与えることを示している。

The effect would be mediated, at least in part, by alterations in the kinetics of the cell cycle.
この影響は細胞サイクルの運動論に変化を、少なくとも部分的には、起こしているといえる。

BEMSJ
注:
この実験条件から、Duty比は12000であり、平均SAR0.023W/kgであったとしてもピーク時のSAR2000倍の43W/kgとなっていることが判る。
ICNIRP
1998年ガイドラインでは、10MHz10GHzの全身平均SAR0.08W/sである。
この実験条件は、全身平均SARではICNIRPの規定に適合しているが、ICNIRPが言うピークと平均値の比は電力比では1000倍を超えないこと、とする規定は適合していない。

平均電力が低く、温度上昇はないが、瞬間的に大きな電力に曝露しており、ある種の非熱効果と言えるかもしれない。
この点で、電波防護指針はICNIRPのガイドラインと同順と言いながら、電波防護指針では瞬間的なピーク値の上限設定がなされていないことは、問題と言えるかもしれない。

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7.2000年の7.7GHzでの研究

記:2011−11−12

以下の研究論文を見つけた。

掲載誌:Mutat Res. 2000 Dec 20; 472(1-2):51-8.
タイトル:Induction of micronuclei in human lymphocytes exposed in vitro to microwave radiation
研究者:Zotti-Martelli L, Peccatori M, Scarpato R, Migliore L.

Abstract
 概要
Increasing applications of electromagnetic fields are of great concern with regard to public health.
電磁界の応用の増加は一般公衆の健康に関する不安となっている。

Several in vitro studies have been conducted to detect effects of microwave exposure on the genetic material leading to negative or questionable results.
幾多のインビトロ(試験管レベル)研究は、遺伝子関連の物質へのマイクロ波曝露にる陰性効果(問題は見つからない)もしくは疑問のある結果としての効果を見出している。

The micronucleus (MN) assay which is proved to be a useful tool for the detection of radiation exposure-induced cytogenetic
(細胞遺伝学的な)damage was used in the present study to investigate the genotoxic(生殖毒性の)effect of microwaves in human peripheral blood lymphocytes in vitro exposed in G(0) to electromagnetic fields with different frequencies (2.45 and 7.7GHz) and power density (10, 20 and 30mW/cm(2)) for three times (15, 30 and 60min).
微小核解析は電磁界曝露による細胞遺伝学的な障害を検出する有効な手法として認められている。
この方法を本研究では採用した。
インビトロ研究としてヒトの末梢血液(G(0)期に)に異なる周波数のマイクロ波(2.45GHz 7.7GHz)で、電力密度は102030mW/cm2で、3種の曝露期間(153060分)曝露による影響を調査した。

The results showed for both radiation frequencies an induction of micronuclei as compared to the control cultures at a power density of 30mW/cm(2) and after an exposure of 30 and 60min.
結果は、両方の周波数で、30Wcm2の電力密度への曝露で、30分と60分の曝露で、対照に比べて、微小核の増加がみられた。

Our study would indicate that microwaves are able to cause cytogenetic damage in human lymphocytes mainly for both high power density and long exposure time.
我々の研究は、主に高い電力密度で、かつ長い時間の曝露で、マイクロ波曝露によるヒトのリンパ細胞への細胞遺伝学的な影響が起こることが示された。

関心のある方は、原著全文を読んでください。

 

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8.1992VRHOVACらの7.7GHz研究

記:2012−7−2

以下の研究があります。

タイトル::The correlation between the frequency of micronuclei and specific chromosome aberrations in human lymphocytes exposed to microwave radiation in vitro.
マイクロ波照射in vitroヒトリンパ球の小核と特異的染色体異常の頻度間相関
研究者:GARAJ-VRHOVAC V, FUCIC A, HORVAT D (Univ. Zagreb, Zagreb, YUG)
掲載誌」: Mutat Res :Vol.281, No.3, Page181-186 (1992.03 )

概要:
:ヒト全血試料に7.7GHz,出力密度0.5,10,30mW/cm2の連続マイクロ波を10,30,60分照射した。
照射後特異的染色体異常と小核発生の間に相関を観察した。
マイクロ波はヒト体細胞ゲノムに変化をひき起こし,マイクロ波の遺伝毒性の検出に等しく感受性であることがわかった。

0.5mW/cm2では増加はあるが、統計的には有意ではない。
10
30mw/cm2では統計的に有意な増加がみられた。

関心のある方は、原著を入手して読んでください。

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9.BEMS1997年の論文から

記:2012−7−11

生体電磁気学会の論文誌Vol.18, No. 8, 1997に掲載された論文の概要   です。
関連する研究として以下のものがあります。

研究者:P. J. Riu et al:
タイトル:A Thermal Model for Human Thresholds of Microwave-Evoked Warmth Sensations.

