盗難防止器・商品万引防止器・ 図書盗難防止器などは使用している周波数は公開されていないケースが多いので、ここに独立したコーナーを設けます。
1.図書館の盗難防止システムでの実測例
2.盗難防止装置で心臓ペースメーカが誤動作の例
3.1999年厚生省の医薬品等安全性情報から
4.万引き防止器で生卵が加熱?
5.クラリオンの人工内耳の頁にあった注意事項から
6.Micro
Wave News1998年に掲載された盗難防止装置とペースメーカへの影響を巡る動き
7.Joseph らの2012年 盗難防止装置に関する研究
8.Yamaguchiら2022年 EAS曝露評価
1)EASからの電磁波強度測定例
ガウス通信56号(2002年8月29日)に掲載された内容です。
************** 一部 引用 ****************
5000mG超える 図書館における電磁波測定
7月26目「電磁波プロジェクト」では前回に引き続き新たに埼玉県内にある大学の図書館の盗難防止装置を計測した。
測定装置は低周波電磁界測定機EFA-300。
測定したのはブック・ディテクション・システムM-3801(住友スリーエム) 周波数帯:14kHz,120V,6A,720W。
結果は以下の通りで、最高5450ミリガウスを記録した。
BDSから半径3mの場所では比較的磁界強度が強く図書館入り口に近い机といすは学生が長時間を過ごすことが多いことから撤去する予定とのこと。
表1 BDSの中心部縦方向の磁界強度
高さ(m) |
1.7 |
1.5 |
1.3 |
1.1 |
0.9 |
0.7 |
0.5 |
磁界強度(mG) |
25 |
325 |
926 |
1460 |
1950 |
1815 |
1160 |
距離(m) |
O |
1 |
2 |
3 |
磁界強度(mG) |
1660 |
82.5 |
38.5 |
17 |
表2は高さ1mで中心からの距離と磁界強度の関係を表す。
表3 BDSの横方向の磁界強度(高さ1m)
距離(m) |
左端 |
左0.1m |
左0.2m |
右0.5m |
右0.2m |
右0.1m |
右端 |
磁界強度(mG) |
5450 |
4300 |
2580 |
1530 |
2450 |
4100 |
5450 |
***************** ******************
関心のある方は、当該のガウス通信を読んでください。
2)当該装置のメーカのカタログ
記:2020−11−11
「ペースメーカ等の医療器具にも悪影響を与えません」と明記されている。
以下の毎日新聞2002年1月17日の記事に、例があります。
************ 一部 引用 *************
盗難防止装置でリセット 厚労省が注意喚起
図書館内の盗難防止装置の影響で植え込み型の心臓ペースメーカのプログラムがリセットされたと報告があり、厚生労働省は17日、医薬品・医療用具の安全性情報を出し、注意喚起した。
同省によると、これまでも盗難防止装置や金属探知器、携帯電話の電磁波の影響でペースメーカが誤作動する可能性が指摘されてきたが、国内で「電磁波」と原因が特定された報告は初めてという。
厚労省によると、昨年、80歳代の女性が図書館の出入り口をゆっくり通った際、ペースメーカのプログラムがリセットされ、基本設定に戻った。
停止したわけではないが、その人の心臓の状態に合わせたプログラムが機能しなくなった。
女性にめまいやふらつきなどの自覚症状はなかったものの、月1回の定期検診の際に判明した。
その後、東京都内の医療機関の担当医が図書館に同行しリセットを確認。
6月に輸入販売業者の「日本ビタトロン」(本社・東京)が同省に報告した。
以下 (略)
************** ***************
関心のある方は、当該の新聞を読んでください。
記:2020−11−11
古い情報ですが、いまさらかもしれませんが、このページに掲載しておきます、
***************************
医薬品等安全性情報
Pharmaceuticals and Medical Devices
Safety Information No.155
この医薬品等安全性情報は,従来の医薬品副作用情報を改めたもので,厚生省において収集された副作用情報をもとに,医薬品等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。
平成11年(1999年)6月
厚生省医薬安全局
【情報の概要】No.3
医薬品等情報の概要
植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置
