低周波電磁界に関するコーナー(3)


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疫学以外の低周波電磁界の研究: 
1. サイクロトロン共鳴は否定 1996年木内論文 
2. 極低周波電磁波と免疫への影響 城内研究 1997年報道
3. オーストラリアの電磁波と乳がんの資料
4. 自然界に存在する微小な交流磁界
5. Anderson磁界は白血病促進せず
6. 鶏卵の孵化に交流磁界が影響 
7. 100μTの磁界は癌を促進 
8. 100μTの磁界は癌を促進 ― その2 
9. ラットの年齢と磁界影響度 
10.低周波磁界とマウスの妊娠への影響 
11.低レベルの電磁界はチロシン・キナーゼを活性化しない
14.3相交流電力ではメラトニンに影響
15.EBEA2007年で発表された100μT50HzのREFLEX研究
16.H20年度環境省電磁波報告書にみる低周波電磁界の発ガン
17.2004年のEraslanetらの60Hz磁界の研究
18.イタリアの2000年生殖への影響に関する研究
19.疑問視されている1966年の旧ソビエトの報告
20.ELF電界の感知に関する小山らの研究
21.厚労省科研費助成 電磁波研究1997-2002年から
22.1999年飯島の研究論文から
23.箕輪功らの2001年研究から
24.REIPERTらの1997年アポトーシスの研究


 

 



BEMSJから研究に関する提案 

1.低周波電磁界の検知に関する研究の提案

                                         

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1.サイクロトロン共鳴は否定 1996年木内論文

論文の概要を紹介。

研究者:木内陽介 ら 
論文:ELF電磁界の溶液イオンに及ぼす影響 −サイクロトロン共鳴とそのしきい値― 
掲載: 電子情報通信学会論文誌 B−2 Vol. J79-B-2 No.4 PP 253-259  1996年4月 

前置きの説明: 
細胞が電磁波に曝露した時、あるときはCaイオンが影響を受け、ある時は受けないということから、Window効果ではないかと考え、そのメカニズムとしてイオンのサイクロトロン共鳴が仮説として提唱されている。 

サイクロトロンは直流の磁界と交流の磁界との組み合わせによって起こる。 
この論文はサイクロトロン共鳴が生体の中で起こりえるかということを、起こるとすればどの程度の直流磁界下で起こるかを、研究した論文である。 
結果として、サイクロトロン共鳴は生体の中では起こらない ということ。 

論文の概要: 
自由運動をするカリウム(K)やカルシウム(Ca)イオンは40マイクロテスラ程度の地磁気において、15−30HzのELF電磁界でサイクロトロン共鳴を生じる。 

しかし、この条件で、実際に生体内でサイクロトロン共鳴が生じるかどうかは、常温共鳴時のイオン運動半径が10mと長すぎること、イオンの他の分子との衝突の為に、平均自由時間が短く、衝突摩擦力が無視できないことから、疑問視されてきた。S. Galt の1993年論文などでも、上記の条件下ではサイクロトロン共鳴は生じないことが報告されている。 

一般的には、直流磁界が強くなれば、溶液中に存在するイオンはサイクロトロン共鳴を生じるものと考えられる。 

そこで、数理モデルを用いて、シミュレーションを行った。 (この部分は難解で、私には良くわかりません。 割愛) 

結果として、
サイクロトロン共鳴が起こる直流磁界の大きさはカリウムイオンに対しては 6.9百万テスラ、 カルシウムイオンに対しては 8.8百万テスラ となった。 
生体が曝露される可能性のある10テスラ程度までの磁界では、生体にサイクロトロン共鳴は生じないで」あろう、という結論。 


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2.極低周波電磁波と免疫への影響 城内研究 1997年報道

19971月に、以下のような新聞報道があった。 これは色々な新聞に掲載された。

細胞の免疫機能  電磁波受け低下 労働省研究官ら確認:
高圧線や一般の家電製品から出る極低周波(周波数50ヘルツ)の電磁波にヒトの抹消血リンパ球をさらしたところ、ガン等の腫瘍細胞に対する攻撃機能を強める性質を持つたんぱく質「TNF-α」の生産量が落ち込み、免疫機能が低下する事が5日までに、労働省産業医学総合研究所(川崎市)の城内博主任研究官らの実験で分かった。  

 

この研究は、以下の論文として、英文で、刊行されています。
研究者: H. Jonai et at
論文名: Cytokine Profile of Human Peripheral Blood Mononuclear Cells Exposed to 5oHz EMF 
掲載雑誌: Industrial Health 1996年 

この論文の一部のデータを以下に紹介します。 抹消血リンパ球におけるTNF−αの生産量が、50Hz磁界を曝露することによって、曝露しない場合に比べて、低下するというデータです。 論文ではその他のデータもありますが、明確に磁界の影響が見られたものとして、原著から引用します。 


この図6では、磁界を曝露しないときに対して磁界を曝露した時の免疫機能の比率を測定しています。 1ミリテスラから10ミリテスラの磁界曝露で、免疫機能が25%減少しています。 このことから研究者は「50Hz磁界曝露は免疫機能に影響を与える」と、しています。

さて、ここからは筆者のコメントです。

確かに、この研究では、50Hz磁界は免疫機能に影響を与えています。 しかし、その磁界の大きさは1ミリテスラから10ミリテスラという値です、1ミリテスラは10ガウスです。10ミリテスラは100ガウスです。 これだけ強い50Hz磁界は生活環境下では存在しません。 高圧送電線の直下でも存在しません。

ICNIRP等の電磁界曝露基準では、一般公衆の50Hz磁界への曝露は最大で0.1ミリテスラ(1ガウス)になっています。 10ガウスや50ガウスでは生体影響がありえるとなっています。 今回のこの研究は、そうしたことを裏づけた研究といえます。 

そして、できれば1ミリテスラよりもっと小さい磁界でも実験を行ない、どのくらいの強さ以上の磁界で免疫機能に影響が出始めるのか、その閾値を見つけてくれればよいのですが・・・・・

従って、この研究に関して報道されているような
家電製品から出る極低周波の電磁波で、免疫機能は低下する」という表現は、
正しくは

「家電製品から出る極低周波と同じ周波数の電磁波で、生活環境下にあるレベルを大きく超えた強さの場合免疫機能は低下する」 ということになります。 

 

新聞で報道された情報だけでは不十分で、論文の原著を読んでみる必要があります。

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3.オーストラリアの電磁波と乳がんの資料

オーストラリアの電磁波運動のフォーラムにあった「電磁波と乳がん」に関する資料の概要です。 

原文: 
Volume 1. No 4. Article 3
  
The Breast Cancer /EMF connection:
 Melatonin, Tamoxifen, 50-60 Hertz Electromagnetic Fields and Breast Cancer: A Discussion Paper Compiled by Don Maisch, EMFacts Information Service,  August 1997 
http://www.tassie.net.au/emfacts/forum/1_4ezine3.html
に公開された文書 

概要というか気が付いた点を列記 ( )内は私の注記 

50-60Hzの電磁界がメラトニンを抑制するという研究から、乳がんの発生を免疫機能が防御しきれないので乳がんが増加するのではないかという仮説がある。 

*ヒトのメラトニンは、昼夜で日変化をしているが、この日変化リズムは地磁気の日変化と同期している。 
(メラトニンの日変化が地磁気の日変化によってもたらされているというこの論法には疑問がある。 クロスカーレントという電磁波の健康影響に関する本を書いているベッカーも著書の中で同じ誤りをおかしている。) 

*メラトニン仮説は、まだ仮説である。なぜならば、過去の研究の再現実験に失敗しているからである。 実験結果を他の研究者が再現実験に成功することが重要な鍵となる。

 Liburdy1993年の研究は「メラトニンには乳がん細胞の増殖を押さえる働きがあるが、60Hz,12Gの磁界はその機能を阻害する」となっている。 この結果は5つの再現実験が行われて、再現したのは3件であった。 そして「更に研究が必要」となっている。 

*乳がんの治療薬Tamoxifenの薬効を60Hz12Gの磁界は阻害した。 2mGでは阻害しなかったという研究がある。 このことから閾値は2から12mGの間にあると思われる。

*アメリカのS. M. J. Afzal らは以上のことから、VDTから漏洩する12mG程度の磁界が乳がんの促進要素ではないかと研究を始めている。

*ボストン大学の乳がん研究(Coogan1996年)では、電磁波の高暴露の職場で働く女性に43%の乳がんリスク増加を見つけた。 彼女らはメインフレームコンピュータの職場で働いていた。 磁界が乳がんを増加させるかも知れないと、結論。

Grahamの研究、ヒトに磁界を暴露させてメラトニンの量の変化を調査した。 メラトニンの量がもともと少ないヒトの場合に限って、磁界によるメラトニンの抑制作用が検出された。 しかし、Grahamはこの結果の再現実験に失敗した。

*国際乳がん研究。現在5年計画で進行中。欧州、豪州などで乳がんに家系的にかかり易いヒトを集めた。 Tamoxifenか偽薬を服用させて、長期に経過をみている。

*この論の結論 
磁界2mGではよいが、12Gは乳がんの促進作用があるかも知れないので、電磁波の暴露を避けるべきである、特に電気毛布、電熱ベット、家庭内の適切に接地されていない配線、古いパソコン用モニタ(これはMPR2などの適用以前のものとの意味かも?) 蛍光灯、職場での暴露など。 
興味のある方は上記のURLを覗いて下さい。 

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4.自然界に存在する微小な交流磁界

 

電気文明が作り出したものではない、自然界に存在する電磁波の量はどの程度かに関して、私は興味を感じています。
そうした電磁界に(電磁波)に対しては、人は健康影響を受けないか、受けるとしてもその対処能力を身に着けていると考えることができるからです。 

WEB
で、面白い情報を見つけました。 
名古屋工大では地震予知に関する研究の一環として地殻から放射される電磁波の観測を行っています。
測定周波数は223Hz で低周波の磁界です。 

結果の一部が公表されており、   それを見ると 
通常は1万分の1ミリガウス程度の交流磁界が観測され、  
時々1000分の1ミリガウス程度の交流磁気が観測されているようです。 

興味のある方は http://www.eq.ics.nitech.ac.jp/  を覗いてください。 

 

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5.Anderson磁界は白血病促進せず

 

論文名:Large Granular Lymphocytic (LGL) Leulemia in Rats Exposed to Intermittent 60 Hz Magnetic Fields.
研究者: L.A. Anderson et at.
BEMS
論文誌 April 2001に掲載 