内容は、10GHz以上のマイクロ波になれば、人体の表面の温度上昇が、電磁波検知の決め手になる、というものです。

関心のある方は、原著を読んでください。

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10BEMS1999年の論文から

記;2012−7−11

掲載誌:Bio Electro Magnetics論文誌 Vol 20 No.8 December 1999
研究者:H. A. Kues at al:
タイトル:Absence of Ocular Effects after either Single or Repeated Exposure to 10mW/cm2 from a 60 GHz CW Source.

ウサギの目に60GHzの電磁界を暴露、片目に電磁波を印加、他方はコントロールとして電磁波を印加しないで比較の対象とした。
結果としては、電磁波の影響は見られなかった。

関心のある方は、原著を読んでください。

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11.BEMS1999Caraらの研究

記:2012−7−12

電磁波の生体影響に関する学術論文誌Bio ElectroMagneticsVol.20 No.3 1999の概要です。

研究者:F. Cara et al:
タイトル:Different Effects of Microwave Energy and Conventional Heat on the Activity of a Thermo-phillic B-Galactosidase from Bacillus Acidocaldarius

単純な熱を加えた時と、同じ温度になるように制御して10.4GHzμ波電界を印加した時と細胞に変化があるかを調べた。
電磁界によるSAR1.1W/g1.7W/gである。  換算すれば1.1kW/s、 1.7kW/sと強烈な強さを曝露

結果は、電磁界の影響が現れた。

注:電磁界で熱が発生してもそれを強制的に冷却して下げて行うテストで、非熱効果の実験。電磁界でどの程度の熱が上がったのか論文には記載がない。

関心がある方は、原著を読んでください。

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12.BEMS 2012年 年次総会の予稿集から 60GHzでの研究

記:2012−11−17

60GHz
での研究

3. Session O3: In-vitro

DNA MICROARRAY ANALYSIS OF KERATINOCYTE GENE EXPRESSION AFTER EXPOSURE TO 60-GHz MILLIMETER WAVES UNDER NEAR-FIELD CONDITION 
DNAマイクロアレイ解析による近傍界としての60GHz電磁界曝露後の角質細胞遺伝子発現

Denis Habauzit
1, Catherine Le Quément1, Maxim Zhadobov2, Ronan Sauleau2, Denis Michel1 & Yves Le Dréan1
1
Transcription, Environment and Cancer group, University of Rennes 1, Rennes, France, 35042

We have investigated whether human skin cells respond to high-power millimeter-waves (MMW) radiations under near-field condition.
Human skin cells were exposed 3 hours at 60.4 GHz with an average incident power density of 20mW/cm².
Using DNA microarray analysis we found 37 genes differentially expressed between the MMW exposure condition and the sham heat shock control.
These results suggest that MMW could significantly impact gene expression of cells submitted to a heat stress.

近傍界条件下での高出力ミリは電磁波によるヒトの皮膚細胞の応答を調べた。
60.4GHz
の電磁波(平均照射電力密度を20mW/cm2)を3時間曝露した。
ミリ波曝露・疑似曝露・熱ショックによる対照群の間で、37の遺伝子発現に差異がみられた。
これはミリ波が皮膚細胞に熱ストレスを与え、遺伝子発現に影響を与えている。

Long Abstract
Primary human skin cells were exposed 3 hours at 60.4 GHz with an average incident power density of 20mW/cm².
The average and peak SAR over the cell monolayer were 594 W/kg and 1233 W/kg, respectively.
皮膚細胞に60.4GHzの電磁波を3時間曝露した、平均照射電力密度は20mW/cm2
細胞の1層への平均SAR594W/kg、ピークSAR1233W/kgである。