近年,万引き防止監視システム(ゲート)の小売店等の出入口への設置が普及する傾向にある。
また,空港等では警備のため金属探知器が使われている。これらのシステムの発生する磁場が植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置に電磁干渉を及ぼし,患者の健康に影響する可能性があることから,使用している患者に注意を促す必要がある旨の注意情報が米国FDAから発せられた。
我が国において,当該問題により患者の健康に影響が認められたとの報告例はないが,今後万引き防止監視システムの普及や心臓ペースメーカ装着者の海外旅行等により,米国FDAが指摘した危険性は増していくことが考えられるため,注意喚起を行うものである。
*************************本文 ************************************************
3 万引き防止監視及び金属探知システムの植込み型心臓ペースメーカ,
植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置への影響について
近年,万引き防止監視システム(ゲート)の小売店等の出入口への設置が普及する傾向にある。
また,空港等では警備のため金属探知器が使われている。
これらのシステムの発生する磁場が植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置に電磁干渉を及ぼし,患者の健康に影響する可能性があることから,使用している患者に注意を促す必要がある旨の注意情報が米国FDAから発せられた。
我が国において,当該問題により患者の健康に影響が認められたとの報告例はないが,今後万引き防止監視システムの普及や心臓ペースメーカ装着者の海外旅行等により,米国FDAが指摘した危険性は増していくことが考えられるため,注意喚起を行うものである。
(1)現状
我が国において,当該問題により患者の健康に影響が認められたとの報告例はないが,FDAは「過去10年間に44件の報告を受けている。」と発表している。
その内訳としては,「万引き防止監視システム及び金属探知器により心臓ペースメーカがペーシングレートの変化やプログラムされたモードの変更を受け,失神及び胸痛等の干渉を受けたという報告が18件ある。
植込み型除細動器が不適切に患者にショックを与えた報告が2件あり,うち1件は万引き防止監視システムに寄りかかっているとき,他の1件は携帯型金属探知器でチェックを受けている時に発生した。
更に,金属探知器に曝された後にモニターのみのモードに変換されたケースが7件報告されている。
脳・脊髄電気刺激装置を植込んでいる患者がこれらのシステムを通過した時に,過剰刺激(疼痛,振動あるいは衝撃を感知)を受けたとの報告が17件あり,そのうち1例で患者が倒れて障害を受けた。」としている。
また,学術論文では,音響磁気システム等の高エネルギー,低パルス周波数の万引き防止監視システム等は高頻度に心臓ペースメーカに影響を与えると報告されている1)。
更に,米国において除細動器を植込んだ72歳の男性が書店の万引き防止監視システムの近くに立っていた際に,連続して除細動器から不必要なショックを受け,失神し倒れたとの報告もあった2)。
一方,万引き防止監視システムは心臓ペースメーカのペーシング機能に影響を与えないとの報告もある3)。
(2)患者に対する推奨
大半の患者においては万引き防止監視システム及び金属探知器が植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置に与える影響によって,臨床上重篤な症状が起こることは少ないと考えられる。
しかし,条件によっては,重篤な症状が起こることが否定できないため,患者には以下のような注意事項を伝えることが必要と考えられる。
・万引き防止監視システムや金属探知器に寄りかかるなど,これらのそばに必要以上に長く留まらないで下さい。
・携帯型の金属探知器でチェックを受ける必要がある場合には,警備担当者に対して自分が植込み型の電子医療機器を使用していることを告げ,金属探知器を当該医療機器のそばに近づけるのは必要最少時間にするよう依頼して下さい。
・商業施設の出入口にはすぐには確認できない場所に万引き防止監視システムがカモフラージュされている場合があることから,出入口等に立ち止まらずに通り過ぎるようにして下さい。
・患者用取扱説明書や院内ポスター等で注意喚起を行っているので,これらの情報に留意するようにして下さい。
(3)報告のお願い