概要 
*過去の実験で1mT 60Hzの連続した磁界にラットが暴露しても白血病のプロモータ作用は見つからなかった。
*今回の実験は、連続した暴露で追試を行うことと、断続した磁界(3分間間隔で断続)に暴露した場合の白血病のプロモータ作用があるか、この2点を目的として実験を行った。

*ポジティブコントロールとして5Gyの放射線をあてた群、対照群、連続磁界暴露群、断続磁界暴露群の4群の分割
*それぞれ白血病が発生するように白血病の細胞をラットに注射。
*体重の変化や、血液の成分検査などの経過調査を行いながら、22週間、ほとんどのラットが死ぬまで、実験を継続した。

*結果は 
ポジティブコントロールの群は、体重の増加曲線が他の3群と異なり、白血病が促進された。当然の帰結。
磁界暴露群は対照群と差はなかった。
このことから、60Hz磁界1Tは、白血病を促進しているとはいえない。


同様な研究で、ラットを死ぬまで飼育して磁界の影響がなかった、癌は増加しなかった という論文があります。


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6.鶏卵の孵化に交流磁界が影響 


アブストラクトのみ入手、 仮訳をつけた。 
100kHz
までの電磁界の研究は珍しい。研究者はフィンランドの研究者、原著を読む価値はありそう。
作成; 2003−4−25 

掲載誌:Radiat Environ Biophys 1986;25(2):135-40
論文名:Development of chick embryos in 1 Hz to 100 kHz magnetic fields.
1Hzから100kHz磁界暴露によるひよこの発育(鶏卵の孵化?)への影響
研究者:Juutilainen J, Saali K

概要 
Chick embryos were exposed during their 48 first hours of development to sinusoidally oscillating magnetic fields.
鶏卵の孵化に際して、最初の48時間は正弦波の磁界を照射した。

The frequencies 1 Hz, 10 Hz, 16.7 Hz, 30 Hz, 50 Hz, 1 kHz, 10 kHz and 100 kHz, and the field strengths 0.1, 1, 10 and 100 A/m were used.
磁界の周波数は1Hz10Hz16.7Hz(筆者注:周波数の窓として他の研究で影響が見られた周波数),30Hz50Hz1kHz10kHz100kHzで、磁界の露長は0.1110100A/m(約120μT)である。

Each exposure group consisted of 20 eggs. After the exposure, the embryos were examined for abnormalities and classified by the developmental stage.
それぞれの実験では各20個の卵を用いた。曝露後、鶏卵の異常や発育段階を調査した。

The percentage of abnormal embryos (%AE) was significantly increased at frequencies from 16.7 Hz to 100 kHz.
異常発生率は16.7Hzから100kHzへの曝露群で有意に増加した。

Above a threshold field strength of about 0.1 to 1 A/m, %AE was rather independent of the field strength, varying from 16% to 56% in different exposure groups.
ほぼ0.1から1A/mの磁界強度を閾値として、異常発生率は磁界強度には依存せず16%から56%で変動している。

13% of the sham-exposed control embryos (n = 150) were abnormal.
シャム曝露群(N=150)では13%の異常発生率であった。

Only the 0.1 A/m exposure group differed significantly from the controls at 1 Hz, and no significant effect was found at 10Hz.
1Hz
では0.1A/mへの曝露群で対照群に比べて、有意な変化があった。10Hzでは差異はなかった。

The developmental stage was in general not affected by the magnetic fields, but some abnormal embryos showed retarded development.
発育段階の調査では、全般として、磁界の影響は見られなかった。 しかし、発育の遅延が見られた鶏卵もあった。

 

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7. 100μTの磁界は癌を促進 


作成; 2003−7−24  アブストラクトのみ入手。 仮訳をつけました。

論文名:Exposure of Sprague-Dawley Rats to a 50-Hertz, 100-µTesla Magnetic Field for 27 Weeks Facilitates Mammary Tumorigenesis in the 7,12-Dimethylbenz[a]-anthracene Model of Breast Cancer
27
週間の50Hz,100マイクロテスラの磁界暴露が、DMBAで発癌させたSDラットの乳がんを促進させるかの研究
研究者:Susanne Thun-Battersby, Meike Mevissen and Wolfgang Löscher
Department of Pharmacology, Toxicology and Pharmacy, School of Veterinary Medicine Hannover, D-30559 Hannover, Germany
 
掲載誌:Cancer Research 59, 3627-3633, August 1, 1999 

概要
We have shown previously (W. Löscher et al., Cancer Lett., 71: 75–81, 1993; M. Mevissen et al., Carcinogenesis (Lond.), 17: 903–910, 1996) that 50-Hz magnetic fields (MFs) of low [50 or 100 µTesla (T)] flux density enhance mammary gland
 tumor development and growth in the 12-dimethylbenz[a]anthracene (DMBA) model of breast cancer in female Sprague-Dawley rats.  
我々は過去の研究(1993年、1996年)で、60μT100μT程度の50Hz磁界が、DMBAでイニシエート(発癌性物質を投与)したメスのSDラットの乳がんを促進することを報告している。 

In these previous experiments, groups of rats were given 20 mg of DMBA (four weekly gavage doses of 5 mg each) and were MF- or sham-exposed for 13 weeks.
これら過去の研究では、ラットに20mgDMBAを経口投与(1週間に5mg4週間にわたって投与)し、磁界暴露と擬似曝露を行った。

The objective of the present study was to examine whether the use of a lower dose of DMBA (10 instead of 20 mg per rat), MF exposure of the rats before DMBA injection, and the increase of the MF exposure period after DMBA application to 26 weeks enhance the effect of MF on tumor development and growth.
 
今回の研究では、DMBAの投与量を20mgから10mgと少なくし、DMBA投与前の磁界暴露と投与後磁界暴露を26週間に伸ばし、癌の促進作用があるか、調査を行った。

A group 99 rats was exposed to a homogeneous, horizontally polarized 100-µT MF of 50-Hz for 24 h/day for 7 days/week; another group of 99 rats was sham-exposed under the same environmental conditions as the MF-exposed rats.
99
匹のラットは均一で50Hz,100μTの水平磁界に124時間、1週間7日曝露した。他の99匹は擬似曝露とした。

The exposure chambers were identical for MF-exposed and sham-exposed animals. The age of the rats was 45–49 days at the onset of exposure;
 duration of MF or sham exposure was 27 weeks.
曝露装置は磁界暴露も擬似曝露も同じ条件である。曝露開始のラットは生後45-49日であり、曝露期間は27週である。

DMBA was administered p.o.
(意味?)at a dose of 10 mg/rat after 1 week of MF or sham exposure.
磁界暴露群、擬似曝露開始から1週間後に、1匹あたり10mgDMBAを投与した。

The animals were palpated once weekly from week 6 onwards to assess the development of mammary tumors.
ラットを6週間以降,1週間に1回触診で癌の増殖を確かめた。

At the end of the exposure period, the animals were killed for the determination of number and volume and histological verification of mammary tumors.
曝露期間の終了後、ラットは癌の数量や量を調べ、病理組織学的な検証のために、殺された。

All of the recordings were done in a blinded fashion; i.e., the investigators were not aware which animals were MF or sham-exposed.
総ての記録は盲検法で、すなわち、調査者はラットが磁界暴露群なのか擬似曝露群なのか判らないようにして、行った。

Mammary tumor development and growth was significantly enhanced by MF exposure, the most marked effect on tumor incidence (190% above sham control) being observed 13 weeks after DMBA administration.
癌の発生と増殖は磁界によって優位に促進された。注目すべきはDMBA投与後13週間目での癌罹患率の増加である、擬似曝露群に対して190% 

At the time of necropsy, i.e, 26 weeks after DMBA administration, the incidence of histologically verified mammary tumors was 50.5% in controls and 64.7% in MF-exposed rats, the difference being statistically significant.
DMBA投与から26週間後の屍体解剖で、病理組織学的に確認できた癌の罹患率は対照群(擬似曝露)では50.5%であり、磁界暴露群では64.7%と、有意な増加であった。

More marked inter-group differences were recorded when tumor incidence was separately evaluated for each of the six mammary complexes, the most pronounced MF effect on tumor incidence being seen in the cranial thoracic complex.
さらに大きな相違として、磁界による癌の促進効果は、頭蓋と胸部の合併症に見られた。
(この部分の訳は?)

The data substantiate that, at least under the experimental conditions used in our laboratory, 50-Hz, 100-µT MF exposure significantly facilitates the development and growth of mammary tumors in the DMBA rat model of breast cancer.
これらのデータから、少なくともこの研究で用いた曝露条件(50Hz100μT)は、乳がんを起こすようにDMBAを投与したラットの癌の発生と増殖を促進していると、立証できる。


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8.100μTの磁界は癌を促進 ― その2 

仮訳をつけた 作成; 2003−7−26

掲載雑誌:Cancer Research 62, 1356-1363, March 1, 2002
論文名:Magnetic Field Exposure Increases Cell Proliferation(増殖・再生)but Does Not Affect Melatonin Levels in the Mammary Gland(腺)of Female Sprague Dawley Rats  
磁界暴露はメスのSDラットの細増殖に影響するが、メラトニンレベルには影響しない。

研究者:Maren Fedrowitz, Jürgen Westermann and Wolfgang Löscher 
Department of Pharmacology, Toxicology and Pharmacy, School of Veterinary Medicine, D-30559 Hannover, Germany [M. F., W. L.], and Institute of Anatomy [J. W.], University of Lübeck, D-23538 Lübeck, Germany
 

概要 
In line with the possible relationship between electric power and breast cancer risk as well as the underlying "melatonin hypothesis," we have shown previously (Thun-Battersby et al., Cancer Res., 59: 3627–3633, 1999) that 50-Hz magnetic fields (MFs) of low (100 µTesla) flux density enhance mammary gland tumor development and growth in the 7,12-dimethylbenz(a)anthracene model of breast cancer in female Sprague Dawley rats.

メラトニン仮説と同様に、電力による乳がんリスクの関係に関連して、我々はこれまでに100μT程度の低い50Hz磁界が、DMBAでイニシエート(発癌剤投与)したメスのSDラットの乳がんの促進し、哺乳類の腺癌を増発することを報告している(1999年の報告)。 

On the basis of the melatonin hypothesis and previous observations of induction of ornithine decarboxylase in response to MF, we proposed that the effect of MF exposure on mammary carcinogenesis is related to enhanced proliferation of the mammary epithelium.

