専門紙からの情報コーナー

 

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1
Micro Wave News March-April-1998の概要
1A.Micro Wave News Jan/Feb 1999に掲載された記事から
1B.Micro Wave News May/June 1999に掲載された記事から
1C.Micro Wave News 2000 Jan-Febの概要

1D.Micro Wave News May/June 2002の概要
2. Micro Wave News Sept/Oct 2002の概要 
3. Micro Wave News Nov/Dec 2002の概要

4. Micro Wave News Jan/Feb 2003 の概要 
5. Micro Wave News March/April  2003の概要
5A.Micro Wave News March/April 2003の記事詳細:ロシアの予防原則

5B.MICROWAVE NEWS March/April 2003の記事詳細:NIHの発表文
5C.MICROWAVE NEWS March/April 2003の記事詳細:フランスの携帯電話規制
6. Micro Wave News May-June  2003の概要 

 

 

 

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1Micro Wave News March-April-1998の概要

 

1Equivocal Cancer in ding in two-tear EMF Animal Study

2年間の動物への電磁波曝露実験では発癌性は、まだ不確かである。

 

概要:

2年間の動物実験で、雄のラットに対しては電磁波曝露とthyroid cancer(甲状腺がん)とのはっきりした関連が出た。
しかしマウスの雄と雌、ラットの雌に対しては、そうした関連性は見つからなかった。

甲状腺がん以外の、脳腫瘍、乳癌、白血病はいずれの動物でも増加しなかった。

今回発生した甲状腺がんは極めてめずらしい癌である。今回の検出は、「大当たり」かも知れない。

甲状腺癌は、実験のすべての電磁波曝露の群で増加した。

特に20mG2Gに曝露させた群では統計的に有為に増加したので、一般に起こり得ない現象と言える。
10G
の曝露群では統計的に有意か否かの瀬戸際にあった(P0.055)。

今回の曝露では、高調波や過渡的な磁界は最小限に押さえた。

電磁波の曝露は2年間連続した。

 

2Dueling Data on Brest CancerUS and German Results Do Not Agree

乳癌に関して論争:アメリカとドイツのデータが一致せず。

 

概要:

ドイツでの.1回目の実験:プロモ−タ作用を検出

アメリカでの追試:プロモータ作用はない

ドイツでの2回目の実験:プロモータ作用を検出

 

アメリカの研究は、電磁波と乳癌に関するドイツの1回目の研究を再現する事はできなかった(RAPID計画の一環、ラットを使用した実験)。

一方、ドイツでは、新たな追試を行った。
前回と同じ実験を繰り返し、26週間の実験、DMBAを発ガン因子とした乳癌のプロモーション効果の追試に成功した。

1ガウスに曝露させたラットでは対照に比べて、増加した。

これらの相違は、DMBAの違い、餌の違い、ラットの特性の違い、その他の曝露条件の違いが考えられる。

 

アメリカ・ドイツともに高調波や過渡的な磁界は最小限度にした。

アメリカの曝露条件は、50Hz 1ガウス、50Hz 10ガウス、60Hz 1ガウス。

DBMA20mg与えた。 対照群はDMBAだけを与えた。

ドイツの実験では、対照郡の乳癌発生率は約40%であるのに対して、アメリカの実験では92%に達している。

これは、DMBAの量一反応の実験を行っていることになるかも知れない。

そこで、アメリカの研究では、続けて、DMBA8mg2mg×4週間)に減らして、13週間の曝露実験を行った。

結果は、対照群の癌発生が43%、曝露群の癌発生が38%から48%であった。

DMBA10mg与えて、26週間の曝露実験では、対照群の発ガンは96%、曝露群は85%から95%であった。

これらの実験から、アメリカの報告としては、電磁波は癌のプロモーション効果はないと。

 

3Power Link Talk 電力周波数関係の話題

*ニューヨークの裁判結果: 19982月、送電線による地価の低下に対して損害賠償を電力会社に求めていたが、アメリカの最高裁はこの請求を却下した。

1996年にニューヨーク州裁判所でも却下され、上告していたケース。


*デンマークの電力会社の従業員32000名を対象にした研究、

職業的な電磁波曝露と癌は無関係である。
白血病、乳癌、脳腫癌に関しては無関係。

研究では、アスベストに由来する舌癌が多く、その為にすべての癌を纏めた時にsmall but significantな増加が認められた。

 

EMF Review Scheduled for Sept in Tucson

RAPID計画の研究レビューが来る9月にツーソンで開催。

 

4New EMF-Animal Research from Around the World

世界の新しい電磁波曝露の動物実験

 

4-1Australia: No link to limphoma 豪州:リンパ腫と無関係

50Hz10mG1G10Gの磁界を18ケ月、リンパ腫が発生し易い様に細工をしたラットに曝露、検出能力を大きくして実験。

さらに、1 0ガウスの磁界を、1 5分毎にオン・オフを繰り返した断続曝露も実験。

曝露しなかった群の発生率は2 9%、曝露群の発生率は、 26-3 5%であり、電磁界曝露はリンパ腫の発生と無関係という結論。

 

4-2Finland: Mice Get Skin Cancer Faster

フィンランド:マウスの皮膚癌が促進

 

紫外線の曝露で皮膚癌になったマウスは、電力周波数の電磁界曝露で病状が促進されることが判明。
「この電磁波の影響は大きくないが、電磁界の影響としては事実」と研究者は判断している。

2種類の皮膚癌(malignant tumor, Nonmalignant tumor)を一括して解析した時は、電磁界の影響が確認される。
しかし、個別に解析すると電磁界の影響は出てこない。

 

曝露条件;全群に各回3 5分の紫外線を曝露、週に3回。

1; 1ガウスの磁界に連続曝露

1:断続と磁界の強さを変化させて曝露、 13mG130mG1.3G

1:磁界への曝露なし、対照群。

 

4-3Sweden: No Promotion of Brest Cancer

スウェーデン:乳癌の促進効果はない。

 

雄のラットの乳癌の促進作用はなかった。

7mgDMBAを発がん物質として与えた180匹のラットに

60: 25ガウスの磁界を15秒毎に断続。

60: 5ガウスの磁界を1 5秒毎に断続

60:磁界の曝露なし、対照群。

 

結果:対照群に7 2%に乳癌発生、磁界の曝露群に7 0%の乳癌発生。

1994年の同じ研究者による研究では、DMBAで引き起こされた皮膚癌が断続の電磁界で促進された、という研究がある。
今回の実験ではその現象は再現しなかった。

 

コメント: 1994年の研究の概要

Bo Holmberg et al; Intermittent 50 Hz magnetic field and skin tumor promotion in SENCAR mice.

Carcinogenesis vol. 15 No. 2 pp 153-157 1994 著者より入手。

50Hzの磁界 50マイクロT (05ガウス) 500マイクロT (5ガウスでオン・オフを繰り返した場合にDMBAによる皮膚の癌が磁界によって促進される。

オン・オフがゼロクロスで行われておらず、大きなdB/dTによる誘導電流が流れた可能性がある。
論文にある数字をグラフ化してみると2 0-30マイクロTthresholdがある様に見える。

 

5Taiwan Study links Childhood Leukemia, Transmission Lines.

台湾の研究、送電線による磁界で小児白血病が増加

台北市近郊での研究。送電線から100m以内に住む子供に、白血病が多い。

危険率は台湾全土の平均に比べて2.7倍、統計的に有意。

 

6 EMF alter key Enzyme Activity

電磁界が酵素の活性を変える。

 

アメリカのRAPID計画の一環の研究。60Hz1ガウスの磁界に、リンパB細胞に曝露、活性が変化した。
この研究から、癌の促進作用の可能性が示唆される。

 

7High Lightwireless Notes】 無線周波数関係のコラム

*ラパチョリは、昨年に携帯電話の周波数での実験で、電磁波が発ガンと関連するという報告を出している。

新しい研究では、周波数を50Hzにして、同様な研究を行った。結果は、発ガンの危険性はなかった。

こうしたことから、ラバチヨリは「無線周波数での実験は、偶然の結果か、実験の手法がおかしかった可能性がある。」と語っている。

 

NZCherry博士は、携帯電話の基地局からの送信電波による健康問題に関しては、「癌を防ぐ為には0.1マイクロWcm2以下に、妊娠や神経系への影響を防ぐ為には10ナノWcm2以下の曝露にすべき」と主張している教授である。

アメリカのC. Beaverは自宅の近くの教会に携帯電話の中継塔の建設に反対した、彼の招きでアメリカにきた。

インタビューに答えて「私は先生であり、電磁波の専門家ではない。しかし、色々な文献は読んでいる。現時点では多くの研究成果があって、RFMFの低レベルの電磁界に暴露している公衆の為に、慢性の健康障害を与えているという十分な確証があると信じる。」

 

*アイルランド通信の「EIRCELL」は携帯電話の基地局の近くの住民の為に「問題ない」旨の報告書を発行した。
携帯電話の送受話器に関しては触れていない。

 

31名の国会議員がFCCに電話やデジタルTV塔に関して要望した。

 何を要望? 英文がよく理解できず、割愛。

 

*アメリカのNational Aububon Society(鳥類学会?)がFCCに、デジタルTV放送塔等の建設による環境への影響を、要望した。

この分も、英文がよく理解できず、割愛。

 

8In TEXASDigital TV tests Interfere with Medical Devices

テキサスでデジタルTV放送の電波テストで、医療機器に影響が発生。

病院で使用している患者の心拍計を無線で取り込んでいるシステムに影響がでた。

これは、TV放送のチャンネルの電波を、特定の医療用テレメトリーで使用することが許可されていることに起因する。

 

9Finns launch Research Program On Wireless Health Risks

フィンランドは無線周波数の健康影響の調査を開始。

3年計画で、携帯電話の電磁波の健康影響の研究も含めて、調査を開始、研究書の3分の2はフィンランドの無線工業界が負担.

 

10EMFEMR world wide WEB Directory

電磁波の問題に関連するWEBの案内。

リストの再掲載は割愛。

 

11From the Field. 市場の声

Letter to the editor読者の声

ELF Magnetic fields from Spinning Steel Belted Radial TiresImplication for Epidemiological studies

スチールタイヤによる磁界発生、疫学調査への影響。

 

車の中で、運転席で34mG、後部座席で620mGの低周波磁界を計測した。

これは、運転中にだけ発生した。

タイヤなしでは磁界は無いが、スチールタイヤを取り付けると、磁界が発生。

スチールタイヤから直流磁界で2ガウス、もしくは5ガウスを越える磁界があるタイヤが回転して時速30マイルになると6Hzの交番磁界となってあらわれる。
時速60マイルでは12Hzとなる。

タイヤを消磁したら、後部座席で20mGが、2mGに減少した。

 

こうしたことは、疫学調査に影響を与える。子供を自宅での24時間曝露より子供を学校への往復で後部座席にすわっていれば、この車での曝露の方が大きいことになる。

同じ事が電力会社の従業員を対象とした疫学にも言える。鉄塔に登って電磁界に曝露する量よりは、車に乗って移動している時間の方が長いかもしれない。

 

*送電線の近くの家は不動産価値が低い。離れた場所に比べて20%安い。

 

12up dates 最新情報の欄

Electromagnetic Interference. EM I

TWAの飛行機が230人の乗客と共に事故にあったのは、軍のレーダ等の強い電波による可能性がある。

 

EMF reproductive effect. 生殖への影響

スウェーデンの最新の研究。父親が電磁波を浴びていると、生まれる子供が生まれた時に欠陥等が多いと。
電力会社に努める父親を対象研究。

 

medical device医療関係

Museum of Magnetic frauds磁気応用詐欺博物館がアメリカにある。

いかさまグッズが集められている。

 

melatonin メラトニン関係

時差ぼけに効くメラトニンが宇宙飛行でも利用されるかもしれない。

 

microwave cooking電子レンジ

 電子レンジ2450MHzで、6分間の加熱でビタミンB1230-40%減少。

 

microwave weapon 電波兵器

 英文が良く理解できず。

 

Wireless fiction無線に関する物語

 英文がよく判らず、割愛。

 

13Views on the News

interpreting the EMF animal studies; what going on?