安全性確保の観点から,万引き防止監視システム等により植込み型心臓ペースメーカ,植込み型除細動器及び脳・脊髄電気刺激装置に対し,何らかの影響が認められた場合には,医薬品等安全性情報報告制度による報告をお願いしたい。
また,今後,医療機関においても患者に対する啓発活動には一層の努力をお願いしたい。
〈参考文献〉
1)Michael E. Mclvor, Judith Reddinger, Elizabeth Floden,
Robert C. Sheppard, Delos Johnson,Gerald I. Becker,
Mark Mayotte:Study of Pacemaker and implantable
cardioverter defibrillator triggering by electronic article surveillance
devices. Pace, 21:1847-1861(1998)
2)Peter A. Santucci, Janet Haw, Richard G. Trohman, Sergio L. Pinski:Interference with an implantable defibrillator by an electronic
antitheft surveillance devices. New Eng. J. Med.,339:1371-1374(1998)
3)小久保純,池田晃治,水沼裕光,小石沢正,須藤憲一:探知システムに対するペースメーカーの安全性.人工臓器,21:1375-1376(1992)
記;2013−8−21
以下は、http://kodaira.seikatsusha.me/blog/2013/07/31/3966/ 小平・生活者ネットワーク のサイトにあった内容の一部引用です。
*************************
電磁波学習会「私たちの暮らしには電磁波がいっぱい」
2013年7月31日
去る7月8日「私たちの暮らしには電磁波がいっぱい」(小平・生活者ネットワーク主催)という題名の学習会に参加しました。
市民科学研究室代表理事の上田昌文さんの講義は、スピーディーで盛りだくさんでした。
(略)
今の世の中、電磁波を使わない、全く無くしてしまうというのは不可能に近いですが、「(レンタルビデオ店などにある)盗難防止のゲートの真ん中に、割った卵を置いておくと表面がうっすら白くなる」と先生の実験のお話も聞き、子どもへの影響が未知数であること、「電磁波過敏症」があることを考えると、私たちはこのことにもっと関心を持ち、少しでも影響を減らすよう工夫が必要だと思いました。
***********************
関心のある方は、当該のサイトで、全文を読んでください。
ここで気になったのは、「盗難防止のゲートの真ん中に、割った卵を置いておくと表面がうっすら白くなる」という情報です。
生卵を加熱するような電力はEASにはないと思われます。
どのような条件で、この実験を行ったのか、確認が必要と思われます。
もしかして、EASの近くに、金属製の皿の上に生卵をのせたのではないだろうか、金属製の皿にEASの電磁界が誘導し、IH調理器と同じで、金属製の皿が暖まり、その熱で、生卵が加熱されたのではないでしょうか?
記:2020−11−11
以下の情報は、2002年3月8日のログです。
http://www.getz.co.jp/clarion_cochlearimplant/detail/detail01_c.html <リンク切れ>
2020−11のアクセスでは開けなくなっています。
**************
生活について
電磁気による影響はありますか? |
人工内耳は精密な電子機器のため、電磁干渉を受ける可能性があります。 |
***********************
記:2021−3−8
以下はMicro Wave Newsの1998年11・12月号に掲載された記事の翻訳版です。
古い記事ですが、整理をしていて出てきました。
************************
Corporate Interference Charged over disclosure of EMI to pacemakers
企業がペースメーカEMlに関する情報公開を妨害
センサーマテイツク・エレクトロニクス社は、同社の盗難防止システムが心臓のペースメーカに対する干渉を引き起こすことを示すフロリダの心臓病専門医による研究結果の発表を阻止しようとする試みを繰り返してきた。
センサーマテイックからも資金提供を受けて行なわれてきた研究で、マイケル・マッキヴァー医師は、ある音響磁気システムがペースメーカを装着している患者50人中48人で電磁干渉(EMI)を引き起こしたと結論した(本誌97年9/10月号)。