メラトニン仮説と磁界によるornithine(アミノ酸の一種)decarboxylaseの誘発を観察したことから、我々は磁界の発がん性はepithelium(意味?)の増殖増加に関連しているのではないかと考えた。

The objective of the present study was to directly assess this proposal by the use of proliferation markers.
今回の研究はこの提案を、増殖マーカを使用して確かめることである、

Female Sprague Dawley rats were MF or sham exposed for 2 weeks at a flux density of 100 µTesla.
メスのSDラットを2週間、100μTの磁界暴露もしくは擬似曝露した。

Proliferation of epithelial cells in the mammary tissue and adjacent skin was examined by in vivo labeling of proliferating cells with bromodeoxyuridine (BrdUrd) and in situ labeling of the nuclear proliferation-associated Ki-67 protein by the antibody MIB-5.

組織と隣接する皮膚のepithelial cellsの増殖は、bromodeoxyuridineでラベリングしたインビボテストで行い、かつラットの状態で(局所で)のテストも行った。(試験法の説明、ここは難解で訳は?) 

Furthermore, melatonin levels were determined after MF or sham exposure in the pineal gland and directly in the mammary tissue.
さらに、磁界暴露および擬似曝露後に、松果体および直接体組織から、メラトニンレベルを測定した。

In additional experiments, the tumor promoter 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate was used for comparison with the effects of MF exposure.
癌プロモータ剤12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetateを用いて、磁界による効果と比較もした。

MF exposure significantly enhanced BrdUrd and Ki-67 labeling in the mammary epithelium, indicating a marked increase in cell proliferation.
磁界はepitheliumに対する二つの試験法で共に、細胞増殖を増加させていることがわかった。

The most pronounced effect on proliferation was seen in the cranial
 thoracic (or cervical) mammary complexes, in which we previously had seen the most marked effects of MF exposure on mammary carcinogenesis.

最も顕著な効果はcranial頭蓋 thoracic 胸部(or cervical) mammary complexesにみられた。この部分はこれまでの我々の研究で磁界による癌の発生が見られた箇所である。

In contrast to the melatonin hypothesis, melatonin levels in pineal or mammary glands were not affected by MF exposure.
対象的に、松果体とglands(意味?)におけるメラトニンレベルは磁界の影響を受けなかった。

Topical application of 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate increased BrdUrd and Ki-67 labeling in epithelial cells of the skin, particularly in hair follicles
(小胞), but not in the mammary tissue.

癌プロモータ剤での試験では、毛のepithelial細胞を二つの方法で試験した結果、増加が見られた。特に毛の小胞では顕著であったが、対組織では影響がなかった。

The data demonstrate that MF exposure results in an increased proliferative activity of the mammary epithelium, which is a likely explanation for the cocarcinogenic or tumor promoting effects of MF exposure observed previously by us in the 7,12-dimethylbenz(a)anthracene model of breast cancer.

こうした試験から、過去の我々がDMBAを用いた乳がんを磁界が促進するという磁界の発がん性もしくはプロモータとしての作用を、epitheliumにおける細胞増殖性の増加ということから説明できることがわかった。

注:このアブストラクトも難解です。 仮訳をつけた、おおよその意味は把握できても、正確に翻訳はできていない。 

 

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9.ラットの年齢と磁界影響度 

アブクトのみ入手  仮訳をつけた、 作成:2003−9−8 

論文名:Age-related differences in serum melatonin and pineal NAT activity and in the response of rat pineal to a 50-Hz magnetic field
研究者:Selmaoui B. and Touitou Y
掲載誌:Life Sciences 1999 64:24 (2291-2297) 

In a previous study we have shown that exposure to a 50-Hz sinusoidal magnetic field decreased serum melatonin concentration and pineal enzyme activities in young rats (9 weeks).
われわれはこれまでに、50Hz正弦波磁界への暴露が、生後9週齢の若いラットの血清メラトニン濃度と松果体の免疫機構を減少されていると報告した。

In the present study we looked for the effect of a magnetic field of 100 μT on serum melatonin and pineal NAT activity in aged rats and compared them to young rats.
今回の研究は、磁界100μTが老年のラットの血清メラトニンと松果体のNAT活性に影響するか、若いラットと比較しながら、調査を行った結果である。

We hypothesized that aging may change sensitivity of rats to a magnetic field.
我々は、加齢によって磁界暴露による影響度が変化するのではないかと、仮定した。

Two groups of Wistar male rats [aged rats (23 months) and young rats (9 weeks)] were exposed to 50-Hz magnetic fields of 100μT for one week (18h/day).
23
週齢と9週齢のWinsterラットを100μTの磁界に1週間、118時間 暴露した。

The animals were kept under a standard 12:12 light: dark cycle with a temperature of 250°C and a relative humidity of 45 to 50%.
ラットは標準的な12時間づつの明暗サイクルで、25.0℃、相対湿度45−50%の環境下に置いた。

Control (sham-exposed) animals were kept in a similar environment but without exposure to a magnetic field.
コントロール群は磁界暴露のなさ以外は同様な状況においた。

The animals were sacrificed under red dim light.
ラットを暗い赤い光の下で殺した。

Serum melatonin concentration and pineal N-acetyltransferase (NAT) and hydroxyindole-O- methyltransferase (HIOMT) activities were studied.
血清メラトニン、松果体のNAT活性、HIOMT活性を調査した。

Our results showed that sinusoidal magnetic fields altered the production of melatonin (28% decrease; P <0.05) through an inhibition of pineal NAT activity (52% decrease; P<0.05) in the young rats whereas no effect was observed in aged ones.
磁界は、若いラットに対しては、メラトニン産出を28%減少させ、松果体のNAT活性を52%減少させた。老齢のラットでは影響が見られなかった。

On the other hand, when comparing data from control animals between young and aged rats, we observed that serum melatonin level and NAT activity, but not HIOMT activity, decreased in aged rats (decrease by about 38% and 36% respectively).
一方、コントロール群での老齢ラットと若いラットの比較では、老齢のラットで、血清メラトニン(38%減)とNAT活性(36%減)は減少し、HIGMT活性は変化がなかった。

Our data strongly suggest that old rats are insensitive to the magnetic field.
この研究から、老齢のラットは磁界に対して感受性がなくなっていることがわかった。

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10.低周波磁界とマウスの妊娠への影響 

 

 仮訳をつけた。 作成: 2003−10−22

掲載誌:The Journal of Toxicological Sciences, Vol.27, N0.3, 131-138, 2002  
論文名:EFFECTS OF POWER FREQUENCY ALTERNATING MAGNETIC FIELDS ON REPRODUCTION AND PRE-NATAL(出生前)DEVELOPMENT OF MICE   電力周波数磁界とマウスの生殖および出生前の発育へ影響
研究者:Yasuyuki OHNISHl, Fumio MIZUNO, Tetsuya SATO, Mitsuru YASUl, Takehiko KIKUCHI and Masahiro OGAWA

ABSTRACT
 概要 
Three groups of ICR male and female mice were exposed to 50-Hz, sinusoidal, alternating, horizontal magnetic fields of 0.0mT (sham), 0.5mT and 5.OmT (rms) for 9 and 2 weeks prior to mating(
交配) for males and females, respectively, through fertilization (受精) and until cesarean sectioning (帝王切開).
3
群のマウスは50Hz正弦波の水平磁界、擬似曝露(0mT)、0.5m,5mTに、雄と雌を勾配する前と、受精から帝王切開するまでの間、9週間と2週間曝露した。

Fetuses
(胎児) were collected by cesarean section(帝王切開) on the 18th day of gestation.
妊娠18日目に胎児を帝王切開して集めた。

Approximately half were randomly selected for skeletal examination and the remainder used for visceral examination.
ランダムに半分に分けて、半分は骨格系の検査を、半分は内臓系の検査を行った。

No significant differences were found between the field and the sham-exposed groups in pre-, post- and total implantation losses; number of live fetuses; sex ratio; live fetal weight; number of externally abnormal fetuses; and numbers of fetuses with skeletal and visceral anomalies.
磁界曝露群と擬似曝露群の間で、前期・後期そして通期での着床ロス、生きている胎児の数、雄雌の比、生きている胎児の体重、外形的な以上のある胎児の数、骨格系や内臓系に異常のある退治の数には、有意な差異はなかった。

These results suggest that exposure to power-frequency magnetic fields has no major effects on reproduction and development in mice, and do not support the association of EMF exposure with adverse reproductive effects suggested by epidemiology.
この結果、電力周波数磁界はマウスの生殖と発育に関して大きな影響はないといえる。また、疫学で報告されている様な電磁界が妊娠異常をきたすということを支持できない。

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11.低レベルの電磁界はチロシン・キナーゼを活性化しない

アブストラクトを入手 仮訳をつけた  作成: 2003−11−30 

掲載誌:The FASEB Journal. 2000;14:2284-2290.
論文名;Lyn and Syk tyrosine kinases are not activated in B-lineage lymphoid cells exposed to low-energy electromagnetic fields
低レベルの電磁界はBリンパ細胞のLyn and Sykチロシン・キナーゼを活性化しない

研究者:MARGARET WOODS, FEDJA BOBANOVIC, DAVID BROWN and DENIS R. ALEXANDER

概要:
Exposure of B-lineage lymphoid cells to a 100 µT 60 Hz AC magnetic field has been reported to stimulate
(刺激)the rapid activation(活性化)of Lyn and Syk tyrosine kinases and the induction of protein tyrosine phosphorylation.

B
リンパ細胞にAC60Hz100μTの磁界を曝露すると、Lyn and Sykチロシン・キナーゼの急速な活性化が刺激され、チロシンたんぱく質のフォスフォリール化が誘導されるという研究がある。

These findings are significant because of the critical role played by these B cell signaling events in the control of growth and differentiation, and therefore the potential of electromagnetic field (EMF) exposure to induce cancer.

成長と分化を制御におけるB細胞の信号伝達に重要な役割を占めているおり、電磁界が癌を誘発する可能性があることから、このことは極めて重要である。(この部分 訳は?)

We report the first study carried out with the aim of reproducing the reported EMF effects on Lyn and Syk tyrosine kinases.

この報告は、報告されたLyn and Sykチロシン・キナーゼの電磁界効果の再現を行った最初の研究である。

The system used enabled EMF exposure conditions to be carefully controlled and also allowed experiments to be performed blind.

電磁界暴露を十分にコントロールし、ブラインドで試験を行った。

The effects of a 100 µT 60 Hz AC magnetic field on protein tyrosine phosphorylation and on Lyn and Syk tyrosine kinase activities were investigated in Nalm-6 and DT40 B cells in the absence and presence of a 46 µT DC magnetic field.