電磁波の動物実験の解釈、今後は?

何を言いたいのか良く判らず。 割愛。

 

Moving at the speed of Light. 光速での移動

アメリカの携帯電話の業界は、健康影響を研究するといって多額の基金を集めた。

光速で仕事をする? と言いながら、1993年に始まって、まだ何もやっていない!?

 

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1A.Micro Wave News Jan/Feb 1999に掲載された記事から

記:2016−11−3

1
件の記事のみの和訳を以下に紹介します。
仮訳なので、関心のある方は、原文を入手して読んで下さい。

欧州議会におけるタミノ報告の動向として。
結局は、このタミノの意見は採用されなかった。 

*********************
ヨーロッパ議会の環境委員会による電磁波および電磁放射線に関する報告書案より抜粋

以下は、0Hz300GHzの電磁波の一般公衆に対する放射線放出量の制限に関する勧告会議への提案についての報告書案より抜粋した「説明的記述」である。
ヨーロッパ議会のイタリア代表議員であり、
報告書担当者であるジャンニ・タミーノ教授によって、ヨーロッパ議会の環境、公衆衛生および消費者保護委員会に対して起草されたものである。

1998
116

1
.序文
昨今、何年もの間にわたり、電磁波はニュースとして取り上げられてきた。
特に、1979年にナンシー・ヴァートハイマー氏がコロラド州デンバーにおいてガンが原因で亡くなった344名の子どもたちに関する疫学的研究を行って以来、電界、磁界および電磁波の原因となるものが明らかになると、人々はこれらの及ぼす影響の可能性について非常に関心を持つようになっている。

現在、このような電磁領域の原因は住居の外(送電線、レーダ、テレビの送信機等)ばかりでなく、住居の中からも発見されるということが立証されている。
家庭内では、電子レンジ、ドライヤ、電気カミソリ、テレビ受信機、パソコンのディスプレィ、携帯電話等の電気製品からも電磁波が生じている。

上記の理由に対して議会はまさに次のことを行っている。
すなわち、ヴェニエール氏、トントス氏、ピメンタ氏による解決策案の動議に対応して、この問題に関するポール・ラノイエ氏による報告書をすでに審議し、また199455日には、非電離放射線の有害な影響と闘うための解決策を採択した。
この解決策は、原因となるものが低周波(送電線)と高周波(電気器具、ディスプレィ装置、通信システム等)の両方に関するもので、委員会に対して、非電離電滋放射線の−般公衆と労働者に対する放出量を制限するために、諸規制と基準を含めた対策を提案するように求めている。

また、90/220/EEC指令および92/75/EEC指令を改正して、ディスプレィ装置や家庭電気器具の表示それぞれについて作業者の健康と安全保証の表示を求めた。
この解決策に対応して、委員会は1998611日に、0Hz300Ghzの電磁波の−般公衆に対する放射線放出量の制限に関する勧告会議に対して提案を提出した。

2
.委員会提案

科学委員会の推奨提案と意見は第24代委員長を顧問として、電磁波の様々な種別やその原因となるものを挙げ、また国家レベルや共同体レベルで採用されている規定を概説する他に、主に電磁波が健康に及ぼす影響について、周波領域と生じる影響の種類(熱的、非熱的、急性または慢性的影響)の両方の観点から考慮しつつ査定している。

1
)熱的影響
これらは急性の影響であり、測定しやすく、高周波数の電磁波に対して現れる。
最も一般的な影響は、携帯電話を長期間使用している時に起こる発熱である。
電荷を帯びた分子に対して電磁波が作用すると、その結果人体の組織が熱を持つようになり、このプロセスは電磁波がどのような種類の組織を伝わってくるかによって決まってくる。

研究者たちにとって何の疑問も持たなくてよいのはこの種の影響のみであり、また第24代委員長の科学委員会は1998625日と26日の会議において、これらの影響は十分に決定的な科学的証拠により裏付けられているという事実があるために、限界の値を採択するべきであるという提案を提出した。
同様の結論はICNIRPによっても出された。これもまた、委員会提案の説明的覚書の中に裏付けられるものである。

2
)非熱的影響
推奨提案の対する説明的覚書と科学委員会の意見は両方とも、電磁波の放射線放出量と長期間にわたる非熱的影響の間に明確な関連性をうち立てるに十分な科学的証拠がないという結論を出している。

従って、推奨提案は急性の熱的影響に対してのみ放出量制限の数値を規定し、ガンや白血病等といった(特に子どもの問での)病気、神経やホルモン分泌および免疫系統の機能変化、メラトニンの生成や細胞活性の生成といった慢性的な影響については、より説得力のある科学的証拠が出てくるかどうかによって、将来的に何らかの予防措置を設ける。

3
.電磁波の生物学的、または健康への影響に関する科学的調査

非電離放射線の生物学的、または健康への影響に関する調査結果の概観は、ラノイエ氏の報告書の中にあるものとしてすでに議会に提出されている。
この報告書は議会によって読まれているであろう。
報告書によれば、「すべての調査結果は間違いなく確実に、意思決定期間が基準と規制を定議する際に信用できる科学的根拠を提供するものである」また報告書は、生物学的危害を引き起こす仕組みが解明されていなくても、現在は以下に示す2つの原則に従って、制限基準と規制を採用するために十分な情報を得ることができる。

1
)予防原則は、万一危険の疑いがある場合、特にゼロオプション」(何もしないという選択肢)を採用することによってその危険性は回避されるべきである、と述べている。
2
)世界保健機関のALARA原則の下では、放射線の放射範囲で可能な限り低い量に抑えられなければならない。

1994
年以降、ラノイエ氏の報告書の中で述べられた見解は、広く公表され信頼できる科学的調査に裏付けられてきた。
しかし、この見解は、推奨提案の起草者たちと第24代委員長の科学委員会に関する専門家たちの間では軽視されてきているようである(委員会意見の中にある参考目録から明らかな通りである)。
(送電線から生じる)低周波の電磁波が細胞膜受容体に及ぼす影響については何の言及もされていない。
これは細胞自体の中に伝わって、酵素活性や遺伝情報転写を活性化する化学的伝達暗号の生成を誘発するものである。
それでもなお、このことに関連するデータは次の2つの中に発見される。
すなわち、「電磁波:危険を縮小するための最新の科学的証拠と潜在的脅威および戦略」と題して19941027日にロンドンで開かれたヨーロッパ共同体シンポジウムでの結論と、「生物学的系統に対する電磁波の作用の性質に関して」という題で1995年に出版されたスプリンガー・ヴァーラグ社の著作集(AH.フレイ監修)である。

これらの影響については、電磁波が発ガンのプロセスにどう関わっているかを正確に理解することが根本的に重要である。
発ガンのプロセスは2つの段階が関与していると考えられている。
すなわち、(DNAに対して)初期の遺伝子損傷が起こる「初期段階」とガン細胞の増殖が起こる「進行段階」である。

通常、初期段階のプロセスに関連して原因となるもの(電離放射線、アルキル化剤)は、それに続く進行段階においては活性化しない。
進行段階では、膜受容体またはガン細胞を排除する自然抑制機構(例えば免疫システム)のどちらかに反応する因子によって誘発される。

多くの実験研究が示しているように、電磁波は腫瘍の進行を促すものである(特に、W・レッサー氏他による研究を参照)。
これは、実験研究から限定された証拠が得られ、電磁波が腫瘍を進行させるという理論を裏付けるものであるという科学委員会の結論を引用している)。

さらに、調査が示しているのは、50Hzの電磁波は免疫システムの機能を弱め、メラトニンの分泌を抑える影響を及ぼす、ということである。
これらの機能は、電磁波がどのように腫瘍を進行させるかということへの理解において非常に重要なものである。
これに関連して、R.リバーディ氏による研究(上述、フレイ監修の著作集の中に述べられている)は、メラトニシは02μTの放出量で腫瘍進行を抑える働きを保っているが、12マイクロTではこの効果が妨害されるという実験を行っている点で、特に興味深いものである。

このような生体の内外における研究によって、我々は疫学研究の成果をよりよく理解することができる。
これに関して、ストックホルムのカロリンスカ研究所でマリア・フェイチング氏が行った研究は、電磁波と子どもの白血病の関連を世界の他の地域で得られる同様の成果を支持しつつ指摘し、さらに最近では送電線により生じる電磁波と乳ガンの関連についても指摘した、という点で特に興味深いものである。

他には電磁波と神経機能低下の関連について取り上げている研究もある。
この機能低下は神経細胞内のカルシウムイオンのバランスが崩れることによって起こり、その原因は生体外で電磁波にさらされた細胞にあると認められている。

以上のような研究はすべて、電磁波に対して03μT以上の放射線量が長時間にわたって放出(例えば1日に8時間)されるところに危険性が現れ始めるということを示している。
これに関しては、199773日にM.リネット氏が米国国立ガン研究所に対して提出した報告書を分析してみると有益であろう。
これはしばしば、子どもの白血病と送電線の間には何の関連性もないという主張を裏付ける証拠として利用されるものである。
実際、この報告書は子どもの白血病を1種類のみ見落としており、その一方で一般的に証明されているのは、02μTの放出量では52%の増加率が見られることである。

これは数値的に多くはないが、03μTでは(72%)より多くの数値が表れ、0405μT600%)は常に重大な数値を示している。
低周波の電磁波が及ぼす多くの影響はこれまで述べてきたようなものであるが、最近になってこれらは高周波の電磁波によっても引き起こされることが明らかになってきた。
高周波の電磁波は、例えば通信システムや携帯電話他多くの家庭電気製品(R.サンティーニ著、『携帯電話は危険か?』1998M.ピェチュール出版を参照。広範囲の参考書目を載せている)によって生じるものである。

4
.結論
委員会および専門家部会で到達した結論は、間違いなく大多数の科学出版物で述べられていることに反している。
これらの出版物は、明らかに今までも無視されてきたのである。
この件については然るべき注意が必要であることを認識しているにも関わらず、報告者は最近出された米国のNIEHSの報告に注目すべきだと考えている。
1998
74日付けイングリシュ・メディカル・ジャーナルにおいて、「電磁界は発癌性を持つ可能性があるが、その危険性はおそらくそれほど高くはない」という記述を引用しているのである。