他の2種類の電子盗難防止(EAS)技術は、ほとんどEMIを引き起こさなかった。
センサーマテイックはこれら3種類すべての技術を使って製品を作っているが、同社は音響磁気装置の唯一のメーカーである。
昨年春、センサーマテイツタの弁護士はマッキヴァー医師に対し、研究内容について医学関係の会議の席上やマスコミの前で話さないよう要求した。
次に同社は、ある雑誌がマッキヴァー医師の研究結果を発表することを阻止しようとした。
その雑誌が弁護士を雇ったことを知り、センサーマテイックは態度を軟化させ、論文は10月に発表された(本誌98年9/10月号)。
センサーマテイツタは、マッキヴァーが同社に全データを提示することを拒否したため、弁護士による介入が必要になったと主張している。
「センサーマテイックはマッキヴァー医師の研究の発表を阻止しようとしたことはない」と、同社広報担当者のリー・バーニスは主張する。
「当社はマッキヴァー医師が当初から提供に同意していたデータの提出を要求しているだけだ」と、バーニスはフロリダ州ポカラトンの本社で本誌に対して語った。
「要するに、すでに対価を支払ったものをまだ受け取っていないということだ」。
フロリダ州セントピーターズバーグ心臓研究所に所属するマッキヴァー医師は、1997年5月に開催された北米脈拍調整電子生理学会(NASPE‐本誌97年9/10月号)の会合で最初の研究結果を発表した。
「要旨のコピーを事前に見たセンサーマテイックは、文言の訂正を求めてきた」と、インタビューの中でマッキヴァーは語った。
「私は臨床的に影響のある作用は回避可能だとしたのだが、センサーマテイックは、それは不可能だと私に言わせようとした」。
マッキヴァーは最終的な結果をまとめ、1997年10月にMPEの学会誌であるPACEに論文を送った。
この草稿のコピーをセンサーマテイックに送ったところ、同社の姿勢はますます攻撃的になったと彼は言う。
センサーマテイックは、ペースメーカ利用者に対する危険性があると述べることに対して「停止命令」を出した。
冬の終わりまでに、センサーマテイックの弁護士から、訴訟の可能性について警告する書簡が届くようになったとマッキヴァーは語る。
「3月にイギリスで開かれた会議に出席した後、センサーマテイックから、研究が完了するまで、会議の席上やマスコミの前で話したり、コメントを発表したりしないよう言われた」と彼は言う。
心臓研究所の共同研究者らからの要請により、その後半年、マッキヴァーは研究の発表を行なわなかった。
「センサーマテイックはマッキヴァー医師に対し、[マッキヴァー医師が同社に対して約束した]情報を当社が受け取るまで、研究に関して公表しないよう要請した」ことは、バーニスも認めた。
同社はまず生データを必要としている、とバーニスは言う。「それがあれば、マスコミから質問を受けた時に適切な回答を返すことができる」。
1998年7月6日、PACEは研究論文を受理した。
「だが、その後で編集者から弁護士を通して連絡があった」とマッキヴァーは言う。
「『発表した場合に法律上の問題が生じる可能性があるので、本当に公表を望んでいるという確認を取りたい
という内容だった」。
「当社はPACEに直接書簡は送っていない」とバーニスは言う。
センサーマテイックは研究データの受領に関する論争の中で、同社の弁護士がマッキヴァー医師に送った書簡のコピーをPACEに送っただけだ、とバーニスは説明した。
その目的は、「この論文をめぐって論争が起きていることをPACEが了解していることを確認する」ためだった。
「それに対する私の対応は、弁護士を雇うことだった」と語るのは、ニューヨーク市モンテフィオーレ医療センターに勤務するPACEの編集者、シーモア・ファーマン医師だ。
同誌が弁護士を必要としたのはこれが初めてだと彼は指摘し、本誌に対し、「正直言って、非常に賢明な行動だったと思う」と語った。
バーニスによれば、センサーマテイツタがPACEに直接書簡を送ったのは一度だけだという。
それは同誌がマッキヴァー医師の論文を掲載した場合、同誌を法律上の責任から正式に免責するという申し出だった。
「当社は掲載を阻止しようとしたと非難されていたので、そうではないことをはっきりさせたかった」とバーニスは語り、訴訟の可能性についてPACEを脅したことはないと主張する。
それに対し、ファーマン医師は「法律上の圧力にはいろいろな形がある」と応じている。
9月24日の食品医薬品局(FDA)の公聴会で、FDAのペースメーカ上席審査官のミッチェル・シーンは、マッキヴァー医師の未発表の論文を「この件に関する最も包括的研究」と評価した(本誌98年9/10月号)。