In this case, the exposure induces a significant increase of the culture medium temperature (from 35°C to 43°C).
この場合、曝露によって細胞培養液の温度は35度から43度まで上昇している。

Our results demonstrate that MMW radiation does not induce any significant modification in gene expression when the physiological cell temperature is artificially maintained at 35°C.
細胞の温度を35度に人工的に一定にした場合、ミリ波曝露で有意な遺伝子発現の変化は見られなかった。

Nevertheless, comparing MMW-induced increase of cells temperature, with heat-shocked sham (both at 43°C), 37 genes are detected as differentially expressed with a fold change above 2.
These results seem to evidence that MMW could impact gene expression when cells are under a heat stress.
一方で、熱ショックとして43度まで上げた場合、37の遺伝子発現に2倍以上の変化が見られた。
このことからミリ波曝露は皮膚の熱ストレス下で、遺伝子発現に変化が起こるといえる。

BEMSJ
注:
温度が8度も上昇する条件では遺伝子発現に変化が現れる。
温度を上げないように冷却して電磁波に曝露した場合は、遺伝子発現に変化はない。
よって、遺伝子発現は熱的な作用と言える。
温度だけを上げて、同じ温度上昇にした場合は全く同じではないので、温度が上がるだけ大きな曝露があれば、電磁波の影響が現れるといえる。

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13.60GHz帯の無線通信機能付テレビ

記:2015-11-20

*以下に示すカラーテレビが販売されている。

*************************
2009
1001 0000分 更新
普及するか60GHz帯採用の無線テレビ、ソニーは標準搭載機種を発売へ
60GHz
帯を使う無線接続機能を備えた薄型テレビを市場投入する動きがゆっくりと広がっている。

60GHz
帯を使う無線接続機能を備えた薄型テレビを市場投入する動きがゆっくりと広がっている。
テレビのディスプレイ部と外付けのチューナ機器を無線で接続するもので、1080pの高品位(HD)映像を非圧縮伝送することが特長だ。

<写真は割愛>
60GHz
帯の無線接続機能を標準搭載したテレビ 
ソニーが200911月に発売する。
右下のチューナ装置からディスプレイに向けて、60GHz帯を使って映像を無線伝送する。
ディスプレイ部にはHDMI端子を搭載していない。

***********************

*無線部からの電波(電磁波)の人体への影響は考慮されているか?

2015
11月にソニーに問い合わせた。
**********************
少なくとも貴社の60GHz家庭内ワイヤレス通信に関しては「電波法に規定する電波防護指針に適合していることは確認済みであるが、その詳細に関しては公開でない。」ということだけでも、再確認してください。
まさか、電波法に規定する電波防護指針に適合していることを確認していないはずはないからです。
**************************

回答
*****************
お問い合わせいただいていた件について以下に回答いたします。
これまでに当方より案内いたしました内容と重複いたしますが、本機ZX5 シリーズにおいて公表しておりますのは、電気通信事業法の規定に基づく技術基準適合認定モデルである、という内容のみとなっております。
そのため、上記の詳細に関しましては、情報は公開しておりません。
***********************************

ということで、ソニーはこの無線機能付きテレビからの無線部に関して、電波防護指針への適合確認は行っていない、と見ることができる。


*電波防護指針への適合の確認
60GHz帯の無線に関しては、日本では、出力10mW以下で、アンテナ利得が47dBi以下であれば、無線局としての免許は不要、という現行の法規制になっている。
従って、上記の範囲の無線発信機器を取り付けた場合、ソニーなどの機器メーカーは、無線局としての免許を取得(取得するためには電波防護指針への適合確認も必要になる)せずに、無線局としての免許が不要な無線設備であることを「電気通信事業法の規定に基づく技術基準適合」していることだけを確認は行っているとしても、電波防護指針への適合確認は行っていないと、推定できる。