かなり多くの研究成果から、誰も発癌の危険性および様々な生物学上の影響を免れるとはできないことは明らかである。
それゆえ、ラノイエ報告においてもすでに言及されているとおり、予防策を取りできるだけ電磁界の照射を低く押さえる原則を採用する必要がある。

しかしながら、これを実施するどころか、委員会は以下の提案さえ提出している。
つまり、「ELF電磁界が遺伝子に損傷を与えるという、実験による確固たる証拠もない。それゆえ、癌の発生に何らかの影響を与える可能性は極めて少ない。」と述べ、腫瘍を増大させる恐れがあることを完全に無視している。

さらに、「疫学上のデータは照射に制限を設けることを勧告するには不十分である。」と結論づけているのである。
それゆえ、同委員会提案による規則は、スェ―デン1、ルクセンブルグ2、および「イタリア3と」いった様々なメンバ国ですでに制定されている法律よりも緩やかなものである。

本報告者は正反対の意見を抱いている。
つまり、予防策をとるという原則(条約第130粂)に従い、勧告においては熱的以外の影響に対して照射制限を設けるべきであると考えている。
この熱的以外の影響は、長期的に見れば明らかになるだろう。

上記の事柄を鑑み、また、最新の研究成果や国内および地域内ですでに採用している基準を考慮に入れ、本報告者は委員会規則の本文において最大許容される照射レベルを規定するよう修正を提案しています。
これは10年の間に、1ヘルツから2キロヘルツの帯域では磁束密度が2.5ミリガウス、電界強度25/mとし、2キロヘルツから400キロヘルツの帯域では磁束密度が0.3ミリガウス、電界強度25/mとし、最後に、400キロヘルツから300ギガヘルツの帯域では磁束密度が0.1ミリガウス、電界強度1V/m に達することをめざしている。


この報告者はさらに、19991231日までに指令90/270/EEC73/270/EECおよび92/75/EECの修正提案を出すため、委員会を召集することを提案している。
これは、健康を守りディスプレィ装置から発生する電磁界を照射する労働者の安全性を確保すること、また、電磁界を発生する恐れのある電子機器に安全基準を設けること、さらにそのような製品を分類し、それが使われる距離やタイプによって発生する電磁界についての情報を消費者に提供することを目的としている。

最後にメンバ国は、公共建築物からの距離、また移動体通信用中継器を含む、電線、レーダ、放送用および中継用伝送設備の設置場所を考慮した家屋や職場からの距離を、最小限安全性が確保されるよう規定すべきであるとしている。

1
.ディスプレィ装置に対するMPRTCO92基準
2
.省内回状No16442694
3
.行政命令=No3811998910日付。1998114日付の官報にて公表。
無線周波数を決定する際、人間の健康を損なわない許容限度の基準を規定するものであり、199912日に施行予定。これは、人間が居住しているかまたは、1日あたり4時間以上就業する場合の建築物に対しては、放送および移動体通信用中継器の電界照射限度を6V/mまでとすることを規定している。

**********************

 

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1B.Micro Wave News May/June 1999に掲載された記事から

記:2014215


2
件の記事のみの和訳を以下に紹介します。
仮訳なので、関心のある方は、原文を入手して読んで下さい。

1Canadian Childhood Leukemia Study: No Magnetic Field or Wire Code Linkの部の翻訳

カナダの小児白血病に関する調査研究 磁場または電線との因果関係なし

 

大規模な疫学的調査研究では、小児白血病と電磁界(EMF)による曝露との間の因果関係は認められていない。
さらに、小児白血病と近接する高電流電線の存在との間にも同様に因果関係が認められなかった。

 

51日に発行された米疫学会誌American Journal of Epidemiology (AJE, 149.pp.831-842.)に掲載された論文で、「これらの調査結果から、電力周波数EMFによる曝露と小児白血病発症のリスクとの間の因果関係は、ほとんど支持されない」と、マリー・マクブプライド博士をリーダとするカナダの研究者チームが結論付けている。
「証拠が占めるウエートのバランスが、我々の調査研究とNCIの調査研究の結果から、リスクが存在するとしても疫学的調査研究からは検出不能であるという結論に、明らかに傾いてきていると考えることができる」と、マクブライド博士はMicrowave News紙に語った。
同博士は、カナダのバンクーバーにあるBritish Columbia Cancer Agencyのガン対策調査プログラムに参加している。

 

19977月、国立ガン研究所(NCI)の調査結果から、電線が近くにある地域における居住と小児白血病発症との間の関連性についての証拠はほとんどないということが明らかとなった(MWN, J/A97を参照)
今まで行われた多数の調査研究がこのような因果関係を指摘したために、国立科学アカデミ(NAS)におけるパネルが高電流電線付近に居住している子供たちの白血病発症率が、期待発症例率より高いようであるとする結論を導き出している。
しかしながら、NASパネルは、EMFによる曝露は非難されるべきあると、懐疑の念を抱いていた(MWN, N/D96を参照).

 

「本調査研究は、非常に優れたもので、実質的因果関係の存在に対する新たな証拠を加えています」と、チャペルヒルにあるノースカロライナ大学公衆衛生学校の疫学部の教授であるダビット・サビッツ博士はインタビューに答えて述べている。
1980
年代に同氏は、高電流電線付近に居住している子供たちの間におけるガンの発生率に関する報告を行っている(MWN, N/D86参照)

 

マクブライド博士の調査研究は、カナダ5県にわたる399名の子供たちを対象としている。
この子供たちに対しては1990年から1995年の間、14歳の年齢になるまでガンの追跡検査を行っている。
さらに、マクブライト博士のチームは、399例の合致する正常者を選定している。
EMF
による曝露は、いずれもポジトロンメータを使用して、個人の48時間測定と各子供のベッドルームにおける24時間のEMF測定に基づいて推定されたものである。
さらに、研究者たちは、子供が誕生する前の年の母親の居住場所と誕生してから診断までの間の子供の居住場所の周辺と玄関先における局所電力線特性と磁場測定値のすべてが、EMDEX-C磁場計を使用して測定されたということに着目している。
電力線の特性は、1979年の調査研究で基準を設定するためにナンシー・バルトハイマとエドリーパ氏によって最初に考案された、ワイヤコーディング技法とサビッツ氏とウイリアム・クーン博士によって開発されたその修正法に従って分類されている。

 

実測磁場と高電流電線に関しては、白血病発症例のリスクは上昇していなかった。
すべての白血病と急性リンパ腺白血病(ALL)に関しては、個人的磁場曝露量に関する調整済み発症オッズ比は、それぞれ0.950.93であった。

 

「診断/照会日前、または対象者の死亡前2年間に予測された磁場による曝露との関係、あるいは個人的電場曝露との明確な関係は存在していません」と、AJEでマクブライド博士は述べている。

 

本調査研究では始めに、2日間のEMFドジメータを身に付けるよう子供たちに要求した。
「個人的曝露を調査することによって、我々は前の調査研究の限界の一部に対処しました」とマクブライド博士は述べている。
同博士は、症例を認識してから測定を行なうまでの期間が短いことも強調していた。

 

AJEの論文と抄訳における主要な誤り:

 

マクブライド博士の論文で報告された幾つかのリスクのうちの1つが誤りであることが明らかとなっている。
AJE
で発表された抄訳では、マクブライド・チームは、地下埋物電線に隣接した地域に居住していた子供たちに比べ、診断前2年間高電流電線設備のある家に居住していた子供たちのすべてのOR(オッズ比)が1.72であったと強調していた。
しかし、このORは実際には、0.84であった(P11の表を参照)
この過ちは、マクブライド博士の話によれば、数字欄のうちのいくつかに作表の誤りがあったそうである。

 

時間加重平均値によれば、子供たちの大部分が2mG(0.2μT)未満しかEMFに曝露していない。
2mG
以上の曝露を受けていたのは、48時間の個人的曝露に関するデータを利用できる293人の子供たちのうち54人に過ぎなかった。
これら曝露者たちに関する調整済みORは、2mG未満の曝露量を基準とした信頼区間(CI)0.69-1.80として、1.12であった。
マクブライド博士は、3mG以上曝露した人々に関するリスクは計算していなかった。

 

5mG以上の曝露者は8人の症例たちと6人の対照群であった。
この集団は、CI0.49-4.42で、未調整リスクが1.48に上昇した。
しかし、各母親が出産した時の年齢、妊婦の教育レベル、家庭の収入および子供の民族性や転居回数などに対して調整を行った後には、OR0.89に下がった(CI:0.24-3.36)

 

「この調査研究から、子供たちがそれほど強い曝露を受けていないことが分かります。
これにより、安心できます」と、共著者でありBC庁の主任ガン疫学研究者でもあるリチャード・ギャラガー氏はMicrowave Newsに対し語っている。

 

マクブライド研究の最初の主要な調査者であったギャラガー氏は、5mGを越える曝露者に関するガン発症のリスクに関しては、まだほとんど何も語られていないと指摘している。
「今日までの調査では、高い曝露集団を調査する統計解析能力がありませんでした。高レベル曝露者に高いリスクが存在するということをまだ実証してはいないが、だからといって無視することはできない、というのが私の感触です」

 

ボールダ(コロラド州)にある自宅でのインタビューで、ナンシー・ベルトハイマー博士は、極めて高いレベルの曝露を受けている子供たちを調査することの大切さを強調していた。
「マクブライド研究は、通常とは異なる、深刻と考えられるような曝露評価の問題をはらんでいます。特に最も高い曝露集団に関してそれがいえます」と同博士は語っている。

 

マクブライド博士によって発見されたもう1つのリスクの増加は、高電圧電線付近に居住する子供たちにおけるものであった。
家が50キロボルト以上の送電線から50メートルの範囲内にある子供たちの調整済みOR値は、全てのタイプの白血病の合算と、急性リンパ性白血病ALLに関しては、それぞれ1.311.65であった。
100
メートルの範囲内に居住する子供たちの場合、ORは、すべての白血病で1.81ALL1.99であった。
症例数が少なかったため、このような結果は統計的には有意ではなく、またCIも大きかった。50メートルの範囲内に居住している子供たちに関しては、症例7人と対照者4人、少なくとも50キロボルトの電線の100メートルの範囲内に居住している子供たちに関しては症例14人と対照者7人が調査の対象となっている。

 

マクブライド博士は、ガン発症のリスクが電線から50メートル以上離れた地域でさらに高くなるということも指摘していた。
しかし、博士の共著者であるジル・テリュー博士は、このような明確な矛盾があってもひるむことはなかった。
「我々は、症例があまり少ない場合には、ばらつきがでることを予想するものです。
照射量‐反応に関するこのようなデータの欠落に、あまり大きなウエートを置くことはできませんよ」と、 Microwave Newsに対し同氏は語っている。
テリュー博士は、モントリオールにあるマクギル大学の医学専門学校の疫学、バイオ統計学および職業衛生部門の教授である。

 