その直後、論文はPACEの10月号に掲載された。
それについて「びっくりした」とマッキヴァーは言う。
論文は当初は8月に掲載の予定だった。
彼はこの件にFDAが関心を持ったことが、論文掲載を促すことになったと考えている。
マッキヴァー医師の論文と併せ、PACEはボストンのマサチューセッツ総合病院のクオレーン・ハーソーンによるきわめて批判的な論説を掲載した。
「現実には、患者に対する被害は全く報告されていない」とハーソーンは論じ、マッキヴァー医師が検出したEMIのほとんどは「臨床的意味を持たない」と付け加えた。
NASPEの元会長で、設立者の1人でもあるハーソーンをはじめ、マッキヴァー医師が研究結果の重要性を誇張していると論じる心臓病の権威は多い。
ハーソーンはセンサーマテイックの顧問でもあり、マッキヴァー一に対して常に批判的姿勢を取ってきた。
1998年5月のMSPE年次会議で、ハーソーンはEAS業界団体が後援して開催されたシンポジウムの議長を務め、そこではマッキヴァーの研究に対する批判が強調された。
センサーマテイックのバーニスは、実際には研究結果を抑えているのはマッキヴァーの方だと言う。
「見せることができないようなどんなデータがあると言うのか。彼は当社に対し、データを見せるとはっきり言った。こちらはまだそれを見ていない」。
マッキヴァー医師はそれに対し、センサーマテイックに対しては研究結果中のかなりの量のデータを提示した上、同社の懸念に応え、論文に多数の修正を加えたと応じている。
問題は、同社が同社顧問たちにも各患者の心電図を分析させることを要求していることだとマッキヴァーは言う。
「この研究への協力を申し出た患者たちから、心臓研究所のスタッフ以外に心電図を見せる許可を得ていない」とマッキヴァーは語り、それがセンサーマテイックの要求に応じることが難しかった理由だと言う。
長年にわたる防戦
マッキヴァー医師の研究をめぐるいざこざの背景には、何年にもわたりセンサーマテイックが巻き込まれてきた苦い闘いがある。
その苦闘では、ペースメーカのEMIが重大な役割を果たしてきた。
同社はセンサーマテイックの株価が下がる方に賭けるウォール街のいわゆる「空売り筋」による攻撃を受けてきた。
空売り筋はあらゆる機会をとらえて同社に関する悪いニュースや噂を流し、この予測を現実にしようと努めてきた。
1994年と1995年に、空売り筋はセンサーマテイックにとって不利なEASシステムとペースメーカに関するニュースを利用しようとした。
それに対し、同社はハーソーンを雇い、業界が後援する検査施設から得た機密データの検討を行わせた。
ハーソーンは、ペースメーカ利用者にとり、不安材料は皆無だと報告した。
1994年、センサーマテイックの広報コンサルタントのトップが同社を去るにあたり、彼はEMIデータに関する同社の秘密事項を漏らした。
彼はそのまま競合企業であるニュージャージー州サラフェアのチェックポイント・システムズ社で働き始め、空売り筋と会合を持った。
チェックポイントは、同社の製品の方が安全だと主張し、そのメッセージを盛んにマスコミに流した。
「EAS業界はとても有害な業界だ」と、英国ノッティンガム?小売業研究センターのジョシュア・バムフィールド所長はコメントしている。
バムフィールド所長は、マッキヴァー医師を講演者として招待した1998年3月の会議の主催者だった。
彼は圧力をかけられ、マッキヴァーを講演者リストからはずさざるを得なかった、と本誌に語った。
「マッキヴアーは宣伝の道具にすぎないから、別の講演者にすべきだという示唆を受けた」と彼は言う。
バムフィールドはそれ以上の詳細には触れようとしないが、その時、「超大型の専門家免責保険契約」を結びたくなったと言う。
3月の会議には、センサーマテイツタの弁護士であるクリスティ&ヴィーナー弁護士事務所(ニューヨーク市)のケネス・ティバーも出席した。
彼はその後にマッキヴァーに対し、公の場でこの件について話さないことを要請する書簡を送り、その書簡をPACEに見せた弁護士である。
センサーマテイックは最近、マッキヴァーをチェックポイントの手先だと言い始めている。
11月4日、同社の記者発表資料では、マッキヴァーを「センサーマテイックの競争相手[チェックポイント]から主な研究資金を得ている研究者」と形容した。
センサーマテイックがこの研究に資金を提供したという事実には触れていない。
センサーマテイックはフランス、スペイン、イギリス、アメリカでの他のペースメーカEMI研究も後援してきた。
だが、同社はこの問題を報告しようとするある試みを阻止したと伝えられている。