チロシンフォスフォリール化とLyn and Sykチロシン・キナーゼの活性のAC 60Hz 100μT磁界の影響は、46μTの直流磁界(筆者注;地磁気を想定)の有無の基で、Nalm-6 and DT40 B細胞を解析した。

However, no significant effects of low-energy electromagnetic fields on tyrosine kinase activities or protein phosphorylation were observed.

しかし、低レベルの電磁界暴露によるチロシン・キナーゼ活性とたんぱく質のフォスフォリール化は観察されなかった。(筆者注:すなわち過去の実験は再現できなかった)

筆者の注;
tyrosine 〔生化〕チロシン:アミノ酸の一つ
Kinase:キナーゼ、賦活素
賦活体 ふかつたい:化学反応を起こす物質、または、その触媒をなす物質の働きを増大させて反応を起こりやすくする物質。

Phosphorylation:フォスフォリール化。有機分子に3価根基POを加える作用、たとえばglucoseに酵素Phosphorolaseが作用して、Glucose Monophosphorateができるような変化を言う。
Differentiation
〔生〕〈細胞・組織が〉(発生途上で)分化する.

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14.3相交流電力ではメラトニンに影響


アブストラクトを入手。 仮訳をつけた。 作成: 2005−1−30 

タイトル:Melatonin metabolite 中間代謝物levels in workers exposed to 60-Hz magnetic fields: Work in substations and with 3-phase conductors
60Hz
磁界への職業的な曝露におけるメラトニン中間代謝物の量:変電所と3 相送電線下での作業
研究者:Burch J.B, Reif J.S, Noonan C.W. and Yost M.G.
掲載誌:Journal of Occupational and Environmental Medicine 2000 42:2 (136-142)

概要:
Melatonin suppression by 50/60-Hz magnetic fields represents a plausible biological mechanism for explaining increased health risks in workers.
50・60Hz磁界曝露によるメラトニン抑制は、作業者の健康リスクの増加を説明するもっともらしい生体メカニズムとして代表される。

Personal exposure to magnetic fields and ambient light, and excretion
(排泄) of the melatonin metabolite 6-hydroxymelatonin sulfate (6-OHMS), were measured over 3 consecutive workdays in electric utility workers.
電力事業従事者を対象に、連続した3日間の勤務にわたって、磁界への個人曝露、周囲の明るさ(光)とメラトニン中間代謝物(6−OHMS)の排泄を測定した。

There was a magnetic field-dependent reduction in adjusted mean nocturnal
(夜間の) and post-work 6-OHMS levels among men working more than 2 hours per day in substation and 3-phase environments and no effect among those working 2 hours or less.

3相交流及び変電所で、12時間以上働く人の場合は、夜間と作業後の6−OHMSの平均値に曝露磁界への依存性が観察された。そして、12時間かそれ以下の作業者には、依存性は観察されなかった。

No changes were observed among men working in 1-phase environments.
単相交流の条件で働く人の間には、変化はなかった。

The results suggest that circular or elliptical magnetic field polarization, or another factor linked to substations and 3-phase electricity, is associated with magnetic field induced melatonin suppression in humans.
このことは、円磁界もしくは楕円磁界、もしくは変電所と3相交流電力に関係した何かの因子が、磁界が人のメラトニン抑制に関係していることを示唆する。

興味のある方は原著全文を入手して、読んでください。

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15. EBEA2007年で発表された100μT50HzREFLEX研究

作成:2007−5−26

 

以下の研究報告が発表されている、概要を仮訳した。

タイトル:APOPTOTIC RESPONSE TO 50-Hz MF IN TWO HUMAN CANCER CELL LINES 
ヒトの癌由来細胞における50Hz磁界でのアポトーシス反応
研究者:MARIA-ANTONIA MARTÍNEZ, MARIA-ANTONIA CID, ALEJANDRO ÚBEDA, JOCELYNE LEAL AND MARIA-ANGELES TRILLO

過去に我々は10μTもしくは100μTの間歇的な磁界曝露がヒトの癌細胞NB69HepG2において増殖作用を亢進することを報告している。
今回、発表した研究の目的は、観察された反応がアポトーシスに関連しているか、TUNEL解析とBcl-2発現の解析を用いて研究することである。

方法:
 NB69HepG2細胞は60mmの培養皿に直接種まきするか、もしくは皿の中のガラスカバースリップの上に種まきをした。
細胞の種まき後3日目に、50Hz正弦波、円磁界、100μT3時間ON3時間Offで、42時間もしくは63時間曝露した。

外部の50Hz磁界からサンプルをシールドするための金属製容器の中に、ヘルムホルツコイルを準備した。
その中に二つの独立した培養器を置き、5%二酸化炭素で、37度℃、100%湿度条件とした。

曝露終了後、サンプルは成長の状況を調べ、TUNEL解析とBcl-2発現の解析に進んだ。
アポトーシスとBcl-2陽性細胞の比は画像解析用コンピュータで計算した。全ての試験は盲検法で行った。

結果:
NB69細胞を63時間曝露した場合。生存細胞の割合は有意に増加し(対照群に比べて92%増加)、かつ、死亡細胞の割合は有意に減少した(対照群に比べて9.7%)。
TUNEL
陽性細胞において、対照群に比べてアポトーシスが43.7%減少している変化と関連がある。


一方、非アポトーシス蛋白Bcl-2の有意な増加が42時間曝露試験で見られた。(対照群に比較して31.8%増加)
同様のBcl-2陽性細胞の増加は短時間曝露、30分から180分でも見られた。
対象的に、HepG2細胞では磁界曝露による成長への影響はアポトーシス変化に関連する変化はみられなかった。

今般の研究から、50Hz100μT磁界への簡潔曝露では、NB69細胞のアポトーシスに影響を与え、非アポトーシス蛋白Bcl-2の変化をもたらしている。
こうしたことは、磁界による成長への影響は非アポトーシス蛋白の活性に影響していると考えられる。
また、HepG2で見られたアポトーシス変化の無さは、二つの癌細胞に見られた磁界の細胞成長への影響はそれぞれの細胞の性格によるものと思われる。

 

BEMJ注:

BEMS会員ニュースレターによれば、この研究はREFLEXプロジェクトの一部である。
・この研究は、20073月フランスで開催されたThe 8th meeting of The European BioElectromagnetics Associationで、ポスター展示(学生の部)で最優秀賞を得た発表である。そこで、検索を行い、上記内容を当該大会のレジメ集から得た。
50Hz磁界でがん細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)が減少したということから、Negativeな研究報告である。
50Hz磁界を3時間毎とはいえ、断続している。この断続は、ゼロクロスで行ったのであろうか? ゼロクロスで行わないと、異常に大きいdB/dtが発生し、大きな誘導電流が細胞に誘導する。

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16.H20年度環境省電磁波報告書にみる低周波電磁界の発ガン

記;2009−9−24

平成20 年度 環境省請負業務報告書 「一般環境中電磁界ばく露に係る情報収集業務」 平成213

発行:社団法人 環境情報科学センター  の中に興味深い点があったので、紹介(引用)します。

******************    ***********************
1.
超低周波(5060 Hz
1.1
動物実験
1.1.1
がん

動物実験による長期影響の指標の一つに発がんがある。
これまで多くの研究によって、超低周波電磁界の発がん性ならびにプロモータ作用に関しては否定されているが、2007 年以降に発表された論文でも同様である。

Chung
らはethylnitrosourea (ENU)を妊娠中に投与することによって仔に脳腫瘍が誘発されるモデルを用いて、生まれた子に60 Hz 電磁界ばく露した際の脳腫瘍の発生への影響を調べた。
実験は、最大で500μTで1日21時間のばく露を4週齢から32または42週まで慢性的に行い、がんの発生率を調べた。
その結果、ENUのみ投与群とENUプラス電磁界慢性ばく露群との間に有意な差は見られず、電磁界の影響は認められないとした。

日本の電力中央研究所のNegishiらは、7,12-dimethylbenz(a)anthracene(DMBA)を新生児に経口投与することで誘発されるリンパ腫、リンパ性白血病に対する電磁界の影響を調べた。
実験にはCD-1マウスを用い、1日22時間、最大で350μT30週間のばく露を行った。
各群、雄雌各50匹合計100匹で実験を行ったところ、電磁界のばく露によりリスクが高くなることはないとした。

Fedrowitz
は、DMBA乳がん誘発ラットモデルを用いて、50Hz100μT のばく露を1日24時間、のべ26週間行い、乳がん誘発頻度の差を調べた。
その結果電磁界ばく露群は、Fischer344ラットにおいてシャム群に比べ31%の乳がんの増加が認められた。
乳がんモデルにおいてはこれまで多くの実験室の研究で異なる結果が出ている背景があるが、筆者らの主張によれば、異なる結果が出ているのはSprague Dawleyラットの異なる亜種を使用したためということである。
本論文での結論はFischer344 ラットが磁界による乳がん発生のメカニズムを調べるのに重要な系統であるとしているが、今後他の研究グループの結果と併せて評価する必要がある。

以上の結果より、超低周波による影響はおおむね否定的ではあるが、WHO 環境保健クライテリア238で述べられているように、特殊な系統などを用いた場合に、他と異なる結果も観察されるという報告もあることから、一貫した結果とはなっていない。

 

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17.2004年のEraslanetらの60Hz磁界の研究

記;2011−11−17

以下の研究がありました。
インドの学術雑誌に掲載されていたものです。 インドの学術サイトで見つけました。

掲載誌;Indian Journal of Biochemistry & Biophysics Vol. 41, February 2004, pp. 57-59
タイトル:Effects of short-term exposure to pulsed electromagnetic field on some biochemical parameters in mice
      マウスの生化学的パラメータに対するパルス性電磁界曝露の影響
研究者:Gokhan Eraslanet al:

概要:
Five-months-old male albino mice were subjected to an electromagnetic field (EMF) of 5mT of magnitude with a frequency of 60 Hz for 8hr of single application.
5か月齢のアルビノネズミを60Hz、5mT(50ガウス)の磁界に1回だけ、8時間曝露した。

Analysis of blood sampled on hourly basis (up to 8hr) for levels/activities of total protein, albumin(
アルブミン、蛋白素), globulin(球蛋白、グロブリン), uric acid(尿酸), creatinine(クレアチニン), cholesterol, and alkaline phosphataseアルカリホスファターゼ indicated no significant differences (p>0.05) from that of the control group.
1時間枚に血液サンプルを取り、血液の検査を行った、全タンパク質、アルブミン、グロブリン、尿酸、クレアチン、コレステロール、アルカリ・ホスフファターゼは対照群に比べて、有意な偏差はなかった。