「高圧送電線のすぐ横に居住している子供たちは、かなりの定常的リスクに曝されていることが、文献から伺い知ることができます。我々は、このような特別な事例を観察し続けているのです」と、同博士は語っている。
送電線付近に居住することと、子供たちの間で発生するガンとの間の因果関係を示すための最も重要な調査の1つが、スウェーデンのフューチング・アールポム研究である(MWN, S-O 92を参照)
しかし、ギャラガー氏は、非常に多くのガンの考えられる原因を調査する方法としては、自分自身とNCIの戦略が好ましい、とコメントしている。
「我々は、小児白血病の原因となっているのが何かを知りたいと思っていますが、ヨーロッパの調査研究はEMFについてしか調査を行っていないのです」

 

電場と磁場を測定するだけでなく、ポジトロン・ドジメータは、高周波過渡電流データも捕捉する(MWN, M/A 94およびN/D 94参照)
マクブライド博士の論文は、過渡電流による曝露を基にした、調査の結果について詳述していない。
「我々は、過渡電流データに関する初期調査を行っており、それらを公表する予定です。しかし、その曝露量はあまり多くはないと考えられます」と、同博士は語っている。

 

本調査研究に関する初期調査結果が、連邦公衆衛生局を通じて、カナダ政府から提供された。
その後、カナダ電気業者組合(CEA)は、その調査研究に費やされた全経費の半額を負担し、CEAの負担額の半分が米国EPRIによって支払われている。
「我々は、1年前に、スボンサに報告書を送っています」と、マクブライド博士は語っている。

 

2つの追加論文が作成された。
個人的測定における曝露の違いについて述べた最初の論文は、Scandinavian Journal of Work Environment & Health19996月に掲載されている。
主著者は、マクギル大学のジャン・ベッドマン博士である。
2
番目のレポートである同じジャーナルのレビューに掲載されたものでは、一生を通じた曝露量を予測するための統計モデルの使用法が調査されている。
この論文の主著者は、英国のLondon School of Hygiene and Tropical Medicineのベン・アームストロング博士である。

 

マクブライド博士のAJE論文における、改訂済みの表6

 

以下に示されている改訂済みのデータが、メアリ・マクブライド博士によってMicrowave Newsに提供されている。
発表された論文中の表6の誤り(AJE.P832)が、まず始めにナンシー・ベルトハイマー博士によって指摘されている。
マクブライド博士は、AJEで訂正を発表する予定である。

 

診断/参照以前に2年間居住していた地域の電線設備

症例

対照者

オッズ比

95

信頼区間

調整済み

オッズ比*

 

95

信頼区間

地下埋設

59

44

1.00

0.35-1.08

 

 

超低電流

57

69

0.61

0.42-1.34

0.59

0.31-1.09

通常の低電流

60

60

0.75

0.38-1.17

0.72

0.38-1.35

通常の高電流

74

83

0.66

0.38-1.17

0.69

0.37-1.28

超高電流

24

23

0.84

0.40-1.75

0.70

0.31-1.56

*調査対象者の誕生時の産婦の年齢、妊婦の教育レベル、収入、民族性および誕生後の対象者の転居数に合わせて調整

 

2NAS–NRC Panel Criticizes RAPID Program; Sees No Need for New EMF Health Research Effortを翻訳

NAS-NRCパネル、 RAPIDプログラムを批判 新しいEMF健康調査作業の必要なしと判断

 

Public Information Dissemination(RAPED)プログラムの下で行われた調査研究を再調査したNational Academy of Science-National Research Council(NAS-NRC)委員会によれば、EMFの健康に対する影響調査研究プログラムに資金援助する必要はないとの判断が下されている。
5
月に発行されたNAS-NRCレポートでは、再現されていないような論拠に基づいて報告されたEMFの生態学的影響は評価されなかった。

 

RAPEDプログラムで試行された再現実験で、すべてが「否」か「不確か」の結果しか得られなかった、と同委員会は結論付けた。
「このことが、電力周波数磁場の生態学的影響に関するクレームの多くで信頼性を損なっていった大きな原因である」としている。

 

当レポートは、再現されない結果は「低レベル電力周波数磁場の生態学的影響が存在するかどうかについての基本的な疑問に回答を与える価値はほとんどない」と論じて、新しいEMFの生態学的影響を報告したRAPID調査を評価しなかった。
RAPID
のインビトロ研究で、いくつかの報告された影響は非常に小さなもので、疾病のプロセスに関するその因果関係はせいぜい推論に過ぎず、また最悪の場合無関係であると、このレポートは言及している。

 

(1992年以降、3回にわたって繰り返し実験に成功し、EMFがメラトニンの抗癌作用を妨げるということを証明した、ロバート・リバーディ博士の研究(MWN, J/A98参照)は、脚注に示されている。リバーディ博士の研究の再現実験は、いずれもまだ公表されていないと、コメントが付いている。)

 

1992年に議会によって設置されたRAPID研究プログラムは、電場および磁場による曝露が人体の健康に影響を与えるかどうかを目的としていた。
議会はNASに対し、同プログラムの下で研究活動を評価するよう指示し、その一方で国立環境衛生科学研究所(NIEHS)に対しては、同プログラムに関する全体レポートを議会に提出するよう指示している。後者のレポートは、 6月に発行が予定されている。

 

疫学的調査で、観察された健康に対する影響は、「なし」から「微量」にまで至っているので、 NAS-NRCパネルは「これらの影響を受け入れるには、因果関係に関するこの生態学的もっともらしさを装ったデータを支援する証拠が必要とされる」としている。

 

しかし、このレポートは、次のようなことを認めている:
このような「場」における疫学的調査結果を評価している人々は、最初にどこに視点を置くかによって、異なる結論に至ることが考えられる。
公衆衛生の保護に懸念を抱いている人々は、磁場とガンの発症のリスクとの間の想定し得る因果関係を受け入れる方に傾いている一方、もっともらしいメカニズムの欠落と交絡因子を識別することができないという見解から、そのような因果関係を拒絶している人たちもいる。

 

NAS-NRC委員会は、EMFの健康に対する影響に関するNIEHSワーキンググループを批判している。
このグループは、主として疫学的証拠に基づいて電力周波数のEMFを想定し得る人体の発癌物質とみなすべきであるとの決定を、昨年6月に下している。
NAS-NRC
パネルによれば、ワーキンググループの声明は、我々の委員会が基礎研究によって支持されていないような結論を一般大衆に伝達しているとしている。

 

同委員会は、ワーキンググループの証拠に対する解釈が、1997年のEMFによる健康に対する影響についてのNAS-NRCの委員会の判断とは、「別の表現であったが」、「それほど異なってはいなかった」と述べている。
しかし、このレポートは、EMFの健康リスクに関する「最終的かつ一貫した証拠」が存在しなかった、NAS-NRC1997年の公式文書で、より正確に基礎となる研究の健康に関する意味合いを一般大衆に伝えていたと述べている。
これは、NAS-NRCパネルが、EMFに関しては適切ではないと考えている。国際癌研究機関によって開発された基準の使用法の矛盾に関して、ワーキンググループを非難している。

 

ワーキンググループで活動しているNAS-NRCパネルのメンバであるウォルター・ロジャース博士は、その証拠は実際にはEMFには発癌物質特性がないことを示しているという結論に1票を投じた、唯一のワーキンググループのメンバでもあった(MW,J/A98参照)

 

NAS-NRC委員会は、その結果の多くがまだ発行されていないので、「EMF RAPIDプログラムによって資金援助された生態学的調査研究の質、完全性または重大性を判断することが困難であった」と述べた。
「すでに提出されたり、あるいは作成中である一部の論文は、それらのデータの再生可能性または質に関する高まりつつある懸念を表してはいなかったり」、委員会に提出されたプロジェクトのサマリは、その質が均等ではなく、ほとんどが完全な結果を提供していない。

 

NIEHSが議会に自分たちのレポートをまだ提出していない時点で、NAS-NRCがそのレポートを発行したことに、一部のオブザーバたちは驚きを示した。
ワシントンにある海軍研究所のマイケル・マ−ロン博士は、Microwave Newsに次のように語っている。
「私は、そんなに早くそのレポートを学術機関が発行できるということを知らされていなかった」マーロン博士はEMF健康に対する影響の研究に関する連邦の中間機関に位置するグループを率いている。
このグループは、今年後半にRAPIDプログラムに関するレポートを発行することになっている。

 

「このレポートを含む学術機関によるあらゆるレポートが、公式のレビュープロセスを経ている」とレポートのNRC調査部門支配人である、リック・ジョステス博士は語っている。
成熟というにはあまりにも遠いと同氏が語っているそのレポートは、19981231日の期限後数カ月になってやっと発行された。

 

NAS-NRCレポートには、RAPIDエンジニアリング調査研究に対する「積極的な」コメントはほとんど示されていない。
「エンジニアリング調査研究の多くがほとんど無効である」と同委員会は主張している。
そして、次のように嘆いている。
「このプロジェクトは、低レベルの磁場曝露と人体の健康に対する影響の間の特別な因果関係に関する納得のいく証拠もなく、委託されたものである。したがって、それらは、特定な事象に焦点を当てるのに適切と思われる理由もなしに、潜在的因果関係のあらゆる想定可能な「場」のパラメータを予測しているにすぎない」

 

RAPIDの下で行われた11のエンジニアリング調査研究のうち、「価値が認められるのは、たった2つだけである」と同パネルは語っている。
2
つの調査研究とは、Enertech 1,000人対象曝露調査研究とイリノイ工科大学の「場」リダクションテクノロジについての調査研究である。
パネルは、エンジニアリング調査研究の価値は全体としては疑問視せざるをえないと感じている。

 

同パネルによれば、エンジニアリング調査研究から得られた1つの大きな結論は、ほとんどの人々の家庭または作業場におけるEMF曝露が驚くほど似通っているという点である。
同パネルは、ほとんどの人々が12 mGの曝露を受け、4mG以上曝露する人は「ほとんどいなかった」と述べている(P19も参照).