セントジェード・メディカル社というペースメーカのメーカーに勤務するジョージ・アイシンガーとダン・コステロは本誌に対し、7月半ばにセンサーマテイックが、ペースメーカEMIの症状を訴えたシアトルのデパートの店員に、検査を受けさせなかったと語った。
デパートもセンサーマテイックも、提案された検査を拒否したとコステロは言う。
「検査を許可しないメーカーは初めてだった」と臨床技師のアイシンガーは語った。
「それは違う」とセンサーマテイックのバーニスは反論し、同社がそのような検査を阻止したことを否定する。
「センサーマテイクには小売レベルでの検査を拒否する権限は無い」と彼女は言う。
「ひとたびシステムが売れてしまえば、それはもう当社の持ち物ではなく、店はそれについて何でもできる」。
[囲み]
新たなEMl例2件の報告
皮下埋込み心細動除去器(ICD)と自動車盗難防止システムの間の「命にかかわる干渉」が、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの11月5日号(339、1371ページから1374ページ)で報告された。
シカゴのラッシュ・プレズビタリアン・セントルーク医療センターのピーター・サントクツチ医師らは、音響磁気盗難防止システムから30センチのところにある雑誌の棚の脇に立っていた時に、細動除去器から4回のショックを受けた72才の男性について報告した。
「誰かがこの男性をそこから引き離さなかったら、そこで死んでいた可能性が充分ある」と、サントゥッチ医師は本誌に語った。この男性はICDによる鼓動調整に頼っていたため、「EMIが起きた時には、鼓動が止まっていた」。
だが、サントゥッチ医師は、そのような激しいEMIは稀であり、ICD利用者が盗難防止システムのそばにとどまらない限り、回避できるとも指摘した。「利用者がそのことを意識していれば、大問題にはならないはずだ」と彼は言う。
同誌同号に掲載された(1394ページから1395ページ)フェニックスの心臓専門医協会のS・スリダー医師とマイケル・マッキヴァー医師の手紙では、スリダー医師のペースメーカ装着患者の間で、音響磁気システムによるEMIが「発汗、吐き気、めまい」を引き起こした様子が描写されている。
***** ************ *************
注:上記に紹介されている論文を機会があれば、読んでみたいものです。
記:2023−1−25
以下の研究がある、
掲載誌:Radiation Protection Dosimetry (2012), Vol. 148,
No. 4, pp. 420–427
タイトル:IN SITU MAGNETIC FIELD EXPOSURE AND ICNIRP-BASED SAFETY DISTANCES FOR ELECTRONIC ARTICLE SURVEILLANCE
SYSTEMS
電子物品監視システムの使用現場での磁界曝露およびICNIRPに基づく安全距離
研究者:Wout Joseph, Gunter Vermeeren, Leen Verloock and Francis Goeminne
Abstract 概要
Electromagnetic
radiation of electronic article surveillance (EAS) systems was investigated in
situ for both the detection gate panels and the activators and deactivators.
電子盗難防止(EAS)システムの電磁放射を、検出ゲートパネルとアクティベーターおよび不アクティベーターの両方についてその場で調査した。
Safety distances for the general public, defined as the distances outside which
the magnetic field levels of the EAS systems do not exceed the International
Commission on Nonionizing Radiation Protection reference levels, were
determined.
EASシステムからの曝露磁場レベルが国際非電離放射線防護委員会の参照レベルを超えない距離として定義される一般公衆の安全距離を算出した。
Additionally, temporal and frequency behavior, and signal waveforms were
investigated.