関心のある方は、原著論文を入手して、読んでください。

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18.イタリアの2000年生殖への影響に関する研究

記:2012−6−9

以下の研究論文を読みました。
掲載誌:Human Reproduction, Vol. 15, No. 11, 2319-2325, November 2000
タイトル:Evaluation of the effects of extremely low frequency electromagnetic fields on mammalian follicle development
哺乳類の卵胞発育における超低周波電磁界の影響
研究者:Sandra Cecconi ら
Department of Biomedical Sciences and Technologies, University of L'Aquila, Rome


概要:
The aim of this study was to evaluate the effects of pulsed, extremely low-frequency electromagnetic fields (ELF–EMF) on in-vitro mouse pre-antral follicle development.
この研究では前胞状卵胞の発育におけるパルス性超低周波電磁界の影響を研究する。

Pre-antral follicles were cultured for 5 days and exposed to ELF–EMF at the frequencies of 33 or 50 Hz.
前胞状卵胞は5日間、33Hzもしくは50Hz磁界下で培養された。

ELF–EMF application did not affect follicular growth over a 3 day culture period, but on day 5 the growth of 33 Hz-exposed follicles was significantly reduced when compared with controls, while the 50 Hz-exposed follicles were not significantly affected.
電磁界曝露は3日までは卵胞発育に影響しなかった。
しかし、5日目では33Hz曝露では有意な減少が、50Hzでは有意ではないが対照群に比較して、減少が見られた。

These results suggest that ELF–EMF exposure might impair mammalian female reproductive potentiality by reducing the capacity of the follicles to reach a developmental stage that is an essential pre-requisite(前もって必要な) for reproductive success.
これらの結果から、超低周波への曝露は、生殖機能がうまく行くために重要で必須である発育段階に到達すべき卵胞の収容力の減少によって、哺乳類のメスの生殖可能性を減じるかもしれないことを示唆している。

BEMSJ
注:
この実験は、繰り返し周波数は33Hzもしくは50Hz、矩形波のパルス波形でDuty比は50%、磁界強度は1.5T15ガウス)で行っている。
矩形波の波形は論文には記載されていない。
この矩形波の立下り・立ち上がり時間がどの程度かによって、かなり大きな過渡的な誘導電流が曝露した細胞・組織に流れている可能性が高い。

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19.疑問視されている1966年の旧ソビエトの報告

記:2014−1−8

冨永洋志夫 電磁波・電磁場問題を考えるために(3) 労働の科学 5211号 1997年  を読んでいて、参考になる情報がありましたので、以下に転記します。

****************************
1966
年,当時のソ連で変電所作業員中に自律神経失調,心臓血管系の不調があり,電界影響とされた。
400
500kV級の変電所で,平均電界強度7810kVm,誘導電流は約120μAの環境であった。
この発表に対して要因分析が不十分であると評価された。
電界からの誘導電流によるものではなく,構内設備からの低周波騒音やオゾン・ガソリン・機械油などの揮発臭などによる可能性が指摘された。
アメリカの変電所の調査ではこれらの影響は認められなかった。
旧ソ連でも送電線の活線保守作業員には問題が出ていないこともあり,報告は疑問視されている。
************************

BEMSJ注:変電所での電界曝露に比べると、送電線に電圧が印加され、電力が送電されている状態で、送電線に近接して作業を行う「活線保守作業員」は大きな電界に曝露していると言えるので、そうした作業員に問題が出ていないことから、1966年の報告が疑問視されるのは当然かもしれない。

 

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20.ELF電界の感知に関する小山らの研究

記:2014−2−17

電界の影響に関して、どのようにして人は電界を感知して反応しているかを、研究した論文です。


掲載誌:電子情報通信学会技術研究報告。MBE, MEとバイオサイバネティックス 106(591), 29-32, 2007-03-08 
タイトル:ELF電界曝露の生体作用機序に関する基礎的研究II : 血流変化の特性解析
研究者:小山 有基、清水 久恵ら

概要:
ELF
電界の生体作用機序の一端を明らかにすることをめざし,基礎的研究を行っている。
これまで、生体の局所部位に電界を曝露した場合、その部位近傍の体表血流量が増加することを見出してきた。

この現象の特性を明らかにしその機序を調べるため、実験的検討を行った。

まず、曝露量に対する血流量変化を解析し、この現象の曝露量-反応特性(dose-response)を求めた。
その結果、曝露量に対応した反応量変化や作用閾値の存在を示唆する結果が得られた。

次に、反応特性から疑われる神経系の関与を調べた。
その結果、この現象は全身性の効果をもたらす神経系を介したものではなく、局所的な反射に起因する可能性が示された。

これを受け、電界曝露時の体表刺激について調べた。
その結果、血流量変化は、体表の電気的刺激ではなく、電界曝露に伴う体毛の機械的動きによることが明らかとなった。

関心がある方は、原著全文を入手して読んでください。

 

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21.厚労省科研費助成 電磁波研究1997-2002年から 

 

*厚労省電磁波研究1997年度報告書より

研究課題:電磁界安全対策調査研究
主任研究者(所属機関):大久保千代次(国立公衆衛生院)
分担研究者(所属機関):牛山明(国立公衆衛生院),多氣昌生(東京都立大学大学院),伊坂勝生(徳島大学),中川正祥(山梨県大月保健所)

抄録:
研究目的:
建築物内における超低周波電磁界の曝露状況を把握すると共に電磁界曝露とがん増殖との関連の有無を含めて、電磁界の健康影響を追究する。

研究方法:
上記目的を実施するために、研究班は3つの課題を設定して、
1
)建築物内における50あるいは60ヘルツの商用周波数を含む超低周波電磁界の曝露状況を把握は伊坂および多氣が担当、
2
)超低周波電磁界曝露とがん増殖との関連の有無は大久保および牛山が担当、
3
)超低周波電磁界の健康影響に関する国際的研究動向調査は中川が担当、
全体の総括は大久保が担当した。

1
)では、居住環境における超低周波電磁界曝露評価を行うためには、電力線から生じる平等電磁界および各種電気製品から発生する不平等磁界の定量化が必要であるため、わが国および米国の送電線からの電磁界特性と各種環境下における磁界の不平等性を示し、今後開発が必要となる曝露量測定器について調査研究を実施した。

2
)では、電磁界曝露と関連が深い乳がんに着目して、マウス由来乳腺腫細胞を細胞培養し、これをマウス背側皮膚透明窓(DSC)に移植し、その後のがん組織微小循環増殖過程を追究した。また、超低周波電磁界の慢性曝露影響の追究が可能な曝露装置の開発を実施した。

3
)では、電磁界の生体影響に関する国際的な研究状況、主としてWHO(世界保健機関)の国際電磁界プロジェクトの活動状況を調査した。

結果と考察:
1
)建築物内等では、電力線から生じる平等な電磁界と、各種家電製品から発生する不平等な電磁界が存在していることから、これの定量化を行った結果、身体部位によって曝露量が異なることが判明した。
磁界影響に関する疫学調査には曝露量の把握が不可欠であるが、現状でその測定に問題点があることを指摘することができた。

また、居住環境の広い空間に平等な電磁界を発生させている送電線の電界および磁界に着目して、日本と異なる米国の送電線方式と日本のそれとの比較を行った結果、送電線近傍での電界および磁界とも両国間で大きな相違があることが判明した。
よって、日本国民への電磁界曝露量推定には、日本独自の調査方式が必要であることが分かった。

2
)マウス由来の乳腺腫細胞株を培養し、DSC内へ移植したがん細胞が、がん微小循環網を構築し、経時的に増殖する過程を定量的に把握することに成功した。
さらに、がん増殖作用の有無を検討できる超低周波電磁界の曝露装置の開発に成功した。
最大曝露磁束密度としては3mT、収容可能なマウスの数は18(個飼い)から54(13)、曝露密度の収容位置による変動を±5%に抑えることに成功した。

3
)電磁界曝露の健康影響についてはアメリカ・スウェーデンを中心に多くの報告が出され、同時に世界的な関心の広がりとともに先進諸国はこの問題に国家規模で取り組まざるを得なくなっているので、この問題に取り組んでいる各国および国際機関の主なものの紹介と、このうちWHO(世界保健機関)の進めている「国際電磁界プロジェクト(The International EMF Project)」の活動状況、およびその成果報告書の翻訳を行った。

結論:
建築物内における超低周波電磁界の曝露状況として、電力線から生じる平等な電磁界と、各種家電製品から発生する不平等な電磁界が存在しており、身体部位によって曝露量が異なることが判明した。
また、日本と米国とは送電方式が異なり、送電線近傍での電界および磁界とも両国間で大きな相違があることが判明した。
よって、日本国民への電磁界曝露量推定には、日本独自の調査方式が必要であることが分かった。
電磁界曝露との関連があると指摘される乳がん細胞の増殖過程を評価できるシステムを構築することができた。
WHO(
世界保健機関)の進めている「国際電磁界プロジェクト(The International EMF Project)」の活動状況、およびその成果報告書の翻訳・紹介した。

*厚労省電磁波研究1998年度報告書より

研究課題:居住環境における電磁界安全対策研究
主任研究者(所属機関):大久保千代次(国立公衆衛生院)
分担研究者(所属機関):多氣昌生(都立大学),伊坂勝生(徳島大学),中川祥正(大月保健所),牛山 明(国立公衆衛生院)

抄録
研究目的:
建築物内における超低周波電磁界の曝露状況を把握すると共に電磁界曝露とがん増殖との関連の有無を含めて、電磁界の健康影響を追究する。

研究方法:
研究班を目的に応じて3課題に分けて調査研究を行った。
第一の課題は、建築物内における50Hzあるいは60Hzの商用周波数を含む超低周波(300Hz以下)の電磁界 曝露状況の把握である。
これを伊坂および多氣が担当した。

第二の課題は、電磁界安全性を評価として最も注目されているがんとの因果関係を実験的に明らかにすることである。
そこで超低周波電磁界曝露とがん増殖作用の追究を、大久保および牛山が担当した。

第三の課題は、電磁界の健康影響に関する国際的な研究状況の把握にある。
米国が1992年から行っていたラピッド計画の報告書に関する調査は中川が担当した。

結果と考察:
第一課題の電磁界曝露評価に関する研究について述べる。
居住環境では、商用周波数のみならず、電源のオンオフに起因する大きなピークをもつ非正弦波(トランジェント)が、健康影響の関連から注目を集めはじめているものの、その詳細には不明な点が多い。

そこでトランジェントの実態兆歳を目的として、3軸方向の測定が可能な機器開発に着手し、これに成功した。
そこで、一般家庭内におけるトランジェントの発生実態の事例調査を行った。
その結果、大きなピークを有するトランジェントは24時間中2回に過ぎず、その発生頻度は高くないことが示唆された。