 

NAS-NRCパネルのメンバは次のとおりである。ジョン・ア--ム博士(議長) (ノースカロライナ州ダーハムのデューク大学)、エドウィン・カーステンセン博士(ニューヨーク州ロチェスター大学の名誉教授)、レイモンド・エリクソン博士(マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大学)、モーリス・フォックス博士(マサチューセッツ州ケンブリッジのMIT名誉教授)、ジェームス・ホバーグ博士(ピッツバーグのカーネギーメロン大学)、ウォルター・ロジャース博士(サンアントニオのテキサス大学-ルスサイエンスセンター)、ジャン・ストルクイツク博士(コネチカット州ニュー-プンのイェ-ル大学)、トーマス・テンフォード博士(ワシントン州リッチランドのバトルパシフィックノースウエスト研究所)

 

NAS-NRCパネルは、ご協力いただいた各方面のさまざまなかたがたに謝意を述べている。
このようなかたがたからは、レポートの素案についてレビューし、コメントを提供していただいた。
レビューしていただいたかたがたは、次のとおりである。エール大学のロバート・アデア博士、カリフォルニア州パロアルトのEPRIのリーカ・カイフェッツ博士、チャペルフィルのノースカロライナ大学名誉教授ロス・マクドナルド博士、ミルウォーキーのワシントン医科大学のジョン・モルダ博士、英国NRPBのリチャード・サンダース博士、フィラデルフィアのペンシルバニア大学名誉教授ハーマン・シュアン博士、およびカリフォルニア州ラジョラのソ-ク研究所のチャールス・スティーブンス博士である。

 

パネルのレポート「1992年のエネルギ政策法の下で完了した電力周波数場に関する調査」は、インターネットで入手でき、ハードコピーは<books.nap.edu/catalog/9578.html>で購入できる。
また、 (800)624-6242に電話でオーダーすることもできる。ただし、 26.75ドルの料金と郵送料が必要。

 

 

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1C.Micro Wave News 2000 Jan-Febの概要

 

*スイスの電磁波曝露規定
携帯電話基地局などからの電磁界曝露をICNIRPより厳しくする。
この場合は3V/mが最大の電界強度となる。
これに対して反対する動きもあるが、逆に3V/mであれば、ビルの屋上などに建設する中継塔の(記事では言及されていないが、BEMSJの手持ちの日本での実測例のケースから考えると中継塔からの電界は3V/mより小さいので、問題がないと保証されることになるので)建設は促進される といって喜ぶ向きもある。
電力送電線からの磁界は10mGが限度値として提案。

*イギリスの送電線と小児癌の研究 
研究成果としては、磁界は癌リスクを増加させない という結論であった。
しかし、この結論に異議を立て、論争が行われている。
異議を唱える科学者は「送電線からの磁界ではなく、電界が周囲をイオン化し、このイオンがエアロゾルに付着する、これらが最終的に癌のリスク増大につながる と唱えている。

Roti Rotiの研究 
携帯電話と同じ周波数の電界0.75w/kgのSARでラットに曝露。
脳腫瘍のプロモータ作用は見られなかった。

*癌のクラスターの例 
アメリカで8名がそろって発癌。
地下に交流トランスがあり、190mGの磁界を浴びていた。 (記事では原因であるとまでは言及していない。)

*イタリアでの小児癌と磁界の関係のメタアナリシス結果
関係があるとの確証は無かった。 詳細はWHOWEBに紹介されている。

IEEECOMARの見解
磁界10mG以下は生体への影響はない。

*溶接や溶鉱炉の近傍の磁界曝露の解析が行われている。
詳細は IEEE Tansaction on Electromagnetics Compatibility 41, pp 480-486, Nov. 1999 にある。

*磁界がメラトニンに与える影響 
夜間に ヒトを対象に283mG曝露させた。
結果 メラトニンの変化は無かった。

*IECでは TC106として電磁波の生体影響の委員会を作った。

関心のある方は、原文を読んでください。

 

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1D.Micro Wave News May/June 2002の概要 

作成:2008-5-18
Are Children at Greater Risk from Mobile Phone Radiation? No Consensus Yet, Reviews Under Way
携帯電話の電波によるリスク、子供へのリスクは大きいか?レビュー中で、まだコンセンサスは得られていない。
Gandi
Kusterの論争は1996年からいまだに継続している。子供のSARは大人に比べて大きくなるか否かの論争である。
Gandi
は数値解析を行うときに、大人の場合の計算に対して、ボクセルサイズを比例させて小さくして計算を行い、子供の方がSARが大きくなるという結果となっている。
このボクセルサイズを小さくすることは、単純に、細かい場所でのピーク値が多く出ることになり、そのために、SARが大きくなって見える、という見方がある。

China Weighs Breaking Ranks, Adopting 1W/Kg SAR Limit for Mobile Phones
中国は携帯電話からのSAR1W/kgにしようとしている。

BEMSJ注:この中国のSARは最終的にどうなった?
総務省20073月発行「平成18年度 海外基準・規格動向調査報告書」によれば、「2001年に中国がWTOに加盟した当時から、WHOは中国に対し、各国で適用する電磁界基準の同一化(harmonization)に向けて、ICNIRPガイドラインを導入するよう勧告していた。
中国は世界の動向を見ながら規制緩和に向けて、この基準同一化について検討してきたが、中国の衛生部と情報技術部で意見が異なり、統一見解に至っていない。
しかし2005年末に、携帯電話に関する基準草案が提出され、その草案ではSAR2W/kgが提案されている。」とあり、まだ決着はみていない。>

NSA Workers Lose Lawsuit Over EMFs and Brain Tumors
低周波磁界を職場で1ガウス以上の強度で曝露していたとして、そのために脳腫瘍となったと裁判に訴えていた。
動物実験などで発ガンが否定されているとして、訴えは却下された。

Canadians Link EMF Work to Risk of Aggressive Brain Tumors
カナダの研究で、6mG以上の磁界曝露で脳腫瘍のリスクが増加する という研究。

IARC: Rationale for Possible Carcinogen Classification
IARC
は低周波磁界を「発ガンの可能性あり」と判定

A survey of RF levels near mobile phone base stations in Salzburg Austria,
オーストリアのザルツブルグで、携帯電話の基地局からの電波の強度を測定した。
結果は13箇所中の8箇所で、ザルツブルグの規定(0.1μW/cm2)を超える値であった。
ザルツブルグの規定は順守されていない。

Vatican Antennas May Have Caused Excess Cancers, New Report Says
バチカン放送の送信塔からの電波は発ガンの要因? 新しい研究結果が来る615日にAmerican J. Epidemiologyに掲載される予定。

By July 1, the Swiss government will decide how to apply the countrys precautionary limits for RF/MW radiation
スイス政府は、高周波電磁界への曝露に関して予防原則を如何に適用するかを決定する予定。
BUWAL
BAKOM間で論争中である。

Changes in Ambient Mobile Phone Radiation in an Italian Home Over 1 Week
イタリアで携帯電話基地局タワーに隣接する場所で、長期間の電波強度を行った。
結果は、夜間には弱く(0,9V/m程度)、日中では強い(2.2V/m程度)という変動があった。

Mobile Phone Tumor Risks: Conflicting Interpretations
携帯電話の使用と脳腫瘍のリスク、結果の不一致。
最近のフィンランドの研究ではアナログ携帯電話の使用は脳腫瘍のリスクといいう結果で、一方、アメリカの研究では聴神経膠腫のリスクはないという結果である。

Flat Standard Out, ICNIRP In: Australia Relaxes RF/MW Limits
オーストラリアはRF/MW帯域の高周波電磁界の曝露基準をICNIRPの提案にあわせることにした。

U.K. Report: Shields Little Help
イギリス政府DTIは電磁波防護グッズやシールドは効果が無い、という報告書を刊行した。

Second-Hand Radiation: Cell Phones in a Rail Car
電車内の携帯電話に関する日本の本堂助手による報告がある。
ドイツのBITKOMMMFはこの研究報告を非難している。

WHO Report on Risks to Children
WHO
の電磁界に関する子供のリスクの報告書は2002年に刊行された。

Telecom Towers in Europe: Public Has Detailed Information
無線塔の所在などに関する情報公開が、スイスやイギリスにおいて始まっている。

U.S. Data Available at a Price
アメリカでは無線塔の所在などに関する情報は、有料で、公開されている。

Frank Groves et al., including Robert Tarone, John Boice and Gilbert Beebe, Cancer in Korean War Navy Technicians: Mortality Survey After 40 Years, American Journal of Epidemiology (AJE), 155, pp.810-818, May 1,2002.
Croves
らの最近の研究、朝鮮戦争の従軍した軍人がレーダの電波の照射したことによる健康影響を調査した
結果、一般的にはリスクの増加はない、一部に特異な点がある。

Satoru Takahashi et al., Lack of Mutation Induction with Exposure to 1.5GHz Electromagnetic Near Fields Used for Cellular Phones in Brains of Big Blue Mice, Cancer Research, 62, pp.1956-1960, April 1, 2002.
高橋らの研究、携帯電話の電波2W/kgをラットに曝露、脳腫瘍のリスクは無かった。

D. Maisch, J.Podd and B. Rapley, Changes in Health Status in a Group of CFS and CF Patients Following Removal of Excessive 50Hz Magnetic Field Exposure, Journal of the Australasian College of Nutritional & Environmental Medicine, 21, pp.19-23, April 2002.
Maisch
らの研究、慢性疲労を訴える人に生活環境中の磁界曝露に注意するように喚起したら、症状が改善したという予備的な研究報告。

S. Dasdag et al., Effects of Extremely-Low-Frequency Electromagnetic Fields on Hematologic and Immunologic Parameters in Welders, Archives of Medical Research, 33, pp.29-32, January-February 2002.
Dasdag
らの研究、溶接作業者は0.1mTから0.25mTの磁界に曝露しているが、免疫機能などに影響は見られなかった。

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2.Micro Wave News Sept/Oct 2002の概要 

 作成:2002−12−21

Australian Cell Phone Cancer Study Prompts Widespread skepticism 
オースラリアの携帯電話と癌の研究は懐疑主義を促した。 

新しいオーストラリアの研究はこれまでの電磁波が癌をもたらすという研究を論破するものであると研究者は言っているが、他の研究者はその研究は不完全なものと言っている。 

Tammy Utteridge
らの研究はRadiation Research誌9月号に掲載された。過去のRepacholiらの研究では携帯電話(GSM)電波を浴びた遺伝子操作されたマウスではリンパ腫の2.4倍に増加していた。

今回のUtteridgeらの研究では、Repacholiらの研究は再現しなかった。 Utteridgeの研究では電磁波に暴露していない群のリンパ腫発生がRepacholiの研究より多く、結果として暴露群と非暴露群におけるリンパ腫発生の差異が出なかった。

Repacholi
らの研究では、マウスは自由に動ける状態で電磁波に暴露している、そのために電磁波暴露のSAR0.0084.2W/kgと大きく変動している。
MWN誌には記載されていないが、この実験ではマウスの飼育場所は定期的に移動し、どのマウスも平均的に暴露するようになっており、18ヶ月の実験期間中に、全てのマウスは最大SAR4.2W/kgを浴びているといえる)。

一方Utteridgeの研究は、マウスを固定し、SARは厳格に0.25124W/kgになるように設定されている。この実験では姿勢拘束によるストレス反応がでる恐れがある。

Evidence Linking Mobile phone to Brain cancer is Flawed, Judge rules.
携帯電話の電磁波と脳の癌が関係するという証拠は疑わしい と裁判の判定 

2000
8月ボルチモアの神経科医Newman博士がモトローラなどを相手に携帯電話の電磁波で脳腫瘍になったと、訴えていた。連邦判事は、携帯電話の電磁波が脳の癌を引き起こすということは科学の世界では一般に受け入れられていないとして、この訴えを退けた。

European Labs Show EMFs Induce DNA Breaks; Intermittent, not Continuous, Fields are effective. 
 