さらに、時間的および周波数的挙動、および信号波形を調査した。
For the detection gates, the spatially averaged fields exceeded the reference
levels for five of the six investigated systems.
調査された6つのシステムのうち5つでは、検出ゲートからの曝露値(空間平均化された曝露値で)が、ICNIRPの参照レベルを超えました。<Bemsj注:距離はCenelec基準の20p以上で行っている。>
For the (de)activators, the spatially averaged fields did not exceed the
reference levels.
アクティベーター(及び不アクティベータ―)からの磁界曝露(空間平均化された曝露値で)は、ICNIRPの参照レベルを超えなかった。
Maximal fields up to 148.0 A/m were measured from 20 cm on.
最大値が148.0 A/m(=178μT=1.78ガウス)までという磁界曝露値を距離20 cmで、測定した。
The exposure ratios varied from 8 to 13 for EM, from 6 to 8 for AM and from
0.008 to 1.8 for RF systems.
曝露比は、EMでは8から13(曝露基準値の8倍から13倍の曝露強度、以下同じ)、AMでは6から8、RFシステムでは0.008から1.8まで変化しました。
Safety distances were maximally 111 cm for EM, 77 cm for AM and 35 cm for RF
systems.
安全距離は、EMで最大111 cm、AMで77 cm、RFシステムで35 cmでした。
<BEMSJ注:すなわち、これらの電子盗難防止装置からは強い電磁界を放出しており、システムから相当な距離だけ離れなければ、ICNIRPの曝露限度値を超える、ということである。>
Full Textを読む
・対象とした電子盗難防止システムは、EMタイプ(電磁界利用、周波数は10Hz-20kHz)、AMタイプ(音響・磁界を利用、周波数は20−135kHz)、RFタイプ(無線周波数を利用、周波数は1−20MHz)である。各2台、実際の使用されている現場で調査。
・測定法はCENELECのEN 50364によった。
・測定結果のまとめ
記:2023−2−3
以下の研究がある。
掲載誌:Front. Public Health, 28 July 2022 Sec. Radiation and Health Volume 10 - 2022
タイトル:Assessment of combined exposure to
intermediate-frequency electromagnetic fields and pulsed electromagnetic fields
among library workers in Japan
日本の図書館職員における中周波電磁界とパルス電磁界の複合曝露評価
研究者:Sachiko Yamaguchi-Sekino,
Masao Taki, et al;
Objective: To assess exposure levels to electromagnetic fields (EMFs) among
library workers in Japan, focusing on co-exposure to intermediate-frequency EMF
(IF-EMF) and pulsed EMF, to propose a new epidemiological research methodology.
目的:中周波電磁界(IF-EMF)とパルス電磁界への同時曝露に着目し、日本の図書館員の電磁界曝露レベルを評価し、新たな疫学研究手法を提案する。
Methods: The evaluated exposure sources were an electromagnetic type-electronic
article surveillance gate (EM-EAS, IF-EMF (operating frequency 220 Hz-14 kHz))
and an activator/deactivator of anti-theft tags termed as “book check unit”
(BCU, pulsed EMF).
方法:評価した曝露源は電磁式電子物品監視ゲート(EM-EAS,IF-EMF(動作周波数220Hz-14kHz))と盗難防止タグのアクチベータ/デアクティベータ、いわゆるブックチェックユニット(BCU:パルスEMF)であった。
Short-term exposures were: (E1) whole-body exposure from the EAS gate when
sitting within 3 m; (E2) local exposure to transient IF-EMF while passing
through or beside the EAS gate; and (E3) local exposure to a pulsed magnetic
field on BCU use.
短期曝露は、(E1) 3m以内に座っているときのEASゲートからの全身曝露、(E2) EASゲートを通過中または通過中の一時的なIF-EMFへの局所曝露、(E3) BCU使用時のパルス磁場への局所曝露である。
E1–E3 were evaluated based on exposure levels relative to magnetic flux density
at the occupational reference level (RL; E1) or as per occupational basic
restrictions (BR; E2 and E3) delineated by the International Commission on
Non-Ionizing Radiation Protection (ICNIRP) 2010 guidelines.