第二課題の電磁界のがん増殖作用に関する研究について述べる。
マウス乳がん由来の細胞株を培養し、これを蛍光色素でラベルした後に、マウス背側皮膚透明窓内へ移植したがん細胞が、がん微小循環網を構築し、経時的に増殖する過程を定量的に把握することができた。
この担がんモデルを対象に、
全身性に50Hz3mTの条件で商用周波数を継続的に2週間に亘り曝露して、非曝磁群とがん増殖の程度を比較した結果、両群には差が無く、電磁界のがん増殖作用は認められなかった。

第三の課題は、電磁界の健康影響に関する国際的な研究状況の把握である。
電磁界曝露の健康影響は世界各国の衛生行政機関にとって重大な環境衛生課題であり、アメリカ・スウェーデンを中心に多くの報告が出されている。
世界的な関心の広がりとともに先進諸国はこの問題に国家規模で取り組まざるを得なくなっているので、この問題に取り組んでいる各国および国際機関の主なものの紹介として、今年度は米国のラピッド計画が今年度最終年を迎え、ワーキンググループ報告書が提出されたので、特に関心を集めている白血病について翻訳し、解説を加えた。

居住環境の快適性や安全性を求める時、上下水道、電気、ガスなどのインフラ整備のみならず、カビ、ダニ、浮遊粉塵、酸化窒素、揮発性有機化合物など室内空気の生物的化学的因子や、温湿度、照明、騒音などの物理的な環境因子を一定水準に保つ必要があるのは言うまでもないが、人々は居住環境やオフィスビルで、より快適性や便利を求めて、さまざまな家電製品やパソコンなどの事務用品が氾濫しており、今後ますます増加すると予想されている。
しかし、これらの製品はそれぞれが局所的な電磁界発生源である。

換言すれば、居住環境のアムニティは電気の使用によって一定水準に保たれている側面があり、人々は電磁界に曝されて生活していることになる。
一方、 電磁界曝露とがんなどの健康影響との因果関係が、欧米の疫学研究によって指摘され、日本を含む先進諸国では、マスメディアを介して国民に漠然とした電磁界に対する不安が漂っている。
電磁界の安全性の検討と、その対策は今日的研究課題といえよう。

今日の電磁界問題、特に磁界の結構問題は、1979年に米国のコロラド州において実施された疫学調査が、超低周波電磁界、特に超低周波磁界が人体の健康に影響を及ぼすのではないかという問題提起に始まる。
その後、多くの研究が行われてきたが、未だはっきりした結論は得られていない。

環境レベルで見られる弱い超低周波電磁界による生体影響に関する現在の状況を整理すれば、
@疫学調査の結果は、電磁界発生源と近接した居住環境と小児白血病の罹病率のあいだにやや相関(相対危険率で1.5倍程度)があることを示唆している。
A超低周波磁界に曝露したときの影響に関する動物実験の結果は、発がんとの関連を支持していない。Bin vitroの生物学実験の結果は、健康への障害をもたらすような生体影響の存在を示していない。
C一部の実験では生体機能への変化(健康に関わるかどうかは不明) の存在を示唆している。

ただし、再現性が不十分であり影響の存在を結論づけることができない。
生物学的な研究から、電磁界が人間の健康に害を与える作用を持つことが、多くの実験が行われているにもかかわらず十分に示されないため、疫学調査に見られる相関は、何らかの交絡因子があるか、希な疾病で症例数が少ないことによる偶然によるものであり、疫学調査の結果が健康への障害の証拠にはならないという解釈がある。

この解釈は十分に妥当であるが、これまで実施された調査の多くで小児白血病と電磁界曝露の関連が示唆されていることを考えれば、見落としている要因がないかどうかを慎重に検討することが大切である。
これまでに行われている生物実験では、曝露する磁界を時間的に定常で空間的に均一な、周波数50/60Hの純度の高い正弦波としてきた。

しかし、実際に生活環境中に存在する電磁界は実験装置内の電磁界に比較し、時間的、空間的な変動が大きい。
どのような違いがあり、それがどのような性質であるかという実態を把握することが重要な課題である。

本研究では、昨年度に空間的な変動に注目した測定法の検討を実施した。
そこで、今年度は、時間的な変動、特に波形が非正弦波的に変化する性質に着目した実態調査を行うための測定システムを開発し、実際に一般家庭内での測定事例を紹介した。

その結果、 2kHzまでの帯域で見た場合に、テレビ使用時の平均レベルは2.5mGから3.5mG程度であり、1周期内での実効値に対して数倍以上のピークの発生は24時間の測定で2回に過ぎなかった。

これまで、トランジェント波形の影響を示唆した疫学調査として、アームストロングによるカナダの電力設備作業者におけるパルス界の曝露と肺ガンの関連性を示唆した研究報告が知られているが、その中でトランジェント波形の多くが作業者の使うトランシーバや携帯電話による電波をカウントしたものであり、信頼できるデータではないと指摘している。

本調査では、電力設備作業者でなく、一般居住環境でのトランジェント電磁界に着目したものであるが、2kHzまでの帯域では、トランジェント電磁界と分類できそうな、大きなピーク値を持った波形がそれほど頻繁に発生していないことが示唆された。
トランジェント電磁界に対する問題提起は、低周波磁界の疫学調査と生物実験結果の不一致(前者が影響の可能性を示唆しているのに対して、後者で影響の存在が確認できない) と、上記のパルス電磁界についての疫学調査結果から推測されたものである。

低周波電磁界の健康影響を与える要因の候補として、「トランジェント」ということばが頻繁に使われていても、実際に居住環境の中にどのような「トランジェント電磁界」が存在するかが明確にされていなかった。
ここでの測定結果は、まだ予備的段階ではあるが、その実態の一部を示したものといえる。
次年度にさらに調査を進め、トランジェント電磁界の実態を明らかにする必要がある。

電磁界曝露による発がんのイニシエーションやプロモーション作用に関する研究報告は数多くあるが、がん増殖作用の有無についての検討は極めて少ない。

そこでプログレッション作用についての検討は今後の電磁界安全対策を立案する際に重要な影響を与えると思われる。

今回50Hz3mTという強磁界環境で乳がんの増殖作用を経時的に微小循環レベルで乳がん組織の血管新生を定量的に評価した結果、非曝磁の対照群に比べて乳がん増殖には差が無く、電磁界の全身暴露による乳がん組織へのプログレッション作用は認められなかった。
今年度の曝露条件は一般の居住環境で遭遇する0.3μT1万倍の磁界強度であり、この結果だけで即断は出来ないものの、ある程度は電磁界 の安全性を示唆する結果が得られたと思われる。

今年度はマウス由来の乳がん細胞を移植して、電磁界のプログレッション作用を検討したが、次年度は、ヒト乳がん細胞を特殊なマウスに移植して、これを評価したい。

前述のとおり、世界的に電磁界の安全性評価について各国で真剣な取り組み行われているが、昨年度報告した世界保健機関が実施している国際電磁界プロジェクトと平衡して、現在最も注目されている電磁界プロジェクトに米国のラピッド計画がある。
今年度そのワーキンググループは報告書(原案)を提出した。その中で世界的に非常に注目を浴びているは、送・配電線による商用周波数電磁界曝露と小児の急性白血病、および職業性電磁界曝露と慢性白血病との因果関係を、国際がん研究機関の判定基準に準じて、可能性あり(2b:possibility)とした点にある。

平成113月末の段階では、米国議会へ提出される最終報告がどの様な内容になるか決定されていないが、原案で電磁界による発がんの可能性を認めた、その論拠を理解することは、今後の電磁界 安全対策を立てる意味でも、報告書原案に記載された内容を翻訳し、その情報提供することは有意義と考える。

結論:
電磁界の曝露量評価に関しては、居住環境内での時間的な電磁界変動、特に波形が非正弦波的に変化する性質(トランジェント)に着目した実態調査を行うための測定システムを開発し、実際に一般家庭内での測定事例を紹介した。

電磁界の安全性に関しては、健康影響として注目される乳がん増殖への影響評価モデルによるプログレッション作用について検討した結果、電磁界にはその作用は認められなかった。
電磁界の健康影響に関する調査研究の世界的動向として、米国のラピッド計画ワーキンググループ報告書を紹介した。


*厚労省電磁波研究1999年度報告書より

研究課題:居住環境における電磁界安全対策研究
主任研究者(所属機関):大久保千代次(国立公衆衛生院)
分担研究者(所属機関):多氣昌生(都立大学),伊坂勝生(徳島大学),中川祥正(山梨県大月保健所),牛山 明(国立公衆衛生院)

抄録      
研究目的:
建築物内における超低周波電磁界の曝露状況を把握すると共に電磁界曝露とがん増殖との関連の有無を含めて、電磁界の健康影響を追究する。

研究方法:
研究班を目的に応じて3課題に分けて調査研究を行った。
第一の課題は、建築物内における50Hzあるいは60Hzの商用周波数を含む超低周波(300Hz以下)の電磁界曝露状況の把握である。
これを伊坂および多氣が担当した。

第二の課題は、電磁界安全性を評価として最も注目されているがんとの因果関係を実験的に明らかにすることである。
そこで超低周波電磁界曝露とがん増殖作用の追究を、大久保および牛山が担当した。

第三の課題は、電磁界の健康影響に関する国際的な研究状況の把握にある。
米国が1992年から1998年まで行っていたラピッド計画の国立環境科学研究所長報告書に対する米国科学アカデミーの評価報告書に関する調査は大久保および中川が担当した。

結果と考察:
第一課題の電磁界曝露評価に関する研究について述べる。
居住環境における電磁界暴露評価を行うために、個人曝露量の測定を行った。
その結果から個人曝露量を大きく押し上げる電気こたつ、テレビモニターおよび電車などの乗り物を取り上げ、それらの発生する磁界の分布について考察した。

また、高周波トランジェント電磁界に関する研究結果をレビューし、検討を加えた。
その結果、平均曝露磁界は、1mGであるが、冬場の電気こたつ使用により約2倍、電気毛布使用時では約9倍、新幹線に乗車すると約7倍に増加し、低磁界曝露環境内で生活する人にとって暖房器具や新幹線などの乗り物はかなり電磁界発生源となることが判明した。

また、テレビモニターなどブラウン管からの電界測定を行った結果、ブラウン管からの電界による誘導電流は三端子電源を接地することにより、7080%低減されることが分かった。

更に、高周波トランジェント電磁界に関しては、トランジェント磁界の実測内容の検討には波形観察が必要であり、低周波領域の磁界成分にも十分留意しなければならないことが分かった。