欧州の研究で、電磁波が遺伝子に障害を与えることが判明、但し断続的な被爆で起こり、連続的な被爆では発生しない。 

ドイツとオーストリアにおける50Hz磁界の研究結果。 ドイツの研究では研究者が過去に行った実験の再現に失敗した。 

5
分オン、10分オフの断続的な暴露で、遺伝子の損傷が大きくなった。連続した暴露では異常はなかった。図を見ると、0から20マイクロテスラの暴露ではDNA損傷はなく、それ以上の磁界強度で発生している。このことから閾値を20マイクロテスラ程度と見ることができる。

***************  **************   ********

       

    **** マイクロウエーブニュース2002年より引用 ************

この図を見れば、分析法によって若干異なるが、0から20マイクロテスラまでは磁界の影響で遺伝子障害は発生せず、それ以上の強度の磁界暴露で、磁界の影響が出てきている。こうした問題が発生し始めるポイントを閾値という。

筆者のコメント: もしかしてこのオンオフは磁界をゼロクロスではなく、断続させている?その為に、オンもしくはオフ時に大きな磁界の時間変動があり、異常な誘導電流がオンオフの度に流れているのではないか? 

Power Line Talk  
WHORepacholiは、IARCの発ガン判定2A2Bの違い、英文でProbablePossibleの厳然たる違いが、各国語に翻訳された時に、それぞれの言葉の特徴によって、正しく翻訳されないことを指摘。フランス語では英語に比べて差異が小さくなっている。日本語、スペイン語、中国語の翻訳で問題である。 

アメリカのIEEEでは3kHz以下の周波数の電磁波暴露限度値を作成した。 20029月。
50Hz
60Hzに対する一般公衆の暴露限度は、電界で5kV/m、磁界で9.04ガウスとなっている。 

日本の報道(20028月)によれば、低周波磁界が小児白血病を2倍にすると。 

Radiation Sickness or the Flu? UK RF workers Lose in Court 
電磁放射病かインフルエンザ? 英国の高周波作業者の訴えを却下 

1996
年に放送搭の作業を行なった2名が、頭痛などの愁訴は放送搭からの 電磁波が原因と1999年に裁判に訴えていた。

放送搭のケーブルの外装シールドが、2次アンテナとなって、大きな高周波電磁界を発生させていたのではないかと。 100MHzの無線周波数における暴露電界強度は、70V/mで、NRPBの限度100V/m以下であった。

Germans make it official: Cell phones do not raise Blood Pressure 
ドイツの研究:携帯電話の電磁波は血圧に影響しない 

Braune
博士は1998年に携帯電話の電磁波は心臓機能に影響するという論文を発表した。 
その後の研究で、この実験の再現に失敗した。20029月に「携帯電話GSMは血圧に影響しないという」論文をRadiation Research誌に掲載した。

EPA: Current RF Limits are adequate for Thermal Risks 
 
アメリカ環境庁:現在の高周波暴露限度値は熱的なリスクに対して十分 

EPA
、「現行のFCC規定の電磁波暴露基準は一般公衆を、科学的に確立した障害から十分に守っている」と。

Wireless Notes: 
英国のLavi Strauss社は紳士向けに、特殊はポケットをつけたズボンを販売している。ポケットは携帯電話の電磁波を防護できる素材でできている。
このポケットの機能は「携帯電話の電源をオフにしてからポケットに入れるのと同じ」である。

オーストリアで全国的に展開している新しい携帯電話システム3Gはザルツブルグ地区には導入されない。ザルツブルグでは厳しい電磁界暴露規定を地域規定として設けているため
               

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3.Micro Wave News Nov/Dec 2002 の概要  

   作成2003-1-8 

Are three Non-thermal Effects? Are they Thermal? Does is matter? 
非熱効果はある?それらは熱効果か?それらは課題か?
 

電磁波の非熱効果に関して論争がある。研究者によっては非熱効果は「重要だ」と考えたり、「考える必要がない」とさえしたりしている。 

McDonald's Commissions NCRP Report on Safety of Wireless Towers 
マクドナルドはNCRPに無線塔の安全に関して委託 


マクドナルドは店内に無線LANのHOt Spotを置くなどのことをやろうとしている。これに関連して、マクドナルドはNCRPに資金を提供して、報告書を作成させている。現在ドラフトができている。 

*Power Line Talk 電力線の話題から  

アメリカのNIEHS(RAPID報告をまとめた国立環境衛生科学研究所)は、RAPIDプログラムのQ&Aの冊子を改版した。
低周波磁界が小児白血病を増発するという疫学調査があるが、動物実験などで確認されていない、電磁界への暴露を少なくすることは必要、というスタンスである。これは、最近出されたカルフォルニアの電磁波プロジェクトの報告と大きな対比をなしている。 

カルフォルニアの電磁波プロジェクトの最終報告書が出た。WEBで公開されている。電磁波は危険であるという論調。 

英国の小児癌と低周波電界の疫学報告が出た。関係は見つからなかった。(この報告はLancetにも報告があり、BEMSJは入手しました。読み終わったら内容を報告します。
) 

Power Line Concerns Put School on Hold in Canada 
送電線からの電磁波に関する不安からカナダでは学校建設が中止された。
 

カナダのEdmontonでは、送電線の近くに建設を予定していた学校建設が、低周波磁界強度1−2mGであるが、電磁界の健康影響を恐れる声の為に、建設が中止となった。IAECの低周波磁界の発がん性判定2Bが論拠となっている。学校側は問題ないとして、建設続行に関して裁判に訴える予定。

No Increase in Cardiac Risk in second Utility worker study 
電力会社の従業員を対象にした研究で、心臓機能への影響はなかった。
 

電力会社の従業員で強い電磁界暴露によって心臓病のリスク増加があるか?ロスアンゼルスの電力会社従業員の疫学調査では、問題はなかった。 

IEEE's new EMF standard faces multiple challenges 
新しいIEEEの3kHz以下の電磁界暴露規定に関して、色々とけちがついている。 

UK to study Cancer rates near  Phone Towers- COST disagrees 
英国で携帯電話基地局の近傍における癌の発生を調査予定。欧州の共同研究機構COSTは反対 


イギリスでは携帯電話の基地局から500m以内にすむ人を対象に疫学調査を行おうとしている。これに対して、欧州の共同研究機構COSTは「科学の見地から、そうした研究は不要」と反対している。 

German Veterans sue in US over Ionizing Radiation from Rader 
ドイツの退役軍人がレーダからの電離放射線による健康影響で裁判へ 


ドイツの退役軍人は、軍隊におけるレーダで癌や慢性疾患が発生したとして、アメリカのレーダ関係の会社を相手に、裁判を起こした。5KVを超える電圧を使用している送信管からX線が発生し、十分に遮蔽されないと人体が暴露することが原因と。 

GMS Modulation is Key to Non-thermal, Neurological effects 
携帯電話GSMの健康影響の鍵は、変調方式か?
 

最近の二つの研究で、GSM携帯電話の無線周波数電波の非熱効果は、搬送波だけの時は影響がなく、変調した時にのみ影響が現れることがわかった。 

スイスのチューリッヒ大学の研究で、SAR1W/kgの暴露であるが、搬送波だけの時は影響がなく、パルス変調をかけると脳の機能に影響が出た。さらに、同様に、パルス変調の時にのみ、模擬的なハンドセットに近い脳の側で、血流が変化した。 

もうひとつは、鳥(Avian Brains)に対しても、搬送波では影響がなく、変調波のときだけに3.5倍の神経作用の変化がおきた。 

*Hot New Papers  最新の研究から 
オランドのコホート研究、電力会社の従業員を対象に、心臓機能への電磁界の影響を調査した。結果は問題はなかった。 

ドイツのLiesenkotter研究、テレビジョンの同期信号も、携帯電話と同じで、健康影響がありえる。(詳細は不詳。リプリントを研究者に依頼した。論文は英語のアブストラクトはあるが、ドイツ語で書かれている。)

*Baby Monitor ベビーモニター 
ドイツのOko-Test誌は、ベビーモニターの電磁界のテストを行った。このモニターは主に40MHzの無線を利用している。モニターから1mの距離で、電界強度は70-650mV/mであった。これらの電界は危険であると雑誌は判定した。

 以上
 

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. Micro Wave News Jan/Feb 2003 の概要  

作成:2003-3-1 

Swedes Find GSM Radiation Causes Nerve Damages at Very Low Doses. 
スウェーデンの最近の研究、雑誌(Environmental Health Perspectives)に投稿されて査読中であるが、アブストラクトがWEBに公開されている。
携帯電話からの電磁波(電波)の暴露で、0.02W/kgという現在の規定2W/kgに比べると100分の1という低レベルの暴露で、ねずみのBBB(脳関門)に影響が出た。

注:このアブストラクトは、このメモの末尾に転載してあります。 

1993 FDA memo
アメリカのFDAは、1993年当時、「携帯電話などのマイクロ波は健康影響を及ぼす恐れがある」という内部資料を作成していた。この内部資料を情報公開法に基づいて入手した。

注:このFDA報告に関して、延々と紹介されている。10年前の報告を云々してもあまり意味はないと思うが、、、、

NAS-NRA Panel Says PAVE PAWS Data Inadequate To Judge Safety, But No Decision on Need for Epidemiological Study 
アメリカのCod岬の住民のがん増加の原因は、1980年以来運営されてきているレーダの為といっている。レーダは420−450MHzの周波数でピーク電力が582kWである。
因果関係の立証までいたっていない。疫学調査をおこなうことにもなっていない。 

Australian Concede Error in Cell Phone Cancer Paper. 
オーストラリアの研究で、携帯電話の電磁波はねずみにがんを増発しなかったという研究に関して、色々とけちをつけている。 

EMF and Chemical Together Increase Brain Cancer Risk 
スウェーデンの勤労者に関する疫学調査、2mG以上の電磁波暴露と化学物質の複合暴露によって癌のリスクが増加していることがわかった。Gliomas(神経膠質腫)に関しては有意なリスク(50%増加)があるが、meningiomas(髄膜腫)に関してはリスクの増加は見られない。

Catholic School Seeks to Silence Opponent in Power Line Fight
前号にある記事の続報。
送電線の近傍に建設されるカソリックの学校に対して、Planning Boardは建設差し止めとしたが、その上部機関であるCity Councilは決定を靴がし、建設を許可した。
学校は、建設反対を唱えている人に対して、裁判に訴えると脅して、黙らせた

*最近の研究から
E. van WijnGaaden An Exploratory Investigation of Suicide and occupational exposure Journal of occupational and environmental medicine Jan. 2003
死亡診断書の記載と職業から暴露を推定して研究、20歳から35歳の若い人に限って、電磁波暴露が自殺のリスクを増加している、1.5

Chung-Yi Li association between occupational exposure to power frequency electromagnetic fields and amyotrophic lateral sclersis(ALS): A review: American Journal of Industrial Medi

cine Feb.2003
ALS
(筋萎縮性脊髄側索硬化症)と職業的な電磁は暴露に関する研究のレビュー。
研究によれば、電力会社従業員はALSへのリスク6.7倍と高いが、電磁界暴露との関係ではリスクは0.6と小さい。今後の研究では電磁界暴露だけではなく、電撃に関しても研究する必要がある。

Hot Pocket
耳に近づけて使用した場合の携帯電話のSARは低く抑えられているが、ワイシャツのポケットに入れておいた状態では、耳に近づけた場合の2倍から7倍のSARとなるという計算結果が出た。
O. Gandhi et alらの研究で Physics in Medicine and Biology 200212月号に掲載

以上 

**** 補足 *********
Journal of the National Institute of Environmental Health Sciences Environmental Health perspectives より
論文名:Nerve cell damage in mammalian brain after exposure to microwaves from GSM mobile phones GMS携帯電話のマイクロ波暴露による哺乳類の脳機能障害
研究者:Leif G. Salford1, Arne E. Brun2, Jacob L. Eberhardt3, Lars Malmgren4, Bertil R.R. Persson3 

Abstract
 概要 
The possible risks of radio-frequent electromagnetic fields for the human body, is a growing concern for the society.  
無線周波数電磁波の人体暴露によるリスクが社会にとって大きな関心事になってきている。

We have earlier shown that weak pulsed microwaves give rise to a significant leakage of albumin through the blood-brain barrier (BBB).
 