それでは、法規制の範囲で、60GHzの無線機の近傍にヒトがいた場合の曝露強度を計算してみる。

条件1 法に定める最大条件
出力:10mW
アンテナの利得:47dBi =実数で50118
距離:10cm

電力密度=0.010×50118/(4×3.14×0.1×0.1)=3990W/m2399mW/cm2 とんでもない数値である。

距離1mでは、電力密度は0.00399W/cm23.9mW/cm2

距離2mでは 電力密度は1mW/cm2 となり、電波法に規定する電波防護指針値に合致する。

条件2:現実的な条件
アンテナの利得は16dBi(実数50倍)程度とする。
出力:10mW
距離:10cm

電力密度=0.01×50/4×3.14×0.1の二乗)=39.8W/m2 =3.98mW/cm2 これでもまだ指針値を超える。

距離20cmとして、電力密度は 9.95W/m2=0.995mW/cm2となり、指針値に適合する。

ソニーのテレビの無線機能の無線出力値と利得の値が判れば、計算ができるが・・・・・・


*現在総務省で検討中の60GHz無線設備の新技術基準

情報通信審議会 情報通信技術分科会
陸上無線通信委員会 報告() 発行日付はないがたぶん20153月 から抜粋

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新基準では出力は24dBm(250mW)以下
等価電力ERP 40dBm(出力と利得の積で10000mW10W)以下とする。

4-2
 60GHz帯無線設備における電波防護指針の適合について
60GHz
帯無線設備から発射される電波の強度が、電波防護指針における一般環境の電磁界強度(6分間平均値)(略)の指針値に適合するかどうかについて、ユースケースごとに電磁界強度の試算を行った。
試算結果を表に示す。(略)
試算の結果、人体との一定の離隔距離が見込めるアクセスポイントや、PC端末における利用においては基準値を概ね満足する結果となったが、携帯電話やスマートフォン等に内蔵した場合等、人体の近傍で利用するケースにおいては、指針値を超える結果となった。

PC
端末での利用
本システムの利用形態を勘案すると、PC端末と人体との離隔距離は30cm程度となると考えられる。
アンテナからの距離が30cmの点における電力密度Sは S=10/(40π×0.32)=0. 884[mW/cm2]
となる。よって、指針値を満足する。

BEMSJ注:PC端末と人体の隔離距離が20cmになれば、電力密度は1.99mW/cm2となり、指針値を超える。>

携帯電話端末・スマートフォンでの利用:
利用形態を勘案すると、端末と人体との離隔距離は30cm以内程度と考えられる。
利用状況によっては、人体に近傍界の電力が照射される可能性がある。
結果、 07.2mmの範囲においては77mW/cm2となり、それより遠方(7.2mm17.3mm)は距離に比例して減衰するという結果となった。
これは指針値を上回る値であるが、報告書において記載する11adの通信機能等を勘案することによって、現状の利用においては現在想定される利用ケースを前提とすれば、電波の人体への曝露量を大きく低減させることが可能である。指針値を満足することができると考えられる。

BEMSJ注:携帯電話などではそれなりに対処しなければならないということ。>
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60GHz
の無線設備の普及というか、総務省の新基準の適用に伴って、機器メーカーは電波防護指針への適合をきちんと検討するようになるであろう。


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13A.60GHz無線設備の高度化に伴う電波防護指針への適合

 

記:2017−5−16

以下の報告書が総務省のWEBにあります。

60GHz
帯の周波数の電波を使用する無線設備の高度化に係る技術的条件 の検討を行っている。
平成27320日に取りまとめたもの

***********一部 紹介 ************
情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会 報告(案)

4−2 60GHz 帯無線設備における電波防護指針の適合について
60GHz
帯無線設備から発射される電波の強度が、電波防護指針における一般環境の電磁界強度(6分間平均値)の指針値(60GHz帯に適用される指針値(抜粋)を表4−2.1に示す))に適合するかどうかについて、ユースケースごとに電磁界強度の試算を行った。

試算結果を表4−2.2に示す(試算方法等の詳細は参考資料5にて記載する)。

試算の結果、人体との一定の離隔距離が見込めるアクセスポイントや、PC 端末における利用においては基準値を概ね満足する結果となったが、携帯電話やスマートフォン等に内蔵した場合等、人体の近傍で利用するケースにおいては、指針値を超える結果となった。