E1〜E3は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)2010ガイドラインによって提起された職業曝露の参考レベル(RL;E1)または職業曝露の基本制限(BR;E2およびE3)によって評価された。
Exposure indices based on mid-term exposure (D1–D3), assuming exposure
according to employment on a weekly basis, were used to assess exposure in
actual working conditions.
中期曝露(D1-D3)に基づく曝露指数は、週単位の雇用に応じた曝露を想定し、実際の労働条件での被曝を評価するために用いられた。
D1 represents continuous exposure from an EAS gate when sitting within 3 m of
the gate.
D2 and D3 represent repeated transient exposures occurring during gate pass or
on the operation of a BCU.
D1は、ゲートから3m以内に座っているときのEASゲートからの連続曝露を示す。
D2とD3は、ゲート通過中またはBCUの動作中に発生する繰り返しされる過渡的な曝露を示す。
A link to a web-based questionnaire was distributed to librarians working at
all libraries where the authors had mailed institutional questionnaires (4,073
libraries).
Four exposure patterns were defined according to various exposure scenarios.
ウェブ利用のアンケートへのリンクは、著者が研究アンケートを送付したすべての図書館(4,073図書館)で働く図書館員に配布されました。
さまざまな曝露シナリオに応じて、4つの曝露パターンが定義されました。
Results: We obtained information on exposure parameters and working conditions
from the 548 completed questionnaires.
The ICNIRP guideline levels were not exceeded in any of the E1–E3 scenarios.
結果:質問に完璧に答えてくれた548件の質問紙から曝露パラメータと作業条件に関する情報を得た。E1〜E3シナリオのいずれにおいてもICNIRPガイドラインレベルは超えていなかった。
Median of the D1 (% ICNIRP RL × hour/week) was 1, and >85% respondents had
values <10. However, the maximum value was 513.
D1の中央値(%ICNIRP RL×時間/週)は1であり、>85%の回答は<10の値でした。ただし、最大値は513でした。
Altogether, these results indicate that
continuous exposure was low in most cases.
全体として、これらの結果は、ほとんどの場合、連続曝露は低いことを示しています。
The same tendency was observed regarding repeated transient exposure from
EM-EAS gates (i.e., the median value for D2 (% ICNIRP BR × gate pass) was 5).
同様の傾向は、EM-EASゲートからの繰り返し過渡的な曝露についてもが見られた(D2の中央値(ゲート通過×ICNIRP
BRの割合)の中央値は5)。
However, there were several cases in which D1 and D2 values were >10 times
the median. The median of D3 (% ICNIRP BR × BCU operation) was 10, and most
respondents' D3 values were greater than their D2 values, although the derived
results depended on the assumptions made for the estimation.
しかしながら。D1とD2の値が中央値の>10倍であるケースがいくつかありました。
D3の中央値(%ICNIRP BR × BCU操作)は10であり、ほとんどの回答者のD3値はD2値よりも大きかったが、得られた結果は推定のために行われた仮定に依存していた。
Conclusion: We conducted assessment of combined exposures to IF-EMF and pulsed
EMF among library workers in Japan by evaluating both short-term exposures
(E1–E3) and exposure indices based on mid-term exposures (D1–D3) assuming
actual working conditions per questionnaire results.
These results provide useful information for future epidemiological studies.
結論:質問紙調査結果ごとに実際の労働条件を仮定し、短期曝露(E1-E3)と中期曝露(D1-D3)に基づく曝露指数の両方を評価し、日本の図書館職員のIF-EMFとパルス電磁界の複合ば曝露の評価を行った.
これらの結果は、今後の疫学研究に有用な情報を提供することになる。
・概要だけの翻訳では詳細が判らない。
・この研究は日本での研究であり、図書館職員の盗難防止装置からの電磁波曝露に関する疫学調査でも始めようとしているのであろうか???
・Full Textを見ると、膨大なデータが掲載されており、関心のある人はFull Textを読んでいただくことにする
・測定結果の例
職業曝露限度値に対する比を算出しているので、当然ながら、曝露は少ないという数字になっている。