我々は過去の研究で、微弱なマイクロ波電磁界によってBBB(脳関門)を通り抜けるアルブミン(たんぱく質の一種)が増加することを見出している。

Now we have investigated whether a pathological leakage over the BBB might be combined with damage to the neurons.
 
今回は、病理学的に、脳関門を透過することによるニューロンの障害を調査した。

Three groups of each 8 rats were exposed for 2 hours to GSM mobile phone electromagnetic fields of different strengths.
 
8
匹のラットの群に、異なる強度の携帯電話の電磁波を2時間暴露した。

We found, and present here for the first time, highly significant (p<0.002) evidence for neuronal damage both in the cortex, the hippocampus and the basal ganglia in the brains of exposed rats.
 
暴露したねずみの脳の海馬などに有意に高いニューロンの障害が検出された。


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5.Micro Wave News March/April 2003 の概要

 

作成:2003-7-19 

WHO Invokes Precautionary Principle for High and Low-Frequency EMFs.  Whar’s Next Is Far from Clear. 
WHO
は高周波・低周波電磁界への曝露に関して予防原則を呼びかけているが、これからどうなるか今ひとつ先が見えない。

WHO
EMFプロジェクトで、どういう予防原則が採用されるのか、わからない。 WHOは電磁波だけではなく、総ての健康関連事項に共通で使用できる予防原則を立案しようとしている。

US NIEHS Advices: it is Okay for Children to Live Next to Power Line.
アメリカの国立環境保健科学研究所は、送電線の隣に子供が住んでも良いと勧告している。

過去6ヶ月、国立環境保健科学研究所は、送電線の隣に子供が住んだ時に、小児がンリスクを増加するという確定した関係はない、としてきた。しかし、この4月1日、この声明は人々を誤解させる恐れがあるとして、WEBから削除された。 <詳細は以下の5Bに>

EMF Program is Threatened by Lack of Funds, EPRI Says.
電磁波の研究が資金不足で危険な状態にある、とEPRI

今まで多くの電磁波に関して研究を行ってきたEPRIが、研究資金の不足に陥っている。 

Male Breast Cancer Lawsuit Going to Trial in New Mexico 
J. Montano
A. Salterは二年前に、地下にあった職場に隣接して配電設備があり、これらから発生する磁界で乳がんになったとして、裁判に訴えていた。これが4月14日に公判が始まる。Sageの測定によると、職場での磁界暴露は100mGを超えていた。 

Paris adopts 2V/m Limits for Mobile Phone Towers.
パリ市が携帯電話基地局からの電波曝露を2V/mに規制 

パリ市は携帯電話基地局から電波曝露を、24時間平均で2v/m以下に規制することに関して、携帯電話通信会杜3杜と正式な協定を結んだ。この規制値は900MHz1,800MHzの両方の周波数帯に適応される。 <詳細は以下の5Cへ>

*ドイツは8.5百万ユーロで、携帯電話の電磁波による健康影響の研究を行う予定であったが、資金が問題で、スローダウンしている。

Blake Dismisses Headset Suits
アメリカの判事Blakeは、携帯電話の健康影響を予防するために、各通信会社はハンドフリーキット(イヤホンセット)の無償配布と、関係する健康影響に関する情報(警告)を総ての携帯電話に具備すべき として裁判に訴えていた。裁判で、この訴えは却下された。 

European and Chinese Labs Report RF-Induced DNA Breaks.
 欧州と中国の最近の研究で、携帯電話の周波数のマイクロ波でDNAに障害が発生することが確かめられた。 

Russian Panel on Mobile Phones: Take a precautionary Approach.
ロシアの携帯電話に関する会議は、予防原則を採用。

1)16歳以下の子供は携帯電話を使うべきではない。
2)妊娠している女性は携帯電話を使うべきではない。などを勧告。<詳細は以下の項5Aに>

オーストラリアでは、携帯電話の基地局は新しい規定に合致しなければならない。この規定はICNIRPの曝露規定を採用している。

Low-Dose Microwave are Cataractogenic Chinese Show 
2002
年12月の中国の研究で、5mw/cm2、10mw/cm2という低曝露で白内障が発生すると報告。従来の知見を覆す研究。

EMFは大人の脳腫瘍を予防する 
 台湾の最近の研究。2mG以上の磁界暴露を受けていると、脳腫湯のなる年齢が6歳分だけ遅くなるという疫学調査。

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5A.Micro Wave News March/April 2003の記事詳細:ロシアの予防原則

仮訳をつけた。
作成:2003−7−11

Russian Panel on Mobile Phones: Take a Precautionary Approach
 
ロシアの携帯電話委員会は予防原則を採用

On September 19, the Russian National Committee on Non-Ionizing Radiation Protection (RNCNIRP) adopted recommendations on the use of mobile phones, which appear below.
2002
919目、非電離放射線防護ロシア国内委員会(RNCMRP)は携帯電話使用に関して下記に示す勧告を採択した。

They were translated into English for Microwave News by Dr. Vledimir Binhi of the Russian Academy of Sciences' (RAS) General Physics Institute in Moscow.
モスクワのロシア科学アカデミーの物理研究所(RAS)のビンヒ博士がマイクロウエーブ誌のために英訳した。

Binhi, a member of the RNCNIRP, is the author of Magneto-biology: Underlying Physical Problems (see MWN, MIJ02).
ビン博士はRNCMRPのメンバで、「磁気生物学:裏に潜む物理的な問題」の著者である。

The RNCNIRP, which has 36 members, is chaired by Prof Yuri Grigoriev of the Institute of Biophysics in Moscow. Other members include: O.A. Grigoriev, director, Center for Electro-magnetic Safety; Prof V.N. Nikitina, Northwestern Center of Hygiene and Public Health; Prof Yu. P. Paltsev, ccupational Health Institute, Russian Academy of Medical Sciences (RAMS); and Prof N.B. Rubtsova, Occupational Health Institute, RAMS.
非電離放射線防護ロシア国内委員会は、36名の会員がいる。(以下 略)

In 1 999, the RNCNIRP hosted a conference in Moscow to discuss harmonizing the exposure standards of the
 former Soviet bloc countries with those of the U.S and Western Europe.
1999
年にRNCNlRPは旧ソ連圏と欧米の電磁波基準値との調和について話し合うための会議をモスクワで主催したことがある。

Russia's limits are currently on the order of 100 times stricter than those of ICNIRP.
現行のロシアの規制値はICNIRPの値より100倍も厳しい。

The meeting ended without reaching any consensus (see MWN, N/D99). Nor was any progress made at a follow-up meeting held in Moscow last September
その会議では双方の合意には至らずに終わった。
昨年9月に開催されたモスクワでの2度目の会議でも合意は得られなかった。

以下は携帯電話に使用に関する勧告である。
1. The RNCNIRP offers the following advice on the safe use of mobile phones. These recommendations are based on the precautionary principle of the World Health Organization, published scientific and medical studies, reviews and recommendations by scientific groups and the expert opinions of members of the RNCNIRP.
RNCMRP
は携帯電話の安全使用に関して以下の勧告を行う。
この勧告は世界保健機構(WHO)の予防原則や、医学・科学研究、専門家によるレビューと勧告、RNCMRPのメンバの専門的意見などによって、まとめられた。

1.1. Children under the age of 16 should not use mobile phones.
16
歳以下の子供は携帯電話を使うべきではない。

1.2. Pregnant women should not use mobile phones.
妊娠している女性は携帯電話を使うべきではない。

1.3. Those suffering from neurological disorders, memory loss or epilepsy and those with a predisposition to epilepsy should not use mobile phones. [Abridged list of conditions]
神経性の疾患・記憶の喪失・てんかんの人、てんかん気質の人は、携帯電話を使うべきではない。
(詳細は割愛)

1.4. The duration of calls should be limited to a maximum of three minutes, and after making a call the user should wait a minimum of 15 minutes before making another call.
The use of headsets and hands-free systems is strongly encouraged.
1
回の通話時間は最大でも3分間に制限すべきである。
電話をかけ終わってから、次の電話をかけるまでに最低15分間の間隔をあけるべきである。
ヘッドセットやハンズフリー器具を使うことが肝要である。

2. Manufacturers and retailers of mobile phones should include the following information together with the engineering specifications:
携帯電話の製造会杜や販売店は、取り扱い説明書とともに次の情報を提示すべきである。

2.1. All of the above recommendations regarding use.
携帯電話使用に関する上記勧告のすべて。

2.2. All relevant health and epidemiological data on mobile phones, together with the radiation levels associated with the phone, and the name of the measurement lab.
携帯電話に関して関連する健康情報、疫学的な研究データと共に、携帯電話の放射強度と測定機関の名前。

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5B.MICROWAVE NEWS March/April 2003の記事詳細:NIHの発表文

作成:2003-7-12

 

以下の文書が転載されています。

 

この文書はいったんWEBに公開されたのですが、色々と反論もあり、WEBから削除された。

 

National Institute of Environmental Health Science

 NIEHS News Features September 2002

アメリカ国立環境保健科学研究所  20029

 

DO Power Lines Cause Childhood Leukemia?

 送電線は長に喀血病を起こすか?

 

NIEHS' New EMF Booklet Has the Answer

 NIEHSの新しいEMF文書は回答を示している。

 

Ever since a 1979 study in Denver suggested that children living close to big power lines had a slightly higher risk of getting leukemia, the National Institute of Environmental Health Sciences and other environmental agencies have received thousands of inquiries about how far a house needs to be from a power line to be "safe" for the kids.

1979年のデンバーにおける研究(送電線の近くに住むと小児白血病のちょっと高いリスクがあることの示した研究)以来、環境保健科学研究所や関連する組織は、子供の安全のために送電線からどのくらい離れるべきか、という数千の問い合わせを受けてきた。

 

Electrical and magnetic fields, or EMF, are generated in the creation, transmission and use of electric power and electric devices. The earth itself produces EMF naturally. Scientists believe the earth's core produces electric currents.

電磁界、EMFは電力の発電、送電、使用および電気機器の使用によって発生し、地球も自然界にEMFを発生している。科学者は、地球の核にはそうした電磁界の源となる電流が流れていると考えている。

 

A new NIEHS booklet currently being printed, "EMF Questions & Answers," says flatly that in terms of children's health, it doesn't matter whether or not a house is close to power lines. There is no valid association between nearby power lines and any cancer - including childhood leukemia, the booklet says.