第二課題の電磁界のがん増殖作用に関する研究について述べる。マウス乳がん由来の細胞株を培養し、この細胞塊を腹部皮下へ移植し、全身性に50Hz3mTの条件で商用周波電磁界を継続的に4週間に亘り曝露して、非曝磁群とがん増殖の程度を比較した結果、両群には差が無く、電磁界のがん増殖作用は認められなかった。

第三の課題は、電磁界の健康影響に関する国際的な研究状況の把握である。
電磁界曝露の健康影響は世界各国の衛生行政機関にとって重大な環境衛生課題であり、アメリカ・スウェーデンを中心に多くの報告が出されている。
世界的な関心の広がりとともに先進諸国はこの問題に国家規模で取り組まざるを得なくなっているので、この問題に取り組んでいる各国および国際機関の主なものの紹介として、今年度は米国のラピッド計画の最終報告として、国立環境衛生研究所長報告が1999年に提出されたことを受けて、米国科学アカデミーはこの報告書への評価を実施した。
その評価が同年報告書として米国議会に提出されたので、特に関心を集めている超低周波電磁界の発がん性について翻訳し、解説を加えた。

結論:
電磁界の曝露量評価に関しては、居住環境内では、電気毛布やこたつの使用、電子レンジの使用が、磁界曝露量を押し上げる要因となっていることが分かった。
さらには波形が非正弦波的に変化する性質(トランジェント)に着目し、今後のトランジェント磁界評価を行うための研究レビューをし、検討を加えた。
電磁界の安全性に関しては、健康影響として注目される乳がん増殖への影響評価モデルによるプロモーション作用について検討した結果、電磁界にはその作用が認められなかった。
電磁界の健康影響に関する調査研究の世界的動向として、米国科学アカデミーによる米国が6年間に亘って実施したラピッド計画プロジェクトへの評価を紹介した。

*厚労省電磁波研究2000年度報告書より

研究課題:電磁界の白血球及び免疫系機能に及ぼす影響に関する研究(総括研究報告書)
主任研究者(所属機関):大久保 千代次(国立公衆衛生院)
分担研究者(所属機関):牛山 明(国立公衆衛生院),増田 宏(国立公衆衛生院),岡田 秀親(名古屋市立大学),多氣 昌生(東京都立大学),伊坂 勝生(徳島大学)

抄録
研究目的:
建築物内における商用周波電磁界とトランジェント磁界への暴露状況を把握すると共に電磁界暴露と白血球及び免疫機能との関連の有無を含めて、電磁界の健康影響を追究する。

研究方法:
商用周波の正弦波のほかに、WHOで議論されている、トランジェント電磁界として生活環境中に見られる非正弦波成分の波形、大きさを調査した。
また、商用周波電磁界が白血球の血管内皮への粘着性亢進現象を惹起することが皮膚微小循環系で認められたので、その分子レベルでの解析を展開するために、局所炎症反応の抑制に関わると考えられるCarboxypeptidase R (CPR)の変化に焦点を絞り、Carboxypeptidase N (CPN) と共に解析した。

結果と考察:
電気工学的研究では、トランジェント成分により、生体中に誘導される電流度の大きさ、分布を明らかにするための解析手法の開発を行った。
一方、誘導電流は、比較的高周波の成分を含んでいる。高周波電磁界の生体影響については、多くの研究が行われているので、トランジェント磁界により誘導される電流密度の高周波成分の及ぼす作用について、高周波領域での研究結果に基づき検討を行った。

白血球挙動に関連する免疫学的解析では、3.0 mTの電磁場下に1週間置いたラットでは有意(p < 0.05)CPR活性の低下が認められた。
しかし肝臓から抽出したProCPRMRNA 量には大きな変動は認めなかった。

結論:
建築物内における商用周波電磁界とトランジェント磁界への暴露状況が把握できた。
また、トランジェント磁界により誘導される電流密度の高周波成分の及ぼす作用について、高周波領域での研究結果に基づき検討を行った。

一方、労働環境で遭遇する可能性がある3mTという高レベル商用周波磁界を1週間に亘ってラットへ継続的暴露をすると、炎症反応を抑制するCarboxypeptidase R が有意(p<0.05)な活性低下が認められた。
しかし、その生理的意味については今後更なる研究が求められる。


*厚労省電磁波研究2001年度報告書より

研究課題:電磁界の白血球及び免疫系機能に及ぼす影響に関する研究(総括研究報告書)
主任研究者(所属機関):大久保 千代次(国立公衆衛生院)
分担研究者(所属機関):牛山 明(国立公衆衛生院),増田 宏(国立公衆衛生院),岡田 秀親(名古屋市立大学),多氣 昌生(東京都立大学),伊坂 勝生(徳島大学)

抄録      
研究目的:
建築物内における商用周波電磁界とトランジェント磁界への暴露状況を把握すると共に電磁界暴露と白血球及び免疫機能との関連の有無を含めて、電磁界の健康影響を追究する。

研究方法:
商用周波の正弦波のほかに、WHOで議論されている、トランジェント電磁界として生活環境中に見られる非正弦波成分の波形、大きさを調査した。
また、商用周波電磁界が白血球の血管内皮への粘着性亢進現象を惹起することが皮膚微小循環系で認められたので、その分子レベルでの解析を展開するために、局所炎症反応の抑制に関わると考えられるCarboxypeptidase R (CPR) の変化に焦点を絞り、Carboxypeptidase N (CPN) と共に解析した。

結果と考察:
研究を2つに分けた。
その概要を以下に示す。
@電磁界曝露評価の研究:家電製品の近傍では、商用周波電磁界のみならず、スイッチのオンオフに由来する複雑なトランジェント磁界が混在していることが明らかとなった。
このような分布により、身体スケールが小さな子供と大きな大人では強い磁界分布を示す身体部位も異なることが分かった。

このことは小児白血病の病因を考察する上で貴重な情報提供となる。
さらに、電気こたつ、電子レンジからの発生するトランジェント磁界の解明に向けて、問題点を浮き彫りにできた。
そして、トランジェント磁界を含む磁界の時間波形を検出し、この波形をディジタル的に取り込むことによって同一の波形を繰り返し発生させることができるトランジェント磁界曝露装置の開発を行った。

A白血球と免疫機能に関する研究:3ミリテスラという高レベル商用周波磁界に2週間継続的に暴露すると、血管内皮への有意(p<0.05)な白血球粘着性亢進が認められた。
3
ミリテスラという磁界密度は、労働環境ではあり得るが、一般環境では遭遇する事のない強い磁界環境であるものの、暴露されるとProCPRといった免疫系指標に影響を与えることが判明した。
しかし、手術を施さないマウスではこのような変化は認められず、これらの変化が生理的にどの様な意味を持つか、今後更なる研究が求められる。

結論:
建築物内における商用周波電磁界とトランジェント磁界への暴露状況が把握できた。また、トランジェント磁界を発生させる曝露装置の開発を行った。
一方、3ミリテスラという高レベル商用周波磁界に長時間継続的に暴露すると、短期間継続的曝露と同様に生体内の白血球挙動が変化し、これが閾値であると推察された。


*厚労省電磁波研究2002年度報告書より

研究課題:電磁界の白血球及び免疫系機能に及ぼす影響に関する研究(総括研究報告書)
主任研究者(所属機関):大久保 千代次(国立公衆衛生院)

研究目的:
建築物内における商用周波電磁界とトランジェント磁界への暴露状況を把握すると共に電磁界暴露と白血球及び免疫機能との関連の有無を含めて、電磁界の健康影響を追究する。

研究方法:
@居住環境内の電磁界影響を把握するには、その曝露実態解明が必要となる。
我々はこれまでに、商用周波の正弦波のほかに、WHOで議論されている、家電製品の電源オンオフ時に生じる波形が非正弦波的に変化する性質(トランジェント)磁界を含む磁界の時間波形を検出し、この波形をディジタル的に取り込むことによって同一の波形を繰り返し発生させることができる磁界曝露装置の基礎的システム開発し、国立保健医療科学院の既設の低周波磁界曝露装置にトランジェント磁界発生装置を付加して設計製作したが、今年度はトランジェント磁界と50Hzの商用周波磁界暴露を並行してマウスへ亜慢性的に暴露し、その時の波形分析を行った。

A商用周波磁界が白血球の血管内皮への粘着性亢進現象を惹起することが皮膚微小循環系で認められたので、その分子レベルでの解析を展開するために、局所炎症反応の抑制に関わると考えられるCarboxypeptidase R (CPR)の変化に焦点を絞り、Carboxypeptidase N (CPN)と共に解析した。

結果と考察
@これらのトランジェント成分により、生体中に誘導される電流度の大きさ、分布を明らかにするための解析手法の開発を行った。
生活空間における電磁界暴露評価を行うために、トランジェント磁界に着目した研究を進めた。
ピーク値が1mTを超える磁界の発生源としてブラウン管式ビデオモニタと盗難防止ゲート監視装置を取り上げ、それらが発生する磁界の特性を測定した。

盗難防止ゲート内では人体の頭部付近で最大、約2.8mTの磁界を観測した。

これらの知見からトランジェント磁界発振器をヘルムホルツコイルに付け、配線は暴露装置のZ軸方向の磁場を形成するコイルに接続、発振器からは周波数7.4kHzの磁界を50 msec signal-1sec interval(50ミリ秒シグナルを出し、1秒停止の繰り返し)の設定でトランジェント磁界暴露装置を開発した。
この装置を用いたときの実際の曝露磁界を測定し、トランジェント磁界波形を模擬した7.4kHz,300μTのバースト波形のほぼ均一な磁界をヘルムホルツコイル内に発生できることを確認した。

この条件での磁束密度は、ピーク値で162.6μT(7.4kHzの値)であった。
その上で、トランジェント磁界を実験動物に曝露するための曝露装置を50Hzの磁界との同時曝露も可能な仕様として、トランジェント磁界と同時に50Hz3.0mT(RMS)の磁界を作り、重層暴露を行った。

A一方、3.0mTの商用周波磁界を1週間に亘って継続的に暴露すると、有意(p<0.001)な白血球の血管内皮への粘着性亢進現象を惹起することが皮膚微小循環系で認められた。
しかし、それ以下の磁界強度ではその様な変化は生じなかった。


免疫学的解析では、3.0 mTの電磁界に1週間置いたマウスでは有意(p <0.05)CPR活性の低下が認められた。
しかし肝臓から抽出したProCPR(CPR前駆体)mRNA 量には大きな変動は認めなかった
生体内の白血球挙動もCPR共に3.0 mTが閾値であり、その他の免疫系機能も同様と推察された。