4−3 試算結果(まとめ)
現在想定される利用ケースを前提に試算した結果、人体との離隔距離が保てる場合(アクセスポイントやPC端末等での利用)に関しては、時間率を考慮しなくとも指針値を概ね満足する結果となった。
一方、携帯電話端末等、人体に近接して利用するシステムに関しては、時間率を考慮しない計算においては指針値を上回る結果となったが、電波の人体への照射時間及び実態的な送信時間を短くする通信機能の実装を仕様とすることで、電波の人体へのばく露量を大きく低減させることが可能であると考えられる。
このような機能等も考慮した上で、電波防護指針への適合性について個別に確認をすることが必要である。

また、今後、今回検討したケース以外にも、より人体の近傍における利用等の新たな利用ケースが拡大する可能性も考えられる。
さらに、アンテナ特性等によってはサイドローブが人体に照射される可能性についても懸念される。
そのようなケースにおいては、利用ケースに応じて送信出力の低減、通信機能、または送信時間を考慮する等、電波防護指針に適合するために必要な措置を講じていくことが必要である。
特に、頭部付近での使用が想定される場合については、眼部への影響を防護するための措置が必要となることに注意が必要である。

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14.青森に設置のXバンド・レーダ関連の情報

記;2012−12−01

Xバンド・レーダとは
波長2.53.75cm周波数では8GHz12GHz)の電波を用いるレーダの総称。
防空用レーダや戦闘機搭載用レーダの波長30100cmと比べ、高い分解能が得られ、目標を点としてではなく形として把握できる能力から、弾道ミサイル防衛システムの目標(ミサイルや弾頭)捕捉、弾頭とオトリとの識別、追尾、迎撃ミサイルの誘導に使用される。
波長が短いために大気による減衰が大きく、遠方に到達させるには大出力が必要となる。

米国が弾道ミサイル防衛(BMD)システム実験用にクエジェリン島に設置した型(地上配備型Xバンド・レーダ:GBR)123平方メートルのレーダ面に81000個のレーダ素子を並べたフェーズド・アレイ型で、平均出力は170kWもある。
4000km
の遠方で弾道ミサイルの弾頭の探知ができ、2000km以内なら実弾頭とオトリの識別が可能とされる一方、周辺環境への影響を懸念する声もある。

GBR
を石油リグ型のフロートに載せた洋上配備型SBR(Sea-Based Radar)はアラスカ沖に配備された。
THAAD
終端迎撃システム用レーダTPY-2Xバンドを使用し、北朝鮮からの弾道ミサイルの早期探知と精密追尾のために20066月に青森県の航空自衛隊車力分屯地に配備した。

同型のレーダは九州、沖縄、グアム島などへの追加配備も検討されている。
また欧州方面ではチェコへの配備が計画されている。
日本も防衛省技術研究本部がFPS-5と呼ぶXバンド早期警戒用レーダを開発し、2011年度までに4カ所のレーダーイトに配備する。


*衆議院質問主意書でのXバンド・レーダからの健康影響に関する論議からの抜粋を以下に示す。

平成18228日提出
質問第116
航空自衛隊車力分屯基地への]バンド・レーダ配備に関する質問主意書
提出者  高橋千鶴子

三 生活環境への影響について
1
 ]バンド・レーダから生じる電磁波の影響について、例えば、米国防総省ミサイル防衛庁の情報資料(「FACT SheetX-Band Rader20006月公表)は、家庭のテレビやラジオへの影響が生じる可能性について指摘しているが、どのような被害が生じる可能性があるのか。
基地内及び周辺地域の人体・動植物への影響、テレビやラジオなどの家庭用電化製品、民間航空機の運航等への影響、大気汚染及び騒音発生の有無等について、具体的に示されたい。
また、その影響について、どのような対策をとるのか。

平成18310日受領
答弁第116
内閣衆質164116

  平成18310
衆議院議長 河野洋平殿
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議員高橋千鶴子君提出航空自衛隊車力分屯基地への]バンド・レーダ配備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

三の1について
電磁波の影響としては、一般的には、電波干渉や発熱効果が考えられる。
]バンド・レーダ・システムが我が国において展開される場合には、政府としては、他の無線局の運用を阻害するような混信を防止するとともに、人体に危害を及ぼすことのないよう、必要な措置をとる考えである。