新しいNIEHSの冊子「電磁界にQ&A」は印刷中である。子供の健康に関して言えば、家が送電線の近くであっても、遠くでも関係がない、子供の癌(白血病を含む)の送電線との確定した関係はない、と記載してある。

 

Answers to questions in the booklet are based primarily on the EMF Research and Public Information Dissemination, or EMF Rapid, program by NIEHS and the Institute's review of other available, peer-reviewed data worldwide.

冊子の中のQ&Aは基本的に、EMF RAPID計画や他の世界中の査読済みの研究情報に基づいている。

 

The Department of Energy administered EMF Rapid, but NIEHS handled health effects research and risk assessments.

アメリカの電力庁はRAPID計画を管轄した、健康影響とリスク評価に関してはNIEHSが担当した。

 

The intensive NIEHS study included more than 100 cellular and animal studies and was completed in 1999 with a statement that the evidence of associations shown in some studies was "weak" and that the probability that EMF exposure "is truly a health hazard is currently small."

100以上の細胞・動物実験を含めてNIEHSは集中的な研究を行った。1999年に、いくつかの研究は「弱い」関連を見出し、電磁界曝露は健康影響が「あったとしても、小さい」といいう声明を発表して、完了した。

 

NIEHS Director Ken Olden reported to Congress that he saw no public health problem "warranting aggressive regulatory action" but said power companies and utilities should, as a precaution, continue siting power lines so that exposures are reduced.

NIEHSOlden所長は議会に「法令で規制する必要のある健康問題はない、しかし、電力会社などは予防的に、電磁界暴露を低減することを継続すべき」という報告書を送った。

 

The booklet incorporates information from later studies and reviews in Canada, Australia, several European counties and the World Health Organization and the National Academy of Sciences.

この冊子には、その後に行われた研究やレビュー(カナダ、オーストラリア、欧州、WHO,科学アカデミーなど)の情報も盛り込んだ。

 

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5C.MICROWAVE NEWS March/April 2003の記事詳細:フランスの携帯電話規制

作成:2003-7-14  

Paris Adopts 2 V/m Limit for Mobile Phone Towers
フランス・パリ市が携帯電話基地局からの電波曝露を2V/mに規制

The city of Paris has signed a formal agreement with its three mobile phone operators to limit residential exposures from mobile phone towers to 2 V/m, averaged over 24 hours.
The limit applies to combined radiation exposure at both 900 MHZ and 1800MHz.
パリ市は携帯電話基地局から電波曝露を、24時間平均で2v/m以下に規制することに関して、携帯電話通信会杜3杜と正式な協定を結んだ。
この規制値は900MHz1,800MHzの両方の周波数帯に適応される。

The new charter* was signed on March 20 by, together with, the mayor of Paris.
2003
320目携帯電話の通信会社(Bouygues Telecom, OrangeSFR)と、パリ市長(Bertrand Delanoe)はこの協定にサインした。

Representatives of the three companies said that less than I % of the city's base station antennas will need adjusting to meet the new standard, according to Liberation, a major newspaper (March 21).
3
21目付けの新聞Liberationによれば、これら3杜の代表は「新しい規制値に伴う整備や調整が必要となる携帯電語基地局は1%以下であろう」と語っている。

The new Parisian standard appears to be even stricter than those of Switzerland (4 V/m) and Italy (6 V/m) -but these two limits specify maximum, not average, exposures.
パリ市の新規制は、スイス(4V/m)やイタリア(6V/m)の規制値より厳しい数値に見える。これら両国の規制値が平均値ではなく、曝露の最大値に対する規制であるのに対して、パリは24時間の平均値である。

The ICNIRP limits are 41 V/m at 900MHZ and 58V/m at 1800MHz.
The agreement comes as a cluster of childhood cancer cases is under investigation in Saint-Cyr-1'Ecole, outside Paris.
ICMRP(
国際非電離放射線防護委員会)の規制値は900MHz41V/m1800MHz58V/mである。
この協定はパリ市郊外にあるSaint-Cyr-1'Ecoleで、小児癌のクラスタ(集中的な発生)発生があったことに由来する。
このクラスタに関しては調査中である。

To calm growing public fears, Orange and SFR turned off their mobile phone antennas in the area, Le Monde, one of the country's leading newspapers, reported on March 16.
市民たちの不安を鎮めるため、オレンジ杜とSFR杜はその地域の携帯電話基地局の電源を切った、とフランスの主要新聞「Le Monde」は316目に報じている。

Les Echos, a national business daily, presented the results of a poll which showed that 41 % of the French population is concerned about mobile phone towers (March 27).
The paper noted that there are 11,000 antennas in Paris alone.
フランスのビジネス目刊紙「Les Echos」は、フランス人の41%は携帯電話基地局に関心をもっているという調査結果を発表した(327)
この新聞によると、パリだけで11000の携帯電語基地局が存在する。

*
パリ市の規制値に関する協定は、次のサイトで入手することができる。
www.paris.fr/fr/actualites/antennesre1ais/charte.htm

BEMSJのコメント:
・このWEBにある規定はフランス語だけかもしれない。
・小児白血病はクラスタとして集中的に発生する場合がある。
調査しても原因が 判明しない場合がほとんど、と小児白血病の医者から聞いたことがある。


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. Micro Wave News May-June  2003 の概要  

 

   作成: 2003-10-5  

 

Changes in Protein Folding: A Nonthermal RF Mechanism
Is There a Risk of Neurological Disease?
たんぱく質の折込に変化、RF電磁界の非熱効果のメカニズム、神経関係の疾病のリスク?

Pomerai
博士の最近の一連の実験によれば、弱いマイクロ波の照射は、お互いに凝集することが促進されて、たんぱく質の形を変えることができると報告。

WHO Flip-Flops on EMFs, Precautionary Principle Now Revoked
WHO 行ったり来たりで電磁波に関して先に進めず 予防原則は今や取り消し

WHO
は電磁波について予防原則の発動しないことを決めた、とRepacholiは本誌に語った。低周波と高周波電磁界に予防原則を適用するために準備された声明書.のドラフトが発行されてから3ヶ月も経ないで、WHOはこの推薦を撤回した.

RF/MW Epidemiological studies: Cell Towers and Beyond
高周波・マイクロ波の疫学研究 携帯電話の基地局とその周辺 

英国で携帯電話の基地局周辺における電磁波と健康に関する疫学調査を行おうとしているが、この調査を行うべきか、行う意味があるのか、暴露評価はどうするかなどの論議が盛んに行われている。

UK Pledges $8 Million to Study Long-Term Effects of TETRA 
英国はTETRA無線通信システムからの長期健康影響に関する調査に8百万ドルの支出を約束 

10
万人規模で警察官を15年にわたって健康影響を追跡する。小規模の調査では脳の認識機能に変化が現れている。

IEEE Move to Relax cell phone SAR Exposure Limit under Fire 
IEEEの携帯電話からの電磁界暴露 SARの規定の緩和は、論争中 

IEEE
の新提案は SARの規定条件を1gあたりから10gあたりにし、SARの値も1.6W/kgから2W/kgに変更するというものである。 すなわちICNIRPの条件と合わせるという提案である。これに対して甘くなるのは問題と、論争中。

Swedish BBB Research Faulty, Says German Wireless Group 
スウェーデンのBBB研究は疑わしい、と ドイツの無線研究グループは言っている。 

FGF
ドイツの通信工業会の研究グループによって行われたレビューは、高周波電磁界暴露による脳関門の影響に関するSalford-Perssonの実験の有効性に疑問を投げかけた。 

UK NRPB Proposes to Adopt ICNIRP’s Exposure Limits 
英国のNRPBICNIRPの暴露基準を採用 

英国のNRPBの場合、携帯電話のSAR10W/kgと最も甘かった。ICNIRPに調和した規定とする。英国はWHOの予防原則の発動決定があるまでは、予防原則を発動しない。 

Sorting Out Mobile Phone Cognitive Effects  
携帯電話による認識への影響に関する状況   

携帯電話の電磁界放射による人の脳の機能への影響に関する研究は、一定の結果が得られない状況にある。ある英国の報告によれば、記憶機能に男性は影響が見られたが、女性では影響が見られなかったと報告している。加えて、北欧の研究では、以前の研究で携帯電話の電波によって反応時間が早められたという報告を、追試を行ったが再現しなかったと、報告している。 

Phone Shields Still for Sale Despite Government Crackdown 
携帯電話の電磁波防護グッズ アメリカ政府の取り締まりにもかかわらず 販売継続 

連邦商業委員会(FTC)は、携帯電話シールドの効果に関して偽った主張をしていた会杜2杜に対して、中止させた。しかし、2杜はそれらをインターネット上で今でも売っている、と。 

Jury: Workplace EMFS Did Not Cause Male Breast Cancer
裁判官は職場の電磁波は男性乳がんの原因ではないと判定 

54
歳のMontano80歳のSlaterは、地下の電気室の隣の事務所で働き、乳がんになったのは電磁界のためであるとして、建物の持ち主と二人の雇い主、Albuquerque市から損害賠償を求めていた裁判で、裁判官は請求を拒絶した。 

Workplace EMFs Increase Prostate Cancer Risk 
職業的な電磁界暴露は前立腺.がんのリスクを増加 

Charles
らの2003年の疫学研究によれば、職業的に強い磁界に暴露している男性の電力事業従事者は、前立腺がんのリスクが高かったと。しかし、電磁界暴露と同時にPCBに暴露している場合は、リスクの増加は見られなかった。 

Melatonin Hypothesis Rejected: Chronic 50Hz Exposure has No effect 
Touitouらの2003年の研究の結果、慢性的に家庭や職場で磁界(0.1-2.6μT)に暴露している15名の男性(暴露年数は1-20年)を対象にした研究、対照と比較して、メラトニンレベルへの影響は見られなかった。 

*最近の研究から 
Choらの2003年の研究によれば、ヒトのリンパ細胞に発ガン物質BPを投与してから、60Hz 0.8mTの磁界を暴露した場合、Micronucleiと姉妹染色体交換に磁界による影響が見られた。磁界だけを0.8mT暴露した場合は影響はなかった。 

Wang
らの2003年の研究、900MHzzの携帯電話の電磁波による子供の頭でのSARの検討。
大人の頭に比較して、子供の頭のサイズでは、SARは増加する、1g辺りの計算では31.5%増加、10gあたりの計算では21.6%増加する。 

Jarpat
らの2003年の研究、8人の女性を対象とし、夜間に携帯電話の電磁波を浴びた場合と、浴びない場合ではメラトニンレベルは有意に低下した。(2重盲検法で行っている?)

Boivin
らの2003年の研究、空港などにある据え置き型の金属探知機、携帯型の金属探知機からの磁界を測定した。据え置き型では0.1-3.5kHzの磁界が、最大で3741mGp-p、携帯型では89kHz-133kHzの磁界が、最大で76mGp-pが観測された。

Yamaguchi
らの2003年の研究、1439MHzの携帯電話の電磁波をねずみに暴露、T型迷路を使用して脳の機能に電磁界が影響するか研究。SARが現行の規定値を超えると影響が現れる。SAR=25W/kgでは影響が現れた。

以上

 

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