この結果から商用周波磁界暴露マウスにおいて変動する可能性があることを示唆する知見を得た。
そこで、炎症時や電磁界暴露時などにおけるProCPRの動物体内での役割を解析する手段として、ProCPRの遺伝子をノックアウト(KO)した、ProCPR欠損マウス作成に成功することができた。

次に開発したトランジェント電磁界発生器を用いて、トランジェント電磁界との複合暴露に対する影響を調べた。
マウスには皮膚微小循環の観察が可能な背側皮膚透明窓を装着し、暴露開始8日目及び15日目における白血球の血管内皮への相互作用をin vivo顕微鏡システムで解析した。
その結果、磁束密度3mTとトランジェントの複合暴露においては、15日目で暴露前に比べて白血球粘着能について有意な亢進がみられた。
しかし、トランジェント磁界を重畳することによる影響の増強は見られなかった。


少なくともトランジェント磁界が白血球粘着能に大きな影響を与えている可能性は低いと考えられる。

したがって、本研究で観察された白血球粘着能の亢進現象はおもに3mTの強い磁界(一般生活環境の数千倍の強度に相当)によって惹起されたものと考えられる。
この結果は電磁界が免疫系に直接的、間接的に何らかの影響を与えることを示唆しているが、ヒトの健康に対してどれだけの影響を及ぼすのかについてそのメカニズムも含めてさらに検討が必要である。

一方、KOマウスに対する電磁界全身暴露を行ったが、統計学的に有意差を検定するには実験動物の数が充分用いることができなかったので、白血球の活性化にカルボキシペプチダーゼRの関与が示唆されたものの、詳細な解析は今後に残された。

結論
建築物内における商用周波磁界とトランジェント磁界への暴露状況が把握し、これに基づいてトランジェント磁界発生装置を開発し、商用周波磁界と共にトランジェント磁界を並行して暴露する事に成功した。

一方、3mT(一般生活環境の数千倍に相当)という高レベル商用周波磁界に2週間に亘って継続的に暴露すると、生体内の白血球活性化もCPR共に3.0 mTで変化を示し、これが閾値であると同時に、白血球の活性化にカルボキシペプチダーゼRの関与が推察された。
しかし、トランジェント磁界には白血球活性化への関与は認められなかった

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22.1999年飯島の研究論文から

記;2015−10−14

以下の論文を見つけました。

掲載誌:山梨医科大学雑誌 第141号 001-005(1999)
タイトル:<総説>電磁場が染色体に及ぼす影響  
研究者:飯島純夫

抄 録:
近年,電磁場の生体への影響に関心が持たれるようになってきた。
1979
年に、送電線下の小児白血病発生率が対照に比べて高いと報告されて以来、電磁場と発がんとの関連は現在まで議論されているが、結論がでていない。

発癌性は変異原性と密接に関連しており、発癌性があるとすると、その前段階として変異原性もある可能性が高い。
変異原性とは、遺伝子突然変異と染色体への影響が含まれる。
本稿では、電磁場による染色体への影響に関する過去の主な知見について総説した。
定常磁場単独では、現在までのところ数テスラといった相当の強磁場でも変異原性は認められていない。
また、超低周波変動磁場の染色体への影響も、ごく一部を除き大部分が陰性の報告である。

そこで、筆者らは感受性の高い系のヒト精子染色体によって、超低周波磁場単独および既知変異原との複合影響について検討した。
既知変異原としてはブレオマイシン(BLM)とN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)を選んだ。
両既知変異原に関し、染色体異常を持つ精子出現率にも染色体異常をタイプ別に分類した場合でも、曝露群と非曝露群との間に差は認められなかった。
これらの結果はBLMMNNGによるDNA損傷の増幅作用が、超低周波磁場曝露にはなかったことを示唆している。

いずれにしても、現段階では、変異原性に関しては、電磁場の場合、まったくないか、あったとしても非常に弱いものと考えられる。

BEMSJ注:この研究では、Full Textを読むと、磁界曝露は50Hz20T200ガウス)という強度で実験を行っている。

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23.箕輪功らの2001年研究から

以下の研究がある。

掲載誌:医用電子と生体工学 第39巻 特別号(2001) 第40回日本ME学会大会予稿集
タイトル:極低周波電磁場環境における脳脂質の過酸化と乳酸値の関係
研究者:箕輪功ら

1.
はじめに
本研究は、生体リズム(α波やβ波など)に近い商用周波数(50 Hz)の電磁場、特に交流磁場が生体にどのような影響を与えるものか調査するため、ビタミンB1と脳脂質の過酸化や乳酸値を測定し、それらの関連性を調べることを目的としている。

2.
実数方法
14
週齢のラット10匹を使用し、5匹づつ2グループに分けて、
片方には500mGという強い交流磁場環境(ヘルムホルツコイル中)下で12時間、2ケ月間曝露した。
途中血液中の乳酸値を測定し、磁場実験終了後、脳と血液の酸化状態を測定して、両グループに違いがあるかを調べた。

3.
実験結果
3. 1
 飼育・実験日数と体重変化
14
週齢のラット10匹を、1匹づつ寵にいれて、通常の粉末状餌を115g与えた結果、最初 430g程度あった体重が2週間程で400 gまで皆同じように減少した。
その後交流磁場の実験を開始してから、2グループの間に顕著な体重差が見られるようになった。
すなわち、交流磁場環境におかれたラットは体重の減り方が少なかった。

3. 2
 乳酸値の謝定
磁場測定中に2度、両グループとも尻尾から採血し、血液中の乳酸値を測定した。
1(図は割愛)は両グループの2回の平均値を示している。
結果から有意差はでなかったが、電磁場環境下のラットは乳酸値が低くなる傾向を示している。

3. 3
 脳脂質の酸化
9
週間の交流磁場環境実験の後、2グループ全ての脳を摘出し、小脳、大脳、脳幹および血液中の過酸化を定量した。
測定には、 TBA法を用いて分光光度計を使用した。
結果を図2(図は割愛)に示す。図2から大脳以外の小脳、脳幹、血液においては二つのグループの有意差が得られている。
このことは、明らかに交流磁場によって、小脳や脳幹部分の酸化が促進されていることが示唆される。

4
.結果検討
小脳と脳幹の過酸化は、電磁場にあてた群では、あてない群に比べ過酸化が有意に高い。
よって極低周波交流磁場の生体への影響は、ある臨界値以上の磁場において、磁場強度と曝露時間の積に関係して影響を受けるのではないかと推測される。


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24.REIPERTらの1997年アポトーシスの研究


以下の研究がある。

掲載誌:Life Sci VOL.61,NO.16 PAGE.1571‐1582 1997
タイトル:Apoptosis in Haemopoietic Progenitor Cells Exposed to Extremely Low‐Frequency Magnetic Fields
超低周波磁場に曝露された造血始原細胞におけるアポトーシス
研究者:REIPERT B M, ALLAN D ら

概要:
微弱な低周波磁場の白血病誘発作用の原因は標記細胞におけるアポトーシス調節が妨害され,腫よう促進活性が発現することによるという仮説の確認を試みた。
造血始原細胞であるFDCPミックス(A4)細胞を
Ca2+イオンサイクロトロン共鳴及び強さが異なる磁場において時間を変えて暴露した。
その結果,これらの実験条件ではこの細胞系のアポトーシスに変化は認められなかった。

このことは、仮説としてのサイクロトロン共鳴説は肯定されなかった、ということになる。

 

 

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1.低周波電磁界の検知に関する研究の提案 

 

一つの提言です。  作成:1998ー2ー5   

「電線のすずめはなぜ感電しないか?から 鳥は電界や磁界を検知しているかの検証を行なう」 

講談社のブルーバックスの中に、速水敏幸著「電線のスズメはなぜ感電しないー電気&絶縁の初歩の初歩」という1991年発刊された本がある。 

この本は、電気とは、磁気とは、絶縁とは、感電とは何かを初心者に説明する本である。 

この本の最後の最後に、 
「スズメやハトやムクドリが、配電線や電車線にとまっているのを、よく見かけるが、 3万ボルト以上の送電線に止まっているのは、あまり見かけない。  この理由は、高度や止まり木の太さなどの関係もあるだろうが、案外、送電線の磁力線や微小な放電を検知して、いやがっているのかもしれないな。
もっとも、中国の架空送電線は裸線で1万ボルトだが、<けっこうスズメがとまっていますよ>と友人の葉さんが話してくれたがネ。  」  という記述がある。

電磁波の生体得影響、特に身の回りの商用周波数の配電線・送電線からの電磁界影響をわかりやすく住民に説明する時に、工学的な、医学的な高尚な研究成果も必要であるが、もっと身近で、分かりやすい説明も必要である。 

すずめが電線に止まっていのは、子供でも知っている。 もし、送電線等が100%危険なものであれば、スズメであっても、忌避するはずである。 高電圧になれば忌避しているが、低電圧であれば忌避しない、 これをもっと具体的に検証して、鳥でも問題視していない、電磁界の限度を検証してはどうだろうか? 

1。電力会社の送電線の保守の人間に聞いて、状況を纏める。 

2。ハトは、脳に磁石を持ち、微小な地磁気の偏差も検知しているといわれる、そうした研究論文もある。 
ハトは、50・60Hzの磁界を忌避しているであろうか? 微小な直流磁気は感じてもある程度の大きさの交流磁気は感知していないか? 磁気であれば、低電圧の配電線であろうと、高圧送電線であろうと、電圧には無関係となる。 2相、3相であれ、鳥はその中の1本の線に止まる、鳥はそれなりに強い磁気を浴びるはずである。 鳥はもしかしてある程度の交流磁気は感知していないかもしれない。

3。電界もしくは微小な放電電流を、鳥は感知して、ある程度以上の電界は忌避しているかもしれない。

そこで、適当な実験線を制作、電界印加、磁界印加、電界磁界共に印加出来る線と、シャム暴露として、電界も磁界もかけない線を共に用意する。
鳥の餌場は それぞれの線に平行して設ける、鳥は食餌の為に必ず線に止まらなければならない様に設定する。 24時間のビデオ録画(夜間の為に暗視カメラも必要?)を行い、ハトが、どちらの線に止まるかを統計的に調査する。 
当然、ブラインドでテストを行なう(電圧の印加条件を決める担当と、どちらに止まっているかを観察したり、カウントをとる担当は、お互いに条件を知らないようにする。)。

こうしたテストで、電界、磁界に対する忌避の有無と忌避する閾値を求められれば、面白い研究となる。

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